第168話 魔力とは


「魔力についての質問答えた方がいいって?便利だよね魔法」



黒葉がカメラの向こうで紙を使って何の話をすれば良いのか教えてくれるのはすごく役に立つ


神殿長に話をふれ?うん、わかった



「神殿長は魔力に関してどう思いますか?」


「ふむ、魔素のことかの?魔素は体を癒やしもするし壊しもするが基本的に癒やすものである、異常な魔力や魔力が変質した瘴気でそれらは生き物に害を与えますですじゃ」



あれ?でもそれじゃおかしくないかな?


魔族や魔物は瘴気の中の方が活動しやすいやつも多いし魔王に至っては瘴気の発生源みたいなやつだったんだけど



「魔王や魔族は瘴気の中で生きていたけどなんで?」


「あれらは瘴気に順応してはいますが正常な魔力には対応しきれていない、故に森を腐らせ、水を澱ませ、人々を殺し、精霊を病ませて自分の住みやすい環境にしていますじゃ、いくつもの国やいくつもの世界が彼らに蝕まれましたの」



瘴気が発生すると自然の動植物が減って食べ物も減るから魔物たちは人間の領域にどんどん侵略してくる


でも瘴気は魔力があったらどこにでも発生するかもしれない


それは山だったり森だったりと人間の領域からは離れてることが多い


神官はいきなり瘴気の濃い場所をどうにかするよりも人間の領域を浄化する方が安全だ、瘴気の領域は危ないしね



「この世界も奴らは来るの?」


「可能性はありますじゃ」


「まぁ魔王も倒したしそれはいいや、魔力はこっちではどう使えると思う?後、語尾変だよ?」


「そうですの、こちらは魔力が薄く金や銀が掘り起こされても戻らないと聞きましたがその辺りが良くなるし空気も良くなりますじゃ、今のこちらの言語に加護が対応しきれていないのでしょう」



加護による言語の変換は言語の神様達でけっこう違う


言語ではなく思念で通じるような場合や同じ神様の加護によって自然と理解できたりすることもあるが神殿長のはどちらかの言語に合わせるタイプの加護だ


ということは僕の受け取ってる神殿長の言語イメージがこんな変な語尾になってるのかな?詳しくは知らないけど


ルールみたいに加護つながりで思念が通じたり、ケーリーリュみたいにレアナー様の加護を授かっている者や信徒同士である程度言葉が通じるのも便利といえば便利なんだけど、こっちでこうやって日本語で話すと大変だな



「待ってください、魔力によって資源が獲得できると言うのですか?」


「そうですじゃ」



吾郷が神殿長に問いかけた


資源、自然を操ることに長けた亜人種は魔力でそういうことをしていた


魔法で出来るのなら自然の魔力で資源は獲得できるのかもしれない



「こちらの世界は数百年ほど前から何度もつながっておりますし、勇者も何人も召喚されております、いつかは大きく繋がると思いますが」


「大きく繋がる?」


「何もなければ繋がることもないかもしれません、ですが向こうは大魔王が死んで瘴気は減り、代わりに魔力が溢れてます」



あふれるとどうなるんだろうか?コップの中に水を入れるみたいに魔力も世界から溢れて別の世界に流出する?それとも別の形になる?


化学の実験みたいでなんか面白いかもしれない


会話には割り込んでないが疲れたような吾郷と違って登仙先生も阿部も興奮した顔つきである、特に阿部



「別の世界とつながるほうが可能性は高いですがこの世界も考えておいた方がいいかもしれませんの」


「他にも世界はあるのですか?」



お、登仙先生が質問した


テレビ番組みたいでいいな



「多くありますじゃ、世界と世界は繋がり、その先をたどれば神々の座に行けるなどという伝説もありますじゃ」


「この世界と繋がりにくい根拠は?」


「こちらには神威も感じられず魔力も微小、更に空気も悪い、ここよりも繋がるのには良い世界は多々あるでしょう」



神威?あ、たしかにあんまり感じたことはないかも


なんか吾郷が頭を抱えた



「あれ?吾郷?頭抱えて大丈夫?」


「前に約束した食事の約束で迎えに来ただけなんだが・・こんな話を聞くことになるなんて・・・」


「ところでそちらのイケさんと呼ばれる方は魔法を使えるのでしょうか?神殿長と聞こえましたがどういった役職でしょうか?言語はどのように通じているのでしょうか?その衣類はなにかの特殊能力があるのでしょうか?魔法の習得方法は?こちらの人間との差異は?ちょ、ちょっとその髭もらえませんか?」


「阿部さんでしたっけ、落ち着いて」



阿部さんの科学検証の話は面白いけどヒゲなんて何に使うんだろうか?呪い?


喋らなかったら、いや、普段はインテリって感じで出来る人に見えるのに興味のあるものにはすごいなこの人


僕も実験で同じ魔法を延々と200発もうったりと大変だったし



「と、登仙先生、私は貴方の髪と弟さんの髪もほしいです、で、出来たらでいいのですがご家族分も」


「ケーリーリュ、口塞いどいて」



阿部さんには「自分がやらかしそうだったら遠慮なく止めてほしい」と言われてる


ケーリーリュはハンカチで後ろから口を塞ぎにかかった



「ちょうどここにピンセットがあもごご」


「えっとそうですね、ごめんね吾郷、もうちょっとだけ配信したらいこっか、で、えー、神殿長は向こうだと各地の神殿を纏めてて・・国によっては王様よりも偉いかな、勿論魔法は使えるよ」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る