第139話 ヨーコと愛する人
方向だけを頼りに突き進む、夜に移動し、昼に何処かの領地で寝てまた移動する
ここからなら次の移動で行ける、旅で汚れた身体は【清浄化】だけでは落とせませんし、それぐらいの余裕はあるでしょう
連合軍で顔を知っていた貴族の館を宿に借りて身を清め、夜を待った
日が落ちてから装備を身に着けているとミャーゴルが入ってきた
このミャーゴルが元杉と繋がるなんて思わずに斬り殺しそうになってしまいましたわ
やっと会えた元杉はボロボロでお世辞にもかっこいいとはいえるものではないはずなのに、私には世界で一番かっこいいと心の底から思いましたわ
まさか、また会えるなんて
ただ光の柱が異世界人との婚約のためだったとは夢にも思いませんでしたわ
元杉と同じ黒目黒髪の2人
一人は背が高く元杉神官と呼び、おそらくこちらが正妻候補、もうひとりは大きな胸で周りの神官とは違って洋介呼びをしていましたわ
まさか元杉が家名だとは思いもしませんでしたわ・・・
それからは驚きの連続でしたわ
レアナー教国へ伝説の転移魔法を使い、何十、もしかしたら何百もいる神とお食事をして、元杉の御父様と御母様とお会いできて、わたくしもアオキチキュー世界に行けました
食べたプリンの味が忘れられません
小さな家だと聞いていたのですが住んでいる家は立派で縦に長く、勝手に上の階に行ける魔道具までついていました
きっと身分が高いのでしょう
すぐに元杉の家族に会わせてもらえて気付いた、これは私達小人式の結婚のお披露目と同じですわ!!
後は新居に案内していただければ・・いえ、わたくしからまだ愛を伝えていないのにそれはないだろうと心が重くなる
むしろ黒葉奈美と春日井遥のほうが場にあっているように思う
歓待の料理を食べてみるとこんなに美味しいものを食べたのは生まれて初めてですわ
この世のものではないほどに美味でしたわ・・・スブタ・・なんの肉なんでしょう・・・・・?あ、ここ異世界でしたわ!?
元杉の従兄弟のおねーさま方に可愛がられます、いえ、わたくしのほうが歳上なのですが・・・
元杉の過去の話などを聞けて嬉しかったです
しかしトイレというものに驚きましたわ
元杉がなにやら拡めようとしていたトイレの魔道具に近かったのですがこれが完成形というものなのですわね
座ると鳥の鳴き声や川のせせらぎが聞こえました
どこから聞こえるのか、指先よりも小さな鳥がどこかにいるのかと不思議でしたわ
それよりも水が出てくるのに心の底から驚きましたわ
山に登ると御父様と御母様のお墓・・・というよりも先祖のお墓がありました
黒葉奈美のように手を重ねて目を閉じる
元杉を生んでくださり、ありがとうございますわ
山に登ると元杉が料理の準備をしてくれたのでわたくしも一狩り行こうとしたのですが黒葉奈美に止められました
この国ではそういうことをしてはいけないらしい
・・・・・・・?
意味がわかりませんわ?
と、とにかく役に立とうと元杉を手伝う
肉を切ったり果物を切ったりして行く
異世界の肉や野菜というものはここまで美味しいものなのですね・・・!!
ですが気がかりもあります
この山の土地の問題を聞いていましたがまさかあの小さな山小屋に私たちは住むのでしょうか?
風が吹けば崩れそうな・・・・騎獣舎よりも小さいと聞いていたのですがまさかあれがご実家・・・?
元杉が前に出て魔力が大きく揺らぐのを感じ、御家族の前に出て【魔力障壁】を張りました
出てきたのは城、それもおそらく神器です
置かれた城が膨らむように大きく、広く、こちらからは全てが見えないほどに大きくなりました
しかし大きな城であるにも関わらず激しい音はしても振動は殆ど感じられない
・・まるで昔読んだ魔法のお城の物語みたい
「元杉ー!」
「なに?」
「愛してますわー!!」
はしたないかも知れませんが振り向かせるためにも抱きついて愛を告白したのに「はいはい」とあしらわれてしまいました
たまに思うのですがわたくし、エルフほどではないにしろ長命種ですし元杉よりも歳上なのですが子供のように見られてるのかも知れませんわ・・・・・
あの2人を出し抜いて振り向かせてみせますわ!!
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