第125話 僕の目的


「貴女が正妻候補ですの?」


「違います、どちらかというと私よりも遥のほうが仲は良いです、幼馴染ですし」


「そうですの??元杉と呼んでいるのに?」


「苗字呼びだとなにかあるの?洋介とはどういう関係?一応聞いとくけど」


「家名呼びだとなにか・・・?え?元杉が家名なのですか!??えええ??」



そろそろとベッドの横の壁との隙間の下、逃亡用の通路を這って出る


レアナー教の施設ではよくある逃亡用のものだ


レアナー教では好きな者同士の愛は推奨される


結婚してる者同士ですら婚姻は可能だ、たとえパートナーと離婚していなくても・・・


愛を推奨するレアナー教だが親の反対や身分の問題、すでに結婚している、年齢、性別すらも関係無い


だから人によっては愛し合うのにトラブルとなる、刃傷沙汰も多いし、それゆえに邪教と言われることも多い



話し合うにしても時間が必要な場合もある、そのための隠し通路だ



後ろでワーキャー言ってるヨーコとはるねーちゃんたちには悪いけど寝起きであれは辛い


どうせなので治療してる場所に行くと怪我人はそこそこいたので治癒魔法をかけていく



そろそろ例の時間だ、うまくいってると良いなぁ




・・・・・・・・・・!!




「はるねーちゃん!黒葉!あ、まだいたんだヨーコ!」


「あんたいつの間に外に出てたの!?」


「元杉神官、この女性とのご関係は?」


「あー、まぁいいや!行くよ!!」



3人を抱きしめて【転移】する



「「「「お待ちしておりました!聖下!!」」」」


「うぇえ?」

「なにこれ!!?」

「転移魔法ですの?!」



千を超える神官達が列をなして出迎えてくれた


大きな神殿の中は光り輝き、花を舞い上げて出迎えてくれている


一番豪奢な服でわかりやすい神官長の前に行く、この人の切れ者のような印象は相変わらずだ



「聖王はいないよね!?」


「はい、聖下の元へ行こうと移動中です」


「よっし!準備は?」


「万全に」


<奥の間で待ってますぅ>



よっし、レアナー様も味方だし準備はできている!


高鳴る胸を感じながら小走りで奥まで行く


飛んでいきたいが走るのと飛ぶのをすると怒られるし仕方ない


なになにと訳のわかっていない3人だが神官長や大神官が質問に答えながらついてきている



「・・喜ぶかな?」


<どうでしょうか?でもとても喜ばしいことですぅ>



奥の間に行くと門を開けてもらえた


此処から先は聖域だ



「この先は神々もお待ちしております、お気をつけくださいませ」


「うん!」



涙がこぼれそうだ、肩に乗ったレアナー様


中に入ると神々がいっぱいいた



<みんなー!洋介と洋介のお嫁さんたちですぅ!!みてみてー!>


<レアナー、相も変わらず威厳が足りてないぞ>



僕に加護を授けてくれた神が、いやそれだけではない


数え切れないほどの神々がそこにいた



<洋介、よく来ましたね>


<待ってた!>


<コルルルル>


<うぅっ、見ていましたが大変だったでしょう>


<よくやったなぁ!>


<今回は特別です、貴方は他の誰にも成しえない偉業を、成し遂げました>



神々に見つめられ、僕は目標を、頑張ってきた証を掻き抱く


暖かくて、心臓の鼓動を感じる


僕はもう、子供のように泣いた



僕頑張ったんだ、頑張ったんだよ



ありがとう神様、僕にこんな機会をくれて

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