第61話 神と人


目を覚ますと周りはよく見た光景だった


ゴーゴーいびきをかいて寝てる大人たち


床に寝てるものもいれば何故か下が丸出しのダメな大人もいる


出したバルデンジュースの中には結構熟成が進んでたものもあった


向こうの大人は「飲みやすくて酔いやすい」って言ってた


バルデンの果実はぶどうとパインの間みたいな味だが、放っておいても熟したら酒の匂いがする


狩りの途中に見つけた大人共が突進していったりと迷惑な果実である



黒葉さんはどこだろ・・六太と何人かを王様の座る椅子のようにして豪快に寝てた



結構なサイズの肉に蟹の足だったのに殻を残してごっそりなくなってる

よく食べるなぁ


あれ?バーベキューコンロのところで一人なんかいじってる



「おはよー」


「神官さん・・おはよっす」


「なにしてるの?」


「火の番っす」


「飲まなかったの?」


「酒は苦手なんで」



【隷属】をかけた後に泡を吹いて倒れたり、ナイフで襲いかかってきたやつだがなんだかぼーっとしてる



「火を見てると落ち着くんす」


「ふーん」



ぽつりぽつりと言葉が漏れてきたんだろう


この竹村龍さんは徳田の家で初めに襲いかかってきた人だ


昔投薬治療で治って、その時に母親が宗教にはまって借金から一家離散、やくざになったそうだ


それから宗教家は嫌いで八つ当たりのように僕にあたった



昔は裕福でスカウトというやつだったらしく、火の世話が得意で、海が好きなどなどぼーっと色々話してくれた



「このスキンヘッドも抜けた毛が戻らなくて、だっせぇからドラゴン彫ってたのになくなっちまって肩なしっす」


「いまのこれもまるで緊箍児じゃねぇですかい・・西遊記の」


「俺は誰にでも噛みついちまって・・・あの、お願いがあるんす」


「うん?」



だまって聞いて収納のなか整理してた、うん、これ使えそうだな


よくこんなのはいってたな!?どうやって入れた!!!??



「隷属の魔法がどうとかって話っすが、俺をずっと下においちゃくれませんか?」


「なんで?」


「俺ぁどうしようもない悪たれでして、道ですれ違うだけでクソガキは蹴り飛ばしたくなるし自分じゃダメってわかっててもやらかしちまう、今はこれのお陰で真っ当に生きられる、ギスギスしなくても飯が食えりゃあ良いなって思うんす、俺だけじゃねぇっす」


「わかった、考えとくね」


「たのんまっす」


そういう人もいるのか・・うちの信徒になった段階で僅かだが愛を考えたり心を穏やかにする効果はある


戦神の信徒になれば戦いに高揚し、料理の神であれば何でも口に入れる、司法の神であればバランスにこだわって、熊の神であれば熊と仲良くなる・・とか見たことがある


神の加護や恩恵があるからこそ神に感謝し、寄付し、寄り添っていくのかもしれない




僕もどんな困難があっても女神様がいたから目標があったから耐えてこれた、戦って、治してこれた



<むにゃぁ>



いつも、ありがとうございます




2人でジュースを飲んで、収納から毛皮を出して寝てる大人共にかけていって鍋の魔道具や殻をしまった

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