第36話 被害者Y?


「てめぇ!ふざけんじゃねぇぞ!!あぁん!!!」


「ひぃっ」



横にいたお兄さんの1人が怒り出した


禿げた頭に蛇みたいな入れ墨が入ってる


血管が浮き出ていて怒ってることはわかった


周りの人たちも同じみたいで腕まくりしながらよってくる



「宗教だかなんだか知らねぇがヤクザから金巻き上げようとするなんざ100年はえぇよ!」


「こいつは俺らをなめてやがる!治せるかどうかじゃねぇ!ふんじばって治させりゃいいだろうが!!!痛めつけて人を治させりゃいいシノギになるだろうが!!!おらっ!!!」



ヤクザってなんだったっけ?八百屋・・じゃないよな?


だけどピリピリしてたのはわかってたから警戒はしてた、落ち着いて杖を出して【魔力障壁】を隣のおねーさんに



「待ってください!!」


掛ける前におねーさんが僕の前で手を広げてる


脚はガクガクである、腰は限界までひけているし生まれたての子鹿のようにガックガク足が震えていて心配になる



「引っ込んでろ!あんたはかんけーねぇんだろんだろ?おぉん!!?」


「わ、私の友達も癌なんです!治してもらいたいんです!私の友達が治るかどうか見てからでいいじゃないですか!!!!???」


「あんた騙されてんだよそこの坊主に、しゅーきょーなんてもんはよ、死にかけの奴ら騙して儲けてなんぼだから!なぁ!?」


「いや、うちはそういうのやってないんで」


「んだとゴルァ!!!」


「きゃー!?」



おねぇさんを横に動かして襲ってきた暴漢の前に出る



「いい度胸だ!糞坊主!!!」



襲ってきた男は中肉中背、身につけた装飾品にはなんの効果も見受けられない


自信満々に出てきてるけどひどく弱く見える


ゴブリン以下だな、奴らの残虐さや狡猾さに比べるとわざわざ武器を使わずに正面から殴ってくるなんて馬鹿じゃないかと思う


















「だめぇ!!」



「遅い」



ドゴスガガバジンっっ!!!!



「あがでぃっ!!???」



僕にパンチが1発届く前に杖を収納に入れて、暴漢に弱めに7発、腹や顔面、脚に背中に拳をうちこんだ



殺さないように弱めに手加減してうちこんだが殺しそうで怖い、肉を潰し骨を何本か砕いてしまった


鍛えてきたこの肉体はこちらでも通用するようだ


向こうの戦闘のできる人間はもう怪物だった、まず普通の人には見えないような速さで動くし自分の体ほどある大岩を投げ飛ばしたりもする


僕なんてまだまだだ


だけどこのヤオヤぐらいになら勝てそうだ



「おねーさん、大丈夫だからちょっとまっててね」


「は、はい?」



「何しとんじゃ!」

「おらぁ!」

「囲め囲め!!」



こいつらは、弱いのになんで向かってくるの?ゴブリンの生存本能とかないの?ちがった、暴漢だった




全員ボロボロにするまでそうかからなかった



「ところでおねーさん、ヤオヤ、いやヤクマ?だっけ?ってなにかわかります?」


「ふぇ、や、や、やくま?」


「そう、なめてんじゃねぇとかいってた」


「や、ヤクザですね、暴力団のことです、反社会団体です」


「あ、じゃあコイツラ賊なのね」



収納から剣を取り出す


よく磨かれて綺麗な聖剣の一本


両手持ちのロングソード、よく切れそうだ



「よっと」



振り上げると結構長くて天井にあたった


取り出したのが僕がよく使うものじゃなくて大きめで長いものである


一撃で殺さなきゃ苦しませることになるからね



「な、なにやってるんですか?」


「始末だよ、賊は殺さないと」


「だ、ダメです!殺したらダメです!!!」



おねーさんが僕の前に出てきた


もう顔中汁まみれだ、涙でぐちゃぐちゃ、怖がらせてしまった



「なんで?」


「だだだだだって、ひひひとを人を殺したらおまわりさんに捕まって裁判にかけられるでしょう?そしたら私の友達が治療できなくなるかもしれない」


「それは・・・」

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