第28話 ファミレスとエビフライ


ふらふらした内田さんだったがファミレスで色々話を聞いてくれた



「本当にここで良いんですか?もっと良い店もありますよ?」


「ここが良いんです」



多分以前に来たことのある系列のファミリーレストラン、時間帯のせいか人も多く楽しそうに話してる声が聞こえる


内田さんは魔法のことや幽霊について詳しく聞いてきたので色々と話してたが僕は少し別のことを考えてた


いけない、信徒獲得に集中しないとダメなのに



「いただきます」



エビフライ


ぷりっとしたエビが歯で弾けるなんとも気持ちの良い料理だ


タルタルソースをかければ酸味とシャクっとした玉ねぎが衣の油と調和して美味しい料理だ


ソースとでもレモンとでも醤油とでもマヨネーズとだってまた別の美味しさが味わえる



でもやっぱりタルタルソース最強


向こうではそもそもエビなんてものは食べない


見つけてもらって料理してもらったが泥臭いし、そもそも【揚げ料理】なんてジャンルそのものが無いから獣の油でベッチョリギトギト


よく毒を盛られてたから冷めてたしほんとまずかった


せっかく料理してもらったのに食べないのも悪いからまだ収納の中にある



一口噛みしめる


カリッと衣を歯が感じとり、次いでエビのプリプリした身が出てくる


海老の旨味、衣の食感、タルタルソースの酸味が心地よい


あぁ戻ってきてよかった



<ひとくち!>


「はい」



神様に一口切り分けて食べてもらった



<おいしーです!!>


もう一口食べさせて僕も食べる


やっぱり美味しい



「おいあの光見たか!」


「見た見た!すげー光ってたなぁ!」



食事する場所なのに結構騒がしい


向こうみたいに食事してるだけなのに襲いかかってくる人や盗人がいないだけましかな?


内田さんが奢ってくれて、そのままビルに帰った



「何かあったらなんでも相談してください」


「内田さんも祓ったばかりですし何でも言ってくださいね」



ビルの横の公園ではビルを見てる人もいる、なんだろ?


1階から4階、誰もいない4階に収納から藁とシーツで寝床を作った


スマートフォーンを見てるとニュースでは宇宙からの光が近くで見れたとかかわいい猫が生まれたとかいろんなものが見れた



<すごいですぅ>


「そうですね、向こうにもこういうのあったら良かったのに」



動画を見てるとすごく楽しい


焼肉を作るのに爆発させるとか、魚を捌くのに釣ってすぐだとか色々ある、見てるうちに寝てしまった



ピピっと音がしてびっくりした


スマートフォーンには充電が足りないらしい・・・電気のコードはない



内田さんに聞いてみた



「すいません、スマートフォーンの充電ってどうやるんでしょう?」


「え?充電器に挿せば使えると思いますけど、壁から充電できません?」



・・・・・よくわかんないや



「昨日の出来事で寝られなくて・・良ければ見ましょうか?」


「ありがとうございます!」



時間を見ると午前3時


すぐに内田さんは来た



「寝たら怖い夢見そうで・・それでどんな感じですか?」



説明するとそもそもケーブルや充電器は壁についてないらしい


深夜でもやってるなんでも売ってるらしいお店に一緒に行ってくれた


夜でもキラキラ明るく、いろんな宣伝で目が回りそうだ


対応するケーブルを選んでもらって、あとお菓子とかもいっぱい籠に入れる



「6722円になります」


「円・・?あっこれ使えます?」



レジのお姉さんの目の前で収納から金貨を出した



「ええ?今どこから??お客様?こちらのお金は当店ではお使いになれません」


「じゃあこれは!?」


「マジック?いや無理です」



銀貨や宝石を出してもダメだった


大陸共通金貨も使えないし・・・役に立たないなぁ!!



「大丈夫?」


「すいません、持ってるお金使えなくて」


「代わりに払うね・・カードで」


「「ありがとうございます」」



レジのおねーさんと僕の声が重なった


そういえば病院でもジュース買おうとしたんだけど持ってるお金入れられなかったんだった



「すいません助かりました」


「いえ、お礼になるなら安いものです」


「代わりにこれどうぞ」



悪霊よけの御守りを渡しておく、もう一個同じものを取り出す


ミスリルの入った金属製のネックレス、丸と十字の形をしたもので効果は悪霊や呪いよけ、それにちょっとした清浄化ぐらいだ


貴族ならみんな持ってたが僕からしたら効果は薄いから使わないし収納にジャラジャラと余ってる



「これは?」


「悪霊よけの御守りです、何もなくても弱い悪霊なら近寄ってきませんが握ってレミーアって唱えると1回ぐらい取り付いた悪霊を吹っ飛ばせます」


「御守り・・?」


「一度一緒に使ってみましょう、レミーア」



御守りを中心に光が散った


内田さんは目をパチクリさせてる



「おぉぅ?光った?え、眩し」


「内田さんも一緒に!」


「ふぅ・・・・レミーア!」



なぜか力を込めて叫んだ内田さん、うん、内田さんの御守りも使えて安心



「叫ばなくても使えます・・一回分魔力込めときますね」


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