第26話 ビルの内見


ビルにつくとビルの前にソワソワしたスーツの人がいた


どーもと言われて名刺をもらった


内田良平さん、か、名刺って初めてもらったけど布教に使えるかもしれない、うん、僕もこういう紹介文を作ろう



ビルを見て回るといっぱいいた


男の人、女の人、ぐちゃぐちゃ


足の踏み場にも困るほどだ、自分から積極的に霊体を祓うなんてことはしない、悪霊退散だっけ?


そもそもこいつらは僕にあたったらそれだけで散るような弱いものだ



「いますね」


<いっぱいいますねー>


「そうですか」



こっちの神官は何やってるんだ?



一度に建物を浄化し、霊を消滅させても良い、気配からすでに悪霊だし


僕の魔力の圧だけで近づいてこないが鬱陶しい


だけど消滅させてもこいつらが物に取り憑くタイプで本体が別の場所にあったりするとあとで面倒になる場合もある



ビル自体は結構大きくてびっくりした



立地も詳しくはないが眼の前が公園でそのすぐ先が駅、充分良いと思う


部屋の中は机やホワイトボードもそのままだが何もないよりかはなにかに使えそう


水もちゃんと出るし仮眠室もある、霊体だらけだがたまに殴りちらして進む、前が見にくい



トイレも見に行くと最高に綺麗でびっくりした



男性用小便器が3つに、大きい方ができるのが2つ、これが4階まである!?


贅沢すぎないか!!?座ったらなんか音が出た!!!??なにこれ??え?周りで誰か弾いてる・・・わけないか、そうだここは向こうじゃない、機械的ななにかだ、うん



向こうだとトイレと言えば個室はそもそもない



近代的なタイプのトイレでも男性用女性用はなく一斉にやって一斉に流したりするとかで、とにかく臭い、目に染みる、村のトイレなんかくみ取り式で床がネチャネチャと・・・


ちょっと感動して長居してしまった


こっちにきてから綺麗なトイレには感動しっぱなしだけどまさか音楽が鳴るなんてビックリだ


内田さんはいなかった、用があって帰ったとかじゃなくて悪霊の気配が強く残ってる


えー、あのひと、案内する人なのに弱いの?


気配を探っていくとすぐ上の階にいる



「内田さーん」



いる方向はわかってるので固くしまってるドアも強引に開けていく


いたのは窓だけがある部屋で・・・中身は悪霊の巣窟だ


一番力を持ってるのは赤い服の女の子、内田さんの足を持ってる


霊にしたらちょっと強めかな



<・・・なんだおま>


「ハイハイ、まとめて輪廻に帰れ!」



杖を振るって建物ごと【清浄化】【悪霊消滅】【聖域】をかけておいた



<ギャアアアアアアアアアアア>



呪物や何かが別にあっても後でどうにかできるだろうしとにかく内田さんの身の安全が優先だよね


足しか見えてなかった内田さん、めちゃくちゃ悪霊たちに好かれてるな、あ、口から中にも入ってる


【対霊体強化】に【生命力増強】それと【覚醒】をかけておいた


口からモファーっと黒い霊体が吹き出してちょっとキモいななんて思ってたら起きた



「おはようございます、もう大丈夫ですよ?」



目をシパシパさせてあたりを見回している


まだ中に入ってるのかな?この杖で一発殴ってスッキリさせる?


嫌な気配はない、ちゃんと神聖魔法は効いたことだろう



「ところで信徒募集中なんですけどうちの信徒になりませんか?」


「嫌です」



あれぇ?

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