第9話 マウントと導火線
「誰だお前何しやがる!!!??」
右からうねるようにパンチが来た、窓の外に空が見える
顎の先にあたった僕は床に倒れ落ちた、ねーちゃんは飛び乗りになって殴りかかってくる
何が起こったかはわかるのにどうしてこうなったのかはわからない
ガチャンっ!!
ねーちゃんはこんな言葉遣いしないしこんな乱暴はしなかった、と思う
もしかしたら人を間違えたのかもしれない
インクを入れていた金属製の容器が床に落ちたんだろう
また割れたかな?トクトクとインクが溢れる音が僕が殴られる打撃音に混じって聞こえる
すごい力で何発も殴られた
すごく痛い
すぐにおばさんと伯父さんが止めに入ってくれて、更に横の椅子で寝てたっぽい隣の家のおじさんが僕を部屋の外に連れ出してくれた
ねーちゃんは怖かった、キレたねーちゃんは般若の面っていうんだっけ?鬼のような顔つきで髪をなびかせて馬乗りに殴りかかってきた
「糞がァァァァァァァァ!!」
病室から叫びが聞こえる、そんなに嫌だったのか、めちゃくちゃ痛い
連れ出してくれた隣の家のおじさん、亮二おじさんは疲れた顔をしてた
白髪も増えて、今はメガネかけてるんだ?ちょっと汗臭い
「洋介君だよね?ホント久しぶり、まだ夢見てるのかな、いや娘がすまなかったね、とりあえず飲み物でも飲もう、私も頭が回って無くて」
おじさんは自分にブラックコーヒーを、僕にはメロンソーダをくれた
ペットボトルを開けて飲む
喉がシュワシュワ気持ちよく、甘味で涙が出そうだ
「ちょっと意味分かんないんだけど説明してくれるかな?」
感動で涙が出そうだったのだがおじさんに聞かれたのでできるだけ分かる言葉で説明した
魔法についても「へー」「ほーん」「ふーん」とか言ってた
まだ夢見心地なのかもしれない
「じゃあさ、他の患者も治せるの?」
「うん」
その後、意識のある週末?患者たちをみんな治していった
話せるなら早い早い、どんどん信徒ゲットだ!
途中、まだぼーっとしてるっぽい亮二おじさんにも覚醒化をうちこんでおく
「まだ眠たい?」
「いや、それも魔法?」
新たな信徒になった患者たちの喜びの声と看護師の静止する叫びの中、おじさんは目を覚めたらしい
おじさんは僕のお義父さんにもなるから魔法の使用は可能だ、親族だから使っても良い
伯父さんにもホントは使ってよかったんだけどね、後でどうするか聞かなきゃ
「じゃあさっきの化け物みたいな洋介殴ってたのって本物の娘?」
「うん、化け物はひどくな」
返事を返し終わる前におじさんは走ってどっかにいってしまった
たぶんはるねーちゃんのところだろう
むこうと違ってこちらの患者に魔法をかけると魔法なれしてないのかなんかキモい反応をしてる
伯父さんのように体力が向上する魔法は使わずに治癒効果を重視して怪我や病気の回復にとどめた
だが大の大人たちがぴょんぴょんと飛び跳ねまわっているし、踊ったり、奇声を上げながら抱き合って泣いてる人もいる
お医者さんに呼ばれて警備員が来たところで僕はそっと逃げた
病院を歩き回って伯父さんを探してたんだけどいなかったので伯父さんの個室に「疲れたから帰る、また明日」って置き手紙をした
もう今日は一日はいろいろあって疲れた
どうやって帰ったかな?いや歩きだけどさ
とにかくおばさんちに行って鉢植えの下の鍵で玄関を開けて和室に転がって寝た
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