第8話 娘さんを(信徒に)貰いまゲフォッ!!!??
「治してよ、ねぇ、お願いだからぁ」
「ごめんなさい、神のルールは破れば罰に当たります、治癒の行使すらできないこともあります、ねーちゃんがねーちゃんの意志で動かないと僕にはどうすることもできません」
「そんな・・でも、それもできないの」
聞いてみるとはるねーちゃんは若い人がなるガンのコツニクシュというやつらしい
4日前に大きな手術をして、手の施しようもなくて、手術の負担からずっと眠って、もう起きることはないだろうって
「それでね、家で少し寝てたら隣からがっちゃんがっちゃん聞こえてね、とにかく娘には時間がないの!」
涙を流すおばさん、治してあげたい
だけど
「結婚したらどうだろう?」
「伯父さんがですか?」
「洋介の結婚だ!私には愛する妻がいる!!」
ムキムキになった伯父さんがなにか言ってる
伯父さんは信徒になったんだから伯父さんが結婚すればいいのに
僕はそもそも結婚とか今まで一度も考えたことがなかった
「そうよ!ようくんが結婚したらこの子は助かるのよね!?」
「え、えー?でも僕未婚ですし、どう思いますか神様ー?」
<いいですね!いっぱいお嫁さんつくりましょう!うちの子たちにはいっぱいお嫁さんがいていいと思いますぅ>
神様のテンションが高い
理由は神殿にいたからわかる、お見合い大好き女神様である
神官たちは基本的に働きすぎなので家庭を顧みない人が多い、離婚することも多い
結婚も離婚もお見合いも、レアナー様は大好きだ
お見合いのためなら貴族相手だろうが命を張ることがあるのがレアナー教だ
レアナー教では結婚相手がいっぱいいても問題はない
僕も何度結婚させられそうになったことか
「いっぱいお嫁さんって、そんな、それに結婚ってあの重そうな服着て何日もやるやつでしょ?手続きも神殿でしないといけないし」
<こっちに神殿はまだないんで、私に祈れば大丈夫ですぅ、ねーちゃんさんのことは嫌いなんですか?>
あ、これは止められないやつだ
嫌いじゃない&嫌いじゃないの組み合わせであればお互いに別の人と結婚していても重複結婚まですすめちゃうのが愛と慈愛の女神の方針だ
「嫌いじゃないです、でもねーちゃんがどう思ってるかわかんないし」
<とりあえず結婚して治しときません?このまま死んだら後悔するですぅ>
考えてみる、確かにねーちゃんは嫌いじゃない、むしろ大好きだ
いつも一緒に遊んでくれてたし、背の低い僕をかばってくれてた
-ふーん、しょうがないわねぇ-
-ようすけ、私があんたを守ったげるからね!-
-約束よ!私の・・・-
「神様との話はどうなってるの?」
「とりあえず嫌いじゃないならねーちゃんと結婚して治しとかない?って」
「な、なら結婚しましょう!それで治せるのよね!!?」
すごく喜んでるおばさん
神様も神様で「治してから結婚を考えましょう」というんじゃなくて「結婚してから治しましょう」だからたちが悪い
結婚なんてこれまで考えたことすらなかったのに
「でもねーちゃん意識ないし結婚ってなにかしないといけないんじゃなかったっけ?お餅つきみたいなやつ」
「いーの!結婚は日本では書類さえすればいいの!そ、そうだここに!!」
小さな棚からなにか取り出したおばちゃん
なんて書いてるんだろ?漢字はあんまり覚えてない
「婚姻届よ!ほら!もう書いてあるからここかいて!」
「んー、わかった」
うちの教会では結婚と離婚は当たり前だったし、僕もねーちゃん嫌いじゃない
うん、書こう
収納から黒いインクと羽ペンを取り出して書いていく
「あ、間違えた、皮じゃないって久しぶりで・・」
書き込んでいく、住所の番号?なんだっけ?
あ、そっか、ねーちゃんと同じ番号なんだった
「あとはどうすればいいの?口づけで終わり?」
<きゃー!きゃー!!>
「そうね!チューしたら良い!ほらがっと行きなさいがっと!」
何故か背中に回った女神様とおばちゃんに押された
伯父さんはもう何も言わずに目をそらしてる
消毒液の匂い、白くカサついて色味のない唇、頭の毛がなくて眉毛もないはるねーちゃん
あんなにいつも元気だったのに、治してあげないと
杖を出してうちこ、めない?!女神様!!?
接触系の治癒を使えってことか
・・・
・・・・・
恥ずかしい!なんだろ、やっていいのかな?!
おばちゃんはベッドの横に回り込んで口に付いてるやつを外してくれた
「ほらほら恥ずかしがってないで!!ガバーっていっちゃえ!何なら舌入れてもいいわよ!」
<きゃー!きゃーきゃー!!>
肩まで熱くなってるのがわかる、ちゅーってこんなに恥ずかしいものだったんだ!!!??
「こふっ」
「あっ」
ほんの小さなねーちゃんの咳、それで僕の体は勝手に動いた
「ねーちゃんが早く治りますように」
思いつく治癒魔法を接触部から流し込んでいく
あとは、ねーちゃん次第か、なっ?
「誰だお前何しやがる!!!??」
もしかしたら僕は人を間違えたのかもしれない
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