第5話 癌と治癒
「あー・・洋介お前どこにいたんだ?」
「あの事故で別の国に」
「水入れてくるわね」
「ありがとう」
別に異世界に行ってたって言ってもいいだろうけど向こうでも「地球から来ました」っていっても「異世界人です」っていっても「はぁ?」って通じなかったしなぁ
おばさんは病院に慣れてるのかベッドの横の水筒を何処かに持っていってしまった
「流されてたのか、お前の遺体は見つからなくてな、ほんと生きててよかった、ほんとになぁ」
「伯父さん」
「ん?なんだ?」
伯父さんに近づいてわかった、死の匂いがプンプンする
目も黒っぽく窪んでるし痩せてシワシワだ
今僕が肩車してもらったらおじさんの骨が折れそう、というか立てなさそうである
聞くまでもなく明らかに病気なのだろうが一応聞いておく
「ガンってどんな病気なの?」
「うん・・癌ってのは人によっては治ることもあるんだがもう俺は永くなくてな、最後にお前とあえて良かったよ、そうだ、俺の遺産はお前にもやるから手続きしにゃならん」
「伯父さん」
「そもそも死亡届も、いや、いま何日だ?ごふっごほっ」
「伯父さん伯父さん」
死が近い人はけっこう意味不明な行動に出ることがある、いつも見てきたが伯父さんがこうなってるのはけっこうきつい、痛ましい?だっけかな
見てて少し悲しい
「ゴッフ・・ん、なんだ?」
「治そうか?」
「すまん、もうじきおいちゃん死んじゃうんだわ、ごめんなぁ、また1人にしちまう」
ダメだなこりゃ、一発ぶん殴って・・・いややめとこう、そのままポックリ逝きかねない
「だから、僕が、治そうか?」
意味がわかるように一言ずつ区切って伝えた
「なんだ?お前まで怪しげな壺を買えとか水を飲めとでも言うのか?」
すごくいやそうな顔をされた
水を飲めば治るのか?よくわからないが
「水は知らないけど僕向こうではずっと人を治しててさ、多分伯父さんのことも治せると思うんだ」
「何言ってるんだ?そもそもお前どこにいたんだ?」
「あー、異世界でお坊さん?神官・・お医者さん?やってた、何ていうのかわかんないけど」
向こうの言葉は向こうの神様の加護で翻訳されてたけどこっちでどういうかわかんない、日本語って難しい
「意味わからんのだが」
「とにかく、えーとガンって治せますか神様?」
「ステージ4の癌だ、神頼みでもなんでもしちゃるわい」
小さな女神様がちゃんと教えてくれた
<治せますよ?だけど信徒欲しいです!勧誘しませんか?>
「でもうーん、父さんたちのお墓もありますし」
「誰と話してるんだ?」
伯父さんには見えてなかったか
高レベルの人や高位神官でも見えない人もいたし仕方ない
「神様、うん、伯父さんうちの信徒になってね、それで治したげる」
「さっきも言ったが何でもしちゃるわい」
もう伯父さんは信じてないのかな、まぁこっちの世界で魔法なんて聞いたことないしね、いや日曜日とかに朝のアニメやってたけどあれってほんとだったのかな?
少しベッドから離れて収納から帽子と杖を取り出す
帽子は縦に長い神官の正装の一つで杖は僕専用、僕の背丈よりも長いて詠唱がいらない優れもの
「何だそれ?いまどこから出した?!」
「約束だよっ」
魔力を杖に通して伯父さんに治癒魔法をうちこむ
けっこう気合い入れたからか部屋が大きく光った
酷い病気だったんだと思う
ついでに体力回復に清浄化に体力上限上昇、筋力上昇、気力上昇、対霊色々おまけして続けてうちこんでいった
ガチャッ・・パリーンッッ!!!!!
杖の先がベッドのさくにあたって慌てて戻したら後ろの花瓶が割れた
あっ
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