【完結】少年神官系勇者―異世界から帰還する―

第4話 伯父さんと病院

病院に行くのにおばさんの車に乗っていった

この車ではなかったけどよく乗せてもらってた

後部座席に乗って周りを見ると思い出がちらほら湧いてくる

通ってた学校の横を通るときには、懐かしささえあった

今って何曜日だろう

今の曜日の感覚なんてない

多分、太陽から昼より前、通行人も少ないな

異世界にいたのは期間にしてたった数年、日付や時間の区切りが違うからわかんないけど多分５年ぐらい

小学五年の頃に事故で異世界に行った

神様に聞くと担当が違うから詳しくはわかんないけど異世界に行くのにはいろんなパターンがあるみたい

ふと山で迷い込んで、川に流されて、起きたら、死にかけて、なぜかわからないなどなど

「娘も入院しててね、顔を見せるときっと喜ぶわ」

「伯父さんは？」

「・・あのね、伯父さんは癌でね」

聞いたことある気がする、良くない病気だったはず

「ガン？どんな病気？」

「・・・・・最近はいろんな治療法があって、いやね、私までこんな事言うなんて、とにかくお医者さんに聞いて頂戴」

「わかりました」

病院につくと消毒液の匂いが結構する

僕もいつも人を癒やす現場にいたがとにかく運ばれてきてとにかく治癒して「さぁ、お前の武器だ」で、戦場にもどしてた

癒やす現場といえばとにかく血と錆の匂いが酷かった

前線では味方の肉や臓物が落ちていたりする事があるから足元に気をつけないところんじゃう

こっちでは怪我をすぐに治せないんだもんなぁ

なぜか色々と興味深くて見てしまう

こっちではステンレス？だっけ錆びない鉄で医療行為をするっぽい

血がついたままの壁なんてどこにもないし、向こうなら血で目立つから使わない白っぽさが目につく

エレベーターに乗って入院患者のいる階についた

「こっちよ、静かにね」

「はい」

床がコツコツと音がしてだれもいないのがよく分かる

こういう場所って謎に緊張感があると思う、コンコンとドアをノックしておばさんが先に入った

「寝てるわ、入って、でも驚かないようにね」

入ってみると個室だった

伯父さんは父さんのお兄さんで父さんとはすごく年が離れてる、おじいちゃんとお父さんの間が「伯父さん」って存在がいるんだと勘違いしてたっけ

昔からとにかく元気で活動的で海に行っては船を運転し、山に行っては小屋を建て、畑に行っては野菜を作ってた

四角い眼鏡で、力強くて、頼もしい、明るい康介伯父さん

ピッピッと機械の音がする

伯父さんはやはり伯父さんとわかったものすごい痩せて白髪になっていた

鼻になにかささってる

すぐ横に行って揺すってみる

「伯父さん起きて」

「・・んっ？ようすけ・・・お迎えか？」

すぐに起きた

聴こえてくる声はかすれてくるがやっぱり伯父さんだ

目をパチパチさせてる

「おはよう伯父さん久しぶり」

「迎えが洋介ってのは、悪くない」

「伯父さん大丈夫？病気良くないの？」

「だから洋介が来たんだろ？久々にいい気分だ」

ほっぺを引っ張った

「いたたっ！？何だおま、洋介！！！！？？？生きてた！！生きてたのか！！！ははっ！！」

「伯父さんこそ痛いよ」

ギューっと抱きしめられ、一度離され頭を覗き込まれて、またぎゅーっとされた