第16話
16話
やっぱり・・・ダメだ。
俺はいま三月さんに教えてもらったムーブを練習しているのだが・・・形はある程度ではあるが出来ていると思う。三月さんからも「上手くなってる」との評価を貰った。
だけど、・・・のっぺりしている。
キレが無いとか、そう言う事ではない。見ていて盛り上がらないとかそう言う訳では無い。
ただ、一枚の絵を見ている。そんな感じのダンス。
俺は自分の動画を見てそんな感じに思えた。
「そう言えば聞いていなかったけど、春樹君は8月のOO日は空いてる?」
「開いていますが、何かあるんですか?」
俺が休んでいると、見計らったように剣さんが話をかけてきた。
「その日が今体育館で練習している部員達の本番なんだよね。折角だし見に来ないかなって。」
本番とは大会と言う事なのだろう。夏に大会があるとは聞いていたが、結構直ぐなんだな。
俺がこのダンス部に入ってから、まだ2週間も経っていないくらいなので、大会に関してはあまり気にしていなかった。
俺が出るわけでもないから、みんな頑張って練習をしているなと思うくらいで。
「行きたいです。」
だけど、興味が無いかと言われれば否である。
あんなに大人数でのダンスを生で見ることが出来るのであれば、ぜひ行きたい。
出来るだけ多くのダンスに触れたい俺からしたら、ありがたい物である。
「そんじゃあ、春樹君の事はダンス部のマネージャーとして入れておくから。よろしくね。」
「え、普通の一般枠は無いんですか?」
「ほら、一応うちの学校のダンス部一同としての枠はあるんだけど・・・春樹君がダンス部に入ったのって夏休みに入った頃じゃん。そのころには枠が埋まっててね。でも、マネージャーとしてなら舞台裏からだけど、見れるから。」
そういう事か。それなら最初に言ってくれればいいのに。
俺は普通に見たかった気持ちもあったが、ダンス部に入ってきてまだ部員の力になれることができていないので、今回マネージャーとして支援できるのであれば全力でしていきたい。
「マネージャーって何をすればいいんですか?」
「ん~・・・気配り?必要な事は顧問とかがやってくれるから、、、、まあ、その時になれば指示されるよ。」
・・・マネージャーとしては居るけど、やる事は無いのかな。
まあ、俺を大会に連れて行くために無理やり入れているのだから、こういう風な事になってしまうのはしょうがないのだろうけど。
「じゃあ、練習してていいよ。後は僕が何とかしておくから。」
「ありがとうございます。」
・・・・・剣さん。ダンスの練習をしているところは見た事無いけど・・・大会前だからなのかな?いつも忙しそう。
じゃあ、練習を再開するか。
さっきまで三月さんに教わっていたヒップホップの練習をしていたが、おじさんから貰っている練習に移ろうかな。・・・最近おじさんから貰っている練習メニューはもっぱらカッコいいムーブになってきている。
例えばこの曲だとここでロックを入れるとカッコいいだとか。このリズムだとこのムーブを入れると気持ちいいとか。
俺自身、そう言う感性が全くないので一つ一つ教えてくれるのは助かっている。・・・それに、そのムーブを見ていると何となく三月さんから教えてもらっているムーブを自分なりに変えられるようになってきたのだ。
あ!俺こんな風なムーブが好きだなとか。このステップ汎用性高いなとか。そう言うのも見つけることが出来るようになってきている。
だから、おじさんの練習は結構ためになっているのだ。・・いつか即興も出来そうだし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ご覧にいただきありがとうございました。
面白かったらぜひ感想や評価をお願いします!!!モチベに繋がります!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます