第4話
4話
と言うことでその翌日。
・・色々調べましたよ。ダンスの事には何も知らない俺が、たった一晩で全ての事を調べる事は出来なかったけど、ストリートダンスがどういう物かはある程度調べられた。
まず、ストリートダンスはバレエとか社交ダンスとかの大きなジャンルの一つなんだな。てっきり、ストリートダンスっていうダンスが有るのかと思ってた。・・・ていうか、ついでに調べたバレエとかもクラシックバレエとかロマンティックバレエとか色々種類があるんだな。
そんな感じで、ストリートダンスにもいろんな種類のダンスが有るみたいなんだ。メジャーなのはブレイクダンスみたい。ただ、ブレイクダンスも3種類?くらいに分かれているみたいで。
ただ、テレビとかでよく見る足をぶんぶんさせているダンスはブレイキンのパワームーブっていうらしい。
他にもダンスの種類として、ヒップホップとかハウスとポッピンとかがあったけど・・・そこまでは調べられなかった。一日で調べられる量じゃない事だけは分かった。
でも、触りは分かったので今回は大丈夫なはずだ。
・・・ラインで連絡を入れたから、そろそろ来るはずなんだけど・。
「春樹さんお待たせ。」
「お待たせしました。」
そうしていると、待ち合わせをしていた二人、昨日助けた清美さんと、もう一人の朝日さんが時間丁度に来た。
・・・今見ても、ちゃんとしている人みたいだから、そんなに心配をしなくても良いんじゃないのかな?ナンパもちゃんと追い返せそうだし。
「俺も今着たところだよ。じゃあ、行こうか。」
待ち合わせたのは昨日出会った喫茶店の直ぐ近くのハチ公前。分かりやすい所で最初に思い浮かんだのがここだったのでここになった。それにここから行くのが近いからとの事。そこら辺は案内をしてくれるみたいだから、ついて行く感じ。
「昨日はごめんなさい。助けてもらったのに怒鳴りつけるような形になってしまって。」
「ああ、いいですよ。家の事情で大変みたいで。それに、がんばりたい事は応援したいですから。」
チョー単純に言えば、俺はがんばる人を応援したい。・・・塾みたいだな。まあ、危ない事とか、そう言う事は除くけどやっぱり色々経験する事は大切だと思うし、それに、変な理由でその挑戦を諦めるのは嫌だろうしね。
「ありがとうございます。」
「いえいえ、・・・・そう言えばストリートダンス?をやっているんだよね。」
昨日調べたけど、全然調べきれなかったから出来れべある程度教えてほしい。・・・それにこの後、ダンスを見るんだろうから何も分かっていないと場違いだろうし。
「そうですよ。私たちチームで活動しているんです!」
「へ~じゃあ二人はチームメイトなんだ。・・・何か活動はしてるの?」
「えっと~・・・今はまだ。。。。」
「清美のお父さんにダメって言われているから。・・・本当はSNSに投稿してみたい。」
あ~確かに、あの感じだとSNS関係は全部禁止にしそうだよな~。俺も親から高校生になるまではTwitterに何も投稿するなって言われてたし。
でも、中学生だと間違って個人情報とか・・・もしかしたら大事に巻き込まれるかも知れないから、やらせたくないよな。
何か変な勧誘が来たとしても、疑いなく見ちゃいそうだし。女の子だとそう言うのは過激だろうから。
「まあ、それに関しては何も言えないな~。それだったら、まだチームとしての活動は何も?」
「そう。・・・早く高校生になりたい。」
「あと何年で高校生になれるの?」
やっぱりと言うべきか、何も聞いていなかったけど中学生みたいだ。・・・いや、結構大人びてるから、もしかしたら高校生なのかもしてないと思ったけど。
「来年!ダンス部がある高校に入る!」
「出来れば制服が可愛い所に!」
その女の子らしい感想に俺は思わず気絶しそうになってしまった。・・俺が高校を選んだ理由が、家から近いからと言うだらしないことだから。
俺にも趣味が合ったらこういう風に学校を選んでいたのかな?
「そっか~。」
とそんなこんなで昨日の場所に到着した。重いドアを開けてそこに入ると、なぜか爆音で音楽が響いていた。・・・やる気ありすぎじゃない?
いや、今後の事を決めるんだから、気合が入っているのは良い事だけど・・・それにしても。
「戻ったよ~!!!仁美さん!」
「戻ってきたね。おじさんはもう準備しているから体ほぐしときな。」
「は~い。」
☆
「それじゃあ、春樹さんはここにいて。そろそろ、始まるから。」
そう言い案内された場所はステージの目の前であった。なんでも、今日はステージの上で踊るらしく、結構気合を入れているみたいだ。でもそのダンスを見る時の仕様は分からないから全部言われた通りにしたがう。・・・それにしても。。。。なんで観客がいるの?
その場には沢山の大人がいた。
てっきり、昨日の俺とおじさんと仁美さんと二人だと思っていた。だけど、ここには結構大勢のダンスをやっていそうな大人たちがいる。・・・なにも聞いていないから分からないけど、それくらい気合を入れているんだろうな。
身内内で納めるんじゃなくて、ちゃんと周りを巻き込んで大事にする。・・・誰が呼んだか分からないけど、・・・もしおじさんが呼んだのだとしたら、部活以外ではダンスをやってはいけない事を広めて、今後やっている所を見かけたら密告をする為だろうし。
もし、あの清美さんと朝日さんの二人が呼んだとしたら、許可をされる前提でうやむやにされないようにする為だろうな。・・・と、考えながら時間を潰していると、どこからか声をかけられた。
「兄ちゃんが今回の火付け役かい!」
それはおじさんが昨日言っていたダンサーらしい服装をそのまんまコピーしたような服装をした、30?くらいの男性であった。
・・・この人酒飲んでないか?
結構陽気に話しかけられたと思ったら、顔が真っ赤になるほど酒を飲んでいるようであった。息が酒くせぇ
「あ~昨日たまたま。」
「すげぇじゃねぇか!この親子の愚痴り合いは見飽きてたしな!」
結構長い期間言い合いになっていたんだ。・・・ちょ、酒臭いから離れたいんだけど。・・・この息だけで酔いそうになる。
「おじさんはダンス歴は長いんですか?」
「ああ!長いぞ!生まれてこの方ずっと踊ってきたからな!そのおかげで足の形が変わってよぉ。・・・ほら。」
そう言い、靴を脱ぎだしたと思うと、見せられた足はコブが沢山あり俺の平べったい足とは見るまでもなく違った。・・きったねぇと思ったけど、ここまで俺とは違う物を見せられたら気になってしまう。
俺は生まれてこの方、学校の体育以外でスポーツをやった事無いからここまでボコボコとした、変化を見たことが無かったが・・・なんか憧れるよな。こういう努力の証と言うか結晶と言うか。
「凄いですね。・・・私はスポーツをやってこなかったので、、、なんか憧れます。」
「おいおい!憧れるなら、足じゃなくて、俺のダンスを見てからにしろよ。足なんて自慢してもかけらも嬉しくねぇからよ!」
それなら、自慢するなよ!いや、酔っているから真面に脳みそが回っていないんだろうけど・・・。
「・・・そうだ!仁美!まだ時間はあるよな。」
「何するの?」
「少し踊らせろ!この坊主が見てぇって煩いからよ!」
・・・・もう何も言わないよ。・・・いや、何も言ってないんだけど、なんでダンスを見せろとせがんだ事になってんだよ。・・・それが分かっているのか、仁美さんは頭をかかえている。大変なんだな~。
まあでも、本番の前に一度実際のダンスを見てみたいよな。予習はしてきたけど、実際に目の前で本物を見たわけじゃないから、気になる・・・でも、酒飲んでいるよね?
「はぁ、いいよ。・・・あと10分後には始まるからそれまでだよ。」
「ありがとさん!!ほら坊主!見せてやるよ!」
「大丈夫ですか?顔真っ赤ですけど。」
「だ~じょぶ。今くらいがいいんだよ。」
・・・まあ、本人が大丈夫と言うなら・・・怪我はしないでほしいな。
そう言いおじさんはそのぽっかり空いているステージに出ていき、すぐそこに居る知り合い?に曲を付けさせたみたいだ。・・・ここに内臓されているスピーカーで大音量で。
え!ちょっと!おれそこまで本気でやるとは思ってなかったよ!軽く見せてくれると思っていただけなんだけど!
だが、始まってしまったのは仕方がない。俺はその事は諦めるkとにした。・・・仁美さんが許可をしてくれているから。・・・ダンスの事だけ見れば・・・周りは気にならないだろ。
そう思い、おじさんの事をじっと見ると、なぜか酔いが覚めていることに気が付いた。さっき、ステージに歩いて行った時・・その時は足元がきわどくて心配になっていたが。
なぜか今は、曲が着いた瞬間スイッチが入ったように、さっきのだらしない顔や、おぼつか無い足元は無くなっていた。
そこにあるのは、ダンスに真剣に向き合っているおじさんだけであった。さっきまで酒を飲んでいたようには感じられない。
「見てろ坊主。一瞬で虜にしてやる。」
・・・普段そこまで聞かない洋楽。いつも聞いているボカロとは違い、先入観が無い新鮮な気持ちだ。ただ、その曲に関してはテンポが速い。それ以外分からない。
ダンスと同じように洋楽も俺の範囲外である。もしかしたら、ダンスの良さが分からないかも・・・と心配になって来る。
だが、そんな不安は不要で合った。
踊り始めた瞬間、空気が変わったんだ。
音に乗せて、テンポよく出される技の一つ一つ。そのつなぎ目が認識できない程滑らかで、でも時に止まったりして。・・・俺はそのダンスに魅了されていた。
ただ魅了されていたわけではない。楽しい!という感情が溢れてくるような。その一つ一つの動きに特徴があって、見ていて面白いというか・・・
ただ、俺が知っているストリートダンスの中にこのようなダンスをしてるものは無かった。・・・知っていると言っても、本当に一夜づけ程度の知識しかないから知らないのも当然なのかもしれないけど。
「これが俺が愛してやまないロックだ!」
「ひゅ〜!ここで
「やっぱすげ!見惚れちまったぜ。」
ダンサーたちにとってもこのダンスは凄かったみたいだ。・・・スゲェな。
そのダンスを見た時俺の中では一つの熱が生まれてきた。その熱はなんなのかは、今は分からない。でも、直ぐに分かるだろう。
一生消えない燃料が投下されたのだから。
「ロックダンス・・・凄いです。」
「だろ!坊主もダンスをやるならロックをお勧めするぜ!」
・・・アリだな。いや、今まで運動なんかに興味は一切なかったけど、ここまで魅了されてしまったら・・・気になってしまう。俺も人を魅了するダンスがしたいと。・・・あのおじさんの様に憧れる存在になってみたいと。
「興味はあります。」
「そうか!それなら・・・どこに合ったっけな?。。。これだ!ここに連絡をくれたら教えてやるよ!坊主は鍛えがいありそうだしな!」
渡されたそれはダンスクラブの電話番号がかかれている名刺であった。なぜか服のポケットに無作法にしまっており、ボロボロになっている。・・・社会人って名刺を大事にするんじゃないの?
でも・・・やろうと思えばダンスが出来る。そんな状況に俺は今漬かっている。行動をすれば、ダンスを教えてもらえる。・・・もし、誰にも教えてもらえない状態であったら、潔く諦めていたかもしれない。
でも、俺の手にはチャンスがある。
その名刺をじっと見つめ、ダンスの事を考えていると、おじさんが気付かせるように声をかけてくれた。
「お!そろそろ始まるみたいだぞ。」
・・・おじさんはまた酒を飲んでいるみたいだ。ダンスす始める前と同じくらい顔が赤いんだけど・・。酒臭い。
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