第3話
3話
その時の俺の心情は酷い物であっただろう。
急に良いか悪いかを聞かれたのはまだよかった。だけど、その内容が割と重い事で俺にはどうする事も出来ない。けどこの場を納める方法は無いかと結構考えたのに!
その考えは一瞬で壊された。親がやっているなら、子もやるよ。
ていうか、現在進行形でやっているならやらせろよ。・・・お前がいる業界ならその事を子供にも教えたらいいだろ。
もしくは、子守りの様に引っ付いとけやボケ!!
・・・ただ、子の心情を外に出すには、目の前のダンサー親子が怖いので出来るだけ穏便に。
「良いんじゃないですか?学校でも、教育として取り入れられていますから。それにうちの学校では、部活として成り立っていますよ。
一つのスポーツジャンルとして、今後も世間に浸透していきますから。」
ふぅ。どうだ、俺の知識を集結したこの言いくるめかたは。もしこれでなにか反論されたら、もうお前らが自分でどうにかしろとしか言えない。
「でもな!」
「・・・そこまで何か言いたい事が有るなら、感情じゃなくて色々調べたうえで何か言ってくれませんか?
ほら、最近だとバックダンサーとかの仕事も有るらしいですし。軌道に乗れればダンスでも食っていけるんじゃないですか?」
最低限俺を納得させることが出来る様なことを言ってくれ、切実にお願いしたい。だって、俺程度の何も調べていない知識で分かるくらいの感情論だし。たぶん俺が親にこういう風にダンスをやめろって言われたら、知識で圧殺したくなる。
「あ!折角ですし、子供のダンスを見てみてはどうですか?練習をしていたんですよね
その努力を見ないで否定するのも苦ではないでしょうか。」
「・・・」
はい、スッキリした。
言いたい事は全部言って満足した顔で親の顔を見ると、それは鬼の面の様な状態であった。その瞬間俺は思ったであろう・・・・終わったと。
今すぐ逃げ出したい。でも、足がすくんで一歩も動かない。
「分かった、俺が間違えていたかもしれない。」
あれ?意外と大丈夫な感じなのかな。
「確かに最近は学校で導入されている事は知っていた。・・・もしかしたら、学校であれば危ない事は無いのかも知れないと。」
お!よく考えなおしてくれた。確かに、世間的なダンスの評価が低い事は分かるが、学校であればタトゥーとかの危ない事は手出しできないし。それに、子供を守ってくれる大人たちが要るから安全だもんな。
「だから、学校の部活動であれば許可をしよう。」
・・・あ。そう来たか。
もしかしたら、この流れでダンスをする事は良いぞ!っていうのかと思っていたが・・・学校の部活だけしかダメなんだ。
まあ、ダンスは出来るからそれはそれでいいのかな?
「だめ!!」
ダメみたいです。
「学校のダンスは大勢で踊るって、ムーブも先に決まってて揃えなきゃいけないからストリートじゃない!私がやりたいのはストリートダンスなの!」
「ダメだ。あんな男が大勢いるところに行くのは危ない。」
あ〜確かに、今まで練習していたのはストリートダンス?らしいから執着と言うか、その分野をやりたいって気持ちはあるよね。・・・でも、これ以上は何とかできないんじゃ無いかな。
・・・えっと、俺の事をそんなに見てもどうにも出来ないんじゃないんですか?
「・・・まあ、さっきも言ったんですがそのストリートダンス?を見てみるのもいいんじゃないんですか?折角練習したのに一言でダメと言われるのは納得いかないでしょうし。」
どうだ!俺のなけなしの言葉であるぞ!
「・・・分かった。それなら一度だけ見てやろう。」
ふぅ。何とかこの場が収まる方向に持っていけて良かった。やっと帰ることが出来る。・・・もしかしたら、この話し合いに付き合わされて夜までここに居るんじゃないかと思っていたよ。
「仁美!いまつけられるか!」
「ダメです。清美は気絶していたことを忘れているんですか?」
ここには常識人がいたみたいだ。
今から踊ろうとしていた所を見た瞬間,狂気だと思ったけど俺の感性はおかしくなかったみたいだ。そうだよな、気絶したその数十分後に動くのはやめた方が良いよな。
この人が馬鹿なだけだ。
「それじゃあ、俺は帰らせていただきます。」
「おう。それじゃあ、また明日な。」
また明日。・・・え?
「俺も見るんですか?」
「見ないのか?言い出したのはお前だから、てっきり。」
え~確かに明日は予定が無いから、来ようと思えば来れるけど・・・着たくないな~めんどくさいし。
それにこんな暑い中、連日外に出るのは体に悪いと思うんだけど。
「出来れば見に来てほしいんですが。。」
そう言ってきたのは、美人さんの清美さんであった。・・・
「はい。見させていただきます。時間も教えてもらえますか?」
これを断る事は出来ないよ。・・・ダンスやっている人の服装って、俺の好みとドンピシャなのか、なんか・・いいんだよな。
☆
というわけで、あの嵐の中をきり向けて無事帰ってきました。ちゃんと、妹におねだりをされた高級アイスを忘れずに買って返ってきましたよ。
「お帰り~。アイス頂戴!」
さっそく来ましたね。
その妹は、妹と言うブランドを余すことなく発揮して、俺が帰ってきた音をきき、2階から降りて来ました。その様子を、高嶺の花と表現する人もいると聞いたことが有るが俺はそこまで妹にキラキラした感情がある訳ではない。
だって、妹だもの。見飽きるほど一緒に居るんだから。
「バニラとチョコどっちがいい?」
「抹茶は?」
今の妹のおねだりは今出した選択肢の中にはない抹茶と言う第三の択が出てきまいた。・・・でもこれはある意味正しい選択だったと言えるだろう。
なぜなら、
「しょうがない。今回は謝罪の意味も込めていますから、今回は譲ってあげよう。」
俺が自分で買うように抹茶を買ったからである。
きのう買ったアイスは抹茶味でその屈辱を果たしたかった。・・そのために抹茶を買ったのだが。
半日開いたからか、俺の口は抹茶から遠ざかったらしい。今はバニラの気分だ。
そんなアイスの気分を裏切らないように、出来るだけ気品のある美味しい食べ方をしよう。・・・結構前に、見た食べ方なのだが、使うスポーンは温めておいた方がいいと。アイス自体が硬くて、スポーンが上手く通らないと言う事が無くなり。
丁度いい硬さになる。一回やってみたかったのだ。スプーンはお湯で温めるとして、その間に飲み物でも用意するかな。
「何飲みたい?」
「ん~抹茶ラテ。冷たい奴で」
妹は随分手間がかかる物を御所望しておる。出来れば注いだら終わりの簡単に飲めるものを行ってほしかった。・・・でも、折角の高級アイスなのだ。このくらいの手間は書けてもいいだろう。
と、いっても抹茶に関しては粉をお湯で溶かしたら出来る。だから、後は覚まして牛乳と砂糖をドバドバ入れれば完成。だ。
疑似的なラテではあるが、家ではこの程度しかできない。と言うか、この程度しかやらない。・・・こういう飲み物って、結構砂糖入れるんだよな〜。俺は飲めないな。甘すぎて。
「はいどうぞ。抹茶に抹茶アイスを合わせたい妹さん。」
なんで、抹茶アイスで抹茶を食べているのに、抹茶を飲むかな?口の中が渋滞しない?
「む~いいでしょ好きなんだから。」
「いいけど。」
じゃ、俺も本日2敗目の珈琲を抽出出来たので、いただきますかね。・・・ふぅ。やっぱり自分で作る珈琲は紙パックとかのとはちがうな~。
落ち着く。
「そう言えばお兄ちゃん帰るの遅かったけど、何かやってたの?」
「あ~。ちょっと渋谷まであそびに行ってた。・・・そう言えばダンスの事について何か知ってないか?」
「ダンス?バレエはやってたから分かるけど、それ以外は知らない。なんで?」
「いや、今日ストリートダンス?をやっている人に合ったから、」
結構前の事だが、妹はバレエをやっていたんだ。・・バレエってボールの方じゃないからね。
だから、ダンス関連で他の、ストリートダンスの事も知っているかも知れないから聞いてみたが、知らなかったみたいだ。
「え?どこであったの。」
何て言おう。・・・もし街中でやっていたとかなら言いやすいのだが・・・助けた女の子がストリートダンスをやっていた。何て言っても、なぁ。
「・・・たまたま出会った女の子がストリートダンスをやっていたみたいで・・・。」
「ナンパしたの?」
「いや、助けた、、、と言うか、」
「へ~その流れで?」
「そんな感じ。・・・それで明日その子のダンスを見に行かなきゃいけないんだよね。」
あ~全部言っちゃった。ある程度ぼかしながら、ダンスの小鬼ついて聞こうと思ってたのに。聞けたのは「分からない」だけ。俺が言った情報に釣り合わねぇ。
それに、女の事明日会う約束をしたとか・・・言うんじゃなかった。もう後悔している。
「へ~だから、ダンスについて知りたかったんだ。・・・私知らないから自分で調べてね。」
「はぁ。」
本当に何の情報も出てこなかったんだけど。
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