安アパートの一室、とある兄弟喧嘩を描いた、夏のひと幕のお話。
シリアスもシリアス、とても真面目な手触りの現代ものドラマです。
良きにつけ悪しきにつけ、血縁というのはそう簡単には切れないもの。
兄弟という関係だからこその距離感というか、膿んで停滞したような間柄がジクジク胸に染みます。
印象としてはどうしても兄の非道ぶりが目立つものの、しかしその彼の横暴に対しての反応が〝こう〟(=作品本文から読み取れる内心の語り)なってしまう、弟(主人公)の方もまたいろいろ根の深いものを抱えていそうで好きです。
重苦しくも胸に響く640文字でした。