絶望の果て 其の七十九

 まあ……そんなようなわけで。


 トラックに轢かれて異世界に転生した俺、玄野達樹は、剣と魔法の世界ルシフェニアで魔王討伐のパーティーを率いる勇者となり、世界を救った英雄となって、その後、褒美として望むがままの財宝やら居城やらを与えられ、また当然の帰結として女にはまったく不自由しなくなり、ハーレムの主として君臨することになった。


 それから。


 六十年の歳月が過ぎた。俺は寿命を迎え、子供たちや孫たちに囲まれて、安らかな最期を遂げた。……遂げたと思った。


 気が付いたら、また別の異世界だった。実は今までのことは全て地球にいた自分が見ていた一睡の夢でしかなかったとか、あるいは転生は本当にしていたにしても最終的に地球に戻らされたりしたのかと思ったが、そういうことではなかった。


 俺は今度は剣と魔法の世界アリテリアで邪神討伐のパーティを率いるデーモンスレイヤーとなり、また世界を救って、中略、ハーレムの主となって、たくさんの子孫に囲まれて、また寿命を迎えた。


 ……まだ終わらなかった。その次の世界は、もう名前なんかどうでもいい、破壊神なんちゃらを倒して、俺はハーレムの主となった。


 この頃になるといい加減、女を抱くのも男を抱くのもヤギにすらも飽き飽きしている。俺の心中には一つの疑念が渦巻いていた。


 ……俺は、どうすると死ぬことができるんだ?

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