絶対NTRブレイカー畑山
理系メガネザル
第1話 NTRブレイカー☆爆誕☆
俺の名前は畑山アキラ、どこにでも居る普通の17歳の高校二年生さ。
これまでの人生はとても平凡で特筆すべきものは無かった。強いて言えば5年前、つまり俺が小学生の頃に偶々買った宝くじで1万円が当たったことがあるという位だな。 そんなTHE・普通の高校生の俺であるのだが、最近そんな俺にも不思議の事が起こった。今回はそのことについて語っていこう。
それは日課である〇o〇o〇〇るダークネスの赤髪ヒロインの画像を電子の海から拾いあげている時の事だった。突如パソコンの画面がグニャリと歪みまるで某忍者漫画にでてくる神威の様に引きづりこまれ、気が付くと俺は真っ暗で何もない空間にパジャマのまま突っ立っていた。 いや正確にいうと完全な真っ暗では無かった。床なのか地面なのかは定かではないが、そこには大量のモニターが置いてあり古今東西様々な作品が垂れ流されていた。また果てしなく続く空間と思っていたがそんなことは無く壁?と思われるものにもたくさんのモニターが付けられており、足元のモニター達同様にいろんなジャンルの作品が流されていた。
ようやく目がこの空間に慣れてくると、俺はある一つの事に気が付いた。一見無作為に置かれている様に見えるモニター達だが絶対に置かれていないところがあり、それは見てみると道の様になっていた。 その道の先をなんとなく眺めていると、
…足が見えた。 毛むくじゃらだった。恐る恐る視線を上にあげていくと、それは俺の目に飛び込んできた。 二つの目玉がこちらを覗いていた。
人だった。 年齢は40頃だろうか。 太った男がこちらをずっと見つめていた。
「気分はどうだい?」
男は前触れもなく話しかけてきた。少々驚いたがここに来てからずっと一人で心細かったのもあり、俺は男と話始めた。
「気分は普通ですね…、 ちょっと汗くさいけど気になるほどでもないし。」
「それは良かった。 健康は大事だからね。」
おじさんは俺の答えに少し笑顔を見せた。 会話は続く。
「それよりもここがどこか気になりますね…。 おじさん?は何か知っているんですか?」
「もちろんだとも。 なんせアキラ君をここに連れてきたのは僕だからね。」
「え? なんでそんなことを?」
当然の疑問に対しておじさんは少し真剣な顔になるとこう答えてきた。
「それはね、 君にある組織と戦ってもらいたいからなんだよ。」
「ある組織? なんですかそれ。 てか僕力とか全然強くないですよ。そんなんじゃ戦えないでしょ?」
「組織の名前はNational Turelove Ravages。 通称NTRとよばれる組織だ。」
「NTR? NTRってあのエロ漫画とかに出てくるようなあれですか?」
俺が呆れているのにも構わずおじさんは尚も語りだす。
「あぁ、そのような団体だと思ってもらっても構わないよ。しかし奴らは
君が思っているよりも恐ろしい存在だ。現に奴らのせいで死人も毎年出ている。」
「死人?なら警察とかが動いてくれるんじゃ…。」
「いや、彼らは狡猾に動いているからね。警察も対処できないんだよ。」
「具体的にどんな事をするんですか?」
俺は気になった。 そんな危険人物たちがどんな方法で人を殺すのか、また怖くもあった。聞けば聞くほど俺はもうこのことについて無関係でいられなくなるんじゃないかと。
「いいかい? 奴らはね、恋人のいる人間に近づき関係を持つ。そしてその相手の脳に莫大なダメージを与えるんだ。 また時には根も葉もない噂を流してその相手を孤立させる。」
エロ漫画だった。 なんでこんなことを俺は真剣に聞いてしまったのか、悲しくなってきた。
「それは只の不倫とか浮気なのでは…?」
俺が堪らず返すとおじさんは頭を横に振った。
「いいや、そういうのとは別物なんだよ。 そもそもNTRは組織と言ったが実は一人しかいないんだよ。」
「ひとりしかいないんだったら組織じゃないんじゃ。」
「いや、一人だが奴らは組織なんだよ。」
「どういうことです?」
「奴はウイルスを使って一般人を仲間にしていくんだよ。」
「そんなめちゃくちゃな…。」
そんなインフルエンザみたいな感じに言われても現実の事に思えなかった。
「通称yrtn-ウイルスに感染してしまうと。まず人は幼虫体であるヤリチーンへと変化する。そして時がたつとNTRになるんだよ。」
「ウイルスが相手ならどうしようもなくないですか?」
「いや、ここに唯一対抗できるものがある。」
おじさんはポッケから何か試験管の様なものを取り出した。
「これがNTRに対抗出来る唯一のもの、純愛薬だ。これを飲んだものはNTRと戦うための力を得る事が出来る。」
「それを感染者に飲ませるんじゃだめなんですか?」
「あぁ、これは適合者以外の者が飲んでも只の苦い粉になってしまうんだよ。」
「適合者?」
「そうさ、NTRの野望を壊すことの出来る者。つまり君の事さ!」
急に自分に話の焦点が戻ってきてびっくりした。 おれが? NTRと? 戦う?そういえばもとはそんな話であったか。しかし俺にそれを二つ返事で応える度量は持ち合わせていなかった。
「無理無理! 無理ですよ! 出来っこないですって!」
「いや、出来る!この部屋に入ってこられた君ならば。」
「入ってこられたからって何だっていうんですか!」
「そもそもこの部屋は招かれざる者は入ることが出来ない。 なのに君はどうだい?
入るどころか引き込まれてきたじゃないか? こんなことは僕以来なかった。」
確かに俺は勝手にこの部屋に引き込まれた。しかしそれがなんだというのだろうか。
「この部屋はかつてNTRとの戦いで命を落としていった者たちの魂で構成されている。 だからここにはその時代で一番の適合者と、その一つ前の前適合者しかいれないんだ。」
「前適合者…?」
俺は目の前の漫画だと逆にNTRしてそうな体型の人間を見つめる。
「あぁ、俺は君の前の適合者だ。」
「なんで前何ですか。まさか…。」
恐ろしい予感が脳を巡る。 まさか、そんな、ばかな。
「そう、既に死んでるんだ。あ、でもちゃんと寿命だからね。そこは安心してね。」
なにをどう安心すればいいのか分からないが、少し安心した。
「それで、あれなんですか? 次が見つかるまではここにずっと縛られてる感じなんですか?」
「いや、そんなことは無いよ。ここにいるのはおれの意志さ。戦いをちゃんと見届けたくてね。」
「じゃあもし俺が断ったらどうするんですか?」
俺が尋ねるとおじさんはさらっと答えた。
「いつまでも待つさ。 君がなってくれるのをね。」
「なんでそこまで俺にこだわるんです? こんな高校生のガキに?」
「それは、歴代の中でも君がトップクラスに才能を秘めているからさ。 おれには分かる。君の代でこの長い歴史にやっとピリオドが打たれるのが!」
煽てられて少し気分が良くなった俺はもうすこし話を聞くことにした。
「…それで? どんなところに魅力を感じるんです?」
一応聞いてみた。
「まず第一にNTRへの嫌悪感だな! 同人誌を見ただけで1週間寝込むのは才能しか感じない!」
悲しかった。 もっと別の事が褒められると思ったのにまさかそんなところとは思いもしなかった。
「もういいから! それで俺はこれからどうすればいいの?」
「やってくれるのかい?」
そんな言葉に俺は渋々ながらも頷いた。 正直そんなにやりたい訳では無いがやると言うまで監禁されそうだし、全く興味が無いかと聞かれたらそう言い切れないのでやってみることにした。
「よかった。ではこの純愛薬をの飲んでくれ。」
そういって差し出された薬を、一緒に差し出された水と一緒に飲み干す。
すると急に眩暈がしてきて意識がまた飛んだ。
最後に聞いた声は
「やることはすぐにわかるさ…。」
という声だった。
そして気が付くと俺は自分のパソコンの前に座っていた。 今のはやはり夢だったのか、そう思いトイレに行くべく席を立つと一枚の紙きれが落ちているのに気が付くと俺はそれを拾い上げた。 するとそれにはこう書かれていた
『NTRブレイカースタートガイド』と
先ほどの事はどうやら夢ではなかったらしい。
こうして俺はNTRブレイカーとしての一歩目を歩き出したのであった。
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