第12話 レスパー商会
まずオレたちはレスパーに会うためレスパー商会に向かう。
「レスパー商会と言えば、このパレントン国の商業ギルドを仕切る。
その依頼となればすごい報酬が期待できるわ!」
「オレでさえ聞いてるすげえお金持ちだろ!」
「うむ、そのお金持ちがなぜ我々に依頼など......
気にはなる......」
ベルがあごに手をやり、そういった。
「そりゃ、オレたちの名声を聞きつけてに決まってるだろ」
「それほどの実力者ならば、いくらでも人は集められようがな」
「バカね、そんな人材は依頼もバカ高いの。
私たちは新人ルーキーなの、だから安く仕事を受けさせられると思ってんのよ。
まあそんな簡単に騙されるわたしじゃないけどね。
わたしの交渉術でうまいこと吹っ掛けてやるわ!」
「さすがメルアのアネゴかっけえっス」
「あはは、任せておきなさーい」
「貴族の方はよいのか」
「最初はお金!」
オレとメルアの声が重なる。
「おいおいここかよ......」
「すごいわね......」
「かつての我が居城ぐらいあるな」
それは小さな村ぐらいの大きさの大邸宅だった。
オレたちが訪ねると、巨大な門があけられ室内に招かれる。
邸宅の中は巨大なシャンデリアや絵画、彫像、陶器、高級な家具が置かれ、いかにもな感じだった。
「ザ・お金持ちだな。
ケッ!」
「気に入らぬか」
「オレはイケメンと金持ちと金持ちとイケメンが嫌いなんだよ」
「嫉妬は見苦しいわよ」
「お待ちしておりました。
わたしがレスパー商会の会長レスパーです」
大きな客室に来た意外にも紳士のようで、細い目をし顔の整った細身の青年がでてきた。
「イケメンじゃない」
「あかん! こいつはあかん!」
「なんでよ」
「イケメン糸目のやつは悪いやつと相場が決まっておるのだ」
「我とてそうだろう」
「違う! お前はぶたまんだからセーフ」
「あのよろしいですか」
オレたちがヒソヒソ話しているとレスパーは話しかけてきた。
「レスパーさん。
オレたちに依頼があるとか......」
「ええ、あなた方があの悪名高いイビルスネークを倒したと噂を聞きましてね」
そういうと机のお茶を飲みゆっくり皿の上に置いた。
「実は......
ラーサクト街道に何者かが現れ商会の者が襲われるのです。
そこで、その者たちを退治していただきたいのです。
恐らく森に......」
「ちょっーと待った!」
メルアが話を遮った。
「はい、なんでしょうお美しい妖精さん」
「お美しいなんて......
そんな当然だけど。
いや、残念ですけど私たちは忙しいんですの。
貴族ユニアーノさまからも依頼があるんで、額が少ないならお受け......」
「1000万ゴールドでどうでしょうか」
「そう、その程度じゃ......
1000万ーーー!
はい受けさせていただきます!
このゴミ虫めらが命を捨てても盗賊を退治して見せます!」
そういってメルアがいった。
オレたちは床をなめんばかりに腰を折りヘコヘコしながらレスパー邸をあとにした。
「おお!!
1000万か! すごいな!
この世界じゃ遊んで暮らせる額だ!」
「あんたたち死ぬ気で働きなさいよ!
いや依頼達成で死になさいよ!
分け前増えるから!」
「ふむう、それほどの額を出せるならば、やはりベテランを使うと思うのだがな......
何かあるのかもしれん」
「まあ、この際それはいいじゃん。
オレも強くなってるし、なんとかなるだろ」
「そうよ!
あたしの魔法なら大丈夫よ!」
「まあ、お主たちがよいならばよいか......」
オレたちはレスパーから聞いた隠れ家があるというアデンの森にやってきた。
「ここか......
ベルどうだ?
オレの感じだと魔力は少ししか感じないけど」
「うむ、奥に十数人の少ない魔力を感じる......
だが......」
「どうしたのよ?」
考え込むベルにメルアが聞く。
「何かおかしい......
これが本当にいくつもの襲撃をこなした盗賊か......
商会も護衛だってつけているだろうに......
やはりここはやめておいた方が無難だろう」
「なに? レスパーが嘘をついたってのか」
「魔力は感じないんでしょ。
なら大丈夫よ!
1000万よ! 1000万!」
「そうだな! 1000万だ!」
金に目が眩んだオレとメルアは行くことに決め、ベルはしぶしぶついてくる。
「なにもなければよいがな......」
一応警戒はしながら森の奥にオレたちは向かう。
誰かの話し声が聞こえ近づくと木の影に身を潜めた。
「まだか......」
「はい、魔力感知にひっかかりません」
「優秀な冒険者を頼んだというのに来ないとは」
黒い月の紋章をつけたローブ姿の男たちが話をしている。
「これって......」
「どうやら、我らは贄だったようだな」
「どゆこと? ベル、メルア?」
「レスパーは我らを売ったのだ......
何のためかはわからんがな。
奴らは手練れの魔術師だ。
魔力をコントロールできるレベルのな」
「と、いうことは......」
「魔力を隠している! もう近くにいます!」
ローブの男たちはこちらを見た。
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