第10話 ジャイアントスネーク
暗い洞窟にオレたちは入った。
「ここか暗いな。
それにじめじめしてる」
「えー、あたしこんなとこムリ~」
「お前が欲しいって言ったんだろ!」
「あたしは蛇革が欲しいって言ったの!
別に洞穴には入りたいっていってない!」
二人で頬を引っ張りあう。
それを見てベルがいう。
「まあ早く行くとしよう。
暗くなるとモンスターが活発になる。
帰りのことを考えねば、モンスターを倒しても帰れぬよ」
「そうだな。
ジャイアントスネークってただのデカイ蛇だろ」
「そうだけど、魔力で身体を強化してるから打撃は効きづらいわね」
「だからこそ、魔法の鍛錬となる」
「それにしてもなんか生臭いしうす暗いわね。
明かりをつけるわ」
メルアが魔法を唱えようとした瞬間真っ暗になった。
「なっ! 明かりどころか真っ暗になった!
どんな魔法だよ!」
「バカね! まだ使ってないわよ!」
そう言うと。
「光よ、我が眼前を照らしだせ。 エーテルライト」
眩しく球体の光が浮きあがり辺りを照らす。
「ん、なんかおかしくないか......
壁が赤い......」
そう思った瞬間激しく地面が動きだした。
「地震か!? いや違う!」
洞穴は坂のようになりオレたちは落ちていった。
バシャッ!
何か浅い水辺に落ちた。
「あんたたち大丈夫!!」
飛んでいて無事だったメルアが 上から光の球体と降りてくる。
「ああ、でも大丈夫ではないなこれ......」
「うむ」
「どうしたの!? どっか怪我した!」
「いいや、これ何かの腹の中だ。
どうしよう......」
「ええーーーーー!!」
メルアの声がこだまする。
「つまり、この洞穴がジャイアントスネークのお腹のなかってこと!?」
「うむ、多分な......
魔力を感じなかったから、
「ど、どうする! そうだ魔法!
メルアの魔法ぶっぱなせば穴あくんじゃないか!」
オレが焦ってベルに聞く。
「無理だな。 メルアの魔法では......
この壁...... いや腹か......
かなりの厚さがあるみたいだ」
ベルが壁を叩いていった。
「じゃあ、ウンチで出るの!?
あたしイヤよそんなの!」
「その前に消化されるだろ!
この上から落ちてくる液体、消化液だろ!」
「いやーーーー!!」
オレとメルアが一緒に叫ぶ。
「仕方ない!!
もうグランブレイク使うぞ!」
「待て」
ベルが止める。
「シンジよ。
魔法でこの壁を撃ち抜くのだ」
「なにいってんの! あたしでも無理なのにシンジになんか無理に決まってるじゃない!」
「そうだぞ! オレなんかに無理に決まってるじゃない!」
「......まあ、やってみよ。
形や動きを考えるのだ。
お主ならやれよう」
「ほんとお?」
少しだけやる気になったオレは試してみることにした。
(まあ、このままじゃどうせ溶かされて死ぬしな。
え~と、形か貫くなら四角、立方体、いやもっと貫通力のある形。
で動きは回転だな。
よし!)
オレは両手を前にだし魔力を集める。
ドリルのような形状に近づけた。
「これ何? 何か貝みたいだけど......」
「ドリルだ。
オレの世界じゃ穴を掘る時にこの形状にする。
ちょっと不格好だけど貫通力はあるはず」
「うむ、確かにその形状ならば穴を空けられよう。
しかし小さいな、もう少し大きくしなければならん」
「これ撃って回転させるには魔力が足りねえよ」
「私がそれを風の魔法でうちだすわ!」
「なるほど!
やってみよう」
オレは魔力をほとんどを使ってドリルを丸太ぐらいの大きくする。
「いいかメルア!」
「いくわよ!」
そういうと風の魔法の呪文を唱える。
「いけーー!」
「風よ! 我が声に耳を傾けその大いなる力を我が前に示せ! ウィンドストーム!」
オレが撃ち出した魔法をメルアの風が回転させる。
ドリルは壁に当たると血を撒き散らして奥へと進む。
その瞬間から周りが激しく動き始めた。
「そのまま、撃ちぬくのだ」
「おりゃーーー!」
「いっけーーー!」
激しく動いていた地面と壁が動かなくなると一筋の光が指した。
「やった!」
オレたちが光の方に走る。
外に出ると巨大なジャイアントスネークが息絶えていた。
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