クラス転移で俺だけ自由に帰れる件~俺みたいなグズは要らないそうなので一人で帰りますね?~
破滅
『クラス転移』
グーパンチッ! (o゚Д゚)=◯)`3゜)∵ ボゴッ!! _ノフ○ グタリ
唐突に、何の前触れもなく俺、
橋田は所謂ヤンキーと言う奴で、髪を雨上がりの地面のような疎らな黄土色に雑に染め上げその耳には痛々しいほどのピアスが着けられている。
小学生の頃から6年以上ボクシングをし続けていたらしく、不意打ちで入れられた右ストレートは俺を倒すのに十分な威力が秘められていた。
「お前みたいなグズ、うちのクラスには要らねーんだよ!!」
「「「「二度と学校に来んなッ!!!」」」」
橋田千尋がそう言うと取り巻きの不良たちも口をそろえてそう言う。
先ほどまで座っていた俺の机には夥しいほどの罵詈雑言が書きなぐられていて、俺の鞄や制服は買いなおせどもすぐにズタズタにされるから切り傷まみれだ。
俺は橋田たちに目の敵にされ、虐められていた。
それをクラスメートたちも先生も見て見ぬふりをする。……いや、場合によっては虐めに加担してくることすらある。この世の地獄だった。
「い、嫌だッ……。俺は獣医になりたいからッ!!」
俺には夢があった。それは動物の医者……獣医になることだ。
家は貧乏だから、大学は国立にしか通えない。それも出来れば成績上位で合格して奨学金を融通してもらう必要がある。
そして奨学金を多く貰うためには高校時代ちゃんと出席していることが大事だ。
こんなにも酷い目に遭って虐められたとしても、獣医になっている未来の自分を想像すればどうにかギリギリの所で持ちこたえられた。
「ハッ、グズの分際で夢を語んじゃねえよ気持ち悪い。ああ、そうだ、良いこと思いついたッ! おい岸原、ハムスターを連れて来い」
橋田の言葉に取り巻きの一人が、クラスで飼っているハツカネズミを連れてくる。それを岸田から没収した橋田は俺の眼前にハツカネズミを持ってきた。
眼前に差し出されたそれはハムスターではなくハツカネズミだ。
「なあ、伊藤。お前さあ、このハムスターの頭をかみ砕いてみろよ」
「え?」
「だ・か・らッ! このハムスターを踊り食いして見ろって言ってんの! ほら、三聴ってやつだよ。中華料理だよ! 解んねえのか??」
ハツカネズミが黒い瞳を潤ませて俺を見ている。
とても食べられない。……ネズミは病原菌や寄生虫の温床でもある。きちんと処理されてないこれを食べようものならお腹が痛くなる程度じゃ済まないかもしれない。
「む、無理だよ」
「あ? なんでだよ?」
キックッ! ( `Д)┌┛)`д) ;∴ バギッ!!
ただでさえ唐突なグーパンチで倒れていた俺を橋田は蹴る。……容赦のないイカれた暴力に、俺はこのまま死ぬんじゃないかと恐怖していた。だが、それでもネズミは食べられない。
「ど、どうしても無理なんだよ。……それ以外の事なら何でもするから、ネズミだけはネズミを食べるのだけは許してくれ!」
追い打ちキックッ! ( `Д)┌┛)`д) ;∴ メキッ!!
「あ? お前はハムスターも解んねえのか? このグズがッ!! はんッ。まあ、グズで愚鈍で馬鹿なお前には中華料理は解んねえかッ。だったら、グズらしく服を脱いで全裸になってみっともなく踊りながら許しを乞うて見ろよッ!」
……俺は、助けを乞うようにクラスメートたちを見る。だけどみんな目を逸らして俺を助けようとはしてくれない。
いつの間にか教室に入ってきていた禿げ頭の気の弱そうな壮年の先生も、だんまりと俺が虐められている様を見ていた。
「おい、お前ら、何してる? 今からこのグズがグズらしくみっともねえ様を晒すんだ。どうせなら動画にでもとってネットに流してやろうぜ!!」
橋田が言うとクラスメートたちはそっとスマホを構えた。
……やるしかないのか、裸踊り。屈辱だし最悪だし嫌だけど、それでも従わずに殴り殺されたり、ネズミを食べさせられて死ぬよりかは幾分かマシだった。
橋田にボコボコにされて思うように動かない身体をどうにかこうにか動かして、ボロボロに涙を流しながら、服を脱ぐしかなかった。
「あいつ、よくああまでされて学校に来られるよね」
「本当、とっとと自殺するなり橋田に殺されるなりすればいいのに」
「そしたらこのクラスは快適になるのにね」
そんな俺の惨めでみっともない姿をクラスメートたちはスマホのカメラを向けながら嘲笑する。……クソがッ。クソがクソがクソがクソがクソがッ!!!
呪いで人が殺せるんならこの学校が跡形もなく消え去るんじゃないかと言うほどの怨嗟にドロドロとした濃い涙が流れる最中、それは起こった。
教室の床が青白い光に包まれたのだ。
「あ? んだこれ」
橋田に殴られたときに匹敵するほど脳が揺れるような浮遊感。しかしその感触は、決して悪いものではない。少なくとも――一時的にこの凄惨な状況から解放されるのだから、この光は俺にとって救いの光と言えた。
意識が遠く、眠くなるような感覚に数分包まれた後。俺たちは石造りの床に投げ出されていた。
野暮ったい黒のローブを来た不気味な集団の中央には、女版ローマ教皇とでも言った白い祈祷衣に身を包み頭には銀のティアラを乗っけた金髪碧眼の美少女がいた。
ゆっくりと上品な仕草で祭壇のような階段を下りてくる彼女は、まるで物語に登場するお姫様のようだった。
「ようこそおいでくださいました、勇者様方。どうかこの国を、魔王の魔の手からお救いください」
少し潤んだ瞳、思わず守りたくなるような儚い仕草、圧倒的な美貌。
自分の可愛さを完璧に自覚したような洗練されたあざとい仕草で、この国とは縁もゆかりもない俺たちに救国をお願いしてきた――
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