外伝 常世の魔物繁殖日記

魔物の増え方は実に興味深いなので魔族向けに日記として残すつもりで記録を書いた。


「常世様!おはようございますっす!」

「ああ、スライム系の繁殖はどうだ?」


彼女の名前はイザベラ、よく分からないが僕の助手をしているものだ。


「順調っすよ!スライム同士で核を渡しあって順調に増えてるっす!」

「ならいい」


スライムは2匹がある程度の大きさに成長すると核を渡しあって融合、分裂4匹になる形で増えている、実に奇妙な繁殖の仕方だ。


「スライムは何でこんな繁殖のしかたなんすかね?」

「ああ、それはだな」


2時間程説明すると納得したのか礼を言ってきた、まあ勉強にはなっただろう。


「次はドラゴン、ワイバーンだ」

「はいっす!」


魔城の庭の1部を借り研究しているので、場所があまり無いのは残念だが、良いデータが取れているのでまあよしとしている。


「ちょうど繁殖しているな、珍しい、どうしたイザベラ?顔が赤いぞ?」

「ちょっと、あはは」


ドラゴンもワイバーンも交尾が一般的だが、特徴的なのは空中で行う事だ、ドラゴンの方が寿命が長いからか交尾自体滅多にやらず、見かける事は少ない。

ワイバーンはドラゴンよりは頻度は高いので参考資料としては扱いやすいだろう。


「私もい、いつか...」

「何をしている?行くぞ」

「は、はいっす!」

「次はマザースパイダーについてだな」


マザースパイダーはスパイダー系の性別によってなるかならないか変わるが、マザースパイダーの個体は非常に少ない、まず管理出来るのが私とスヘラ様くらいだろう、この点からまず難しい、次にメスの個体がなかなか産まれない、マザースパイダーに気を抜くと食べられ更に少なくなってしまう点だ。


「交尾中だな、解説にちょうどいい」

「は、はいっす!」

「マザースパイダーの交尾条件は強いオス個体だ、だが基本戦って決めるので強いオス個体が死んでしまうデメリットもあり戦力的観点から見れば良くないと言える」

「ありがとうございますっす!」

「ああ、分かったなら次に行こう」


次はリュッサだ、古代兵器などと人間は言っているが実際似たような代物だ、魔物なのに繁殖出来ないのが特徴的な代わりに寿命が存在せず、神様からの授かりものだと言われているが、正確な事は分からず文献には初代の頃から居たと言われている。


「やっぱり気持ち悪いっす...」

「僕にはよく分からない感覚だ、次に行こう」


触手について、これはとても興味深い、名前はなんと言ったか忘れたが、1人少女とスヘラ様だけが操れる珍しい魔物だ、繁殖方法も特殊で、メスの体なら何でも良く、母体に合わせた触手が産まれるとか、リュッサはもしかしたら初代スヘラ女王か勇者が産んだ触手で2体しか何らかの理由で産めなかった説も浮上している。


「...」

「顔が真っ赤だが大丈夫か?」

「だ...大丈夫っす...」


以上魔物繁殖日記だった、使うか使わないかは勝手にしてくれ、スヘラ様の命令で作っただけだからな。


■■■■■


「これイザベラさん常世の事好きじゃない?」

「そうですわよね...見ない方が良かったですわ!」


アオはメェーニャてあ戦後に魔族のヤバそうな物をチェックしていた時に見つけた日記、あまりにも呪物だった為この後記録を取り燃やした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る