第56話 進海 蒼は明日へ進む
病院は怪我人だらけで病院に入り切らない人達もいる。
「アオっちお疲れ様!」
「ホムラもありがとうね」
「何か久しぶりにあったけど、かなり女の子ぽくなったよね!いい匂いもするし」
「そんな事ないよ!」
「あらあら〜初々しいわね〜」
「アオっち可愛いからね!褒めるよそりゃ!」
「ホムラくんはいい子ね〜良い夫になりそうね〜」
「ありがとうございます!」
そんなこんなでつかの間の平和を得られたが。
「アオちゃん、イロー...」
「エリアス先輩とガーベラ先輩大丈夫ですか!?」
すぐに現実に戻された。
「エリアスちゃん、私を守る為に...右腕に異形の爪の破片が刺さって...」
「アオ...無事...良かった...」
エリアス先輩とガーベラ先輩は安心したのか気絶した、ガーベラ先輩はホムラに抱えてもらいエリアス先輩を病院の中へ急いで運ぶ。
「まずいですね、このままだと腕腐りますよ」
「何とかなりませんか!?」
「重傷者も多いですからね...私達も手が回らないんですよ...」
「そんな...」
「お城で見て貰えるかもー王族の人が怪我、病気の為にお医者さんを住まわせてるのよー」
「急いでお城へ向かいましょう!」
ホムラにガーベラ先輩を抱えて貰ったまま、俺はエリアス先輩を抱えて王城へ向かった。
医者がどこに居るかまでは知らなかったので、イロー先輩に連れられて医務室へと辿り着いた。
「エリアス先輩を見て貰えませんか!?」
「分かったよ、今回は緊急だし騎士団の子だから見てあげるよ」
「ありがとうございます!」
こうしてエリアス先輩の治療をしてもらう事となったのだ。
■■■■■
???
「スヘラ様!楽しかったよ!」
「うんうん!」
「沢山のおもちゃに遊んで貰えて良かったねぇ!アハハハハ」
スヘラは今日も双子に闇魔法ダークダズルをかける、かつて初代が勇者にしたように。
「じゃあまた1週間たったらおいで!あは」
「はーい」
「はーい」
2人は声を揃えて元気よく返事を返した。
2人は街での記憶を思い返す、小さなスライムを使って人形を動かしたり、人形の街で劇を見せて人形が喜んで居た事を。
■■■■■
あの事件から1週間後
「守ってあげられなくてごめんね...ボブスくん、お母さん」
「俺も早く気付く事が出来たら...」
「アオ元気だして」
「ありがとう」
特別に今日だけ俺、ホムラ、エリアス先輩は外出許可を貰いお墓参りの為に街の少し外の共同墓地へと来ていた。
今回の件やはり元団長のビィレアルも関わっていたらしい、事件が終わった後自分から申し出てきた。
最初は貴族を殺せればいいと思って協力していたが、あんな自体になるとは思って無かったなどと言っていた、許せるものでは無い死刑になるだろうと団長は言っていた。
「エリアス先輩腕大丈夫?」
「あんまり、右は動かない」
運が悪い事に大事な神経をやられてしまい、右腕はもう動かせるか分からないと言われてしまったのだ。
「まだが左腕ある、だからアオと一緒に頑張る」
「エリアス先輩...」
動かせるようにリハビリをしていくようにはすると笑いながらエリアス先輩は言って居たが。
「右腕が動かない...アオのお姉ちゃんなのに...もっと強くならないと行けないのに...」
夜寝たフリをして聞いてしまった事があるが俺は何も言えなかった。
「私達はただ祈ることしか出来ないけど...」
「俺ももっと強くならなくちゃな」
「僕も...アオ...泣かないでよ...」
「ごめんね...」
「俺もつられて...クソ!」
俺はそっとまだら模様の薔薇をお墓に供える。
「来世はボブスくんとお母さんが平和な時代に産まれるといいな...」
私達はただ祈る、死んだ人達の為に、生きていれば辛いことも泣きたい事もある、それでも生きてる限り明日へ進み続けなければならない、果てに何があったとしても。
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