第48話 進海 蒼は見回りをする
朝起きるとエリアス先輩の寝顔があった、内心は恥ずかしいが身体の方はあまり反応は無い。
「ん」
「おはよう」
「おはよう、アオ」
エリアス先輩のパジャマが少しはだけている、男の頃ならこれで興奮したりしたのだろうが全くそういった感情は湧かなくなっていた。
「お姉ちゃん、見えてるよ」
「ありがとうアオ」
最近は女の子らしい事をしても全く恥ずかしくは無くなった、人間の慣れは凄いものだと思う。
身だしなみも気を使うようになった、髪を綺麗にしてからポニーテールにしてみたりとオシャレに興味が出るようになったのだ。
「お姉ちゃん、今日は私の部屋来てよ」
「分かった、お姉ちゃんだからね」
こうして今日も着替えて、朝食を食べ朝礼に参加した。
朝礼終了後に俺たちは副団長のシャイニに呼ばれたのだ。
「やあ!お話するのは久しぶりだね!元気なようで何よりだよ!」
「お久しぶりです」
「久しぶり」
「うんうん、今日から街の見回りに参加してもらう事になったけど!見回りは区域で別れてるんだ!君たちの区域のとなりの、ビィレアル来てー」
「はい」
「これからこの子達がとなりの区域見回りに参加するから手伝って貰えるかい?」
「分かりました、元団長のビィレアルだよろしく」
「よろしくお願いします」
「よろしく」
「じゃあ後はこの地図の範囲内を見回りして貰えるかい?まあ大通りだから危険はあんまり無いとは思うけど!」
そう言われて地図を渡された、範囲内を定期的に見回りするだけで良いみたいだ。
■■■■■
実は休みの日にすら来たことは無く、馬車からチラッと一般人が住んでるエリアを見た以来で初めてなので気になりはしていたのだ。
「アオは初めて?」
「うん」
「僕が案内する」
こうして見回りをしつつ、案内をして貰える事になったのだ。
「大通りは馬車も通る、だから事故はあるかも」
「へー」
「お店も多いからたまに盗みを働く人出る」
「それを取り締まればいいんだね」
「うん」
突然子供の泣く声が聞こえた、近くに寄って話しかけてみる。
「どうしたの?」
「ぼく、おかあさんとはぐれちゃった...」
「じゃあ一緒にお母さん探そっか、私達も手伝うから」
「うん」
「君の名前は?」
「ボブス」
「ボブス君って言うの?お姉さんの手繋いでくれる?一緒お母さん探そうね」
「アオがやるなら僕も手伝う」
何故だか子供が泣いているのはほっとけ無くてお母さんを探す事になった、見回りの一環だから良いだろう。
「ボブス君のお母さんいらっしゃいませんかー」
「ボブス!もう!どこに行ってたの!探したんだよ!」
「ごめんなさい」
「ありがとうございます!」
「いえいえ、見回りの一環ですから」
以外とあっさり見つかった、無事に出会う事が出来て良かったな。
「青い髪のお姉ちゃんまたねー」
「バイバイ」
「アオ、凄い」
「何か自然と身体が動いちゃって」
特に午前中は他に何事も無く、見回りを終えた。
「アオ、お店に行かない?」
「いいねお姉ちゃん」
「近くに人気のパスタ屋さんがある、調べた、はやく行こ」
「うん」
お店に行くと人が既に並び始めていた、並ぶと後ろから声をかけられた。
「新人の子達こんにちは」
「ビィレアルさん、こんにちは」
「私もお昼でね、食べに来たのよ」
「そうなんですか」
「ただ待ってるのも暇だし、昔話してあげる」
「ありがとうございます」
「私が団長だった頃の話よ、今の団長のシィーニヤがね、街の見回りに参加した時の話」
「団長の話ですか」
「そうよ、シィーニヤはメメントって子と仲が良かったのだけど、メメントって子が剣士の盗人におもちゃにされたて拷問された、上に殺されたのよ、その責任を取らされて私は団長を辞めさせられたわ」
「そんな酷い...何ですか?」
「平民だったからね、前はもっと平民あたりが強かったのよ、貴族様が圧力をかけて辞めさせられて今は平団員よ」
「僕も貴族はあんまり好きじゃない」
「次のお客様どうぞ〜」
「あら呼ばれたようね入りましょ」
こうして俺たちは人気店のトマト&ボーイズに入って行くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます