第4話 千年龍

声をした方を向くとそこには巨大な龍が体を丸め眼だけをこちらに向けていた。



ルナ「龍!?」


『そう、警戒しなくてもよい。エルフの小娘。我は千年龍ウルドラ。このダンジョンの主であり、そこの小僧の味方だ。』


ルナは錬を見つめる。


錬「ごめん、ウルドラ。今日は1つ頼みがあって来たんだ。」


『その小娘の事だろう?魔法が使えない原因を絶つためにか?』


錬「話が早くて助かるよ。」


『で、他の2人はいつもの鍛錬か?』


紗菜・渉「「お願いします。」」


2人はウルドラと呼ばれた龍に頭を下げる。


『2人はいつも通り魔力のコントロールとイメージトレーニングを行っていろ。その間、小僧とそこのエルフの小娘の用事を片付ける。』


そう言われると、紗菜と渉はその場に座りゆっくりと目を閉じる。

徐々に2人から発せられる魔力にルナは驚く。


ルナ「すごい…エルフ族と遜色ない魔力を感じる。」


魔法を扱うことに長けるエルフ。生まれながらにして大きな魔力を持っているルナでさえもこの2人にある内なる魔力量に気が付かなかった。生まれて100年程生きてきていた自分より、魔力のコントロールが優れているということを気づかされた瞬間でもあった。


『当然だ。この2人は私が直接魔力のコントロールのやり方を教えここで鍛えておるからな。この2年鍛えた結果は直接戦えばそこらにいる大人でさえも敵わないレベルに達している。(だが、この小僧に関しては2人が束になってかかっても勝てないレベルに到達しているだろうな)』


そう言ってルナを見たのち、錬をみつめるウルドラ。


『さて、小僧。この小娘のを絶つにはお主も命を賭ける必要があるぞ?』


錬「そんなに強力なのか?それにやっぱり呪いなのかこれ?」


ルナ「呪い…」


自分の両手を見つめるルナ。

自分の中に潜むモノに怯えたのか、少し手が震えていた。


錬「その呪いってのは大丈夫なのか?」


『すぐに命を奪うものではない。今はその小娘に宿っている加護と拮抗している。それ故に魔力の波長がかき乱れ魔法すら扱えぬ状態と化しておる。それだけでなくじわじわとその加護をも超え、かかっている者の魔力を食べ成長している。いずれこのままであればかかっている者の命すら奪うものになるだろう。』


錬「なんだよ…それ!まるで生きてるみたいじゃないか!?」


『小僧、お主と若干似ておる。それが、命に関わるか、関わらないかの違いじゃ。』



なるほどなと納得する錬に。


ルナ「似てるってどういうこと?」


ウルドラの放った言葉に対してルナは錬に詰め寄るように近づく。


『小僧。話してなかったのか?その小娘に?』


錬「そういえばまだだったな…。」



錬は自身の魔力を失うきっかけになった2年前の出来事をポツリと話始めた。

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