第25話 よりみち



 使用人いきつけのお店をまわって、必要な食材を買い込んでいく。


 もちろん費用は安く。


 そして、できるだけ長持ちする素材を見繕うのも忘れずに。


 保険医は感心しながら、私の買い物を横で見ていた。


「お嬢様なのに、慣れてるみたいだね」

「好きなんですよ。こういう事が」


 ノワール様の為にいつか手作り料理を振る舞う。


 その目的のために料理を頑張って来た。


 でもそれだけではなく、誰かに食べてもらう料理の楽しさもあって、好きになっていた。


「君は変わった女の子だね」


 あなた程ではありません。


 買い物を済ませた後、露店の店主から声がかかった。


「そこのお二人さん、安くしとくよ、買ってかないかい?


 お値段はそこそこ。


 安くしとくというのは、呼び込みの常套句でもあるのだが、今日は本当に値段が安いらしい。


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