219話 面接15

第221章

「ではあなたにとって良いパイロットとはなんですか(C'est quoi un bon pilote pour vous alors?)」

「ヴェロニクジャノ(Véronique Jannot)の『飛行士』(Aviateur)の曲が好きな人が私にとっての良いパイロットです」

「どうしてですか」

「この曲はフランスの飛行機を象徴している曲だからです。ですからこの曲の好きな人はフランスの飛行機が好きな人ということができるからです」

「ではどうしてフランスの飛行機が好きな人はあなたにとって良いパイロットなのですか」

「私と価値観が合うからです。何に価値を置くかは人それぞれです。絶対的な基準というものはありません。これは相対的なものでしかありません。しかし今私に質問されているのは、『あなたにとって』ということです。つまりそれは『私にとって』ということです。ですからこの質問には私の個人的な基準でこたえていいわけです。ほかの人がどう思うかは関係ありません。それでフランスの飛行機が好きな人が良いパイロットなのです。そしてそのフランスの飛行機を象徴しているのがヴェロニクジャノの『飛行士』という曲なのです。だからヴェロニクジャノの『飛行士』という曲が好きな人が私にとって良いパイロットなのです」

「普通は良いパイロットと言ったら、飛行機の操縦がうまい人とか、特に滑走路に着陸する時に飛行機の機体を大きく揺らせないようにできる人というように飛行機の操縦の技術的なことが話の対象になります。あなたの場合は全く違う方向から考えているのですね」

「そうかもしれません。しかし私のこたえ方は間違ってはないと思います。私から見るとヴェロニクジャノの『飛行士』の曲が好きな人はかならず飛行機の操縦もうまいはずです。こういう人が飛行機の操縦がうまくないということはあり得ません。『飛行士』の曲が好きであること、これが良いパイロットになるための絶対条件であると私は思います」   つづく

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