51話 次は心理試験 (知能テスト)
第53章
「今度は心理試験(Tests psychotechniques)というか知能テストね」
ジャンヌが話題を変えた。
「この試験って、数学のような問題が出題されるのでしょう?」
藤枝が心配そうに尋ねた。
「数字の問題などがたくさん出題されるみたいね」
「あたしはこういう問題苦手だから、どうしよう」
「数学といっても公式は使用しない問題のようだから」
「だからよけいに心配です。むしろ公式を使用する問題のほうがいいかもしれません。そのほうがやりやすいです」
「確かにそれはそうかもしれないね。ただ公式に数字を当てはめていくだけで答えが出てしまうからね」
「公式がないと、すべて自分で考えていかなくてはいけないでしょう。だから大変です。せっかくここまで試験が順調に来たのにここで大きな壁にぶち当たったという感じです」
「ただよくわからないけれど、この知能テストの次に行わられる英語試験は合格点が決められていて、合格点をとれないと無条件で不合格になるみたいだけれど、この知能テストには合格点が決められているのかわからないよ」
「英語試験の合格点は65パーセント以上でしたね。もし知能テストにもこんなに高い合格点が決められていたら、もう合格はあきらめるしかありません」
「しかしユキコはくじ運がいいから、もしまたわからない問題があったらまたくじで決めればいいよ。さっきの航空知識試験みたいに」
「選択する答え、a、b、c、d、の中から一つを選ぶ。しかし一問につき確率四分の一。これではさすがに無理ですね」
その時教室のドアが開いた。試験官が問題用紙を持って中に入ってきた。今までざわついていた教室の中が急に静かになった。
「ではこれから心理試験を始めます」
こう言われると受験生たち一人一人に問題用紙が配られていった。藤枝の机の上にも問題用紙が配られた。彼女はその問題用紙の上をじっと見つめていた。
「では試験はじめてください」
彼女は問題用紙の中を開いた。 つづく
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