フランス海軍空母ジェット戦闘機パイロット。(フランス版トップガン)

@abc2075

1話 マカロン好きな普通の日本女子高生

 今年2022年5月28日(土)からアメリカと日本で新作『トップガン』の映画が同時上映される。これはアメリカ海軍空母ジェット戦闘機の話。1986年に旧作『トップガン』の映画は世界中で大ヒットした。世界興行収入2556778米ドル。日本での売り上げも第一位であった。その映画がまた新作で上映されるのである。これから始まる物語はアメリカ海軍空母ジェット戦闘機パイロットではなく、フランス海軍空母ジェット戦闘機パイロットである。ではアメリカ海軍とフランス海軍とどういう関係があるのかであるが、実はフランス海軍の空母のジェット戦闘機パイロットの訓練はプロぺラ機はフランス国内で訓練するのであるが、ジェット戦闘機による空母の発艦着艦訓練はアメリカ海軍の空母で行わられているからである。


                 あらすじ 

   1

 アメリカ海軍空母カールビンソン。ジェット戦闘機が1機、飛行甲板を発艦して空に飛んで行った。しかしその後今度は戦闘機が空母に近づいてきた。高度をどんどん落としていき飛行甲板に近づいてきた。そのまま着艦すると思いきや、またすぐ発艦して空に向かっていった。戦闘機の発艦着艦訓練のようである。アメリカ海軍のパイロットが訓練しているのであろうか?

 ブリッジの中に入ると少し様子が違うようだ。ここはアメリカ海軍の空母である。この中で聞こえてくる言葉はもちろん英語である。しかしその英語の発音がフランス語のような発音である。さらにフランス語でも会話がなされている。そのためここがアメリカ海軍の空母ということを知らされていないと、フランス海軍の空母の中と思ってしまうほどである。実はこの戦闘機の発艦着艦訓練をしているのはフランス海軍のパイロットなのである。

 フランス海軍は空母のジェット戦闘機パイロットの訓練は、プロペラ機での訓練がフランス国内で終わった後、アメリカ海軍で行っているのである。その訓練場所がミシシッピ州のメリディアン海軍航空隊基地なのである。まさに映画の『トップガン』の世界である。

   2 

 高校生の藤枝有紀子17歳は新作『トップガン』の映画を見るのを楽しみにしていた。彼女は自宅で旧作の『トップガン』の映画のビデオを見ていた。するといつのまにか眠ってしまった。

 彼女は気が付くと、フランスのパリにいた。彼女の目の前には軍情報採用センター(CIRFA)と書かれている建物があった。さらにLES ARMEES RECRUTENTと書かれていた。彼女は迷わず中に入っていった。彼女は職員にフランス海軍の空母のパイロットになりたいむね言うと二つの方法があるとのことだった。海軍士官学校に行くか、フランス海軍パイロット将校生徒(EOPAN・FR)の試験を受けることであった。前者は20歳にならないと受験できない。後者は、17歳以上25歳以下が受験できるとのこと。そこで彼女は後者を受けることにした。

 試験は、ブルターニュ地方ブレスト市南方にあるクロゾン半島にあるランベオック海軍基地であった。ここで3日間泊りがけでの試験だった。その後、フランスの南東端、マルセイユの東、モナコの西のトゥーロンにある航空医学センター(CEMPN)で航空身体検査が行われた。ここでは、飛行機の操縦のシュミレーション室があり飛行機の操縦をしながら計算問題を解いたりする試験もあった。1週間泊りがけの試験であった。

   3

 彼女は試験に合格し海軍に入隊した。2022B期(La Promotion bravo 2022)であった。受験者350人で合格者11人であった。フランス海軍パイロット将校生徒の採用は年3回ある。1月入隊はA期(alpha)  9月入隊はC期(charlie)である。そして彼女の春入隊はB期(bravo)なのである。

 宿舎は薄い黄色をした4階建ての建物だった。建物の前にはすぐ海がある。高級マンションのような建物である。食事は基地内にRESTAURANT BEARN RAMPE SUDと書かれている専用の食堂ですることになった。

 訓練は、軍事基礎訓練(formation militaire initiale)、海難救助センター(CESSAN)での訓練をまず始める。これらに合格すると合格証書が渡された。合格証書には2等水兵(Le matelot)と書かれているが、将校生徒なためすべての訓練が終了すると海軍少尉(enseigne de vaisseau de 2e classe)に任官される。フランス海軍では少尉のことを、2等軍艦旗手とよんでいるようである。中尉は1等軍艦旗手(enseigne de vaisseau de 1ere classe) このような呼び方は、昔、軍艦が帆船だったころの言い方なのであろうか?つまり中尉と少尉の任務は軍艦旗を守ることだったのであろうか?佐官の階級は、より具体的である。大佐は(capitaine de vaisseau) 中佐は(capitaine de fregate) 少佐は(capitaine de corvette) これらは艦長になれる軍艦の種類によるいい方なのであろうか?つまり大佐はすべての軍艦の艦長、中佐はフリーゲート艦の艦長、少佐はコルベット艦の艦長ということなのであろうか?大尉(lieutenant de vaisseau)は、艦長の補佐という意味なのであろうか?

 彼女はその後、初期パイロット養成校(EIP 50S)で飛行機の操縦訓練が始まった。この養成校(Ecole d'initiation au Pilotage escadrille 50S)は、フランスの海軍士官学校の西側にある養成校である。ここでは、彼女のようなEOPAN・FRで海軍に入隊した生徒だけでなく、海軍士官学校の生徒でパイロットを希望する者もここで訓練を受けるようである。期間は6か月から8か月、CAP10型機で訓練をする。彼女の出席番号は生徒6番となった(ELEVE6) 校舎の正面玄関から入っていくと、操縦室階段教室(AMPHI CAB)があり、ここで一番最初の飛行機のイメージ操縦訓練をする。

 EIP 50Sでの操縦訓練が終わると、海軍士官学校で士官訓練をする。(Formation initiale d'officier)

 以上ここまでが11人全員の共通課程であった。その後、飛行機パイロット希望者とヘリコプター希望者に分かれて訓練をすることになった。飛行機希望者は空軍で訓練。(Cursus avion) ヘリコプター希望者は陸軍で訓練することになった。(Cursus helico)

   4

 彼女は飛行機希望なため空軍士官学校で9か月間、航空学の学習をすることになった。(Cours theorique d’aeronautique) フランス空軍(Armee de l'air)は2020年7月24日、航空宇宙軍(Armee de l'air et de l'Espace)と名前を変更したようである。

 その後、フランス西部のシャラント県コニャック空軍基地にあるパイロット養成校(Ecole de pilotage de l’aa)でGROB120型機で9か月訓練を受けることになった。ここまで共通訓練であった。(Tronc commun instruction en vol)その後、戦闘機(Chasse)警戒機(Hawkeye)輸送機(Multi-moteurs)に分かれて訓練することになった。

 彼女は戦闘機希望なためPC21型機で3か月訓練を受けることになった。これでフランス国内での訓練は終了した。今まではすべてプロペラ機による訓練であった。しかしこれからいよいよジェット戦闘機による訓練が始まった。これからはアメリカ海軍での訓練である。

 アメリカ、ミシシッピ州にあるメリディアン海軍航空隊基地。ここでT-45C型機による訓練が始まった。空母での発艦着艦訓練をする前に地上滑走路での訓練を150時間の飛行と320回の着陸訓練をしなくてはならない。その後空母カールビンソンでの発艦着艦訓練である。彼女はこれですべての訓練を終了した。

   5

 いよいよパイロットバッジ授与式である(MACARONNAGE MARINE)  パイロットバッジ授与式はアメリカ海軍航空隊基地でおこなわられる。フランス海軍士官2人とアメリカの軍人1人が藤枝有紀子たちの前にやってきての式典だった。フランス海軍士官の一人が演説原稿を読み上げた。「……諸君はこれからパイロットバッジ(insigne de poitrine)を受けることになる。……諸君はすぐにこれからの軍務の最も新しい一員となるのである(le dernier maillon de la chaine d'actions operationnels) 諸君は戦うパイロットになるのである(Vous serez pilote de combat)  私は諸君を祝福するものである(Je vous en felicite)」

 演説が終わると、藤枝有紀子たちの胸にパイロットバッジがつけられた。すると藤枝有紀子たちはかぶっていた軍帽を空に向かって投げ上げた。 (終わり)



【以上このような小説をこれから連載させていただきたいと思います。400字原稿用紙で100枚ほどになると思います。興味を持ってくださる方がもしおられたら、ありがたく思います。仏語の日本語の訳は私がつけた訳なため正確かはわかりません】



                  

第1章

「マカロナージュです、藤枝さん」

「はい?」

「マカロンをうまく作るためにはマカロナージュを上手にやることです」

「どうすればいいのですか、店長」

「ほかのアルバイトの人を見てください。みんなうまくマカロナージュしてます。藤枝さんだけですよ、へたなのは」

「わかりました」

「ではアルバイトの皆さん、よく混ざったら絞り袋の中に入れてください。そして3センチくらいの大きさに絞ってください」

 藤枝有紀子は、高校の授業が終わった後、フランス洋菓子店でアルバイトをしている。マカロンを作っているのである。彼女は家に帰った後もひたすらマカロンを作る練習をしていた。うまくマカロナージュができるようにである。彼女はマカロンが好きなのであった。食事をするより好きだった。一日中マカロンを食べていても飽きないのである。彼女がマカロンを作る練習をしていると母親がやってきて言った。

「なにしているの」

「マカロナージュの訓練よ」

「訓練?」

「そう」

「お菓子作りじゃないの、ただの」

「あたしにとっては訓練です。ただのお菓子作りではないよ」

 彼女は、マカロンが出来上がるとそれを持って自分の部屋に入った。そしてパソコンで旧作の『トップガン』の映画を、マカロンを食べながら見始めた。アメリカ海軍空母のジェット戦闘機の映画である。しかし彼女はいつの間にか眠ってしまった。


第2章

 彼女は目をさますと地下鉄の車内にいた。しかし車内にいるほかの乗客たちは、白人黒人といった外国人ばかりであった。雑談している乗客たちはフランス語で話をしていた。乗客たちが読んでいる新聞、雑誌などもすべてフランス語で書かれていたものばかりであった。彼女は駅に着くとプラットホームに降りた。プラットホームの壁にある広告もすべてフランス語で書かれていた。改札口を出て階段を昇って行った。外に出ると広い自動車道路がありたくさんの自動車が走っている。彼女はその道の歩行者専用の細い道を歩いて行った。

 彼女はある建物の前に立ち止まった。その建物には軍情報採用センター(CIRFA)と書かれていた。横長の長方形の看板の上に書かれていた。その看板は向かって左側は青色、それが右側に行くにしたがって赤みを帯びていく。つまり次第に紫色になり赤紫になり、一番右側は赤色になる。このような配色デザインであった。上側半分の向かって左側にCIRFAと書かれている。右側にはLES ARMEES RECRUTENTと書かれている。そしてこれらの文字の真ん中に陸軍海軍空軍のロゴマークが描かれていた。それぞれ6角形の形をしたロゴマークであった。とんがった部分が一番上と一番下にくるという形である。このような6角形の形をしたロゴマークが三つ描かれている。陸軍、海軍、空軍それぞれのロゴマークである。

 海軍のロゴマークは、船を正面から見た図柄で波を左右にかき分けて進んでいるデザインであった。向かって左側の波は青色。右側は赤色。船の正面は白色である。これらでフランス国旗をイメージしているようなデザインであった。看板の下半分には開庁時間と電話番号が書かれていた。開庁時間は月曜日から金曜日。9時から18時。

 正面入り口の大きなガラスウインドーには大きなポスター写真が貼られていた。軍艦、飛行機、ヘリコプター、潜水艦、空母など。彼女はこの建物の中に入って行った。                                


第3章

 彼女が中に入るとまず目についたことは、マネキン人形だった。人間と同じ背丈のあるマネキン人形が軍服を着ているのであった。それとたくさんのパンフレット用紙であった。たくさんのパンフレット用紙がはしごのような形をした陳列用の置台の上に並べられていた。それらは海軍の空母や戦闘機のパンフレットであった。

 部屋の中の奥にカウンターがあり、そこに迷彩様式の軍服を着た職員がいた。黒色、緑色、赤色、紫色といった色々が複雑な模様をしてお互いに混ざり合ている迷彩デザインの軍服であった。そのため背景の中に溶け込んでしまって見えるためよく見ないと気が付くことができないくらいであった。昔の軍服はすべて同じ色だったと思う。すべて同じ色よりも異なる色を混ぜ合わせた方が確かに目立たないわけである。軍事行動をするときにはめだたないということがとても重要だからであろう。いろいろな色を混ぜあわせるということであれば、鎌倉時代、室町時代、戦国時代などの武将のよろいかぶとなども確かにそうであった。しかしこれらと、現在の軍服の迷彩デザインとはまったく違うようである。昔のよろいかぶとの色彩デザインは目だつことを重視したようである。現在の軍服の迷彩デザインは全く正反対である。逆に目立たなくするためなのである。

 彼女はカウンターにいた迷彩デザインの軍服を着ている職員に行った。

「あのー」

「はい」

「フランス海軍の空母の戦闘機パイロットになりたいのですが」

「海軍ですね」

「はい。どうすればいいのでしょうか」

「それは海軍士官学校に行くことです」

「では、海軍士官学校に行くためにはどうすればいいのですか」

「あなたは何歳ですか」

「17歳です」

「高校生ですね」

「はい」

「それでしたら、まず高校を卒業してください。そしてそのあと,高等専門大学準備学級に入ってください」

「高等専門大学準備学級とは何ですか」

「グランゼコールに入るために受験勉強をするための特別のクラスです」

「グランゼコールとは何ですか」

「国立行政学院、理工科学校、陸軍士官学校、空軍士官学校、そして海軍士官学校といった学校です。高等専門大学準備学級で2年間学習してください。そうすれば受験できます」

「ということは、受験できるのは20歳ということですね」

「そうです」

「そのほかにはないのですか」

「あなたは今17歳ですね」

「はい」

「でしたら、海軍パイロット将校生徒(eleves officiers pilotes de l'aeronautique de la Marine[EOPAN・FR])があります」      つづく









 

 

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