董卓暗殺計画とか出てきてそうだし注意しないとな

 さて、冀州の平定も大詰めを迎えてきたというところだが、そろそろ俺自身の周囲にも気をつけるべきかもしれない。


 史実における董卓暗殺計画は董卓のもとから袁紹が逃亡した直後の初平元年(190年)にも袁紹に対して彼をかばうようにいろいろ動いていた荀爽・王允・鄭泰・荀攸・何顒・伍瓊などの清流派の名士達がいた。


 その後反董卓連合が崩壊し、董卓の経済政策の破綻と洛陽失陥と長安への遷都などにより、董卓が自分の求心力を回復するために恐怖政治に傾倒したのだが、それにより、清流派の名士には董卓に対する失望と反感が広がった。


 そして清流派の名士達のあいだで董卓暗殺計画が持ち上がったのが、それはすぐに発覚し荀爽が捕らえられて間もなく病死し、何顒もまた別の罪で捕らえられそのまま獄中で死んだりして董卓は暗殺を防いだ。


 だが、最終的には初平3年(192年)に王允・呂布・黄琬らが董卓の暗殺成功させたのだが、その結果として旧董卓軍の李傕・郭汜らが長安を占拠して王允を殺害、呂布を長安から追い出してしまうことで、むしろ漢王室の権威を更に低下させ、名家の没落を加速させたのだが、大義名分さえあれば民衆は支持をすると勘違いしていたのであろう。


 それとは別に建安5年(200年)には董承が中心となって曹操暗殺が計画されたがこれは露見して董承などは処刑されている。


 この董承は牛輔の部曲として仕えていたが董卓の一族が殺されたときに死んでいないので董卓と血族的な関係はない。


 三国志演義では皇帝に忠実な善人としてのイメージが強い董承だが、字は不明で、出身は冀州河間国となっているがこれもあやしく、霊帝の生母で同じく冀州河間国出身の董太后の甥であるとしているがこれもでっち上げのようだ。


 長安は董卓の死後に李傕と郭汜らに制圧されるが、後の献帝は長安を脱出を試み董承は楊奉と共に献帝の護衛をすることになるが、董承の娘が献帝の貴妃であったということで董承は献帝の舅ということが理由であるらしい。


 もちろん李傕や郭汜が黙っているわけもなく執拗な追撃に遭い、黄河を渡る手前で大敗を喫し、

献帝を船に乗せて逃げる董承は河に落ちた文官たちがその船につかまろうとしたときに矛でその手を斬りおとした。


 そしてここで、曹操が献帝を迎えようとして、曹洪を派遣したが、董承はこれを拒否し、袁術と結託して曹洪を追い払っている。


 しかし董承は度々協力者と仲たがいをし袁術との関係も壊れている。


 結局は、曹操を頼ることになるのだが、献帝を使って権力を独占したかった董承は劉備、王服、种輯、呉子蘭などを引き込んで曹操へ嫌がらせをしつつ暗殺を行おうとした。


 演義ではこのころは曹操が帝に対する無礼な行いをしていたとされるが、実際の所はそうとばかりも言えず董承は張繍征伐の報告に参内した曹操の首を左右から戟で挟んで歩かせたり、たびたび曹操の暗殺未遂事件が起きたりしていたりする。


 実際のところ袁紹の方が曹操よりも勢力も大きく、曹操暗殺計画は袁紹が画策し、董承に実行させようとしたとしてもおかしくはない。


 曹操が死んでも死ななくても袁紹には痛くはないと思っていただろうし、実際に曹操が暗殺されていた場合、袁紹は兗州や豫州、司隷をあっさり制圧し、もともと董卓の部下だった董承は処刑され、董卓に擁立された献帝は退位させられて、おそらく劉表を天子として大陸の大部分を袁紹が抑えることになっただろう。


 袁紹の計算違いを言うなら曹操の軍事的才能と運の良さが並大抵ではなかったということ、袁紹の勢力が強大になりすぎて内部の不協和音が吹き出してしまった事だろうな。


 それはともかく現状の献帝を手元においているという状態は史実の董卓や曹操と同様だがそれが良いことばかりでないのは確かだ。


 さらに袁紹の勢力が平定されれば戦乱による戦火による昇進と特別な物がなくなってしまうからな。


「俺が皇室をないがしろにする不忠の者と思っている人間もいるだろうし、気をつけるべきではあるか……」


 袁術や皇甫嵩といった面々のおかげでいままでは朝廷と深い関係は持たずにすんでいたが、皇甫嵩が洛陽から袁紹に追い出されたときには献帝の確保は正式な任官権確保の名分を整えるために必要だったが、手元にいればいるで面倒くさいというのは困ったものだよな。


 項羽も名目で立てた楚王の扱いに困ったりしていたがなんとなくその苦労もわかるような気がするぜ。


 ともかく袁紹とつながりの深い名士とか、漢王室への忠誠が優先なやつには注意が必要かもな。


 それこそ王允とかはな。

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