劉虞と公孫瓚はグダグダのままで劉虞が殺されたか

 さて、俺は荊州や揚州・司隷などの各県や郡をつなぐ幹線道路が大量の大車(輸送馬車)を含んだものが雨が降ったりしてもつかえるように土を突き固めさせたり道路の脇に排水のためを溝を整備させたり、街路樹として桃や栗などを植樹して、夏は日よけ、冬は風よけ、さらにいざというときにはそれを食べられるようにするなどして、街道を整備しつつ、特に輸送が集中することになる予定である江南から長江を経由し米と麦の栽培地の境界である淮水までを運河の掘削も行わせることにした。


 この地域の小さな運河自体は春秋戦国時代からあちこち掘られているのだが、それはきちんつながっているわけではなかったりする。


 なので既存の小運河の間を掘削して水路として連結していくわけだ。


 袁紹の決戦までに間に合うかは正直難しいかもしれないが、人員にしろ食料などの物資にしろ馬や馬車で運ぶよりは船で運ぶほうが効率がいいのは間違いない。


 だから平和になった後で役に立てばそれでいいとも思う。


 そしてこの頃は劉虞と公孫瓚との関係は完全に敵対的なものとなって、劉虞は公孫瓚を討伐しようとし、兵を集めたが従事の程緒が「公孫瓚の悪事過失は明白だが、処罰の名目が立っておらず、また勝算の見通しも立っていない。ここは兵を留めて攻撃せず、武威を示せば公孫瓚は降伏するでしょう」と進言する。


 しかし劉虞はその進言を退け、士気を沮喪させたとして程緒を斬首に処したが、それによりかえって軍勢は混乱し本来奇襲でけりをつけるはずだったものが、劉虞の居従事の公孫紀が、公孫瓚と同族で彼に厚遇されていたため、討伐作戦の詳細を公孫瓚へ密告し公孫瓚に迎撃の準備をさせて、公孫瓚は城に立て籠った。


 これに対して劉虞は数万余の大軍を集め城を包囲した。


 したのだがこの際に「余人を傷つけないようにせよ、斬るのは公孫伯珪(公孫瓚)ただ一人のみ」と余計な指示を行い、そのため劉虞の軍勢の兵たちは当然城を攻めあぐねた。


 そしてその隙に公孫瓚は100の騎兵で劉虞の陣へ突撃して火攻めを仕掛けて劉虞の兵を散々に討ち破り、劉虞は逃げ出したものの追いつかれて捕らえられてしまった。


 この時に多くの士大夫や人民が徳性の高い統治者である劉虞の助命を嘆願したが、公孫瓚はむしろそれによって意固地になって、劉虞に対して帝位を詐称したと劉虞を市場で曳き回しにした上、”皇帝になれるほどの人物なら、天から雨を降らせることができるであろう、雨が降ったら命を助けてやる”と強引な要求をし、結果として雨が降らなかったため、劉虞は処刑された。


 公孫瓚は劉虞を「皇帝を僭称しようとした賊」としてその首をこちらに贈ろうとしてきたらしいが、その道中で劉虞の元部下の尾敦がそれを奪い、墓に葬ったようだ。


 このあたりは曹操の部下が情報を集めてきてくれている。


 昔は情報収集も全部自分の人脈からなどでやっていたことを考えると、本当に曹操が居てくれるのは助かるな。


「劉(虞)伯安は理想をおいすぎて地に足がつかず処刑されたか。

 しかし、公孫(瓚)伯圭の行動で民心は彼から離れたろうな」


 最終的には先に公孫瓚の命を狙って軍を動かしたのは劉虞であるのだが、公孫瓚以外傷つけてはならないという無茶な命令をだされて劉虞の兵はやってられるかと思っただろう。


 とはいえ劉虞は倹約・質素を信条とし、皇族の生まれながらも、民衆の事を理解し領地には常に善政を敷く公正清廉な人物として異民族も含めた人々の人望を集めていたし、冠が破れても新しい物に変えず、その穴を繕って使い続けるほどで、見た目清貧を貫いた徳のある人物であったという評判の人物に対して公孫瓚が無理難題を言って劉虞を処刑したことは士大夫や民衆への悪影響が大きすぎた。


 さらに、異民族嫌いな公孫瓚に対して鮮卑や烏桓などが造反を起こしているようだ。


 もっとも劉虞はその死後に家にいた妻妾たちが質素とは程遠い、美しく飾り立てた絹製の服を着ていたり、きらびやかな装飾具で全身を飾り立てていたりとかなり贅沢な暮らしをしていたということで、劉虞の清貧は見せかけだったと疑ったようではあるが。


 何れにせよこれで公孫瓚は孤立を深め部下に対しても猜疑心を持つようになっていくだろう。


 北方における情勢もほぼ決まってきたな。

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