河東郡太守としてとりあえず商売を繁盛させようか
さて俺は鮮卑の軍を打ち破ったことで、并州刺史から河東太守として出世した。
辺境の州である并州刺史より、司隷の郡の一つである河東郡の太守のほうが上なのだな。
一応四品官二千石とされているが実質的には中央の要職である三公、九卿につづく三番目にあたり相当高い官位であり、しかも行政権・徴税権・司法権・警察権・人事権などを持つことから私腹を肥やすこともたやすい。
本來であれば、軍事担当は別途に都尉が担当するはずだったりするんだが、実際は兼任することも多く、だからこそ俺は部曲を連れてきていたりもするんだ。
そして俺はやらんけど私腹を肥やすこともたやすいし、宦官の一族と結びついて好き放題することもできる、まあ俺は私腹もこやさないし、宦官の一族とは適当に距離をとっているけど。
宦官とは近づきすぎても遠ざけすぎても面倒なことになるのでな。
ちなみに史実においても并州刺史と河東太守は董卓は歴任してる。
并州全体の人口が約68万人、河東の人口が約57万人だから人口密度の差がすごいことになってたりする。
そして俺が河東太守として赴くにあたり、いわゆる清流派党人達や曹操は并州に残ってもらい、家族や私兵である部曲や賈詡は連れて行くという感じになる。
華陀もいちゃもんを付けられる可能性が高いのでとりあえずは并州に残ってもらう。
そのかわり弟子となるものを育ててもらい、鍼灸や薬の知識などがある程度身についたらこちらに弟子を送ってもらうようにする。
「じゃあ、ちょっと河東へ行ってきますよ」
俺がそういうと皇甫嵩がうなずく。
「うむ、いろいろと気をつけてな」
「そうですな、いろいろと気をつけましょう」
俺は河東へ向かい到着したら庁舎に入って、かるく部下から引き継ぎのようなものを行った。
「これから暫くの間よろしくたのむな」
「はい、よろしくおねがいします」
まあ上の人間はくるくる入れ替わるが、下の人間は地元の人間が継続してやるわけで、実際には一番上の人間はそこまで実務に関わるわけでもないとも言える。
「ああ、俺の食べ物には狗・豚・人肉は絶対に出さないようにしてくれ」
「かしこまりました」
食事に狗・豚・人肉は絶対出さないように料理人に言明してそれらを口にしないようにしてもいる、やはり気分の問題ではあるんだがやっぱ無理だわ。
ここで生まれてる有名な人物は関羽や徐晃などがいるがまだ彼らは未成年と生まれたばかりだろうから青田刈りにはまだちと早いな……。
また俺は出世したことに対して袁隗に礼となる品物と文を送った。
もともと俺の出世のきっかけとなったのは、段熲が推挙し袁隗が取り立ててくれたからだが、最近の段熲は中央に居座って宦官である王甫とベッタリなので、彼には文をあえて送らず、張奐の様子はどうなのかと言うようなことを匂わせて、俺は張奐派閥であると暗に示すようにした。
免職されるだけならともかく逮捕されて獄死とかしたくないからな、そして下で働いていたと言うだけで巻き添えで殺されるという事がよくあったりする時代でもあるから本当に怖いぜ。
漢時代の行政の単位は州、郡、県で更にその下には城塞都市として邑があって規模によって、郷もしくは亭と呼ばれ、さらに100戸程度の家ごとに堀や塀で区分けされそれは里と呼ばれている。
涼州や并州などは遊牧騎馬民族も多く開拓を行いつつ生活していることもあって城塞都市ではない場合も多いけどな。
で城塞都市の中心には市があり、商売や様々な布告、罪人の処刑などは市で行われている。
もっとも戦乱の続く春秋戦国時代は、住民は朝になると城門を出て田畑を耕し、日が暮れる前に城塞都市の中に戻るという生活をしていたが、比較的平和になった漢の時代には貧しい者は城壁の外に家を構えるものもいた
「市を活性化させるために涼州や并州から牛馬を連れてくるか。
あとは鉄製農具をなるべく安めに売りたいものだな」
賈詡がうなずく。
「それはよいですな。
このあたりであれば馬も高く売れましょうし、鉄製の農具をなるべく安く売れば田畑を耕すのも楽になりましょう」
こうして俺は市で安めに牛馬を売り、鉄製農具もなるべく安めに売らせることにした。
これで農作業が楽になりその効率が上がってくれればよいのだけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます