子供だった呂布が成人して挑んできたので受けて立った
さて、建寧3年(170年)并州刺史となったのを契機に俺は公的に孤児や片親となって生活が苦しいものを住まわせ馬術・弓術・格闘術などを教え込む救済院を作った。
将来的には兵士として、更に指揮官や軍師として才覚にあるものはそういった地位に取り立ててやれば俺の軍事活動にも役に立つと思う、最も軍師になるのはなかなか難しい気もするが。
ちなみに俺の息子や娘は死なずに成長しているが、まず上の二人には董超・董越と名付け、その下には董仁、更にその下には董忠、董義と名付けた。
上二人は俺の名前である卓と同じような並外れて素晴らしい人物という意味合いを、下の息子たちは兄を補佐するように八徳から名前をつけたのだ。
ちなみに呂布は孤児らしくはっきりとは生まれてきた年はわからないようだが、俺は永寿2年(156年)生まれとして扱っており、俺は前から息子といっしょに馬術を教えてる子供の中で呂布のように生活が苦しい者は屋敷に引き取って養育し、彼らは家族のように扱っている。
この時代異民族などに親などを殺されたり、親の病死などで孤児になる人間も少なくないが、本当に中央の宦官たちは全くそんな事はわかってないんだから困るぜ。
俺は成人式を迎える前の呂布に語りかけた。
「お前さんもそろそろ成人だな」
呂布が俺にうなずく。
「ああ、なんだかんだで俺の面倒を見てくれたあんたには感謝している」
「やっぱ俺のほうが強くなきゃ俺の下につくつもりはないのかい?」
「辺境では力がなければ生き残れないし、力のあるものこそが尊敬される。
それを俺に体現してみせたのはあんた自身だ」
呂布の返答に俺は苦笑する。
「まあ、その気持はわからんでもない。
じゃあ成人の儀式を無事通過できたら、その後また手合わせしてみよう」
「俺は以前の俺じゃないし、あんたも年をとってるが手加減はしないぞ」
「おうとも、全力でかかってこい」
こうして呂布などの数え15歳になったものは2月の寒い時期に辺境における隣村という遠距離を馬に乗って往復できるかを試され、女は家畜をさばき火で料理ができることを証明して一人前とみなされるようになるのでそういったことが試された。
そして無事に成人儀式を通過して来た呂布と俺は手縛で手合わせをすることにする。
「では行くぞ」
「よしこい!」
呂布が突き蹴を放ってきたので俺はその足首をとってかるくひっくりかえす。
「ぬわ!」
「うんだいぶ蹴りも鋭くなったな、だがまだまだだ」
体を起こして立ち上がる呂布。
「も、もう一回!」
「おういいぞ!」
今度は正面切ってタックルをしてきたのでさっと流して地面へはたきこんだ。
「ぐわ!」
「うん、ためらいなく足を取りに来たのはいいな。
だがちょっと直線的すぎるぜ」
その後も拳での突き、体ごとのぶちかましなどを狙ってきたがおれはササッと受け流して呂布をそのたびに地面に転がした。
「な、何故だ、俺は十分強くなったはずだ」
「ああ、お前さんはたしかに強くなった。
俺は力だけなら負けるようになったろう。
だが、正面から受け止めずに、力をいなすことが出来るのが今の俺とお前さんとの違いさ」
少し悔しそうに呂布がいう。
「俺もいずれはそうなることが出来るのか」
「それには努力と経験も必要だがきっとお前さんなら出来るようになるさ」
武術というのは身体が衰えてもその経験を生かして攻撃を受け流すことで年長者が若年者より優位に立てるものもある。
この時代の武術は合戦のときに役に立つような技術であるからこそ、長年の修行をして地道に成長をつんで、準備万端な状態でそれを使用する状況に持ち込むことは難しいわけで、初心者でもある程度は即効性のある鍛錬や技術も必要だし、逆に年令を重ねても負けないための技量も必要とされる。
体力や敏捷性が落ちてる分は、行動予測などで補わなければならない。
そうでなければ高齢になっても戦場に出続けることはできないからな。
「……わかった、俺は貴方を我が主として認めよう。
そして俺は戦いにおいて俺と貴方のために武功をあげよう」
「おう、そうしてくれると助かるぜ」
ま、そんな感じで俺は呂布を俺の下で戦うことを認めさせたわけさ。
「じゃまあ、皆の成人を祝して、酒を飲みながら食事にしようぜ」
「ああ、それはいいな」
その夜は羊肉をじっくり煮込んだ羊羹を皆でくったり酒を盃を回しながら飲んだりして、成人したものを大いに祝った。
張遼や高順と言った呂布の下で活躍した面々はまだ成人していないがいずれは彼らも加わる予定だ。
曹操に呂布ときたら後は幽州の劉備たちをできれば配下に加えたいな。
もっとも劉備は延熹4年(161年)生まれで関羽と張飛は劉備より年下だろうからまだしばらく先になるけどな。
そしてもうひとりと有名な英雄候補としては江東の孫堅がいるが、さすがに彼はちと場所が悪いから会いに行くのは難しい気がする。
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