元嘉2年(152年)
智謀の士賈詡文和との出会い
さて、輪作農法の結果を確認しているうちに五年たち元嘉2年(152年)になっていた。
もうしばらくすると専横を極めた梁冀が九族皆殺しにされたりその後宦官勢力に批判的な清流派士大夫らを宦官が弾圧する党錮の禁もそう遠くないがやはり涼州ではあんまり関係はない。
涼州三明の段熲、皇甫規、張奐と言った名将と呼ばれる人物と接触しようにもまだまだ成人前の俺では無理だしな。
俺は父さんに輪作の結果が成功であり耕作放棄地の再耕作は可能であることを報告して、その結果として昔に重度な連作障害の結果作物が育たなくなって放棄されていた場所も蓮華を植えて牧草の確保と土壌改良・地力回復をしながら雑草を焼き払い再度耕作を行うことで作物の全体的な収穫量を増やすことに成功していた。
まあ名声は父さんのものだが別にそれでいい、結果としては優れた父を持つということで俺の名も上がるのだから。
そしてうまれた弟もすくすく元気に育ち馬術や弓術などとともに子供では数少ない象棋の遊び相手にもなっている。
遊び仲間には張繍なども含まれてるんだがやっぱ脳筋なんだよ。
なので象棋は県の役員などの脳筋でない大人にせがんで遊んでもらったりもしてる。
「たまには別の人達とも遊びたいね兄ちゃん」
「そうだな、この辺の連中は皆馬に乗ったり弓を射たりすることのほうがすごいと思ってるしなかなか覚えてくれる人間も少ないよな、やれば面白いのに」
とはいえ体育会系の考えるより殴るほうが早いという連中ばかりだからしょうがないがなかなか象棋の腕のいい人間がいないのはいまいちつまらない。
そんな事を考えていたときにやってきた一人の少年がいた。
「董仲穎殿はこちらにいらっしゃいますか?」
「おう、俺がその董仲穎だがお前さんは一体誰だ?」
「失礼しました、私は賈文和と申すものです。
高名な仲穎殿にお会いできて光栄です」
ほうわざわざ賈詡が俺のところを訪ねてきてくれたのか。
彼は西涼の出身で董卓・李傕・段煨・張繍・曹操・曹丕に使え魏の重臣としても活躍した智謀の持ち主。
李傕・段煨・張繍達は董卓の娘婿である牛輔の部曲で実質上の配下だったのだが、それぞれ独立した勢力になりそれぞれ潰れていったのだが、今子房やら今陳平とも言われる才能を持ちその才能で長く生き残った人物だ。
「ほうほう、でいかなるようにてやって来られたのですか?」
「はい、董仲穎殿は象棋を嗜まれると聞きましてぜひ対局してみたいと」
「ほうほう、じゃあまずは弟の叔穎とやってみてくれ。
年も同じくらいだろう」
「かしこまりました」
そうして賈詡と弟の董旻が象棋を指すことになった。
「うーん、じゃあ、ここで」
賈詡の腕はなかなかで董旻が追い詰められてるな。
「ではこれで終了だね」
「あーまけちゃった、にーちゃん」
「よし、じゃあ次は俺の番だな」
俺は弟と入れ替わって象棋を指すことになった。
「ふむ……」
「ならば……」
お互いなかなかの長考になってしまいなかなか進まないが流石に頭が良い。
とはいえ人生経験の差でなんとか勝つことはできたがな。
「やや、賈文和は神童と呼ぶにふさわしいな」
「いやいや、わたしなど董仲穎殿の足元にも及びませぬよ」
「また、時間がある時訪ねてきてくれ、強い相手とやれるのはやはり楽しいものだ」
「わかりました、ぜひこちらからもおねがいしたいと思っておりました」
こうして俺は賈文和と象棋を通じ知り合い遊ぶ仲になったのだ。
脳筋ばかりの涼州ではなかなか得難いし助かったぜ。
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