ハーレム(エロ)(おススメ度★)
妄想の中でいたぶられるほど遠回しな暴力はない。
これから書くことは、前の会社であった話だ。
別の部署に、Aさんという、今でいうキモオタ系の人がいた。
オタクでも面白い人や最低限のコミュ力のある人は、決してキモオタとは呼ばれない。
Aさんはかなり有害な人物で、新卒の子にセクハラをしているような人だった。
セクハラはよくない・・・俺の後輩でセクハラで会社をやめた子がいたし。
前の会社は女性が多かった。職場の半分は女性だった。おばさんもいたけど、女性は結婚でやめていった時代だったから、若い子が常に補充されていた。
そこはAさんにとっては、パラダイスだったのかもしれない。
Aさんは休憩時間に、エッチ系の美少女育成ゲームをやっていたりした。
傍にいて気持ちが悪かった。
さらに、Aさんは趣味で漫画を書いていると公言していたが、仲の良かった同僚B君が、これがAさんの作品じゃないかというエロ漫画をネットで発掘してきたのだ・・・。俺もそのリンクを見てみたが、相当マニアックな画風だった。
今でいう陰キャの若手社員が、オフィスでモテモテという設定で、ほぼ実名で女子社員キャラが複数登場していた。うちの会社は一般職はコネか顔採用だったから、かわいい子ば多かったのだが、Aさんの妄想の中でもて弄ばれていると思うと気の毒だった。
俺はB君に「Aさんがかわいそうだから、黙っててあげれば?」と言った。Aさんは障碍があって、いろいろ気の毒な面もあったからだ・・・。それに、特にAさんに恨みはなかった。
Aさんの作品で、ヒロイン役はC子という女だった。俺の同期だ。スタイル抜群で元モデルで巨乳。普段はきつい性格だが、二人の時は甘えてくるという設定だった。実際のC子は巨乳ではなかった・・・。二人が隠れて付き合っているのに、それを知らない他の女たちが、Aさんの気を引こうとして、セクハラを仕掛けてくる。C子は嫉妬深くて、A君にいい寄る女には陰でお仕置きする。女たちは、仕事が終わった後に更衣室で羞恥プレイを仕掛けられ、悶絶する・・・というのがお決まりの展開だった。
Aさんの作品を読んでいると、俺まで虚構と現実の区別がつかなくなって来るから不思議だった。俺は、半年ほどAさんの作品を楽しく読んでいた。面白いと賞賛のコメントも送ってやった。
ある時、Aさんと俺が仕事でもめたことがあった。Aさんははっきり言って仕事ができない人だった。客と約束した期限にAさんが仕事を仕上げていなかった。それで、俺は切れてしまい、Aさんにクレームを入れた。
でも、怒鳴ったりしたわけではなくて、ただ「ちょっと困るんですけど・・・先週から何回も確認してたじゃないですか。今からやってください。明日、朝一で持ってくんで」と言っただけだった。
それから、Aさんに恨まれてるんじゃないかと心配になって、毎日Aさんの漫画を開いていた。
すると、その週末、新たな登場人物が出て来た。会田君だった。仕事ができないくせに、ブランドづくめで、自慢話ばかりしている新入社員という設定だった。地方出身で訛ってるくせに、C子にちょっかいを出してくる。制裁のために、2人でお仕置きするという内容だった。会田君は休憩室に全裸で吊るされてしまった。
そして、会田君はかっこつけてるけど、実は童貞で、フィリピンパブに通い詰めて借金まみれだと自白させられていた。
俺はむかついたから、Aさんの作品をプリントアウトして人事に送り付けてやった。
それから、しばらくしてAさんの作品は削除されていた。
でも、Aさんは会社を辞めておらず、異動になったりもしなかった。
たぶん、人事の人だけしか、そのエロ漫画の存在を知らなくて、社内で噂にもなっていなかった。
Aさんは図太い性格で、まったく反省していなかったんだ。
今でも、彼の作品には、嫌味でかっこつけの
しかし、俺はどこにも訴える先がないのだ・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます