従業員のいないレストラン

「何名様ですか?」

 レストランに入るなり、モニターが問いかけてきた。

 僕はモニターの名前欄に「ミヤノ」、人数欄には「1」と書いた。


「それでは20番の席までどうぞ」

 モニターにうながされ、僕は一人で20番の席へ座った。


 そのレストランには、従業員は一人もいなかった。

 お客さんはタブレットで好きなメニューを探して注文する。僕はハンバーグセットを頼んだ。

 店内では空飛ぶプレートが、いろんな料理を乗せて店内を行き交っていた。

 お客さんは自分のテーブルにきたプレートから、料理をセルフで取る。


 自分で動く手間は少しだけあるが、デキの悪い店員にヘマをされるよりマシだろう。


 やがてハンバーグセットを乗せたプレートが僕のもとへ近づいてきた。

「電池切れ……」

 僕の席までもう少しのところで、プレートは死にかけのような声を出す。

 そして真っ逆さまに落ちた。

 飛び散った食べ物を見て、僕は唖然とするしかなかった。

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