ウソだろ!? こんなショートショートがいっぱい

STキャナル

いないいないばあ

夜中の自販機の周りには、誰もいない。

そう思ったときだった。


「いないいないばあっ!」

「うわあああああっ!」

 自販機の裏から、いきなり真っ白い人魂みたいなオバケが飛び出してきた。

 僕は思わず腰を抜かした。昔からある伝統的かつ典型的なオバケのフォルムなのに、驚きのあまりへたりこんでしまった。


「この辺に誰もいないと思ったでしょ? ここにいるからね! さみしいと思ったらまた驚かせてあげるから! じゃあね、オッサン!」

 オバケは調子良くそう告げると、自販機の裏へ素早く引っ込んだ。

 怖くなった僕は早足でその場を去り、以来その自販機を使うことはなかった。

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