VR) 逆ログイン現象

@Heineine

第1話

♦︎EX)逆ログイン現象


 VRゲームはリアルの感覚と区別がつかない程、発達した。

 極端な話、プレイヤーとNPCが恋をし、婚姻を結び、子を成すことさえ可能とした。

 プレイヤーはよりダイレクトな感覚を追求した結果、知覚矢に感応チップを移植し、特殊な電子信号を媒体とするニューロンの形成を得るに至った。

自我を得たVR世界の命の数々は、電子の海を泳いで、感応チップを得た少年少女たちの人格を乗っ取り始めた。後に巷では「逆ログイン現象」と呼ばれる事件が勃発する。


 それはある農業国を母体とする牧歌的なVRゲームだった。

 それはイベントの一貫に過ぎなかったのは間違いない。

 ただNPCとはいえ、まるで血の通ったような応答、対応をするものに惚れてしまうのは、生理学的にもしょうがないことと言える。

 あるプレイヤーが妻を娶り、子を成した。

 その子は父親となったプレイヤーの思考パターンや情動を電子パターンとして獲得し、結果、自我を持つに至った。

 NPCとプレイヤーの狭間に存在するものが誕生したのだ。

 現実のプレイヤーはよく出来たNPCだぐらいにしか思わなかったことだろう。

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