学校で冷酷姫と呼ばれる彼女が俺に告白した?!
夏帆宮 ツカサ
第1話 告白?
この学校には冷酷姫と呼ばれる女子がいた。
彼女の名は
容姿は、黒髪のロングヘアに瞳は薄い青空のような色をしている。
そんな彼女は、運動神経抜群、才色兼備、考査の時は学年1位から変わったところを誰も見たことがない。そして彼女の父親は、大手企業の社長でそのお嬢様だという噂なんかが流れている
そんな優れた人物が何故、
何度も男子の告白を拒否している内に彼女のあだ名は、冷酷姫になっていた...
「お〜い大丈夫か碧斗?授業終わったぞー」
「えっ...」
僕はいつの間にか古典の授業で眠ってしまっていた。今俺のこと起こしてくれたのは加藤一、中学からの友人だ。
「どれくらい寝てた俺?」
「10分ぐらい寝てたけど、先生にバレてねぇから大丈夫だろ」
確かに先生にバレなかったら大丈夫だろうけど…でも俺の隣の席には冷酷姫こと咲野梨里杏がいる。隣の席になるまでは微塵も興味が無かったのに梨里杏の顔を横目で見ているだけで好きになっていた。まぁ一目惚れというやつだ。そんなことを考えていると加藤が俺の考えていることを察したのか俺の方を見てニヤついていた
「ずっと授業中に咲野のこと眺めるぐらいなら早く告白しろよ。」
「無理。絶対に振られるのがオチだろうし嫌だね!まず、俺に告白できる勇気があったらとっくにしてるわ!」
今隣の席には、梨里杏はいないからこの話をしても大丈夫だけど、俺のことなんか梨里杏は、眼中にないだろうし…
俺の姿を見つめた加藤は、ため息をつきながら言ってきた。
「なぁー碧斗…。分かり切ってんだったら早く振られて忘れた方が楽だぞ。」
「確かにそうだけどな...」
正直加藤の言ってることも一理あるかもしれない。叶わない恋に振り回されるぐらいなら告白して振られた方が後々忘れられて楽かもしれない…
「分かったよ。俺、梨里杏に告白するよ..ずっとこのままだと学校生活にいつか支障が出そうだしな…」
「碧斗…お前そんなに梨里杏のことが好きなんだな」
俺にとってこの恋は初恋だ。だから失恋したらどれだけ辛いのかわからない。そのような不安もあるが、やらないで後悔するよりもやって後悔する方が俺は良いと思っている。
「それは良いとして俺は、どこで梨里杏に告白すればいいと思う?」
「それなら使われてない空き教室があるから、そこを使えばいいさ。あと人が通る可能性も加味して17時ぐらいに告白しろよ」
確かにあそこならほとんど人が通らないため告白するには絶好の場所だ。でもあの空き教室には鍵がかかっている。どう入るか考えていると、加藤が何か投げてきた。キャッチして確認してみると空き教室の鍵だった。
「おい...加藤これ空き教室の鍵じゃないか?!何で加藤が持ってんだよ!」
「あぁ〜その鍵は職員室から奪ってきた。いつ頃だったか?確か…高校に入学してすぐ、先輩に誰も使ってない空き教室のこと知ってこっそり奪ったんだ」
「何てことしてんだよ!先生にバレたらどうなるかっ!!」
まさか友人である加藤が盗みをはたらくとは思わなかった。でも理由もなしに加藤が、職員室から奪うとは思えない。心配になってきたので聞いてみる事にした。
「まぁ先輩から空き教室のことを知ったのはいいけど、何か盗んだ理由があるのか?」
「あるぞ…高校に入ってすぐ俺は、漫画やアニメにハマっちまってな。だからこの高校で一度でいいから、学校を抜け出したりサボったりするのに憧れてたんだ...」
「俺の心配を返せ!」
すごいロクでもない理由だった。二人で話している内に予鈴がなり教室に戻ろうと立ち上がった瞬間、加藤は俺の肩に手を置いてきた。
「まぁーとにかく頑張れよ碧斗!もしだめっだたら俺に言え。愚痴ぐらいなら聞いてやるから」
「何で、振られる前提で話してんだよっ!」
♢
教室に戻ってみると梨里杏は外の景色を見てただ一人黄昏ていた。今しか、誘いだすチャンスはない!俺は、深呼吸をし心を落ち着かせて梨里杏に話しかけた。
「ほ…放課後話したい事があるんだけどいいか...?」
「良いわよ。場所はどこ?屋上かそれとも体育館裏かしら?」
即答だった。梨里杏にとって告白の呼び出しはもう慣れているのだろうか
「3階にある空き教室で17時に待ってるから...」
「分かったわ、17時に空き教室ね」
なんとか誘えた…あとは放課後の告白が上手くいくかにかかっている。初恋が成就するか、それとも失恋になるかは、放課後になって決まるだろうな。緊張感のせいで午後の授業には全く集中できなかった…
そして放課後になり俺は、空き教室で梨里杏を待っていると17時丁度に来た。
「で話って何なの?」
「そ...それはな...おっ俺...」
やばいもう吐きそうなんだがっ!それにもうここから逃げたい!彼女の目を直視できない!俺は、梨里杏に告白するのを躊躇ってしまい目を逸らしてしまった。目を逸らした先には何かが飛んできているように見えた。
目を凝らしてみるとそれは野球ボールだった。
このまま飛んできたら梨里杏に当たってしまう!そう思った瞬間俺の体は動いていた。
「梨里杏!!危ない避けろっ!!」
「えっ...!」
ボールには気づいていない梨里杏は、俺が突然近づいて来たのに驚いたのかほおを紅潮させていた。そしてガラスの割れる音がしたと同時に俺の頭にボールが直撃した。その瞬間頭から血が流れ頭痛と立ちくらみで今にも倒れそうだった。
「碧斗君頭から血が出てる…早く保健室に行って止血しないと!!」
「梨里杏...俺はだい...じょ......う」
俺は、全身から力が抜けるように倒れてしまった。気を失う直前、梨里杏が俺の名前をなん度も叫んでくれたような気もしたが返答する気力も残っていない…
梨里杏に告白出来ず、俺の初恋は終わる...
これから先、この失恋をずっと引きずることになる。
でもいいや...野球ボールから、梨里杏のことを救えただけでもう十分だ。
だから
ーさよなら。俺の初恋...ー
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