溶ける感情流れる雨音
うみべあんず
1日目 もしも
もしも、
この雨が一生止むことがなかったら
もしも、
この雨でこの街が沈むとしたら
もしも、
この雨が刃となり、矢となり人を殺すのなら
僕はどれだけ心が晴れるだろう。
僕は元から晴れが好きではない
眩しいし暑いし、肌も焼かれる
ある意味病的に白いこの肌には日光はとても厳しかった。
外に出るのは夜だけだった
暗くて日光がないから自由に動ける
月明かりが綺麗で、星がキラキラと輝いている
そんな夜が僕にはちょうど良かった
そんな夜でも特に雨の降る夜が好きだった。
冷たくていつもより暗い雨の日
傘をささずに裸足で外に出る
コンクリートが、石が、
チクチクと足裏に刺さるその感覚すら僕は好きだった。
「そんな格好じゃ風邪をひいちゃうよ」
後ろから誰かに傘をさされる
なんだよ人が気持ちよく歩いてる時に
なんて言葉を押し殺して
「君こそ、こんな時間に出歩いていると危ないよ」
と声をかける
しっかりとは見えていないが見た目は僕よりも6つ下とかそれぐらいに見えた
まずまず夜中に出歩いていいような年齢でないのはあからさまだった。
家出少年かと思いながらも関係ないしなぁなんて考えていると、
「俺は大丈夫だよー。この時間にしか外に出れないから」
“この時間にしか外に出れない”
その言葉が僕にはとても引っかかった
もしかすると同じ境遇なのかもしれない
なんて期待と、興味を持った僕は顔を上げる。
少年の顔を初めて見た
金色の髪に色素の薄い目そして真っ白な肌
やっぱり。
僕と同類だった
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