第4話



 国道線沿いを歩いて駅に向かった。



 高校へは自転車を使っても行けるが、大体は電車を使う。


 自転車だと20分はかかる。


 20分もかけて毎朝自転車を漕がないといけないのは嫌だった。


 だから母さんに甘えて、今年の春に定期券を買ってもらったんだ。


 お願いした当初は自転車で行きなさいと突っぱねられたが、「電車通学の方が勉強が捗るやろ」って半ばキレ気味に反発したら、条件を提示してきた。


 1回でも赤点取ったら定期券を買わないから、と、交渉を持ちかけてきたんだ。



 私は絶句した。



 さすがの私も赤点は取らないだろうという安易な考えで「定期券購入条約」の契約書にサインしたが、高校の勉強は案外難しく、とくに英語が手に負えなくなってきている。


 この調子でいくと秋頃には順当に定期券を失うという危機に直面するが、そんなことになったら一大事だ。


 クソ寒い冬に片道20分の距離を走らないといけないなど……

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