第2話



 夏掛け布団をはぐり、時計を見た。


 見たところで朝は朝なのだが、自然とそこに視線がいった。



 「もたもたせんと、はよ支度しな」


 「わかっとる」



 洗面所で顔を洗い、冷めた目玉焼きを口に頬張る。


 母さんは毎日6時には起きてる。


 洗濯物とか、朝ごはんとか、父さんの支度の手伝いとか。


 冷めた目玉焼きの味は、さながら家事をこなす忙しい朝の味、と言ったところだろう。


 味は嫌いじゃない。


 どんよりした気分を、少しだけ晴らしてくれる程度には。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る