第15話 すれ違いざま

 雨の日の私は、人とすれ違う時に傘を上にあげる。大通りで人とすれ違う時は、必ず避ける側。友達と並んで歩く時は、後ろから来ている自転車の気配を察知し、身を引きつつ友達の安全を確保して道を譲る。それがなんだ、というわけではない。ただ、そういう人を見るとくすぐられる。そんな人とは、向き合いたいと思う。

 私はよく既読無視をされる。それは、私がつまらない人間だから。先に予定を入れていたのに後の予定を優先された。それは、私の優先順位が低いから。もう帰っていいよと言われた。それは、私がそばにいる理由も必要も無いから。

 別に大丈夫。私もきっと誰かの道を塞いでしまっているだろうから。口に出してしまえば肩がぶつかってしまうから。気にしてしまえば、歩けなくなるだろうから。

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