第12話 言葉の銃口
「痩せて綺麗になったね」
久しぶりに自分の写真をSNSに載せた途端、そんなコメントが殺到した。ドロドロとおぞましい何かが内から湧いてきて、吐き気がした。
武道館ライブ、全国ツアーなどを経て、徐々にアーティストとして知名度が上がるにつれ、アンチも増えた。ブス、デブ、ブタという言葉を浴びるのは日常茶飯事。ストレスからまともにご飯が食べられず、20キロも瘦せた。
「痩せたら可愛くなると思ってた」
「可愛い!どうやってダイエットしたの?」
奴らは自然と銃口を人に向け、発砲してくる。吐き気が止まらない。私はお前らのおもちゃじゃない。
「皆ありがとー!これからも応援してね!」
涙が勝手に溢れてくる。臓物が飛び出そうなくらい全てを吐き出したい。なのに、トイレに駆け込んでもなにも出やしない。
人間が怖い、気持ち悪い。そんな奴らのことを考えれば考えるほど、手が動く。歌詞が、メロディが軌道に乗る。
私は一体何なんだ。
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