幸せな結婚、隠された真実

ハル

第1話 幸せな結婚

「夏蓮、おめでとう」

「ありがとう」



幸せな結婚。


私、小木田 夏蓮(おきた かれん)。21歳。


仙道 広志(てんどう こうじ)23歳と結婚した。




仙道家と同居する事となっているんだけど…


そんな広志には、弟・昌輝(まさき)16歳がいる。


今時の高校生だ。


正直、結婚している私でも、弟の、第一印象は、正直カッコ良いと思う。


一番難しい年頃だから大変だ。




「昌輝君、ご飯だよー」



彼の部屋のドア越しから言う私。



「いらねーし」



ドアを開ける事なく返事する弟・昌輝君。



「駄目だよ!体に悪……」



ガチャ

部屋のドアが開く。




「うざーーっ!別に良いし!小さな子供(ガキ)じゃねーんだから!適当に済ませるし!余ったら皿にでも移せば良いじゃん!そんぐらい分かるだろう!?いちいち、人の干渉すんなよ!」



ドアを閉められた。



「………………」



私はリビングに行く。



「いつもの事だから」と、お義母さん。


「…そうなんですか…」




《成長期なのに》




その日の夜。



「ねえ…広志…一緒に…寝ない?」


「悪い、疲れてるから」


「…そう…」



結婚する前は身体の関係はあったものの、子供が欲しいと思わないのかな?


そんな事が脳裏に過る。




夫婦になって


夫婦関係がないのは


自分のものになった


安心感があるから?





ある日、私は仕事が休みの為、家の片付けをしようと、弟の部屋を訪れた時だ。


本来なら余り入るべきではないだろうけど…と思いつつも入って、掃除を始めた。


H本は、大体出て来るもの。


相手側からしてみれば嫌な気持ちかもしれないけど、私は気にしない方だ。




カチャ

部屋のドアが開く。



「うわっ!ちょっと!人の部屋で何してんだよっ!」


「えっ?片付けを…」


「辞めろよ!人の部屋に勝手に入んなっ!」


「いや…でも…ていうか…今日早くない?」


「そういうあんたこそ何でいんだよ!」


「私は仕事が休みだから…昌輝君は?」


「俺はテスト期間中だし!つーか、早く出て行けよ!」



私は部屋を追い出される。



「あっ!ちょっと!昌輝君っ!」



私は部屋を追い出され、手元の本に目が止まる。




「あっ!持って来ちゃった…」



私は本を返そうと再び部屋のドアを開ける。



「きゃあっ!」


「うわっ!」


「ご、ごめんっ!本っ!」




着替え中だった為、本を投げ入れた。





それから一ヶ月が過ぎ――――




「…夏蓮ちゃん…良く飲むわね?」

「…もう…ストレス溜まっているんですよーー」




仕事先の先輩と飲んでる私。


旦那が出張という事もあり、正直、羽を伸ばしているのだ。


別に旦那がいないからと言って嫌いになったわけではないけど、夫婦関係もない不安な毎日の中


同居しているのもあり、仕事が終わったら真っ直ぐ家に帰る習慣の今


正直、ストレスが溜まる。 




「夏蓮ちゃん、余り飲むとキス魔化しちゃうわよ」


「えっ…!?私がですかっ?」


「その反応、自覚してなかったのね?」


「今、初めて知りました。でも一層の事、酔った方が良いですよ」


「えっ…?」


「私達…結婚して夫婦関係が、一切なくなってしまって…」


「…えっ…!?嘘でしょう!?」


「本当なんです」


「この際、本当、酔った方が良いですよ」



「………………」



「ごめんなさい…こんな話…」

「よーし!じゃあ、とことん飲みなさいっ!」

「先輩…」

「ねっ!」




私達は飲んで飲んで飲みまくった。




その結果、フラフラと寝床に行く。



ドサッ


ベッドに横になる。




「うわっ!ビックリした!」

「あれぇ〜、広志ぃ〜、帰ってたんだぁ〜」

「いや、俺、弟だし。兄貴ならまだ帰って…」




キスをする私。



ドサッ

倒れる私達。



「スー…」


私は寝息をたてて眠りに入った。




「おいっ!ちょっと!」

「ねえ…広志…H…しよう……」

「言う人間違うし!」



私は寝言のように言うと結局そのまま眠っていた。





「キスして寝るなよ!全く!」




―――― 朝 ―――――



「んーー…」



寝返りを打つと私の目の前に背中があった。




「広志…?」



私は聞こえるか聞こえないくらいの声で名前を呼ぶ。




《私達…昨日…したのかな?》



全く覚えていない。




「広志…」




グイッと手首を掴まれ押さえつけられ、私の体に優しい重みを感じる中、至近距離に見える顔に、ドキッと大きく胸が跳ねる。




「ま、昌輝君っ!?えっ…?」



状況が飲み込めない。



《私、昌輝君と?いや…まさか違うよね?》



「飲むな!とは言わねーけど、しっかりしてくんねーと困んだけど!?」


「…ご、ごめん…」


「兄貴が出張だったから良かったものの…キスして寝るの辞めてくんね?」


「キスしちゃったんだ…私…。でも減るもんじゃないでしょう?今時の高校生がキスごときに。昌輝君、カッコイイから彼女いるだろうし」



「………………」




私の上に股がった。



ドキッ




「あんたが飲んで酔ったらの癖、兄貴知ってるわけ?」




上から見られる視線に何故か胸がドキドキ加速する。




「…それは…」


「とにかく、ここの部屋から出てってくんね?」



そう言うと私から離れる。



「ご、ごめんっ!」


「後っ!兄貴と俺の前での性格違う気がすんの気のせいじゃねーよな?あんたの性格、結婚してるなら兄貴にもっとありのままを出した方が良くね?」



「そんなの…」



私は慌てて部屋を出て行った。



「全く!」






   

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