アダルトチルドレン

競輪野郎

プロローグ

アダルトチルドレン、そう診断されたのはつい先日のこと、私は最近職を変えたのだ、約12年も間キャバクラの黒服をしていた、休みもあまりなく月に2度ほどだ、今はイタリアンのダイニングバーに勤めている、給料は前職とくらべて手取りは3分の1になった、それでも私は満足している、何故かって?答えは簡単、私こと高野透(たかのとおる)36歳そこそこのおじさんだが今が人生の絶頂期だと思うくらい楽しいのだ。

今の職に就く前にふと自分のことを振り返ってみた、(俺って考えたらキャバクラでしかまともに働いたことがない、もしかしたら自分が知らない合ってる職があるかも)

と考えた、職業適性テストという項目をネットで検索したら近くの心療内科でやってるではないか!早速予約を入れて日時を決めて当日になった、(中学か高校以来だよなぁ、心療内科に来たのって…)

ん?忘れてた?いや…思い出したくないんだ、そんなこと考えたら受付の人に呼ばれた[高野さーん、お入りくださーい。]

診察室で待っていたのは自分より少し年上な感じの先生だった。

私は[よろしくお願いします。]と挨拶をして先生も[よろしくお願いいたします]と返した。

[今日は職業適性テストを受けたいと伺っています、そちらでよろしいですか?]

[はいそうです。]

[それでは始めますね。]

先生は1枚の紙を渡してきて説明を始めた、そんなに難しいテストではなく淡々と先生の質問に対して答えを紙に書いていく物だった。

1時間しなかったかな、その日はテストを半分だけやって残りは後日になった、そして後日、テストをやり遂げたあと結果が出た、まぁ予想通り接客業などが向いてる結果となった。

会話もそろそろ終わりに差し掛かったときに私は先生にお願いをした。

[今度普通に診察してもらえないでしょうか?]

唐突にそんなことを言ってしまった、何でだ?自分でも不思議と思った。

ただ1つ言えるのは私はキャバクラで働いてた経験で人を見る目はあると自負してる。

この先生はフィーリングになってしまうが信用出来ると自分の中で断言してしまった。

先生の名前は宮地悟(みやじさとる)

宮地は唐突に言われたにも関わらず平然とした表情で言葉を出した。

[大丈夫ですよ、それでは日にちと時間を決めましょう。]

お互いにスケジュールを擦り合わせて次の通院日を決めた。

その帰り私は何であんなこと言ったんだろうと眉間にシワを寄せながら帰宅した、誰もいない自分の部屋、8畳の1Kにあるのは少しの荷物と大量のライトノベルの数々テレビはなく冷蔵庫と洗濯機だけの部屋、心の中で(ただいま)と声をかけて座椅子に腰を掛ける。

時間は16時回ったくらい、まだ読み終わってないラノベに手を伸ばしてページを捲る、少し眠気が来たところでウトウトし始めて終いには目を閉じてしまった、[たすけて!]といないはずの小さな子供の声が聴こえてパッと目を開ける時間は17時すぎ、(幻聴かぁ…)

ラノベを元の位置に戻してお腹が空いたのでご飯を買いにコンビニまで歩く。

(たすけて)かぁ、そういえば小学校のときあったなぁ…自分の声と小さな子供の声が頭の中で重なる、(たすけて!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

アダルトチルドレン 競輪野郎 @KEIRINYAROU

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る