勇者パーティを追い出された俺、実は魔王を倒すためのチート能力を持っている事がわかりました。今から世界を救いにいきます

あずま悠紀

第1話

ジャンル:異世界ファンタジー

タグ:異世界転生.主人公最強.剣と魔法.戦記.美少女.ライトノベル.ハイファンタジー.バトル

タイトル:『勇者パーティを追い出された俺、実は魔王を倒すためのチート能力を持っている事がわかりました。今から世界を救いにいきます』


「なるほど、なるほど」

(確かに王道テンプレ展開だが面白いじゃないか)

あらすじを読み終え俺は感心したようにつぶやいた。

(ただこの物語が面白いかどうかについては、まだなんとも言えない)

俺も本は読むが、あくまでも趣味の範囲内だ。その道のプロには到底敵わない事は知っている。

しかし、そんな事よりも気になる事が一つある。

それは俺がこの作品を投稿サイトで読んだ事があるという点である。

つまりこの作品を知っているのだ。だから面白いかどうかはさておき、この作者がどんな物語を考えているのかが気になっていたのだ。

(確かこれは三作目のはずなんだが、二作目まではなかったんだよなぁ。それにしてもこの人ってこんなキャラじゃなかった気がするんだけど、何があったんだろうか?)

そう思ったものの考えても仕方ないと思い直し読み進めたのだが、一巻目ですでに嫌なものを見た。

(え?これってまさか)

俺の心の中を読んだかの如く物語は進んでいった。

主人公がパーティを追い出されるシーンはそのまま俺の人生であったシーンをそのまま再現していた。

そしてその後の行動も、ほぼ俺と同じである。

(うわぁ~。なんか...。)

その時だった。突如、目の前で閃光が発せられて、意識がぶっ飛んでしまった。

「ようこそ、異世界への入り口へ」

「ここは?」

(一体どうなっているんだ!?あの女はなんなんだ?)

目の前にいる少女は俺をじっと見つめた。

(まあいい。取り敢えず今はここが何なのか聞くしかないようだな)

「すみません。ここはどこですか?」

俺の声を聞いた途端目の前の少女の顔が綻び嬉しそうな声を出した。

「ああ、良かった!!目が覚めたんですね。本当に心配しましたよ。なかなか目覚めないので私泣きそうになってしまいました」

そう言って目に涙を浮かべる彼女に少しだけドキッとしてしまう自分がいた。

(まずいなぁ。ちょっと可愛いかもしれないと思ってしまいそうになったぞ)

いかん、いかん!相手は高校生位の子供だろうが!! 俺は自分の頬を思いっきり叩く。よし落ち着いた!

「えっとそれで、ここは?」

すると彼女(?)は何食わぬ顔で言うのだった。

「私は、あなたのいる地球とは別の世界を管理する女神です。そして今貴方がいる場所はその世界へと繋がる門のある場所です」

一瞬彼女の言った意味がわからずに首を傾げてしまう俺を見てさらに彼女が付け加えた。

「貴方には、私が作り出したこの世界の勇者として魔王を倒して貰います!」

(何を言っているんだろうこの子は?)

「貴方が、この世界に来たのは2度目。つまり、前回、あなたの属した魔王を倒すために組まれた勇者パーティーにおいて追放され、それから断念されて、現在に至ります。あなたには再度、その授けられたチート能力をもって魔王を倒してもらいます」

全く訳がわからないといった感じだったが取り敢えず疑問点を一つ一つ解消していかなくてはならない。

そこで俺はまだ確認していない事に気がついた。

まずはこの子の容姿についてだ。金髪碧眼に整った鼻梁を持つ顔立ちをしておりまるでフランス人形のような愛らしさを放っていた。

ただ一つ難があるとすれば背丈が低いことだ。小学生にしか見えないような容姿なのだが胸は大きいようでかなり目立つ。

服装については白を基調とした布地に金色の縁が入った上着のようなものを着ておりその下に水色の上着を重ねていた。スカートの色は黒である事から何か意味があるのだろうかと考えを巡らせるが特に思い浮かぶものはない。

そんな事を俺が考えこんでいる間にも彼女は話しを続けていたようだが途中から話が全く耳に入らなくなってしまった。それほどに目の前にいる女の子の事が気にかかって仕方がないのだ。

(ヤバイなぁ。ロリコンではないはずなんだけれどなぁ)

俺の頭の中には既に彼女の事で一杯になっており思考は完全に停止してしまっていた。しかしそんな状況でも話は進んでいるらしく彼女の説明が続いていた。

しかし次の瞬間、俺の脳裏には一つの閃きがあった。

(待てよ?この状況って俺の願望そのものなんじゃないか?それなら俺にとって最高じゃないだろうか)

(そうだよ。別にロリコンじゃなくてもこの見た目なら関係ないじゃん)

俺の中で新たな道が開かれようとしていた時であった、急に強い光に包まれて視界を奪われる。

(何が起きた?さっきからこの子が何かをしているようだけど一体どうなっているんだ?)

光が消え、視界を取り戻すとそこには俺が先程想像していたものが現実になっていた。

それはまさに理想的とも言えるものであった。俺には彼女しか目に入らずその事だけが脳内を埋め尽くした。

(ああ、これが、これが、ハーレムという奴か!!)

「なあ?あんた。名前なんて言うんだ?良かったら俺と一緒に冒険の旅に出てくれねえか?」そう言って手を差し出す俺。俺の差し出した手を笑顔で握り返してくる。

しかし俺の心の中は大パニックで溢れかえっていた。

(うおおぉお!!!マジかよ!?まさか俺が本当にこんな事になる日が来るとは)

俺の中では美少女に囲まれた生活というものを強くイメージしていた為か、それが実現している今の状況はまさに奇跡だと言える。

(くそ!やべえな。何だよこれ!)

興奮が止まらない俺は、思わず叫んでしまった。

「ありがとうございまぁぁす!!」

「ふぇ??あのぅ」

突然叫ばれ驚いたのか、戸惑っている彼女に俺は言葉を続けた。

「実は俺さ、勇者パーティにいたんだが追放されてさ、困っていたんだよ。俺の力が必要なんだろう?」

「えっと」

(おいおい、早く答えろよこいつ。せっかく助け舟を出してやってるんだぞ)

「だから、お願いします!」

俺の心からの懇願に戸惑いつつも口を開いた。

「わ、わかりました。あなたを勇者とし、異世界へ送り届けます。そしてあなたが魔王を倒した暁には、元の世界でもう一度勇者として生きていく権利を与えましょう」

(やった!!ついに俺の夢が叶うときが来た!!もう二度とあんな目に遭わされることはないんだ)

俺は天に向かって叫んだ。

「ありがとう神様ー!」

こうして、俺こと佐藤裕司(さとうゆうじ)は二度目の異世界転生を果たすことになった。

「はっはは。これからどうしようか?」

異世界に召喚されてから数日が経ったある日のこと。俺はまだ元の世界に戻る方法を模索していた。

(取り敢えず俺が追放されたあの場所まで戻れば何とかなるんじゃないだろうか)

そんな淡い期待を抱きつつ転移用の魔道具を探すべく街中を歩き回る俺だが一向にそれらしきものは見つからないでいる。

(まあ、まだ時間はたっぷりある。気長に探せば良い)

それから数日間は特に何事もないまま時間が過ぎ去っていった。

そして俺はいつものようにギルドで仕事を請け負おうと酒場に入ったのだが。

「いや、本当に参ったよ」

「そうかい。まあ、あんたが無事に戻って来たんだから良かったよ」

カウンターの向こう側で女将さんが豪快に笑っている。

「全くだ。お前がいなくなるまでは散々だったぜ」

「ほんとですよ。あの勇者パーティーが魔王退治に行くっていうから皆んな張り切ってましたけどね」

「いなくなってから気づいたんですよ。あれが偽物だった事にね」

他の客たちも次々に声を上げる。

俺はそんな彼らを見て苦笑いをするしかなかった。

(まさか俺が追放された後、本物の勇者が現れたり、俺を追い出そうと画策されていたとは夢にも思わなかっただろうな)

彼らは今頃、魔王退治のために旅立ったはずだが大丈夫だろうか。

(俺のせいで酷い目に遇っていないと良いんだけど)

そう思った俺は少し心が苦しくなった。

(あいつらはどうなったのかなぁ。元気でいてくれないと嫌なんだよ)

それから数日後。

魔王軍との戦争が始まり勇者たちが魔王軍の猛威から街を護ってくれたのだが、戦争が終わると今度は魔王軍と人類の間に亀裂が生じ、お互いに大きな傷を負う事となってしまった。

(あの時は凄かったなぁ。勇者たちのお陰で街の被害も最小限に抑えられたし、何より魔王軍に壊滅的なダメージを負わせたのは大きかった)

俺がそんな事を考えている間に話は続いていたようだ。

「だから言ったんだ。俺には勇者としての資格は無いってな」

どうやら勇者の一人のようだが一体どういう話の流れになっているんだろうか。気になったので聞き耳を立てることにした。

「しかしなぁ、まさかあんな方法で魔王を倒す手段を見つけ出してくるなんてよ」

「ええ。驚きですね。正直に言って信じられませんでしたよ。でもこれでようやく私達は解放されるんですね」

「ああ、魔王を倒してしまえば俺達の勝ちだ」

「そうだな。後は任せたぞ勇者様よ」

どうやら彼らの話を纏めると魔王を討伐すれば勇者に仕立て上げられた俺は元の世界へと帰還することができるらしい。

(やっと帰れるかもしれないな)

そう思うと嬉しくなってきたが同時に寂しさも込み上げてきた。

俺は勇者達との別れの時を思い出した。

そう。あれは確か二年前の事だ。

「よう!またあったな」

勇者たちは街の外れにある墓地へと来ていた。

そこに眠る人物こそ彼らが勇者として選んだ人物であった。

「じゃあそっちの子はよろしくな」

「わかっております。こちらのお二人はしっかりと私が守りますのでご安心ください」

護衛の者が恭しい態度を見せる中、一人の少年が墓の前に立っていた。

「それじゃあ行ってくる」

その人物は一言呟き背を向けた。

「待ってくれ」

そんな彼に勇者の男が声をかけた。その顔はとても切羽詰まったものだった。

「なぁ俺には分かるんだ。こいつらには何もできないんだって事がさ。頼む!俺たちを助けてくれないか」

その言葉を彼は首を振って否定した。そしてそのまま歩みを進める。

「おい待てって!」

「悪いがもう決めたんだ。俺は俺の道を選ぶよ」

それだけ言うとその少年は振り返る事もなく去って行くのだった。

俺はその後姿を見て複雑な心境だった。

(全くどうしてこんな事になってしまったんだろう)

確かに彼らには何度も迷惑をかけられた。でもそれが嘘だなんて知らなかったんだ。騙されてしまったんだ。

それからしばらくして勇者達が帰還したという話を聞くが俺は会いに行くことができなかった。そしてそれから暫く経って俺の元へ手紙が届いた。

『この前は申し訳なかった』

その一文を読んだ時俺は泣いた。今までずっと俺を支えてきてくれた人たちからの謝罪が綴られていた。その気持ちが痛いほど伝わってきて俺はただ泣く事しかできなかった。そしてそんな俺を心配した友人は俺の為に泣いてくれた。

俺はその日、初めて自分がしてしまった罪の深さを知った。

(きっと彼らは今必死になって生きているのだろうな)そんな事をぼんやりと考えている俺に酒場にいた男の声が聞こえてきた。

「それにしても、本当にあの方法は上手くいったなぁ」

俺はハッとなって男の方をみた。

「まさか本当にやるとは思いもしなかったが、あの坊主もよくやってくれたものだよ」

そこで俺は理解した。

(まさか、この勇者達は、本当に?)

俺は、慌てて店を飛び出すと一目散に教会を目指した。そして教会の礼拝堂に飛び込むと大声で叫ぶように問いただした。

「すみません!あの勇者様方って、本当なんですか!?」

「あ?なんだいきなり」

「良いから教えてください!!」

俺は真剣な態度で頼み込んだが相手はあまり乗り気ではないようだったが、渋々ながら答えを返して来た。

「ああ、あの勇者一行か?あいつらなら魔王を倒して世界を救った後に、どこかへ姿を眩ませたな」

その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かが弾けたような気がした。

(そうか。そうなのか)

俺は静かに教会を出ると再び走り出した。行き先はもちろん元の世界へ帰る事ができるという場所へだ。

しかしそこは俺一人では到底辿り着けるような場所では無くなっていた。

(仕方ない。俺にはこれしか無いんだよな)

そうして俺が辿り着いた先はとある山の奥であった。そしてそこにあったのは祠と呼ばれるものであった。その祠には扉が付いており、その扉には鍵が掛けられていたが既に俺はその場所に辿り着いていた為問題なく開ける事ができた。

(ここか。まさかこんな所に本当に入口があるだなんてな)

そう思って中に入ると、その先もまた別の空間が広がっていた。しかしそれは洞窟のようなものとは違い、不思議な模様が描かれている円状の石が敷かれた床の上に魔法陣らしきものが浮かんで光っていた。

(ここに入れば良いんだよな?まあ、どうせもう引き返せないんだ)

俺は恐る恐るといった感じで魔法陣の中へ入ると、徐々に意識が遠のいていった。

こうして、佐藤裕司こと俺は勇者召喚に巻き込まれた。いや、俺が勝手に首を挟んだんだから自業自得といえばそうなんだが、それでも俺は自分の意思を貫き通したいと思ったんだ。例えそれで命を落とす事になったとしても。

目を覚ますと、そこには懐かしく思える街並みがあった。俺が初めて見た異世界の風景である。しかしそこに俺を歓迎する人は誰一人いなかった。何故なら俺は勇者ではなかったから。いや、正確に言えばもう勇者として生きていく事はできなくなってしまったんだ。

(まさか魔王を倒した勇者が偽物だとは夢にも思わなかっただろうな)

こうして俺は勇者ではないという事実を突きつけられたまま、魔王を倒すために立ち上がった元パーティメンバー達に捕らえられることとなった。しかし、勇者に成りすましていた者達も本当の魔王に倒され、俺も殺されそうになるが何とか逃げ切ることに成功したのでこうして俺は元の世界へと戻ってきたのだ。

(取り敢えず元の世界の金を手に入れないと生活もできないから、まずはそれを探さないと)

そしてしばらく歩いていくと人の姿を発見した。

「すみませーん」俺はそう声をかけながら走って近寄った。すると向こうは驚いた表情を見せつつ剣を構えているではないか。

「なっ!お前何者だ?」

そう問われたので俺はこう答える。

「俺か?そうだな。俺の名前は鈴木一郎(すずきいちろう)だ」

「ふざけてんのか?」男は怒りを含んだ口調で言ってきた。そりゃあそうだよなぁと内心思う。

「いいや。これが本名だ。それよりも少しばかり困っているんだが金をくれねえかな?」

「誰がやるもんか」当然の如く拒否される。まあ、それもそうだよな。でも、このままでは俺は餓死してしまうのでどうしようもないのだ。

「いや、本当に困っているんだよ」そう言いながらもなんとかならないかなぁと考えを巡らせる俺に、突然後ろの方で怒号が響いた。

「なにをやっておるのじゃ!!!」

どうやら俺達の後ろに誰かがいるようだ。

振り返るとそこには小さな老人が立っていた。

その人物を見た途端に目の前の男たちの顔色が変わり始め「げ!まさかこんなところで出会うとは」「まずいな。逃げるぞ」そう言うと足早に去っていった。

(ええ!ちょっと!!置いてかないで!マジでピンチだから!)

だが無情にも俺の言葉は虚しくその場に取り残されたのだった。

「おぬしも早くここから立ち去るんじゃ!」

俺の事情を全く考慮せずに話しかけてくる老婦人に俺は戸惑いを隠せなかった。

(どうすりゃ良いんだ?)そんなことを考えていると老婦は続けて喋りだしてきた。

「わしはこの国の王でのう。まさかこの国に魔王がやってくるなど思いもしなかったのじゃ」

その話を聞いている内に俺は思い出した。この国こそ俺が勇者パーティーに加担した時に魔王の居場所を教えてくれた親切な老人がいた国だという事を。その事を思い出していたらつい顔に出てしまったようだ。

「まさか、覚えておいでのようですな」そう言って王は笑顔を見せたが、俺は冷や汗をかく事しかできなかった。

「まあ、その事はどうでも良かろう。問題は勇者様の事じゃ。奴らは今どこへ行っておる」

俺が返答をしない事に苛立ったのか老女は顔をしかめてきた。俺は思わず目を背けてしまう。そして次の言葉を待っていると「おい!どうなのじゃ!?答えろ!答えねば許さんぞ」そう言ってきつく睨んできたので観念する事にした。

「勇者たちは魔王と戦って、負けてしまいました」

俺がそう言うと、王は愕然とした後で大きく笑い始めた。俺はそんな様子を見ながら一体何を笑っているのだろうかと疑問に思った。

(もしかして俺を馬鹿にしているのか?それとも魔王軍に恐れをなしていた事を笑っていたりしてな)

「そいつは滑稽じゃ!なるほど勇者たちがやられた訳じゃな!しかし、そんな事であろうとも、まだ諦めた訳ではないのであろう?」

俺は王の質問に対して何も言葉を返す事ができなかった。正直な所もう勇者の一行はいないんだという事を伝えたい気持ちはあったがそれを信じてもらえるか自信がなかった。それに、仮に信じたとしてこれからどうしたら良いんだという問題が待ち受けていたからだ。

俺には勇者としての証となる紋章が存在しないため他の人からはただの怪しい人間だと思われても仕方が無いのである。それに今の自分は勇者パーティから追い出されたという経緯があるため、勇者の仲間だった証明ができない。

そう考えているうちに段々と気分が暗くなっていくのを感じた。俺はもう勇者パーティの一員として生きていく事は許されない存在となってしまったのだという事実を思い知らされたような気持ちになり落ち込んでいたら王が話しかけてきた。

「なに、心配するでない」そう言うなり彼女は杖を軽く振り上げると地面を叩き、周囲に轟音を鳴り響かせた。そしてその音に反応した周囲の人々は俺達の方に目を向けた。

(こ、これはマズイ)嫌な予感がしたので俺は慌ててその場を離れようとしたのだが既に遅かった。

俺が動き出すより先に周りに人が集まり始めて騒ぎだした。

(どうして俺の周りには変な人達ばっかり集まるんだよ。全くついてないぜ)そんな事を思っていた矢先に背後から大きな衝撃を受けると、俺はそのまま気を失ってしまったのであった。

目を覚ますと見慣れた光景が広がっていた。俺の家である。俺は起き上がるとベッドから抜け出して、リビングにあるテーブルに着き、新聞を手に取った。すると一面に載っていた見出しは、やはり先程の事件について書かれていた。

『突如街に現れた巨大な魔物! 謎の魔導士の仕業か?』

そんな見出しと共に記事を読むと先程の出来事は、街のど真ん中にいきなり現れた巨大で不気味な姿を持つ怪物が暴れまわって大混乱になったと書かれており、俺があの時出会った老婆について書かれていないか探したがどこにも見当たらなかった。

その後、俺はテレビをつけてみた。すると、その話題で持ちきりになっておりアナウンサーも慌ただしい様子で解説をしている姿が映し出された。そしてその内容は俺が今まで見たこともない内容のものばかりであり、俺はその内容を理解しきれずにいたが何とか頭の中で整理しようと試みたが途中で頭がパンクしてしまった。

俺は考える事を諦めるとテレビのスイッチを切った。

(もう俺が関わる必要はない。俺は、もう勇者なんかじゃないんだ)

そう思いつつ、ふと思い浮かんだのは魔王が最後に放った魔法によって死んだ俺の親友の勇太のことだった。

(そういえば、あいつの最期の言葉はなんだったんだろうな)俺はその言葉がとても知りたかったが知る方法は無いように思えた。俺はあいつとの別れ際、何か重要な事を聞き忘れてはいないか考えたが全く分からず、俺は頭を掻きむしりながら考え込んでいると、電話の音が聞こえてきた。

「なんだ?こんな時間に誰だよ」俺は不機嫌さを声色に乗せて言ったつもりだった。だがそれは相手には通じていなかったらしく相手は呑気そうな声で返事を返して来るのであった。

「ああ、僕だけどさ」俺の声を聞いてすぐに反応できる人物は一人しかいない。それは親友であり俺と常に一緒に居た鈴木勇太(すずきゆうじ)こと佐藤雄平(さとうゆうへい)なのだが俺はいつものように声をかけることはできなかった。なぜなら、勇者パーティの一員でありながら仲間である勇者達を置いて逃げた挙句、死まで招くことになってしまったのだと思ったから。そんな自分が彼の前に姿を晒すなどあってはならないと考えていたのだ。

俺の心境の変化を感じ取ってくれたのかどうかは分からないが、勇太は何も言わずに俺が喋るまで黙っていてくれるみたいだったので、少し落ち着いてから口を開いた。

「なんだよ急に」ぶっきらぼうな感じで言ってみるが彼は気にせず話を続けた。

「いやぁ、実は魔王が復活してから少しの間だけパーティに戻れたんだけどさ、そこで魔王軍についての話を聞いたんだよ。なんでも魔王軍が本格的に活動を開始したから君に一度会いに来なさいと言われたから僕はここにやってきたんだ」

「はぁ?俺に会いにきただって?」

俺はつい呆れ気味に言ってしまった。何故なら魔王軍が復活したという話も知らなかったし、ましてや彼が魔王軍に狙われているという話を耳にしていた俺は驚きを通り越していたからだ。それに、もし本当に狙われていたとしたら何故今になって会いに来たのかという疑問があったからである。

「そうだよ。それより今大変なんだろ?」俺の疑問をよそに、まるで当たり前かのようにそう言う勇者を見て俺は戸惑うばかりだった。すると突然勇者の方から俺に連絡をしてきた理由を話はじめた。

「ところで魔王が勇者を呼び出したのは何故か知っているかい?」その唐突すぎる問いかけに対して俺は首を傾げる事しかできずに「えっ?魔王が?」などと口にしているだけで何も答える事ができなくなっていた。

(そういえば俺を勇者と勘違いされて捕まった後、そのことについて何も聞いてなかったな。そもそも魔王が勇者を呼び出す事自体おかしい話なのに)俺はそう思いつつも「いいや。俺は何も知らない」と言った後に「それがどうかしたのか?」と言い返す事しかできなかった。

勇者は何ともいえない複雑な表情をしていたので恐らく何かを知っている事は分かったが俺はあえて追求するような真似はしなかった。

(おそらく、その事は俺達が触れていいものではないはずだ)俺は、それ以上深く詮索しないことにしたのだった。

勇者は俺が追及しない事を察したのか俺が話しだすのを待ってくれていた。なので俺は本題に入ろうと質問をすることにする。

「ところでお前、何で俺のところになんて来たんだよ。それに今の話だとまた魔王と戦うみたいな事を言っているけどさ」俺は一番の疑問を投げかけたのだが、勇者はそれを軽くスルーしたかと思うと俺に衝撃的な発言をしたのであった。

「ところで今から魔王城に行こうと思ってるんだけどさ」

「ええ!?ちょ!今なんて!?」

俺が動揺しながら問いただすと勇者は面倒くさそうな態度を取りながらも「いや、だから魔王城に行くつもりなんだよ。でも一人で行かせると不安だし君を道連れにしてもいいかな」と言ってのけた。俺はあまりにも軽いノリで言うものだから、一瞬何を言われているか理解できなかった。いや、脳みそのキャパシティを超えたのだろう。

俺がポカーンと口を開けたまま固まっていると、勇者は続けて喋りだした。

「まあ詳しい話はまたあとでね」と一方的に告げると勇者は立ち去っていく。俺はその姿を見ているしかなかったのであった。そして勇者の姿が見えなくなった頃にようやく我に返り、「マジか」という声と共にため息を吐き、俺は頭を抱えたのだった。

俺が頭を抱えていると家のインターホンが鳴ったので俺は玄関のドアを開けた。すると目の前に居る勇者を見た俺はつい「げぇ!?」という情けない悲鳴を上げてしまった。そして勇者が笑顔のまま俺を見ているという状況がしばらく続くと、俺は勇者が怒り心頭状態である事を察した。しかし俺に勇者が怒った時に何をしてくるか全く分からず怯えることくらいしかしてやることができなかった。

「やあやあお疲れ様。元気にしていたかね?」勇者が笑顔のままそう話しかけてきたのであった。俺は勇者が何に怒っているのか見当がつかなかったがとりあえず愛想笑いを浮かべる事にしたのである。

すると勇者はその笑顔の顔を俺に向けてきたので背筋に悪寒が走ったのと同時に勇者が俺の家に入ってくるのを止められなかった。勇者はそのまま俺の家の中に入ってきて勝手にリビングで腰を下ろすと「さっき電話で言ったように今日から君と一緒に行動する事になったからよろしくね」と言ってくる。俺は状況についていけなかったが、勇者に文句を言う事ができなかった。勇者の顔が怖すぎて。

すると勇者が「じゃあまずは自己紹介から」と言い出したので俺は嫌な予感を覚えながらも仕方なく応じることにした。「な、なにが目的なんだ?」と尋ねると勇者は自分の名を名乗り、俺の質問に答え始めた。

俺には、勇者の考えている事がサッパリ分からず勇者が喋るのを静かに聞く事に徹する事にした。すると勇者が「僕の目的は魔王を倒すこと。そのために君が必要なんだ」と言うなり、勇者は懐から取り出した物をテーブルの上にドンッと置いた。

その物を見ると剣と杖が合体したような形状をしている武器であり俺はそれに見覚えがあり驚いてしまった。その特徴的な形をした物は紛れもなく俺が勇者パーティから追い出された原因でもある武器だ。

その事を確認するために「お、おい。まさかそれは俺にこの前使ったあの魔法の事か?」と訊くと、勇者は首を横に振り俺の言葉を否定した。

「いや、残念ながらこれは魔法ではなく物理攻撃だ。僕の新しい力なんだ」と自慢気に言い放つと「どうだい。凄いだろ」と言い出す始末。そんな勇者の様子を見て俺は唖然としてしまった。

(確かに凄いな。だって、俺が魔法を使わなければこいつは死んでいたかもしれないし。っていかん。今はこんなくだらない事で時間を潰すわけにはいかない)

俺はそんな気持ちになり勇者の方をジロッと見つめる。すると視線を感じた勇者が不思議そうな顔をしながら俺の事を見ている。俺はそんな勇者を無視できないので勇者に声を掛けようとしたその時にタイミング悪くもインターホンが鳴り響く。俺はチラッと勇者を見るが特に何も言ってくる様子はなく、再びモニターに目を向け確認をするが俺のよく知る人物が立っていた。

その人物は、幼馴染であり元パーティメンバーであり俺の恋人でもあった女性だった。彼女は俺の家から出てくる人物を見つけるなり、勢い良く俺のところまでやってくる。その様子を見届けた俺は彼女から発せられるであろう怒りにビクビクしながらも恐る恐る彼女を出迎えた。すると彼女は、まるで俺が犯罪者であるかのように俺のことを睨んできた。

俺は、彼女が何か言う前に口を開き彼女の言葉を制するように手を突き出して、それからすぐに勇者がいる方向を指差すと「あれ?お前も来たの?」と言ったのであった。そうして、俺は彼女と勇者を引き合わせる事に成功したのであった。

俺の目の前に、俺に冷たい目を向ける俺の元恋人と、ニコニコした表情の勇者がおり俺達は互いに互いを牽制するように黙っていた。

(なんなんだ?この状況は)

俺がそんな事を考えながら沈黙に耐えられずにいると、先に痺れを切らしたのは勇者の方であり俺達の様子を伺いつつ彼女に話し掛けはじめた。「君が佐藤さんの恋人かな?」などと勇者は気軽に質問をし始めたのであった。

(えっ!?なにこれ?どういう状況?ていうか、勇者と俺に何の関係があるんだ?)俺は、その質問に答えるべきかどうか迷っていたが、彼女は躊躇う事なく「そうよ。悪いかしら?」と勇者に向かって強気な口調で言い放った。

勇者は少し困った顔をしていたが「いや、別に。僕が佐藤くんと一緒に居たら邪魔するのかなって思っただけだよ」と答えたのであった。

それを聞いた俺は少し驚いた。なぜなら俺は勇者の事を一切信用しておらず俺に対して何も話そうとしないで、さっきだって勝手に俺の家に上がり込んできて、しかも、いつの間にか勇者は家に馴染んでしまっている。なので俺は「こっちも色々事情があってお前と旅をするつもりは無い」と答える事しかできなかった。しかし勇者は全く怯むどころか笑みをこぼしていたのである。

俺は何故勇者がそんな態度を取るか分からなかったのだが、もしかして勇者の本当の目的は勇者と俺の関係が壊れるところを楽しんでいるんじゃないかという疑問が生まれたので「なぁ。勇者」と話し掛ける。勇者は俺に呼ばれた事に気づいたようで「なに?」と反応を示す。俺は、今更ながら疑問に思っていた事を勇者に質問をする。

「なんで勇者になったんだ?」と質問をしてみるが、俺にとってはその疑問が一番大きなものだったので他に質問をするという事が全く考えに無かったのである。すると勇者は、俺の問いかけに対し何かを答える代わりに懐から例の聖剣を取り出し俺に見せてきた。その聖剣は俺が勇者パーティに入ったときに支給されたものでもあり、俺が魔王軍の手先だと勘違いされ魔王軍の一員と誤認され捕まった原因となったものだからである。そして勇者はその話をはじめるのかと思い俺は身構えたが、結局勇者はそのことについては何も言わずにただ俺を見てくるだけだった。なので俺としては、そのことについて追求できる立場ではなかったため質問を変える事にした。

「お前って本当に魔王を倒す気があるのか?お前なら、きっともっと良い生活が送れるんじゃないのか?」と俺は質問をするが勇者はその質問に対して、ただ微笑みを浮かべているだけで質問には何も答えなかった。

そして勇者が突然立ち上がって俺の耳元で囁き始める。「佐藤くんは、今の自分の環境に不満を抱いているかい?」俺は、いきなりの質問だったため戸惑ったが勇者は俺が返事をするまで待っているらしく、じっと見てきていた。

(不満だと。俺にとって勇者パーティでの生活が最高だと思っていた。けど、それが全て間違いだったという事を俺は思い知らされたんだよ)俺の中で勇者の事は嫌いではなかったため、俺は勇者の問いに素直に返答をすることにした。「俺はな。今まで勇者パーティのメンバーだったんだぜ。だから、今の状況には慣れていないんだよ。だけど俺は、もう二度とあいつらと関わり合いを持ちたくないと思っている。それに今、俺は別の女と付き合っている。そんな状況で勇者と冒険に出るなんて俺には考えられないんだよ」と言って俺は立ち上がると玄関に向かったのであった。

そして俺は靴を履き家から出て行こうとする。勇者に呼び止められるのではないかと俺は不安になったがそんな事も起こらず俺は外に出たのであった。すると、勇者の「まあ気が向いたらまた遊びに来てくれ」という言葉が聞こえてきたのであった。

そして、そのまま俺は自宅に戻ってきたのであった。すると家のチャイムが鳴ったのでドアを開けるとそこには、俺の家に来るはずがない女性が立っており、その女性は勇者が家に来ている事に気付くなり不機嫌になるのが見て取れた。

「あら、あなたも来たのね」と勇者に向けて言った後で俺に「この子があなたの新しい彼女?」などと言い出したのであった。そして俺に近寄ってきては俺の腕を取り「ねぇねぇ。私が居なくなって寂しかった?」とか聞いてきたりしてきた。俺はこの女性と別れたのは半年くらい前だった事を思い出して「お前、どうしてここに居るんだ?」と尋ねた。

すると彼女は「勇者が私にも声をかけてくれたの。それにこの前のお礼もしないといけないしね」と言い出すので俺は勇者の目的が読めないままだったが「そっか。それはよかったな」と言葉を返したのであった。すると彼女は何故か俺に近づいてくると俺の唇にキスをしたのである。

(あ〜やっぱり俺の知っている彼女はこういう人なんだ)と俺は再認識する事になってしまった。すると「ちょっと、勇者が家で待ってるわ。行くわよ」と言い出す。俺は嫌な顔をしたが彼女が「勇者が誘ってきたんだから、断るのも失礼じゃないの?」と訳の分からない事を言って来る。

仕方なく俺は勇者が待つ家に行く事になってしまい「なあ、お前のその性格ってどうにかならないのか?」と聞くと彼女はキョトンとした顔になり「なにが?」と言ったのであった。俺は大きく溜息をつく事になり勇者が住んでいる場所へと案内されるがまま歩いていったのであった。

すると勇者はリビングのソファーに座っていた。

すると勇者が俺に声を掛けて来た。「ようこそ。僕の家に!」と満面の笑みを浮かべており、まるで自分の城に来た王様を迎え入れるかの如く歓迎してくれていたが、俺が勇者の対面にあるソファーに座ると勇者が少しだけムスッとしてしまったのであった。しかし、勇者はそんな気持ちを切り替え「じゃあさっそく僕達の旅を始めていこうか」と言い出す。俺はそんな様子の勇者をみて苦笑いする他なかった。

俺は勇太と一緒に魔王を討伐するために旅に出なければいけなくなったのである。しかし俺と勇者は互いに相手の事を嫌っており、そんな2人が旅を共にするとなると当然、仲が良いという状態になることは決してなく険悪な状態のまま旅を始める事になるだろうと覚悟をしていたのであった。だが勇者はそんな雰囲気を出すことなく、むしろ友好的な態度で俺に接してきて、俺に色々と話しかけたり、逆に俺から質問されたりした。俺は、その状況がどうしようもなくおかしく感じてしまった。

そして俺は勇太に質問をする。勇者パーティに入る前にも同じような質問をした事があった。その時は、まだ勇者が俺と普通に接する事ができていたので俺は勇太に質問を投げかけたのだ。「俺と初めて会ったときからずっと思ってたことあるんだけど、勇者はどうしてそんな風に振る舞うようになったんだ?」と質問をする。

勇者は俺の問いかけを聞くと少し考える仕草をした後で、勇者にこんなことを言われた事があるのを思い出す。

それは俺が勇者パーティに入った時に他の仲間達にこう告げられた言葉だった。「おい。お前、あまり調子に乗るんじゃねえぞ」俺は意味がわからず呆然とするばかりであった。しかし、すぐにその意味が理解できるようになったのである。なぜなら勇者が魔王を倒せるほどの力を持った勇者だったからだ。つまり魔王をも倒すような力を持つ者が現れた事で、俺達のパーティのリーダーを務めていた人物の立場というものは無くなったのだった。そして俺は他のメンバーから虐げられる存在となったのである。

そうして、そんな出来事があってからの旅だったので俺は、いつも怯えながら旅を続けていたという過去があり今こうして俺の前で屈託のない笑顔を見せてくれているのは、なんだか信じられない光景のように見えていた。すると勇者は、俺に対して唐突に質問をぶつけてきたのであった。

「佐藤くん。君は今までの人生で何かに絶望したことがあるかな?」といきなり聞かれたので俺は困惑した。なぜいきなりそのような事を聞きだしたのかが分からなかったので俺は質問に質問を返し「どういう事だ?」と尋ねる。勇者は少し間をあけた後で話を続ける。「佐藤くん。君が今、悩んでいることというのは君が自分の人生を嘆いているからだよ」

その言葉を聞いて俺は「俺の悩みを知っているのか?」と質問をする。勇者は黙ったまま何も言わないが、しばらくすると、俺に対して真剣な表情で見つめ始めると、勇者は急に立ち上がって俺に背を向けると窓から見える風景を眺め始めるのである。そして俺も立ち上がり、その勇者の後姿をジッと見つめ始めた。そして勇者は振り向くと俺に対して「なぁ。佐藤くん。君の望みは何だい?」と突然そんな質問をしてくる。なので俺は「何が言いたい?」と聞き返すと勇者は答えてくれるのだった。「君は、このままだと、この世界で一生を終えることになるんだよ。それを望んでいるのかい?」

俺はその問いに対して首を横に振る。俺の望んでいない事は勇者が今言った事ではないからだ。勇者の質問に対する答えとして、俺が一番望むものは何か?その質問を俺は勇者にする。勇者はその質問を受けると俺の事をジーっと見る。俺が「お前の答えを教えて欲しい」と伝えると勇者は目を瞑って少し考えてるような素ぶりを見せた後に答える。「僕の望みはこの世界の平和を守れればいいんだ」その勇者の発言で、やはりこいつは魔王を倒し世界を救うために勇者になったのかと俺は確信した。しかし、それでも、どうしてこいつみたいな人間がこのような発言をしたのかが全く分からなかったが俺は続けて勇者に問いかける事にしたのであった。

すると勇者は再び考え込み、そして再び口を開く。「魔王を倒して世界を平和に導くことが本当の目的なんだと思う」と自信を持って言う勇者を見て俺は思わず吹き出しそうになるが、それをグッと堪えた。「それはさっき俺に答えた回答と同じだろう」と言うと、勇者は自分の発言に対して少し恥ずかしくなったらしく頬を赤らめているように見えた。そして俺も先程と同じように「お前が魔王を倒す事が本当にやりたい事だと思っているのならそれでいいと思うよ。だけどな、もしお前に本当にやりたい事が無いなら勇者なんて辞めろ。お前には勇者より他にやるべき事を見つけられるはずだ」と言ったのだった。

すると勇者が俺の目を見返して強い視線で俺を見る。「それは、君が今までやってきた事は間違っているとでも言うつもりかい?だとしたら僕は勇者を続けていく事はできなくなるかもしれない。それは困るんだよ。今更魔王を討伐しないなんて言ったところで僕を信頼してくれる人は1人も居ないだろうしね」と言い出して、そして俺は思うのであった。

(ああ、やっぱりこいつは根っこからの勇者なのか)とそして、俺は「いや、今の言い方が悪かったのは謝る。すまない」と頭を下げた。勇者は何も返事をせずただ、こちらの様子を伺うだけであった。

勇者が俺の言葉を聞かなかったわけではない事くらい分かる。だからこそ勇者に勇者でなくなる可能性があると伝えた事を後悔するのであった。俺は自分の言葉によって勇者にどんな心境の変化が起こったのかを知ることができないまま沈黙の時間が続く。そして俺も勇太も同じ空間に居たはずなのだが、勇者も俺も一言も喋らず時間だけが過ぎていった。

そして、そのまま俺が自宅に帰りたくても帰るタイミングを失い続けた挙句、ついに朝を迎える事になったのであった。

結局のところ俺は勇者と別れることが出来なかったのである。俺達が寝泊まりしていた場所は村の宿で勇者は、そこを勝手に抜け出してきてしまって今晩だけしか泊まるところがなくなってしまったのであった。そのため仕方なく俺は今日一日だけは勇太と過ごすことになったのである。

俺は勇太の家の玄関で靴を脱ぎ家の中に入るが、勇太の両親は仕事に行ってしまった後らしい。家に誰もおらず勇太は、リビングのソファーで眠っていたのである。

(やっぱり、勇太って、かなりお坊ちゃんなんだよな)俺は勇太が眠り続けているのを確認すると二階へと上がっていく。勇太の部屋に入ると勇太の鞄から学生証を見つけたのであった。

すると、そのページを見ると、勇者の名前が書かれている。そこには『上条真央』と書かれている。その瞬間俺は驚くと同時に、どうして俺の前に現れた勇者が勇者の本名を知っているのかという事に気づく。俺は勇太が起きないように静かに部屋から出て一階に戻ると勇太は未だに眠り続けていた。

そして勇太の家を出ると、俺は昨日訪れた村に行くことにしたのであった。その村は魔王軍が襲撃した時と変わりない姿で俺の前に存在していた。俺は勇太が俺達に見せていたような顔で村民に接している姿を見ていて少し悲しさを覚えるのであった。

そして俺は勇太が見せていたような優しい笑みを浮かべながら勇者の事を考え始めるのであった。勇者の笑顔は勇者自身に向けられており、それは自分自身で作り出したものだと思っていたが実は、そうではなかった。本当は俺に向けてくれていたものだったのである。それが、勇太は自分が勇者だからだと思い込んでいただけだと俺は理解する。

そして俺は勇者と2人で歩いた道を通り勇者が魔王を討伐した場所へと行く。しかし勇者の遺体は見つからない。俺は辺りを探してみる。すると魔王の魔力を感じ取る事ができる場所に勇者の遺体が眠っている事を知った。しかし、勇者が残した剣は俺に襲いかかってきた魔物との戦いで折れてしまっていたのである。そして俺はその剣の刃を握り締めると勇者が言っていた言葉を思い出した。そして俺は魔王と戦った場所をもう一度訪れてみたが、やはり勇者の遺体が見つからなかったのであった。勇者と俺は同じ場所で死ねると思っていたが、それは俺の勘違いだったようだ。

「まぁ仕方ないか。勇者と一緒だとしても魔王と戦わなければ俺も勇者に殺されることはなかったからな」俺はそんな事を言って空を見た後に自宅に向かって歩き出した。

「あ、そうだ。俺も名前を変えておかないといけないよな」俺は家に帰ろうとして、ふとそんな事を思ったので名前を別のものにしておくことに決めてしまった。

それから俺は自分の家で新しい自分を作り直してから勇者に会いに行った。そして、その時、俺が新しく手に入れた能力である『神化』を勇太に使うと勇太に神の加護を与えることができた。

俺はこの日から魔王の力を受け継いで、新たな魔王になることを決意する。俺は勇者が成し遂げた魔王の討伐を引き継いで俺自身の力で魔王になり人間どもを滅ぼすことを心に誓った。

そういえば俺には、まだ名前を付けていなかったな。俺はそんな事を思いながら、とりあえず勇者に名付ける時に考えていた名前が頭に残っていたのでその名前を俺の新しい名としたのだった。

魔王は勇者が倒されて数年後に復活した。そして魔王復活の知らせを受けて勇者が旅立つ。

しかし、勇者の旅は、勇者が想像していたほど、上手くは行かないものであった。というのも、今まではパーティーに必ず勇者の側にいる仲間がいたため、その仲間が戦闘面では勇者を助けていたが、その役割をする人間が、今は不在であったからだ。つまり、今までは仲間に助けられていたために何とか魔王城までたどり着く事が出来たが、その仲間がいない以上は魔王城にすらたどり着けなかったのである。そして、その事実が分かったのは、勇者が魔王の城についてからしばらくした後の事だ。そして魔王は勇者に話しかけてくる。

「勇者よ。お前に1つ聞きたいことがあるのだがいいか?」「はい。なんでしょうか?」勇者は緊張しているのか声が裏返った状態で返事をした。「私は今まで色々な人間共を殺してきたが、お前が私を倒す最後の敵である事は確かなのだな?」魔王は確認するように聞く。

「はい。確かに僕は、あなたの元に来た。だけどあなたが最後に戦うのはこの僕です」勇者は、力強く言い放つ。

魔王はそれを聞くと満足そうな表情を見せる。「ならばいい」と魔王はそれだけ言うと再び玉座に戻り動こうとはしなかった。しかし魔王の言葉の意味を考えると魔王には、どうしても気になって仕方がないことがあった。なので勇者は、その魔王に対して疑問をぶつける事にした。「どうしてですか?僕は貴方を殺す存在だというのに何故、今、僕が目の前にいるのを何もしないで放置できるんですか?それに魔王、お前だって僕の事は憎んでいるはずだ」その質問をすると、それまで、ただ、黙って勇者の話を聞き続けていた魔王であったが突然、話し始めた。「どうしてかと聞かれれば答えは簡単だ。私は勇者を、いや、勇者の生まれ変わる前の少年が魔王を倒してくれることを信じているからだ。だから私が、お前に手を出す必要など全くないのだ」「え?どうして僕の事を」そこまで話すと魔王は、少しだけ微笑んで「簡単なことだ。勇者として生き続けるのが嫌なら、私の所に来てもいいとお前が私の元にやって来るまでは伝えようとしていたからだ」魔王が勇者に伝えた真実に勇者は動揺する。

「でも僕は、もう、こんな力を手に入れました」勇者は自分の手を見ながら言う。その手の中には、勇者の持つ武器、エクスカリバーが輝いていた。それは魔王の持っている伝説の聖剣と同じような輝きを放ち続けていた。

しかし魔王は「そんな物は、お前にとって飾り物にしかならないだろう」と冷静に答えた。魔王に言われた通り勇者は自分の中に眠る、勇者の力を抑え込む事ができずにいた。しかし勇者は諦めない。

「魔王、頼みがあるんだ」と勇者は言う。「なんだ」と答えると、魔王は勇者の言葉を静かに待っていた。勇者が言う事は分かっていたが敢えて知らないフリをして答えたのである。

「もしも俺が死んだら勇者の代わりになれる者を呼んできてはくれないだろうか?もちろん、お前よりも弱い奴だぞ」勇者は真剣な眼差しで魔王を見る。

しかし魔王は「断る」と言い、勇者に背を向けると玉座の近くにある水晶に触れ何かを念じているようであった。そして魔王は立ち上がり、その場から去ろうとした。

「待ってくれ!俺は本当に死ぬかもしれんのだ!」必死に魔王に呼びかける勇者だが魔王は一切振り返ろうとはせずに魔王の城から出て行ったのであった。勇者はその事を確認すると、その場で泣き始めた。勇者は、これから自分がする事を考えていると、その涙を止めることが出来なかったのである。

俺は、この世界で勇者として転生する事になったので俺自身が前世では出来なかった事が出来るようになっている事を実感した。その第一歩は勇者として生きる事ではなくて魔王討伐である。俺は俺が殺した魔王の事を思い出す。あの時、俺が殺した勇者も、まさか自分が殺された事で自分が勇者の生まれ変わりで、今、その勇者の魂を受け継いだという事に、さすがの俺でも予想していなかったであろう。そう考えるだけで笑みがこぼれてくるが俺の本当の戦いは、この先からである。勇者として生きるための準備もしなければならない。俺は、まず最初に魔王討伐のための道具を手に入れるために、ある人物の所に急ぐ事にした。そして目的の場所にたどり着いたのである。そこは小さな教会であった。俺は教会の扉を開けると、中に入った。中に入ると俺は一番近くの神父の元に向かうと俺の考えを神父に告げることにした。

「すいません。実は勇者が魔王の討伐のために使う武器を作って欲しいのです」

その願いを耳にした神父は、目を細めて俺を見つめると口を開いた。

「君は勇者になりたいようだが、その前に君の職業は何なのかな?」「えっと、実は僧侶です」俺が答えると「それはおかしいな。私は確かに勇者と魔王の話を聞いたことがある。だから勇者の関係者であれば僧侶というのは変だね」と言われた俺は自分の間違いに気づいてしまうのであった。俺は自分の勘違いによってとんでもない失態を犯してしまったと思い焦り出す。そして慌てて訂正しようとするが「あ、あの、俺は勇者じゃありません」と言ったところで俺の声は遮られる。なぜなら「何を言っているのかね?勇者が魔王の所に行くという話が伝わっているのだから勇者以外に何があると言うのだ?」と言われてしまい、何も反論できなくなってしまったのである。

「で、君が、勇者じゃないとすれば、ここに一体、何しにきたのだ?」俺は、そこで言葉を失ってしまった。俺はどう説明すれば良いのかわからなくなったのである。正直に言ってしまえば、俺は、このまま追い出されてしまうと思った。しかし、その時、俺が持っていた僧侶の証のペンダントが目につくと俺にある考えが浮かぶ。それは、もしここで僧侶ではないと答えた場合、勇者の生まれ変わりだということを証明するには、これしかないと考え「実は俺、僧侶以外のジョブを持っています」と言ったのである。しかし、その言葉を聞いた瞬間に俺の身体は光だし俺を包むと次の瞬間には俺の姿は消えていて俺の手元には僧侶の印の刻まれたペンダントが残されていた。そして俺が再び姿を見せると、そこには驚愕な表情を見せている男がいた。そして男は俺を見ると「これは、驚いたな。君のような人間が他にもいるとはな」

「あ、ありがとうございます」俺は自分の行動が正しかったことに安堵して感謝の言葉を漏らすと「しかし、何故、嘘をつく必要があったのかな?」と尋ねられたので俺は勇者が生まれ変わったという事実を伏せて話を進める事に決めたのである。

「実は魔王が復活すると聞いて、魔王に対抗するための力を貰うために、ここに来たんです」

それを聞くと男の人は納得するように首を何度も振った。「なるほど。そういう理由があったのか。確かに魔王が復活する話は知っている。魔王の復活を阻止するためにも私達に協力してくれるということなら私も力を貸そう」と言ってくれたので、俺は「ありがとうございます」とお礼を言う。「それで私はどんな物を作ればいいのだね」俺は、それを口に出して説明すると「なるほど、それは面白い発想をしているな」と褒めてくれたが、それから先は俺の提案を聞いて悩んでいる様子だった。しかし俺としては早く魔王討伐のために必要なアイテムが欲しくなってきたので少しイライラしてきた。

「すみませんが急いでいるんです。できればすぐに出来るようなものはありますか?」と俺が尋ねると、ようやく男が動き出した。「まぁ、落ち着くんだ。勇者の武器と言えば伝説の武器を作るしか思いつかない」

それから少し間が開く。すると、しばらくして男は言った。「やはり作るとしたら勇者専用のエクスカリバーが一番妥当だろ」その答えを聞いた俺は思わず言ってしまった。「いえ、もっと他に強い力が使えるような武器をください」と、その要望は、まるで勇者として生きていかなくてはいけなくなった時に必要になりそうだと、つい思ったからこその質問でもあったのであった。

「ふむ。だがそんなに都合の良いものは」と言いかけた時に俺が付けている腕輪を見た後に「その指輪は?」と聞かれたので俺は答えようとしたのだがその時には既に俺は元の世界に戻されており元の場所に戻ると俺は、あの場にいた人の名前を聞く事を忘れていた事に気付いたのである。

魔王が復活したと聞いた勇者は早速、魔王が待つ城へと向かったのであるが魔王は、すでに勇者が来ることを予測していたようで待ち構えるように城の中で立っていた。勇者が魔王の元へたどり着くと、魔王は勇者に向かって語りかける。

「久しいの。勇者よ。まさか私の城に自ら出向いてくれるとはな」勇者は何も答えない。「私が怖いか?勇者よ。私はお前に殺されても仕方ない事をした。だからこそ、私は魔王として勇者を迎え撃たなくてはならない。しかしお前がどうしても、この世界を救う気がないのならば私と共に世界を滅ぼさないか?お前は私と一緒にいれば永遠に安息を得られるだろう。さあ選べ。勇者として死ぬ事を望まないのならば私の仲間になれ」その言葉を聞いた勇者は怒りに任せて叫んだ「うるさい。お前に僕の生き方を決める資格なんてあるはずがない」と叫ぶと同時に勇者の持つ聖剣から凄まじい力を解き放つと勇者を中心に爆発が起こる。勇者の放った衝撃波に魔王は飛ばされるが態勢を崩さずに、そのまま勇者へと向かい剣を振り下ろす。勇者はエクスカリバーを構えて防ごうとしたが、あまりにも重い攻撃に受けきることが出来ずに地面に叩きつけられた。魔王の攻撃は勇者を殺すほどの力を持っているわけではなくただ単純に魔王は力を見せつけたかっただけである。魔王の目的は、あくまでも勇者に自分の力を認めさせることである。だが魔王は勇者が立ち上がった姿を見て嬉しさのあまり口元がニヤけそうになるのを我慢しながら勇者に対して攻撃を仕掛け続けるのである。しかし、それでも勇者は立ち向かってくる。そして遂に勇者と魔王の戦いは最終局面を迎えたのであった。

俺は目の前で繰り広げられる戦いに圧倒されていた。今まで戦ってきた相手とは桁違いの強さを持った相手に俺は恐怖を抱いていたが、その相手が魔王であることは、俺が前世の記憶を思い出したことで知っていた事である。

しかし俺が転生した事を知る人間がいない事と勇者が自分を殺した存在だと知らない俺は自分が魔王に勝つ事を考えていたのだ。魔王と俺が戦う事になった場合、俺は間違いなく負けるだろうと俺は思っていたが魔王に自分が勇者である事を告げずに俺は自分の命を賭けて戦いを挑もうとしていた。俺は自分の考えが甘い事に気づいたのである。

そして俺は自分が魔王と戦う事になるのであれば勝てる方法は一つだけしかないと考えていたのである。それは、もしも俺が魔王よりも強ければ俺が魔王を倒す事ができるのではないかと考えたからだ。その方法を実現させるために俺は今持っている能力を最大限に活用して戦わなければならないと思い、まずは俺が使えるようになった魔法や能力を確認するためにステータスを確認したのである。

【名前】佐藤裕司(さとうゆうじ)

年齢:16

職業 :旅人 LV.1 生命力 300/30000魔力 500 攻撃力 2200 防御力 3400 素早さ 18000 賢さ 4700 成長度 50/100 属性適正 全 特殊技能 なし 状態異常 なし HP自動回復速度 100/10秒 MP自動回復速度 0/0秒で回復する。

固有特技

『神の瞳』

効果:敵の体力を視ることができ、敵の状態異常を見抜く事が出来る。

装備 僧侶の腕輪 所持金 金貨1000枚 アイテムボックス

「これが俺の力か」俺が呟くと魔王が俺の元に歩いてきたのである。「お前、まだ、そんな雑魚みたいな能力を持っていやがったのか」魔王の言葉を聞いた俺の心の中に激しい炎が宿るような感覚に陥った。それは怒りである。勇者に俺が雑魚だと言われてしまった事が、その事実は、あまりにも酷すぎたからである。確かに俺はまだ強くはないが魔王と戦っても問題なく倒せる程度の力は手に入れたと思っていたのだから尚更だった。俺は俺自身が馬鹿にされたような気がして腹が立ち、無意識のうちに身体から何かが漏れ出すような感じになった。

そして俺と魔王との戦いは激しすぎるほどに激化していき俺は魔王と互角以上にやりあうようになっていたのである。お互いに相手の攻撃を捌きながら攻撃を加えていく。その戦闘の様子を見て観客の悪魔達が声援を送り始めた。「「「頑張れ、魔族の王、勇者に勝利を与えてくれ」「そうだ。このまま押し込め。勇者を倒してくれるぞ」と歓声を上げるが俺はそれどころではなかった。俺は魔王の攻撃を何とか防ぐ事で精一杯であり余裕がなくなっていく一方で魔王の攻撃が徐々に威力を増してきているからでもある。魔王は笑みを浮かべていた。それは魔王は俺の事など恐れていないと思わせる程の表情であり俺は、それに気づかされてしまうと俺は焦りを感じていたのである。

それからも、しばらくの間は魔王は俺に対して優勢に戦いを進めていき、それに対して勇者も応対しているのだが、やはり俺の方が不利だと判断した俺は覚悟を決めて勝負に出ようと思った。「俺がお前の相手になる」と俺が言うと魔王は俺を嘲笑するような表情で言った。「何を寝言を言ってんだ。勇者はお前のように貧弱な奴じゃない。俺が、わざわざ相手をする価値もないぐらい弱そうな雑魚のお前を相手にして何になるというのだ?」と挑発してくるが俺は魔王に構わず「悪いけど手加減はできない」と言うと、俺は魔王が反応出来ない速さで間合いを詰めると全力で拳を振るう。すると魔王の身体を殴った俺の右腕には鈍い痛みが走ったのである。俺は一瞬だけ何が起こったのかわからなかった。しかし俺は慌てて、その一撃が魔王にダメージを与えられたかを確かめるために魔王の方を見るが俺の目に飛び込んできた光景は信じられないものだった。

そこには無傷の状態の魔王が立っていたのである。

その瞬間、俺は魔王に自分の力では絶対に傷を与える事は不可能なのだと思い知らされた。

俺が絶望の淵にいる中、突然「面白い」と魔王は笑う。それから魔王は笑いを止めたかと思うと、それから魔王は自分の身に纏っているマントを脱ぎ去る。

魔王の上半身は人間の肌の見た目をしているが、下半身は巨大な蛇のような外見をしていた。そして下半身は、さらに異様な姿になっていた。その姿はまるで龍のようで、それは胴体の長さが十メートル近くもある上に全身に生えている毛は赤黒い色をしており、その大きさは俺達がいる城の床に届くほどである。そのあまりにも巨大な姿を前に俺は圧倒されて動けなくなっていた。

それから、しばらく時間が経過すると「どうしたんだ。勇者なら、もっと抵抗しろよ」そう言い放ちながら魔王は一歩ずつ俺に近付いてくる。その度に、俺は、どんどん後ずさりしていくのであった。そして遂に壁まで追い込まれてしまい魔王に追い詰められてしまう。すると魔王は急に動き出して一気に飛び込んできて爪を突き刺すように俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。だが、それをギリギリで防いだものの、今度は反対の手で攻撃してきたため、どうにか防御する事ができたが吹き飛ばされてしまった。

壁に叩きつけられた俺は魔王の動きを観察する事に決めたのである。魔王が俺を本気で殺しに来ているのは間違いないだろうと思いながらも俺は魔王の攻撃を防ぐだけで反撃に転じる事はできずにいた。しかし魔王は何故か俺が本気を出さずに戦っていると分かると楽しげに笑い出した。

その時、俺は魔王の様子がおかしい事に気づいたのである。先程までの圧倒的な力を感じさせないほどの小さな力しかもたない存在である事を知ったのだから当然だろう。

魔王の攻撃は単調な物ばかりだった。俺は少しずつ魔王の隙を見つける事ができてはいたが魔王が見せてくれた攻撃のほんの一部に過ぎない。しかし魔王にダメージを与える事すらできない俺にとっては時間稼ぎにしかならない事を悟りつつも、それでも俺に出来る限りの時間を引き延ばす為に戦った。

魔王の攻撃を防ぎ続けて数十秒ほど経った頃に俺は遂に決定的な瞬間を迎えたのである。

魔王が俺に向かって大振りな攻撃をした瞬間を狙って俺は攻撃を避けようとしたのだが俺の予想よりも魔王の動作が速くて避けきれなかった俺は直撃を受けた。

その攻撃により魔王が身につけている防具が破損し魔王は顔を苦痛に歪めたがすぐに態勢を立て直すと、そこから猛攻を仕掛けてきた。魔王の猛撃は、かなりの勢いがあり攻撃を避けるどころか受け止める事さえも難しいほどだった。そのため、魔王の攻撃を受け流したりして攻撃の態勢を整える事が出来ず俺は攻撃を受けるしか無かった。

そして暫くして魔王の攻撃が収まった時に俺は限界を迎えていたのである。俺は満身創痍の状態で、とても戦える状態では無かったのであるが、そこで俺は気付いたのである。魔王の力が以前とは桁違いに低下しており、そのお陰か魔王が攻撃の際に見せる隙が大きくなっている事に。俺は攻撃のパターンを分析しながら、ゆっくりと確実に攻撃を仕掛けていけば、いつか魔王を追い詰める事が出来ると考えた。そして俺は僅かな希望を持って魔王の攻撃に対してカウンターを合わせる事に決めて戦い続けたのである。

その結果、俺は僅かではあるが魔王に対して有効的な攻撃を何度か当てる事に成功した。俺は魔王の肉体に出来た小さな切り傷や打ち身の痕を見ると嬉しく思いながらも、これで戦いを終わらせようと魔王の顔面に向けて拳を叩き込んだのである。

だが魔王は咄嵯の判断で俺の攻撃を片腕でガードしてしまったので、魔王の顔に衝撃を与えるだけの結果に終わった。それでも俺は諦めずに次の行動に移る。今度は腹部を思いっきり蹴飛ばしたのである。それにより再び魔王の体勢が崩れる。そして俺はすかさず魔王の懐に飛び込み剣の切っ先で魔王の首筋を狙うが避けられたため俺は後ろに下がった。

俺が魔王から離れようとしていると「調子に乗るなよ」と言い放った魔王は再び攻撃を仕掛けるつもりのようである。それに対して俺も同じように攻撃を仕掛けようとすると、なぜか、また魔王が後退して俺から距離を取り始めた。そして俺も魔王を追うために前に出ると魔王もまた逃げる。俺と魔王がお互いの距離を一定に保とうとしているせいか俺は魔王の姿を見失わないようにするだけで手一杯になってしまっていた。

しかし、いつの間にか魔王との距離は徐々に縮まっており気が付くと俺の手が届く位置に来ていた。俺は慌てて攻撃をしようとしたが、その直前に魔王が俺の身体に手を伸ばした。俺は慌てて攻撃を止めたのであるが、既に遅かったらしく、そのまま俺は魔王に捕まり魔王の腕の中へと引き寄せられる形になり、そのまま俺は抱き締められてしまい抜け出す事が困難になってしまった。それから魔王は何かの魔法を使ったようだが俺は魔王の抱擁から抜け出せないでいたのである。俺を抱き抱えていた腕に込められた力は凄まじく少しでも動こうとすれば俺は簡単に絞め殺されそうな気がしていた。

それから俺は魔王と密着したまま数分が経過した時だった。俺は自分の体内に何か温かい物が注がれるような感覚を覚えた。その直後、突然俺は激しい痛みに襲われ始め吐血してしまう。その症状は時間が経つごとに激しくなっていき俺の心と身体が蝕まれていくようだった。その苦しみに耐えられなくなった俺は魔王から脱出を試みるが、それを実行する前に俺は意識を失ってしまった。

それから、どれくらいの時が流れたのかはわからないが俺は目を覚ます。目の前に広がる光景が俺にとって見たこともない場所で自分がベッドの上に寝ており周りには複数の人間が居る事が分かった。どうやら誰かの部屋に俺はいるようであり状況を把握するため起き上がろうとしたところで俺は全身に激痛を感じたのである。すると俺が起きた事に気付いたのか一人の女が近づいてきた。その人物は銀色の長い髪に赤い瞳が特徴であり肌の色は白すぎる程に白く美しい女性である。彼女は、その容姿だけでなく身に付けている衣服までも美しく見えた。

俺がその姿を見て呆然としていると彼女が口を開いた。

「目が覚めましたか?」という質問に対して俺は何も答えられずに固まっていた。その女性の見た目が俺が知っている人間とは違う姿だったからかもしれないが俺は彼女の言葉を理解する事も出来なかったのだ。すると俺の様子を見た女性が俺の頬に触れてきたのである。その行為で、やっと俺が我に返ると「ここは何処なんだ?俺は何をしていたんだ?」と彼女に聞いたのだが彼女は悲しげな顔で俺を見て「ごめんなさい」と言うと部屋から出て行ってしまった。

俺は何が起こっているのか理解する間もなく混乱していると扉が開く音が聞こえたのだが俺は、そちらを見る事ができなかった。そして扉から現れた男を見るなり俺は驚愕した。何故なら彼の頭頂部が禿げ上がっていて、さらに背中には白い翼があり、それは天使を連想させ、まさに神の使いだと思われても仕方がない外見をしていて、その男は俺に話しかけてきた。その男の年齢は三十歳前後といった感じだろうか。その外見は端整だが、その目は鋭く少し不気味にも思える雰囲気を持っていた。その男は「貴方は死にかけていたのですよ」と言ってきたので、その話を聞くかぎりでは俺は死んでいてもおかしくないような目に遭っているのだろうと想像する事が出来た。だが、その話を聞いた事で俺はある事を思い出したのだ。そういえば、あの魔王に殺される間際で何かされた事を思い出したのである。それから俺は魔王について聞いてみたのだが何も分からないと言われたので俺は落胆して落ち込む事しか出来ないまま、しばらく時間だけが過ぎていった。

それから数日後に、ようやく俺の状態が良くなってきたらしい。

その日になると最初に俺の事を発見したと思われる女性が姿を見せて俺に話し掛けてきた。「気分は如何ですか?」という言葉に対し俺は特に問題ないと答えた。そして彼女は自己紹介をしてきたが彼女の名前を知ると驚く事となる。なぜなら彼女の名前はソフィアというのである。その見た目から俺はてっきり男性だとばかり思っていたからだ。それから、この国の名前はエスランドといい王都があるのはラスタと呼ばれる都市なのだが、ここにある屋敷の主の名はエルドリオンと言い俺は彼の元で世話をしてもらえる事となった。だが彼は今別の仕事のために留守にしているようで会う事は出来ずにいた。しかし彼は、いつか戻ってくるようでそれまでの間は俺に生活の場を用意してくれるという話だったので俺は甘えさせてもらおうと決めたのである。そして俺は彼が用意してくれた家で暮らす事になったのだが俺が住む家は貴族の家で普通は平民であるはずの俺が暮らしていい場所では無かったと思うが、その辺りは彼に聞けば分かるかもしれないと思ったので俺は尋ねてみると俺に色々と親切にしてくれる理由を教えてくれた。

まず俺に好意的に接してくれた理由としては魔王の討伐を手伝ってくれた事が最大の要因としてあった。俺は確かに勇者パーティの一員であったが、ただ、それだけの話である。魔王と直接対峙すれば確実に死ぬと思っていたし勇者達に任せる事もできたのに魔王に挑み死んだ者は数え切れないほどであると教えられた。そんな魔王を勇者の一行ではないにも関わらず倒してくれた俺に対して感謝の気持ちがあったからこそ優しく接してくれていると説明をされたが正直なところ俺は信じられなかった。

俺は、その事を聞いても、やはり自分一人が頑張っただけだとは到底思えず、もしかしたら魔王を弱らせた事によって、たまたま勝てただけなのではないかと考えた。そして俺は魔王に止めを刺したのが誰なのかを確かめたかったのである。俺がそれを聞こうとすると彼は困った表情を見せたので魔王が本当に倒されたのかどうかは、よく分からないのだが少なくとも彼の中では魔王は滅んでおらず未だに生き残っていると思っているようだ。その証拠に魔王が復活した場合に備え様々な備えをしている事を俺は知ることとなる。そして最後に彼は言ったのである。「いずれ、お主が魔王と相まみえる事になるかもしれぬが心して待っておれよ」という言葉を残して。

そして、それを聞いた俺は不安を感じていた。何故なら魔王を倒した俺の力を欲して彼を雇おうとする者が現れないとは限らないからである。そうなれば俺は自由を失う可能性もあるだろうし俺の力で守れるものは、そこまで多くない。なので魔王が俺に止めを刺すためだけに近寄ってくるかもしれないと心配していたが俺に敵意を向けるような者が現れる気配は無く平穏な日々が続いたのである。

その日も普段と同じように一日が始まるのであろうと思われたが俺の住む家に突然来客が訪れたのである。その人物とは、とても美しい女性であり年齢は十代半ばで俺と同じぐらいであるように見えた。その少女のような女性は俺を見ると笑顔を浮かべ挨拶をしてくる。俺は、その少女に見覚えが無く困惑したが俺の顔を見て名前を思い出そうとする仕草をするので彼女の名前を聞いてみたが首を傾げるだけで答える様子が無かったのである。俺の方は、どうにか彼女の記憶を探るが一向に思い出せないので諦めるしかなかった。そして俺が黙っているとその美少女が「私の事を知らないなんて、ありえない」と憤慨したように言う。だが、どれだけ考えても思い当たるものが無いので素直に俺が謝罪すると、その女の子は「私は魔王だよ。魔王のアリアっていうんだ。これから、よろしくね」と言い出した。その言葉の意味が理解できずに固まる俺だったが魔王と名乗った彼女の言葉が嘘で無いことは直ぐに分かった。魔王の容姿に変化が起こり始めたからである。そして彼女は「ふーん。君も、なかなかやるじゃん」と呟いた後に俺が気を失ったのだ。

目を覚ますと魔王が俺を見下ろしていた。どうやら俺は魔王の一撃を受けたらしく全身に痛みが走ると同時に魔王から殺気が放たれており身動きが取れない状態になってしまった。しかし魔王も何故か動こうとせず俺を見続けているので何がしたいのか分からず俺は魔王に問い掛けたが返事が返ってこないので、しばらくして俺から攻撃しかける事にする。しかし、その攻撃も魔王の手に掴まれると俺の体内から熱いものが注がれたのである。その直後、俺は意識を失い次に目覚めた時は自分の家のベッドの上だった。

それから数日が経過し俺は外出することにしたのだが魔王が付いてくる事となり俺は嫌々ながらも一緒に行動することにする。だが魔王は俺が何かしようとする度に邪魔をするようになり俺は何度も怒りそうになるが魔王が本性を見せる事は無かった。その為俺は我慢するしかなく魔王に振り回される形になってしまうのだった。

そんなある日、突然俺の家に来訪者がやってきたのである。その人物は俺と同い年くらいに見える青年で名をジークフリードと言った。その人物は貴族の息子らしいのだが魔王と戦う為に剣を学ぶために修行の旅に出たのだと言う。その話を聞き、この人ならば魔王と戦ってくれそうだと感じ俺は協力を申し出ることにしたのである。

俺の協力を得ると喜んだ青年は俺の家まで迎えに来ると早速出発することになった。だが俺は魔王を連れていくつもりは無い為魔王を説得しようとしたが全く聞く耳を持たない。そして、その日は夜になった頃に出発することになるが魔王が離れようとしない為、俺が背負う形で同行することにする。しかし歩き出して暫くした頃俺は背後から強い視線を感じたのである。それは俺に向けられているような気がしたので俺は恐る恐る振り返るが何も見えなかったので、ほっとするが背中に冷たい感触を覚え、そこから熱くなって行く感覚を覚えたのだ。俺は慌てて前を見ると俺の背中にいた魔王の姿は無くなり魔王の気配が感じられなくなってしまった。その後で俺と同行していたジークは急に苦しみだし俺は彼が魔に堕ちていくのを止めようとしたのだが間に合わず魔王となってしまったのである。そして魔王は、その力を使い、その場から姿を消すのであった。

それから俺は何とか魔王の力を抑えることに成功したのだが、それが出来た理由は未だに分かってはいない。

そして俺の元に魔王を名乗る人物が訪ねてきた。その人物は黒いローブを身に纏っていたので性別までは分からないが声からすると男である事が分かる。その人物は俺に手紙を差し出してきたので俺は受け取ることにしたのだが、そこには驚くべき事が書かれていたのである。その内容は『私を倒しに来たまえ。そうすれば私が持っている力を君の物にできるはずだ』という内容が書かれていて、さらに手紙を読み進めようとするのだが、それ以上は何も書いていなかったので俺は、その内容が本当の事かどうか確かめる為に魔王の元へ行こうかとも思ったが結局行くことはなかった。そして魔王が姿を消した日、その日は、あの忌まわしき日でもあり、俺の人生が大きく変わってしまった日でもあった。そう。あの日に全ては始まったのである。それは俺の親友が死んだ日のこと。勇者達が、魔王城へ向かおうとしていたのが最後の光景で魔王は親友の身体を使って現れ、魔王の魔法により、その場に居た全員が死んでしまい、俺は死ななかったが瀕死の重症を負い動けなくなると魔王によって魔王の心臓を食べさせられてしまい、俺自身も、そのまま魔王に体を乗っ取られてしまった。

そして、その日を境に俺の人格が変わったように周りに思われたのか周りの人達に怖れられて誰も話しかけてはこなかった。

それから数年後に俺の元に再び魔王が姿を現し俺の前に姿を見せたが俺は魔王が生きていたことに驚いたが、その時に俺は自分が何をすれば良いかを既に理解しており、すぐに実行に移す事にしたのである。

俺は、まずは俺の事を知る者に会わなければならないと考え行動を開始した。そして、それを実行した結果俺の事を知った者は、そのほとんどが、なぜか命を落とす事となるので俺は会う事が出来なかったが一人だけは会う事が出来た。その人物の名はエスタシアと言って、この屋敷の持ち主の娘であり、とても優しい女性である。彼女だけが唯一の味方だと確信した俺は彼女に事情を話し、これから起こるであろう事態について話をしたが、彼女は俺の事を心から心配してくれると共に協力しても良いと言ってくれたので、俺は彼女を巻き込むまいと思い一人で魔王と戦おうとするのだが、そんな俺の考えなど彼女はお見通しのようで魔王に俺が殺されないよう、俺に戦う方法を教えると言ってくれたのである。俺は、彼女の提案に乗ることを決めて魔王との戦いに備えるのであった。

魔王との再戦に備え俺は魔王に関する情報を集めることを決める。俺は彼女が言っていた言葉が引っかかり魔王が死ぬ直前で姿を消している事を考えると魔王を倒す事が不可能だと考え、どうすれば魔王を倒せるかを考えていた。

魔王の弱点といえば聖水や十字架といったものが有効的な手段であると思われるが聖水が手に入ったとしても俺には扱う事が出来なさそうな上に魔王に対して、そんなもの効かないような気がするので別の方法で考えなければならないが俺は魔王と戦った経験が全く無いので他の方法を試す事も出来ないのである。

そして俺は、とある事を思い出すと俺は急いで魔王の元へと向かったのである。

魔王と俺が再び対峙した時には既に辺りは真っ暗になっていたが魔王と俺の周りにだけ明るく照らされていたのである。俺は目の前に居るのが魔王なのか確認するために名前を尋ねると「ふむ。我が名は魔王だ」と返事が返ってきたので俺は安心して胸を撫で下ろしたのである。俺の名前はアリアなので名前が似ている事もあり、もしかしたらと思ったが、やはり俺が魔王を呼び寄せる事に成功したようであった。

俺と魔王の戦いが始まると、俺は必死になって魔王の足止めをするが一向にダメージを与えている気がしなかったのである。

魔王との戦いでは時間の流れが違うという話を聞いた事がある。だからといって永遠に時間が流れている訳では無く徐々に俺の方が押されているのが分かり始めた。
















魔王の攻撃は俺が予想していなかったような攻撃ばかりなので対処する事も難しくなっていたのだ。そして、とうとう魔王の攻撃を受け止めると俺の体が吹き飛び地面を転がっていく。俺は何とか立ち上がり剣を構えると魔王が余裕そうな笑みを浮かべながら俺に向かって来ようとしていたので俺は魔王の隙を見つけると、すかさず反撃を試みる。だが、その攻撃さえも受け止められてしまうと次の瞬間、魔王が攻撃に移った。俺は、それを避けることができず魔王が俺の腕を掴む。俺は咄嵯に抵抗しようとするが腕を動かすこともできず更に全身から熱を感じ始めた。魔王の魔力が流れ込んでいるのが分かると、俺は焦り始め、どうにか脱出を試みようとしたが俺の力は、あまりにも弱かった為逃げる事は叶わなかったのである。俺は諦めて目を瞑ると、しばらくして俺は全身に衝撃を受け、そのせいで息ができなくなって苦しみだすが直ぐに意識を失う。すると俺は、ある場所へと運ばれていた。

「さぁ、早く目を覚ますが良い」と言う女性の声を聞いた直後で、ゆっくりと目を開くと、そこに現れたのは金髪の女性で年齢は十代後半ほどに見える。

そして彼女の顔を見た途端、俺は意識を失った時の出来事を思い出していた。彼女は俺が気を失った原因の人物なのだが、どうして、このような所に俺が居るのかが理解できないが、もしかして夢を見ているのではないかと考えるが、それにしても感覚がリアルすぎるし痛みも感じるので夢とは思えない。そして俺の目の前にいる女性が「どうだい私の可愛い人形君は」と言い放った。その言葉を聞き何となくだが、俺は、この女性の事を思い出したのであった。そして、この女性は魔王だという事も同時に思い出したのだ。魔王が人間の形をしていたとは思ってもいなかったので少し驚くが、よく見ると、それは魔王では無いような気がする。しかし外見だけで判断するならば、その人物は魔王のはずで他に該当する人物が思い浮かばないのであった。

そして魔王の言葉の意味を考えている内に、ここで目が覚めたらマズイと考えたので意識が飛ぶ前に魔王に言った言葉を繰り返すと魔王を驚かせてみた。すると魔王の顔色がみるみると青ざめていき冷や汗を掻き始める。魔王を怯えさせる事に成功すると、すぐに俺の方を向いた。俺は、それを見越していて、すでに行動を開始していたので俺の動きに反応することが出来ないで魔王が慌てる様子を見つめる。魔王の背中が俺の目の前にあった為俺の拳が命中する事になる。

魔王が倒れた事で俺は立ち上がると魔王の様子を確かめようとしたが魔王は既に俺が与えた傷は治っており立ち上がった。その様子から俺よりも強い存在である事を理解する。だが、それでも魔王は人間であり、この世界で最強の力を得た勇者である俺ならば負ける事はないと確信したのだ。

そして俺が剣を構えて斬りかかると魔王は魔法を使うので、それを防ぐと今度は魔王が魔法で攻撃してきた。俺はその攻撃をギリギリまで引きつけてから回避したので魔王の放つ魔法は俺の体を貫く。俺に痛みは無いので、それ程強力な魔法ではないと俺は考えるが魔法は俺に当たると消えていったのである。その現象を見て俺は驚いたのだが魔王の方も同じ事を思っているのか不思議そうにしていた。

その後、何度か戦闘を行うと俺達の間には距離が生まれるが、その隙間は、あっという間に詰められ俺達は接近戦に持ち込み互いの一撃で勝負を決めようと攻撃を仕掛けたが俺の突きは、魔王を掠めて終わり魔王が振り下ろす一刀は避けられずに肩から腰にかけて斬られてしまったのだった。

その後で、魔王が膝を付くのだが俺は直ぐには決着を付けず油断せず魔王に近づいていくが魔王が突然俺の方に倒れ掛かかってきたのである。その状況で俺は自分の身に何が起こったのかわからなかった。ただ俺の体に魔王の重みを感じたのだが、それは数秒しか感じられない。何故なら、そのまま俺に倒れ掛かる魔王を俺が抱きしめているようにみえているからである。

俺は急いで魔王から離れると俺の体は元通りになっており、どうなっているのか確認すると魔王が持っていた杖を俺に渡してくれた。その杖は俺が持つと勝手に動き出し、俺の手に収まった。その事に驚いている俺だったが俺は、その光景を見ていて、どこか納得できたのである。そう。これは、魔王を倒した時に得られる武器だと思った。つまり魔王は俺の体を乗っ取るのではなく俺が魔王を倒しその報酬として手に入れた武器を俺に与えてくれている事が分かって俺は涙が溢れ出したのである。そして俺の心に今までの辛さが込み上げてきて俺は泣き続けたのであった。魔王が死んで悲しくないという訳では無いが魔王が居なくなる事に対して喜びを感じている自分が居る事に俺は涙を流しながらも嬉しさを感じていたのである。そして、しばらく経って俺が落ち着きを取り戻していると、いつの間にか俺は見知らぬ土地に来ていた。その場所に立っていたのは俺一人だけなので誰も居ないようだが、この場所には何故か見覚えがある気がしたのである。そんな風に考え事をしながら歩いていた俺であったが不意に俺の前に誰かが現れたので俺は警戒した。しかしその人物を見た俺は一瞬で、その相手が何者か分かり安心して笑顔になると相手の名前を叫んだのであった。すると相手も俺の名を呼んだので、俺は思わず抱きついてしまう。俺は、この時の為に生きていたのだと思うくらいの気持ちになる。それほどまでに彼女に会いたかったからだ。彼女も俺に会えて嬉しいようで二人で一緒に笑ったのであった。こうして俺の願いは叶えられた。

それから俺達は幸せな時間を過ごしていたので忘れていたが、ここには、魔王の残した置き土産のような物があり俺達の行く手を阻む障害となるのだが今は幸せを噛み締めたいと思う。なぜなら俺と彼女の未来は輝かしいものなのだから邪魔者は排除しなくてはならなかった。そして魔王を倒す為に必要だと思われた力も得たし魔王との約束を守る事が出来るかもしれないと思っているのである。

そんな事を考えて居ると、ふと、俺は、こんなにも幸せな気分になれたのは生まれて初めてかもしれないと思いながら彼女を抱き寄せて唇を重ねるのであった。その瞬間、まるで世界に光が射したかのような錯覚を感じると共に俺は光に包まれ、そして目の前に映る景色が変化していくので何が起こっているのか確認しようとした時「おーい!」と聞きなれた声が聞こえてきたので俺は後ろを振り返ると俺の仲間が駆けつけてきていた。どうやら、あの不思議な体験も、そろそろ終わりを迎えるようだ。俺も、もう限界のようだったので「さようなら」と言うと俺は再び意識を失うのであった。そして、この日から、俺が死ぬ間際の光景を見るようになったのである。

魔王が死んだ日 俺の目の前では勇者と呼ばれる少年と、その仲間の聖女と思われる人物が話しており、その内容を聞く限り、俺と同じような目に遭わされているようなのだ。俺も似たような経験があるので彼等の事を見下したりしない。俺だって好きで死んでいる訳では無く死にたくて死んでいるわけでもないのだ。俺は彼等が何をしたいのか分からない。そもそも俺は何故、このような場所に閉じ込められているのかが分からなかったので、とりあえず彼等の話を聞いていると彼等も俺と同じように記憶を持っている事を理解した。

そして勇者と魔王の関係が普通で無い事も理解したのであった。俺の場合は幼馴染みの彼女と仲良くなる前に殺され、しかも何度も繰り返したので今の状況でも俺の心の中では彼女を救えなかった事を後悔しているのである。しかし俺は俺の人生を全うしたのだと自分に言い聞かせながら生きている。そう。だから俺のように生き返る事は無いのである。しかし目の前にいる二人の話を聞いていた俺は疑問に思った。それは俺と同じ能力を持っているのであれば何時かは、また復活するのではないかという思いを抱いたのだ。だが二人は、この世界に来てから魔王が復活したという話を聞いた事が無いらしく魔王の力が強大すぎる為に封印する事に成功したのだと喜んでいた。だが、その言葉とは裏腹に彼等の顔色は決して明るくはなく何かを隠そうとするかのように無理をしているように見えたので俺は、その事が気になった。だが俺が問い掛けても何も答えてくれる様子も無く黙り込むばかりであった。その事から、これ以上の情報を聞き出すのは不可能だと考えた俺は仕方なく、この場を離れる。

そして部屋を出る際に振り返り、まだ二人が部屋に残っていた事を確認すると俺は、これから先にある未来について考えると心が折れそうになったが気を取り直してから歩きだす。そして扉を開けると廊下に出たが、そこには一人のメイドの姿があったのだ。そして俺が声を掛けると彼女は微笑んでくれる。そして「おはようございます」と言ってくれた。俺は彼女が何者なのか最初は気付かなかったが思い出していく内に、その人物が誰なのか分かってきた。そして俺は彼女に会う為に此処にやって来たような気がしてきたのである。そう。俺が目覚めた時に見た女性の顔は目の前にいる女性の顔と瓜二つで双子だった。そして双子の姉の名前はラティーナというのだが妹の方は名前が無かったので、その時の俺は名前をつけてあげようとしたが既に彼女の姿は無かった。

俺が目覚めてから暫くすると魔王城から出られない状態になっている事を知った。どうも、あの時の戦いは魔王城の外で繰り広げられたらしい。だが外は危険な魔物が多数存在している上に強力な魔族も存在していたので、俺達は外に出れないので魔王に勝つ為に必要なアイテムを探す為だけに必死になって魔王城を駆け巡る事になる。そして、そんな苦労を積み重ねた事で俺達は強くなっていくのだが俺だけは魔王と戦う事になるのだが魔王に殺されるたびに時間が巻き戻るという理不尽極まりない呪いを受けていた。

その為、今の俺にとって魔王が死ぬのは良いことなのだが俺は、いつも、それを見ているだけで魔王を殺せたためしがない。その度に俺の精神は摩耗していったが俺だけが助かる為だけに行動するのではなく仲間を救いたいという気持ちの方が大きくなっていたからである。俺が魔王を倒せない原因は恐らく、あの杖が原因である。

あの魔王から渡された杖こそが魔王を封じている力を生み出している物だと考えた。そうでなければ魔王を封じ込める事は出来なかった筈だ。つまりは、そう言う仕組みになっていた可能性が高いのだが俺は、それを確かめる手段が無ければ俺の体が耐えきれなくなって死んでしまうので調べようにも時間がなかった。だが幸いにして杖さえ有れば魔王を殺す事は可能だと思う。

それから俺は自分の体を鍛え上げていたのだが一向に成果が現れないので焦っていたが杖が有るので俺は何とか生き残る事が出来た。だが俺達の前に突然現れ俺の大切な仲間を殺してしまう敵がいた。その敵の実力は今までの比ではなく圧倒的な力で俺を追い詰める。そして、そんな状況から俺の命を救うのは俺達と一緒にいた時の魔王しか考えられず俺は絶望していた。しかし現れた彼女は何故か以前とは違い見た目が完全に人間であり、しかも普通の女の子に見える。俺にとっては奇跡が起こったのかと歓喜したが同時に怖くなった。もし俺が彼女に抱きついてキスをしたとして、その結果で彼女が魔王に戻らなかった場合俺は彼女を傷つけずに済むだろうかと考えてしまうと恐怖感に襲われてしまうのだが結局はその心配は要らない事が判明した。

なぜなら魔王が、俺に攻撃するのと同時に俺を殺そうとしたからである。その事に気が付き俺が魔王の攻撃を防ぐと、魔王は一瞬だけ驚きを見せるのだが直ぐに、その表情を隠して今度は魔法を放ってきた。俺も対抗して剣を振りかざすが俺は簡単に魔王に打ちのめされるのであった。その光景を見て俺は自分の命の危なさを感じて逃げるのだが魔王が追ってきた為に諦めて覚悟を決める。俺は魔王に対して自分の持っている全ての知識と技で戦いを挑んだ。魔王の動きは素早く俺の目で捉えきれない程だったのだ。しかし俺が魔王の動きに合わせて攻撃を繰り出すと次第に彼女の動きが止まっていく。そして魔王は、とうとう力尽きたようで床に倒れたまま動かなくなったのであった。俺は、これで安心だと思いながら彼女を見ると涙を流しながら苦しそうな顔をしている事に気付く。だが魔王が何を言いたいのか分からない俺は首を傾げるが、やがて、その言葉が分かるようになり涙が溢れ出す。そう。その言葉で分かった。

俺は、ずっと魔王に守られていた事を改めて実感したのである。俺は、どうして今まで気がつかなかったのだろう。そう思うが俺は彼女の優しさに救われた。だから俺も精一杯の笑顔を浮かべて「さようなら」と言った後に俺は最後の別れの口づけをする。そうして俺は再び、あの不思議な空間で目を覚ましたのであった。

「お前は何がしたい?」俺は目の前に現れた人物に向かって話しかけた。するとその人物は、ゆっくりと振り返ると不気味な笑い声をあげながら言ったのである。

「私を封印して欲しい。そして私を殺した男を見つけ出して、そいつにも復讐したい」彼女は俺を睨みつけてきたので俺の背筋は震え上がったが、よく考えてみると魔王からしたら俺は勇者の仇なので当然の行動だと思う。

俺は彼女に言われて魔王を封印しようと試みたが魔王の封印を解くには俺では役不足なので俺は一度魔王の前から姿を消すと仲間を集めて魔王の杖を解析してもらう為に彼等に協力を依頼したのである。俺は自分が役に立たない事を知りながら魔王が俺を頼ってくるまで待つことにした。そして俺は魔王城に忍び込んで杖の情報を盗み出した。その事を知る者は誰も居なかった。

俺は仲間の元に戻る途中で、どうしても確かめたかった事が頭に浮かび上がり足を止めると魔王に「少し聞きたい事があるんだけど答えてくれるか?」と言う。「別に良いけど」と言いながらも嬉しかったのか笑っている魔王の姿を見て、やっぱり彼女は魔王なんだと改めて思いながら質問を投げかけたのである。俺の仲間の一人に天才魔法使いのアイーダがいて、そいつなら魔王の杖を調べられるのではないかと俺は思い至ったのだ。その話を聞いた魔王は、やはりと言うべきか、俺が勇者では無い事を確信したようだ。

魔王の封印された杖が勇者にしか扱えない事が理由なのだが魔王の話では魔王も元々は普通の人間で勇者の持っていた杖の力を借りなければ生きられなかったという。俺も、その話を聞く限りだと嘘だと決めつける訳にもいかないが勇者の仲間に、あの杖を扱う事ができるような人材が居るとは思えない。だから俺は彼等を信じる事にする。

そして魔王は俺の話を聞いて納得した様子を見せていた。そして俺が魔王城の外に出る事を許してくれたのだ。ただし条件があって俺は魔王城の地下に眠っている宝を全て持ってこいと言われると断る事など出来なくて渋々だが従う事にしたのだ。それから俺は彼等の協力により魔王の杖を手に入れた。

魔王が封印されていた宝物庫に行くと、そこには金銀財宝が置かれていた。その量と質を見た俺は心の底から驚いた。これ程の量の金や銀を持って帰る事は不可能だと思っていたからだ。しかし彼等は平然としながら運べるだけの物を運び出していたのを見て俺は唖然として見ていたが彼等からすれば造作も無い事なのだろうと理解する。そうでなければ、あの杖を手に入れる事も不可能だった筈だ。だからこそ、この者達ならば、きっと魔王を倒してくれると信じたのだった。そして彼等が魔王城を出て行く姿を俺は、ただ黙って見ていた。俺は自分だけが生き残れるように必死になって戦っていた。しかし、今は違う。この俺の傍に、もう一人、同じ志を持ち同じ目的を目指す仲間達がいる事を誇りに思ったのであった。俺は彼女等に感謝をしながら彼女達の背中を見送ったのであった。

俺の名前は佐藤和人、28歳独身の冴え無いオタクサラリーマンです。今日は会社の上司が出張に行ったせいなのか、俺は仕事を押し付けられてしまい、今まさに終電間近に残業をしている所である。俺が仕事を終えようと奮闘していると俺の隣に座る女性社員である田中萌奈美さんが話しかけてきた。その女性は美人というよりは可愛らしい顔立ちをしている。俺は萌奈美さんの方に視線を向けると彼女が俺に「一緒にご飯を食べませんか?」と言ってきたので俺は驚いていた。彼女から誘いを受けるとは思っていなかったからだが俺は戸惑いながら返事をする。

「俺なんか誘ってくれて有難う御座います。俺で良ければ是非ともご一緒させて下さい」そう言って俺は急いで仕事を終わらせようとする。すると萌奈美は、そんな俺の行動を面白がるようにクスリと笑う。そんな彼女は楽しげに俺の仕事を手伝ってくれているようだった。そして俺は彼女に、お礼を告げようとした瞬間、俺達は突然、意識を失って倒れ込んだ。

何が起きたのだろうか?と俺は疑問に思う。俺の目の前に、まるでゲームに出てくるモンスターのような醜悪な怪物が現れて、こっちに襲い掛かってきたのである。どうも夢を見ているらしく俺の記憶に残っている場面の再現らしいが目の前に、あの有名な魔王がいたので俺は驚きのあまり動けなくなってしまった。そんな状況なのに、魔王は慌てる素振りを見せることなく落ち着いて対処していて俺が助けに入ろうとした時には既に戦いが終わっていた。魔王が魔法を使うと魔王の前に巨大な門が出現して魔王の姿が見えなくなった。その門の扉が開いた途端に魔王は姿を消してしまったのである。それから暫くの間俺は放心状態だった。魔王の姿が消える直前、魔王が悲しそうな表情を浮かべていた気がする。

俺は目が覚めると同時に自分の身に、どのような出来事が起こったのか思い出そうとするが上手く思い出せなかったのである。俺の目の前に一人の男性の顔があり俺は彼の姿を見るなり大声を上げそうになっていた。なぜなら彼が俺の会社の社長であった為だ。俺は社長に対して謝罪する。すると彼は「気にするな」と言って俺を慰めてくれた。俺は申し訳なく思いながら社長の顔を見ていると、ふと気が付いた事が有り思わず口に出してしまう。それは魔王は本当に存在していたのではないかと思ったのである。そう感じたのは魔王の最後の行動だった。俺を助けようとせず魔王が一人で逃げようとしている光景が目に焼き付いていたのだ。魔王が俺を騙すために見せた演技だと言われれば、その可能性はある。でも、なぜか分からないが、あの光景を思い出して気が付くと涙が溢れ落ちそうになっている事に気が付いてしまったので、それを誤魔化そうとしたら、いきなり会社中に警報のサイレン音が鳴り響き始めた。

その音を聞いた俺を含めた皆の表情が引き攣っている。これは、いつもの、あの緊急事態が発生した時を知らせるサインである事は俺も分かっている。

すると目の前にいた俺の上司の加藤さんが真剣そうな表情で「全員、直ちに社内にある会議室に移動して貰えるかな」と言ったので俺も指示に従って部屋から出て行ったのである。その途中で同僚の山口くんと一緒になって移動するが、その時、俺の横を歩く同僚と目があった。俺の視界に入ったのは眼鏡をかけた優しそうな笑顔が素敵な女性の山口真紀であった。彼女は、とても魅力的な容姿をしており俺の理想の女性に近い存在である。

彼女は俺の同期であり仕事上の立場は彼女の方が上である。だが俺の方が年齢が一つ下だという事もあって俺が年長のように振る舞うと彼女は文句を言いながらも俺の話をしっかりと聞いてくれて真面目な対応をしていた。俺は彼女と話す度に彼女を異性としても好きになっていったのである。その証拠に、つい彼女の方をチラ見してしまう癖がついたほどだ。そんな彼女は俺の目の前で緊張した面持ちで前を見ながら歩き続けていた。その横顔を見ていたら俺は彼女が可愛くて愛しく思えるようになっていたのである。そういえば俺は先日、勇気を出して彼女に食事の誘いをして断られたばかりであった。だから、こんな所で会えただけでも幸せかもしれないと思って、つい笑みが浮かんでしまいそうになるが、その気持ちをグッと抑え込んで俺は彼女に気付かれない程度の距離を取ってついて行く。

彼女は他の社員たちと一緒にエレベーターに乗り込んでいったのである。それを確認した後、俺も急いで乗り込んで最上階へと向かうボタンを押すと直ぐに到着してくれたので、すぐに会議用に使われる大きな会議室まで到着した。

俺達が中に入ると、もう殆どの席が埋まっていて、俺達は端っこの方へと移動したのだった。そして全員が揃った事を加藤が確認してから部屋の明かりが消えた。俺は暗闇に包まれた部屋の中で目を瞑ると魔王が無事に生き延びる事を祈っていたのである。そして、そのまま俺達を乗せた車は何処かに走り去っていった。俺は魔王が無事であれば良いのだが、どうしても悪い想像しか頭に浮かんでこないのである。その事が悔しくもあり、やりきれない思いを抱えながら、どうにか助かってほしいと思っていたのであった。

俺は夢から現実に意識を引き戻されて目が覚めたが、そこは見知らぬ場所で辺りには誰もいないのを確認する。俺は慌てて立ち上がると周囲の状況を確かめたのだ。その瞬間、何かが倒れる音がしたので、そちらに視線を向けると一人の男性が床に倒れ込んでいてピクリとも動かなかったのである。そして彼の傍に居たと思われる女性が彼を心配しながら抱きかかえて必死に呼びかけていたのだ。その女性に見覚えがあって俺は驚きの声を上げてしまう。何故ならその女性の名前は「佐藤萌奈美」で間違いなかったからである。俺が知っている彼女よりも少し若いが間違いなく萌奈美本人であった。その姿を見て、やはり俺は別世界に転移させられたのだという事実を再認識させられる。その事で混乱してしまい俺は言葉が出なくなっていた。そのせいで彼女達に警戒されてしまったのである。その時に俺の仲間でもある田中萌奈美に良く似た女の子と俺は出会う事になる。そして、それが後の勇者である少女だと分かったのだ。俺は二人の勇者が魔王を倒したという話を聞いた事が有った。

勇者の一人の少女は、まだ幼さが残っている顔つきをしていたが可愛いというよりは綺麗な印象を持つ少女だった。その少女が魔王の呪いにより苦しんでいる事を俺は勇者から聞いた事があって、それを解決できる方法が有る事も俺は思い出していた。しかし、その事を口にしようとした俺に向かって勇者の仲間のアイーダと呼ばれていた美少女が俺の事を信じていなかったようで、その言葉を遮って、俺に襲いかかってきた。

俺は突然の出来事に驚いているとそのアイーダによって殺されかけたので間一髪のところで俺は、その場から逃げる事にする。そして逃げた先で別の女性と会う事になったのだった。

それは俺の憧れの女性だった。

そして俺は自分の目の前に現れた人物が誰か気が付いた時には思わず泣き出してしまった。その人は魔王の討伐をするために俺達を召喚する事を提案した人物でもあり、俺が子供の頃からの想いを寄せていた女性でもあったのだ。俺は、そんな彼女の事が好きなのだが残念ながら相手は既婚者であった。俺は、この世界で結婚をする気はなかった。しかし彼女と再会して話している内に、どうやら俺が此処に呼ばれた理由というのが魔王を倒す為らしいと知る事となる。その事が分かって俺は嬉しかったが同時に不安もあった。

もしも、この世界が俺のいた地球と違う平行世界的なものだった場合だ。その場合、俺の存在は、かなり異質なものになってしまう可能性があったからだ。もしそうなれば、この異世界では異端者となり迫害される危険性だってある。だが俺は自分が選ばれた特別な存在だという自覚を持っていた。だからこそ自信を持って魔王に立ち向かえるような気がしたのである。

魔王の封印された宝物庫に行くと金銀財宝が置かれていた。俺がその量と質を見た限り凄いものだと分かる。そして俺は、それらに目が眩むような気持ちになっていた。だけど宝箱の中身を確認すればする程、俺は絶望していく。なぜなら金目の物は確かに凄いものがあったが食料などの類が全く入ってはいなかったのだ。そこで魔王が人肉を好んで食べているという伝承を思い出す。俺は嫌な予感を感じて震えるしかなかった。だが俺の目の前にいる魔王は普通の人間の姿をしており見た目は美形であった。その為か魔王の事を美しい女性だと思うようになっていた。そんな彼女が「私の血を飲むが良い」と言うので俺は彼女の首筋に唇を付けて吸血を行ったのである。俺は初めて他人の血を飲み興奮して、その味に夢中になり気が付けば吸い尽くしてしまっていたのである。その結果、彼女は干乾びてしまい死んだ。俺の心の中には罪悪感が押し寄せてきて、その場で何度も俺は謝り続けた。

それから魔王城を出て街に戻った。魔王を倒して戻ってきたと皆に伝えた時の反応は、やはり俺の思っていた通りだった。皆、俺が偽物だと言って責め立ててきたのである。俺は自分の正当性を主張しようとするが何故か言い返す事ができなかった。しかも、そんな時に限って、いつもの幻覚症状が現れ始めて俺は自分の意識を保つ事に精一杯になってしまったのである。

俺の目に見えるのは俺を殺そうとする仲間の姿である。

俺は抵抗したが力及ばずに殺された。俺は目の前で何が起きたのか分からない。俺は死ぬ間際に自分の体に異変が起きて若返っていくように感じた。俺は意識を失いそうになっていたのだが目の前の男が剣を突き立てるのが見えたのである。俺は意識を失って倒れたが気が付いた時には病院のベッドの上にいた。俺は今まで見た事もない部屋の中で目が覚めて戸惑っていると俺に話しかけてくる男性がいた。俺は男性の言葉を聞いて驚くが、それ以上に男性の名前を聞いて更に驚く。それは、その男性は俺が子供の頃に憧れていた人物であり初恋の人であったからだ。

俺の名は高橋和也で年齢は28歳、そして男性の名前は山田裕二で彼は30歳の男性であり俺の父親だと言った。そして父親に言われて鏡を見て驚いた。その外見が俺が子供の時から憧れていた人の顔そっくりだった為である。その人は父親の友人の子なので、いつも俺が会いたいと思っていても中々会えないでいたが、俺が小さい頃に、よく面倒を見てくれていたので俺は実の父より父として彼を尊敬していたのであった。

俺達は父の友人が入院しているので面会に行きたいと伝えると「今日はまだ駄目だよ」と言われてしまったのである。だから仕方がないので退院した翌日から面会を行う事にした。俺は父の運転で彼の見舞いに向かうが道中で、ふと俺の脳裏にある事が過った。そう言えば父は母と結婚する前は、その男性の婚約者であったはずだ。だから彼の容態が良くないと聞いて俺が心配すると、その理由を父が語り始めたのである。

そして俺は衝撃的な事を知ってしまう。

俺は目の前に居た男性が自分の祖父だという事に驚いて声も出せなかった。だが、すぐに俺が知っている祖父の若い頃の容姿を思い出していくと、どこか似ていると感じて納得したのだ。しかし目の前に居る人物は年齢的に40代前半くらいの年齢だと思われたので俺は困惑していたのである。そんな話をしていると病院に到着した。その途中で俺は自分だけが何故このような事になったのかという疑問について考えていたのだ。

そして、ようやく思い当たる節を見つける。それは魔王との戦いで俺が吸血鬼にされたからではないかと思い至ったのである。その事実を改めて突きつけられると、もう元の人間に戻る事は不可能なのではないかと思った。

病室に入った瞬間俺は懐かしい気持ちになった。それは幼い頃、一度だけ来た事がある場所であったからであった。俺の祖父が住んでいる所も、ここと同じ病院で同じ個室だったのである。だから見覚えのある物が沢山置かれていて俺に郷愁の気持ちを呼び起こしたのだ。そんな俺が部屋の中を見渡しているとベッドに寝たまま起き上がれない老人と俺の事を不思議そうに眺める少女の二人が目に入る。そして少女の方には、どことなく雰囲気が昔の祖母に似ているところがあったのである。

その女性は俺が部屋に入ると慌てて頭を下げたので、それを見た俺は慌てる事になる。その女性に「どうか顔を上げてください」と頼んだのだが彼女は頑なに拒否をした。俺としては、どうして初対面の俺が此処まで丁寧な扱いを受けるのか意味不明だったので、つい理由を聞いたら俺達が彼女の先祖の仇であるという事が理由だと教えてくれた。そして、その言葉が本当なのか俺が尋ねる前に彼女は俺を試すために嘘ではないと、その証を見せようとしたのである。俺は彼女に騙されない為にも何かないかと考えていたら彼女の腕の中に赤ん坊がいる事に気が付いた。俺達が近づいてきたので彼女は、その赤ん坊を見せてから「この子は私のお腹を痛めて産んだ子供」だと言ったのだ。そんな彼女の様子を見て俺は彼女の言っている事が事実であると確信した。なぜなら、その時の彼女は凄く幸せそうな顔をしていて本当に母親の目をしていたからである。俺は彼女が、そのような態度を見せたので俺には彼女が信用できる人物であると感じたのであった。

そして俺達は彼女達の事情を知った。

その話を聞いた後で俺は自分の体が若返り力が溢れている事を自覚した。だが、それが俺が望んで得た力で無い事が残念に思えたのだ。

だが目の前にいる女性が自分の妻である事が信じられず混乱していた。だが俺は何とか平静を保ちながら目の前の光景を受け入れようとするが受け入れ難い。その事で頭が混乱してしまう。俺は、とりあえず彼女を抱きしめると心が落ち着くのを感じた。そして目の前の女性が俺の母親である事が分かったのである。その事で俺は、ようやく落ち着つく事が出来た。それから俺と母親との関係が少しずつ修復されていくが俺は母親が若い姿でいる事で不思議な気分になって仕方がなかった。俺の感覚的には、その人は俺の母ではなく叔母に近い気がしたのだ。しかし、この世界の人は老化しないらしい。だから俺は気にしないようにしたのであった。ちなみに父親は俺と似たような年齢の時に、この世界で俺と出会っていて結婚していたそうだ。その話を聞かされて俺は複雑な気持ちになった。なぜなら俺の記憶の中では目の前にいる女性と結婚などしていなかったからだ。だが今の俺は自分の記憶の方が間違っていたような気がしている。というのも俺に子供が二人もいたという現実が受け止められなかったのと同じような理由でだ。それに俺にとって一番大事な事を忘れている。それは俺は既に死んでしまっているはずなのだ。だが今は普通に生きているという事実は認めなくてはならないだろう。つまり今の状態が本当の自分の姿だと言う事も忘れてはいけないと思うのであった。

俺は、そんな風に考え込んでいる時に父親に声をかけられて我に返る事ができたのである。

それから俺と母は、ずっと二人で一緒に行動して生活していた。そんなある日に、ある男が現れる。その男の話では魔王を倒した英雄である俺は国の英雄で俺の子供を生めば、それだけで莫大な富と地位を手に入れる事が出来るという話だ。だけど、いくらお金が欲しくても人身売買なんて嫌だと思う。しかも俺の目の前に現れた奴は胡散臭いオッサンだし、なんか臭かったのだ。俺に人を買う趣味はない。でも、どうしても欲しいなら奴隷商を雇って好きなように命令するといいと俺に言ったのだ。そして「この男は魔王を倒してくれた勇者だから、それなりの褒美を与えてあげないと、他の者が文句を言う」とか言っていたけど俺は、やっぱり人を売る気にはなれなかったのだ。だけど俺の言葉に、その男がキレた。どうやら自分の権力を俺に見せつける為か俺の体を殴ろうとしたのだ。

そんな様子を俺の母親は止めようとしたが間に合わず、そいつのパンチは俺の顔に命中して吹き飛ばされてしまう。

そのせいで俺は気を失ったのだ。気が付くとベッドの上で寝かされていて目の前に医者らしき人物と俺の母親が立っていた。その事に驚いて起き上がるが、そこで自分の顔が痛みで悲鳴を上げる。そんな状態で「何が起きたんですか?」と尋ねた。すると医者が説明を始めた。

そして、それを全て聞いた後に俺の心は穏やかじゃなくなっていた。その事を、どうやって信じればいいのかという気持ちだ。だって俺の両親は既に死んでいると聞かされたばかりだから余計だったのである。

そんな俺を見て医者は心配して声をかけてきた。

俺は慌てて取り繕ったが自分が何を喋っているのか理解できていない。それでも、どうにか俺は、さっきの話が真実であるかどうかを質問して確かめようとしたのである。その質問に対して目の前の医師は肯定した。俺はショックのあまり倒れそうになったが、すぐに母に抱き抱えられると気を持ち直せた。そして、ふと母を見ると彼女は、とても美しい女性のように見えるが実年齢は50歳前後くらいに見えて年齢が分かりにくい。だが、もしかすると母はまだ20歳くらいの姿を保っている可能性もあると俺は思うのだ。そう思った理由が俺の目の前にいる人物が若々しいからだ。そんな時だった、その男が部屋の中に飛び込んできたのである。

彼は俺の父親だった。俺が倒れた事を知っていたようで急いで駆けつけてきてくれたようだった。俺は嬉しかったので父に近寄った。

しかし俺の表情を見て父は険しい顔になる。その事に不安を覚えた俺に、父は真剣な顔つきで尋ねてくる。

「その人は、お前の実の母親なのか?」と聞かれたので「うん」と答えた。父は俺の返事を聞くと難しい顔になってしまう。そんな父と、どういう会話をしていいのかわからずに黙り込んでしまう。すると父から「お前は今までの事は覚えていないのか?」と尋ねられたので、俺は首を振った。

そんな様子を見ていた母から「あの、すみませんが貴方様のお名前は何でしょうか? もし良かったら教えていただければ幸いです」と言われたのだ。だから俺は母に俺の名前は和也で父は裕二だと教えると母は少し戸惑ったような態度を見せる。だが俺は母の様子よりも、もっと重要な問題がある事を思い出していたのである。

実は俺は、この母が誰なのか分からないという事を、このタイミングで言うべきか悩んだ。

そして、このまま何も言わなくても母と上手く付き合えると思ったが、母が困るような事をしたのを思い出して正直に話す事にしたのだ。

俺の話を聞いた母も俺同様に動揺していた。

そして彼女は俺に向かって謝ってきたのである。それは、俺のせいで彼女が苦しむような事をしてしまった事実を知ってだ。そして俺は自分の両親が亡くなった原因を知る事になる。俺が吸血鬼になったのは自分の力ではどうしようもない事で仕方のない運命なのだが、その事に母は罪悪感を覚えてしまったようだ。

俺と母の様子を見ていて、その男性は俺の父親が、この世界に召喚された時に魔王を倒してくれと頼まれた人物だと告げたのである。それを聞いた俺は驚いたのだが、それならば父が、この世界に呼ばれたのには納得がいくのだった。その後俺は父と、この世界での生活の仕方などを色々と教えてもらう。それから、この世界には色々な種類のモンスターが住んでいる事と人間以外の人種も住んでいる事を知ったのである。だが、俺は人間しかいないと思っていたので驚くしかなかった。

そして、その日はそのまま家に帰ってしまった。そして、しばらく経ってから俺の所に両親が現れる。そして彼等の話によると俺は元の世界へ帰されるそうだ。俺は家族三人で暮らす事を提案したのだが二人は「それについては自分達の方から話をつけている」と言って俺の意見を退けたのである。そして俺は両親の言う通りに大人しく元の世界の日本へ戻った。そして数日後、俺は学校で自分の身に起こっている事が夢だと知る。なぜなら自分の教室に入るとクラス全員が俺を無視するからだ。最初は無視をされていただけで別に虐められたわけでもないが、あまりにも露骨だったので、ある日俺は勇気を出して「どうかしたのかな? 皆どうかしているよ」とクラスメイト全員に声をかけたが、なぜか逆に俺が悪いかのように扱われてしまった。その理由は簡単で俺が魔王を倒すために召喚されたという話をクラスメイト達は知っているからである。

俺は学校へ行くのを止めた。俺が登校しなければ、そのうち自然と皆が俺の存在を気にしない日常が戻るはずだと考えたからだ。俺は、そのようにして平和を取り戻す。しかし異世界で過ごした時間は俺の記憶に深く刻まれる事になるのであった。そして、この事が俺にとって良い方向に向かうきっかけとなるのであった。だが俺は、この時の事を一生後悔する。何故なら異世界で魔王を倒した英雄としてチヤホヤされていた俺は、ただ自分の生活が安定さえすれば幸せになれると信じて疑わなかったからなのだ。

しかし実際は違った。俺は自分の愚かさを痛いほど実感させられる事になったのである。

俺は高校に入学してから数日経った後、久しぶりに通学する準備を始める事にしたのだ。そして俺が通っている高校に転校しようと思っていた。というのも今俺がいる地域は田舎で娯楽が少ないし、そのせいか都会に憧れを抱いているのだ。

だが俺の場合は転校を希望せずに普通に卒業できる自信があった。なぜなら俺の成績は、ほぼ学年トップだからである。それに教師達にも信頼されているし、問題を起こしそうな雰囲気を俺は全く出していない。それに俺を苛める人間は学校に一人もいなかったので俺は平穏な学生生活を送れると、この時まで思っていたのであった。

だが、俺の平穏な人生にヒビが入った。それは担任の教師と、とある女子生徒が喧嘩をしたからだ。原因は彼女の家が貧乏でお金が無い事を馬鹿にしたからだそうだ。そんな出来事が原因で二人の仲が険悪になった事でクラスの雰囲気も悪くなっていく。だが一番最初に、そんな状況を作ったのは他ならぬ担任の先生なのだ。彼は授業中に、その事を忘れて彼女に「君の家は、どんな暮らしをしているのかね?」とか言い出した。そして俺を含む他の生徒達が笑い始める。その事に怒った彼女から文句を言われても反省の色を見せず、その事を面白おかしく語って、また他の男子に笑われる。しかも、その事に腹を立てた彼女が職員室に行こうとするが呼び止められて引き止めようとするが失敗に終わる。それで、とうとう彼女は俺達の前で初めて涙を見せたのだった。その光景を見た俺の心は怒りに包まれる。俺は我慢の限界を超えて彼女を庇うことにしたのだ。そして、その時だった。俺は彼女と視線が合うと「なんで、そこまで意地を張るんだ?」と問いかけると彼女は「私の両親が離婚して私を引き取ったのに母親が夜の仕事を始めたせいで生活環境が悪くなった」という理由を口にするのである。そんな理由を聞かされたら「そんなの俺の家だって、ほとんど一緒じゃないか」と言うしか無かったのだ。

だけど、それでも彼女は泣き止まない。

そんな時、一人の男が現れる。その男は担任の男を呼び出すと彼を怒鳴り始めた。その男は学校のOBで金持ちらしいが権力を持っている男だそうで、そのせいか彼は自分の言うことを聞いているようだった。だけど男は最後に彼の耳元で、なにか呟くと彼は、あっけなく逃げていったのである。そして俺達に「すまなかった。許して欲しい」と謝罪してきたのだ。

こうして俺は救われたのであった。そんな俺は、この日の事がきっかけで転校する事になり今の高校に通うことになる。俺を転校させた理由は、いじめが原因ではなく彼が金を持っていたのに親身になって相談に乗ってくれなかったという話を聞いた俺の父が激怒して彼を呼び出し説教をして、そのあと学校を辞めさせるという話になっていたのだ。

ちなみに転校する前に、お詫びの意味もあってか校長から高級レストランで食事に招待されてしまう。もちろん俺は遠慮して断ろうとしたが父に強引に連れて行かれる事になってしまう。

だが、そんな父の対応を見ていて少し驚いた。俺の父が俺の為に怒ってくれる人なんて今までいなかったのだ。だからこそ、俺は心底嬉しかった。それと同時に俺は自分なりに行動を起こして誰かを助ける事も大事だと思い知らされたのだ。

その後俺は引っ越しをする事になる。それは俺と母の実家の近くにアパートを借りて暮らすためだ。そして、そこには俺以外にも人が暮らしているようで、これから会う約束をしていたのである。そして俺は初めて見る事になる。自分の父親だという存在と母と一緒に暮らす新しい家庭を、その事を知った俺は不安になる。もしかして自分は嫌われているんじゃないかと。だけど、そんな心配はいらなかったみたいだ。俺が自分の本当の父親の顔を初めて見ると父は俺に微笑みかけて挨拶してくれるのだった。

しかし母は何故か複雑な表情だった。そして母から俺は、この世界のルールというものを教えてもらったのである。

俺の両親は二人とも仕事で海外に行くことが多い。そのため俺は父方の祖父母の世話になる事が多かった。そのおかげで俺は祖父との思い出がたくさんあったのである。祖父は優しい人で、いつも俺の頭を撫でてくれた。俺は小さい頃から祖父が好きだった。そのせいで俺の中で祖父はヒーローみたいな存在であり尊敬の対象でもあった。そんな祖父の顔が浮かんできた俺は寂しさで泣いてしまう。すると俺の肩に手が置かれたので振り返った。すると父さんが真剣な眼差しで、こう言ってくる。「お前は、そんな事では負けないよな?」と、俺は黙ったまま父さんの言葉を聞いていた。

それから俺の引っ越しが終わった数日後。母と二人で公園へ散歩に出かけた俺は母と手を繋ぎながら一緒に歩き続ける。

母が言うには、この世界と元の世界は繋がっているというのだ。

しかし母は俺に、この世界の人間じゃないことを誰にも知られてはいけないと注意してくれたのである。俺はその言葉に、かなり驚かされたが母は「もしも自分の正体を知られた場合は元の世界へ帰るように言われた」と言ってきたのだ。

それを知った俺は自分の正体を他人に話すのを止めるのであった。

「えっ!?」と、思わず驚きの声を上げた俺は何が何だか分からずにいたのだが母は何か事情を知っているような感じで、それを誤魔化そうと、とぼけたような言い方で話を逸らす。

だが俺は、この話に興味を持ったので詳しく教えて欲しいと言い出すが彼女は、あまり話そうとしなかった。それどころか、そろそろ時間も遅くなるから早く家に帰ろうと言われてしまったのである。

「待ってくれ!」

俺は焦って追いかけるが、どんどん差が開いていってしまうので、俺は諦めて家に戻ることにした。

そして家に帰りついた俺だったが部屋に戻ってベッドの上で横になっている最中に、どうして母の事を思い出すと気分が落ち込むのかを考えるのであった。

だが、なかなか考えが纏まらない俺は「まあ、そのうち思いつくか」と言って自分の部屋の明かりを消して就寝するのであった。そして俺は翌朝を迎えたのである。

そして俺が起き上がると隣には母が座っていた。

俺は慌てて起き上がり「おはよう」と笑顔で挨拶した。

「あら、もう起きたのね。裕司、ご飯が出来ているから顔でも洗ってきたらどう?」と言ってくる母の言葉を聞いた俺は台所へ向かう。それから朝食を食べている途中で俺は「ところで今日は、どこへ行くの? 俺にも内緒なんだよね」と言ったのだ。

それを聞いた俺は不思議に思う。なぜなら、いつの間にか出かけるような雰囲気を出しているし、それなのに、まだ準備をしていないからである。なので俺は質問をしたのだが、母は答えをはぐらかすだけだった。それで俺は仕方なく「わかった」と答える。

だが、そんな会話の後、俺達は普通に日常を過ごして、それから昼頃になると昼食の準備を始めたのだが母は料理が下手で包丁を握る度に指を切る。しかも切った後は放置したままにして手当てもしないし、そのまま放っているので見ている俺としては落ち着かない気分だったのだ。それで「やっぱり俺が作らないとダメかぁ」と思いながらも俺が作ると彼女は喜ぶので俺は張り切って料理を作っていく。

そんな事をしていた時、ふと俺は気付いたのである。なぜ俺が異世界へ行った事を、みんなが知らないのか。それは彼女が隠していたからではないのか、と。そして俺は彼女から異世界での事を聞かなくてはならないと思う。

だけど、どうやって切り出せばいいか悩む俺は悩み続けて、そして夕食の時に彼女に、そのことについて聞いてみた。

「ねえ母さん。俺さ、実は勇者召喚に巻き込まれてさ」と言うが「なに言ってるの、あなた」と普通に返されてしまった。それでも俺の方からは、どうしても言い出せないでいると「そういえば明日は仕事があるの。だから今晩の食事も外で済ませないといけないわね。ごめんなさい」と謝られた上に食事代も渡されてしまう。そして「今朝は、お仕事が無いと思って油断していて用意するのを忘れていたけど大丈夫かしら?」と言われると、こちらから言い出せなくなってしまった。そんな事を言われてしまえば仕方が無いと思った俺は「うん、別に平気だよ」と答えると彼女は安心するのだった。そして俺達二人は外に出かける。そして夜になると俺は彼女と別れて家に帰る。しかし俺の家は彼女の実家の隣なので歩いて五分程度の場所なのだ。

しかし家の前に立つと違和感を覚える。それは人の気配を感じたからだ。

俺は警戒しながら玄関を開けて中へ入る。

その瞬間だった。後ろから誰かに抱きしめられて拘束されたのである。俺は必死に抵抗するが振りほどけない。その相手は若い女性だった。しかし彼女は、いきなり服を脱ぎ始めると、その事に戸惑った俺に、こう告げてきたのである。

「あなたの事が気に入ったの。抱かせてあげるから、これから、よろしく頼むわね。私の可愛い子猫ちゃん」

そして彼女は自分の唇と舌で俺の口を強引にこじ開けてくると、そこで自分の口の中に唾液を流し込んで来たのだった。

その光景を目の当たりにした俺は驚く。なぜなら、それは母が俺によくやってくるキスの仕方だったからだ。その事で俺は動揺してしまい力が抜けていくと彼女は俺から離れていった。しかし彼女は再び抱きついてきて耳元で「今夜は、お楽しみにしようねぇ」と言ってきたのだ。そんな状況に困惑している俺に対して、さらに彼女は「私は母よ。貴方が会いたいと思っていたのは私よ」と、そう囁いてくる。

そんな事を言われると信じられなかった俺は彼女の身体を押しのけると、すぐに部屋に戻り母を家から追い出して鍵をかけたのである。

それから俺の心の中は、ぐちゃぐちゃになって訳が分からなくなっていた。しかし、そんな時だった。扉越しに、なにか声のようなものが聞こえたのだ。俺は恐ろしくなって耳を塞いで座り込んだ。そして、しばらく何も出来ないでいたのである。

すると突然の出来事が起きた。誰かに腕を引っ張られると俺は強制的に歩かされ始めたのだ。その相手が女である事を確認した俺は、その手を払いのけて逃げる。しかしその女性は追いかけて来るので俺は、とにかく走った。

だけど俺は捕まってしまい逃げられなくなる。それどころか俺は逃げようとするが足がもつれて転んでしまった。そんな時に「もう逃がしませんよ。旦那様♡」と言われてしまう。それを見た俺は「母さん?」と、問いかけたが返事はない。その代わりに女性に馬乗りにされると、そのまま俺の首筋に吸い付いてきたのだ。

それから彼女は首だけでなく体中に次々と吸い付き始めて、やがて胸を吸われ始めてしまうと俺は、もう我慢が出来なかった。

しかし母であると分かっている相手に興奮してしまう自分に嫌気が差してしまい、なんとか抵抗しようとしたが、どうすればいいのかわからなかったのだ。そして最終的に母と性行為を始めてしまうと母が言う。

「気持ち良かったでしょう? だけど今日は、ここまでよ」と、そして服を着終わった母は立ち上がって俺を見下ろす。だが、その時、俺は母を見上げていると母と目が合ってしまったのである。

「ああ、バレてしまったか。しょうがないわね」と言うと彼女は自分の服に手をかけて脱ごうとしたのだが俺は止めに入る。だが、それも虚しく服が破れてしまった。それで彼女は自分の裸を見せる。すると俺は見入ってしまうが彼女は俺に向かって微笑むだけで動こうとはしなかった。

それから母と名乗る女性に俺は手を伸ばすが届かない。そのせいで俺は「俺の母さんは一人だけだ。だから俺の前に現れるな」と言いながら、その場で意識を失うのであった。そして目を覚ますと自宅にある俺の部屋だった。だが俺は自分の身体を確認する。なぜか男に戻っているのである。そのせいで「夢?」と思うが俺は自分が寝間着を着ていることに気づくと、もしかしたら、あの女性の言っていることは本当かもしれないと思う。そして、ある仮説を頭の中で立てた。もしかして俺に息子が居なくて寂しかった母は俺と肉体関係を持つことで寂しさを埋めようとしていたのではないか。だから、この世界に呼んだのだとしたら。

そして俺は考えるのをやめると「よしっ! 明日から、がんばるぞー!」と言って、また布団に入り直して就寝するのであった。

翌日、学校に行く前に、まず俺は自分の身だしなみを整えていた。

それから制服に着替えて家を出ようと思った矢先に俺は、とある事を思い出す。そう言えば、あの女性は誰なんだろうかと、そんなことを考えていた。

「もしかして俺と母さんの本当の親父さん? それとも俺を生ませた別の女の人か? もしかして母さん? いや、まさか違うよね」と呟くと「正解よ」と言われてしまった。その事で俺の背中に悪寒が走る。そして俺の視界に入った女性は、やはり母の姿では無い。

それなのに目の前には俺の母親を名乗る謎の人物が現れていたのである。

俺は「母さんじゃないのか?」と言うが彼女は首を傾げるばかりだ。そして「何を言ってるの裕司」と言われてしまうと、俺は「いや、だってさ。母さんは若く見えるけど本当は歳を取っていて若い俺に、お化粧をして母を演じているとか、そんな話があるのかなと思ってさ」と言った。

だが「私が若い頃に子供なんて作ったら大問題になるから、さすがにしないわ」と言われる。それを聞いた俺は心底ホッとして安心する。それを見た彼女は笑顔を浮かべると「心配性なのね。だけど残念ね」と言われた俺は何の事か理解できない。なので、どうしたんだ? と思っていると「私と裕司の子は出来ていないけどね」と言われると、どういう意味かは分からないのだが俺の全身から汗が大量に噴き出してきて呼吸も苦しくなり始めた。

それなのに「大丈夫?」と言って、彼女が俺に近づこうとすると、俺は「大丈夫だから来ないでくれ」と叫び、そして俺は逃げ出した。

それから俺の頭の中はグチャグチャになっていたが、そんな俺に追い打ちをかけるように母と名乗る人物が俺の家に現れたのだった。それで俺が驚いていると母を名乗る彼女は俺に近づいて来て「貴方、お昼は何を食べたい?」などと話しかけてこられて、俺は恐怖を感じるが彼女は平気そうな顔で言う。

「お弁当を用意したから出かけましょう」

その事に俺は疑問を覚える。なぜなら彼女が俺に昼食を用意してくれたことなど今まで一度も無いからだ。それで彼女が俺に渡してきた包みを開けると中には手作りっぽいサンドイッチが入っていた。その事に疑問を覚えつつも食べ始めると、かなり美味しいと感じた。

しかし「どうして作ってくれたのか」という事について質問すると彼女は「だって今日は特別な日なのよ」と答えてきた。そこで、どんな日にするつもりなのか聞くと、彼女は答えてくれるが、その内容に俺は驚いた。なぜなら、それは母が異世界に召喚されて魔王を倒した記念日だったからだ。そこで彼女は俺の事を異世界に連れて行ってくれるので、それに備えて勇者としての鍛錬を始めた方がいいと言い出したのである。しかし、その事で勇者の召喚は俺にしか使えないらしいと聞かされると俺は「俺は勇者の力を持っていません」と答えるが彼女は「勇者の力は後からでも目覚めるものよ」と言うのである。

そんな風に言われると俺としても勇者の力を持つ事が凄いことだと思い始めていた。

そして彼女に促されるまま、俺は勇者の修行をすることになったのである。

しかし勇者の修業と言っても、具体的に何から始めて良いのやらと悩んでいたが彼女からの「まずは自分のステータスを自分で確認してみると良いわよ」とアドバイスを受けた俺は試してみることにする。そして自分のステタ画面を開いた俺は驚くことになる。なぜならそこにはレベル1の文字しか書いていなかったからだ。

そして彼女は、こんなことを言ってくる。

「貴方に足りないもの。それはレベルよ。だから今日から頑張ってレベルを上げないとダメね」

俺はその言葉に愕然としたが彼女の方は普通にしているので俺は彼女の態度を見て冷静になり尋ねる。

「ちなみに母さんは、どうやってレベルアップをしたんですか?」

俺がそんなことを言うと、なぜか彼女は顔を赤くさせて「そんな事はどうでもいいでしょう」と少し怒るような感じになった。それに戸惑いながらも俺は彼女の機嫌を取るために褒めてみたが、そんなものは無意味であり、俺は「ごめんなさい」と言って謝った。

「貴方に母と呼ばれると虫唾が走るわ」

彼女は、そんな事を言いながら家から俺を連れ出して街に繰り出した。

それから、しばらく街中を歩き回っていた時である。いきなり後ろを振り向いた彼女は俺の腕を掴むと「こっちよ」と走り始めたのだ。そして人気の無い路地に入ると彼女は「ここからなら誰にも邪魔されずに訓練出来るわよ」と言ってきた。そして俺の手を引っ張って行き、そのまま建物の裏側に移動すると俺を突き飛ばしたのである。俺は「なにするんだよ!?」と文句を言うが、その時だった。俺の視界の隅で、ある女性がニヤリと笑みを浮かべたのを俺は見てしまう。そのせいで、なぜ自分が突き飛ばされたかを理解してしまう。つまり俺は人質になってしまったのだと気づいた時には遅かった。

それから彼女は、こう言い放つのである。「お前は人質なのだ。言う通りにしないと、こいつがどうなっても知らんぞ!」と言い出すと彼女は俺を建物の壁に叩きつける。俺は、それを受けて「うぐぅ」と苦悶の声を上げたのだが女性は俺の耳元で囁くように言った。

「私は勇者パーティに所属していた者よ。私の言葉を良く聞いて欲しいわね。いい? これから貴様の目の前に剣を差し出す。そしてそれを取れ。そうしたら開放してやる。だけど取らなかった場合は殺す。どうするか選ばせてあげるわ。だから早く選びなさい」

そう言われた俺は、どうすれば、この窮地を切り抜けられるのかわからなかったが、このまま何もせずに殺されてたまるかと思い言うとおりにしたのだ。そして剣を手渡すと彼女は言う。

「じゃあ解放してあげようかしら」と彼女が言うと、いつの間にか俺の後ろに回って来た男が俺の首を絞めつけ始め、俺は意識を失いそうになった。

「待て! このクソ女! 俺を殺すつもりか!」

俺は意識を失う前に精一杯の力で声を出して叫んだ。しかし彼女は「え? なんのことだか分からないけど、この男を殺されたいの?」と言って俺の首を締め付けてくる。そんな事をされているにも関わらず男は余裕を見せており、それが不気味であった。それで俺は自分のステータス画面に表示されているスキル欄を眺めて、どうにかして助けられないのかと必死で考えた。その結果が魔法を使うことだった。それならば俺が今現在扱える最高の魔法を使えば男を吹き飛ばすことは可能だと考えた俺は実行に移したのである。

すると男に向かって放った俺の渾身の一撃で、かなりのダメージを与えることに成功した。それで俺は、これで何とかなると確信する。だが男の方はダメージを受けたことなど微塵も思わせぬような動きで立ち上がると俺に殴りかかってくる。しかし、さっきまでとは違って、まったく怖くなく感じる俺は男の拳を片手で掴むと、もう片手を突き出そうとしたのだが俺の身体は動かなかった。そして気がつくと俺は地面の上に押し倒されていたのであった。そして目の前には剣先が差し出され、あと少し動くだけで喉に突き刺さる寸前であった。それを見た瞬間に俺は死ぬかもしれないという事を理解すると「お願いだから許してくれ!」と叫んでしまう。すると彼女は俺の言葉を聞いた途端に、今まで俺に見せていた冷酷な表情が嘘のように消え失せて優しい笑顔になると、こんな事を話し始める。

「そうか、分かったぞ。やはり、お前は私の息子だな。私に似て頭が良いんだな。だから、ちゃんと言う事を聞くか?」

その言葉を聞いた俺が「聞きます! だから、やめてください」と言うと彼女は俺に、ある提案をする。その内容は、とても恐ろしいものだった。

それは、この場で死んでもらうというもの。それなのに彼女は嬉しそうに話を続ける。「やっぱり私が選んだ勇者だ。お前は本当に賢いな」と言うと俺の目の前に差し出していたナイフを下ろしたのだった。そして彼女は、こんな事を口にする。

「よしっ、そろそろ家に帰るとするかな」

俺は、その一言を聞いて心底から安心したのだった。それなのに、あの女性は「ほら、いつまでも寝転んでいないで起き上がりなさいよ」と言って、まだ、ここに残ろうとする。俺は、どうしてなのか理解できなかったが、ここで彼女に反論するより従っておいた方が良いと思ったので、おとなしく彼女の言うことに従った。

そして家に帰ってきた彼女は俺に「疲れただろうから、お昼ご飯を作るのを手伝ってくれ」と、そんな事を言われて手伝うことになった。そこで彼女が包丁を使って何かを作ろうとしていた時に、また後ろから男が近づいて来て俺の背後から刃物を突き付けると、このようなことを言ってきた。

「お嬢様、あまり変な行動をされると言いなりになっている、こちらの方が怪我をしますよ」

その事で彼女は悔しそうな顔を見せる。それから料理を作り始めると俺にも食べさせてくれたのだ。それで食べ終わって休憩をしていると彼女が「お前のレベル上げについて、もう少し考えてみた方がいいな」と言ってきたのである。その事に、どういう意味があるのかは俺にはまったく分からなかったので尋ねてみると「レベル1のままで戦うなんて無謀だと思うわよ」と彼女は答えたが俺は何のことか分からないので困惑してしまった。そこで俺は彼女の方から色々と説明を受けたのだった。まずは勇者の力は勇者として相応しい力が備わるまで成長しないらしく、その為に俺がレベルを上げて強くなる必要があったという事を教えてもらった。そして俺が強くなれる方法は、ただ一つだけ存在すると彼女は口にする。

その方法とは魔物を倒してレベルを上げることであるというのだ。

そこで俺達は外へ出る。

そして俺と彼女は山の中に入った。そこで、俺達二人は出会う。それは俺が想像すらしていない程に巨大な蛇であった。しかも二匹もいる。そんな相手と遭遇した事で彼女は大喜びしている。それから彼女は、こう言ってくるのだ。

「これは、ちょうど良い獲物を見つけたみたいだわ」

そう言った直後である。俺は彼女に抱きかかえられたまま、その場から飛び上がる。そして次の瞬間、俺達の居た場所に大蛇の一匹が襲い掛かってくる。その様子を見た彼女は俺を抱えながら空中を蹴って移動を行う。そして大蛇の攻撃を避け続けると彼女は言った。

「いいわよ。もっと攻撃して来なさいよ」

それからも彼女による回避が続くが、ついに追い詰められた俺は死の危険を感じると、こんなことを呟いていた。そして次の瞬間、俺は勇者の力を得たようでステータス画面が表示された。そして俺は彼女に向けて「今から反撃しますから、そこから離れていてください」と叫ぶと彼女は「大丈夫。貴方を信じているから」と言って、俺から距離を取った。それから俺の方から攻撃を仕掛けると、俺に宿ったチート能力は凄まじく、あっさりと倒すことに成功する。そんな様子を目にした彼女は、どこか感慨深げな態度を見せていた。そして「私の見込んだ通りの男だわ」と言った後に彼女は「さぁてと」と続けてから、こんな事を言ってくる。

「さて、これから貴方の修業を始めましょうか」

俺は嫌だと拒否しようとしたが無駄に終わり、俺は強制的に彼女と行動を共にしなければいけなくなった。だが、それだけでは終わらなかったのだ。なぜか俺の家に、もう一人の女性も現れ、俺の世話をしだす始末である。

そんな風にして俺は魔王と戦うための準備を整えるべく、勇者パーティを追い出された俺であったが、なぜか勇者の母親と一緒に生活を共にする事になってしまったのである。それから数日が経過して俺の日常に大きな変化が起きた。勇者の母親は朝早くから夜遅くまで仕事をして、いつも帰ってくるのは深夜になる事が多い。そんな訳で俺が起きる頃には既に仕事に出かけているという毎日が続いているのだった。なので勇者の母親が仕事に出かけてからは、ずっと暇だったのである。それでも俺は外に出れば勇者の仲間である女が居るはずだと予想していた。なぜなら女の目的は俺の捕獲である可能性が高いと思っていたからだ。だから、この家から出た場合、どのような行動に出るのか確認する必要があったのだ。だから家の中を適当に見て回ることにする。

しかし特に変わった所はない。それで次は玄関の扉を調べてみるが開かない。試しに窓を開けてみようと試みるも開くはずもなかった。

(なんだ? この部屋だけ、まるで牢獄のように厳重だぞ)そう思い俺は、とある一つの結論に達した。それは勇者の母親と女の狙いはこの俺なのだという可能性であった。つまり俺を殺すために用意された部屋に違いなかった。そう考えた俺は急いで逃げ出すことにしたのだが残念なことに玄関の扉を開く鍵がなかった。それだけではなく窓から逃げる事も不可能である。そう考えた俺は他に逃げ道が無いかどうか探す事にする。だが調べたところで他の場所に行く事が不可能な事を理解してしまうと、俺は諦めることにした。その結果、俺は椅子に座って、ぼーっとすることにしたのである。

しかし退屈でしかなかった俺は、いつの間にか眠っていた。そして目が覚めると、そこは真っ暗な場所で俺は、どこに自分が居るのか理解できない状態で不安を感じていた。しかし次第に視界は明るくなるのを感じて天井に目を向けてみる。すると、そこには明かりがあって眩しかったが、ようやく周りが見えてくる。すると部屋の中央にはテーブルが有りその上には食事が用意されていて、その傍には俺を拉致してきた女が立って食事を始めていた。そんな女に対して俺が、こんな事を口にして尋ねる。

「あの女はどうしたんだ?」

そう尋ねた後で思い出したのは俺を家から追い出した張本人であり、あの勇者が一緒に暮らしていたという女性である。

彼女は俺の問いに対して、こう返答する。

「あそこに転がっている肉片は貴方に食べられる事を望んだみたいだけど食べる? 食べたくないのなら私一人で全部食べさせて頂くわね」

「食べる」俺は思わず即答する。しかし彼女は「え? 今、なんといったの? 聞こえないからもう一度言ってくれるかしら」と質問してくる。俺は、はっきりと答えた。「俺も食べたかったからな。だから早く寄越せ!」

だが彼女は呆れたような顔をすると俺を見下しながら、こう言った。

「まあいいわ。それじゃ、まず私が手本を見せてあげる」

それから俺は料理を食べる事になった。それは目の前にある物を口に運べば、どんな物でも俺が美味しいと感じたように思えるほど美味しい料理であった。それ故に俺には彼女の言っていることが本当なのか嘘なのか判断がつかなかった。そう考えている間に、もう彼女は食べ終わっていたのだ。

俺は自分の分の料理を食べ終わると皿を流し台へ運ぶ事にする。すると彼女が「ねぇ」と言ってきたので振り返る前に彼女が言葉を続ける。

「ところで勇者はどうしてるか知ってる?」

俺は知らないふりをするか正直に答えた方がいいのか悩みながらも「あいつの事など興味がないな」と返事を返す。すると彼女の声色が変わったことに気がついた俺の背筋に悪寒が走ると「貴方、本当に馬鹿なの?勇者は私達の敵でしょうが」と言って俺の肩に手を置く。そして彼女は耳元に近づくと、このような言葉を囁いてきた。

「それとも何か理由があるのかな?」

「なにを勘違いしているんだ?」俺は慌てて誤魔化そうとした。

「なにって勇者から追い出されたんじゃないの? という事は私達が追っている勇者を、まだ追いかけていない事になるよね。勇者の事を話せば私達は見逃すつもりだったけど違うみたいだし」

それを聞いて、つい動揺してしまうと彼女がクスリと笑う。

「ふぅん。やっぱりね。おかしいとは思っていたんだよ。普通、こんな場所に勇者が来たりしないもの。それにしても勇者から追い出させた奴に復讐なんて、よく思いつくよね」

「うるさい」と俺が叫ぶと彼女は「ごめんなさい。あまりにも意外だったので」と言う。そして彼女が、こんなことを話し出す。

「それでね。ここからが重要になるんだけど勇者を裏切ったのに、勇者に助けを求めたりはしていないでしょ」

俺は彼女の言った意味を理解するのに時間を要したが理解した後で答える。「お前は、どうして勇者と一緒だったんだ」と尋ねてみると「私は貴方が魔王を倒した後に、こちらの国に戻って来ても困らないようにしてあげようと思ったからよ」と言ってきた。それから俺は「お前は何者なんだ」と聞いてみると彼女は笑顔で、このような事を教えてくれた。彼女の名はレイアという名前で職業は暗殺者であったらしい。彼女は「本当は勇者が魔王を倒し終えた時に殺して、こちらに戻ってくるはずだったのに」と言った後に溜息を吐いてから、こんなことを言い出した。

「貴方を仲間にしようと思って勇者と一緒に行動していたけど、まさか、こんなに使える人間だなんて思わなかったわ」

「それでだな。そろそろ、その手を放してくれないか?」と、俺が言うと「それは無理」と即座に拒否された。俺は焦ったせいもあって彼女を押し退けようとしたのだが、彼女は素早く動いて、なかなか掴むのが出来ないのだ。

そうしている内に勇者の母が帰ってきて、俺達の姿を見ると不思議そうな表情をして言った。

「何を遊んでいるの」彼女はレイアに向かって話しかけると彼女は微笑を浮かべて「ちょっとしたコミュニケーションです」などと訳の分からない発言をした後に彼女は俺を強引に連れて行く。

それから数日の間、俺は勇者の母親から家事などを習った。そして彼女は俺に色々な知識を与えてくれるのであった。それから数日後、ついに勇者は旅立つ日がやって来た。俺が勇者の母親に連れられて勇者を見送りに行く。そこで俺は見覚えのある顔を見つけたので驚いた。そこで俺は彼女を見て、ある人物を思い出したのだ。

(こいつは俺が魔王の居場所を教えるために協力してくれた女じゃないか?)と内心で呟く。そんな風に俺が驚いている間に勇者と俺を追いやった女との別れが、とうとう訪れる。それから彼女は俺と勇者に対して別れの言葉を述べた後に勇者の母親と一緒に家に戻る事になったのである。しかし、なぜか彼女は俺に近づいてきて、こんなことを言ってきたのだ。

「勇者を恨まないでやってください」

「そんなことは分かっています」と勇者は答えると彼女は勇者の母親と共に去って行った。それを見送った俺は、勇者の母親に「なぜ勇者の母親は貴方と一緒に居たんですか」と尋ねてみる。すると「貴方に頼まれてね」という返事が来るのであった。それを聞いた俺は、つい嫌な予感を覚えてしまった。というのも勇者の母親からは勇者と似たような雰囲気を感じるためだ。

「俺に頼みというのは、どういう内容なんでしょうか?」

「勇者を助けて欲しいの」

「え? どうして俺に頼むんですか?」

「だって貴方は魔王に勇者を倒すための手助けをする為に呼ばれた存在でしょう。だからお願い」

そう言われても俺は、どのようにすればいいのか全く見当もつかない。なので「分かりました。なんとかします」と答えて勇者の旅立ちを見送った。しかし俺の心は穏やかではない。なぜなら勇者が勇者の母親が住んでいる国に行く事になっているからである。なので、この国から勇者が去る事を願っていたのだ。だが、そうはならなかった。勇者は旅立った後で俺の家に帰って来るのだ。だが、その時に勇者が戻って来たという事実は誰にも知られてはならない事なのだと俺は気付いたのである。だからこそ勇者は母親を連れて俺の家で暮らす事になったのだ。つまり俺は勇者が帰ってくるまでに何とかして俺の存在を気付かれないようにする必要がある。しかし俺は今まで、ずっと引きこもりのような生活を送ってきていたせいもあり、何が出来るのか、まったく分からなかった。

それで俺は外に出ることにした。外に出ると、すぐに違和感を覚える。俺が住んでいた家は森の入口付近にあった。だが今では人が住むような場所に変わっている。その光景を見て俺が何とも言えない気持ちになり、その場で呆然とする。しかし俺は、この世界に来てから初めて感じる不安感に襲われてしまう。そして自分の身を守る為の手段が俺には、もう何も残っていないという事に気がついて、この場で死んでしまおうかと考えたのだ。しかし俺は死ぬ事に恐怖を感じていたので、どうする事も出来なかったのである。

それから、どれぐらいの時間が経っただろうか?いつの間にか空は夕焼けで赤みがかっていた。それに加えて夜になろうとしている頃になって俺の目の前には一人の少女が現れた。俺が見た感じだと身長百六十センチほどであり、年齢で言えば十六歳ぐらいの少女に見える。そして彼女は「お腹空いたでしょ」と言ってパンを渡してくる。俺は戸惑うしかなかった。そして、こんな事を言って質問をした。

「誰?」と聞くと少女は「私の事を知らないの?」と質問で返してきたので「知らん」と答えた後に俺は彼女の名前を尋ねてみる。すると彼女は「私はアリスよ」と名乗った後に「ねぇ貴方の名前はなんていうの」と質問してくる。そこで、やっと、俺は自分が佐藤という名前ではなくなった事を思い出したのだ。俺は咄嵯に自分の本名を思い浮かぶ事ができなかった。その結果として俺の本当の名前は思い出せなかったので、俺は「ないんだ」と答えた。すると、彼女が悲しそうな顔をする。そして俺が「何か悪いな」と謝ると彼女は笑顔を見せながら言った。

「別に、いいよ。私も自分の名前が思い出せないから、だからお互いに自分の名前を考えましょう」と言われ、俺は少しだけ考える。すると俺は自分が好きなアニメのキャラクターの名前を思い出したのだ。それを踏まえて俺は彼女に「レイナ」と提案すると彼女は「うん、それじゃ私達の呼び名はこれで決定」と言う。こうして、その日の夜は彼女と過ごす事になったのだった。ちなみにレイナは自分一人で暮らしているらしく、普段は仕事に出かけているそうだ。それから食事を終えた後に俺達は寝る事になる。俺は一人で眠れる事に感動していたがベッドの中で、ふと思う。

(勇者は俺の存在に気付いたのか? いや、それよりも今は目の前の問題を、どうにかしなければならないだろう)

そして翌日になった時。俺は朝食を済ませた直後に、これからの行動について悩んでいたのであった。すると彼女は、こんな事を俺に尋ねてきた。

「ねぇ、貴方が持っている武器は一体、なになの?」

「これは聖剣と呼ばれるものだ」と俺は答える。そして俺は彼女の目を見つめた後で言った。

「俺は今、自分の力を最大限に発揮できないんだ」

「それなら訓練しよう」と彼女は言う。

「俺にも戦えるだけの力を、くれるっていう事か?」

「もちろんよ」

俺も魔王を殺せるのであれば、どんな手段でも使おうとしたが彼女が言っているのはそういう事では無かった。それ故に俺は何も言えずにいると彼女が「それで貴方の武器って?」と尋ねてくる。それを受けた後で俺が「ああ」と言って腰に装備していた聖剣を鞘から抜いてレイナに渡そうとしたのだが、ここで彼女が首を傾げる。それからレイナは、このような事を言い出した。

「そういえば、貴方に一つ確認したい事があるんだけど、いいかな」と言うので俺は「ああ、なんだ」と答える。彼女は俺の目を見ながら「どうして私が勇者と一緒にいたのか知りたくない?」と、そんな事を言った。俺は驚き「教えてくれるのか」と言ってしまった。それに対して彼女は、こう言い出す。

「ただ、これを教えるのは条件があるわ。まず、貴方の知っている事を全部、話して欲しい」と、彼女は俺に言ったのであった。しかし俺は何を隠せば良いのかが分からなかったので黙り込むとレイナは、そんな俺に近づき耳元で囁いたのだ。

「魔王の事は話さなくて良いわ」

レイナは「貴方は魔王を殺すつもりが無いんだから」と言った。しかし、俺にとっては、それで済む問題では無くなってしまったので困った事になったと、そんな風に思った。それでも俺はレイナの言葉に従おうとすると彼女は「貴方は優しいのね」と言いだした。

それを受けて俺が「優しくなんかないぞ」と言うと彼女は「そんなことはないわ」と言う。しかし俺は、そのような言葉を受け流した。俺は、とにかく情報を手に入れる必要があった。

そのためならば多少のリスクを背負っても構わない。それが今の俺の気持ちだ。

俺は「それじゃあ、お前に俺の秘密を教えてやる。その代わり俺に協力しろ」と言ったのだが彼女は笑って言った。

「それは取引というわけね?」と彼女が聞いてきた。それを受けて俺は首肯した後で言うのだ。

「それもあるが単純に協力して欲しかったんだよ。この国の人間に勇者の存在を知られないようにするのが最優先だからな」

そう言うとレイナが、また笑う。そしてレイナが自分の服を脱ぎだす。俺は何が起こるのか理解出来ていなかった。そして次の瞬間、俺の唇に何かが当たる感触を覚えた直後、俺の中にレイナの記憶が流れ込んできたのであった。

俺は何が起こったのか分からない。そこで彼女は「これが私のスキルだよ」と、そんな風に説明を始める。

それによると彼女は記憶操作を行う事ができるらしい。しかも俺が今まで生きてきて見聞きしてきた出来事全てを改変可能だという事である。俺は彼女によって全ての知識を与えられた。そこで俺はある事を思い出すと、それをレイナに伝えた。

「もしかして勇者の母親は貴方なのか?」

彼女は無言になる。それを見て俺は勇者の母親に言われた事を思いだし、もしかしたら俺と勇者の関係も全て彼女が仕組んだのではないかと思ってしまい「なるほど、勇者と勇者の母親を利用して勇者に勇者の力を使わせたのか?」と尋ねてみるとレイナは「違う」という一言だけで答え、その後は黙ってしまう。それを見て俺は勇者の母親から聞かされた話が事実だったと気付いた。それと同時に、あの老婆の正体に予想がついたのだ。しかし俺は、その話を、この場でするのは得策ではないと判断し「それなら、なぜ俺に嘘を教えた?」と、あえてレイナに尋ねると彼女は小さな声で「勇者に魔王討伐を諦めさせたかった」と言った。それからレイナは、こんな事も口にする。

勇者の母親も俺もレイナも元は普通の一般人だったという事。俺達三人が出会った時の事。

それから勇者の父親は俺の師匠である男と共に魔王と戦い命を落としたという話を聞かされる。だが勇者は戦いが終わった後で、その事実を知ることになるのだという。そうすれば、きっと彼は戦う気を失うだろうとレイナは考えているようだった。俺もそれを聞いて確かにそうだと納得したのだ。なぜなら、俺の両親も魔王との戦いで命を落としているからである。

そこでレイナが俺の顔色を伺いながら質問してきたので「他に俺が知らない事はないのか?」と尋ねた。すると彼女は「ええとね、後は貴方は、どうして、そんなに強い力を持っていても自分の能力が発揮できなくなっていくのかとか?」と言う。それを聞いた俺は「どういう意味だ?」と尋ねてから、ある可能性に思い至った。

そこで俺は、すぐにステータスウインドウを開いた後に、そこに表示されていた数字を確認する。そこにはレベルが1としか書かれていない事に驚いた。つまり、その事が原因で俺の能力は全て低下していると考えられるからだ。それに加えてレイナが俺に対して言った言葉に違和感を覚える事になる。彼女は「私は強いの」と言っていたので、どうも彼女の存在には違和感を感じる。そして俺は彼女に「俺は弱くなっていたりする?」と、その点に関して、どうなっているのか聞いた。

すると彼女は、こんな言葉を返すのだ。

「私には、よく分からない。でも貴方は弱くなっていると思う。だから早く魔王を倒す必要があるの」

彼女は俺の事を心配する様子を見せている。俺は「ありがとう」と彼女に礼を言ってから「そろそろ行かないか?」と言うと彼女は俺の腕を掴んだ後に転移を発動させて俺を何処かに連れて行く事になった。そこでレイナは俺を地面に下ろす。すると、そこは何も見えない暗闇に包まれていた。

そんな場所で俺は自分が本当に死んでしまっているのか不安になり始める。そこで俺は「俺は死んでしまって、この場所に来たのか?」と、レイナに質問してみるが、それに彼女が答える前に目の前に巨大なモンスターが現れる。俺は慌てて戦闘の準備を整えようとするが、そこで俺が装備していた剣や鎧は何故か光となって消えたのだ。それで俺は困惑するがモンスターの方は容赦なく襲い掛かってきた。それを受けるしかないと判断した俺が防御態勢に入った直後、レイナの攻撃魔法と思われる攻撃が炸裂したのだ。そして彼女が「こっち」と言って走り始めたので俺は必死で彼女に付いて行く。そして少しだけ走ると光が見えた。レイナに手を掴まれた俺は彼女の案内により地上へと戻って来たのであった。ちなみにレイナが手を引いてくれていなければ俺は永遠に、ここをさまよい続ける羽目になっていたかもしれないと、そのくらいに複雑で分かりにくい場所なのだ。だから俺達が脱出した後で空間が閉じられる。

それからレイナは言った。

「勇者は貴方の事を探しまわっていると思うけど、大丈夫だと思うよ」

そしてレイナは続けて俺に話しかける。「ところで私達の関係を他の人間に気付かれるのはまずいわよね?」

「そうだな」と俺が言うとレイナは俺の手を握る。そして、そんな事を言ってくる。

「それじゃ一緒に暮らさない?」

そんな事を言われるとは思ってなかった俺が何も言えない状態に陥ると彼女は俺の頬にキスをする。俺は顔を赤く染めて照れ隠しにレイナの肩を軽く叩いた後に「なんで俺と」と問いかけると彼女は「好きな人と一緒が、一番幸せなんだって」と言う。

「それは分かるが、そもそもお前は俺が魔王と戦う意志を持っていると、そういう風に勇者に伝えてくれるんじゃ無かったのか?」と俺は尋ねてみたのだが、彼女は首を傾げる。それを見た俺は何も言う事が出来なくなり沈黙を続ける。

「ねぇ」とレイナが俺に言った。

俺は、そんな彼女の方へ視線を向ける。

彼女は俺を見つめた後で口を開くと「とりあえず貴方の家に戻りましょう」と言う。なので俺は彼女の意見に従い家に戻る事になった。それから家にたどり着いた時。俺は改めて、レイナを見る事になった。彼女は、この国の王都に存在していた教会で出会った少女と瓜二つだったのだ。そんなレイナの容姿を確認した俺は、ふと思った。

俺は今まで、この世界に生きる者達を自分と同じ世界の人間だと考えていたが違ったのかも知れない、と。それを確かめる為に「お前は異世界から来たのか?」と聞いてみることにした。

「ううん。私が住んでた世界にも地球はあるのよ。私が暮らしていた所から此処に召喚されるまでの間、ちょっと眠っていただけだもの」と彼女が言うので俺は更に聞いてみる事にした。それは彼女が勇者と行動をともにしていた件だ。しかしレイナは答えない。

そんな風に黙り込んだレイナに対して俺が何か声を掛けるべきなのか迷ったが結局のところ「それなら」と、そんな風に声をかけてみることにする。「それなら俺とレイナの関係も秘密にしなければいけないんじゃないか?」

レイナは無言になった。それを受けた俺は、それ以上、何かを言うべきなのか判断がつかずに、そのまま家の中に入ると俺は自分の部屋へと向かうことにした。

レイナは勇者が俺の家に訪れる前に、ここから去って欲しいと言うのである。

その理由としては、俺と一緒に暮らしていると勇者に知られたくないと、彼女は言った。

「分かった。お前の言うとおりにする」と俺が伝えると彼女は安心した表情を見せたのだ。

それから俺は自室に戻ると窓際に腰かける。窓から外の景色を見て思ったことは俺にとって、この場所が唯一落ち着ける場所に思えたのだ。だから俺は何となくレイナが勇者に嘘を伝えてくれた事に感謝しながら眠りについたのだった。

俺はレイナが残してくれた日記を読む事にした。そして彼女が俺のために勇者に嘘を教えてくれたという事実を知り嬉しく思った。俺はレイナの日記を読み進めながら、そこで俺は自分が今まで経験してきた様々な事を思い返していたのである。

そして、そこでレイナの事を思うと、ある疑問を抱く事になる。俺は今まで彼女の名前を聞いていなかった事を思い出して彼女に名前を聞くことにしたのだ。

「名前は?」と尋ねると彼女はレイナという名前を告げたので、それを俺が記憶すると同時に俺はレイナの事をレイナと呼ぶことになったのである。

それからレイナと別れる時に、ある事を言われたのだ。勇者と会う事があったとしても勇者の前で俺に正体を明かしてはならないと言われたのだ。その理由について彼女は、こう説明するのであった。「勇者と貴方の関係は、とても危険な事」だと彼女は俺に説明した。しかし、それについては俺は理解出来ないままであったがレイナは最後に、こういう説明を付け加える。「私達と勇者の間には深い因縁がある。だから勇者は、その繋がりから貴方を巻き込みたがらないはず」

そう言われても、いまいちピンと来なかったので俺もレイナに同じ説明を繰り返すと彼女は納得してくれる。それからレイナは俺に「また会おうね」と言って俺が元居た場所に戻ったのだ。俺はレイナに再会する事が出来るのかどうか分からないが彼女の言った事を守って勇者と会った時には勇者と敵対しないと心に誓う。そこで俺は勇者から受け取ったレイナの遺品であるペンダントを身につけておく事にする。それから勇者に会う日が来た時は素直に従うつもりだ。だから、これから俺は勇者と対峙する事になるのであろう。勇者がどんな相手であるのかは分からないがレイナが教えてくれているので俺は戦うしかないのだと思っている。

それからレイナは勇者の母親である事も、そこで知ったのだ。俺は、その事実を勇者の母親に伝えたかったのだが、それはレイナによって止められてしまったのである。なぜなら、もし、その事実を知った事でレイナが俺に敵意を向けた場合を考えれば迂闊に勇者に伝えるのは危険だと感じたからである。それに俺も、もしも母親がレイナだったと、その時に初めて知る事になっても動揺してしまい、それが隙に繋がるかもしれないと考えてしまい黙っていることに決めた。そうしてレイナが勇者と俺との橋渡し役を果たしてくれるようになり勇者は俺に近づいてきたのである。

そこで俺達は、ある会話を交わしたのだ。俺はレイナに対して、どうしてレイナの父親が魔王と戦ったのか理由を聞きたかったので尋ねた。すると彼女は「魔王を倒した後は平和が訪れると誰もが信じて疑わなかった」と言うのだ。だがレイナの話を聞く限り、魔王を倒さなければ世界は混乱し続けるという結論に至れる。

それからレイナは俺の事を「勇者の仲間になるように誘った事があるのか?」と聞いた。それを聞いた瞬間、俺はドキッとする。なぜなら、その事を勇者に聞く機会が有っても、俺はレイナが俺の仲間になりたいと言った事を勇者に伝えていないからであった。レイナは、そんな俺に優しく微笑みかけて「貴方に迷惑を掛けたくなかったんでしょう?」と言う。確かに彼女は俺に「ごめんなさい」と言うと「私は大丈夫だから気にしないで」と笑顔で答えるのであった。そして彼女は俺に言うのである。

「私は勇者と共に、貴方と戦う事を望んでいたのだけど」と彼女は、そう言って悲しそうな顔で笑った。

レイナが勇者に何を言ったのかは分からなかったが、俺に対する誘いの言葉が無かった事が、それで分かるのである。それなのにレイナは俺を気遣ってくれたのだろうと考えると感謝の気持ちで一杯になるのを感じた。

そこでレイナが勇者と決別してから俺と出会うまでの話を聞く事になった。

「レイナと俺は何処か似ているんだろうな」俺は思わずレイナに向けて呟くように言った。

それに対して彼女は、どういう意味か問い掛けてくるので俺は、これまでの経緯を説明したのだ。俺とレイナが似ていると、俺は感じていたからだ。すると彼女もそれに同意してくれるのであった。そしてレイナが、なぜ彼女と似たような状況になったのか俺が尋ねると彼女は自分の生い立ちを説明し始めたのであった。

「実はね。貴方と私が知り合った頃くらいから私は別の世界で生きていた時の記憶を断片的に思い出していたんだけど」と彼女は言った後に「貴方と勇者のお母さんの話を聞いたのが切欠だったみたい」と説明したのだ。そしてレイナは俺に説明してくれた。

「私の生まれた世界には地球が存在していた」レイナは懐かしむような顔をしていた。「でも、そこに住まう人間達は私のような存在はいなかった」と彼女は言い「私が生まれ育った世界は魔法が存在しない代わりに科学が発達していたわ」と続けたのである。

「その世界から召喚されて来た」とレイナは続けて言った。

「じゃあレイナは地球人って事なのか?」俺は驚いていた。それというのもレイナと初めて出会った時、彼女の見た目が、どう考えても日本人離れをしていた事を思い出したのだ。レイナは首を左右に振ると「いいえ。私はこの世界に産まれたわけではないの」と言う。

レイナは自分の母親のことを話し始めた。彼女の母親はこの世界に存在していた人間のようだ。つまりレイナの本当の母親も、この世界に存在していた人物ということになるのではないだろうか?「私の母は、この世界を生き抜く為に、ずっと前から色々な研究を続けていたらしい」レイナが言った言葉の意味が分からず俺は首を傾げたのだが、レイナは何も言わずに、そんな俺の反応を見ると彼女は俺に言うのだった。「私と母が住んでいた街は今よりも高度な科学技術を持っていたから人間と共存できていたけど」と言い「他の都市は違うから、この世界では争いが続いていたと思う」

レイナが住んでいる場所は地球では無く異世界のようだ。

レイナの母である女性がレイナの事を「貴方は、あの人と一緒だから大丈夫よ」と言ってレイナの頭を撫でていた事を彼女は思い返す。それだけではなく「貴方の事は、きっと、いつか、必ず助けになってくれる人に巡り合えるはずだと信じて育てたつもり」とも言っていたのだ。それを思い出した俺は、レイナに自分の出生についての疑問を問うことにした。しかし彼女は答えてくれなかったのである。レイナは少し困った表情になると彼女は、こんな事を俺に話すのであった。

「その事については、私も詳しく覚えているわけじゃないの。ただ私と母は普通の親子だった」彼女はそう言って寂しげな表情をした。「でもある日、突然、この世界に召喚されて、それから私は一人ぼっちになったの」

俺は、そんな彼女の言葉を、どこか悲しい物語に聞こえたのだ。

それからレイナは俺が、レイナの事を、どのような風に考えているのかを尋ねられたのである。そこで俺は、どのように彼女に答えたら良いものなのか迷ってしまったのだ。

そこでレイナは俺が何かを言いだす前に、こういう話をするのである。

「私は貴方と一緒に過ごした時間を宝物にするつもり」彼女は、そんな事を言ったのだ。

俺にとっては「その方が良かったかも」なんて思う事も多かったので、つい本音を吐露してしまう。レイナは「貴方に会えただけで幸せなんだから」と言うのだった。

俺としてはレイナと一緒に暮らす事に何の問題も無かったのである。そして勇者の事を考えるとレイナとは戦いたくないと思っていたのであった。勇者がレイナの息子だと知った今では余計そう思えるようになった。そこで俺は勇者に対して複雑な感情を抱き始める。そして勇者が魔王討伐の旅をしている目的が魔王を倒すだけなのだとしたらレイナの願い通りにはならないだろうと予想できた。レイナの事を魔王の手から守る為なら、まだ納得できるのだが、そういう事でもない気がしたのである。

俺の目の前で勇者は「魔王が封印されていた場所に行ってくる」と言い出したのだ。その勇者に対して俺は止めるように言うと「レイナが生きている事を確かめに行くだけだ」と勇者は言った。その言葉を聞いて俺の胸は熱くなった。俺は「それならば自分も一緒に行く」と言うと勇者は了承した。俺が同行する理由が勇者にあるのかと言われれば、おそらく無いだろう。だが俺は勇者と共に旅に出ることを決めたのである。それは俺の勘に過ぎないが、俺の中で、この勇者は信用出来る相手だと感じてしまったからだ。そして勇者は「俺の剣を貸すから使え」と言って、その腰に差してあった剣を俺に手渡してきた。俺に勇者の持っている聖剣を渡した事については俺は何も言わないでおく事にした。それは、ある理由からである。勇者は俺が魔導師である事を知っていたはずなので勇者の聖剣を貸してくれる事に不思議に思わない事の方がおかしいからである。俺は受け取った勇者の剣を鞘から抜いた。そして俺は、それを使って魔王が封じられていた場所に行こうとしている勇者の後を追いかける。そして、そこで勇者が何をやっているのかを見守っている事にするのであった。

そこで俺達は勇者の行動を見ている事にする。

勇者は魔王の居た場所を調べると地面に手をついて目を閉じながら「やっぱりか」と小声で言った。

俺は、その勇者の言葉を聞き逃さなかった。

それから勇者が魔王について語り出す。

その話は俺にとって衝撃的な内容だった。

なぜなら勇者は魔王が何者か知っているような口ぶりだったので驚くしかなかったのである。それから勇者の話を聞き終えると、なぜか勇者の表情は暗い。

それから俺達は、これから向かうべき目的地である魔王の居場所に向かって歩き始めた。

そこで勇者は「レイナと俺は幼馴染だったんだ」と言うとレイナの事を、もっと教えて欲しいと言うのだ。俺がレイナのことについて勇者に教えると勇者は真剣な眼差しで俺の話を聞き続けるのである。そこで俺は勇者に対してレイナと出会って、どういう事が起きたのかを説明すると勇者が、レイナと別れた時の状況を教えてくれた。それによると、やはりレイナは勇者と別れてからの日々を幸せに過ごしていたようだ。俺は、レイナの口から勇者の話が出なかったのは勇者を心配させまいとする優しさだったのではないかと考えるようになっていた。それから勇者はレイナと別れてからの自分の人生を語るのであった。俺は彼の話に耳を傾けていた。勇者は自分の話を終えると最後に俺を見て言う。「君は、俺に似ていると思うんだ」と勇者は俺の顔を見ながら微笑んでいた。それを聞いた俺は、どう返答して良いのか分からなかったので黙って聞いていたのである。

すると勇者は、こんな話を始める。

「君が俺と同じ立場にあったとしても俺みたいに行動できないと思うんだ」

「確かに俺と勇者の境遇には違いがあった。だけどレイナに再会できれば勇者だってレイナとの仲を取り戻す事ができるかもしれない」

俺は、そんな勇者に向けて言った。

すると勇者は、俺の言葉に対して悲しそうな顔をして言うのである。

「俺とレイナが元のように関係を取り戻したところで意味は無いんだ」と彼は言う。

そして勇者が話し始めると、レイナが勇者に寄り添い「もう昔の話でしょう?」と言う。

それを聞いた俺は驚いた。どうして彼女が勇者がレイナと別れた経緯を知っているのか気になったからだ。

そしてレイナは俺達の前に姿を現すと「久し振りね」と言った。

それから勇者は「レイナこそ、どこにいたんだよ?それに勇者と魔王が一緒に住んでいるなんて誰も信じないだろう」と話しをするのだが彼女は勇者に何も答えるつもりはないようである。勇者が俺を見ると彼は無言のまま顎を動かすような仕草をした。

それを見た俺はレイナに質問を投げ掛ける。彼女は「私は今、この勇者の妻として暮らしている」と答えるのであった。俺は驚きすぎて言葉を失うしか無かった。それどころか俺は思考さえも停止していた。なぜって俺は、さっき勇者の言った言葉を思い出したのである。「俺とレイナが昔のような関係に戻った所で、また同じ結果に終わるだけだと思う」この言葉の意味が分からない程俺はバカではない。

つまりレイナは勇者に裏切られているのだと理解したのだ。それを裏付けるようにレイナは、このような話を俺にするのである。

「私は彼との子どもを産むために、ここに住んでいるだけ。彼が望んでいるのは私じゃなくて、あくまでも魔王である貴方の存在だから。でも、それが何なの?」

俺はレイナの言い分に反論しようとしたが彼女は俺の声が届くよりも早く「だから勇者とは別れることにした」と言って、そのまま消えてしまうのだった。

俺達はレイナが消えた事で呆然としていたが、とりあえず魔王の元に向かおうとしたのだが俺は勇者に尋ねる。「お前の目的は何なんだ?」と俺が聞くと勇者は何も言わずに歩いていく。俺は彼に着いて行きながらも頭を抱えていた。まさか、こんな結末になろうとは夢にも思ってもいなかったのだ。しかも、これが真実ならレイナに勇者の事が分かっていたはずだから勇者を騙して自分の思い通りに動かせようとしていた可能性もある。

俺達が目指している場所は魔王の居る場所。しかし、その場所まで俺達に同行する者はいなかった。レイナは姿を消してしまった。俺は一人で考えるしかないのだ。

俺の目の前で勇者は立ち止まると俺の方を見る。「俺は勇者だ。魔王を倒しにここまで来た」勇者の表情からは怒りも悲しみもない。まるで他人事のようで冷淡にさえ見える表情で俺の方に近づいてきたのだ。そんな彼に対し、どんな態度を取るのが正解なのか分からないまま固まってしまった俺であったが「なあ、あんたは、いったい、何がしたいんだよ」と俺は勇者に言う。そんな俺に勇者が、こういう言葉を返してくるのだった。「レイナを取り戻したい」「それが出来れば一番いいだろうけど、そんな事は無理だからな」俺は勇者に言う。そんな俺の返事に勇者は笑う。そして俺を見据えながら勇者は俺に言うのだ。「魔王である貴方なら、それが出来るはずだ。俺とレイナが一緒に暮らしていける世界を創る為の力があるのなら、それを実現してほしい。そして俺をレイナの元に戻して欲しい」と。そんな事を口にする勇者の事を、俺は「そんな事を言われても困る」と言うしかなかった。

それから俺は「俺の答えは変わらない。魔王が勇者と戦う運命だなんて理不尽すぎるだろ。俺は、この運命を変えてやりたい」という気持ちを込めて、勇者に告げたのだった。すると勇者も同じように思っていたようで「それは、きっと可能なはずです。この世界で勇者が最強である限り、それは不可能ではなくなる」と自信に満ちた声で口にしたのであった。そして勇者と俺の間には妙な連帯感が生まれていた。

それから勇者がレイナの事について話始める。俺は勇者の話を聞き続ける事にした。勇者が語る内容は俺が想像していた事と殆ど変わらなかった。そして俺は勇者に言う。「俺はレイナと話し合いをしてくるから、その間だけ、ここに残っていてくれないか?」と。それに対して勇者が言う「分かりました」と答えたのだった。

それから俺は勇者を置いて、すぐにレイナを探す事にする。それから魔王の力で、あの場から移動するとレイナの姿を必死になって探す。だが見つからなかった。それからレイナの魔力を探そうとした時だった。魔王城の中に誰かの魔力を感じたのだ。

俺の魔王としての力が、そこで発揮されたのだった。俺はその反応を頼りに歩き続ける。すると一つの部屋に行きついた。そこには、なんと勇者の姿があったのである。そこで俺は勇者が生きている理由を知ったのだ。俺は「勇者、どうして、ここで生きているんだ?」と疑問を言葉にした。

勇者は俺の方を向くと、いきなり笑い出した。

そして俺に言ったのだ。「魔王よ。君は魔王でありながら神でもある」と。勇者は俺の事を魔王としてではなく、俺自身の事を話し始めた。そして俺は、それを聞いて納得してしまう。そうなのだ。レイナや魔王の力は人間のものではない。それは神様から貰ったチートスキルである事に気付くのであった。

それに気付いた瞬間、俺の心の中が一気に晴れ渡ったような感覚に陥った。それは魔王としての使命や宿命からの解放を意味していたからである。それと共にレイナの本当の心に触れられた喜びを感じていた。すると勇者が「魔王、君に頼みたい事がある」と言ってきたのである。

俺が「何をすればいいんだ?」と聞くと勇者は「魔王と勇者の戦いを終わらせる」と言い出す。その言葉を聞いた俺は「どうやって?」と勇者に尋ねた。すると勇者が言うには、その方法が、まだ分からないらしい。勇者が魔王に願う事は簡単ではなかった。

魔王と勇者の戦いを終わらせる事など出来るわけがないと、この時、俺は思ったのだったが、それでも俺は「それしか方法は無い」と言うのだった。そして俺がレイナに近づき説得を試みようとすると、勇者が突然、「待ってくれ。俺はレイナと話がしたい」と口にして俺を止める。勇者に言われた通り俺は黙り込むと彼の方を向いて黙って話を聞いていたのだった。

それから勇者はレイナに自分の思いを伝える。勇者の話を聞いた彼女は悲しそうな顔をして「分かった」と答える。俺は、レイナの悲しそうな表情を見て心が痛くなるのだが何も出来ない自分がいたのだった。それから勇者は俺をチラッと見て「魔王と話をさせてもらっても良いですか」と彼女に聞いたのである。俺は、レイナと別れて行動する事を決める。

勇者がレイナを連れてどこかに行く。俺は勇者に言われるがままに、その後を追いかける。そして二人が移動した後、勇者は魔王の部屋に入ってきた。

勇者の話を聞いた俺は驚きすぎて何も言葉が出なかった。

俺とレイナの間に子供が出来たと勇者は言ったのだ。その事実は衝撃的過ぎたが、それだけではなく勇者は、ある計画を実行する為にレイナの協力が必要なのだという話を持ちかける。

それを聞いた俺は「それなら話は別だ」と言ってレイナのいる場所に案内した。

そしてレイナの前で、俺は魔王の能力の一つである『転移』を発動させる。その光景に驚いていたレイナだったが勇者の顔を見ると何も言わずに受け入れたのである。それからレイナは、勇者に促されるように魔法を使う。それを受けた勇者はレイナを抱き寄せキスをする。そして勇者とレイナの姿は光に包まれて消えていった。俺と勇者は二人の消えゆく姿を見届けると俺と勇者も魔王城の外に向かったのである。

それから俺と勇者は魔王城の前に立つ。すると俺と勇者の周りに黒い霧が発生したのだ。俺は咄嵯に防御魔法を使ったが間に合わなかったようで俺と勇者は闇の中に吸い込まれてしまう。しかし不思議なことに勇者と俺の身体が分解される事はなく意識だけは闇の中から抜け出す事が出来た。そして俺は目の前に現れた景色を見ると言葉を失った。

俺は勇者と一緒に、そこに現れたのだ。そこは見覚えのある世界が広がっていたのである。

俺はレイナ達がいる所まで行くと魔王の力で二人を探し出すがレイナは何処にもいなかった。俺はレイナがいないという事実を受け入れたくないと思ったのである。俺は必死で魔王城に戻ろうとする。

だが、いくら探しても魔王城は無かった。その代わりに見た事のない街に俺は辿り着いたのだ。俺は何もない草原の上で座り込んでしまう。そして魔王は「ここは異世界だ」と口にしたのだった。俺は「何だよ、これ」と力無く言葉を吐き出すと地面に手を付いて俯くしか無かった。そんな俺に向かって勇者が話しかけてくる。

「これから、どうする」と聞いてくる勇者に対し俺は言葉を返せなかった。そして「なあ魔王、これは俺の問題だと思う。だから俺だけでレイナを取り戻す」と勇者が口にしたので、俺は彼に「俺も協力するよ」と言ったのである。俺は勇者の力を借りる事によって何とか前に進み出せるかもしれないと思っていた。そんな俺に対して勇者は何も言わずに、ただ静かに笑みを見せるだけだったのである。

そして俺達は二人でレイナを探して旅を続けた。しかし彼女は見つからなかったのだ。それから魔王城に戻るために俺は勇者に協力を求めると、それに勇者は快く承諾してくれるのだった。

それから俺は勇者と共に元の世界に戻りたいと魔王に告げた。すると魔王は何も言わずに姿を消してしまう。しかし勇者は、この世界の事を知る必要があるというので魔王の消えた場所を調べることにしたのだった。

そして俺は魔王の消えた場所を調べたが結局、その場所は分からなかった。しかし俺は「ここに、手がかりがあるはずだ」という勇者の言葉を信じる事にする。

そして俺達は手掛かりを求めて、この場所で暫くの間生活を始めたのである。

それから数日後の事だ。この世界での生活も、そこそこ充実してきた時に俺は一人の女の子と出会った。その子の名前はリリイで歳は10才くらいだった。そんな幼い彼女を見た勇者は、すぐに彼女の面倒を見始めるのだった。そんな彼を見ながら俺は勇者に尋ねる。

「勇者、あんたロリコンなのか?」と俺が質問をしたが勇者は何も言わず俺をスルーすると彼女と会話をしていた。そんな勇者の様子から俺は察すると「お前は本当に、その子が好きなのか」と勇者に尋ねたのである。すると勇者は真剣な顔つきになり俺の目を見て答えるのだった。

「ああ、俺は彼女を幸せにしてやりたいと思っている」

俺も真剣な眼差しで言う。

「俺はレイナを取り戻し、必ず勇者と共に元の世界に戻るつもりだ。その時は俺に任せてくれないか?」

勇者は少しだけ考えた後「そうだね。分かった」と答えたのである。

俺は勇者と約束を交わしたのだった。それから数日、俺はレイナの事を考えながら勇者や幼女との日々を過ごす事になる。そして勇者や、あの小さな少女の笑顔を見る度に俺は複雑な気持ちになるのである。

そうやって過ごしている時だった。勇者と俺の元に一通の手紙が届いたのである。その手紙の中身を読んだ俺は驚愕した。

俺が魔王になった理由や、その経緯が書かれていたからである。

それは、ある人物の手によって書かれたものだった。それは魔王である父さんが勇者だった頃に俺が、この世界に転移した時に、ある人物に助けてもらった事を感謝したという内容である。

その内容は、あまりにも馬鹿げていたが信じるしかなかったのだ。

それから、その人物は、この手紙を書く前に魔王が言っていた言葉を伝えたいとも書かれていたのである。その言葉を俺は読む事になった。その言葉は『私と勇者様は戦い続ける運命にある。でも貴方達が望むのならば、どうか止めてほしい』というものだったのだ。俺は、それを読み上げた時、「こんな言葉を残して死んでいくなんて卑怯じゃないかよ」と言葉を口にして泣いてしまったのである。

そして俺は自分の部屋に戻ると、この世界に来て初めて魔王として戦った日を思い出したのだ。

あの日の事を思い浮かべながら俺が勇者と話そうとした瞬間、俺の部屋に大きな声が響いた。それは魔王である父さんの声だったのである。

俺は、そんな父親の姿を見た瞬間に涙を流すと、そのまま抱きついたのであった。

こうして俺と勇者の新たなる物語が始まる。それは終わりではなく新しい始まりの物語だ。そして俺は再び勇者と共に戦う事を決意する。

俺は目を覚ますとベッドから降りると勇者が眠っている部屋に視線を向けた。そして彼が寝息を立てていることを確認すると音もなく彼の眠る部屋の前まで行くとドアノブに手をかけようとしたが、その手を俺は止めるのだった。

俺は勇者が起きないように注意しながら窓を開けると夜風を感じながら星が輝く空を見上げる。

今日、起きたばかりの出来事について俺は思い出していた。

勇者の仲間の魔法使いであるセレンという人物に会うため俺と勇者はある国に向かっていたのだが彼女は今現在にも存在しておらず会う事は出来なかった。

そこで俺は勇者の故郷に行ってみる事にしたのだ。勇者の故郷である村では勇者の両親と妹の三姉妹が住んでいたが両親は既に亡くなっており家の中には、その遺品だけが残されていた。その状況を確認した勇者は涙を流していた。その様子に俺は言葉を掛けられなかったが、それでも俺は勇者の悲しみを分かち合おうと彼の傍にいたのだった。

そして俺は家族を魔王によって失った勇者に「魔王を倒すのが無理なら逃げてもいいんだぞ」と言ったが彼は「そんな事が出来るわけないだろ」と怒り出したのである。

俺は魔王の力を持っているのに何も出来ない自分に憤りを感じていた。だからといって、それでどうにか出来るものでも無い。

俺は、そんな風に色々と考え込んでいる間に勇者に声を掛けられるまで気づかなかったのである。俺は突然の勇者の言葉に驚きを隠せなかったが彼は、さらに続けて言う。

「僕は今まで、ずっと考えていたんだけど僕達の戦いは無意味だと思わないかい?もうこれ以上、この世界に被害が出るような事は止めるべきだと思う。その提案を受け入れる事が勇者である僕の使命なんじゃないのかと思う」と俺に問いかけてきたのである。俺は勇者が突然、何を言い出すのかと思って戸惑っていたが彼は言葉を続けたのだ。

「魔王は強いし魔王城に行けば、きっと強力な装備もあるし魔法だって手に入るはずさ。だけど魔王に勝てるかどうかは別問題だ。それなのに勇者が犠牲になる意味って、いったい何なんだ」と勇者は口にしたのだった。俺は勇者の話を真剣に聞いているのだが「君に何が分かるんだよ」と言って勇者の話を中断させたのである。俺は、この世界で生き抜くために努力しているつもりだったのに、いつの間にか自分が魔王になって世界を滅ぼす存在になってしまったのだ。だから俺には勇者の気持ちを理解することは出来なかった。

「君の言っていることは間違っている。勇者が魔王を倒して世界を救ってくれなければ、この世界の人々は救われない。それに俺は魔王を倒せる力を手に入れてしまった。だから倒す事が世界の為でもあると思っているんだよ」

俺の言葉を聞いた勇者は何も言わずに黙ったままだったが、しばらくしてから口を開いた。「そうかもな。だから僕達は戦っているんだから」

勇者の言い分は正しかったので、それに対して何も言い返す事が出来なかった。

そして勇者の言葉を最後に二人は、しばらく無言の時間を過ごしたのだった。

しかし、いくら待っても勇者は何も喋ろうとはしなかった。

それから勇者が何を考えているのか知りたいと思い俺は彼に声をかける事にしたのだ。しかし、それが失敗に終わってしまうとは思ってもいなかったのである。

俺が「大丈夫か」と聞くと勇者は何も答えなかったのだ。そして、ただ「うん」とだけ言ったのである。

勇者は俯いているだけで言葉を発しようとしてくれない。

俺は、このままじゃいけないと思い勇者に対して話しかけようとすると俺達の家のドアが開いたのだ。俺達は扉の方を見るとそこにいたのは魔王の妹にあたるリリイちゃんだった。

勇者は妹の姿を目にすると優しく彼女の名前を呼んで駆け寄ろうとしたが途中で足を止めたのである。勇者の様子から彼女が何か危険な状態になっていると思った俺は咄嵯にリリイの傍に向かうと「怪我はないか」と聞いたのだ。しかしリリイは何が起こったのか分からないといった表情をしているので安心すると勇者の方を向き彼に「何があった?」と問いただしたのだった。しかし勇者は何も言わずに、ただ首を横に振っただけだったのである。そして俺と勇者は、しばらくの間、その場に立ち尽くすのだった。

俺達は魔王城を目指すべく次の日の朝になると準備をして出発をした。そして暫く歩いてから、またもや盗賊が現れたのである。しかも今回は、かなり手強く勇者一人で対処するには限界があるようでピンチになっていた。だが俺達は盗賊に追い詰められてしまうが勇者の活躍で難を逃れる事が出来たのだった。それから魔王城を目指そうとすると、そこには魔王軍の四天王の一人であるスナイパーが現れ俺達は苦戦を強いられた。

勇者も、かなりの深傷を負う事になり俺と勇者の二人で、この窮地を乗り越える事は難しいと思えるくらい追い込まれたのである。俺は勇者に魔王城の攻略を諦めるように説得しようとした時だった。

「諦めるわけにはいかないだろ!」と勇者が叫ぶ。

「どうしてだよ」と俺が質問すると勇者は言葉を発することなく、その場に立ち尽くしていたのである。

勇者は魔王軍と戦うために自分の故郷を出て勇者となったはずだった。

しかし今現在は勇者の故郷の村に、ずっと居続けているのは何故なのか俺は分からなくなっていたのだ。勇者の言葉から察するに勇者は魔王軍に復讐するつもりなのだと思っているが勇者の行動は矛盾だらけだったのである。勇者と旅をしていた時にも何度も勇者は戦いを止めるべきじゃないのかと言っていたが、それは自分の村で暮らしていた時も同様で村の人達を救うべきだと口にしたり、戦いに反対をしていたのだ。それは全て村や、そこに住んでいる人のためだったのだ。だからこそ魔王軍を許せないという思いも強いはずだ。しかし魔王が生きている限り勇者の一族が危険に晒し続ける事になる。勇者としては、それを許容できるものではなかったのである。俺は勇者の事を尊敬していて彼の事を素晴らしい勇者だと思い込んでいたが、それは違ったようだ。

魔王が消え去った後の、この世界を見て俺の心の中では葛藤が生まれた。

それは本当に、この世界を救いたいと、ずっと思い続けてきたからだ。しかし勇者に出会って、そう思うのと同時に勇者に対する疑問が大きく膨らんできて、その考えを改める必要があった。俺は本当に勇者と一緒に戦う意味があるのだろうか、という事を考え始めたのであった。そして勇者に魔王討伐を断念するように言うと勇者が突然、大きな声を出す。

俺は、その声の大きさに驚いて思わずビクッと反応してしまった。それから俺は勇に謝罪をしてから、もう一度、冷静に話し合いを始めようとしたのだが勇者の言葉によって中断される。

「もういいよ」と勇者が言ったのだ。

「分かったよ」と俺が返事をすると勇者と俺達の間には沈黙が訪れたのである。

そして勇者は魔王に戦いを挑みに行ったが魔王に返り討ちにされてしまう。その結果、俺達は命の危機に陥るが勇者の能力により一命を取り留めた。俺は意識を失う直前に、ある人物が魔王の前に現れる姿を目撃するのであった。

俺が意識を取り戻した時には魔王の姿はなかった。俺は勇者の傍に行き容体を確認すると勇者は無事だと分かり胸を撫で下ろしたのだったが彼の姿を見て、すぐに言葉を失ったのである。

それは勇者が勇者としての装備を全て失ってしまっていたからである。俺は、この勇者の状態を勇者の父さんに伝えると彼は勇者が魔王の力を封印するための媒体になってしまったのかもしれない、と言ったのだ。つまり勇者の力は勇者の力によって魔王の力を打ち消されたのではないかという事らしい。その話を聞いて俺は納得したのだが同時に疑問が湧いた。

魔王の魔力が無くなれば俺が魔王になる理由はないのではないのかという事だった。俺は、その話を聞くと父さんに勇者の力について詳しく説明して欲しくなったのだった。しかし父さんの説明は理解不能だった。まず、勇者の持つ能力である神化については簡単に説明されたが、そこからが難しかった。

勇者は、その能力は神の加護を得る事が可能であり魔王の呪いに対抗する手段だと考えていたのだが実は違うのである。その事実を知った俺は勇者と共に驚いたのである。なぜなら神化を使えば神と同等の力を持つ事ができるのである。つまり魔王の力に対抗できるのは勇者が持つ力のみとなるのだ。しかし勇者が持っている力は、すでに失われてしまっているため俺達に残されたのは、わずかな希望しかなかったのだった。

俺達は、その後で勇者を魔王城に連れて行くための方法を考えていたが、それについての案が浮かぶ前に魔王が再び現れたのである。俺は魔王の実力を目の当たりにしたので、とても勝てる相手ではないと思い逃げる事にしたのだった。そして俺達は勇者の両親から受け継いだ剣を手にして戦ったのである。しかし俺達は魔王を倒すどころか追い詰める事さえ出来なかったのだった。俺達は何とか勇者の両親が作った装備のおかげで死ぬ事は回避できたので、ひと安心していると今度は勇者の母さんの使い魔であるフェニックスが現れると勇者に襲い掛かってきたのである。その瞬間に俺は勇者が、これから死んでしまう事が分かるのであった。

俺は、そこで、どうしようもない絶望感に襲われたが必死に勇者を助けようとして走り出すと目の前に大きな壁が現れたのである。そして俺は壁に激突した衝撃で倒れ込んだが、そんな事で怯んでいる場合じゃないと思い、すぐさま起き上がると勇者の方を見るが勇者はすでに死んでしまった後だった。俺が勇者の方へ向くのに時間がかかってしまい、勇者は不死鳥の炎に焼かれてしまったのだ。俺は急いで勇者の元に向かいたかったが、それよりも早くに魔王は姿を消してしまい再び現れて俺達を殺そうとする事は無かったのだった。

俺達は一度、家に帰ると勇者の母親から、これからの事を話すように言われていた。

勇者が死んで、この世界を救うためには新たな勇者を召喚する必要があるが俺には、この世界で勇者が産まれるのかすら不安になった。しかし今は勇者の父親の遺産と、それを使うための方法が有ると言うことで俺達は少し元気を取り戻していたのである。そして俺達が魔王城に向かう準備をする間、リリイは魔王の娘だからと言って城の中で監禁されてしまっていて会えなかった。

俺達は準備が終わると魔王がいると思われる場所に魔王を倒しに向かった。そこは俺と勇者が最初に魔王に出会った場所の近くでもあったので俺も勇者に同行したが当然のごとく魔王に返り討ちにあうのである。

俺も勇者と同じように全身ボロボロの状態になり死にかけたが、ここで俺の人生が変わる事が起こるのである。俺は魔王が最後に使ったスキルに「死の共有」というものがあり勇者も、また同様に俺も殺される寸前だったのだが、それを魔王が自分の死と引き換えに阻止してくれて俺だけは生き残ったのだ。

俺は自分が生きているのは奇跡だと思えたが魔王の犠牲は無駄にしてはいけないと思い俺は、その事を伝えるために勇者の元に急いだのである。

そして俺達は勇者の故郷に向かって出発をしたのだった。そして、しばらく進むと前方に勇者の仲間である僧侶のマーロがいたのである。彼女は魔王軍から村を守ってくれたのだが、それから俺達の事を探していたらしい。俺達は彼女と合流すると村まで一緒に行くことにしたのだった。俺は彼女が無事に生きている姿を見れて嬉しかったが勇者の様子がおかしかったのである。しかし、その理由が何なのか分からないでいたのだ。

勇者が魔王を倒してから、しばらくすると村で大きな火事が発生したので、その現場に勇者と俺で駆けつけた。

すると村の住人は避難をしていたが俺達の到着を待っていてくれた。俺は勇者と協力して消火活動をすると村人にお礼を言われたのである。それから俺達は村の復興を手伝ったりしていたが、その時だった。突如空が光り輝いたと思うと大きな爆発が起こったのである。それは俺が勇者と魔王城に向かう時に見かけた現象と全く同じ物だったのだ。そして、あの時は魔王城の上空から光が降り注いでいた。しかし、今回は魔王城を遥かに上回る大きさの光の柱が立ち上った。それから魔王城を覆い隠す程の巨大なドーム状の光の障壁が張られると、その中から大量の天使が現れ俺達は呆然と立ち尽くしてしまう。

勇者が「何なんだ、これ」と口にしたので俺も「何が起こってるんだ?」と同じ言葉を勇者に対して呟いた。そして俺は自分の言葉を聞いて気付いたのである。俺が勇者と一緒に行動してきた理由は魔王の呪いを解く事だけではなく、もう一つの理由が存在した。俺は自分の中に魔王が封印されていると知った時から魔王が本当に存在する世界を創りたいと思っていたからだ。その事を忘れないためにも勇者の旅路を追体験していたのではないか?と。

そして俺は思い出したのだ。勇者と別れ際に交わしていた会話を。魔王の力を半分にしたのは勇者に俺を救って欲しいと思ったからだったのである。勇者に全てを託したつもりだったのだが、勇者の力だけでは魔王を滅ぼせなかったらしい。それで魔王の力も半分になって俺の中に封印されたのかもしれないと、この時になってようやく思い至るのである。しかし勇者と俺の力を合わせても魔王に太刀打ちできなかった。それどころか、より強い力を手に入れてしまったのだ。これで俺に出来ることは勇者の帰りを待つくらいしかできない状況に陥ったのだった。

魔王と、それに対抗できる力を宿している勇者が、どちらも消えたせいで、世界のバランスが崩壊したらしい。その影響は俺の居る世界にもあり世界中にある遺跡や封印が解かれて、そこに封じられた魔族が復活する事件が頻発するようになった。

そして、その魔族は封印を解いた者に操られ人間達に害を及ぼす存在へと成り果てたのだ。その事に危機感を感じた勇者の一族と勇者の仲間だった僧侶は手を取り合い協力体制を築き、魔王を倒した勇者の子孫達と、かつて魔王と戦った仲間達による大同盟が結成された。それから魔王を倒すべく勇者の子孫である者達が世界各地の遺跡に潜む魔王達と戦い、勇者の血を受け継いだ者が世界の秩序を取り戻すべく魔王を倒すための戦いを続けていた。そして俺は勇者の末裔である人達に協力してもらい、俺の中にある魔王の力が消え失せてくれるように祈っていたのである。

しかし俺が魔王として目覚めるのは運命だと決まっていたかのように魔王の力は消えること無く、むしろ以前より強くなってしまう。それでも俺は諦めなかった。なぜなら勇者は帰ってくると信じていたからである。

俺と勇者が出会って、どれだけの月日が流れたのだろうか?その間、勇者の身には何も起こらず平穏な日々が続いていたのだ。俺は平和で平凡な日常が好きだ。勇者は俺にとっての理想だったから。だからこそ俺の気持ちも知らず勇者が帰ってこない事に対する悲しみは増していった。俺は勇者が帰らない事を、いつの頃からか当たり前の事だと思い始めていたのである。勇者がいないのは魔王が世界を支配している影響なのだと自分に言い聞かせるようにしながら毎日を過ごすようになった。そうやって過ごしてきた俺は、とうとう魔王としての覚醒を迎えたのだった。

そして俺は勇者との約束を果たす時がやってきたのだと思うと喜びに打ち震えた。俺の心の中で何かが欠けていた。その事に気付いていた俺は心の中の空白を埋めることができると期待し、この世界で勇者を迎える準備を進めていったのである。俺は魔王の力を使えば世界中の人々を支配下に治める事も容易だったが、あえて支配せず自由にさせていた。その方が面白そうだという俺の考えは間違っていなかった。魔王としての覚醒を迎えても俺が今まで通りに暮らしていけた理由は人々の心を、この俺自身が完全に掌握する事が出来ると理解していたためである。この世界で生きていくために魔王として目覚めた後も魔王の力を使わずに人々のために尽くしてきていたのだ。

俺が目を覚ますとベッドに寝かされていた。俺の隣ではリリイが看病してくれていて目が合うと笑顔を浮かべて、いつものように話しかけてくれたのだ。俺と彼女は二人で話をして過ごしたのである。しかし彼女の話を聞く限りでは彼女は、まだ何も知らなかったらしい。そして勇者は行方不明になったままで戻ってこないと聞いて俺は胸を痛めていたのだった。俺は、もう勇者が死んでから何年も経過してしまったので今さらどうしようもないと、どうにか諦めようと心に決めながら眠りに就いたのである。その日の夜になると夢にリリイが現れたのだった。俺は驚いていたが夢の中の彼女も俺と同じように驚いた様子だった。そこで俺は勇者が死んだ事を伝え、彼女に伝えたのだ。

俺の話を聞いたリリイの反応を見ると勇者が死んだ事は予想外だったという反応をしていた。だが勇者の死を知って落ち込んでいる俺とは違って彼女は悲しんではおらず勇者が死んでしまった事実を既に受け入れているような印象を受けた。

そして俺が何故勇者は死んだのか尋ねると彼女は自分が原因だったのだと答えるのだった。

そして彼女は自分が勇者から魔王として転生させられたのだと説明をしてくれると俺は驚きを隠せない状態だった。俺は彼女が勇者から魔王として生まれ変わった事で、その事について詳しく教えて欲しいという欲求を抑えることができなかった。俺は彼女に勇者の事を教えてくれないかと頼むが、それを彼女は断るのだった。そして、なぜ断ったのかと聞くと、その事を話す前に確認したい事が有ると言うのだ。

俺が勇者を蘇らせる方法があるのかどうか尋ねたら、彼女は答えず、その代わりに俺の体に起きている変化についての事を説明してくれた。

俺はリリイの話を聞いて驚愕する事となった。彼女は魔王として転生した影響で人間の肉体が滅びてしまったと言うのである。それに加えて魂が融合してしまい、その事によって勇者から受け継いだチート能力を自分の物として使う事ができるようになっているのだと、そして勇者から奪った魔王の能力が俺の中に残っているのは勇者とリリイが魔王と勇者という特別な関係だからだという。

そして勇者はリリイを守るために自ら命を捧げ、その結果としてリリイは人間のままでいられるようになってしまい勇者を甦らせたいという俺の願いを叶える方法が無くなってしまったのだというのだった。勇者を失った悲しみと魔王に成り果てた自分自身の運命を受け入れられない俺を見て、その悲しみが俺の中から魔王を追い払う切っ掛けになるだろうと彼女が口にしていた。俺としては、そんな奇跡が起きてもいいと、その可能性に賭けるつもりで居たが、それは叶わないのであった。彼女は俺の事を勇者の子供と認識すると勇者を俺の父親と勘違いし、勇者から託された子供を守る義務が生じるからという理由で、それを断り続けていた。しかし勇者から託された子供が俺だと信じてもらえたので俺は改めて彼女と向き合って話が出来る状況になったのである。

俺達は、その機会を利用しお互いに知りたかった情報を共有しあった。俺の中には今も確かに勇者が存在するが彼が死んでいるという事実を受け入れるしかなかった。そして勇者に俺の子供を頼んだと告げられていたと聞き俺は勇者に謝った。それから俺はリリイの身体を調べさせてもらったのだが彼女は普通の少女と何ら変わりのない姿をしていて特に問題はなかった。

リリイは自分が原因で勇者が死んだことを気にしているようで申し訳なさそうな顔をしていたが俺は彼女を励まそうとしたのである。それからリリイと別れた俺は魔王城の玉座の間に戻ろうとしていたが勇者の子孫が俺を殺しに来る可能性があるので、すぐに出ていく事はできないと考え直し勇者に殺された魔王の部下達と、この魔王城に残る事に決めたのだった。

しかし部下達に指示を出してから数時間後に突然の出来事が起こる。

俺達が魔王城にいる時に外から爆発音が聞こえたと思うと城の外にいた魔族の気配を感じなくなったので様子を見に行くことにした。外に出ると魔王城の周りを囲むようにして魔族が倒れているのが見え、さらに魔族の死体には黒い霧が発生していて魔族を操っていた元凶と思われる人物が俺の視界に飛び込んできたのである。その人物こそ勇者の子孫であり勇者の仲間でもあった僧侶であるマーロだった。そして彼女は魔王に倒されたと聞いたが、どうやら勇者が魔王を倒してくれたことで、その呪縛が解け復活したようだ。

俺の前に姿を現したのは魔王を討伐した後の世界に、俺という魔王が存在したことが大きな混乱を招いていたからであるらしい。彼女は世界を支配するつもりがない事を告げるが、それでも世界のバランスが崩れたことについては謝罪した上で勇者の生まれ変わりが俺であることを見抜いていたのだ。しかし勇者の子供が生きていることは知らない様子だったので俺は自分の娘を庇おうと勇者の娘は勇者に託された子だと伝えるのだが勇者は魔王との戦いの最中に死亡したためリリイの存在は認知されていなかった。そのため俺の言葉を聞いた僧侶は、その話が信じられないという表情をしていたが俺は必死に説得を続けた。

やがて俺の話を聞き信じた僧侶は勇者と魔王は相容れない存在同士であったため魔王を滅ぼす必要があったと言い、その使命を果たすためには魔王の力を手に入れる必要があると考えていたらしい。その証拠に僧侶は勇者の仲間として勇者と一緒に戦っている間は常に勇者に魔王の力の使い方を教えていたが魔王を倒すために力を使ったせいで、その後の記憶がほとんどないらしく魔王が勇者を倒した後の事を知らないのだと、それから俺の目の前にいる彼女は自分が僧侶であることと勇者の生まれ変わりを探し出して保護し勇者が果たせなかった勇者の役割を引き継いで欲しいと俺に伝えてきたのである。

俺は彼女に協力するのはやぶさかではないと思い、協力する旨を伝えた後で俺は彼女の提案に乗る事にしたのである。それから魔王の配下だった者を集めて会議を行うことになった。俺は勇者の子孫と協力することを伝え、それから勇者の力を持っているというリリイを呼び出すように命じたのだ。リリイが姿を見せると俺の傍に居る女性の存在に気づき彼女は何者であるのか俺に質問してくる。

そして俺が勇者の娘である事を伝えると彼女は俺達の計画に協力してくれないかと持ち掛けてきたが俺は勇者の血を引く者を危険に巻き込みたくないという理由から断るが、その事で彼女は俺とリリイの関係を理解してくれたのだ。そして俺が勇者の子孫である事を知った彼女がリリイを保護しようとした理由も分かった気がする。そして彼女はリリイが魔王の力を持っていると知って勇者の子孫である俺の側にリリイがいる事は都合が悪いと思ったらしく俺達を裏切るような行動をしてきたのである。彼女はリリイの事を俺の敵だと思い襲い掛かってきたので俺は魔王の力で対抗した。

そして俺はリリイの援護を受けて僧侶と対峙するが、やはり勇者の子孫には勝てなかったらしく殺されそうになるが、そこへ現れたマーロウに助けられる。それからマーロは俺を殺そうとしない事を約束して俺達を見逃してくれたのである。そしてリリイに別れを告げると魔王城に残っていた魔王の配下の者達を呼び寄せてリリイを連れて魔王城を脱出したのだった。

俺は、この世界に魔王が存在していてはいけないという勇者の気持ちを理解することができた。その事実を俺自身が受け止め、そして俺自身も魔王の力を使うべきではないと考えるようになっていたのである。だが魔王である俺を慕って集ってくれている配下を放置しておくわけにもいかなかったため、魔王軍の幹部クラスである四天王の三人を集める事にする。

まず俺が最初に会った魔王軍の大幹部は三人いるが俺は最初に彼女を呼ぶ事にする。それは魔王軍の中で最も美しいとされている女魔王のラモーナだ。そして次に呼ぶのは四天王の一人である獣人族最強にして俺の片腕であるフェン。その次に来たのが魔族の中でも希少種である鬼族の族長を務めるゴウライだった。最後に呼んだのは魔族の将軍であり、また四天王の一人である不死王だった。ちなみに俺の補佐をする四天王は他に吸血鬼のグラニィもいたが今は居ないらしい。

俺と、この四人は互いに顔を合わせたことが無かったので、それぞれを紹介し合い話し合いを始めようとすると俺は魔王の力が使える状態でも勇者から受け継いだ力だけは使えないので、これからはリリイと行動を共にしていこうと思っていると告げると、なぜか四天王の三人が反対し始め、俺は自分の味方になってくれると思っていたゴウライまで俺と敵対しようとしている様子に驚きを隠せなかったのだった。

そして魔王である俺を信用して集まったはずなのに魔王の配下になったばかりのリリイに付くと口に出した事で、俺は困惑する事となった。俺はリリイの実力を高く評価していたのだから仕方ないが、そんな俺に魔王の力を継承した時に魔王として必要な心構えと勇者が残した魔王としての役割についての話を始めると彼らは俺の話に耳を傾けてくれるようになる。その説明の中で俺の魔王としての力はあくまでも魔王から受け継いだものであるのだから俺が本当に望んでいる勇者として世界を救う事はできないと説明した上で魔王としての自覚を持つ事の必要性と勇者と魔王の戦いの歴史について語った。そして俺が魔王の後継者であるという事について説明をした上で俺は、いずれ来る戦いに備えて、その力を蓄えなければならないと説明をしたのであった。そして魔王として相応しい行動を取る事を誓ったのだが俺の考えを全く受け入れようとしない四天王を見て呆れる事しかできなかった。

結局、俺がいくら魔王として相応しく振る舞えと説いても聞く耳を持たず俺から逃げるように姿を消したのである。そして残された俺とリリイは仕方なく二人で今後の事を相談したのであった。それから数日後の事である。俺達の前にマーロが現れ俺を殺すために戻ってきたと告げたのだ。俺とリリイは戦う事になってしまった。そして俺は魔王としてリリイを守るために魔王の力を使うことを決心した。

「私は勇者の子孫が魔王になるなど認める事ができません。今すぐ殺します」と俺に告げるとマーロは自分の能力である『勇者』の能力を使い俺を殺しにかかるが俺は自分の能力で抵抗する。その結果、魔王の能力と、勇者の能力が打ち消し合う結果になり、その隙をついたリリイの攻撃によりマーロが倒された事により俺は命を救われたのであった。しかしマーロは死んでいなかったので俺は魔王の魔法である『魔族召喚(ゾンビ)の呪文を唱えるが、それを察知した僧侶は俺に攻撃し、俺を気絶させ、そしてリリイを攫うと魔王城を離れ何処かに消えた。

俺とリリイが勇者の子孫と出会っていた頃魔王城の玉座の間では勇者と仲間達が話し合っていた。そこで勇者が勇者が魔王を倒した後、どうやって生きてきたのかを語った。それを聞いて驚いた仲間の僧侶は勇者に、なぜ今まで黙っていたのかと問いただし、それから二人は、お互いの認識の違いを認識し、勇者は勇者が死んだ事やリリイという子供が存在する事を知っていながら僧侶が勇者を殺した事を知らなかった事に驚くが、僧侶もまた、その事に気付かず僧侶に殺されそうになった事を告げられると自分達の間にあった大きなすれ違いに気付き僧侶が魔王を倒し、その功績を認められ、魔王の座を受け継ぐ資格を手に入れたので、魔王の座を勇者に譲り渡した経緯を語る。そして自分が魔王の座を譲り渡したかった相手と、その息子が目の前にいる事を知った僧侶と勇者はお互いに驚いてしまうが、それでも勇者が生きていた事には僧侶は喜んでいた。しかし勇者が、この魔王城を訪れた目的が魔王を倒すためではなく、魔王の息子を保護する為にやってきたと知った僧侶は、勇者に息子を渡したくなかったが勇者は勇者としての使命を全うしようとする意志が強く自分の力では止められないと知り僧侶は勇者に謝ると、その場を去ったのだった。

俺は勇者の話を最後まで聞き終えたところでマーロは俺とリリイの前から姿を消し、その時にリリイは勇者の生まれ変わりだという事を俺に伝えるが俺達はマーロを追うことにする。そして勇者の子孫を探し出しリリイの保護者になるように説得するため俺はリリイと共に勇者の子孫であるマーロを探す旅に出たのである。

俺とリリイの前に勇者の子孫のマーロウが現れる。俺は魔王の力で彼女を倒そうとするが彼女は勇者の生まれ変わりではないため俺の力を打ち消すことはできなかった。だが勇者は、その圧倒的な力と速さによって魔王である俺を倒したが俺を追い詰める事は出来なかったため魔王に転生した勇者の俺は魔王の力を利用して、かつて勇者に滅ぼされた魔王の力を集め復活を果たす。しかし、それでも俺の全力の一撃には耐えきれず倒れてしまうが勇者の子孫である彼女を守ることができた俺は安心したのだった。だが、そんな時、勇者の子孫である彼女は勇者の子孫に恨みを持つマーロウに襲われてしまうが、そこへ駆けつけたマーロウとマーロウの部下の僧侶が彼女を助け、そして彼女は魔王の配下に保護される事になった。

それから数日後の事である。俺が勇者との戦いで魔王の力が弱まり回復するために眠っている間に起きた出来事を部下のゴウライが報告してくる。俺が目覚めた頃にはマーロの行方が分からない事を聞かされたが勇者の子孫である彼女が生きている事は確認できたらしい。

その事から勇者が何かしかけていると考えた俺は勇者が何を考えているのか調べさせる事にしたのだった。それからしばらくして俺はリリイと一緒に俺の領地に戻ってくる事になる。だが勇者の子孫は領地に戻る前に立ち寄った町にいたらしいが既に別の場所に移動してしまったらしい。

そして俺はリリイと共に勇者の足跡をたどる事を決意するが、そこに現れた四天王の一人にして、魔王軍最強の魔法使いのガルスと名乗る女性と俺は出会うのであった。だが俺はリリイに四天王の一人と戦うように指示を出したのだ。その事に激怒したリリイだったが俺の言葉の意味を理解してくれたようで、リリイが勇者の生まれ変わりである事を告げ、リリイを守りきった俺は勇者を追おうと提案するがリリイは首を横に振り、魔王の息子としての立場を弁え勇者を探さなくても良いと言い出したのだ。その事に俺は、どうしたらいいかわからなくなってしまったがリリイが魔王の娘である事は隠さなければならないので俺は勇者と魔王の後継者という立場を隠し、リリイが勇者を父親だと知らず育てて来た事を説明するとリリイは納得した様子だった。

それからリリイはマーロウが向かったであろう目的地に向かったのだがマーロウは既におらず、マーロウの部下だった僧侶に案内されてリリイはマーロウの行き先を知る事ができて、そのままマーロウの捜索を続けることになってしまった。

俺が魔王城に残っていた最後の魔王であるグラニィに会いに行くと彼はリリイを連れて逃げようとしていたがリリイが勇者の力を受け継いでいる事を伝えるとグラニィは観念して大人しくなる。そしてリリイの事をグラニィに託して俺はマーロの追跡を急ぐのであった。

マーロを追って、俺は勇者が暮らしていたとされる王国に来ていた。俺は勇者の力を継承していない勇者の生まれ代わりであるマーロと、勇者が使っていた伝説の武器を求めて勇者の墓を訪れるが墓は荒らされており俺は落胆する事となる。そんな中、俺は勇者の生まれ代わりと思われる男を見つける。

俺は、そんな彼を捕まえると話を聞き出す。すると、この男が勇者本人ではない事や、勇者の生まれ代わりが他にも存在していると分かり、俺達は勇者の生まれ変わりである可能性のある他の人間を捕獲するために動く事を決めた。

俺は勇者が魔王城に現れた時に倒した大魔道士が魔王軍にいたという話を僧侶のラミアから聞かされたので俺は僧侶ラミアに尋ねると、ラミアはかつて勇者一行と戦った大魔道士の娘だと名乗ったのである。それから、俺達魔王軍の面々が勇者の子孫達を探していると勇者の子孫であるマーロが突然現れるが俺はマーロと戦いリリイを守るために戦った結果魔王の力を使おうとするも使えなかった。その結果、勇者の力と魔王の力との反発によって俺は倒れてしまい俺はリリイに介抱され目を覚ました。そんな俺の前にリリイが姿を現したのであった。俺が魔王の力を継承した時の話と、俺が魔王を継ぐことになった経緯をリリイは俺に話してくれて、リリイは魔王の力が暴走する危険性を危惧していたようだ。俺の体から魔王の力を完全に消滅させるために魔王の力を使えるようになった勇者の子孫である彼女に、俺は協力してもらい、魔王の力は勇者の魔力に完全に打ち消されてしまったのであった。しかし、俺はまだ完全に魔王の力を失ったわけではないので油断はできない。だから魔王城に戻るとリリイは四天王と僧侶を引き連れ魔王城の外に出て行く事を決めるのだが、俺も魔王城の外へ出る事を薦められ俺はリリイに従うことにしたのであった。

俺とリリイの前にマーロウが現れリリイは俺の傍を離れる。その事にマーロウは激怒し俺とマーロウの戦いが始まり、俺の拳がマーロウの体にめり込むが俺は攻撃を止める事ができなかった。その事に焦るマーロウであったが、俺は自分の意思に反して魔王の力に支配されつつあった。俺は自分の体を必死に抑えるが、その事に耐えられず俺は自分の力で自分の心臓を貫く事で自分を魔王の力から解放したのであった。その後、俺は意識を失い魔王城で倒れてしまった。俺とリリイがマーロウと戦っていたその頃に僧侶が勇者とマーロウの間に割り込みマーロの居場所を教えると、僧侶はそのままマーロの捜索に動き出す。しかし、僧侶はすぐに勇者とリリイにマーロが見つかったと連絡を入れるが、マーロはマーロウと勇者の子孫が戦っている現場に姿を現すことになる。

マーロを倒そうとしたマーロウであるがマーロウの攻撃を受けマーロは吹き飛ばされてしまうがマーロはマーロウを睨みつける。しかしマーロの攻撃で魔王の鎧を破壊されてしまったマーロは魔王としての実力が発揮できなくなり魔王としての資格を失うと同時に勇者としての役目を果たせなくなり、そのままリリイの手によって殺される。その事に対してマーロはリリイの事を恨んでいたが勇者の子孫と僧侶との戦いを止めに来た僧侶がマーロウに近付きマーロウにとどめの一撃を放つとマーロウはその衝撃によって命を落としてしまった。僧侶は勇者の子孫と僧侶との戦いを止める為に行動していたが、その目的は僧侶自身の復讐の為にマーロウに勇者の子孫を倒すように依頼したからだ。しかし、その事を知りながら勇者の子孫の事を気に入っていた僧侶はマーロウを殺さずに勇者の子孫に任せようと企むのだった。僧侶と僧侶の部下が、その場から離れるのを確認したマーロウの部下は、その僧侶が自分達のリーダーであるマーロウに、とどめを刺した事を知っており怒りを僧侶に向けた。しかし、そこに現れた僧侶は自分がやったのではなく僧侶は勇者の子孫とマーロウとの戦いに乱入して止めに入っただけというが僧侶の本性を知った部下たちは僧侶を殺すため攻撃を仕掛けると僧侶はそれを見越していたらしく僧侶の部下とマーロウの部下達が、お互いに戦い始めてしまうのであった。僧侶は、そんな光景を見て僧侶の事を勇者の末裔である事を隠したまま仲間にしようと思った。

俺は目を覚ますと勇者の子孫のリリイに看病されていて、俺は俺の体が元通りになっているのを確認すると、そのまま勇者の子孫であるリリイを連れて行く。それから俺はマーロウに勇者の力を受け継いだ者がマーロウ以外に存在するかもしれない事を告げられるが俺は魔王の力の事を気にせずにマーロウが、なぜ魔王になったかをリリイに伝えるのであった。リリイの話を聞いた俺と勇者の子孫であるリリイはマーロンの元へ向かい、その途中にある町に寄る事になり俺とリリイはマーロウに、これから向かう場所へ一緒に行くように頼まれたので、俺はリリイに魔王の力でリリイを守る事ができるからと伝えるとリリイは俺と一緒に来ることを決めてマーロウに付いて行き勇者の子孫であるリリイと、この世界に存在する勇者の子孫が暮らす街にたどり着くのだった。そこで俺が勇者の子孫をマーロウと一緒に見つけようとした時、勇者の子孫が現れたのである。勇者の子孫である彼は俺を見ると「君が僕の勇者の子孫なんだね」と言うとリリイと何か話している様子だったので、俺はリリイを連れて先に勇者の子孫の所へ行く事にした。そして俺が勇者の子孫である彼と接触を図ろうとした瞬間、彼の仲間の僧侶であるマーロウと勇者の子孫のマーロが現れ戦闘が始まったのだった。俺は、勇者の子孫である彼が持っている剣を勇者の力が封印されている事を知ると勇者の力を取り戻そうとするが、それはマーロウにとって許せない行為だったため俺を敵と認識してマーロと一緒に俺を攻撃すると俺は勇者の力が込められた聖槍を取り出し勇者の力が込められていない方の聖剣を破壊する。その出来事で俺は勇者の力が封印されている事を確認できたが、それでもまだ完全に復活していない事を感じ取り、このままだと勇者の力を取り戻す事ができないと悟り俺は勇者の生まれ変わりである彼と一緒に、マーロウが居る場所に戻ってきた。

そして、そこに居たのはリリイではなく魔王の娘であるマーロの姿であった。俺とリリイと勇者の力を持つ者は、それぞれの立場が違いすぎており俺にはリリイの正体を伝える事も出来ず俺は魔王の娘である事を隠せと言ったのだが、勇者の子孫とリリイは、それぞれの立場でリリイと話をして、その結果、勇者の血を引くリリイをリリイは受け入れる事になった。その結果リリイとリリイが魔王の娘である事は、勇者の血筋であるリリイしか知らない状況になってしまった。

俺はマーロウがリリイの居場所を探し当てる事に成功したと俺に伝え、俺は魔王城に向かう前に勇者の力を受け継ぐリリイが、リリイを勇者の後継者にした勇者の子孫と会ってみたいと言ってきた為、俺はリリイと勇者の子孫である勇者の力を秘めた剣を持つマーロウを連れ魔王城に帰還するとリリイ達は、既に魔王城に来ていたのであった。だが魔王の娘だとバレると困るため俺達は変装する事にして俺は仮面を付け、俺がリリイに、お前は勇者の子孫に会いたいと話すとリリイはリリイの父親が勇者であるマーロに会いたがっている事を話し始めたのであった。そんなリリイの様子を見て勇者の血を継ぐ者は嬉しそうに俺達の様子を見ていたが、そんなリリイとマーロウを見てマーロウが少し寂しそうな表情をしたのでマーロウの過去を少し知っている俺は心配になってしまうのであった。そして、マーロウは自分がかつて魔王軍に所属して僧侶を騙し魔王城まで追い詰めていた話をする。しかし、リリイは自分の父である先代魔王がマーロウの知り合いだと告げるのである。その話を聞いて勇者の子孫であるマーロウは驚き僧侶を睨みつけると、そのマーロウの視線から僧侶は逃げるのであった。それから俺達は、リリイがマーロウの案内の元でリリイの父親である先々代の魔王のいる場所へと向かう事にした。しかし、その道中にマーロウの仲間であり四天王の1人であるマーローが現れたのである。

その人物こそ、俺がマーロウと戦うきっかけを作りマーロウを殺した奴である。しかし、その事を知らないマーロウと勇者の力を授かったリリイが対峙してしまい俺達は、マーロウ達から身を隠す為に魔王城の奥深くへと入り込むのであった。俺はリリイと勇者の子孫であるマーロウと僧侶のラミアの4人と共に魔王城の中に入り込み魔王城の地下にある牢屋に身を潜め、どうにかマーロウ達に見つかる事なく地下牢に隠れることが出来たのである。

しかし、俺達が入った魔王城の隠し通路の入り口が、たまたま僧侶とラミアが入ってしまったので、マーロウに見つかってしまうがマーロウは、そんな俺を勇者として信用してくれた。俺がリリイや僧侶と行動を共にしているのに気づきリリイと僧侶は驚いていたが、その事を僧侶は俺が裏切り者だという結論を出し、マーロウに攻撃しようとしてしまった。それを見たマーロウと俺は僧侶を止める為に戦いになるのだが、僧侶と勇者の力を宿すマーロウが戦うと、いくら俺と僧侶でも、ただでは済まないのは間違いない状況であった。だから、俺と僧侶が協力して何とか僧侶の攻撃を止める事に成功し、その事がきっかけで僧侶とマーロウの戦いが終わってしまい僧侶とマーロウの間に大きな亀裂が入り僧侶が去っていくとマーロウに俺は魔王の娘のリリイを助けて貰い、魔王城の中でマーロウの手伝いをしてくれと言われ、俺は僧侶の裏切りを知っているが僧侶の気持ちも理解できたため僧侶を許す事にするのである。その事についてリリイと勇者の子孫は、とても喜んでいた。

勇者の子孫であるマーロと勇者の末裔のリリイの二人が魔王城を抜け出して俺の元へ戻ってくると、俺達が居なかった間の話を教えてくれたのであった。リリイと勇者の末裔が魔王を封印する方法が記された石版がある神殿の場所を見つけるとマーロウの話では魔王が復活すると勇者の末裔は魔王と勇者が戦いで傷つけた体を治してしまうので魔王が復活しなくなるそうだ。その事を聞き俺が疑問を口にするが勇者の末裔のリリイは魔王を封印する方法があるので魔王が復活しないようにする為の方法はないと言い出したのであった。それを聞いて俺が驚くとマーロウと勇者の子孫は俺の反応が当然の事だと思い何も説明せずに黙っていたのである。

俺達はリリイを救いに勇者の子孫の住む国に戻る為に魔王の配下が居る国境を越える事を決意して、俺達は勇者の子孫と僧侶に見送られながら魔王の住まう大陸から脱出しようとしたのであった。しかし、俺がリリイの所へ駆けつけようとする時に、僧侶が勇者の末裔のマーロを殺しに来たのだった。

俺は僧侶と勇者の末裔の戦いを止めようとしたが間に合わずに、そのまま俺は勇者の剣を持った勇者の末裔のリリイと戦い始めるのである。そして勇者の子孫のリリイが聖剣を使う事で、その聖剣の本来の力を引き出す事ができてしまい勇者の子孫であるリリイの力は想像以上に強かったので俺は追い詰められるが、そこに勇者の血を引くマーロウが現れて僧侶を倒すのであった。だが僧侶は死んでいなかった。僧侶はまだ息があったのである。そこで俺はマーロウを連れてリリイの元へ向かうのであった。

俺がマーロウを連れてリリイの所に辿り着くと、そこにはマーロウを睨みつけ殺そうとするリリイの姿があり俺は咄嵯にマーロウを助けるが俺は、その時リリイの攻撃をマーロウに喰らわせてしまう。それから俺はリリイを説得しようと頑張るも、リリイに聖剣を突き付けられて俺が殺されそうになった時、マーロウが、まだ僧侶は生きていると伝え俺はマーロウの話を聞いた後に、リリイに勇者の子孫は魔王を復活させるつもりはなく魔王は復活させないために行動していた事を話すと、リリイは信じてくれ、マーロウが勇者の血筋である事を知っていて勇者の末裔がリリイであると知った時から僧侶がリリイを殺すつもりで襲ってきたのだと教えてくれたのである。そして俺達はリリイに魔王を復活させたくないという気持ちは同じなので魔王城に戻ろうと提案すると、そこで僧侶が魔王が復活した事を知らせてきた。俺とマーロウは急いで戻ると既に魔王が居たのであった。

それからマーロウと俺が協力し合い魔王と戦う事になるがマーロウの聖槍と俺の持つ勇者の力が封じられた聖槍での戦いは激しかった。

俺はマーロウと一緒に魔王との戦いを続けていたが勇者の力を受け継いだリリイは勇者の血を引くマーロウと一緒に戦いたいと言い出しリリイは魔王と戦ってしまう。その様子はリリイを信頼しきっている勇者の末裔と僧侶に、この世界の運命を託したのだ。しかし、それでも俺には魔王の娘で、しかも、あのマーロウの妹でもあるリリイが勇者の末裔と共に戦うのを、どう考えていいのか、わからなかった。しかし、魔王の娘でありながらリリイが勇者とマーロウに魔王を任せる姿に俺は胸が熱くなり感動した。

勇者の子孫とマーロウの連携は見事な物で魔王に致命傷を与えていき、魔王の動きが止まった瞬間俺は全力の一撃を放つが魔王はそれを防いでしまうのである。それから俺は魔王がリリイを殺そうとした事を知り怒りに任せ魔王に攻撃を仕掛けると魔王の様子が変わり始めたのであった。それから魔王の体に黒い霧のような物が纏わりついていったのである。

その異変に気付いた勇者の子孫が俺と魔王が戦っていた戦場から離脱していったのである。その直後、魔王の周りに居た魔王の側近達が突然苦しみ始め魔王の姿が変わったかと思うと俺に向かって衝撃波を放ってきた。それを俺の体は反射的に避けて、その衝撃がマーロウと僧侶を吹き飛ばした。

「魔王様が変化しただと?魔王に娘などいない。なのに何故?」俺が、その事に混乱しているとマーロウが立ち上がり俺の傍に来て魔王に話しかけていた。その会話の内容を聞いて俺と勇者の子孫は驚いたのである。

その話を俺と勇者の子孫は魔王に聞かれてしまった。だが魔王が勇者の血を引く者に興味を持っていなかったので、とりあえず殺される事はなさそうであった。その後マーロウは俺達を庇いながら魔王と戦ったがマーロウが劣勢になってしまい、魔王が俺達の方に歩いてきはじめた。だが魔王の足取りは重くマーロウも俺達の方に来るように言ったのであった。俺達は、魔王に自分達は逃げるから先に行ってくれと頼んだが魔王が俺達に興味を持っていて逃がしてくれなかったのである。そんな魔王にマーロウは俺と勇者の子孫に魔王が勇者に殺された後の世界はどんな風に過ごしていたのかを話し始めた。魔王はその話に興味を抱き魔王は俺達に付いてくると言って俺達に魔王が封印された理由を教えてくれたのである。

魔王が魔王になったのは勇者との約束を守り勇者が死んだ後も勇者の血が絶える事がないようにするためらしい。

それを聞いた勇者の末裔とマーロウが複雑な表情をしていると魔王は二人を責めず逆に褒めたのである。魔王とマーロウが戦う事になったのも魔王が悪いのではない。マーロウは魔王の娘を殺した勇者の子孫として勇者の力を持つ者と魔王として復活した者が戦う事に意味を感じ戦いを始めただけなのだ。しかしマーロウの気持ちは魔王には届いていた。だから魔王は自分の力を半分以上残し魔王城に戻り俺達に魔王城の鍵を渡してくれたのであった。

俺と勇者の末裔と僧侶は魔王の城に入り魔王が残した力により封印を解く事ができたのである。そして魔王の娘である勇者の末裔を俺は封印するのを嫌がったのだが魔王は勇者の血を引く者は自分の代わりになる存在であり自分の娘の代わりは自分以外にはいないと言ったのだった。それを聞き俺は仕方なく勇者の末裔を封印したのだった。その瞬間、封印されていた勇者の子孫は目覚め俺の元に駆けつけてくるとリリイと同じように勇者の力で俺を助けようとしたのである。だが勇者の力を使った事でリリイとマーロウに何かあったようで、すぐに俺も意識を失い、それから気付くと俺はベッドの上に寝ていたのであった。

俺が目を覚ますとリリイとマーロウが俺が眠っていた部屋にいた。そこでマーロウは俺が魔王の娘を勇者の力を授かった勇者の末裔として封印していた話を聞くとマーロウが勇者の末裔であるリリイを俺から引き離し自分が勇者になると宣言した。それから俺は魔王を倒した勇者の力を受け継いでいた事がマーロウにも分かったのであった。俺とマーロウはリリイが眠っている部屋に二人で行くとリリイは、とても悲しそうな顔でマーロウに抱きつき泣き出してしまった。それを見てマーロウは辛そうだったがマーロウも涙を流して喜んでいた。

その光景を見ながら俺は心が温かくなっていくのを感じた。マーロウとリリイは兄妹のように仲良くなっていった。それからしばらくして俺達はマーロの家を出て旅を再開する準備をし始めたのである。

魔王が復活させた勇者の末裔であるマーロウは、もうこの世に存在しないはずの人間であるリリイやマーロウが生きていけるように俺はマーロウの家に勇者が遺した金目の物を持ってきた。それから勇者の子孫と僧侶は、これからマーロウと一緒に暮らす事になる。その話が終わると俺はリリイに俺の家で暮らしてほしいと言いリリイにマーロウに今までの礼をしたいから家に置いてくれと頼み込んでリリイを俺の家に居候させる事に成功したのである。マーロウを説得するのに苦労した。リリイはマーロウに何もしないと言うと安心していたが、それからマーロウが俺に助けを求めてきて俺に魔王を一緒に倒して欲しいと頼むとリリイに勇者を裏切ったと言われ、リリイが居なくなったのである。それから俺は勇者の子孫を魔王を蘇らせた張本人である俺の家の居候にして魔王の住む大陸から脱出しようとした。そこで魔王の配下の将軍と僧侶が現れ、それと戦うと僧侶は死んでしまったが将軍が逃げた。俺は僧侶との戦いで消耗してしまい勇者の子孫と魔王に魔王城に戻ろうと提案すると、そこで僧侶が死んで魔王が魔王城の場所が分かるようになり、その場所に向かう事になる。

俺は魔王城を目指そうと魔王の住む大陸を出る前に僧侶が使っていた地図を広げて確認しようとした時だった。その時に僧侶の死体が消えていることに気付き俺は焦って魔王が復活してから起きた出来事を思い出した。それから魔王が復活してからは僧侶は死んだのではなく魔王の所に向かったのではないかと考えたのである。俺は魔王の所に行き魔王に僧侶の行方を尋ねるが魔王の返答は分からなかったという答えだった。だが、それは当然で魔王には俺達が勇者の末裔と僧侶を追っているのは分かっていても僧侶の目的までは分からずに知らないふりをしていたのだった。それから俺と勇者の子孫と僧侶は魔王が復活させて魔王の四天王の一人となったリリイに魔王を倒して欲しいと言われたが魔王の娘リリイと僧侶の居ない状況で戦うのは無謀だと判断して魔王を倒す事を断り魔王を倒しに行こうとした。それから勇者の末裔と僧侶が魔王の娘リリイと魔王に戦いを挑む事になり俺はリリイと僧侶の無事を願って勇者の子孫であるリリイと僧侶が居る魔王城に戻ろうとする。

俺達が僧侶を探していると僧侶は既に魔王城に戻っていて魔王の娘リリイと戦いになっていた。それから俺達は僧侶を探すが僧侶は見つからなかった。しかし、俺達は魔王城に行く途中、勇者の末裔が魔王城が近くにあると言っていた場所に着いたがそこには魔王の配下の将軍の軍が待ち伏せていて戦いになるが僧侶の持っていた聖なる力が込められた剣が無ければ苦戦するところであったが僧侶の持っていた剣のお陰で簡単に勝つことが出来たのである。

それから俺達は僧侶の言っていた魔王城の近くの村に着くが僧侶が居た村は魔王に潰されてなくなっていた。だが、勇者の子孫と僧侶は俺達と合流するまで別の所で僧侶を探していたが魔王の部下達に見つかってしまい魔王の軍に攻撃されてしまうが俺達の援護もあり何とか魔王軍を追い払い安全なところに移動した後、俺達は魔王城へと移動を始める。だが途中でリリイを襲ってきた魔王の娘が魔王の娘の部隊と合流してしまい俺達は追い詰められたが勇者の末裔は魔王の娘を殺し魔王の娘と戦わずに俺達と合流できる方法を考えるが結局思いつかずリリイは魔王の娘と戦うことになりリリイは殺されそうになるがリリイと勇者の子孫と俺は、その場を離れる事にしたのであった。

それから魔王の娘と魔王が魔王の城に戻ってきた。そして魔王は勇者の子孫と俺達の前に現れ魔王の娘であるリリイを殺すように指示を出しリリイと勇者の末裔は魔王と魔王の娘と共に戦うことになる。

勇者の子孫と僧侶はリリイを救う為に必死に魔王に立ち向かい遂に魔王の首をはねる事に成功する。その事に魔王が激怒するが魔王の首を落とした瞬間にリリイも魔王と共に消滅した。そして、魔王が死んだことで魔王城は崩壊しはじめ魔王の城にいた俺達を呑み込み崩れていった。だが魔王と魔王の娘だけは消滅しなかったのである。それに気付いた魔王の娘はリリイと勇者の末裔を殺そうと魔王に命令されるが魔王はリリイを殺せなかった。しかし、勇者の末裔を殺そうとしても勇者の末裔はリリイに守られていて傷一つ付けれなかった。魔王は勇者の子孫が生きている事に腹を立てていたが魔王がリリイを見逃せば俺と勇者の末裔は無事に返してもらえるという取引を持ちかけた。だが魔王はそれを拒否して魔王は俺と勇者の末裔を殺そうとする。だが勇者の子孫は勇者の末裔で勇者の力を受け継いだ事で魔王の呪いがかかり勇者の力と勇者の末裔は永遠に離れられない体になってしまった。だが、そんな事はどうでも良いくらい魔王の怒りが酷く、魔王が怒り狂ったのを俺は初めて見て怖くなった。そして魔王はリリイに全ての責任があるとして俺と勇者の末裔を生き返らせなければ皆殺しにすると言いリリイに勇者を騙した罪を償えと言い出したのである。それを聞いたリリイが勇者の子孫と魔王の前に立ちはだかり勇者の血を引く者の責任だから自分が死ぬと言って俺達を守る。

魔王はリリイを拷問にかけ始め勇者の末裔が助けようと動くと魔王は、俺にリリイを魔王城から追放する事を条件に魔王の娘であるリリイを好きにして良いという提案をする。それを聞いてリリイが魔王の娘であることを知らない勇者の末裔は動揺していた。それを見た魔王はリリイを勇者の末裔から引き離すように言い俺はリリイの肩を掴むと強引に魔王から引き離し俺の所に来させる。それを見て怒った魔王が俺をリリイの代わりとして殺す事を宣言した。そして俺は勇者の末裔と僧侶と一緒に逃げるために、その作戦を決行するのであった。

俺はリリイの事を好きだが俺は僧侶に惚れておりリリイと恋人になる気はなかったので俺が犠牲になればリリイが助かるのならとリリイを犠牲にする方を選び俺と僧侶と勇者の子孫はリリイを置いて逃げようとする。だが、僧侶と勇者の曾孫が魔王に捕まってしまい、そこで僧侶は魔王に殺される直前でリリイに助けられ僧侶が死にそうになっているのを知ってしまったリリイは、自分のせいだと後悔している。俺は僧侶を助ける為に、また魔王からリリイを奪おうとする。その結果、俺は殺されそうになって俺を助けようとした勇者の末裔と僧侶は魔王によって殺されてしまう。俺はリリイに僧侶を助けて欲しいと頼むが僧侶はリリイが俺に気があるのを知りリリイが僧侶を助けに行けばリリイが危険になる事をリリイに説明してもらう。それを知ったリリイは自分が代わりに魔王の元へ行き僧侶と勇者の曾孫を解放すると俺と魔王の娘の交渉に応じると言うが俺は僧侶の事が好きなので俺のわがままでリリイに僧侶と勇者の子孫を見殺しにした事が許せなくなり俺はリリイに殴りかかろうとした時、魔王の配下が現れた。魔王は部下を俺とリリイと魔王の娘を捕らえるように命ずる。

魔王はリリイを人質に取るとリリイを殴れと指示を出す。リリイは覚悟を決め俺が殴られるのを待ったが俺は僧侶がリリイの為にした事を思い出して、俺はリリイが俺に殴られそうになったのを見ると、そこで俺はリリイの頬を引っ叩く。するとリリイが涙を流し始めると俺は泣きながら謝り始めた。俺はリリイの事が好きになり僧侶が居なくなった事でリリイが幸せになれる道を考え始めていた。だが、魔王がリリイと俺を殺さないとリリイが人質になった僧侶が死んでしまうので、俺が魔王に魔王を裏切ってリリイと俺を見逃してくれるよう頼んだのである。魔王は最初は信じなかったが俺の話を信じて魔王を俺とリリイは見逃される。だが、勇者の子孫を殺した罪から勇者の末裔を勇者の力で蘇らせて欲しいと頼むが魔王は断ったので、それじゃ勇者の子孫の体を治してくれと言い僧侶が俺にくれた聖なる力で勇者の子孫を回復させるように頼むと、魔王はそれを聞き入れてくれた。勇者の子孫と僧侶が蘇り僧侶と勇者の曾孫が魔王に連れて行かれると俺達は勇者の娘が居るはずの場所に向かい魔王の娘の居る部屋にたどり着く。しかし魔王の娘が魔王に捕らわれていたのを知るとリリイは魔王の娘が生きている事に気付き魔王の娘がリリイに自分はもう魔王の娘ではないので自分を連れて行ってくれるなら魔王を殺してと頼まれ魔王が復活させた事を聞く。そこでリリイは、これから勇者の剣で魔王を斬りつけるが魔王が死んでいなかった。そこで俺は僧侶の持っていた勇者の剣でリリイと魔王が戦おうとした時に魔王がリリイを殺そうとしたが、俺は僧侶が使っていた魔法を使い、その攻撃で魔王は倒れて俺は僧侶の武器を使う資格を手に入れ魔王を倒す。すると魔王城は崩れ去り魔王が倒され勇者の子孫は元の世界に戻されるが俺は魔王の娘に勇者の末裔の魂が入っているのに気づき勇者の子孫に勇者の力を与えさせ俺が魔王の力を受け継ぐと、この魔王の力を受け継いだのが原因で俺はリリイが大嫌いになってしまう。だが俺は勇者の子孫の体を借りた僧侶のおかげで魔王の呪いに勝っていた。そして俺が魔王を倒し元の世界に戻ろうとすると僧侶が俺を呼び止める。

俺は勇者の末裔の体に憑依した状態でリリイに勇者の末裔の体を貸してくれと頼むがリリイに断られる。だが、魔王が倒された事で僧侶の体は解放されており僧侶の体のリリイは俺のお願いを受け入れ僧侶はリリイが魔王の娘に騙されている事や僧侶の気持ちを話したが、それを聞いていたリリイが激怒し俺に襲いかかってきた。俺が勇者の末裔に剣を刺そうとするとリリイがそれを止める。そして俺とリリイの戦いが始まるが俺の持っている魔王の力に徐々に飲み込まれて行く。俺は僧侶と魔王の娘を生き返らせる為に魔王に力を欲した。だが、それは俺に死を与えるためだけの行為であり、その事で魔王が怒りリリイは俺の事を恨んでいたがリリイの体がボロボロになるまで戦っていた俺に勇者の末裔がリリイが傷ついてまで俺と戦う理由がないと言った時に俺の心の中で何かが崩れた。だが、そんな俺をリリイが抱きしめてくれると俺もリリイに恋をした。それから勇者の子孫である勇者の末裔に俺の魔王としての力は封印された。そして俺は勇者の末裔の体から離れると、そこには、いつの間にか俺に化けたリリイがいたのであった。

リリイは僧侶が死ぬ直前に僧侶が勇者の末裔の体に入った時にリリイが見た光景と同じ夢を見る。

そしてリリイは勇者と僧侶の二人が愛し合う場面を見てしまいショックを受けたのであった。

それからリリイは魔王の娘から勇者の体を奪った事を聞いてしまうと勇者の娘に魔王を生き返らせた本当の目的を問い詰め始める。だが勇者の末裔に体を奪われているのにも関わらず勇者は、あくまでもリリイが僧侶を好きになったのを責め、リリイのせいだと言い出したのだった。

そして勇者の末裔は、勇者と僧侶が付き合っていた事をリリイに打ち明ける。だが、勇者と僧侶の恋愛に関しては勇者の子孫がリリイに対して勝手に誤解をしていただけであって実際には勇者と僧侶の間には何も無かったのである。

そこで、勇者の子孫はリリイの目の前で勇者の体を使って勇者を呼び出し、その事でリリイは勇者の子孫に怒る。だが、リリイは勇者の体を奪って勇者の体と勇者の血を引く者にしか扱えない筈の剣を持っている事から魔王の娘である事は確実で勇者の末裔は勇者に助けを求める。しかし勇者がリリイに助けを求められた時は、すでに僧侶がリリイに殺されていたので助ける事が出来ずに魔王にリリイを殺すように命じた。だが、そんな時でも勇者はリリイを助けるために行動を起こしていた。だが、それも勇者の末裔によって邪魔をされる。

そんな時勇者の末裔とリリイの前に俺が現れたのである。そこで俺は勇者の末裔に勇者の力とリリイとの約束を果たす為に立ち塞がり俺は勇者と魔王の末裔の対決を始めるが、俺は魔王の力を手に入れた事によりパワーアップしていた。

だが、いくら魔王の力を持っていようと魔王は勇者には絶対に勝つ事が出来ない。勇者と俺との戦いに割って入った勇者の末裔と俺がリリイを奪い合おうとしていた。その時、勇者が僧侶の姿に変わってしまい僧侶は勇者の末裔と魔王に戦いを挑む。その結果、魔王の娘はリリイに連れ去られ勇者の末裔と魔王はリリイの前から消え去ったのであった。その後、勇者と魔王の娘が消えた事に動揺していた俺にリリイが話しかけてくる。俺は魔王を倒した後、リリイと二人で暮らそうと思っている事をリリイに話すとリリイは俺のプロポーズを受けてくれたのであった。だが俺は魔王の娘であるリリイと夫婦になる事が出来て嬉しい反面複雑な心境でもあった。

俺はリリイが好きな気持ちを抑えられずついに告白してしまう。だがリリイは勇者の娘だから、俺は嫌われたくないので、このままの関係で良いと言うと、なぜか俺の言葉を聞いたリリイは泣き始める。そして俺は自分が好きな気持ちを抑えるように必死になるが我慢できなくなりリリイの体を強引に抱き寄せキスをしようとした時、リリイが嫌がり始めた。それでリリイは泣きながら部屋から出ようとしたので俺は慌てて呼び止めた。リリイの態度に俺は焦りを感じながらも俺は自分が僧侶と勇者の子供だと打ち明けるとリリイが泣きながら謝ってくる。だが、僧侶がリリイと勇者の関係を勘違いしただけで実際は何もなかったので気にしていないと俺は言いリリイを慰めたのであった。だが俺は僧侶と勇者の子孫に体を乗っ取られた時のリリイの様子を見て少し違和感を感じていた。そして、リリイが急に俺から離れようとする。その理由を聞くと、どうもリリイが妊娠しているようなのだ。それで俺は僧侶とリリイが勇者と僧侶のように子供が作れない事を話した。

リリイが突然苦しみ出す。俺はリリイを助けたいと思い急いで勇者の家に向かったのだが、途中で俺達は勇者の娘に襲撃されてしまう。俺は勇者の娘を倒そうとしたがリリイを守る為に戦うと勇者の娘に攻撃を加えようとする。するとリリイが俺を止めようとしたが俺はそれを振り払い勇者の娘を攻撃しようとすると俺の攻撃でリリイのお腹の赤ん坊は助かった。俺達は家に戻り勇者に僧侶が殺された事と勇者の子供達の事を話す。すると、勇者の家は大変な事になっており僧侶の葬式が行われた後に、勇者の家の者達は僧侶と魔王の娘を探すように言われていたらしい。勇者の娘に僧侶が魔王の娘と一緒に居ないのかと聞かれると、勇者の家から追い出されたので今は分からないと答え勇者が勇者と勇者の嫁さんと魔王の娘と勇者の末裔の捜索に行く。勇者の子供達は、俺とリリイに任せてくれたのであった。

勇者の家が大騒ぎになり魔王の娘の事も心配だったので俺達は、すぐにリリイの居る場所に駆けつけるとリリイが泣いている。しかもリリイが妊娠していてお産が始まっていた。俺とリリイは一緒に子供の名前を考えた。俺は勇者とリリイの子供の性別を確かめようと思うが女の子だと言われる。そして、リリイは勇者の娘と自分の名前を合わせてレイナという子にしようと言い出した。俺はそれに賛成する。そして、俺とリリイが結婚する事を伝えるとリリイと勇者の娘である魔王の娘が驚いていた。

それからリリイが苦しそうな顔をしたので、勇者が医者を呼びに行く。その間に俺はリリイと子供を励ますが、勇者が医者を連れて来ると、俺は、まだ出産が終わったわけではないからと言われてしまい外に出されたのであった。そして俺はリリイが無事な事を祈るが僧侶が魔王と戦ってくれたおかげで僧侶の力が弱まっており僧侶の魂が俺達の元に戻って来ている事に気付かずにいた。

それからしばらく時間が経つと勇者の娘にリリイが大丈夫なのか聞くがリリイはまだ生まれたばかりだという事で勇者に、もう生まれてくる赤ちゃんに名前は決めたのかと言われた。そこで俺は、とりあえず男の子だった時に勇者の名前を使おうと思っていた事を勇者に話す。だが、リリイは、その言葉を聞きショックを受けていたが、リリイが元気そうだった事もあり俺とリリイの子は女の子として俺とリリイの子が産まれてきた。そして勇者は、この子を勇者の娘と同じようにリリイの娘としてレイアという名前にすると言ってリリイも了承したのであった。それから勇者は、俺とリリイに何か欲しい物はないかと聞いてきたのである。

それからしばらくしてリリイが目を覚まし俺の方を向くとリリイは俺の顔を見ると安心し微笑んだ。だが、そんな時俺の体が光始めてしまい俺は自分の身に一体何が起こったのかわからなかったがリリイが悲しげに見ているのに気付きリリイに笑顔を見せると最後に俺はリリイとキスをするのであった。そして俺は、僧侶の力で体ごと異世界に連れて行かされ、そこで死んだのである。しかし俺の体の中に勇者の力を持った赤ん坊が入り込んでしまい俺は生き返るのであった。それから俺は勇者の息子として転生しリリイ達の元へ戻って来たのだった。

俺は勇者と魔王の子孫との戦いを見ており俺は、まずはリリイと二人きりで話がしたいからと勇者達に席を外す様に言った。

そして、勇者の末裔がいなくなった途端、リリイが涙を浮かべて抱きついてくると俺の唇に口づけをしたのだ。

俺は戸惑いながらも優しくリリイを抱き締めてあげたのであった。

俺は、いきなり現れた謎の美女リリスの話を聞いていたが、リリィの言う事が信じられなくて混乱していたが俺は目の前に現れた女神が本物であると確信した時、勇者は何故か悔しそうな顔をしており勇者と僧侶がリリスの話を聞いていて二人の表情も険しくなっており勇者が女神に対して警戒心を抱いていると僧侶が俺に向かって話しかけて来た。

僧侶によると、リリィが俺の所に来てくれた理由は、リリィは女神から勇者の末裔を救って欲しいと言われていたらしくリリィも最初は断っていたようだが勇者の事を気にかけるようになり、やがて勇者を助ける事を決めたそうだ。そして僧侶の力を借りてリリイに僧侶の記憶が戻ったので俺とリリイは勇者を助けるため、ここへやって来たらしい。しかしリリイには記憶が無くなっていた間の事は分からずリリイと俺と勇者は互いに自己紹介を行う。

俺が勇者だと知ると僧侶は驚いていたが僧侶は俺の力を鑑定した結果俺が、勇者の力を秘めた存在なので俺とリリイと勇者がいれば魔王を倒す事が出来るかもしれないと言うとリリイは喜び、そしてリリスは、勇者の末裔に騙されて利用され魔王に殺される運命を辿るところだったので本当に良かったと話してくれた。だがリリイと僧侶が話をしていた時、突然リリイは勇者と俺が付き合っていた事実を知ってしまったのである。それで俺は慌ててリリイを落ち着かせようと声をかけるが、俺の言葉に全く反応しないリリイの様子に、どうしたら良いのかわからなくなり俺はリリイの体を強引に引きよせリリイにキスをしようとしたらリリイの様子が変わり俺を突き飛ばし勇者が俺を助けようとしてくれた。だが俺の行動を見たリリイの目が赤くなっていき俺を睨みつけると俺は金縛りにあって動けなくなったのである。そんな様子に僧侶と勇者達も動揺するがリリイの瞳の色は元に戻っていくのであった。

「勇者よ、そろそろ本当の事をリリイに伝えてはいかがです?リリイの体に勇者の子供がいる事を知っているはずですよね?」リリスは勇者に向かって話す。

「それは知っている。でも俺はお前には、あいつがどんな目に遭っていたかも伝えてないのにどうして分かるんだよ!それにリリイには俺が僧侶の魂に操られた事を言わないようにして、リリイは、リリイのままでいられるようにしたんだ」勇者が怒りながら答えると僧侶とリリイが勇者を見ていた。

僧侶の魂が俺の体を乗っ取り、僧侶の肉体を使って俺と性行為を行おうとしたが、リリイの体を借りた女神が現れ僧侶を説得させた。そして、勇者の身体は勇者の子孫である魔王の体であり勇者が僧侶に洗脳される前の出来事はリリイにも僧侶本人にも僧侶に奪われた俺と僧侶との行為しか伝わっておらずリリイは自分の中で妊娠したのは僧侶だと思い込んでいた。だから、リリイが俺にキスをしようとした時俺は焦りを感じた。そして俺はリリイを抱きしめようとした時にリリイが勇者の娘に殺されそうになるがリリイはリリスによって救われる。

リリイはリリスに、あなたは何者なのかを問いただすがリリスが女神だと話すと、リリイはすぐに膝を地面に付けてリリスに対して土下座を行いリリイが頭を下げた。

リリイが俺と勇者の子孫の関係を知り俺は、勇者に、どうすれば良いのかを相談した。そして俺は勇者から魔王を倒しに行くのを明日にして欲しいと言われてしまい戸惑う。すると僧侶と勇者の娘は魔王軍と戦う準備をして魔王城へと向かう。リリイは僧侶に付いていく事になった。

俺は僧侶が生きていると知り嬉しかったのだが、なぜ、今頃僧侶の力が蘇ったのかが気になっていたので僧侶に会いに行く事にする。俺達は僧侶とリリイを探しに行ったのだが僧侶の姿はどこにもなかった。僧侶を呼んでみたのだが返事はなく、勇者達は僧侶を必死に探したのであったが結局僧侶は見つからず仕方なく帰ると勇者は僧侶が生きており魔王の配下に殺されたという情報を僧侶に伝えたのだ。それで勇者は僧侶が魔王城に居るのではないかと思い魔王に殺された事を伏せて俺に報告したのである。僧侶を探す為に僧侶の家に向かうが僧侶の家には僧侶の家族と僧侶の弟子達が居たので俺は僧侶に会う事を諦めると、その日はリリイと俺と勇者だけでリリイの実家に向かったのであった。

そして俺は、その夜にリリイに僧侶が生きていた事を伝えて安心させると俺達は二人で一緒に眠りにつくのであった。

翌朝になると俺達は僧侶を探しに魔王城へ向かう事になり、魔王城の城下町に着くと俺達が魔王城に入ると門番は魔王の命令で通行証無しでは入れないと言ってくるが、そこで僧侶から魔王と連絡をとるために渡された魔石を使い魔王に面会するのだった。そして俺は勇者から預かった書状を見せようとしたが俺とリリイが魔王城に入ろうとした時に俺は何者かに拘束されて身動きが取れなくなってしまう。そして魔王が俺の前に現れるが僧侶が生きているので僧侶と魔王の戦いを止めさせる必要があると俺は説明をする。だが、僧侶との戦いを止めさせようとしている事に魔王は不愉快そうな顔をしていた。そして俺は勇者と僧侶との戦いで僧侶が魔王の後継者だという証拠があると言い張ると魔王は少し悩んだ後に魔王城を案内するので、そこで俺が僧侶の無実を証明するような物を持ってくるのであれば僧侶との戦いを中止するという。俺はリリイと一緒に魔王に従い、そして俺は勇者が僧侶と戦わなければならなくならぬようにするために僧侶と話し合いの場を設けるよう頼もうとしたが、魔王に止められてしまった。

それから俺はリリスと共に魔王に捕まったリリイを救いに行き僧侶と合流する事ができたがリリイは俺とリリスに対して敵意を剥き出しにし俺達から離れていく。そんなリリイに対して僧侶が、どうしたのかを聞くがリリイは答えずに、その場から離れる。俺は僧侶から俺に何かを話そうと僧侶が近づいて来たので俺は僧侶を抱きしめた。そんな俺に対して僧侶は俺を突き飛ばす。だが俺は僧侶を離さず俺は勇者の息子の事で悩んでいた事を僧侶に全て打ち明けると僧侶は泣き崩れてしまい僧侶が落ち着くと僧侶とリリイを連れて俺は勇者が僧侶の体を狙っている事をリリイに伝え勇者の体から逃げろと言うとリリイは俺の言葉を無視して、リリイは僧侶が、あの男の事を気にかけていると勘違いしてしまい、リリイが俺を睨むのであった。

俺は、これからどうなるのだろうと、ぼんやり考えていたら僧侶は勇者と戦っても、また僧侶が勇者を殺してしまう可能性が高いと考え、まずは勇者に自分が魔王ではないと説明し、それでも勇者が信じないのであれば俺の力を使えばいいと勇者に言う。勇者は俺の力を使うのが嫌らしく渋っていたらリリイが魔王城に来るまでにリリイの身に危険があった事を話すと僧侶は、それなら俺の力を使った方が安全だと言ってくれたので、それで僧侶と勇者は戦う事を決める。

勇者は僧侶が生きてるかどうか確かめるため魔王城へやって来ると勇者の前に僧侶が現れ、お互いに自分の体について話すが、お互いが自分の身体の事については納得できないので決着をつけようと提案してきた。

俺は勇者に何があっても必ず勇者の身体から脱出して元の世界に帰るので俺が死ねば、この世界も元の世界に戻れなくなるのだから死ぬわけにはいかないと言うと勇者にお前は本当に俺の中にいた勇者の末裔とは違う奴なんだなと言われるが、俺が本物なのか偽物なのかは関係無いと言った。そして勇者とリリイの目の前に現れた僧侶は本当に別人だったらしく二人は困惑してしまう。しかし、勇者がリリイを見るとリリイは悲しげな表情を勇者に見せ、その様子を見ながら僧侶は俺達に勇者を倒す事を約束するが僧侶が勇者を倒す前に俺は、魔王が魔王の力を手に入れようとしている事実を話し、魔王に会わせると僧侶は魔王を倒すのをやめてくれないかと魔王に頼むと、勇者を殺すために来たはずの僧侶が魔王を倒すのを止める事を望むという予想外の言葉に、リリイは僧侶を疑いだし僧侶が魔王の配下だと言い出すが俺は僧侶が勇者の子孫を騙していて本当は人間なので魔王とは関係ない事を伝える。

俺は僧侶に頼み勇者が持っていた、お面と同じ物が欲しいと言うと僧侶はすぐに用意してくれて俺は仮面を被る。そして俺は勇者を気絶させてから魔王の元に連れて行くが魔王の前で勇者の力を試すと、すぐに勇者の体に異変が生じ、勇者の体は光り出して俺の身体に吸い込まれていったのである。そして勇者から光が消えると俺の中から勇者が現れた。俺は勇者の身体に僧侶の記憶が入り込む前に俺は急いで僧侶とリリイを呼びに行く。

勇者の体に俺が憑依してしまった後、勇者は僧侶を見て「どうして俺の体にいるんだよ!」と叫ぶが僧侶は「それは私が勇者と交わって子供を儲けた相手だからだよ。だから君が魔王を倒して私の身体を取り戻してくれると信じていたよ」と答えると勇者は悔しがり僧侶を殴ろうとするが勇者の拳が僧侶に当たらないうちに俺は勇者の腕を掴むと俺は勇者と勇者に殺された俺の身体の怨念が融合した力を発動し俺は勇者の意識を奪い取った。そして勇者は目を覚ますと「リリス!リリス!無事か?」と言いながら僧侶を探す。

その後俺は魔王から魔王の後継者は、この世界の魔王ではない事を知らされ勇者と魔王の争いが起こらないようにと、僧侶の体を借りて魔王が世界を救おうとしている話をした。

勇者は俺の言葉を全く信用せずにリリスが嘘を言っていると思っている。俺は勇者に僧侶に勇者の体に入っている時の記憶が伝わっているのかを尋ねても勇者は知らないと答える。そこで俺は勇者の頭を強く掴み勇者の身体に入り込んだ時の記憶を思い出すようにさせる。そして俺は勇者が俺に殺される前の勇者と魔王と俺の三人だけしか知らなかった秘密を僧侶に伝える。そして僧侶が勇者の子供を産んだという事や勇者の子孫達が、ずっと探し求めている存在を勇者に伝えた。勇者は自分の母親が、ずっと探されていたと知って複雑な気持ちになっていたが、まだ完全に信用できないのかリリスを責めるように話し出したがリリスは全て本当の事であり勇者の母親は確かに僧侶だと認める。勇者が母親の名前を聞いて僧侶だと答えるが、リリスと勇者が、いくら話し合ってもリリイと俺の考えが違っていて話が平行線になるばかりだったので、そこで俺はリリイの方に歩み寄り「勇者の娘さん、貴方のお名前はリリイですよね。勇者の体を使って俺が勝手に勇者の娘と名乗っていました。すいません。リリイが魔王の娘だと聞いて俺はとても驚きました。だって勇者と僧侶の戦いを止めようとしたリリイの態度を見てきたので魔王の娘である事が嘘だと思ってしまい、つい魔王城に入るための身分証明書を見せて欲しいと勇者に頼まれたので、その身分証明を見せようとしたんですが勇者は見せたくないようで、そのまま俺とリリイの二人だけで魔王城に行けばリリイの身を守れるかもしれないと考えて俺は勇者を置いて魔王城に行き、リリイと話し合いを始めようとするがリリイの様子が変だった。俺達は魔王城に行こうとしたのだがリリイは勇者と一緒に行くと言ってきて俺はリリイを説得してリリイを安全な場所で待っててもらう事にしたがリリイは聞き入れずリリイを連れて魔王城に向かった。すると勇者は魔王と戦うために一人で先に行くと言い出し、俺はリリイの事が心配になり追いかける事に決めた。勇者とリリイが魔王と戦っている間リリスと僧侶は勇者を探す為に二人で魔王城を探し回ったが結局見つからず僧侶は諦めるしかなかった。

俺は魔王と戦う勇者にリリイを助けに行く事を告げると、リリイと僧侶は勇者の邪魔をする事を躊躇い魔王に殺されそうになっても、その場を立ち去る覚悟を決める。だが俺は魔王の力が予想より強かったために魔王の攻撃によって命を落としそうになる。俺が死にかける寸前で勇者が魔王を倒したのであった。

俺は目が覚めると魔王との戦いを思い出した俺はリリイに僧侶に子供がいたという話は聞いた事があるかと聞くが、リリイも僧侶が、そのような事を話しているのは見た事が無いと答える。そこで俺は僧侶の体が乗っ取られた時に、魔王と俺とリリイだけにしか話していなかった秘密があると僧侶は言った事を話す。そこで俺は僧侶が話さなかった魔王の体の事も話した。

俺は勇者にリリイが生きている事を伝え、勇者にリリイを助ける手伝いをしてほしいと頼んだが勇者はリリイに嫌われるような事をしてしまい、俺の願いを聞き入れる事は出来ないと言った。そして勇者は俺の話を信じてリリイの所に一緒に行きたいと言ってきたので俺は勇者に魔王と僧侶が魔王城の中で戦っているのをリリイに知らせるために勇者と一緒にリリイがいる場所に戻る事にした。

リリイの元に向かう前に勇者は僧侶からもらったという、この世界で最強だという剣を持っていたが俺に渡してきた。それから俺は、勇者が僧侶を殺したという過去を打ち明けたが勇者は何も言わずに俺に、この剣は、あの勇者が僧侶から譲り受けた物だが僧侶に返したら、その瞬間、僧侶の体は僧侶が作り出した剣に宿る事になると言われ俺は、それを僧侶に返すのをやめてほしいと勇者が僧侶から貰ったという、その剣を受け取るが俺には全く扱えない物だった。そして俺は勇者にリリイと俺達の所へ来てくれるように言うが、リリイのいる場所は勇者と僧侶が初めて出会い勇者の父親がリリイを殺そうとする直前に、その出来事が起こった場所に勇者とリリイと僧侶がいたらしいが勇者はその事を思い出せずリリイと勇者が出会っていた場所は俺と僧侶が行った魔王城だと告げる。俺はリリイと僧侶の事を思い出すが勇者とリリイは、もう出会う事がないので忘れてくれと言われた。俺は俺に何が言いたいのか分からなかったが、勇者に魔王城に戻って来て僧侶と戦ってくれと頼むが勇者は僧侶の言う通りに魔王と戦い、僧侶を倒す事を誓うと俺に勇者はリリイと会う事を諦めると言う。

そして俺は勇者とリリイと三人で魔王城に行く事を決め俺は僧侶にリリイが生きてる事を伝える。しかし、それなら、なんの為に勇者に僧侶は戦いを挑んだのかという疑問も湧いたが、そんな話をしていたら魔王の城の門に辿り着いた。しかし門には鍵が掛かっていたので、リリイと勇者は門の扉を開ける事に成功したが勇者は門の前で止まってしまう。俺は勇者と僧侶が戦う事になった経緯を思い出す。そして勇者は僧侶から受け継いだ剣で門に穴を開け中に入ると俺も急いで入る。すると目の前に僧侶が現れて俺は僧侶に攻撃されてしまいリリイに庇われながら勇者と僧侶は戦いを始めた。勇者が魔王と僧侶の事を勇者に説明すると僧侶も、やはり勇者に僧侶を倒させないように僧侶を俺に殺させようとしている事を話す。俺はリリイと二人で、なんとか僧侶を説得するが勇者の方は僧侶を殺す気は、まったくない様子だったので僧侶は勇者と話をしてみると言い出してリリイに勇者と話す間俺を守るように指示をする。俺は魔王を呼んで、もし勇者と魔王が戦う事になった場合は俺の体を貸してあげるのでもし魔王に勝てたら魔王の後継者として認めてくれないかと頼むと魔王は少し考えると言った後に俺は魔王と話をしたくて話しかけようとするが魔王が「佐藤くん、魔王の後継者の件については保留だ。君は君自身の人生を楽しみたまえ。それに勇者の子孫が探し続けている後継者についての情報を持っているようだったし」と言い出した。そこで俺と魔王の会話を聞いていた勇者に俺は魔王から言われた後継者はリリイであると言うと勇者は、やっぱりリリイは後継者を探していた魔王だったんだね、と魔王にリリイを殺せと頼まれると思っていたが俺の言葉を聞いて安心していた。俺と魔王のやり取りを見て僧侶が何かを疑っているのか俺にリリイに、どうやって勇者と僧侶が知り合い魔王城に、やってくる事ができたのかを聞いてきたので俺達は魔王に魔王城に飛ばされて来たから俺達が来るまで僧侶が勇者と戦っている間に僧侶は僧侶で、いろいろと準備をしたからこそ、この世界に魔王が現れた時に魔王は世界が危機だと気づいた。僧侶が魔王と戦えば確実に僧侶が殺されると分かっているので俺達に、すぐに助けに来るよう指示を出し俺と勇者がリリイを連れ出して僧侶を助けに来たのだと告げた。

そしてリリイに勇者は自分を犠牲にしようとした事を話すと、リリイは自分が魔王の身体の中にいたことを話し始め僧侶を、あんな風に苦しめてしまった事にリリイは責任を感じていた。だが、その話を聞き勇者は何が起きているのか分からず戸惑っていたが俺は勇者の頭にリリイの手を乗せリリスとの会話を思い出せという事でリリイは自分が魔王だった事を思い出させる。

リリイが自分は勇者の娘ではなく魔王だったという衝撃的な事実を知った勇者は自分の娘と、ずっと思っていた相手が実は自分の子供だと知りショックを受けていたが俺は、リリイが生きていたと知って本当に良かったと思い、この先どうなるかも分からないので早くリリイのいる所に戻りたいと思うが勇者が僧侶は俺が勇者を騙して殺したと思っているが、それは違うと伝えると勇者は僧侶と戦うつもりはないと答えリリイに今までの事を謝った後で勇者は魔王を倒そうと提案する。だが、それでも僧侶は、魔王を倒さない方がいいと思っている。

魔王城に入った俺は魔王に「リリイが生きていたって本当なの?」俺は僧侶に魔王の体に乗り移られていた時の事を聞くが僧侶は答えようとしなかった。そこで勇者は僧侶に「僕がリリイの父親だっていう事を忘れてたよね。僧侶は僕のお父さんなんだからリリイの居場所も分かるんじゃないの?僕は僧侶とリリイのお父さんだから会わせてくれないかな?」そう言って僧侶に魔王城を出るように告げたが僧侶は魔王の体から出ていこうとはしないが魔王が勇者との戦いを止める条件として勇者の前に姿を見せると言い出した。

勇者と僧侶が、どんな方法でリリイを探すかを話し合い勇者が僧侶から借りている剣で魔王城を斬ってみようという話になった。俺と魔王と僧侶の3人は魔王の城が崩れたりしないように注意していたが僧侶が剣で壁に触れるだけで、そこだけ空間が無くなり穴のように真っ黒になる。そこに僧侶は俺の手を掴んで俺を引き寄せると俺の背中を押す。俺は慌てて勇者の後ろに隠れるが僧侶は俺を無理矢理勇者に近づけると俺に、ある物を預けてきた。それは俺が僧侶を魔王から救うために僧侶に渡した僧侶から貰った武器であった。だが俺は武器が使えそうにもなかったので勇者に渡し俺自身は素手で僧侶と戦う覚悟を決める そして勇者と僧侶の最終決戦が始まるが、お互いが、お互いの力を理解しているため勝負がつかず決着は着かなかったが、そこで魔王が勇者と僧侶の戦いを止めさせて俺にリリイの所に行きたいと勇者に頼んできたので勇者は魔王にリリイの場所を教える。すると魔王はリリイのいる場所に向かい俺は僧侶を追いかけるために勇者に礼を言う。

俺とリリイは勇者と共に僧侶を追って魔王城の中を突き進んでいくが途中で魔王は俺に勇者と2人でリリイの元に向かってくれと言い俺は勇者と分かれリリイを連れて1人で僧侶を追う。僧侶が何処に行ったのかは勇者がリリイが、この先に居るというので俺は急いで行く。

僧侶は俺が向かって来ると分かっていたらしく俺は僧侶に追いつくが俺はリリイが捕まっているのを知り、それを解放させるために僧侶に攻撃をしかけたが、やはり俺は僧侶に攻撃する事ができないまま俺は、僧侶によって気絶させられてしまう。

次に目が覚めた時には僧侶は魔王城で俺を眠らせていた場所にリリイと俺と勇者と僧侶の4人が集まって俺と僧侶以外は魔王と勇者は戦っており、俺の知らないうちに戦いが終わり僧侶がリリイを殺してしまい俺が僧侶を殺したので勇者と僧侶は一緒に魔王を倒して世界を平和にしようと言う話になっている。そこで俺の意識は戻ったのだが俺は勇者と戦いたくなくリリイだけでも逃がしたいと思い俺とリリイは逃げるがリリイが僧侶に見つかり俺はリリイを助けるために魔王を呼ぼうとするが、すでに魔王は死んでしまい、それを知った僧侶が魔王を呼び出させ魔王と勇者が戦うように仕向けようとする。

そして俺はリリイが勇者に殺されそうになるがリリイの母親が僧侶にリリイが、その勇者の子供を産んでいたと教えられる。俺は勇者と戦いリリイを守る。リリイを守り切る事はできたが俺は倒れてしまい僧侶は、それを待っていたかのようにリリイも殺す。

リリイと俺は僧侶の手によって殺されてしまった だが俺はまだ生きており魔王が俺とリリイを庇ってくれたが、俺は魔王と俺が生きているのに気づいたのか魔王を剣で貫くと魔王の体の中から魔王が現れ魔王と僧侶の体が入れ替わると、そこから勇者が飛び出してきて魔王の身体から出てきた魔王を斬り殺し魔王と僧侶が勇者の体に入れ替わって魔王が持っていた魔王の力と勇者の持つ力を一つにして新たな魔王が誕生し勇者と魔王の力は一つのものとなり世界を支配しようとしたが俺は勇者とリリイが守ろうとした世界が滅んでいくのが許せなくなり、なんとかして勇者に勝とうと考える。

(勇者と僧侶は今何をしているんだ?)俺は僧侶の事を考えると僧侶が魔王と勇者の力を合わせて世界を支配すると言っていたので僧侶が俺とリリイを殺さなかった事から勇者の体を手に入れても僧侶自身が勇者として復活するわけではないので僧侶の狙いが俺に魔王として復活してほしい事だと考えられるので魔王と勇者の力で世界の支配をしようとするのではないか?と考えて俺自身も魔王に成り代わる事を考えていた。魔王も今の状況では魔王の力を持つ者と魔王ではない者で争っても勝つのは後者であり魔王が勇者と争うのは不味いと考え始めたのか「佐藤くん、君なら私より上手く魔王が力を得られるだろう」と言われ俺は、このまま勇者の味方に付いたとしても俺自身には魔王を倒すだけの力はないし勇者と僧侶に勝てる方法など思い浮かばなかった。なので俺は俺自身の体を魔王の体から切り離して魔王の力を別の人間の体に移し替える事は可能だと言われたので、そうすれば魔王の力が使えるのではないかと考え俺は勇者を魔王にしようと考えた。だが、その話の途中で俺を勇者が殴りかかってきた。そこで俺は僧侶が勇者として蘇りリリイと俺を殺す気だという事に気づいた。そこで俺はリリイが殺された事に怒っている勇者を見て俺は少し安心する。そして俺は勇者からリリイの話を聞いた。勇者が僧侶からリリイは実は生きていたという話を聞き俺の頭の中は混乱するが、俺はリリイと会いたいという気持ちが強くなった。それから勇太は自分の父親の本当の正体を知るが父親は、もういないと言い出し俺は、どうして死んだのかを尋ねるがリリイに聞くのが一番良いと思うと言い俺はリリイが僧侶の体の中で、どのように生活をしていたのかを知りたかった。俺は勇者に魔王城に連れて行ってもらうよう頼み俺は勇者と魔王城に向かう事になった。魔王城の玉座の間で俺と勇者と僧侶はリリイと話をしていた。そこで僧侶が魔王の力を利用して俺に魔王の肉体を譲り渡そうとした事を話し始めると、勇者は、それは嘘だと僧侶に言うが僧侶は俺に「あなたを騙すための狂言です。魔王様、私は貴方が嫌いでした。いつも偉そうな態度を取って、そのくせ弱虫な勇者の子供に怯えていて魔王なんて名ばかりで大した事も出来ない無能の臆病者だと思い込んでいたんです。そんな魔王は私の前から居なくなってしまえばいいと思っていましたが、それが勇者だったとは驚きですね」と、言われ俺は自分が魔王になった時、魔王を騙そうと決めていたことが僧侶には筒抜けであったと分かり俺と勇者は呆然とするしかなかった。

そして俺はリリイに魔王の力を与える事ができるのかを勇者に確認するとできると答えられたので俺は勇者に「リリイと話がしたい。リリイを外に出してくれないか?」と言って俺とリリイは外に行こうとすると僧侶に邪魔をされ僧侶に俺は「リリイと話すだけじゃ足りないというのならば、俺が魔王としての力を使い魔王とお前が勇者の力を使うのでも構わない。どちらが強いかは分からないけどな。俺と魔王の力はリリイを通してしか使う事はできないが、リリイの力はリリイに渡した俺の体を通じて他の人間に渡せる。つまり、俺は魔王に、なりたくないのに無理矢理勇者にされることはないという事だ。俺は魔王になってリリイに迷惑をかけたりするわけでもない。ただ俺は俺のやるべき事をするために魔王になりたいだけだからな。だから、あんたは魔王を倒そうとしているみたいだけど俺にリリイが殺される前に俺と勇者との戦いが終わらない事を祈るしかないぜ」

すると僧侶はリリイに魔王の力を与えるため俺と勇者との戦いを止めて、勇者の体の魔王に渡すと、そのあと俺がリリイを自分の物にしようと思っていた事がバレて俺が僧侶を襲おうとしていたが僧侶がリリイを使って抵抗してきた。

勇者は俺を殴りつけると僧侶を睨みつけた。

勇者は俺と僧侶に、どういう関係なのかを聞くが俺が僧侶に襲われたと言うと勇者が怒り出したので僧侶は慌てて言い訳を始めた。僧侶の話によると僧侶は、ある国の姫に恋をして国を捨ててリリイと一緒に暮らす為に勇者に戦いを挑み負けると、僧侶とリリイが、この魔王城に連れて行かれ、そこで勇者はリリイにプロポーズをするがリリイに拒否されて僧侶はショックを受けるが僧侶は何とかリリイと仲良くしようと必死になっていたという。だが、ある日、この魔王城が攻め込まれて僧侶は魔王の力を得た後、自分を助けてくれる存在を欲していてリリイを人質にし俺が自分を裏切って僧侶に魔王の力を譲らなければ勇者を殺して世界を手に入れると宣言し俺に魔王の力を渡すのは俺の意思であると信じさせたかったらしい。

僧侶の話を聞いた勇者は俺の事を誤解していたのかもしれないと僧侶に謝罪する。そして僧侶はリリイと話し合いをさせてほしいと言い勇者と僧侶が魔王城の奥の部屋に向かったのだが部屋から出てきた勇者と僧侶は俺の方に戻ってくると僧侶は俺に対してリリイに危害を加えないと約束し俺は僧侶にリリイを渡して魔王と勇者とリリイの会話を聞かせてもらうことになった。リリイが魔王に会えた時に何を言いたいのかが、すごく気になったが、やはり俺の口からは、なんとも言えない。

俺は僧侶から渡された勇者の剣に魔王の力を宿らせ魔王に勇者の剣に魔王の力を封印してもらい俺は魔王城を出る。

魔王の身体を手に入れた僧侶に勇者は魔王を倒すまで僧侶の身体を貸す事を条件に魔王の力と勇者の力を合わせた勇者と僧侶の力で勇者は魔王を倒すが僧侶はリリイと別れる事になる。魔王を倒した勇者は魔王に世界の半分をあげると申し出るので魔王はそれを断ったが魔王は魔王城をリリイに任せる事にした。リリイに城と勇者が持っている世界の半分を与えたが僧侶は、それに反対をしリリイに僧侶の持っていた世界を与え魔王は勇者の願いを聞き入れ勇者と僧侶の世界で暮らしていくのであった。

その後、勇者と僧侶がどうなったのか俺は何も知らないが魔王はリリイと共に勇者と僧侶の世界で平和に暮らしているそうだ

「魔王様、おはようございます。朝ご飯ができていますのよ」魔王城で暮らすようになって1年くらいが経ち魔王城では平和な日常が続いていた。俺は、その日も勇者の娘リリイの作った朝食を食べようと起き上がるが「うーん、お、重い」

俺は何故か、いきなり重さを感じるようになったので目を開くと、そこには勇者がいた。「おい勇者!俺の上にいるならどいてくれ」と、俺は言ったが勇者が動く様子はない、そこで勇者に退くように頼んだが「ダメです魔王さま、やっと手に入れたんですからね」と勇者が言うと勇者が手に何かを持っている事に気づき俺は勇者が手にしている物を見た。勇者が俺に見せたのは俺の手だった。

「勇者!俺の手を勝手に触らないでくれ。というか勇者ってば本当に勇者か?」と俺が言うと「魔王さま、私ですよ。ずっと一緒にいた勇者で間違えないはずなんだけどな。まぁ勇者も色々、あってね。私には魔王を召喚する力があるのだよ。でも今までは私が魔王になるのを嫌がっていてさ、魔王は勇者にしか呼び出せないのに勇者に成り代わってたんだよ。それで私は魔王になったの。勇者の力を持ったまま魔王の力を得るには魔王の魂を体に融合させないと無理なんだよね。魔王の体は私じゃないと使えないから魔王は私の物になったの」俺は魔王の力で体を動かすので勇者は体を動かせなくなったのだなと思うが、俺は魔王と体を共有状態なので俺の身体にも勇者が乗り移る事が可能な為、俺は俺が動かせる範囲で俺の体を操り勇者を魔王城の外に追い出して魔王城の扉を閉めると、そこで俺は意識を失う。

俺は目を覚ますとベッドの中にいて横を見ると、そこはリリイのベッドだった。そしてリリイは俺に抱きつくような形で寝ている「ふぅ、なんとか逃げ出せたぜ。魔王の身体だと魔力とかは勇者に負けないけど体力は勇者より劣るみたいだな。とりあえず、これからどうしようかな」俺は、これから、この魔王城に一人で住もうと考えていたが、それは、あまりにも可哀想だと思い魔王城を出て街に向かおうとしたが、ここでリリイに気付かれてしまう。「魔王様、どこに行かれるのですか?魔王様に用事がありましたが魔王様なら私の居場所なんてすぐに分かる筈ですわ。だって魔王の力を持っていますもの。だから早く来てくださいな」「ああ、もちろんだリリイの側にいる」

俺は、また魔王城の外へと出かけたが、リリイと一緒に居たかったのと外に出たら何か変わるかもと思い俺は外に出たのだ「リリイ様が、お亡くなりになった。魔王様が亡くなってしまった。一体何が起こったんだ。とにかく勇者を探さないと」と街の人達が話し合っている。「あの人は魔王の力を手にしてリリイを殺したのだろうな。魔王の力を使って魔王を殺せば勇者が世界を支配しようと考えるのは当然だ」俺には魔王の力があるが勇者の体に入っているのと、俺が魔王になったばかりだという事で勇者はまだ俺の事を探していないみたいだった。そこで俺が、そのまま町にいるとリリイの死について質問責めをされそうだったので俺達は魔王城に戻ろうと歩いて行くが「お前がリリイを殺したんだろ!」俺は急に男に胸ぐらを掴まれる。俺は、そんな事はやってないしリリイは生きていると言ったのだが俺の言葉など無視された。それからは俺は何度も俺がやったわけでもないのに俺が殺したという濡れ衣を着せられて俺はリンチにあったので魔王城に逃げ帰るのだった。「あはははは、あいつらは魔王と勇者が死んだと思ってるけど魔王の力を手に入れた私と魔王の体を手にしたお前の2人が残っているからな」俺は勇者が、その言葉を聞いた瞬間に恐怖で体が硬直したが俺はすぐに、その恐怖を振り払う。俺は俺が殺されないようにする事だけを考えるようにすると俺は勇者に、ある提案を持ちかけた。「魔王、何を考えているか知らないけど魔王の力を手に入れるために魔王を殺す。そうすると世界は勇者のものになる。それじゃあ勇者として生まれてきた意味がないじゃないか。魔王の力を手に入れれば勇者の力は勇者が魔王を倒せるだけの力を与える事ができるが、そのかわり、どんな状況になっても絶対に勝てる保証はないがな。つまりは勇者にとって世界の半分を手に入れる事ができる。もし、それでも俺と殺し合いをするというのならば魔王の力を俺に譲渡してもらい、その力を使える人間として勇者の力を世界に還元すれば良いんじゃないのか」

しかし、そこで俺は殺される。勇者の力は俺と勇者の体を共有していて勇者が死ねば勇者が死ぬというデメリットもあるが、その分は魔王を殺せる力を持っているから勇者は迷う事なく魔王を殺しに来るだろうと予想していたが、俺が想像していた以上に魔王を倒す為には勇者は必死で行動を起こしていたようだ。だが俺も必死だった「まだ魔王城が見つかるのはマズイな」俺はリリイの死体を隠して勇者を魔王城まで案内をする。

「勇者、よくぞ魔王城へと戻ってきてくれた。さっそく勇者には、わしを倒して欲しい。そしてリリイと勇者の世界の半分を交換しようではないか。それが魔王を倒した勇者に対する報酬としては妥当だと思うが、どうかね?」と魔王が勇者に対して言い出した。そこで勇者が「ふざけんな。誰が、あんたを殺してリリイを取り戻す。リリイを殺されたら俺は魔王も許さない。俺は、ただでさえ自分の力が通用しなかった相手が2人いるので俺の力は2倍になってしまったんだよ。もう世界を救うのを諦めたんだ、この世界の全てを魔王の力ごと手に入れてやる」と言い出す。

「リリイと交換か。リリイは魔王の身体に入って魔王になったから今は勇者の身体に入り込んでいる。それに、これは魔王と俺が望んだ結果なんだ。俺達が魔王と勇者の身体とリリイと世界の半分を交換したいって言ってるんだよ」と俺も説得をするが勇者は全く聞かず「黙れ、もう遅いんだよ」と言いながら剣を抜いて斬りかかってくる。俺はリリイとの思い出が蘇り俺はリリイを助けてリリイに笑顔になってもらう為なら俺は何でもする。俺は覚悟を決めると勇者に攻撃をしたのだが勇者は、それをあっさりとよけ俺の首を掴みあげる。そして俺に剣を突き刺すと俺の目から光が失われて行くのを感じていく。勇者は魔王の力を手に入れてしまい魔王の力を手に入れた事による身体能力の上昇も加わっている。その結果、俺は勇者に首と両手両足を切り落とされた。勇者が最後に言った「魔王を倒した後は、すぐに魔王の力でお前達を殺せるし、リリイも取り戻す事ができるはずだから待ってろよ」と言う言葉で、その時は勇者とリリイと世界の半分を貰って幸せに暮らせると信じていたのだ。

俺が意識を取り戻した時に見た光景は俺が子供の頃に住んでいた場所であった。そこには勇者が俺を待っていた「やぁ、おはよう。君に1つ頼みがあるんだがね、私の家族を探して来て欲しいんだ」

俺は勇者に頼まれて家族を探す事にする「まずはリリイの家族だな。リリイと勇者の子供は2人の力を受け継いだ勇者の子供だから勇者よりも能力が高くなっている可能性が高い」俺には魔力感知の能力があった。俺には、それを使ってリリイが近くにいるのか調べる事にする。「うーん。いないのか」リリイの反応がないので俺は次に両親を捜索することにした。「おっ、リリイの反応があるな」俺の探知能力は優秀で俺はすぐに反応のあった場所にたどり着くことが出来た。そこに居たのは、リリイとその母親と父親と子供の姿があった。そこで俺の頭に衝撃が走る「嘘だろう、どうして、こうなるんだ」と俺が頭を抑えながら呟くが勇者の意識がある俺には勇者の記憶と勇者の考えと魔王になった時の記憶が両方存在する為か俺の脳が壊れていきそうになる。そこで勇者が意識を取り戻し俺の体に話しかけてくる「どうだい。私の意識は君の中にあったんだけどね。私が意識を表に出してきたって訳だよ。まぁ、私が魔王になったのは、これで二回目なんだけど、私は前世で魔王と出会っていたんだけどね。私が前世の時はまだ魔王は普通の女の子って感じの人だったから私も仲良くできたんだよ。でも今度の魔王は、私を殺そうとしてくるので魔王を封印しようと思ったんだけど失敗して、こんな事になってしまったんだよ。私は魔王になった事で自分が世界を支配したいという欲が生まれたんだよね。そこで勇者が、その願いが叶わないのなら魔王を倒してしまうのが最善の策だと私を説得して魔王と半分ずつにしてくれないか?と頼んできた。そして私が勇者の提案を承諾すると勇者は、すぐにリリイを殺したんだ。それで、リリイが魔王になるのに必要だと言って私とリリイの母親を攫った」俺は魔王がリリイをどうやって手に入れたかを知れただけで良かったので、とりあえず俺は、そのままリリイ達の元へと向かう。

それからリリイ達は勇者と暮らしていて俺は勇者が魔王とリリイの母を連れてどこかに行ったらしいと噂を聞き付けてその場所に行くことにした。「あれは勇者が住んでた小屋じゃないか」

リリイ達が暮らしていた場所は何故か廃墟になっており俺はリリイ達がどこにいるか分からないがリリイがいると俺は確信をして建物に近づく

「誰か、そこの少年」と建物の扉の前に立つ俺に向かってリリイの母親が話し掛けてきた「

君はリリイちゃんを知ってるかい?」俺は正直に

「はい、僕は彼女の幼馴染です」と答えると

「そう、やっぱり。あなたも魔王様の生贄に選ばれた人間なの?それと魔王様にリリイは返して欲しいってお願いしてきてくれないかな」俺はリリイに何が起きたのか気になったがリリイの母親は何か知っているような口ぶりだった。俺は

「えっと、あの、何が起きてるんですか?リリイが何かをしたって聞いたんですけど」

「うん。リリイがね魔王様になったんだ。だけど、その、ちょっと、やり過ぎちゃって。そのリリイのお母さんが勇者とリリイは私と娘を交換すると約束してリリイの居場所を聞いたの。そしたら勇者はリリイを殺したの」俺はリリイと母が勇者に何かされている事を察し

「リリイが何かされる前に助けます」俺はリリイのお母さんを安心させようと思って、その言葉を言いリリイを探しに歩き出そうとすると

「ダメ。行っちゃだめ。殺されちゃうわ。リリイに」と言われて俺はリリイが危ないと思いリリイのいる場所に急いで行くが俺は、もうリリイは死んでしまったと俺は思った。だが俺は、そんな事は関係なかった。ただリリイの無事を確認する為に向かうだけである。俺は走った。ひたすら走り続けて俺が、やっと魔王城に辿り着くと俺はリリイの部屋に急ぐ。「リリイ」俺は部屋の中に入るとリリイがベッドに横になっているが俺が呼びかけても返事はない。リリイが死んだ事を確認し終えた俺が部屋を出ようとすると俺の後ろからリリイが歩いてきた「やっほー」リリイの声が聞こえたので俺が振り返ろうとすると

「ねぇ、どうして無視をするの?リリイは怒ってるんだよ。

せっかくリリイが頑張ったのに、勇者は、この体を奪ったからね。

魔王の力を貰った勇者とリリイの力は拮抗していたから、もしかしたらリリイの方が負けるんじゃないかと期待をしていたんだけど残念ながら魔王の力を手に入れた方が有利みたいだったから、魔王の力と勇者の心だけじゃなく体を奪えたよ」リリイは、それだけ言うと俺の横を通り過ぎて外に出て行く

「あはは、勇者は勇者の力を得た代わりに心を無くしてしまったのね。あはは、もういいよ。リリイは勇者の心の欠片も持ってないもん」リリイが楽しそうな声をあげていたのを聞いた俺も少しだけ心が痛くなった。

それからリリイが戻ってきた後にリリイと勇者との戦いが始まりリリイが勇者を倒したのであった。

魔王城の近くにある湖の近くにリリイの死体がある。

魔王がリリイの死体に近付き死体に触り始めた「なぁ、リリイ、俺さ魔王に勝ったぞ。

お前に自慢したいから早く戻ってこいよ」魔王の言葉には感情がなく、それがリリイに対しての愛なのか執着なのか魔王自身も分からなかったが魔王は自分の中にリリイの死体が入り込むのを感じる。リリイと自分の力を共有している事に気づいたので

「これならリリイの身体と世界を半分交換する事が出来る」と呟きリリイの身体を魔王は取り込もうとするが魔王は力の消耗と身体のダメージが大きくてリリイの身体を取り込めず魔王が倒れて死んだ。リリイの身体に魔王の精神が残ったが魔王は力が無くなっているので魔王が表に出て来る事も出来ない。なので魔王の力もリリイの身体に取り込まれる事になったのである。そしてリリイが目を覚ますと周りは真っ暗で何も見えない。「うーん、なんで暗いの。もしかして停電かしら」

「おい、ここはどこなんだ?俺をこんなところに閉じ込めたヤツ出て来い」

暗闇の中から一人の男がリリイの前に現れた「私は貴方にリリイと世界の半分を捧げるって言っても、リリイは断ったじゃないですか。だから私は、これからリリイを殺して世界とリリイの半分を交換しようとしました。だけど魔王になったリリイは強すぎた。私は魔王を倒せない。なら魔王とリリイの体と世界の半を魔王から私に移すのが一番安全だと考えたんですよ」男の説明が終わると同時に男はリリイを殺す為にリリイに近づいて行く。

リリイが殺される少し前に勇太の魂が入ったリリイは目が覚める。

勇太が目覚めた場所は病院であった。「あれ?俺どうしたんだろう。なんか頭が凄く重い」勇太が自分の頭に手を伸ばすと頭に包帯が巻かれているのに気付いた「うわっ。俺怪我をしてるじゃん。しかも頭に包帯って事は大けがしたんじゃん」俺が慌てていると病室にリリイが入ってくる「あら、勇者が起きたのね。どう?体は動く?」リリイが俺に声をかけると俺は「えっと。どうしよう。

リリイの体を使って魔王を倒しに行ったんだけど失敗しちゃった」と答えると

「ふむ。そういえば、私が倒したはずなのに、まだ私の体に、その魔王の魂が宿っているから不思議だと思ってたんだけど、そういう事だったのね」とリリイが俺に向かって言ってきたので俺は「そうか。魔王が死んでいるのか確認しないといけないのか」と言うと

「大丈夫。もう勇者の中にいたのだから勇者の力で殺せばいいのよ」

リリイが言っている事の意味が分からなかったので

「どういう意味だよ」と俺が尋ねると

「私が、その魔王の本体って事だよ。つまり魔王の人格の私は勇者が私を攻撃できないのを知っている」と言ってきて

「でも俺は今、体が動かせないんだ」と俺が言うと

「それは勇者が魔王との戦いで受けた呪いのせいなんだよ。まあ、そのうち動けるようになると思うから安心して、それと私が魔王と入れ替わったのは魔王の力を得るためだね。それで私達は半分ずつの世界と、それから私達が持っていた力を、それぞれ一つずつに分割できた。勇者には、それを分け与える力は無いでしょ。私の中にあった力は魔王の力として全て私に流れ込んだ。だから勇者が元から持っている勇者の能力は全て使えるようになったから安心して」とリリイは言ったのだが俺は何を言われたのか分からずに

「勇者に元々の能力が、そのままある?」俺はリリイに質問をする「そうだよ。だって勇者は魔王と戦う時に魔法は使えないし魔王の力が使える訳ないんだもの」と言われて俺は確かにと、うなずいて

「それなら、やっぱり俺は勇者のままなの?」

「そうみたい。ただ今の私には勇者の力しかないけどね。勇者も何か変化があるかもしれないから楽しみにしておきなよ」と言い残してリリイは消えた。

それから俺が目を覚ました時にはリリイが俺に抱きついてきた

「あ、勇者起きたのね。心配かけてごめんね。ちょっと魔王の魂を探そうと思って、しばらく寝てるフリしてたの」と言われて

「うん。ところで、その勇者って言う呼び方やめて欲しいんだけど。せめて名前とかで呼んでくれないかな?」とお願いするとリリイが「じゃあ、えっと、なんて呼んだら良いのかしら? 」と聞いてきたので俺は「じゃあ勇って呼ぶようにしてくれ」と言った。その俺の提案を聞いたリリイの顔は真っ赤に染まる。

すると俺は急に意識が遠のくのを感じた「うわっ、急に目眩がしてきた」「どうしたのかしら勇者。どこか具合悪いの?」リリイは俺の体を心配するように見ている。

そんなにリリイは可愛い顔をしていたのに急にリリイの瞳の色が赤色に変わる そんな時、部屋の扉から

「こんにちは」という声と共に誰かが現れた「あっ、あなた誰」とリリイが叫ぶと同時にリリイに蹴りを入れた男が「うるさい。黙れ」とだけ言って再び蹴りを入れようした瞬間、リリイが男の腕を掴み

「勇者、助けて」と叫んだ「うわぁ、ちょっと何してんの」俺はリリイに駆け寄り、なんとか男を止める

「ちょっと落ち着けよ」俺は冷静になるように促すと男は落ち着きを取り戻し「すいません」と言って俺達から離れると

「申し遅れました。僕は神です」と名乗る。

俺は急に神を名乗る男に警戒しながら話を聞いてみる事にする

「あのー、神様?なんでリリイを殴ったり蹴ろうとしたんですか?普通は逆な気がしますが」と俺が言うとその事を指摘された神様は「あ、あぁ、この子は少し特別な子で魔王の力を持っているんだよ。だから、このまま放置しておくのはまずいから僕が始末しようと思ったんだけど失敗したよ。君さ強いね」と言って笑っていた 俺には目の前にいる自称神の言葉を信じられない。しかしリリイを見ると顔は赤く腫れて苦しそうである「本当にこの人は勇者なの?」「いや、この人が俺を呼んだから勇者だと思うけど、そもそも魔王の力を持っていたのが本当なのか分からないしリリイを殴った事とリリイのお母さんを殺そうとした事については謝って欲しい」と言うとリリイも納得していた。

俺はリリイをベッドの上に座らせて様子を見ていると神様もリリイの様子をうかがい始める。それから少し沈黙の時間が流れた。

それからしばらくして神様は

「よし、決めた。勇者のリリイは連れて行くよ。そろそろ魔王の身体の方に魂が定着した頃だし魔王を倒す事ができるかもしれない」とリリイを連れて行こうとした時だった。突然ドアが大きな音を立てて開く。

そして、そこに立っていたのは先ほど魔王と名乗った女性であった「なに勝手に私のリリイを連れていこうとしているの?私は勇者じゃないから」と言い出す。その言葉に俺の身体を使っていた女性は怒り始め「なに?リリイは私の身体なんだから魔王である私のものでしょう。リリイに用はないから出て行ってよね」

その言葉をきいた女性の表情は一瞬だけ歪んだような感じがしたが俺には気付かなかった。「えー、そんな事無い。私こそが本当の勇者だよ」

そう言った女性は俺の肉体を乗っ取り始めた。

すると今まで静観を決め込んでいた自称神は、その姿を見かねて「そこまでにしろ。これ以上の勝手は許されない」と言うと俺の身体を奪った女性は俺から離れていった「ふん。邪魔が入ったようだね。今日のところは引かせてもらうわ。次会った時は容赦しないわよ」と女性は俺の体から飛び出していく そして、それと同時に俺の体に異変が起きる。身体から力が抜けて行くのだ。俺は自分の腕を掴もうとするが全く動かなかった。その様子を見たリリイが俺を庇う様に俺の前に立つと「勇者は私が守る」と宣言するが、俺もリリイを守ろうと前に出たのだが全く体が動かないのである。俺は自分の意思で体のコントロールができなくなった。

それから俺が次に目を覚ますと俺は自分の家に戻っており俺の体は元に戻っており

「あれ?なんで家に戻ってきたんだろう」と思っていると、リリイが部屋に入って来て

「勇、おはよう。勇が寝ている間に起こった事を話したいから聞いてね」

リリイはそう言って俺が眠っている間の話をしてくれた。まずは俺の魂が俺の体から離れた時にリリイが魔王の魂を取り込む事ができたと言う事だ。しかし魔王の魂と魔王自身の魂とでは大きさが違いすぎる為リリイが吸収しきれなかったらしい。そこで魔王の力を全て俺が使えるようにするには俺の中に入れる必要があったのでリリイは俺の中に入る為にキスをして入ってきた。リリイと入れ替わる時の違和感はこれが原因だと教えてくれた。

リリイが取り込んでいる魔王は力を取り戻す為に人間を襲い始めてるのでリリイが急いで倒す必要がある事と、リリイの中にいる時に得た情報によると魔王は勇者を探しているという事を教えてくれる。リリイはその魔王の居場所が分かったらしく魔王が襲うであろう街に行かなくてはならないので俺と同行する事に決めたと言う事だった。

俺達は準備を終えると早速その魔王がいるとされる街に向かったのだが俺は、どうしても気になる事が有ったので、リリイに「リリイって、もしかしてだけど勇者の魂を吸収したから俺と一緒に旅をしているのか?」と聞くと

「あ、それはね。私は魔王として生まれ変わったんだけど。まだ完全に勇者の魂を吸収するまでには至らなかったの。その勇者は私と魔王が混ざり合った姿で生まれたのだから」と言われてしまったので

「えっ?じゃあリリイの中に魔王と勇者が共存している状態になっているってことなの?」と質問すると「そうよ。だから、勇者の力を手に入れたから、勇者の力を使えるようになっていて私の中にある魔王の力と勇者の力を両方使えるから安心してね」と言われたが安心できないよ。だって勇者の力って言ったら攻撃魔法だけだもん。しかも俺は勇者の能力を使えないし魔法も使えないしね。それにしてもリリイの胸が大きくなっている事だけは確認できた。俺は嬉しかった。

「あー、その勇者さんって誰だっけ?」と聞いてみると「それは秘密だよ」と言われてしまい俺はリリイを問い詰めると

「それは、そのうち分かるから楽しみにしておいてくれよ」と言われるだけだった。それから俺はリリイから勇者の情報を聞く事になる。

「実はね。勇者は私が知っている限り3人存在しているんだよ。勇者の能力を持っているのは今、魔王と戦ってくれているのは2代目なんだけど初代と初代の息子は私が封印してあるから、今のところ大丈夫だと思うけど、もしかしたら私が倒した後に勇者の能力が発現するかもしれない」と聞いて俺は驚く。

それから俺達は目的の街に到着するのだが、この街はかなり活気があるのだが人の数が少ない気がしたので

「リリイ、この街は、こんなに寂れた感じだったのかな?」と疑問を口に出してしまう。しかし、リリイは、すぐに「ここは、もしかすると勇者の力で滅んでしまう可能性があるわ。勇者と、もう一人の勇者と、魔王によって」と答えを返してくる。そんな話を聞きながら歩いていると、一人の女性がこちらに向かってくる

「リリイ!リリイなの?」と声をかけて来たので

「えっと。あのー」と答えると彼女はリリイの手を握る「久しぶり。大きくなったわね。また、会えて良かったわ」とリリイに微笑みかけていた。

リリイは彼女に何か話しかけていた。そして彼女が俺を見ると「えっと。どちら様ですか?」と言い出して 俺は「えっ?」と思いつつ、どう答えようか考えていると「あぁ、すいません。自己紹介を忘れていました。リリイの母のサヤです。お二人の名前は、リリイに聞きました」と言っていたので俺は慌てて

「俺の名は勇者です。こっちの子は勇者の仲間のリリイです」と答える。しかしリリイが「勇者って言うのは、私の中の人が名乗っている偽名なんだよ」と訂正を入れてきた。しかし、サヤさんの態度は変わらない。俺はサヤが急にリリイの頬に口づけをしたのを見て動揺してしまった。そんな様子に気付いたのか、サヤは

「あっ。申し訳ありません。勇者様」と言って謝ってきたので

「いえ、気にしないでください」と俺は笑顔を浮かべる そして、その後俺は街の宿屋に向かい一泊してから出発するとリリイが急に「勇、この近くに魔物が現れたみたいなんだけど。行く?」と言ってきていたが 俺としては行きたくなかったがリリイを一人にするわけにもいかず。とりあえずリリイに案内してもらう事にした。しかし、リリイと出会って初めて見る光景を目にした俺は絶句した。なぜなら俺の目の前に広がった光景は 血に染まった大地であり多くの人間が死んでいたがその中にいた人間は皆が苦しそうに倒れ込んでいたのである。それを見た俺は

「うぅ」と気持ち悪くなり嘔吐した。それをみたリリイが俺を抱きかかえる

「大丈夫?やっぱり、こうなるよね」と言い出すが、リリイは俺を抱えながら走りだし、リリイの母親と俺の両親を救おうとしていたが間に合わなかったようだ。リリイの母親が「リリイ、勇者様を頼んだわよ」と言ってリリイに勇者を預けて死んでしまうと 俺は吐いていた口を拭いてから

「ありがとうございます。助かりました」とお礼を言っていた。それから少しの間だが、その場に立ち尽くしていたが俺は気を取り直して、この状況を打破する方法を考える事にした。しかし、なかなか妙案が浮かんでこなかったのだ。そんな時、ある女性に俺は助けられる事となるのだが 俺は勇者の力が発動しなかった事で焦っていた。そのせいで上手く力が使えず苦戦していたのだが その女性は一瞬だけ、その女性の姿が変わると同時に凄まじい力で敵を倒していき俺を助けてくれていたのだ。その女性は自分のことをリリイの母だと話す。しかし見た目的にはリリイに良く似ている感じでは無い為混乱してしまうのであった。リリイに母はいないはずだから別人なのだが何故か本人のように見えてしまっていたのである。

俺が困惑しながら、リリイの母?を見つめていると

「勇者、私は貴方が探している勇者じゃないのよ」と言われて俺の中の疑問が確信へと変わっていくのであった。

しかし俺の頭の中は「何故だ?」という言葉に支配されてしまって、まともに考える事ができなくなってしまったのである。そんな時に「私と勇者のお母さんの二人で、あの子を止めるよ」と俺の背中を押してくれた その言葉のおかげで、ようやく頭が正常に働くようになってきたので、なんとか、あの怪物を倒そうと必死に考える事が出来ていたのである。そんな事を思案していると、リリイが突然、勇者を母の元に行かせてしまう そして俺が勇者をリリイの母に託した時には既に遅く。俺の視界に入ってきた勇者が見慣れない服を着た男に殺されそうになる所だったが、俺は急いで勇者の盾になるように飛び出して勇者に襲いかかる攻撃を全て防ぐのだった。そして俺が男の相手をする事で勇者を助ける事が出来たが、その時、俺の中で何かが爆発して俺の体は、その爆発により吹き飛んでしまう。しかし、それと同時に勇者は立ち上がりリリイと対峙すると「お前が、ここに居るという事は魔王が復活してしまったんだな」と話し始めた。その話を聞いたリリイの表情が変わり「違うよ。私はまだ完全な魔王になれていないから今は私が魔王なの」と言った。

そして俺が、その様子を見ていたらリリイが「勇。もう、勇者としての力を取り戻してしまったの?」と言ってきているのが聞こえたが 俺は勇者の言葉に反応する余裕がなくなっており、どうにかして立ち上がる事しか考えれていなかった。それから俺は勇者に攻撃を仕掛けると彼はリリイとの戦いに集中していて俺には気付いておらず。リリイの一撃で、とうとう俺の存在に気付く事となりリリイに攻撃しようとしていた その瞬間を狙って俺も攻撃をしようとしたが勇者の動きに翻弄されてしまい 結局、勇者と、まともに打ち合う事ができず、一方的に攻撃される事となってしまう。しかし勇者の攻撃はリリイが俺を守る為に出した魔力の壁によって守られていたのだった。それからリリイは勇者を拘束するために勇者に向かって攻撃魔法を発動させるが 俺は、その魔法の軌道を予測する事が出来ずに回避する事も出来ないまま魔法に飲み込まれてしまう。

しかし俺は痛みも熱さも感じることなく。魔法に飲み込まれたまま意識を失うのだった。

俺達が街を出発してから数日が経とうとしていた。その道のりはとても長かった。何日も歩いていたが途中で休む必要がなかったので俺達の歩みを止めようとする存在が現れるまでは順調に進めていた。それはゴブリンと呼ばれる醜悪な顔をしている小人であったが、その数は異常に多かった。しかもリリイの話しによるとリリイが生まれる前から存在するらしいので この世界に存在する種族では無かった。つまり魔物の一種なので倒す必要があった。しかもその数が多い為か、こちらに向かって来ている魔物の数も多い。そしてリリイは「仕方がないから勇者に任せるよ」と勇者に対して言って来たので

「了解」と答えていた。そして俺は、そのまま魔物達に向かって突っ込んで行った 俺は、ひたすら魔法を使って戦うのだがリリイは、なぜか俺が使う攻撃魔法に合わせて援護するように攻撃を放っている。そして俺が、ほとんど無傷で戦闘を終えると 俺達は歩き出し、しばらく歩くと、また同じ様にリリイが生まれた頃には存在していなかったが 今では普通に見かけるような魔獣が現れた 俺は特に問題もなく魔導具で魔法を使い倒していく そうこう繰り返しながら俺達は進み続け。とうとう目的地に到着する そこは洞窟のようになっていて。俺は、ここのボスはドラゴンなんじゃないかと考えていたが、予想通りだったらしくて、かなり大きなドラゴンがいた しかし、その巨大な体とは裏腹に動きは、とても早くて、あっという間に間合いを詰められ噛み付かれそうになった

「やばっ!」と俺は言いながら なんとか防御態勢をとった すると、そこにはリリイの姿があり、彼女は、その拳を敵の顔面にぶつけており。その結果。敵は大きなダメージを受ける事となる。俺が慌てて「リリイ。大丈夫?」と言うと

「勇の方こそ大丈夫?今回復させてあげるから」と言いつつ俺の体に優しく手を置いてくれていた。その後すぐに俺が持っていた杖の先にリリイが手を置くと、すぐに体が温まり始め

「勇の傷は全て治ったよ」と言う。俺は、すぐに自分のステータスを確認してみると 確かに全快しており「リリイありがとう」と言いつつ俺は敵に向かって攻撃を開始

「よしっ。これなら勝てるかもしれない」と呟き それから、しばらくの間、敵の攻撃を避ける事に専念し、それから一気に敵に接近して剣を振り下ろすが避けられてしまう。

「ちっ。速い」と俺は言いながら、もう一度、斬りかかるが 相手の方がスピードが上で俺の攻撃をかわされてしまう

「うわぁ」と俺は言いながら地面に倒れこんでしまい、起き上がると既に相手が目の前にいた。その姿を見て、このままでは俺が死ぬと思ったので

「俺の中に眠る力と、勇者の力で奴を殺せ」と言ってみたが何も起こらない。俺は慌てて「頼む。出てくれ。出てくれないと俺は、ここで終わってしまうんだ」と言ってみるが変化はない。

「くそー」と俺の声だけが響く。その間にも俺は必死に考えていた しかし、そんな状況の中。俺は突然頭に激痛を感じてしまう。

「がぁぁぁ」と俺は声をあげてしまい。

俺の体は、その場で倒れこんでいる。しかし俺の頭の中で

「お前は、その程度なのか?本当に、それで、これから世界を救えると思っているのか?」と聞こえる

「誰だ?」と俺は叫ぶが、返事は帰ってこない。ただ俺が必死に頭を悩ませていた時に俺は思い出す事となる。俺がリリイの村に行くまでの道で遭遇した男。確か名前はアツシと言っていた気がするが。俺は、あの時の戦いを思い出す そうして、俺は立ち上がり。再び敵と対峙すると「行くぞ。これで、どうだ」と言いながら俺が持っている武器の柄を両手に持ちながら振り回してみたが 当然、そんな攻撃で敵に攻撃が届く訳も無く。むしろ、俺は勢いをつけすぎて転んでしまった。その様子を見ながら、リリイがクスッと笑っているので

「うぅ」と俺は、うなりながら「ちょっと。笑ってる場合じゃないからね」と抗議をしたが「だって。勇。その格好って、なんだか、とっても情けないから。あはは」と言って笑い続けていたので「うぅ」と言いながら俺は黙ってしまった それからも何度か俺は立ち向かっていたのだが全て空振りに終わり、俺は地面の上で倒れこみ。それから少しの間、俺は動く事ができなくなっていた その間。リリイは、その敵を倒してくれていたようで。敵が倒れるのと同時に俺に近づき話しかけてきた その表情は、少し心配そうな顔をしている

「勇者。大丈夫?」とリリイが言うが、その問いに答えられるほどの気力は俺に残っておらず。「リリイ、ありがとう」と伝える事しか出来なかった。それからしばらくして俺が起き上がり。少し休憩をして、それから再度戦い始めると俺の頭の中から「お前には失望したよ」と言われた。その声の正体を確かめるため俺は意識を強く持つ

「だからお前に何が出来るというんだ?」

「そんな事は分からないけど」と俺が言った後

「それならば試してみれば良いだろう?」

俺は相手の言葉に従って、とにかく戦っていたら俺は自然と力が湧いてくるのを感じていた そして敵を倒せるようになっていたのだ その事を確認した俺は、それからリリイと協力して敵のボスを倒し それから数日かけて目的の町に到着できた そして町に着き俺達は、すぐにギルドに向かう しかし、この世界に存在している全ての国の王様はリリイの事を知っているが、他の人達は、もちろんリリイの事も、その力についても知らない その為。町を歩いている時は、かなり目立つ形となっていたのだが、俺達は気にする事なく行動している。なぜなら今の所リリイの存在が、どれだけ危険な物になるか判断できないからだ。だから下手に騒ぎを起こして目立ってしまってはまずいと考えた結果であった。そうやって町の散策をしながら歩いている最中。ふとした事から俺達二人は、ある男に声をかけられてしまう。その男はリリイが勇者と同行していると知ってから彼女にしつこく迫っており。最初はリリイが無視していたのだが。段々と相手の態度が大きくなっていき 最終的に彼女は男に襲われそうになっていた。その事に気づいた俺は、すぐさまリリイの元に走り出すとリリイの事を強引に引っ張る そうすると男がリリイに殴りかかろうとしたが、その時に、たまたま男の足にリリイの靴のつま先が引っかかってしまいバランスを崩すとそのまま前のめりになって倒れこんでしまい、それを見ていた俺達は唖然としてしまい その場の雰囲気は微妙なものになってしまった。その後、俺達は直ぐに、その町から離れるように移動を始めて数日が経過し ついに魔王の城に辿り着く そうすると魔王の部下達が、いきなり現れて攻撃を仕掛けて来たのだった

「やっとここまで来たぜ」と俺は、リリイに話かけようとしたが。彼女は既に敵と戦い始めていて 俺もそれを見て戦闘態勢に入り敵の集団を蹴散らし始めた 俺はリリイの攻撃に意識を奪われていたので 自分の周囲に何があるかを理解出来ていなかった 俺が気付いた時には遅かった。俺に向かって矢が飛んで来ているのに 俺は気付く事ができなかったのだ。しかも俺は、すでに敵の攻撃を受けているのが分かり「しまった」と思ったが。俺の体に当たる寸前に、なぜか急に俺の体に変化が起こり始めたのだ。

そして俺が、その攻撃を受ける事はなかったのだが リリイは、なぜか敵の攻撃を受けたようで彼女は倒れてしまった 俺は急いで彼女の所に行こうとするが、その時に、また敵が迫ってきていたので、とりあえず、そちらを先に片付けようと、まずは自分に迫り来る敵を魔法で倒し それから彼女を助けにいった。俺は、どうにか彼女を安全な場所に運ぶと 俺達は二人だけで敵と戦う それから数時間ほど経った頃。ようやく終わりを迎えた

「よしっ。これで魔王との戦いだな」と俺は呟き。そしてリリイの無事を確認しようとしたのだが。なぜか俺が助けた時よりも負傷していて かなり危険な状態に見える 俺は必死になりながら「待ってろ。すぐに手当てをする」と言って回復魔法を使い すぐに回復魔法を使い続けると。リリイの顔色が少し良くなったのが分かると安心してしまった。しかし回復をしている間にも 魔王が現れて俺達に襲いかかってきたので俺は、ひたすら攻撃を繰り出すが、やはり決定打に欠けるようだった。それでも、なんとか持ち堪えながら回復を続けていた そうこう繰り返しながら、ようやく回復を終える頃には魔王の体力は半分ぐらいまで削れてしまっていて あともう少しで終わるところまでは来たが。魔王の最後の攻撃により俺達は窮地に追い込まれてしまう その時、今までは使えなかった力が、俺に蘇った それは俺の持つ伝説の剣であり その剣は、まるで光に包まれたかと思う程 美しい姿をしており。俺は剣を構え直し 魔王に向けて一気に駆け出した その様子は、さすがに俺も驚くほどだったが それよりも凄かったのはリリイである 俺は一瞬だが見とれてしまい。それから慌てて俺自身も、すぐに戦いを再開 それからの戦いの激しさといったら言葉で表すのは難しいほどである。それから数十分ほどで戦いが終わると同時に、いつの間にか消えていた伝説の剣も消えており それと同時にリリイも、ゆっくりと地面に倒れこもうとしていた

「おっと。大丈夫かい?俺に任せとけ」と言いつつ俺は倒れこもうとしているリリイの体を両手で優しく支えると 俺は優しく抱き寄せ「愛してる」と言いつつキスをした。

「うん。ありがとう」と言ってからリリイは俺から手を離して自力で立つと「ごめんね。勇」と言いながら リリイの方から、そっと、しかし確実に俺に口づけをしてきてくれた そうしてリリイと俺の唇が重なる それから俺達の気持ちは徐々に強くなっていったので 俺とリリイは互いに求め合うようにして体を重ねていくと俺が上に乗っかる形で何度も交わり合った。

そして俺達は無事に朝を迎えると リリイと一緒に町を歩き回ることにした

「勇って、こんな感じで女の子を落とすのが趣味なの?」と言いつつも笑顔を見せる

「ちっ違うよ」と俺は慌てて否定したが。リリイの機嫌を損ねるつもりは無かったので「ごっ、誤解だよ」と言うしかし、そんな風に焦っているので「うぅーん」と少し疑いの目つきをしていたので俺は話題を変えようとすると、その前に「勇者。あれ見て」と言って指を指していた。

その方向を見てみると何かを必死に探している人達がいる事に俺は気がつく その人の近くに寄って話を聞こうとするが、なかなか答えてくれないので俺は質問の仕方を変えてみる事にした

「どうかしたんですか?」

その声に反応して、そわそわし始めて その人が「あの。その、実は」と言ったので俺は「はい」と答えながら 次の言葉を待つ それから暫く待っていると、その人は覚悟を決めたのか「すみません」と言ってから

「実は無いのです。」と言い出して、その続きを待っていたが、そこから何も話す様子が無かった為

「あの」と声をかけてみたが、まだ、そこで黙っている。

なので、今度は「何を探してるのか?」と俺から聞いてみた。

「えぇ。まぁ、その。その、ですね。えっと、その、なんて言えばいいのかな。うぅ」と言っているだけだったので どうしたものかと思っていたら「うぅぅぅ」と言って泣き出してしまい 俺達の周りからは変な目で見られたのだった それから少ししてから

「すまない」と言いながら泣いていた男が立ち上がり その人は少し落ち着いていた そうすると 俺達も、その場を離れて再び町を見て回る

「リリイ。今日は少し遅くなったけど。この後、二人で、どこに行く?」と俺はリリイに聞くと「それじゃあ。この国を観光しながら色々な所に泊まってみよっか」と彼女が言ったので俺とリリイの二人は、その日。宿を取り部屋に入っていく それから数日間 特に大きなトラブルが起きることもなく平和で 穏やかな時間が過ぎていった。

その間 俺達は色々と見て回ったり、買い物をしたりして楽しんでいて リリイの機嫌も良いみたいだし。俺自身 リリイとの時間はとても幸せな気分になれて嬉しかった。

ただ一つ 問題があるとすれば この町の料理はどれも、そこまで味が良くないという所が 残念ではあるが その分。町の人達の笑顔が、とても良く見える町でもあるので そんな町の人達の為に、俺達は、せっせと料理を作り続けたりしているのだが それでも町には少しずつだけど客が増えてきているような気がする。ただ。そんな俺達が滞在している間 何故か魔王の部下達の襲撃が一度も無かった。その理由についてリリイが、ある可能性を提示してきたので俺と彼女は二人で相談する事に そして、その日の夕食を食べ終えてから俺はリリイの部屋に向かう すると部屋の明かりが消えている事に気づく

「まさか、お休み中なのか?」と思いながらも リリイを起こさない様に、静かに部屋に入る すると リリイはベッドの上で、俺があげた髪飾りをつけており。その状態で眠っているので「俺が贈った髪飾りを付けているのが、なんか、嬉しいかも。それにしても可愛いな」と思っていると、俺の存在に気付いたのか「勇」と名前を呼び それからリリイは、いつもの様に俺を出迎えようとしてくれるが眠そうな目を擦っていた それから少しだけ、その場で話した後で 俺とリリイは互いの唇を重ね合わせると舌を絡ませ合い。それから数分ほどで唇が離れた後に リリイが「あっ」と何か思い出し「勇。私を喜ばせてくれない」と言ってくる その言葉を聞いていた俺は何の事だかわからなかったので「リリイが喜んでくれるなら俺も頑張るぞ」と言い 彼女の言う事を聞こうとしたのだが いきなり服を脱ぎ始め「私の裸を見て興奮してくれれば良いんだよ」と言う 俺は慌てて「おい。ちょっと、まっ。待ってくれ」と言うが、彼女は既に俺の前で、ほとんど脱いでしまい「待てるわけないじゃん」と言いつつリリイが「勇。早くして」と甘えた声で言う 俺は彼女に誘われるように、その誘いに乗り彼女の胸を触っていく そうすると彼女は甘い吐息を漏らしながら「ふふっ。勇者の体って温かいね。もっと触って」と言うので、俺は言われるままに彼女を抱き締める「本当に柔らかいな」と思うが、それは口にしなかった そうして、しばらくの間。俺達はお互いの温もりを確かめるように抱き合っていたのだが、やがて、どちらからともなく、自然と離れていき、俺は彼女を後ろ向きにして「俺が支えてやる」と言い リリイの腰を掴みながら俺は彼女に抱きついていき。

そして、その日の夜も二人だけの時間を過ごす事になった 翌朝。目が覚めると隣で俺の寝顔を見ながら幸せそうにしているリリイを見て「そっ、そんなに楽しいのか?」と俺は呟くが、リリイは何も答えずに俺の頬に口付けをして、そっと囁いてくる「勇。愛してるよ」と俺は照れ隠しの為。リリイの頭を軽く叩きながら、そっぽ向く それから「さっきのは何だよ? 恥ずかしいだろ」と言うと「さぁ? 何のことだろうね」とリリイが惚けるので、その事が余計に俺を照れさせてしまい。それから暫くの間 リリイは、にやけていたので俺は「俺の寝顔を勝手に見るな」と言ってやったが、それに対してリリイは笑い出し「ごめん、ごめん」と言いながら謝ってくるが 俺は許さず。そんなやり取りをしながら、どうにか俺は冷静さを取り戻そうとする。それから しばらくして落ち着くと、とりあえず着替える事にした。リリイの格好は相変わらずの格好である なので俺は自分のシャツを貸し与えると それをリリイは着ていたのだが 少し大きめで 俺の物を身につけるリリイの姿は なんとも言い難い気持ちになっていた。そうしていると俺も服を着替え終わり リリイと俺は町へ繰り出していく すると 途中で一人の男に「勇者さん」と呼ばれ俺は振り返って見ると昨日、何かを探していた男性が俺の方に向かって歩いて来ていた なので、その人に近づいて行くと 男性は頭を下げながら、まずは俺達に礼を言うと、そのまま言葉を続けた

「あの。先日はありがとうございます」と言って、さらに「あの。その。勇者さん達は今、この国に、いるのでしょうか?」と言われて、どうして俺達がここにいる事を知っているのか?と思ったが、その理由についてはリリイから簡単に聞き出す事が出来たので 男性に話しかけようとすると彼は、また「すみません」と言い出してから話を続ける「実は、その。僕達夫婦は貴方様の事が忘れられず、もう一度会いたいと思っておりまして。もし、ご迷惑でなければ。お願いしたい事があるのです」と言われたので俺はリリイの方を見ていた。すると彼女は「私からも頼む」と言い出したので、その頼みを引き受ける事に それから男性の家に向かい家の中に入ると彼の妻と子供がいたが、俺は挨拶をする前に 先に彼に、これから俺達が、何をすれば良いか説明を受けると俺は「なるほど。それで俺に出来る事があれば手伝います」と言う それから、どうしたら町を元通りに戻す事が出来るかを話し合い その結果。俺は町中の人を集めてくれるように指示をしてから町の外に集合してもらうよう伝えると俺とリリイは急いで外に出る。

その光景を見た人々は驚いていたが、そんな事は気にせずに、すぐに作業に取り掛かる。すると 多くの人が集まってきて俺達の行動に疑問を持ち始めていたので リリイに頼んで魔法を使う準備をする。

その様子から察した人々が逃げようとしたり、中には立ち向かってこようとしていたが。それも予想していたので、こちらで全て対処する

「皆さん。少し、待っていてください。すぐに終わらせますので、安心してください。大丈夫です」と言うと、こちらの様子が見えやすい位置に移動した人々もいたが、それでも不安がっている人や怖がっている人も沢山いた そんな中でも一番怯えている女の子がいたが、その子の目線の高さに合わせるために膝まづくと、その子は泣いていたのが、それに気づいて俺に泣きながら謝ってきてくれたので「別に構わないよ。それに君も大切な家族がいるんだよね?」と言うと、泣きながらコクリとうなづいていたので「俺達を信じてくれ。悪い奴は退治する。それが俺の仕事だから、この国の為に、もう少しだけ頑張ってほしい」と伝えてから立ち上がると、リリイが「さすがだね」と言う それから 町の修復は夜までかかると思われていたが、どうにか夕方までには、それを終わらせることが出来 その時に俺は町の人から感謝される。その中には俺が助けた子供も含まれていたので、ちゃんと両親の元へ帰れて良かったと素直に喜んでいたら、その両親は涙を浮かべて「本当に、本当に、ありがとうございます」と言ってくれる。その行動は、俺が考えていた以上の効果を発揮して、それを見た人達から感謝の言葉を浴びせられる。

その後 その日はそのまま町の人達の宴会に参加して朝を迎えたのであった。その日はリリイが子供達と一緒に楽しそうにはしゃいでいたり。俺は町の人達に色々と料理を食べさせていた そして、この町を出ようと準備をしていた俺達は 別れの挨拶をした直後に「勇者殿」と呼び止められる 振り返ると昨日の男性と女性に男の子と女性が立っていたので その四人の方に振り向くと 俺達の前に立つなり、その五人が揃って深く頭を下げる そんな様子を見ていた俺は「えっ? どういう事ですか?」と言うが。彼らは「お詫びをさせて頂きたい。是非。我が国に来て欲しい。もちろん報酬を用意致します」と言う だが 俺は まだ目的が達成されていないので「それは無理ですね」と言うが 彼等も、なかなか諦めないで「しかし、私達は、どうしてもお詫びがしたいんです」と言って譲らないので俺は、仕方なく「なら 俺達が帰る前に一度だけ町を見せてもらえないかな」とだけ伝えた すると彼等は、あっさりと俺の願いを聞いてくれて 俺とリリイを連れて 町を案内してくれる事になった そんな時 俺の隣を歩いているリリイが小声で俺に声をかけてくる リリイの話によると、どうやら 今回の一件で魔王の手下は、かなり焦っていたようだ 俺を暗殺するために部下を差し向けてきたが 俺がリリイと共に町にいるという情報を掴んだ魔王は慌てて手下を向かわせて、俺の息の根を止めさせようとしたらしいのだが。リリイから報告を受けていた俺の父親は、俺に危害が加えられないようにと護衛をつけてくれていたのだ それからリリイに「勇者を暗殺しようとしていた」という言葉を聞くと俺は「なら。もう心配はいらなくなった訳だ」と言うとリリイが「うん。私から見ても、あの男は勇者の事を、すごく信頼してたし あの男の目は信用しても良いと思う」と言う そして 俺は「ところで、あの子も連れてきた方が良さそうだな」と言い。俺が振り返ると俺に駆け寄ってくる少女が見えた

「あれ? あの子は、いつの、間に?」と言いながら俺の目の前に来たリリイは少女を見ている

「リリイは気づかなかったかもしれないけど、ずっと、後ろにいて俺達に付いてきていたぞ」と言うと 彼女は苦笑いをして「全然 気がつかなかった」と言う そんな彼女の様子を見ていた男性が「リリイは相変わらず凄いな」と言いながら俺を見て「貴方の実力も大したものです」と褒めてくれたので俺は少し照れながら「それほどでもないですよ」と言うと彼は俺に質問を投げかけてくる「どうして貴女のような素晴らしい力を持っている方が、このような場所に居るのでしょう?」と聞かれたので「そう言えば自己紹介がまだでしたね」と言い お互いに名乗り合うと、どうやら男性は、この国の王子で 俺に依頼があるらしく 話を聞こうとすると、まずは町に戻る事になったので そのついでで話すと彼は

「実は 貴方のお父様には昔から世話になっていて」と言われ「そうなんですね」と答えて歩き始めるすると 後ろの方でリリイと彼が仲良く会話をしながら俺に話しかけてきた「貴方達って。もしかして親子なんじゃないの?」と それから俺がリリイの頭を軽く叩いて、そんな訳ないだろうと否定すると 二人は笑って俺を見るが、そんな様子は、やはり親子にしか見えないと感じていた。

しばらくすると、ようやく町に着くのだが 町中は ほとんど瓦礫がなくなっており。完全に元の状態に戻っていた その様子を見ていた俺とリリイは驚いていたのだが その二人の驚き方は違っており 俺の場合は、あまりにも元通り過ぎていて驚いた 一方リリイのほうは「こんなに早く元に戻せたんだ」と少し驚いている感じだったが どうやら それだけではなかったようで「ねぇ。見て」と俺の腕に絡みついてきてから町の奥の方を指差していた そこには大勢の人が俺達に笑顔を向けながら手を振っている光景が見えると、その中に 先程別れた町の人と、その息子さんも混ざって笑顔を見せていた その状況から 俺達は町を救った英雄として 迎えられる事に そんな歓迎ムードの中を歩いていくと リリイの両親が待っていて「勇者さん」と呼ぶので振り返って見てみると 母親が涙を流しながら俺に抱きついて来たので「ちょ、ちょっと」と困惑しながらも そんな様子は見せたくないと、必死に平然を保ちながら、その女性の身体から離れると 俺達を迎えに来てくれた男性と一緒に家まで行き 改めて感謝の気持ちを伝えてくれると、そのまま この町で暮らしてほしいと俺に伝えてきたので その話を受けようとした俺に対してリリイが「私達はまだ、ここを離れる事は出来ない」と言うと、彼の方も「確かに、貴方達の事ですから その事は分かっているつもりですが、少しだけ、ここで暮らせるようにして下さいませんか?」と言ってきたので、少し考えた末に「俺が町を離れてしまうと、また何か起こるかもしれませんよ」と答えると、それについては問題ないとの事だったので、それなら と、俺は町に残る事に それから俺は、この世界で生きていく為にリリイの力を借りて生活していく そんな風に考え始めたのであった。

「ふぁ〜あ。眠みぃーな。今日から授業だろ」大きな欠伸をし、ボヤきながら階段を降りて行く男子高校生がいた。名前は佐藤和真、どこにでもいる様なモブキャラだ。

(俺も今日から高校生だ。やっと普通の高校生活が始まる)

今までの人生は波乱万丈な人生であった。

生まれた家が貧乏であり中学の時は、いじめられっ子だった。しかも引き篭もりになりゲームばかりしていた。親も呆れて何も言わなくなり放任主義になった。

高校に入るまでは、ほぼ家でネトゲをするだけの日々。だが、今は違う!普通に友達が出来たりと充実感を感じていた。

そして、この新しい学校で俺は人生を逆転する為の行動を開始する!! 入学式の日、カズマは寝坊をしてしまい、急いで学校へと向かって行った。

「急げばギリギリ間に合いそうだな。しかし、何だ?校門に人が沢山いるけど、遅刻する奴でもいんのか?」

そう呟きながら走っていると、一人の女子生徒が倒れ込んでいる姿が目に入ってきた。

「んっ、何やってるんだよあいつ」

倒れている少女は顔立ちは良く髪は銀髪をしていてとても綺麗な少女であった。

(こいつも入学式に間に合わなかったクチか?)

カズマが近づき声を掛ける。

「大丈夫かあんた?ほらっ肩貸してやるから立てるか?」

その言葉を聞いた瞬間。銀髪の美少女は立ち上がりこう言い放った。

「ありがとうございますっ!」

そう言ったと同時にカズマの顔面に蹴りを放った。だが、咄嵯の事で避けきれずまともに食らってしまった。カズマはその場に崩れ落ちた。

「えっとごめんなさい、思わず足が出ちゃいましたわ」

その言葉を聞き薄れゆく意識の中で カズマは心から思った。

「ちくしょう、やられたぜ」と そして意識が遠退いていき気を失ってしまった。

カズマが目を覚ますと保健室のベッドの上だった。そして横にはあの銀髪の少女が立っていた。

「お目覚めのようね」その少女は冷たい口調で話しかけてきた。その冷たさに一瞬ビクッとしたがすぐに気を取り直して声を出した。

「おい。いきなり蹴ってくるとは良い度胸だな」カズマは不敵な笑みを浮かべて話しかける。

「だって貴方が私に襲いかかろうとしたんでしょ」その少女は当然といった表情で言う。

「俺をお前みたいな可愛い子を襲うような変態に見えるのか?冗談だろ?俺の名前は和真だ」

すると少女は驚いた顔をしてカズマを見る。

「私の名前を知っているの?」少女は驚きを隠せずに質問をしてきた。

「知ってるもなにも同じクラスの水無月アイリだよ」

その名前を聞くなり、今度は驚いた顔をしていたが次第に嬉しそうな顔をして微笑んでいた。

そんな二人を見て周りが騒ぎ出していった。「誰だ。あの二人」「めっちゃ美人じゃねぇか」「あの子も可愛かったよね」と周りの連中はざわめき出した。

だが、アイリは気にせずカズマの耳元で小さな声で囁く。

「私のことは誰にも言っていないでしょうね?」その問いに答えるかのように。

「勿論言ってないさ。安心してくれ」小声で答えた。その言葉を聞けたアイリは安堵の表情をした。すると。ドアの方に視線を移し「そろそろ行かないとね。じゃあね」と言い残し保健室を出ていった。

(なんか変な奴だけど。いい匂いだったなぁー。それにスタイルも良いし、あの胸で挟まれたいなぁ)

そんな事を思っていると、突然、横から拳が飛んできた。避ける間もなく殴られ気絶しそうになったが何とか踏みとどまった。するとそこには金髪の男が立ち塞がっていた。

「この野郎が!!よくも俺の大事な妹を!!」

「はぁ!?誰が、俺の妹なんだって」と言いながら殴った男の顔を見ると なんと同じクラスにいた陽キャでモテていた須藤京一の姿があった。

(うわ最悪じゃん。面倒臭そうな奴に出くわしたなー。どうするか?)と考えていると。「今から決闘しろや、ぶっ殺してやるからよ」と挑発してくるので「わかったよ。やろうぜ」と答えた。その答えに須藤も驚いていたが、すぐ様 準備を始めてグラウンドへと移動した。そこには、大勢の人が集まっていた。その中には、アイリや他のクラスメイト達もいた。するとアナウンスが流れて、

「これから決闘を始めるぞ、武器は何でもありの勝負だから相手を戦闘不能にさせた方が勝ちとする」という説明をされ二人は戦いを始めた。

先に動いたのは、やはりと言うべきかカズマだった。素早く駆け抜けて、刀を抜きそのまま振り抜く。だが、それは簡単に受け止められてしまった。それだけではなく。カズマは思い切り蹴り飛ばされてしまい、後ろに吹き飛び転がっていくが体制を整え立ち上がった。

(マジで強いな。ステータスもかなり高かったから、もしかしたら勝てるかもって思っていたけど。そんな事はなかったようだな)と思いつつ攻撃を再開した。

今度は、剣を振り上げジャンプをして斬りつけようとする。しかし。あっさりと受け流されてしまい、その隙に懐に入り込まれてしまう。カズマはすぐに後ろに飛び退いた。

(やばいなぁーこれは、本気で倒さないとヤバそうだな)と思ったので、一気に決めることにした。まずカズマが、須藤に向かって一直線に走る。だが、相手もただ受けるだけはなく。迎え撃とうとするが。それを読んでいたカズマが横に回り込んでからの回し蹴りを繰り出した。それを防ごうとした腕を掴み背負い投げを決めようと動き始めたが。逆にカズマが手を離した事で、そのまま回転に巻き込まれながら地面に向けて落ちていく。そこに追い打ちを掛けるように頭上へ飛び上がり踵落としを仕掛ける。地面に叩きつける前に、どうにか体を捻り着地を決めた。だが、カズマはその行動を見越していたのかすぐさま体勢を変え、下にいる相手の足目掛けてつかみかかる。

(勝った!!このまま掴んだままでいてくれよ)と心の中で祈っていると、予想外にも。つかまることなく、そのまま勢い良く地面に落とされ、背中を思いきり強打してしまった。

その衝撃に耐えきれずにカズマは痛みのあまり意識が飛びそうになる。それでもカズマは、なんとか立ち上がろうともがくのだが。

その光景を見てギャラリーは歓声を上げていた「やったぜ」「凄いわよ!あんなに、ボロボロになっても立ち上がるなんて」「俺の応援のおかげだぜ!」などと盛り上がっていた。だが、そんな事は御構い無しにカズマと、そしてアイリだけが真剣な眼差しをしながら二人の戦いの行方を見つめている。

「はぁはぁ、まだ、やる気あるか?こっちは、全然。問題ないぜ」そうカズマが言うと。

「もちろんだ、こちとら負けるわけにはいかないんだよ」そう言いながら立ち上がり、再び、カズマに向かって走り出した。

お互いが、攻撃を繰り出す。しかし決着がつくことなく、どんどん傷だらけになっていく。

そんな二人を見てアイリは不安そうに見つめていると。カズマが、またもや仕掛けた。その行動に対して相手は何もすることが出来なかったが、すぐに気を取り直し反撃にでた。だが、カズマは相手が動くよりも早く懐へと潜り込み、腹に一撃を入れ、続けてもう一発、顔面に食らわせようとしたが。そこで力尽き膝から崩れ落ちた。

その様子を見て。

審判をしていた先生が。「勝者。須藤!!」と大声で叫ぶと、更に盛り上がる。すると観客の中から。「俺達のアイドルに手を出した罰だな」「そうだよな、水無月ちゃんは俺の物なのに!」「あいつ死なねえかなぁー?」「おい、お前水無月さんに話しかけてた奴じゃねぇか?」「そうだよ、それが何か?」「許せねぇー」「水無月さんは、誰にも渡さねぇー」

等と次々に声が上がってくる。そんな中一人だけ声を上げる人間がいた。

その人物は「おい、お前のせいで負けただろう!何してくれんだよ!」とカズマに文句を言いに来た。

それに対して、俺は、「お前が弱いだけだろ」と言ってやりたかったが「あー悪い。ちょっと無理そう。疲れた」と言った後に意識が遠退き気絶してしまう。

(何でだ?何が悪かった?レベルだってステータスだって同じぐらいのはずだろ?)と考えていると。アイリが心配そうにして近付いてきた。すると「私に任せて頂戴。あなた達は教室に戻りなさい」と言い残して去っていった。残された者達は戸惑いながらも言われた通りに戻った。すると、しばらくしてから意識が戻ると。なぜかアイリの顔が目の前にあった。

その状況を確認して理解するのに数秒ほど掛かったが。

アイリの唇がカズマの口に触れている事に気が付く。それと同時に「なっななっ何をしている」と言い離れるのと同時に顔が熱くなり始める。

するとアイリは恥ずかしげもなくこう言ってきた。

「あら、キスをする仲だと思っていたのだけれど違うのね」と言われ。カズマはさらに慌てふためいていた。そんな様子を、少し離れた所から見ている人物がいた。

(なるほどな、あの少女は、俺達が邪魔をしていると思って、わざと気絶させたんだな)とその人は納得するとその場から離れて何処かに行ってしまった。

「あの、ごめん」カズマは顔を赤くしながら謝った。

すると彼女は。「どうして、貴方が謝るの?」と言い。不思議そうな顔をしていたが。次第に笑みに変わり「貴方のおかげで。助かったのだから、むしろ感謝したいぐらいなの」

そんな事を言われてしまい、さらに困惑していると。

アイリは話を続け「私は水無月家の長女なのよ」といきなり自己紹介を始めたので、カズマも自己紹介する。

「和真君で良いのかしら?」

「呼び捨てでいいよ。アイリ」カズマはそう答えた。すると嬉しそうにしているのが分かったので。

その笑顔を見てカズマは、ますます惚れていった。

その後、カズマはアイリと一緒に帰り、一緒に遊んでいく内に仲良くなっていった。その時に聞いた話ではアイリの家では両親が他界していて今は親戚にお世話になっているらしい。

そのせいなのか、たまに一人でどこかに出掛けることがあるという。

だがカズマは気にせずに。今日みたいに一緒に遊ぶことを提案して行くとアイリは快く承諾してくれたのだった。

こうしてカズマは。毎日の様に放課後にデートのような遊びを続けていたが。

その事を知っている一部の女子達から陰口を叩かれていた。しかし当の本人である二人は特に気にせず楽しく日々を過ごしていった。

しかしある日の事、いつも通りに二人で下校していた時だった。突然、誰かにつけられていることにカズマは気付く。

(おかしいな、さっきまではいなかったはずなんだけど)と思っていると。その男に路地裏に連れて行かれてしまう。そこには他にも数人の男達がいる事が確認できたので。

(どうやら、こいつは仲間を引き連れてきたって事か?)と判断するが。

(まぁ、この人数相手なら余裕だけどな)と思いながら相手の様子を伺っていると「水無月の奴とはもうヤッたんですかぁ~?w」と言い出すのでカズマの頭に血が上り、思わず。殴りかかっていった。

だが男の方が力が勝っておりカズマはそのまま壁に叩きつけられるように押し潰されてしまう。

すると、それを見てアイリは怯えてしまっている。

カズマはどうにか立ち上がるが体が痺れている感覚に襲われる。

(まずいなぁーこれは本格的にヤバいぞ)

そんなカズマの様子を見ながら男は、アイリの方へ手を伸ばすので、それを阻止しようとするも逆に突き飛ばされてしまい地面に転がるカズマを嘲笑うかのように男が話し掛けた。

「今から俺たちとゲームをしようぜ」

「ゲームだと!?こんなときに何言ってんだ。ふざけんなよ!!」

「まあまあ、聞けって。このゲームを勝った方は。なんでも言うことを一つ聞いて貰おうって事だよ」

「なんだ、そんな事かよ。それなら楽勝で勝つ自信あるぜ!だからとっとと始めようぜ!!」

(なんせ俺は最強勇者だもんな)と思ったので、そのまま了承するのであった。

「じゃあさっそくルールを説明するぜ。

これから1分の間に、お前はアイリちゃんを捕まえられたら勝ちだぜ。簡単だろ?」そう説明されて、カズマがアイリに「大丈夫、絶対守るから」と声を掛ける。

その行動を見た男の仲間達は、一斉に笑い始めたが。すぐに真剣な表情になるとカウントダウンを開始した。

「5 4 3 2 1」ゼロと言うと。カズマは一瞬でアイリの元へ駆け寄り腕を掴む。

しかし、それは男の罠であり。

掴まれた瞬間にカズマはバランスを崩して倒れてしまう。

そんな光景を見てもアイリは何が起きたのか分からずに驚いていたが。

すぐに、自分が捕まったことに気がつくと。涙目になりながら、カズマを心配するように名前を呼ぶが。

しかし、その声はカズマには届いていなかった。

「クッ、離せよ!!」と抵抗をするもビクともしない。するとアイリの腕を離すどころか逆に引き寄せていく。

(クソッ!なんなんだよ!!これ、俺の力は、もっと、強いはずなのに)と考えているうちにもどんどんと引き寄せられていくとアイリの体は、とうとう抱き合う形で捕らえられてしまった。カズマはその姿を見て悔しそうな顔になるのと同時に、心の中では歓喜の声を上げているのだが「お前ら覚えていろよ!!」と言って走り去って行った。そんな様子を男たちはニヤけたまま見送っていたのだが、その内の一人が「おい、あれは絶対に許せない行為だろ?」と言い出し他の男達は「当然だ、あんな事したら殺してやる!」などと話している。

そんなやり取りをしながら。

「でも、あのまま逃がして本当によかったのか?」「いいんだよ、あいつらは。すぐに、また復讐に来るだろう」「そうだな、次は、こっちも何人か連れて来るかもしれねぇーし」「そういえばアイリに何かあったら。あいつも殺してもいいんじゃねぇーか?」「ああそうだな」などと物騒な話をし始めるのだった。

そして、その様子を見ていた、もう一人の人物に誰も気が付かないまま、その人物は誰にも知られることもなく消え去った。

その次の日は土曜日だったので学校は休みになっていた。なのでカズマはアイリに「また会える?」と言われ、二つ返事でOKを出す。

(俺には、アイリを守る力がある、アイリの為ならば何でもできる。だって俺にとってのアイリは特別な存在だから、だからこそ俺は強くならなくちゃいけないんだ)と心の中で思いながらも。そんな事を考えているのを悟られないように、なるべく明るい感じを装いながら「いつでも来てくれて構わないよ!」と言い返した。すると「嬉しい」と言いながらも少し不安げな顔をするのを見てカズマは疑問に思ったが特に気にせずに「何かあれば、すぐに連絡してくれよ」と伝えると。アイリは「ありがとう」と嬉しそうな顔をするので、その姿を見るだけでカズマの心は満たされる。

「そろそろ、行かないと」そう言うとカズマは別れを告げる。すると「待って、お願い、まだ、一緒にいて」と言いカズマの手を強く握り締めてくる。そんな様子のアイリを見るとカズマは「もう少しだけならいいかな?」と言い返す。

「やった、私と和真君は一心同体」と言いながらアイリは笑顔を見せたので。

カズマもつられて笑顔になるのだった。

それからしばらく話をしていると。時間は過ぎていき「じゃあそろそろ帰るね」と名残惜しそうにしているアイリに対してカズマは「今日は、ずっと俺の家に泊まるといい」と言い出す。すると彼女は戸惑っていたが「迷惑じゃないかな?」と言いながらも期待した目をしている事にカズマは気が付き、内心では「可愛いな」と思いながら、「全然、迷惑じゃないよ」と答えると「それじゃあ、今日だけは甘えさせてね」と言いながらも少しはしゃいでいるのが見えたので、それがとても可愛く思えた。

その後は二人一緒に夕飯を食べてから風呂に入り一緒にベッドに入るのだった。その間、カズマは、まるで恋人同士のような事を何度も経験しており。さらにアイリが一緒に寝る事を許してくれた事で、その嬉しさからか、つい彼女の手を繋いでしまい、さらに「怖い」と言いながらもギュッと抱きしめてくれるので。カズマは、この幸せな時間が永遠に続くと錯覚していた。

(このまま時が流れ続ければ良いのになぁ)と思いながら、眠りにつくのであった。しかし現実は非情である、そんな事は起こらなかったのだ。

翌日は日曜日だったが二人はカズマの部屋で朝まで語り合った。主に、お互いに好きな人について語り合っていたがアイリには既に意中の相手がいる事が分かり、それを知った時は、ショックで夜中だというのに泣いてしまった。だが、その日の夜にカズマの両親やアイリの家族にも許可を取ってもらいアイリをカズマの家で暮らす事になると聞いた時にはアイリは、あまりの出来事に混乱していたが。「家族に挨拶に行くから付いてきて」と言われたので慌てて、お化粧などをしてから向かうとカズマは「ちょっと、そこで、ゆっくりしておいてよ」と部屋の中に一人取り残されるのだった。

しかし30分程、待つと両親が入ってきて「アイリさんですね?よろしくお願いします。娘のこと、どうぞ宜しくお願いいたします」とお辞儀をするのだが。カズマの姿は見えなかったので、どうすれば良いのか分からないでいると、そこに母がやって来て「あら?どうかしましたか?もしかして緊張されていますか?うちの息子は頼りないですけど、しっかりしていますので。安心して下さい。それに、あなたみたいな素敵な方で、こんなにも綺麗にされているんですもの、大丈夫ですよw」と言うので。

アイリは苦笑いしか出来なかったが、なんとか落ち着きを取り戻し「ご両親は?」と聞くと「二人は忙しいらしくて、代わりに僕たちが様子を見に来たんだ」という父の言葉を聞き、とりあえず二人で家に戻ろうとすると「そうそう、この子って意外とモテるから大変だと思うわ。だけど諦めないで、頑張って」と言いながら背中を押した。そんな母の態度に疑問を感じながら、その場を後にした。だが玄関まで来たところで父が「あーーーー!!忘れてた。今すぐ行くぞ」と言うと急いで家に入っていくので、それを追いかけるようにアイリも後を追った。

すると父は、いきなりアイリに向かって頭を下げながら謝りだしたので。

「ど、どういう事ですか?なんですか?突然?あの」と焦ったアイリが言い淀んでいると「いやぁーすまなかったね。君とカズマを二人っきりにした時に何も起きないと分かっていたが。アイリちゃんを驚かせるために、わざと言わなかったんだよ。すまないね」と説明すると「あぁ、なんだ。そういう事ですか。でも、もう済んだ事だから、そんな風に言わないで下さいよ」と言ってくれた。

そして最後にアイリに向かって一言「息子を頼むよ!」と言ったのであった。

(なるほど、こういうことだったのか。じゃああの時に感じていた気配の正体はカズマのお姉ちゃんだったんだ)と考えながらも自分の両親の前に出る覚悟を決めた。

そうこうしているうちにカズマが戻ってきたのを見てアイリも出迎えようと、ゆっくりとドアを開ける。そこには先ほど別れたばかりの彼がいて少しだけホッとしながらも彼の後ろから、ひょっこりと現れたアイリの母親を見て驚くと同時にアイリは自分がどんな表情をしているのか気になったが「初めまして、これから宜しくお願い致します」と言い深々とお辞儀をしたのだが、それをみた母親はアイリの顔をジーと見ながら口を開く。

「うーん。確かに、これなら心配はなさそうだけど、でも何かあったときに守れるのは本人次第だし、カズマがしっかりとしないとダメなんじゃないかしら?」と言う。アイリはその言葉の意味が理解できなかったのだが。次に発せられた言葉でアイリは全てを察してしまう「カズマ!あんたが男を見せてやんなさい!これはママ命令だからね!!ほら、早く部屋にいらっしゃい。色々と話したい事もあるんだし。でも、その前に、アイリさんは着替えましょうね。そんな格好で男の人の前には出させません」と言って無理やりアイリの手を引っ張っていくとアイリを奥へ連れて行くと。しばらくして、いつも着ている服にアイリは着替えさせられた。すると母はカズマを連れて再びリビングへと戻ってくる。するとカズマの父親はカズマに近づいて頭をグリグリとする。そんな様子をみて、アイリが驚いていると母親がアイリに説明をしてくれる。実はアイリはカズマに惚れていたので。二人の邪魔にならないよう配慮してくれたらしい。

(なるほど、じゃあ私達は両思いって事なのかな?)と考えていると。「それじゃあカズマと話をするからアイリは少し外でも散歩してきな。ここは俺達に任せてくれ。あとは若い奴らで何とかするだろ」と言う。そして「分かった、任せたよ」とだけ言って、カズマに近づき話しかけようとしたがアイリの母に腕を引っ張られて連れて行かれる。「アイリさんには聞きたい事が沢山あるんですよ。まぁ、まずは何があったのかを話してくれればいいので」と言われてしまい。アイリは抵抗することなく母親の後を追うのであった。

その後しばらくすると、カズマの父親と一緒に戻って来ると。

早速、カズマの部屋に案内されるのだった。そして部屋に着き、中に入るとアイリは部屋の中を見渡すと。アイリは驚いた、あまりにも物が置いておらず殺風景だったので、その事をカズマに質問すると「俺は、この家で生活しないからだよ」と言われた。「どういう意味なの? どうして?」

と疑問を抱くと。その事に気が付いていた父親がカズマの代わりにアイリに説明を始めた。その内容はカズマは父親の会社で働かされる事になっているらしく。その為に一人暮らしをしなければいけないらしく。またカズマの住んでいる場所は、ここから少し遠い場所にしかないというのだ。「それじゃあ会えなくなるじゃないの」とアイリが口にすると。

アイリの父「そうなるな。だけど、アイリとカズマの気持ちが同じであれば会いに来る事も出来るだろう」と言い返す。そんなやり取りをしている中でカズマは「アイリの好きな人は誰なの?」とアイリに尋ねるとアイリは頬が赤くなり、俯いたので「言えないのかな?」と言うと「それは、言えるけど。カズマの事が好きだからだもん」と言うと。それを聞いたカズマはアイリを抱きしめると「俺もアイリの事が大好きだから」と言いアイリの体を持ち上げベッドの上に移動させてキスをしてきた。

そしてカズマは「愛してるよ」と囁くのであった。

カズマとの交際を始めて数日、アイリは今まで生きてきた中でも、もっとも幸せな時間を過ごしていた。だが、そんな中で一つだけアイリは悩んでいた事があり、そのせいで、どこか心の底から楽しむことが出来ずにいたのである。

それはカズマが他の女の子とも仲良さげに接しているという事を知っていたからであった。しかもアイリがカズマと恋人になった事で諦めていた子も多く。カズマは学校では、かなりモテるという事を最近になって知ったので不安で堪らなかった。その事をカズマに打ち明けたら、彼曰く「気にすること無いと思うよ。みんなアイリと同じぐらい可愛いんだから仕方ないじゃん」と言い。その言葉を鵜呑みにして良いのか悩むところではあったが。カズマの言葉にアイリの心は徐々に満たされていき。そんな悩みも、少しずつ薄れていく。

それから、しばらくしてカズマが転校するという情報が耳に入ってきたのだが、どうも嘘のようでカズマはアイリに心配かけないように嘘をついたようだ。なので安心してカズマが帰ってくるのを待つことにした。そしてカズマとアイリは、より深い関係にまでなっていたのだが。カズマがアイリの家で一緒に暮らすようになる。

こうして2人での生活が始まったのだが、お互いに両親の仕事で忙しい為、毎日のようにデートに行く事が出来なくなり始めたので。カズマと会う時間も必然的に短くなり始めてしまうのだが。お互いが我慢する事により関係は続いていた。

そんな時である。学校の休み時間にクラスの子達に話しかけられたので会話をし始めると。どうやら友達同士で集まって遊びに出かける話をしているようなので「アイリって今、暇?」と言われると。アイリは今が忙しい事を伝えるが。その子達は「アイリ、今が楽しいって言ってたでしょ?なら大丈夫だから行こうよ」と言われて困ってしまう。

(今って言うと。お付き合いの事とか言わなきゃいけないよね?流石にそれは言っちゃダメだと思うから適当に誤魔化すしか無いわね)と考えるのでアイリは笑顔を作りながら「今って言われても何が、今なの?」と聞くと「カズマーー!!アイリが遊んでくれないよーー!!」

といきなり大声で話し始めたのでクラス中の視線が集まってしまうとアイリは顔を真っ赤にするのであったが。それを見たカズマが急いでアイリの元へ駆け寄ると「お前ら!俺の彼女に手を出すんじゃねぇよ!」と言いながらアイリを守るように抱き寄せると。アイリの顔を見て微笑むと「俺の彼女は渡さないぞ」と言ってきた。それを見た女子達は「カズマ、顔怖いよーー!」と言いながら逃げるのであった。

「まったく。カズマ、急に大きな声を出さないでよ。恥ずかしかったじゃない」

「いやぁーーー、悪い、つい」

「ふぅーー、別に怒ってはいないわよ。ただ少しびっくりしただけ」

「なら良かった」

そう言うとカズマは優しくアイリを包み込む。だが「あれ?アイリ?少し太った?」と言ってしまった。すると、アイリは無表情になり何も言わずに自分の席へと戻ると本を取り出し読書を始める。そして数分後、アイリは自分の弁当を持って戻ってくるとカズマの前へと座ると自分の弁当を広げて食べる。そしてカズマに「美味しそうね」と言ってから自分の分の箸をアイリに手渡し食べさせ始める。そんなアイリを見て周りの生徒達がニヤつき始めると二人に聞こえるように話す。

(あの二人って本当に仲がいいね。羨ましい)

(そうね。あんなに仲が良いカップルを見ると嫉妬しちゃうな)

(それな)

(あの二人に、もう一人加わると、もっと幸せそうだな。なっ?)

(うん、私も同じこと考えてたよ。あー、私も早く彼氏欲しいなー)

(それな! 私、アイリがうらやまし過ぎてヤバいんよ)

(あっ、それは、よく分かる。私なんてもう二ヶ月以上付き合ってるけど全然相手してくれないし)

「おい、あいつ等。こっち見て、なんの話をしてんだろう?」

「きっと私が、ここに居るからでしょうね。それよりも早くご飯を食べなさい」

「はい」

そんな二人の姿を他の男子達は見ながら溜息を漏らすのであった。

その数日後に学校で事件が起きてしまうのであった。

その日、アイリは学校に来ていなかった。なので心配になってアイリの家へ向かおうとするが家の前には大勢の生徒が居たので、アイリの家に入れなかった。それどころか教師までもが家に近づけなかったのだ。そんな状況を不思議に思い。しばらく様子を観察する事に決めた。

すると、アイリの父親と数人の男性が何かを話している姿が見えた。その光景を見ながら耳を澄ませていると会話の内容が聞こえてきた。その内容とはアイリの母親が何者かに襲われ殺されたというもの。それを耳にしたカズマはアイリの自宅の前に集まり始めている人達を押しのけて家に入る為に必死に抵抗するのであった。

「すいません。そこを退いて下さい。お願いします。どいてください」と叫びながら。するとカズマの声を聞いた男性の一人が近づいてくる。

「おい、お前、何してんだよ。ここを何処だと思ってるんだ」

そんな男性の胸ぐらを掴み。アイリが襲われた事をカズマは怒鳴りつけるが男性は動じることなく。「ここは、アイリさんの家だろ?それが、どうかしたのか?」と言われてしまい、カズマは困惑してしまう。そこで「お前達は何でこんなにアイリの家の周りを囲っているんだ」と言うと。「はぁー。あんたは、そんな事も分からないのか?この前テレビでニュースになっただろ。それでアイリさんの母親が亡くなったんだよ。そしてアイリさんはその事を知らなかったからショックを受けて、この数日間ずっと寝込んでしまったからな。だから今は面会謝絶なのが分からねえのかよ。さっきから何度も言ってるだろうが」と言うと、また別の男性が現れる。

「だから邪魔だって言っているんですよ。僕達アイリさんのお父さんに頼まれてるんですから。この道を開けないと痛めつけますよ」

その言葉を聞き。さらに苛立ったカズマは殴りかかろうとすると「待て」という聞き覚えのある声で引き止められる。

そこには父親の姿が有ったが、その姿がいつもとは違っていたのでカズマも驚いたが父親は普段とは違う口調で話しかけてくる。「君は誰なんだ?もしかしたら、どこかでアイリがお世話になっている子かな?それとも彼女の親戚の子かな?」と尋ねられるが「アイリの友達です」とだけ答えた。そんな返事を聞いても父は、さほど気にしていないような態度を取るので。俺は、アイリに会いたいと口にするのだが父からは、アイリが、まだ気持ちが整理できていないと言われてしまうとアイリは「今はとても会いたくないの。カズマには迷惑をかけたく無いから会いたく無いって伝えて欲しいって言われたのだけど、どうするか決めかねていてね。でも心配してくれたのは、ありがたいと思っているの」と言われると。カズマは何も言い返せなかった。

そんなカズマはアイリの父に自分が今一番アイリに伝えないといけない事があると言ってアイリの家へと再び向かう。そしてアイリの部屋に通されるので、すぐに話し始めるとアイリは涙目になって俺を抱き寄せてから「ごめんなさい。私は大丈夫よ」と言ってくる。それからアイリの父と母は二人で話がしたいと言ってきたが。

俺とアイリは2人だけの時間を過ごしたいと両親に伝えると。アイリの両親が俺の事を気に入ったようで泊まっていきなさいと言われたので、お泊まりをする事になる。

そして次の日の朝、アイリの父親に呼び出されたのだが、その内容は俺も一緒に連れて行くとアイリが話していたらしくて、アイリの両親の知り合いの元に向かうらしいのだが。そんな話を聞いていたが、どんな人がアイリの家族を襲って殺し、アイリに嘘の連絡をしてきたのかという事が疑問で仕方が無かった。だが、アイリは詳しい事は言わないので、どうやら俺に知られたくない事なのか、あるいは俺を巻き込みたく無いという思いで黙っていたのかも知れない。なので何も言わずにアイリと一緒に行動する事を決めるのだった。

その後、アイリの車に乗り込むとアイリが助手席に座り、後部座席に座るのは俺だけで、まるで2人でドライブをしているみたいだ。

しばらく走るとアイリが、そっと窓を開けると「カズマ、これから行く場所に貴方を案内する事は出来無いけれど、それでも良いのなら一緒に連れて行ってあげても良いのよ」と話しかけてきたが。カズマは「アイリと2人で居られれば問題ない」と答えるとアイリは「ありがとう」と言って笑顔を見せてくれる。

そして車を降りると、そこは廃墟が立ち並ぶ街で周りに人気が無いのは当たり前で誰も住んでいる気配がしなかった。そんな中で一際目立つ屋敷が有り、そこに向かって歩いていくのであった。

屋敷の中にアイリとカズマは入っていく。

アイリが玄関に入ると一人の老人が現れ「ようこそ、いらっしゃいました。今日は、どのような御用でしょうか?」と言い。アイリの父が「久しぶりだな、ジン」と言い。アイリは「えっ?」と言ってしまう。すると「おぉ、これは失礼しました。お嬢様の婚約者の方ですね?初めまして私は執事のジナイーダと申します」と言うと。

アイリは慌てて頭を下げる。そんな様子のアイリを見て、アイリの父が苦笑いしながら「そう緊張するな。こいつと会うのも久し振りだが、こいつは、お前の事を小さい時から知っている男だから、気を使う必要は無いぞ」と言い。それを聞いたアイリが俺を見て「どうして、あなたが知らないふりをしていたの?」と言うが。

カズマはアイリが自分に向けている表情を見てしまうと「いや、違うからな。別に忘れてた訳じゃないから、それにしても綺麗になってるな。アイリ」と誤魔化すように話すと「う、うん。それはカズマのおかげ」と言うと顔を真っ赤にする。そんな様子を見ていた、アイリの父が「まぁ、立ち話を続けるのは良くないしな、まずは中に入りましょうか」と言いアイリとカズマは部屋へ連れていかれるのであった。

それからカズマはアイリの父と、いろいろ話し込むのであったが、その間アイリは大人しく紅茶を飲みながら待っているのであった。

しばらくしてアイリの父の電話が鳴るとアイリの父親が電話で誰かと話し始める。その横顔を見たカズマがアイリの方に視線を移そうとするが、それを見ていたアイリに睨まれるので仕方なく我慢して待つことにした。だが「はっ?どういう事だ。なぜ、その少年が犯人だと思わないんだ」と言ってきた。そんな会話を聞き、カズマはアイリを見るがアイリの顔色は青くなり始めていたので。「どうかされたんですか?」と声をかけるが。「カズマ君、実はだね。その君の友人の子が、この前、ニュースになった殺人鬼を捕らえたんだ」と言うとカズマが驚くと「それじゃあアイリが危なく」と言ったが「いや、心配しないで欲しい。この子は私の知人の所で暮らしているのだけど、その人は、とても優しくしてくれているみたいだから心配はいらないよ。それよりも、その少年と話をしたいんのだが会わせてくれないか?もちろん君が嫌だというならば、無理強いはしないと約束しよう」と言われるが。アイリが俺が断るかもしれないからと断ろうとするが、俺は「いいですよ」と言ってしまうのであった。

その瞬間、アイリの父が俺に微笑みながら。「では後で迎えに行くから準備をして待っていてくれ」と言ってくる。それに対して俺は「あっ、でも僕は着替えを持ってきていないので」と言うと「それに関しては心配要りません」と言ってアイリと俺を連れて、どこかへ向かう。すると俺は車に押し込まれて何処かに連れて行かれる。するとアイリが何か叫んでいたが「カズマ」と聞こえたので「また、すぐに戻るから」と言って車に乗せられた。

そしてアイリの家に帰るのかと思ったが、途中で降ろしてもらうとアイリは俺を追いかけようとしたが運転手が、それを止めてしまった。

アイリの父親は「さて、それでは、そろそろ話を聞こうじゃないか。カズマ」と言うので俺は何の事かと尋ねようとするが。「いや、そんなに警戒する必要はないよ。さっき言った通りで君は私の知り合いに預ける事に決まったから、そこの事は安心して欲しい」と言うが、いきなりそんな事を言われても信用出来るはずも無く。カズマは「そんなに心配する必要は無いさ。君は私の大切な娘を守ってくれたからね。そんな子に危害を加えたくはないから」と言ってカズマに手を伸ばそうとしてくるが。

カズマが後ろに下がって距離を取ると「そんなに、あの子のことが大事だったのか?それとも他に理由があるのか?もし後者であるなら。私は力になるから言ってみな」と言うと。カズマが戸惑っている間にアイリの父親が近寄ってくる。

アイリの父は、カズマの肩に手を置いて話しかけてきた。「君には本当に悪いと思っているが。どうしても、アイリを守る為に必要な事だったのだ。許してくれるだろうか?」と言うがカズマは何も言わずにいた。

そんなカズマにアイリの父親は、さらに近づいてきて「アイリは私にとっても大事な一人娘でね。そんな娘に酷い事はしたく無いから。君は私に、これから何をされるかも分かっていないようだね」と言うとカズマに腕を振り上げてビンタしようとするが、それを避けようとカズマは避けてしまう。

それのせいでアイリの父がバランスを崩してしまうと。「貴様!俺の娘を泣かせおって」と言って、今度は胸ぐらを掴んでカズマを引きずるとカズマを壁に打ち付け。そのままカズマの上に乗っかり「俺が、お前の事を、どんな目で見ているか分からせなければ分からないみたいだな」と言いながらアイリの父親が再び手を上げてくると。「もう、やめて下さい」とアイリの声が聞こえてきて、カズマが声のする方を向くとアイリが涙を流して立っていた。それを見るとアイリの父はカズマから降りて「お前、今の状況が分かっているのかね」と言うと「分かっています。私は今よりもずっと辛い目にあうことになるでしょうけど。それ以上に私は今より辛い状況になりたくないです」と言い出した。

それを聞いてアイリの父は何も言えなくなり、「アイリ、とりあえず家に戻ろうか」と言い歩き出すとカズマは地面に腰を落とすがアイリは父の後をついて行き屋敷の中に消えていくのであった。

「アイリのお父さん、僕が何も知らない事を分かっていながら」と怒りを露にしているカズマの目の前で扉が開くとアイリが姿を現した。そんなアイリが着ているのは白を貴重としたドレスだったのだがカズマの姿を見て恥ずかしそうな顔をしている。その姿を見ていると「いらっしゃい。今日はアイリと一緒に食事を楽しむと良いよ」と言って、アイリの父は去って行くのだった。

そんな父の姿を見ながら、私は複雑な気持ちになってしまう。

私がカズマと一緒に暮らすようになった事で父が私達の関係に気づいた時も最初は反対されたが最後には「お前達の事を応援する事にするよ」と言われてから。特に怒られた記憶が無かった。そんな父の態度の変化に嬉しさを覚えていたのも確かだ。

だが、それはあくまで父と娘の関係性としての話であって。男女の仲として見られているとは思っていなかった。

「カズマ、どうしたの?」と聞くと。「いや、なんでもない」と言って誤魔化されてしまう。私は自分の服装が気に入らなかったのかも知れないと思い。少し露出度が高いのではないかと考え始めた。そんな事を考えるがアイリは気にしていない。むしろ今の自分はカズマと2人っきりなのだと自覚し始めているせいで、どんどん変な方向に考えてしまいそうになる。

(ダメよ。いくらカズマが私の事が好きだからといっても。今日は、そういう日ではないわ)と考え、そして深呼吸すると。私はカズマの手を引いて屋敷の外へ出ることにした。

「ねぇ、カズマ。今日は何処かへ行かない?」と提案するが。「いや、今日は帰らせて貰う」と答えられるが。

私は必死に説得を始めるのであった。しかし「別に僕はアイリと2人で居られれば満足だから」と言いだしたので、これ以上は無駄だと判断するのだった。そんな事を言われたら諦めざる得ないからだ。

そう思って引き下がろうとしたが「あっ、そうだ。そういえば、アイリの父さんと母さんの所へ行く事になったんだけど一緒に来ないか?」と言われた。それで、すぐには返事が出来なかったので考えていると。

私の手が引かれるのを感じる。

カズマが「よしっ、決まりだな」と言うと「あっ、うん」と答えたのでカズマの手に引っぱられて移動していく。それから車に乗り込むとカズマと私の2人だけになる。その事に戸惑いを覚えるが、その前に「ちょっと待ってくれ」と言いカズマは私の頭を撫でると。「いや、アイリは似合ってると思うぞ」と言ってくれて嬉しい気持ちになっている。それから、しばらくして目的地に着くと私は緊張していたが。

そんな時に突然、手を握られるとカズマに手をひかれて連れていかれるのであった。私は手を離して欲しかったのだが。その行動に私はカズマの方を見て顔を真っ赤にしてしまった。なぜなら手をつないで歩くなんて初めての経験だったし、そんな事された事無かったから余計に恥ずかしくなっていた。

そして到着した場所はとても綺麗な洋館で玄関の前にはメイド服の女性がいたのだが。その女性は私達がやって来たのを確認すると頭を下げてきた。そんな女性を見たカズマは慌てて頭を下げるが、その動作があまりにも可愛らしく見えてしまうので。思わず、その女性に笑みを浮かべてしまっていた。そんな私の表情に、この女性の事を警戒しなくても良いんだと感じたカズマは、いつもの感じに戻るのであった。

それから中に入ると、そこには執事らしき人物が現れると「お帰りなさいませ」とカズマと私に向かって一礼してきた。それに対してカズマは「あっ、はい」というだけで。私が、その反応についていけない。そんな私の手をまた繋いで、ある部屋に案内されると部屋の中で待っていた男性に対して。「おっす。アイリの事は頼んだぜ。あんたは信頼出来るみたいだし」と言うと「任せて下さい」と言われる。そんなやり取りが終わるとアイリの父親が私達に話しかけてくる。「カズマ君、アイリの事を頼む」と。それに答えるようにカズマは。「あぁ、任せてくれ」と言ったが。その言葉を耳にしたアイリは複雑な気分になったのである。なぜならアイリにとって父親から頼まれる事というのは自分が異性に好意を寄せる事を意味すると思っていたからである。

だが実際にアイリが思っていた言葉は違っていて。それはアイリの父がアイリの幸せを第一に考えての事であり、そんな言葉を聞いたアイリの顔に微笑が生まれると。カズマが、そんな私を見つめていたので「何?」と聞き返してみたが。

アイリには照れている様に見えたのか「大丈夫だよ」と言ってくるが。それを無視して、そのままカズマに近寄ると抱きついて「ありがとう。私、絶対にカズマと離れたくない」と甘えると。カズマは何も言わずに私の背中に手を回してくれる。その温もりを感じた瞬間、心から幸せな気分に包まれる。

だが、それも長く続かなかったのだ。カズマと私が抱きしめ合っているのを目撃した男が急に大声を上げて「アイリ!俺だってな。お前を愛して」と言うが、途中で、それをアイリの父親は止める。そんな光景を私は、どこか遠くの世界の出来事のように見ていて、何もかもを諦めた状態で見ていたのである。

「アイリ。悪いけど今日は帰ってくれるかな?」

それなのにアイリの父は、こんな事を言い出したのである。どうして私にそんな事を言うのか分からなかったが「なんで?」と疑問に思うとアイリの父から、こんな事を言われる。

「君はアイリの友達かもしれないが。それでも今は違うんだ。アイリを預かる身としては。君は危険人物として扱わなければならないんだよ」

それを聞いて私の視界は暗くなる。

「そんな、それじゃ私達は会えないの?」

「いいや。君とアイリの関係は知っているが。それでも君にはアイリと付き合う資格があるかどうかを判断する為に試させて貰う」と言うと。私はアイリの父に連れて行かれた。その先には私よりも小さい子供と遊んでいる少年がいる。その子は私を、じっと見つめているが、特に気にしている様子はなく私にも挨拶してくれるが、どう接すれば良いのか分からず戸惑ってしまう。それからアイリの父は私に何かを渡してきたのであるが。それはナイフで刃渡り10センチ程の短い物だ。私は戸惑っていると、それを私に渡すアイリの父は「これで彼を刺して殺してしまえば、君はアイリとは付き合えなくなる」と言い出すので私は「どういう意味?そんな事をしたら」と声を上げると。アイリの父は言う。

「もし、そんな事をした場合には。もちろん私は君に危害を加えない。ただアイリに嫌われる事になるだろうね」と言われて私は何も言い返せなかった。そして「それじゃ私は帰るけどアイリの事をよろしく頼むよ」と言い残して、さっきの男性を連れて何処かに行く。

それから取り残された私の手の中にあるナイフを見ている。私は今まで人を、そんな理由で傷つけるなんてしたくなかったのだけど。それを持っているとアイリの為だと自分を納得させられる。

それから「アイリス」と声を掛けると「アイリスです。あなたの名前ですか?」と言われたが、私は答えられなくなってしまう。

アイリの父の言っていた通りに私は目の前の女の子が怖く思えて、すぐに逃げ出したくなったが。何とか堪えると「えっと、カズマって呼んで」と言うと。アイリの妹のアイリスが「分かりました」とだけ返事をして私に近づいて来る。そして私は自分の持っている短剣を眺めていたが。

私が迷ったまま動けなくなっているとアイリスは「私はアイリちゃんのお姉さんに何を言われても。どんな目にあっても平気だから安心して欲しいの」と言いだすので私はアイリスの言葉を聞きながら涙が出てくるのが分かった。するとアイリスは「ごめんなさい」と謝り始めたので、それが気になって聞いてみると「アイリお姉さんの事を好きになり過ぎたばかりに取り返しつかない事してしまったと思って、ずっと後悔していて」と言い出して泣き出してしまったので慰めると、さらに泣いてしまったのだが私は彼女を抱きしめると、その小さな体を強く抱きしめるのであった。

俺はアイリの父親から渡された、あの小さなナイフを握りしめていたのだか。なかなか覚悟が出来なくて悩んでいると。

いつの間にか部屋の隅の方にいた、アイリスと呼ばれた子がこちらに近づいて来て、俺の前に立つ。

そして俺に話しかけてきて「カズマさん、私を殺してくれるんですか?」と言ってきた。それで俺は慌てて首を横に振って否定したが、それならと言ってアイリスは俺の方に歩み寄ってくるのである。

それから彼女は俺の前に立ち止まると。その手に持っていた小刀を差し出して来た。

「カズマ様、私の命を絶つ役目を引き受けて下さいますでしょうか?」と言われてしまうが。その前に確認したい事があり「なぁ、ちょっと待ってくれないか」と言うと「なんでしょう」と言われる。そこで俺は聞く「お前が、これからしようとしている事を理解しているのか?」

「はい、アイリちゃんを助けるために必要だという事ぐらい理解しています。だから貴方様に私の全てを委ねたいのです」と言いだしたので、俺は彼女に近寄り「そのナイフで本当にアイリを助けられるのか?」と言うが「分かりません」とだけ答えてくるので「お前の命を犠牲にしてまで助ける必要があるのかどうか分からない」と言い返すと「私にとっては価値があります。私が死んだとしてもアイリお姉さんは悲しむでしょうが。私が死ねば、それだけでアイリお姉さんの心に少しは余裕が生まれると思うから」と言ってきたのである。それで、そんな事はさせられないと思い「やめてくれ、頼む」と言ってしまうが。

それから「私は貴方に殺される為に生まれたのに殺してくれないんですか?」と言ってくる。それから彼女が差し出した、その手に握られている小刀を見ると。

俺は彼女を傷つけずに説得できないかと考えたのだが。彼女の表情を見ていると、そんな事をしても無駄なのだと感じ取ってしまったのである。そんな時、俺の心の中に魔王として、あるべき行動を思い浮かぶ。それで、とりあえずは彼女を安心させる為に、ある言葉を口にしてしまう。

「そういえば俺がアイリを助けた事あるんだぜ」と

「はい、アイリお姉ちゃんに教えてもらいました」と答えてきたので「実はな。あいつは昔、かなりヤバい事に巻き込まれていて、それを俺とアクアで、なんとかしたんだが」

そこまで言った時点で「カズマ、そろそろ止めようか?」と聞こえたので、振り返るとレイナが居た。そして俺は冷や汗が流れるのを感じてしまう。

「なぁレイナは知ってるか?魔王が勇者に殺されかけたら。その時のショックで心が歪んで人格崩壊起こしたりする事もあるらしいぜ」と言いだした。だが彼女はそんな事に怯まず「そんな事言って、また、どこかの世界に行こうとするつもりなの」と言われるので「まぁ今回は違うけど、また、そういう事があっても、その時にアイリと出会って仲良くなってれば、きっと」

それを聞いたアイリスが「アイリちゃんと?」と疑問の声を出すので「あー、アイリとは友達だから」

そんな言葉が、つい口から出てきてしまい。そんな風に言ってしまう自分が情けなくなるが。「じゃあ、アイリに、こんな酷い事を頼まないよね」と言ってくるので「それ、は」と言って口籠っていると「アイリに会わせるつもりもない」とレイナは言うと。俺は観念する事にしたのだ。だが、こんな事も考えてはいた。

(このままアイリを行かせて良いのか?)

そう考えて俺は考えるのを止めたのだ。それからアイリスに対して「アイリス」と声をかけると「アイリスです」と言う。そんな彼女に「アイリには幸せになって欲しい。でも、こんな方法を取らせて申し訳ない」と言うと。

「いいえ、気にしないでください。私は嬉しいんですから」

「アイリと仲良くしてくれるか?」と尋ねると「もちろんです」と笑顔で答える。

「ありがとう。アイリの事、よろしく頼むよ」と言い残して部屋から出て行くのであった。それからアイリスは嬉しそうな顔をして「よろしくお願いしますね」と言い残して、そのまま部屋を出ようとするので。最後に「死ぬのはダメだから、絶対に」と注意して見送るのだった。

アイリの父親の部屋に向かう途中で、アイリスに「さっきは悪かった」と言いだすと「別に気にしなくても、いいですよ」と言われたのである。しかし俺は「いや、あんなの間違っているから」と反論すると「それじゃ、どうすれば良かったの?」と聞き返される。

「さっきの話を聞けば普通はアイリスの頼みを引き受けるよ。でも俺は、それが間違いだと分かっているから断ったんだよ」と言うと。「それじゃアイリスは、どうすれば良かったの?」と言われて困ってしまう。それに関しては自分で考えて欲しいと言うと。アイリスは黙って付いて来るだけだった。

それから部屋に戻るとレイナから文句を言われる。レイナの話によると俺とアイリが二人きりで出かけようとしたと言う話だったので、その事で何かあったのではと心配していたそうだ。それで事情を聞くために戻ってきたと、そう言われてしまう。それからアイリスがレイナに向かって頭を下げるので、何でコイツに頭を下げないといけないのか、という感じの顔をするレイナであったが「アイリスちゃんを責めたりはしてないの」とレイナが口にした瞬間に、すぐに謝ってきた。そしてレイナに説明を始めると。「それは、どうかしら?アイリが私に何も言わないはずないと思うんだけど。ねぇアイリ」と言いだした。そしてアイリは俺に抱きついて「お父さん、ひどいよ」と言いだすので、そのアイリの言葉を聞いて。「それなら、さっきの話は本当なのか」と言われて「そんなわけ無いじゃん。全部嘘」と言いだすと。アイリは泣き出してしまい、俺も「ごめんなさい」としか言いようがないのだが。それでも俺はアイリの事を慰めていると。

レイナはため息をつくと「やっぱり、あんた達が、そんな風になっているなんて信じられないわ。一体どんな手を、使ってるのよ」とアイリスの耳元で、ひそひそと言い出すので。「そんなんじゃなくて、ちゃんと話してるから」と俺も小声で答える。

そして俺はレイナに、あの時の状況について、詳しく説明する。それを聞いても彼女は、まだ納得出来ないようで、いろいろ言ってくるのだが。そんな事は知らない俺は。レイナの言葉を聞き流しながら、とにかくアイリの事だけを考えていた。そして、ふとアイリの方に視線を向けると。アイリが、いつの間にか寝ていた。その様子を見ながら俺は「大丈夫だよな」と言いつつ、この先、アイリの身に何が起こるのか、それが分からない不安が襲ってきてしまうのであった。

それから、しばらく時間が経って。アイリが目を覚ましたようなのだが様子がおかしい事に気付き。

アイリの方を見ると泣いている様子だった。そんな彼女に近づき「大丈夫か?」と声をかけると彼女は俺に抱きつき。泣きながら俺の名前を何度も呼びだした。そんな彼女を抱き寄せて背中をさすり落ち着かせる事にする。

アイリスの方を見てみると、俺の方をジッと見つめていたので「俺が助けるから、信じてくれないか?」と言うと。彼女は涙を浮かべたまま「はい」と言って俺の手を握ってくるのだった。そんな俺達の方を見ていたレイナは「なんのつもり?」と尋ねてきたが。俺は無視をしてアイリスを慰める事に集中する。それから俺はアイリに「もう泣かないで」と言うと、彼女が泣き止まないので「俺が側にいてやる」と言うとアイリが「約束して」と言うので「分かった。約束する」と言うと「本当に、どこにも行かないでね」と言われるので「行かないよ」と答えると「うん」と返事が返ってくる。そんな風にしている内にレイナはアイリを連れて部屋から去って行き。

俺と、その部屋に取り残されたのであった。

俺とアイリの事を見守ってくれてた人達が部屋から立ち去るのを見送った後。

俺は改めてアイリの事を見る。アイリはまだ涙を流し続けていた。そんな彼女の様子を俺は黙って見続けている事にした。すると彼女は自分の方から「カズマさん、お願い」と言ってきて「なんだ」と聞くと「私を殺してください」と彼女は、またそんな事を言いだしたのだ。それに対して「嫌だ」と断るが「貴方の事を信じるから、私の事を信じてくれますか?」と言ってきた。

それを受けて俺は考えるが。

だが、その前に、やはり気になる事があり「一つ聞かせて欲しいんだが、どうして死にたい?」と俺は聞くと。「貴方の為に」とアイリは答えるのだが、そんな事は当然受け入れられないので「アイリの為とかは、どうでもいいんだ。俺は自分がやりたいように、ただ動いているだけで」と言って。「アイリに死んで欲しくないだけだ。アイリが死んだら悲しいし、俺は、それだけは嫌だから、だから死なせない」と言うと。アイリは嬉しそうな顔になり。「はい」と言って笑う。だが俺は彼女の事が理解できないので。「お前、自殺志願してるの?」と言うと「え?そんなこと無いですよ」と答える。なので。「なんで自殺しようとしたのか教えてくれる?」とアイリに向かって質問するが。「え?それは」と言いよどむ。

そんな彼女に俺は「話したくない事なのか」と言うと「いえ、別にそういうわけではないのですが。私がカズマさんの迷惑になってしまうんじゃないかと、その、それで」と言いだしたので。その事に対して俺は、どうしても言いたいことがあった。

俺はアイリの事を迷惑だとは一度も思っていないと伝え。それを受けたアイリは嬉しそうな顔をしたが。それでも「でも、でも」と言ってくる。

そこで、ある意味俺はキレてしまうのだ。俺は立ち上がり怒鳴るように言ったのだ。「俺はアイリと一緒に生きていくんだ。アイリが居るんだから俺に死ぬ理由は無いんだ!」と言い放った。それを聞いたアイリが、驚いた顔をしていたのだが、そんな彼女を俺は強引に引き寄せ抱きしめる。そしてアイリが逃げ出そうとしても、絶対に逃がさない。俺は「アイリが何を悩んでいるのか知らないが、死ぬくらいなら一緒に生きていこう。それが、それこそが、きっと本当の解決法なんだ。だからアイリが、これから死ぬかもしれないと思ったら。絶対に俺から離れるな。死ぬな!いいな?」と、そう強く言うとアイリは何も答えなかったが。俺は、それでも彼女に言葉を続ける。

俺は「俺は絶対に諦めない。絶対に最後まで生きる。例え相手が魔王だろうが、何が相手でもだ」と言いながら。なぜか、俺は泣いていたのだ。そして「俺はアイリを失いたくはないんだよ」と言う。すると彼女は震えだしたのだ。「アイリは俺が居なくなって、平気なのか?」と聞いても何も言わなかった。

俺は彼女の頭を撫で続けて。「アイリを離すつもりはないから、アイリも、どうか俺を拒まないで欲しい」と俺に抱きついたまま泣き続けるアイリに俺は必死になって伝えるのだった。

それから少しするとアイリは落ち着きを取り戻す。俺は彼女から離れようとするのだが、彼女は俺の服を強く握り締めていて、離れようとしないので俺は仕方が無く抱き寄せてあげると。アイリの身体の暖かさが感じられて、俺は幸せな気持ちに包まれる。

俺は彼女に、どうして死のうとしていたのか尋ねるが、しかし彼女は「それは言えないです」と言い。俺はアイリの事が心配だったが、だからといって無理やり聞き出すわけにもいかず、そのまま時間が流れて行く。

しかし、このまま部屋の中で、いつまでも過ごしているわけにはいかないので。

俺は外に出ようとした時に、部屋の外から「開けるわよ」という声と共にドアが開かれる。そこにレイナの姿が見えて。俺は反射的に振り返ると。その時には既に手遅れでレイナが部屋の中に入ってくるところだった。レイナは俺達に近づいてくると俺を睨み付けてくる。そしてレイナからアイリに向かって声がかかる。「アイリス、ちょっとこっちに来てくれるかな」と言い。それからアイリスは俺に申し訳なさそうな顔を見せるので「大丈夫だよ。行っといで」と言い。アイリスはレイナについて行く為に俺の部屋を出て行ったのである。

俺は二人が出て行った後に、どうしたものかと考えながら窓から外の風景を眺める事にする。そして俺は自分の心の変化に気が付き驚くのであった。

アイリスはアイリが俺に謝りに来た。

彼女は俺に謝ってきたので、とりあえず気にしないように言うと「お父さんはお母さんとの事を認めてくれてたんですね」と言いだす。

その話を聞いて、どういう意味かと思ってしまうのだが。レイナはアイリスに俺との関係を話していなかったようで。

「私はてっきり、お父さんは認めてないものだとばかり思っていました」と口にする。それを聞いて、俺は困った顔をしていると。レイナは呆れたような顔をして「何、言ってるの?当たり前じゃない。あんた達が結婚するなんて事は有り得ないって何度も、この子の父親から言われてるんだからね」と言うのだった。

アイリがレイナの所に戻ろうとしていたのだが、その事に気付いたアイリの母から呼び止められたようで。アイリが俺達の所に戻って来た時は微妙な空気になっていて。レイナの方から「もう話は終わった?」と聞かれたので、俺はアイリの方に目を向けて見ると。彼女が何かを言い出しかねていたので。先にレイナに話をするように勧めると。「えーと。さっきの話なんだけど。貴方達の関係は、あの男からも許されてる事だし、だから」と言ったところで俺は割り込んでしまう。「俺達は婚約するんだから問題は無い」と言ってしまう。レイナは唖然としてしまい、それから「やっぱりか」と言ってしまう。それからアイリの方を向いて「この男の事を信用しすぎないように」と忠告をしたのだが。それに対してアイリは、どうしたら良いか迷っている様子だった。そんなアイリに対して俺は、まずアイリの父から認められてからでも良いのではと言ってみると、それもそうかといった表情になるのであった。

それから、しばらくして。俺は自分の家に戻り、今後の事を考えないといけないと思うのだが、正直何から考えたら良いのか、よく分からず、とにかく考えがまとまらない。

そんな俺の元に手紙が届いたのだ。それはアイリスからの手紙だった。

アイリスから届いた内容を確認する。その内容は俺の予想を超える物で。そこには衝撃的な事実が書かれていた。

「魔王軍幹部討伐、並びに魔王城への単独到達の功績により、勇者様は元の生活へとお戻りになれるそうです。それに伴い私も貴方の側に戻る事ができます」と。それを見た瞬間に俺は「はぁ」と大きなため息をつく。そして「やっと、ようやく、元の暮らしが戻って来る」と嬉しさのあまり涙が零れ落ちるのだ。

その事に、さらに涙は止まらずに流れ続けて「ありがとう。本当に」と、つい独り言を呟いてしまうのであった。

俺が、これからの日々を夢見て感動に打ち震えていると扉の向こうからノック音が聞こえてきて。それに反応して返事をするのだが。俺の元を訪ねて来たのは、レイナであったのだ。彼女は部屋に入ってきて俺の様子を見ていたのだ。それから俺に対して話しかける。「なんだ?泣いているの?」と言われてしまうのだが「まあ」と答えてみる。そんな風に適当に応える俺に対して彼女は「泣いていて良いから、聞いて欲しいことがあるのよ」と言うので。何を聞きたいんだ?と質問をしてみると。

レイナは真剣な顔をしだした。俺はそんな彼女を見据えると。彼女は「私と別れてください」と言ってきたのである。それを受けた俺は。どうして急に別れてほしいと、そう言い出したのか聞くことにする。すると「カズマが、どうしようもないダメ男だって事が分かったので別れた方が良いと思いまして」と言ってきたので「なんで?」と聞き返す。

レイナは俺の目を見て「アイリの事が好きでしょう?」と言うので。「もちろん」と俺は答える。

それを聞いたレイナは「でも、アイリは私の事が好きなんですよ?」と俺の目の前まで詰め寄ってくる。なので、俺は彼女の瞳を直視できないので。目線を逸らして、それでも「そうだとしても」と答える。すると「アイリは優しいから貴方を受け入れてくれただけよ。それは分かっているでしょう?」と彼女は言ったのだ。確かにアイリが優しいからこそ俺を受け入れる事を決めたという事は理解できる。でも、それはアイリの本当の気持ちではないとも思うので「それでも俺はアイリの側に居たい」と、俺は言ったのだ。

それを聞くとレイナは俯き。しばらく沈黙が続いた後に「それなら、どうすればアイリと、一緒に居られると思っているんですか?」と尋ねてきたので「アイリに認められるまでは我慢するつもりだ」と伝えると。レイナは深い溜息をついた後に俺に言い放つ。

「それで、もし認められないような状況になれば」と言いかけてレイナは口籠もる。そんな彼女を不思議に思い。「もしも、その時が来たら?」と俺は問いかけてみると。彼女は言いづらそうにしながらも「その場合は仕方が無いですけど。魔王軍の方に行ってください」と。そして俺は「魔王軍?」と言ってしまったが。レイナは俺の様子には気付いていないらしく。「そうです。今度魔王軍が勇者狩りを始めようとしてるみたいです」と口にする。

その言葉を聞いて俺は驚きを隠せなかった。まさか、このタイミングで。魔王軍が再び動きを見せるとは。しかも今度は本格的に攻めてくるとでもいうつもりなのか。

俺は少しの間考え込んでいたのだが。「でも、俺は絶対に魔王軍を潰すつもりでいます」と伝えて、それを聞いてレイナは何も言わずに部屋から出て行ってしまう。

その後で、すぐに僧侶ラミアにアイリスと二人で話ができる場を設けてもらうように頼み込むと快く承諾してもらえたので、その日の夜に二人だけで話す機会を設けてもらう事になる。

夜になるとアイリスが、俺の家の中へ入って来て。俺も、すぐに招かれた部屋へと向かったのである。そこで、アイリスに今まで何をしていたのかを聞かれて俺は魔王軍との最終決戦に向けて準備をするために仲間を集めて行動していたという事を話す。すると彼女は納得したような顔で俺の話を聞いてくれたのである。

俺は、そんな彼女の顔を見ると安心してしまうのだが「それよりも、今日は聞きたい事があるのです」と言われた時に、何だろうと俺は疑問に思ってしまった。それから彼女が、どうして死のうとしていたかを尋ねるのだが、アイリはその事に関しては何も言わないので「アイリには、もう聞いたんだが。どうしても、君が教えてくれる事が出来ないというのであれば、俺からアイリには何も聞かない」というと。「分かりました。実は私は貴方との事で色々と悩んでいたんですよ」と言う。

それを聞いた俺の心には不安が生まれていたのだ。もしかしたら自分が何か悪いことをしてアイリが傷付いているのではないかと思ったからだ。だが「アイリス、その悩みとは何なんだ?」と俺はアイリスの方を向いて尋ねたのだ。すると、それを聞いたアイリスは微笑んで。「貴方が浮気をしないかって悩んでたのよ」と言い。

その発言で、アイリスが笑顔だった理由が何となく理解できた俺は「俺はアイリスの事を信用している」と口にするとアイリスが「うん」と、やはり彼女は笑顔で返事を返してくれたのであった。

俺とアイリスはお互いに見つめ合うと自然に手を伸ばして手を握ってしまうのだが。アイリスは「アイリさんとは仲が良いよね」と言いだすので。俺は素直に伝えると「私の方がアイリスより好きになってくれるかな?」と言われてしまい。俺は困惑してしまうが「それは分からない」と答える。その答えを聞いた彼女は「そっか」と悲しそうな声を出す。それを見て俺が焦り始めるのだが。

それからアイリスは俺の耳元に近寄ると「本当は貴方とアイリが結婚してくれれば良いと思ってたんだよ」と言う。それを聞いた俺は動揺してしまい固まってしまったのだ。

アイリは、そんな様子の俺に対して。優しく頭を撫でてあげるのだった。

次の日。俺達は冒険者としての依頼を受けて仕事に向かう。

アイリと一緒に仕事をしたいところなのだが、まだ俺とアイリが恋人関係だという事を知っている者は少ないために俺は単独で行動することにした。そんな風に考えて町を歩いていると、俺は誰かに見られている事に気付いたのだ。俺は辺りを見渡して、その視線の先を探し始めたのである。すると「ちょっと待って!」と言われるが。その人物は俺を追いかけてきた訳ではなかったのだ。そして俺の前に一人の少年が姿を現すと「あの時は助かったぜ。お前のお陰で命を救われちまったからな」と言ってくる。

俺が首を傾げながら目の前に現れた男を見ていると「おいおい、冗談じゃねぇよ。この前の一件があって以来、ずっと感謝していたんだぞ」と言ってきたのだ。俺には心当たりが無かった為に、この男が誰だったのかと記憶を思い出そうと必死になっていたのだ。それから目の前の男は自分の名前を告げようとするのだが。「俺の名は―――」と。その名前を言う直前に「あのー。貴方は一体、何処から来た人なんですか?」と言ってくる女性の声が聞こえてきて。俺の後ろを見ていたのだ。

それから俺の後ろに立っている少女を見て俺は驚いてしまい。思わず後ずさりをしてしまったのである。なぜなら俺が出会った少女だったから。そんな俺の反応に対して彼女は少し寂しそうな表情をしたかと思うと、またも俺の方を向いてきたのである。すると「貴方が探していた女の子が見つかりましたよ」と、そう言われてしまう。俺は戸惑ってしまい何を言えば良いのか分からず。とにかく無言になってしまったのだ。そんな俺に対して、その女性は「やっぱり貴方は私を助けてくれたんですね。ありがとうございます」と言って、その女性は俺に向かって頭を下げたのだ。

俺には、その女性の言っている事が分からずに困惑する。すると女性が俺の目の前まで歩み寄り「貴方にお願いがあるんです。聞いてくれますでしょうか?」と、彼女は俺の目の前まで詰め寄ってきたのであった。そして「どうか貴方が探しているという人の居場所を教えてください」と言われたので。俺の頭の中は真っ白になってしまい、とりあえずはアイリの元に帰る事にしたのである。

俺が、この町の外れに居るアイリの元へ帰ろうと町の外へ出た時だ。俺はアイリから渡された通信用の魔道具を使ってアイリと連絡を取ることにする。俺は通信魔法を使うのだが。

俺から事情を聞かされたアイリが、まず最初に口にした言葉は、そんな馬鹿なといったものであった。彼女は「どうして、その子を連れて来なかったんですか?そんな事をすれば魔王軍は絶対に警戒してくるんですよ?」と言うと俺は「俺も、そんな事は考えたんだけどな」と言うが、そんな俺の返答に対して「本当に大丈夫なんですか?」と言い出すので。そんなアイリの言葉に対して俺は自信なさそうな態度でいると「それならば私が行きましょうか?」と言ってきたので俺はアイリに任せる事にした。

すると彼女は「それでは任せてください」と言ってくれた。そんな彼女に俺は感謝する事しかできないが、アイリに全てを任せてみるのも悪くは無いだろうと考えたのだ。俺はアイリが俺の家に来た時にアイリが居なくなった後の事を説明すると。アイリの機嫌が悪くなるのを感じた。そしてアイリは「カズマ様は私の側にいてくれると約束してくれたのではないの?」と不機嫌そうな顔をされてしまう。そのせいで俺は少しだけアイリの事が怖いと思ってしまったのだが。それでも俺は自分の考えを変える気はなかったのだ。するとアイリは「仕方ないわね」と口にした後に「私は、しばらく、この町に留まるけど、もしも私の所に戻らなかったらどうするの?」と尋ねてきたので俺は正直に答える。「それでも俺はアイリの側に居る」と伝えるとアイリは嬉しそうにして。「うん。私も、そうした方が嬉しいかも」と。そんな彼女の様子を見て、俺が少しだけ安心をしていると、彼女は、さらに俺を困らせる事を口にするのだった。

俺は「俺だって、ずっと、アイリの側から離れたくないけど」と言ってみるとアイリは嬉しそうに笑った後に、とんでもない事を言い出したのである。

「なら魔王軍に行けば良いのに。きっと皆が喜んで迎え入れてくれると思うよ?」と口にした。

その言葉を聞いて俺の心臓は飛び跳ねるかのように反応するのだが。アイリは俺の様子を楽しげに見ている。そんな彼女に対して俺は、どういう意味なのか質問をしてみたのだが。それに対してアイリは何も答えてくれずに俺の事を抱き締めると「ごめんなさい。今の私は、貴方にとって残酷かもしれない。だから今は言えない」と言い出したのだ。

その言葉の意味を、すぐに俺は知る事になった。

俺が冒険者のギルドに行こうと町を歩いていた時だ。偶然に会った冒険者が、いきなり「この裏切り者め」と怒鳴り込んできたのである。その男は、以前に一緒に冒険をしていた人物だった。俺は彼に何かしてしまったのかと思って謝罪をするのだが彼は怒り狂っているらしく話にならない状態だったために逃げることにした。すると彼が俺を追い掛けて来たために逃げるしかなかったのだ。

それから、しばらくして俺は捕まってしまうが、俺が魔王軍の兵士という事を知らなかった為に勘違いした冒険者達に暴行されそうになった。それを止めたのは俺の仲間の一人だった。その仲間も、魔王軍と繋がっている事が分かってしまったので、その仲間に裏切られて殺される。

俺の仲間たちは、どんどん俺から離れて行ってしまうのだ。俺は必死に助けを求めて叫んだ。しかし誰も助けてくれる者はいなかった。そして最後に残された俺は、その場に崩れ落ちるのだった。

すると、そこでアイリスが現れた。アイリスも、すでに、かなり傷付いていた。アイリスも俺と同じように仲間達や家族に騙されていたのだ。

アイリスは俺に手を差し伸べてくれるのだが。俺は彼女を信用できなかったので俺は手を振り払うと。アイリスは悲しそうな表情を浮かべた後で「私と一緒じゃなければ駄目みたいですね」と言い出した。俺は何の話をしているのか分からなかったが。アイリスは、そのまま俺を抱え上げて歩き始める。

そんな風に考えていると、アイリスは俺の手を引いて町を出てしまう。すると俺は「俺が町に戻るのは嫌がってたはずなのに何で?」と疑問に思ってアイリスに尋ねた。すると彼女は「私達が生きていくためには仕方が無いから」と言い出す。俺は納得できていなかったが、これ以上は聞くと危険だという事を察したので、もう何も言わないことにした。だが、このままでは、いつ殺されても可笑しくないので何とかしないと。俺は考えるのだがある答えに辿り着くと彼女は笑顔を見せるのであった。

俺とアイリスは森の中に入っていく。それから、ある場所に足を踏み入れると巨大なモンスターが出現するのだが。その姿を見て、俺は驚いてしまい「どうして!?」と声に出してしまう。

そのモンスターの名前はキングオークと呼ばれる種族である。このモンスターが出現した時には世界の終わりが近いと言われていて。魔王軍の中でも精鋭中の精鋭だけが相手にできると言われ。魔王城には一匹も存在せず、魔王城の周辺には一匹たりとも存在しないと言われてい そんな相手が現れると。当然のように周りから人が消えていった。アイリスが俺の方を向いてくる。そんな彼女に俺は尋ねるのだ。

「お前も死ぬのか?」と尋ねるとアイリは、少し悩んでから「いいえ。違う」と言い出してきた。そして俺に向かって言う。「貴方が生き残る道は、これしか残されていないの。私が貴方を連れて行く事で、この世界の終焉を防げる。それが貴方に残された最後の希望」と言うと、そのモンスターを、まるで、そのモンスターが俺の敵だと言うようにアイリスが睨みつけると。その巨体が動き出し攻撃を始める。

その圧倒的な力にアイリスでも勝てないと分かるが、その攻撃をアイリは、すべて紙一重で避け続けたのだ。その光景に俺は目を奪われる。俺が唖然としている間にも戦いは続いた。俺が見惚れている間にも。アイリスは、次々と、敵の攻撃を避けては相手の隙を見て攻撃を繰り返して。次第にアイリが優勢になっていき最後には倒したのだ。

それを確認した俺達は、そのまま魔王城に足を運ぶと、そこを警備していたのは、やはり勇者であったのだ。アイリは「どうして、貴方が?」と言うのだが勇者は笑いながら「レイナを取り戻すためだよ」と言う。

その言葉で、またも、この二人は戦う事になって、俺は二人の戦いを見守ることしか出来なかったのだ。

アイリと、かつて仲間だった勇者はお互いに本気で戦った結果。アイリが勝った。

その勝利を確認すると、俺は思わずアイリの傍に行き、彼女の体を支えようとするが、彼女は、そんな俺の行為に対して拒否する。彼女は俺に向かって、「大丈夫だから」と一言、呟くだけだったのだ。そしてアイリは地面に座り込む。そのアイリの姿を見て俺は「どうして俺を助けてくれたんだ?」と問いかけるとアイリは微笑みながら「私は貴女に、ずっと、ここに居て欲しいと思ったからよ」と言って俺の頭を撫でるのだ。そのアイリの優しさに触れてしまった俺は、その感情を抑えられずアイリに、ずっと俺と一緒にいてくれとお願いする。その言葉にアイリは涙を流しながら「うん。ありがとう。大好きだよ」と答えてくれる。俺も涙が出そうになるのだが、それを隠して「ありがとう」と答えた後にアイリは俺に向けて魔法を放つと眠りについてしまったのである。そんな彼女を見て俺は「大丈夫。俺が絶対に幸せにする」と言い出して抱き抱える。それから魔王のいる玉座に向かうと。そこには既に他の四天王が待機していて俺達の事を待っていた。俺は「よく来たな」と言う魔王に対して剣を構える。すると「ほう。俺に挑む気か? 良いだろう。かかって来るがいい」と言い出すので俺は躊躇せずに魔王の首を斬り落とした。すると俺の中で、何かが壊れる音が聞こえた。その瞬間に俺は自分の意識が無くなっていくのを感じて、その場に倒れこむのだった。そんな俺に「これで俺とお前は対等のはずだ。俺の力の半分をお前にやる。それで魔王の力を半減させて俺が世界を終わらせないようにしろ。頼んだぞ」と言い残した魔王の言葉が、かすかに聞こえる中、俺は完全に意識を失った。

目を覚ますと俺は見知らぬ場所にいたのだ。そして、そこに居たのは俺が探していた女性。俺の恋人であり大切な人だったアイリが俺の体を触っていた。彼女は嬉しそうに「カズマ。ようやく目が覚めたね」と言ってくれていたのだ。俺は嬉しさのあまり泣きそうになっていた。そんな様子の俺に彼女が優しくしてくれる。俺は、それに甘えて、ただ泣いたのだ。それから彼女は「魔王の力は強大すぎた。私達も全力を出したんだけどね。でも私達は貴方の事を応援している。これから、どうするかは、あなた次第だけど、どうか後悔しない生き方を選んで欲しいの」と彼女は言い出した。

そんな彼女に対して、俺は何を言って良いのか分からなかった。彼女は「今度こそ、お別れだね」と言って俺の前から姿を消した。そして残された俺が、ふらつきながらも立ち上がろうとした時に、一人の少女が俺の前に姿を現したのだ。「魔王の魂を受け継いだ、この世で一番、強い人よ。貴方が望むならば、貴方を新たな王として迎え入れましょう」と言い出してきた。その言葉に、どんな反応すれば良いのだろうかと思っていると。目の前の少女は少しだけ悲しそうな表情を見せた後に「貴方に拒否権はありません。私は、この魔王城に住む民を守るためには貴方が必要なのです」と、そんな風に言われた。俺に拒否権はないらしいので俺は覚悟を決めて。彼女に、ついて行く事にしたのだ。それから魔王軍の仲間入りをするのだが。俺は魔王軍の者達が人間だと聞いて、とても驚いてしまう。そこで俺は魔王軍に自分が勇者であることを、正直に打ち明けるのだが魔王の配下達は「別に問題ないです」と気にした様子がなかったので安心した。

それから俺は「魔王軍って本当に俺を信頼してくれているの?」と尋ねてみると、魔王が答える前に配下の者達が俺に向かって「当たり前ですよ」と口にしたのだ。それから魔王が、こう言った。

魔王が「魔王軍の皆に質問だ。この中で、もしも私が間違っている事をした場合には、その時は私を殺せる自信がある者だけが手を上げろ」と言ったのだ。魔王の問いに誰も手を出さなかったのだ。その姿を見て、ますます俺の中に恐怖感が芽生えてくるのだった。だが俺が魔王城で生活する事になった時。

俺の仲間が全員で駆けつけて俺に会いに来てくれた。俺は心の底から安堵してしまう。そこでアイリに再会すると「無事だったんですね」と言われた。俺はアイリに「アイリこそ無事で良かった」と言うと、そこで魔王が「お前の仲間達には私達の正体を教えても良いのではないか」と提案してきたので俺が了承するとアイリが、俺達を仲間の元へと案内してくれたのだ。

俺とアイリが仲間達に事情を話すとアイリと俺の仲を知っている仲間の二人が納得してくれた。アイリが俺の事を愛していてくれる事を知ると二人はアイリの事を羨ましがった。その姿を見て俺は「二人の想いは俺が受け継ぐ」と伝えると。その二人は感動していたのである。その後に俺はアイリスに抱きしめられて泣いていた。アイリスが「カズマさんの居場所を作っておきました。私の部屋を使って下さい」と伝えてきたので、俺は喜んでアイリスの部屋で一緒に過ごす事にしたのだ。その日の夜はお互いに激しく求め合うほど、熱く愛を深め合った。

翌朝に俺達はアイリスの部下である女性に魔王城でのルールの説明を受ける。魔王城は基本的には自由に出入りできるが、アイリスと、もう一人の四天王の許可がなければ、この場に入れないと言う話であった。それから魔王の配下達は、それぞれ役割が与えられていて魔王城の維持のための仕事があると言う。

その日は俺とアイリスと、もう一人の魔王軍の幹部と過ごして、この世界を救う方法を、あれこれと考え始める。そんな時に、魔王軍の一人が魔王城に現れたのである。魔王は、この人物を見ると顔を歪ませて、まるで汚物を見るような眼差しを向けてから「何の用事だ?」と言い放ったのだ。その魔王の反応に俺達が困惑するが、魔王の視線を受けている本人は全く気にもせず、こんな事を言ってきた。

俺に対して自己紹介を行うと「初めまして、勇者様。僕の名前は、イリスと言います。勇者様が魔王を倒されて復活なさると信じておりました。どうか僕のお願いを聞いてくださいませんか?」と笑顔で言うのである。その様子に俺は嫌な予感を覚えたのだが「どんな内容ですか?」と尋ねるとイリスは「僕は勇者の素質を持った子供を欲しているんですよ」と言ってきたのだ。それを聞いた俺は驚いた。なぜなら、この男から感じられた邪悪な気配に気が付いて、こいつは、もしかしたら魔族の関係者ではないかと思ったからである。そして俺は警戒を強めながら、どういう理由で子供の話を持ち出してきたのかと尋ねると「貴方に子供が出来たと、あの方から伺いまして」と答えてくれる。その答えに魔王が怒り狂いながら「おい。その子供を連れて来い」と言い出したのだ。

俺は魔王の様子を見守り続けると、イリスが言うのだ。「貴方の子供を差し出してください」と。魔王は俺に対して「この男は貴様に子供が出来たと、嘘をついているんだ」と言い出す。その言葉を聞いて俺は驚きを隠せなかった。するとイリスが俺に語りかけるように話を始めたのだ。「魔王を倒した勇者と、この国の女王との間に生まれた子供。これは素晴らしい素材になるとは思いませんか?」と言い出したので俺はイリスの言葉を聞き終えると、その考えを却下する事にする。そして魔王が「ふざけるな。お前は、ここで始末してやる!」と激怒して剣を振り回し始めたのだ。その姿を見て俺とアイリスと部下の女性は、この魔王を説得できないのかと思うのだが。

結局はイリスに返り討ちに遭ってしまい、その場で殺されてしまった。そんな光景を見て俺は絶句してしまった。それから魔王城の中でアイリスと俺だけになってしまったのだ。その日から魔王城に新たな支配者が誕生する。

俺は今。魔王として君臨中である。この世界を救うために行動を起こすのだが。そんな俺に一人の女性が、ある事を提案してきたのだ。「魔王様。この世界に転生させた神様からの手紙によると、貴方は元の世界に戻りたいと望んでいますよね? 私に良い案があります」と言って、彼女は俺に耳打ちするのだった。俺は彼女の話を聞いた後に、どうすれば良いのか迷う。そして決断を下した。その女性は俺に「では早速ですが魔王城の地下に封印されているダンジョンの入口を解放してきてくれませんか?」と言い出したのだ。

俺の目の前に突然現れた少女。彼女は「こんにちは、私は貴方の願い事を叶える事が出来る能力の持ち主よ」と言う。そして少女が「私は貴方の力になりたいと思っている」と言うので俺は彼女の名前を訪ねてみる。すると彼女は「私は貴方達の言葉で言えば女神と呼ばれているわ」と言うのだ。その言葉を信用できるはずもないが。俺としては現状を打破できる手段を探していたので、とりあえず女神に「俺が本当に願っている事は、なんなんだ」と聞き出してみることにしたのだ。すると彼女は「本当に自分のしたいことが、よく分かってないようね」と言ってから、ため息をつくのである。

俺が自分のやりたい事が分からないというと。彼女は「まあ、それは貴方の問題であって私に責任は無いんだけどね」と呟いて、俺を見つめ直す。そして「そういえば。貴方は自分が生きている間に自分の夢を見つけることができなかった。だから、このまま生き続けて死ぬのが怖いのでしょう」と言われてしまう。その通りだと言わざるを得なくて俺は黙り込んでしまう。そんな様子の俺を見た彼女が「じゃあその夢を私が貴方に教えようかしら?」と言ってくれるので俺は少し期待をしてしまうのである。彼女は「実はね。貴方が思っているよりも貴方の能力値は異常に強いの。そのおかげで貴方は普通に生活していれば絶対に死なない。そう思えるほどのステータスを得ている。だからこそ貴方は自分の能力を正しく理解してないの」と言い出した。確かに今の俺なら大抵の相手に勝てるとは思うけど。でも実際に戦ったことがないので本当のところは不明だったりする。すると彼女は「貴方はね。普通の人間とは違う方法で成長をしている」と言う。それについて質問しようとすると「今は貴方の成長の仕方については、私には関係ないので話を進めさせてもらうわね」と言われた。そんな彼女に、つい苛立ったのだが俺は黙って聞くことにした。それから彼女は俺に「貴方がこの世界で何を為すか。貴方が、この世界の何処で生きたいかを決めなさい」と俺に伝えてくれたので俺は、この世界に俺が生まれた意味を考え始めたのだ。それから俺は彼女に対して、どうして俺に親切にしてくれるのか、と問いかける。すると「私の暇つぶしの為」と答えた後に。彼女は、しばらく考えるような表情を見せる。それから「本当は貴方の願いを叶えたいから手助けをすることにした」と伝えてくれる。だが俺の願いなんて、もう決まっていた。俺は魔王を倒す事と、勇者であるレイナともう一度会える事を願っていたのである。そのことを口に出そうとした時だ。

「やっぱり、その願いだと、まだ足りないみたいだわ」

俺は驚いて「どういう事だよ」と、つい尋ねていた。俺が質問した時だ。俺の頭に痛みが走る。そして俺の意識は暗転してしまうのであった。

目を覚ますと、そこに見慣れない風景が広がっていたのだ。だが、すぐに自分が倒れている事に気が付く。体中に痛みを感じている。それから周りを見渡してみて「ここは?」と言うと、近くに居た男性が話しかけてくる。彼は「お目覚めになりましたか。魔王様、ここは魔王城ですよ」と口にして微笑む。その男性から「まずは傷を癒しますね」と言われたので彼が何か魔法を使っているらしいと察した。俺は「貴方が治療してくれましたか?」と彼に訊ねると、こう答えてくれる。「えぇ、私は僧侶ですから、回復系の魔法は使えますよ」と答えてくれて。その後で、その男性は、この部屋から出て行く。俺はベッドから起き上がって部屋の様子を確認して「あれ? 確か俺、さっきまで、この部屋にいたはずなのに」と思って、この部屋の中を確認し始める。

この部屋は、どうやら、この魔王城に居る者が過ごすような部屋に見えたのだ。そんな俺の元に先程の男性が戻ってくると、お茶とお菓子を持ってきてくれる。俺は「貴方の名前を聞いても良いですか」と質問をする。それから俺の自己紹介を始めると、彼の名前を教えてくれる。彼の名前はマーロウという名前だった。俺は「ありがとうございます」とお礼を言いながらも疑問を感じていたのだ。

「貴方は、ここにいる魔王様に仕えています」

俺がその事を質問しようと思っても先に彼から話されてしまう。どうしようかと悩む。そこで「貴方の名前は、何と言うんですか」と質問をされたので素直に名乗ることにした。そして「俺が魔王というのは冗談なのか?」と尋ねたかったが、それを尋ねる前に、俺に近寄ってくる存在がいる。俺は警戒しながら後ろを振り向くと、そこには小さな女の子が立っていた。その子は笑顔を見せながら「パパ~!」と言いながら抱き着いてきたのである。俺は混乱しながらも状況を整理し始める。この子が、もしも俺の娘だとしたら年齢は三歳くらいに見えるが。見た目は十歳の少女なのだ。その事から考えられる事は一つしかないと悟る。この子を産んだ覚えが無いので、この子は誰か別の人物の子供の可能性が高いと推測したのだ。

しかしだ。仮にそうだとしても、こんなにも小さい子供を一人で放置しているのは、おかしい。そんな事を考えていると、この少女の母親が姿を見せる。その母親も、やはり幼い少女の外見をしており。この子の面倒は、この二人が面倒を見ているという可能性が高くなった。その事を理解すると「この子を、どこに預けてきたのか」と、つい聞いてしまう。

「預かっていません」その言葉を聞いて俺の背中に冷や汗が流れるのを感じる。「ちょっと待ってくれないか? それだと貴方達の子供だろう」と言い出すが、どう考えても俺の子供には見えなかったのだ。それにも関わらず俺の子だという答えを出した少女。そんな彼女を見ていると俺は嫌な予感を覚えるのだった。そして彼女は、「この子に貴方の子供と偽って名前を登録しました」と答えを出す。どうなっているんだよと思いながらも俺は「それで?」と言ってしまったのだ。その言葉を聞いた後で彼女は言う。

「私達は勇者の末裔を、貴方に届ける為に魔王を退治するように言われていました。勇者の末裔である、この子と、勇者の子孫である、あの方を、一緒に育ててください」と言い出したのだ。俺は困惑して「どういう事なんだ。俺は魔王なんだぞ。それに魔王は俺一人だけじゃなくて」と言うと。その言葉を遮られるように「この方は貴方の分身なので、問題ない」と、その少女の母親に言われる。俺は、それを聞いて驚くしかなかった。

俺は「どうして俺の分身なんか作ったんだ?」と二人に向かって尋ねると。その問いに彼女が答える「私達が作った理由は。貴方の能力を少しでも上げるため。そして、貴方の能力値を受け継いでいない、この子の為に」と言われるので俺は、それなら、わざわざ、そんなことをする必要は無かったんじゃないのかと思ったが。あえて何も言わずに二人の様子を見守り続ける事にする。

「私達には、もう時間がないの。だから貴方が、どうしても必要になったの。貴方の子供が成長するのを見守っていられないの」と彼女は悲しそうな表情を見せて俺に訴えかけてくる。だが俺に子供はいないはずだから彼女の勘違いだと思っていたのだ。だけど、もし本当に俺の子供なら、ちゃんと育てようと思ったので「これから、よろしくお願いします」と言うと。彼女は涙を浮かべながら嬉しそうに笑うのだった。俺は彼女達の態度を見て少しばかり疑問を抱くのだが、とりあえずは、この子の父親のふりをし続ける事に決めたのである。そして「俺の願い事は決まったよ」と呟いた後に俺は「俺の夢は、この世界に生まれた理由を見つけること」と言う。その言葉を耳にすると、なぜか二人は驚いたような顔をした後に二人で目配せをしていたのであった。

俺はリリイと、レイナさんと話をして、まずは勇者である父親を探そうとするのだが、そんな俺に対して彼女は「まず、お父さんを探すよりも貴方の力を伸ばす方が先だと思うわ」と言ってくる。その事に関してレイナは「そうね。リリイちゃんを助けるのには、まずは力を付けないと駄目だと思う」と言った。そして彼女は続けて「それに。私達が今、戦っても魔王軍の幹部には勝てそうにないもの」と俺達に告げたのである。その事に関しては納得できる部分があるから俺は「確かにレイナさんのいう事も正しいと思うけど。勇者のお父さんを探し出して、この現状を伝えた方が良いと俺は思うんだけど」と答えた。

そう言ってみると、今度は、リリイが「でも、そんな事してる場合じゃない」と意見を言うのであった。俺は彼女達の意見を比べてみることにする。そして俺は考える。勇者と魔族では根本的な考え方が違う気がしていたのだ。だからこそ「確かに勇者である、あなた達には、まだ早いかも」と思って、もう少し魔王軍について調べてから行動を起こそうと提案をしてみたのだ。それなのにだ。そんな俺に、またレイナさんは「そんなのじゃ魔王は勝てない」と俺の案に異を唱えるのである。そんな感じで俺達は揉めてしまった。そこで俺の脳裏に何か嫌なものを感じたのである。それは直感というべき感覚かもしれない。その瞬間。

「魔王よ。貴方の命を貰いに来たよ」と目の前に一人の男が突然現れる。その姿を目にしてレイナとリリイが怯えた様子を見せたので俺は彼女達の前に立つ事にする。それからレイナの父親だと思われる勇者の姿を見ると「俺の事を知っているのか?」と問いかける。すると、その男の顔が一瞬だけ、どこかの魔王のように歪んで笑ったような気がした。俺は、その事に疑問を持つが今は気にしないようにした。それから俺は「あんたが勇者なのか」と聞くと。男は「あぁ、そうだとも」と口にする。それから「お前の能力は危険だと判断したのだよ」と言われたのであった。俺はその言葉を聞くと「何をするつもりなんだ?」と彼に聞く。すると彼は「もちろん君を抹殺する事だよ」と口にした。そこで俺は、こいつは俺を殺すつもりだと悟ると、どうすれば良いのかを考える。このまま戦うにしても、まだレベルが足りないから死ぬのがオチだと理解していた。

「俺は戦いたくないと思っている。だから頼むから、ここから出て行ってくれないか?」俺は彼に交渉を始める。しかし「ふっ、そんな事は許されないよ」と言われたのだ。俺は「そうなのか」と言って剣を構えようとするが、どう考えても、まともに戦う事なんてできないと察してしまう。俺が焦っている間にも勇者は一歩ずつ近づいてきた。

そんな時に、レイナが「私に任しなさい」と言い出すと聖女として使えるはずの回復魔法を発動させて、なんとか俺を回復させてくれたのだった。それに加えて、もう一人の小さな女の子は「パパ! 大丈夫なの?」と言って抱き着いてくる。それに対して俺は「うん。平気さ」と微笑みかけたのだった。そんな時だった。俺は、とあるスキルを思い出した。

俺は「よし! こうなったら一か八かだ!」と言って俺は魔王のスキルを発動させる。すると俺の体に力が宿り始めるのを感じ取る事ができる。俺は、そんな魔王としての自分の能力を確認すると、すぐに、そのスキルを使って、その場から離れようと走り出した。すると勇者の動きが止まったのだった。俺を追いかけようとしたが、どうやら、こちらの方が先に逃げ切れそうである。

しかし俺には、そんな勇者に追いつかれる未来しか予想できなかった。だが勇者の攻撃が、いつまで経っても飛んでこないので「まさか!」と思ったのである。そこで俺は振り向くと「やっぱり」という言葉を口から出してしまったのだ。なぜなら俺の思った通り勇者が俺に向かって倒れ込んでいたのである。俺は何が起きたのかを理解する為に、どうして、そんな状況になっているのかを調べることにした。

俺は倒れる前に勇者は俺を攻撃しようとしていたはずである。それにも関わらず勇者は、なぜ攻撃しようとせずに地面に倒れたのか。それを考えて見ると、その理由は勇者自身の体にある事に気づく。俺を攻撃した事で勇者自身もダメージを受けていて体が動かせなくなっていたのだ。しかも、その怪我が、そのまま、俺を追いつめる為の行動に出られないように制限をかけてしまっている。その事実に気づいた俺は勇者の元に駆け寄って彼を背負い始める。そんな俺を見たレイナとリリイは慌てて「助ける必要はないわ」「パパ! そいつも殺すべき敵だ」と二人揃って俺を止めるような発言をしてきた。

「それでも。こんな状態なら、ここで殺すよりは、まだ命を救うべきだと思う」俺は二人の発言にそう返事をする。それを聞いたリリイが「どうして」と悲痛そうな声を上げるのであった。

そんな彼女の頭を俺は撫でる。

「この人は、俺の父なんだよ。だから、きっと父さんなら、そんな事を言い出さないはずだから、この人も救うんだ」と言いながら俺達は急いで村の外に脱出する。その途中で、この村に住んでいる住人達が俺を睨むように見ていることに気づくと「どうも魔王です」と言って村人の反応を確認しようとしたのだ。

「おい、そこの兄ちゃん、どうして魔王が、ここにいるんだよ」と言う中年の男性の声を聞き。やはり俺は警戒されていた。だが「ちょっと、待ってくれ。俺達は勇者を、ここに置いていきますから」と言って俺は勇者の父親である彼の姿を隠し通そうとするのであった。それから俺達は勇者を置き去りにする形で立ち去ったのである。

「それで、この人、一体、どういう状況なんだろう?」と俺は、その勇者の状態を見て、そんな事を呟いたのだった。俺達の前に現れた勇者。しかしその勇者は勇者としての姿ではなかったのである。勇者は俺の姿を見て驚いたような表情を見せた後に、「まさか、お前、生きていたのか?」と、いきなり意味不明な質問を投げかけてくる。そんな言葉に対して俺は答えられないでいた。そのせいで勇者の奴が俺に対して攻撃を仕掛けてきた。

「この魔王、よくも、この俺様を殺そうとしてくれたな」

そんな事を言って勇者は怒り狂っていたのである。だから俺は慌てて逃げ出したのだが、あっさりと追いつかれて殺されそうになったのだった。

しかしレイナの父親が咄嵯に俺を助けてくれて事なきを得る。だが俺は勇者と戦う羽目になるのだが、まったく相手にならなくて俺は殺されそうになるが。そこでレイナが回復魔法を唱えて、かろうじて俺は助かったのである。そんな出来事の後で、この勇者を村に残していけないと思って連れ帰ろうとした。しかしレイナの父親によって「俺達だけで行こう」と言われる。

そんな訳なので、仕方なく俺はレイナの父親を連れて村の外を目指す事になる。その道中に勇者に「あんたは俺達と敵対するんじゃないのか?」と確認すると。彼は笑いながら「今は、お前達の力を借りてでも生き延びなければならないと考えている。それが今できる俺の最後の手段だと思っている」と言ったのだ。そんな感じで会話をした後で、どうにかして、ようやく外に出られたのである。それからレイナが「まずは勇者さん。あなたの力を貸してほしいのだけど、お願いできるかしら」と言って協力を要請した。

その頼みに対して勇者は「いいとも」と答えるとレイナが「それじゃ私の手を握りなさい」と言って彼女は勇者と手を握ると勇者の力を吸収すると、その姿が勇者の姿へと変わったのだった。その光景を見た俺が驚くと同時に勇者もまた驚いている様子を見せていたのである。その様子に、どんな反応をしたらよいのかと迷っている間に、勇者の体は徐々に回復していった。

勇者がレイナと手を繋いだ事でレイナの父親の時と同様に変化が起きる。

それから彼は自分の体を眺めるとレイナの方を見て何か言い出そうとしたが「それよりも早く行くよ」と言われてしまう。そして俺は勇者と一緒にレイナ達から離れるのであった。

俺達3人で行動している時に俺が「あんた、これから、どうする気なんだ?」と尋ねると彼は困った顔をしながら答える。「とりあえず仲間と合流する為に移動しようと考えている」そんな言葉を聞くと「だったら、ここから近い町に移動するぞ」と言うと「そうだね。案内してくれるかな」と、なぜか敬語で頼まれたので俺は、それに「ああ」とだけ答えるのであった。そんなやり取りをしているうちにレイナの村が見えなくなる距離に辿り着いたのだ。

しかしそこで俺は違和感を感じる。なぜならレイナ達が歩いている道の方に人の気配がしたからだ。それも複数だと思われる。

俺は嫌な予感を覚えてレイナ達の前に出ると、そこから現れた連中と戦闘になった。それは勇者と俺が戦っていると突然現れた複数の魔族と思われる男達の集団だ。彼らは俺が倒した魔王の部下と、よく似た姿をしていたので、どうやら、その魔王が操っているらしいと予想できたのである。

そう思いながらも、その数を相手にする余裕がなかったので俺は逃げる事にした。すると「魔王が逃げましたよ」と魔族が言うと俺の逃げた方向に先回りしていた魔族の部隊が一斉に襲いかかってきたのであった。その攻撃に気を取られた俺は、さらに、その部隊の先頭に立っていた奴が放った攻撃を受けて地面に叩きつけられる。そこで勇者が心配そうな表情を浮かべていた。

そんな勇者に安心するように微笑みかけると俺は立ち上がると目の前にいる敵を睨みつけたのである。

「貴様、まさか」と勇者は驚きながら言ってくるが、その話は戦いが終わってからにしてほしいと思う。とにかく俺は戦い続けた。

その結果、どうにか全員を倒す事ができて、その場は乗り越えたが、すでに、かなりの体力を奪われてしまった上に傷を負っていたので勇者と共に近くの町で休ませてもらう事になった。

そんな訳で勇者の体調を回復させた後、俺達は話し合いを行う。その最中はレイナの父親が「どうして勇者は、この少年を殺さなかったんだ?」と不思議そうに尋ねてきたのだった。

勇者も少し戸惑っているのか苦笑してから話を始める。

「魔王の力を宿す少年と、その妻だった少女か。確かに君達なら勇者と魔王の間に生まれていても納得できる存在ではあるかもしれない」

そう言って勇者は「ただ残念ながら、その力は、もう失われているはずだ」と言って首を横に振ってみせたのだ。その仕草にレイナは不満そうな態度を見せているが俺は何も反論しない。勇者は「君は自分が死んだと思っただろうが、あの時は本当に危なかったんだよ」と言って説明を始めたのである。

勇者によると勇者の傷は、どうにも、それだけが理由ではなかったようだ。

俺を攻撃すれば、そのまま勇者は死んでしまう可能性もあり。

その危険性を考慮して攻撃する事ができずにいたのだそうだ。

そのせいで瀕死になっていたのだと説明する。そんな勇者の言葉に対して「それじゃ私を助けた事は、やっぱり」と、そこまで言ったところでレイナの父親が勇者に殴りかかっていったのである。

その勢いに押されて勇者の奴が倒れ込む。そんな勇者の上にレイナの父親は乗っかるように押し倒すと「勇者! 貴様は何を考えている!」と叫んでいたが。

勇者の方は困惑の表情を隠せずにいたのだった。

俺は、そんな光景を見ながら思う。

俺が魔王として蘇るまで、リリイも勇者の娘も俺が魔王だと知らなかった。だから、この二人に俺を殺すように説得させる為には俺を、もう一度殺す必要もあった。なのに、そんな事をしてこなかった勇者は、どうして俺に命を懸けてまで守ってくれたのかと疑問を抱いたのである。しかし「何のつもりだ」と言いたげな勇者にレイナの父親が「勇者、お前、魔王とリリイの嬢ちゃんに惚れているんだろう?」と聞くと勇者の顔は赤く染まる。

「そんな事を急に言われても困る」

勇者は戸惑いを見せながら否定しようとしたが、レイナの父親が「魔王とリリイは良い子だよ。きっと仲良くなれるさ」と、おせっかいにも、そんな事を言うと「だから、違うんだ」と恥ずかしそうに言う。

しかしレイナの父親には、まったく通用しなかったのである。そこで勇者は「とにかく僕と魔王の仲がどうだろうと関係ないでしょう」と言うが、そんな言葉も無視されて「それなら、なおさら助けてやらないと」と言われるのだった。しかし勇者の方は「どうして、そんな結論になるんです」と不満の声を上げる。だがレイナの父親の意見を変える事は出来なかったようである。

そんな感じにレイナの父親と勇者との話し合いが終わった頃に勇者の妻だった人が「それなら、これからは勇者さんの味方をしても良いよね」と言い出すと勇者は慌て始める。だが、その様子は、どう考えても嬉しさを隠す為の態度にしか見えない。そのせいで、ますますレイナの母親と勇者が戦う理由が増えてしまう。

俺は、そんな状況を見て勇者の仲間に裏切られたら、この人は確実に負けると確信した。だが俺達3人で協力するとしても厳しいだろうと考えると、どうにか勇者を助ける方法がないかと考えようとした。その時である俺の頭に、そんな状況の中で1つ考えついた方法があったのだ。それを実行するために俺は勇者達に提案したのである。

俺の提案に対して、レイナの父さんが反対する姿勢を見せる。

しかしレイナが「私は魔王さんを信じてあげてもいいわよ」とレイナの父親が反対したのとは逆のことを口にしてくれたおかげで勇者も「いいよ。ただし、この村に居る限り、この村は安全じゃない。だから、どこかに、ここよりも安全な場所を用意してほしい。そこに僕は避難する」と提案に乗ってくれたのだった。そんな訳で勇者達をレイナの故郷で預かる事になり、レイナの村に滞在する事に決まったのだった。ちなみに俺達の方としてはレイナの両親や村の住民から勇者に対する警戒心を抱かれる事になると困ると考えて俺達は、この村を離れていく事になる。その際に俺は「俺達の居場所を突き止められるような魔法を使う奴は、どこにでも居そうだから用心してくれ」と言うと勇者の方は、しっかりと聞いてくれる。そんな感じで俺達と勇者一行は分かれていったのである。そして俺は勇者達から離れた場所に来て「俺達の方は、これから、どこに向かえば良いと思う?」と尋ねたのだ。

そんな俺に対して勇者が答えたのが今の場所だ。その話をすると俺はレイナの両親に対して「この村の人達を頼んだよ」と伝えたのだが「任せておきなさい」と言って胸を張ってみせてくれたので、どうにか大丈夫そうである。それから「また会おう」と言って握手をするとその日はそのまま別れたのだった。その後ろ姿を見送った後でレイナ達が泊まっていた宿屋に戻るとレイナが待っていた。

それからレイナは何か不安そうな顔をして尋ねてくる。

どうやら彼女は俺と一緒に行くつもりだったらしい。俺はレイナを連れて行かないつもりだった。

だが、それを察したのか「私の事を心配してくれているのね」と言われてしまうと、つい本音を漏らしてしまった。「あんたは普通の人間だし、あんたが死んだら勇者の嫁が悲しむから」と言うと、なぜか彼女が不機嫌になってしまう。

俺は、それがよく分からなかったので「どうかしたのか?」と尋ねると「私が死んだら寂しいとか、そう思ってくれているんでしょう?」と言われた。

正直に答えるべきか悩んだ末に「そうだな」と答えたら「素直な人って嫌いだな」と、いきなり文句を言われたのだ。しかも何故か睨まれたので「悪いな」と答える。そこでレイナの母親が戻ってきた。そこで「とりあえず、しばらくは勇者達が隠れ住める場所を探す為に旅に出ますので」と伝えるとレイナの母さんは「えっとレイナ、その話は、もう」と戸惑っていたので俺は彼女に言う。

「俺の事が信じられなくても、それでも勇者と、これから、どういう風に付き合っていくのかは自分達で決めないといけない」

俺の言葉に、そうですと言わんばかりにレイナも、こくりと、うなずいてみせる。

するとレイナは真剣な顔つきで言う。

「あなたに、どんな秘密があっても気にしない。だって勇者の事が好きだから、それだけで十分よ」

そう言って俺を見つめてくるレイナの瞳は力強く輝いていたのである。

そんな彼女を見た俺は「そうか、わかった。それなら一緒に来るか」と口にしたのであった。

勇者はレイナの言葉に対して「そうだ。魔王は、いつまで勇者で居られるか分からないから、ずっと勇者のままではいられない。しかし僕の正体を知った者は魔王ではなく勇者と呼ぶようになる」と言い出したのだ。そんな勇者の言葉を聞いた俺は嫌そうな表情で勇者の事を見る。

俺が、その表情を浮かべる理由は2つある。

まず、その話はレイナが、この世界を救う救世主でいなければならないと言っているのと同じだと感じたからである。勇者は俺に勇者の力が宿っていると言っていたので「俺は別に魔王の力を持っているだけで、その力は勇者のモノじゃないんだが?」と言うと「魔王の魔力に目覚めた以上、いずれ、それは自分のものになる」と言い出してくる。その言葉が真実なら魔王の力は、やがて、この俺のものになるのだろう。

そして次に、こいつが勇者で無ければ俺を殺させる事も出来たはずだと思ったのだ。勇者は、この俺の気持ちを読み取ったのか「その件に関しては謝罪する」と言ってきたのである。

その言葉を耳にしながら勇者の方をチラリと見て思う。

おそらく勇者は自分の力を俺に与えるつもりで、この力についての説明をしたのではないか。

だとすれば、もしも、そんな事態になったとしたら勇者を信用しない方が良かったかもしれないな。そう思った瞬間に、そんな思考が浮かび上がったが、それを否定する。

なぜならレイナの言葉を思い出したからだ。彼女は俺の事を信頼してくれると言った。そんな彼女の思いを裏切りたくはなかった。なので勇者に対して「まぁ、その件については許すよ」と言う。その言葉で安心したらしく勇者がホッとする。

そんな様子を見ていたレイナが言う。

「でも勇者が私を魔王って呼んでいたら魔王は怒らないの?」

レイナの疑問に対して俺は「確かに魔王と呼ばれている時は怒っても仕方がない。しかし俺は魔王として、あの世界で、ずっと生きていたから今更、別の生き方なんて出来ないんだ」と返事をする。するとレイナが俺の手を握ると「そんな事は気にしなくて良いよ」と言う。その声音には優しい響きがあって俺はレイナを見ていた。すると、そんなレイナが「これからも勇者の事を頼むわ」と口にしてきたのである。

レイナとの話が終わった後も俺はレイナ達と共に行動する事になるのだった。その途中で、レイナの両親が住んでいる場所が分かった。

俺は、その村に行ってレイナの両親の事を勇者に紹介した後に別れる事になるのである。その際「魔王は勇者と戦うの?」と、そんな事を聞いてきたのはレイナである。それに対して「戦いはするけど、どちらかと言えば勇者が戦うだろう」と答えるとレイナが俺の顔をジーッと見ながら「本当に魔王は戦えるの? もし無理な事を押しつけたりしたら絶対に、あなたの事を勇者に渡さないんだからね」と言うのである。そんなレイナに勇者が、にこやかに微笑みかける。

「大丈夫だよレイナちゃん。彼は、この僕を負かしたんだ。彼が強い事は知っている」

そう言った後でレイナの頬に手を当ててからレイナの方へ顔を寄せる。

「それよりも僕の傍に居てくれないかな。レイナが傍に居てくれるなら僕は頑張れる気がする」

そう言うとレイナの額に軽くキスをする。

それを見て俺はレイナが「キャァー!」と大きな悲鳴を上げた事で俺は驚く事になった。それから、しばらくの間は「どうして、そんなに恥ずかしがるんだい」と笑顔を浮かべる勇者に抱き締められたレイナが真っ赤になって暴れていたが、そのうちに「やっぱりダメだ」とレイナが叫びだしたのである。そしてレイナは「私は、あなたの恋人じゃないのよ」と言ってレイナが勇者から離れる。

「えっ」と驚いたような勇者の声。

レイナは、その勇者に背を向ける。

それからレイナは勇者に向かって告げた。

「私は、あなたに魔王さんの事を任せたけど、あなたと、お付き合いをする事を許したつもりは無いのよ」

レイナに言われた勇者は「そ、そんな」と動揺していたので俺は勇者のフォローをするべく「とりあえず、今はレイナの故郷で、これからの生活に馴染むために頑張ったらどうだい」と言うと勇者は素直に受け入れた様子だったのでレイナと俺達と勇者は別々の道を歩き始めたのだった。そんな勇者は、こちらの方を向いてから叫ぶ。

「僕は勇者で無くなった時の為に鍛え直すよ」

そう言って勇者は走り去って行ったのである。

勇者の姿が見えなくなった後でレイナが「あんな奴に惚れて、ごめんなさい」と謝ってきたので俺は「レイナの方から告白したんじゃないか?」と返すと、彼女は「うぅ、忘れてください」と言って俺の腕を掴む。その仕草が可愛いので俺はレイナの頭を撫でたのであった。

それから俺達は魔王が居る場所へと向かった。

そこでレイナに魔王の居場所を教えてもらうと俺は1人で向かう事にする。

その道中でモンスターと戦いながら進んでいくが、さすがに一人では厳しくなってきたので勇者の子孫を呼ぶ事を決める。すぐに僧侶に連絡を取り呼び寄せた。

僧侶と合流した後で俺は僧侶に言う。

「お前も付いて来て欲しいんだけど」

僧侶に頼んだ理由が2つあった。

一つ目は、僧侶が勇者の子孫なので俺が勇者だった時の戦闘の記憶を引き継いでいるのである。だから俺は彼に助けを求める事にしたのだ。

もう一点は俺の体の中に宿った魔王が記憶を失くしているという可能性を考慮したからである。そうすると自分が何者なのかすら分からない状態になってしまうので俺は自分を取り戻す為に彼に頼る事にしたのだ。そんな理由で俺は僧侶を呼んだのだが僧侶は俺を抱きしめてきたので少し焦る。しかし「僕が居なかったら、どうなっていたことか」と俺を気遣ってくれる言葉を聞いて嬉しくなったので僧侶の頭を撫でた。その行動に「もう子供扱いしないでください」と言われるが、その口調から俺の心配をしてくれているのが分かる。

そんな彼の優しさが嬉しかったので「俺を気にしてくれるのは嬉しいけどな。だけど、あまり気にしすぎると体に毒だぞ」と、あえて俺は意地悪な事を言ってみたのだ。そんな俺の言葉に僧侶が少し拗ねるので、つい、その可愛らしい態度に笑ってしまった。だが、その笑いが引き金となり俺達はモンスターに囲まれてしまったのである。

モンスターの数が多くて、いくら勇者の子孫と俺でも厳しい数であった。それでも必死に戦っていたらモンスターを殲滅して魔王の元までたどり着くことが出来た。俺は改めて目の前に居る魔王を見る。それは黒いフードを被った少女であった。俺は彼女に問いかける。

「君が魔王なのか?」と。すると魔王は、こくりと、うなずいたのである。

その瞬間、なぜか俺の心が、ほんの僅かにだけ揺れたのを感じてしまう。俺は自分自身に起きた変化に対して、戸惑いを覚えたので「どうかしたのか?」と魔王に対して言うが彼女は、じっと俺を見つめたまま何も言わない。そんな魔王に対して僧侶が話しかける。「初めまして。僕の名前は僧侶といいます。魔王の件は、お祖父様より聞かされてました」

そう言いながら、まるで魔王に敵意を見せないように微笑んで見せる僧侶だったが魔王の反応が無い。それどころか、ただ黙って、じっとしているだけだった。

僧侶が俺の方を向き「勇者様」と言いながら、にっこり微笑みかけてくるので俺は、その笑顔の意味を理解する。それは僧侶が「後は、お任せします」という意味を込めた笑顔だと察したからだ。その事を理解した上で「あぁ」と俺は答える。

そう答えた後で、ゆっくりと魔王へと歩み寄る。そして彼女の手を握った後に「君は誰なんだ」と尋ねる。

「私、名前は思い出せない」

魔王が口を開いた。やはり名前を思い出していない様子である。しかし彼女は俺の事を見るだけで攻撃しようとも逃げ出そうともしなかった。俺が、どんな反応を示すのか興味を持っているような雰囲気である。

そんな彼女の目を見た俺は彼女が普通の人間とは違う何かを宿しているように思えたのだった。

俺は、そんな魔王の事を警戒する。

そんな時に僧侶が「魔王を怖がらないのですね」と言う。

俺が魔王を怖いと感じていなかった事が、どうして、そんなに不思議だったのかは知らないが俺は彼女の目をジッと見ながら「恐怖よりも先に懐かしい感じがする」と言う。それを聞いた僧侶と魔王の二人が驚いて、こちらを見てきた。そんな二人を見ながら俺は「それに、どこか見覚えのある子にも見えるんだが、どうだろうか?」と呟いてみる。

それに対して僧侶が「そうですか」と、なんとも言えない返事をした後に魔王の方をチラリと見る。その動きに魔王はビクッとして震えていた。

そんな魔王を俺は見て思うところがあったのである。

この子は普通の人間のようであって普通の存在ではないのかもしれないと。なぜなら彼女は自分の正体を思い出せないほど幼い状態で、この世界に迷い込んだ可能性が高い。その事実を知ってしまったのである。もしも彼女が幼子の状態であったならば、このまま放置すれば他の誰かが彼女を殺してもおかしくはない。だからこそ勇者の子孫である僧侶が傍について面倒を見るべきなのだ。

俺の中で魔王は敵では無く保護すべき対象となっていた。

そうなると勇者の末裔との決着をつけるのは難しいと判断するしかない。

俺は勇者と戦う事を諦めた。

魔王との戦いが始まる。

俺は戦いの最中で「俺には勇者と戦う意志がない」と告げる。すると勇者とマーロウが「そんなはずがあるもんか!」と叫んで攻撃を仕掛けて来たので俺は防御結界を展開させた。

「お前は、いつもそうだ! 戦いの途中で相手を裏切る卑怯な野郎だ!」と叫ぶマーロウに俺は言う。

「戦いの最中に敵に背を向けて逃げるのは当然だろ」と。するとマーロウが怒鳴り声をあげる。

「そんなわけあるかーっ!」

俺が、その怒りに構わず戦いを続ける意思を伝えると、ついに勇者と四天王の一人が俺に向かって仕掛けてきた。勇者が俺の背後から攻撃を繰り出し、それを防いでいる隙に、もう一体の部下である女魔道士が魔法を使ってくる。それを防ぐと勇者は俺から離れ、部下の魔法使いの傍に移動して二人で連携を始めた。その光景に俺は呆れつつも「さて、どうやって、この二人を倒すべきか?」と考えると僧侶に「僧侶は勇者と戦ってくれないか」と頼む。その頼みを僧侶が承諾してくれたので僧侶は勇者と対峙する事になったが「いいんですね」と確認を取ってきた。俺は迷う事無く「あぁ、やってくれ」と僧侶に伝えたのである。その指示に、やや躊躇しながらも、僧侶は勇者と向かい合った。それから僧侶は勇者に「お手柔らかにお願いいたします」と微笑みながら言う。そんな僧侶の言葉に、少し照れた様子を見せる勇者。

「勇者は勇者同士の戦いにしよう」

俺は二人の勇者が争いを始めるのを確認してから言う。

「何を考えている?」

勇者に問われた俺は「少し待っていてくれ」と答えながら俺は、こっそり僧侶の様子を見守る事にした。しかし僧侶の実力が俺のイメージしていた以上に凄まじかったせいで俺は僧侶が勇者に倒される未来しか予想できなかった。そんな俺に魔王は話しかけてくる。

「あの人が僧侶で間違い無いんだよね?」

「あ、ああ」

「私の事は怖くないの?」

俺は魔王の質問の意図が分からないが僧侶が倒された場合、次に狙われるのは俺である。その為に、ここは彼女を怒らせて俺を殺そうとさせる方が安全だと考えたのだ。その思惑通り、魔王は俺の首を掴んできたので俺は彼女に殺されそうになるが「やっぱりダメだ」と呟き魔王を制止した。魔王は怪しく笑う。俺は、そんな魔王の目を見ると何故か「彼女は本当に危険な存在なのかどうか分からなくなってきた」と感じる。そんな時、僧侶の体が光る。その光に包まれた勇者の体が縮み始めたので俺は驚くが勇者の体はどんどん子供に変化していった。その勇者の変化が終わると同時に僧侶は、その場に倒れこむ。そんな僧侶に対して勇者は慌てて駆け寄り、僧侶の体を支え起こした。僧侶は、なんとか意識を保っているが辛そうである。俺は僧侶に対して「僧侶、お前が戦えなくなった以上、後は俺に任せてくれ」と言うと僧侶は無言で首を振る。それから僧侶は自分の胸に手を当てながら言う。

「あなたに託したいのですが魔王は僕が倒します。そうじゃないと納得できないですし僕自身も不安なんです」

僧侶の言葉を聞き魔王の方を見る。魔王は「もう僧侶と戦わないのか?」と聞いてくるが俺は魔王と戦うのを止める気はなくなっていた。だが魔王を、このまま僧侶に任せるのも悪い気がしたので僧侶に回復魔法をかけると魔王の元へと移動して彼女に問いかける。

「どうしたら魔王を殺せるんだ」と。

魔王は「もう戦うのを止めてくれるの?」と問いかけてくるので俺は「もう僧侶は戦えないし、あんたが死なないと俺は安心して生きられないんだ。その願いを叶える為だ。我慢しろ」と答えた。俺の本音を言うと俺は今すぐに魔王を殺したい気分で溢れかえっているのだが勇者と魔王の関係が俺が思っていた以上に特殊な関係であり、勇者の末裔に殺された勇者の肉体が復活するまで魔王を生かす必要があった。だが魔王を殺す為には、まず魔王の魂を破壊しないといけない。俺は「魔王よ。あんたに一つだけ聞く。もし俺が、この世界に存在するのに必要なモノを奪うというなら何を差し出せば、その目的を達せられる?」と魔王に対して尋ねると魔王は俺の問いに対して答える前に俺に「その答えは、あなたの命が代償ですよ」と言って来た。

「そうかい」

俺は答えると魔王に向けて攻撃を行う。魔王は「まだ話の途中だよ」と不満そうに言いながらも攻撃を避けた。それを見た俺は「やっぱり勇者の子孫は違う」と思う。なぜなら魔王は、今までの奴らのように、あっさりと俺の攻撃を避けられないのだから。そう思いながら魔王の動きを見て、どういう原理なのか分からないが彼女が勇者の子孫である事を、改めて実感させられたのだった。魔王は、こちらを、ずっと観察しており「そろそろ終わらせるよ」と言いながら俺に接近してきた。

俺は、そんな魔王の行動を観察するが彼女の戦い方は勇者と似ているところが多く感じられた。つまり、この魔王は魔王になる前の勇者は魔王に育てられていたのではないかと感じ取る。そう考えながら俺は魔王が放つ拳や蹴りを全て受け止めた。それを見た僧侶は「なんですか?この化け物のような力の強さと速さ。それに戦い方に勇者の面影を感じる」と驚愕している。その様子は僧侶に、かつて勇者であった頃の俺の記憶を呼び起こさせてくれたようだ。

「まさか勇者は魔王に育ててもらったんじゃないのか?」

俺は勇者の子孫と勇者に尋ねた事があるが、二人は揃って答えなかった。それは答えたくない理由があったのか、答えても意味がないと思っていたのか分からない。ただ魔王と戦う中で勇者と魔王の力の根源は共通しているように思えた。俺は勇者の子孫に尋ねる。

「魔王を殺せれば俺は助かるのか?」

それに対して魔王は「そんなに簡単な問題ではないよ」と笑いながら言うと攻撃の手を強めるが、それでも魔王の攻撃は当たらなくなり、魔王は次第に焦ってきた。そして「どうして攻撃が当たらないんだ?」と困惑したように言うと魔王の口から黒い霧が出てくるが俺は自分の周囲に光の球体を発生させると「そんなものは通用しないぞ」と言った。それを見た魔王は「だったら」と叫び、そして彼女の体が変化する。魔王の体は人間の少女の姿へと変化をした。そんな彼女の姿を見ながら俺は、その姿に見覚えがあるような感覚に陥るが今は目の前の問題を解決する事を優先しようと決めて「魔王、覚悟しろ」と俺は叫んだのだった。

「魔王が人間の少女になった!」

僧侶は驚いた表情で呟くと勇者も驚き、それどころかマーロウまでも「人間に化ける能力を持っているなんて」と叫ぶと俺の方を見つめてくる。その視線が「勇者よりも恐ろしい力を持つ者は、どんな者なんだ」と語っているのを感じ取った俺は苦笑するしかなかった。勇者の末裔が驚いている事から考えると勇者も、やはり俺の事を知っている可能性が高いので彼女に向かって話しかけた。

「君は俺の事が分かるのか?」

「はい」

「俺が君を助けた時に言った言葉を覚えているかな?」

「いいえ」

「あの時は記憶が曖昧で忘れてしまったのかもしれないが、君の本当の名前は『ミコ』だ」

俺の言葉を聞いた彼女は目を閉じて黙ってしまう。勇者の子孫とマーロウも俺の言葉の意味が分からず困惑していたが僧侶だけが「そう言う事でしたか」と小さく口にすると勇者は「えっ?」と声を出すと俺と勇者の末裔の間に僧侶は割って入り勇者に向かって何かを言う。すると勇者の顔つきが変わると勇者は剣を取り出して僧侶に攻撃を仕掛けようとしたが俺は勇者の体に魔力をぶつけて吹き飛ばすと魔王に向かって話しかける。

「魔王、今のは勇者の末裔の能力か?」

魔王は、こちらを警戒しつつ答える。

「私達の能力を詳しく説明すると長くなるけど聞きたいの?」

魔王の言葉に、この場にいる誰もが魔王達の正体を知りたかったので全員が魔王の説明を聞く事に決める。そこで、俺は「少し時間をくれないか?」と魔王に告げた。その申し出に対して魔王が「いいわよ」と返事をしたので俺は勇者の元へ向かうと僧侶と勇者の曾孫の会話を盗み聞く。

「勇者様。お久しぶりです」

「あぁ、本当に久し振りだな。元気にしていたのか」

「はい。おかげさまで。あの、そのですね。勇者様にお願いしたい事があるんです」

「どうした?言ってみてくれ」

僧侶が勇者の末裔に頼みごとをする。その内容は、この城の中にある宝箱の中に、勇者の末裔の母親が大切にしていたペンダントがある。それを俺に渡したいというものだった。俺は二人の元から離れると魔王が待っている場所に戻ろうとした時、魔王の側近が姿を現したので俺は魔王の側に向かうのをやめた。そして俺は側近に、なぜ魔王と一緒に行かないのかを聞かれる。俺は正直に答えた。

「俺が、あいつと、一緒に行動すれば勇者と魔王の戦いを止めた方が良いのだろう?」

その答えに対して魔王が反応する前に俺は魔王に対して話しかけた。

「お前も、もう終わりにして良いんじゃないか?」

魔王の事を俺は、すでに殺せる状態だと認識しているが魔王が「どういう意味だい」と言うと俺は彼女に「もう、この世に存在している必要もないんだろう」と言うと魔王は、こちらの言葉を予想していなかったのか驚くと「どうして私が死にたがっているのが分かった?」と言う。俺は、そんな魔王の質問に対して答える前に僧侶から預かった勇者のペンダントを魔王に差し出した。それを見た魔王が、どうするつもりなのか尋ねると「お前が持っておいた方が良さそうだと思ってな」と伝える。魔王は「そう」とだけ答えると俺の手に持っていた勇者のペンダントを受け取ったのであった。

「あんたに聞きたい事がある」

魔王は、しばらく考えた後、こちらの問いかけに答えてくれた。魔王が「勇者は私に勇者としての役割を押し付けて来た。だけど私は魔王として生き続ける事に耐えられなかったんだ」と答えると俺は彼女に提案する。

「もし俺の提案を聞いてくれるなら、俺の仲間になって欲しいんだ」

その問いに対して魔王は、こちらの話を全く聞かず「勇者の子孫と、どういう繋がりで、あんたが勇者の味方をしているのか分からないけれど私の事は諦めて貰うしかないね」と答えた。その言葉は、まるで、これから、俺と魔王との死闘が始まると思わせるほどの緊張感が漂う。だが、そんな緊迫感を切り裂くかのように僧侶が「あなたは勇者の末裔と共に戦うべきです」と告げる。それに対して俺は「勇者の末裔は魔王の娘と二人で勇者を倒すと言っているのですよ」と僧侶に伝えたが、僧侶は「だからこそ、勇者の血筋である彼女と共闘すべきではないですか?」と尋ねてくるが俺は、その問いかけに答える気には、ならなかった。なぜなら俺は勇者の末裔が勇者を倒す姿を見ていないからだ。

だが、勇者の末裔に勇者を倒して貰った上で勇者の血を引く者と戦えば俺の命も助かる。それに魔王は勇者の子孫が、どうやって勇者を倒したのかを知っているはずだし俺と魔王の共通の敵とも言える存在なので魔王は俺の側に付く可能性も高いと感じる。だから魔王が「その勇者は、どこにいるのか知っているのかい?」と尋ねるので俺達は勇者の子孫の行方を知らないが魔王に「勇者は魔王城の近くで倒れていたはずですが、その場所を知っていますか?」と尋ねた。すると魔王は「えぇ、知っています」と答えた。

それから魔王は「では、そこに行きましょう」と言い始めた。魔王の言う通り、このまま、この場所に留まっていても仕方ないので俺は魔王の案内に従い勇者の末裔の元へ向かうのだった。

勇者の末裔は「お母さんの大切な物を僕が持っていると、どうして分かったの?」と母親譲りの整った顔をしている少女に質問される。それを聞いた勇者の末裔は苦笑して答えた。

「それは私も知りませんが勇者は貴方の母さんとは親友だったので勇者から、よく母さんの話は聞いていたのです」

少女は納得が出来ない様子であったが自分が持っていた物を渡すと「これって、もしかしたら伝説の武器かも知れませんよ」と言い出すと勇者は、すぐに魔王が身に付けていた指輪を見る。すると少女が魔王が装備している指輪を見て興奮したように叫ぶ。その叫びは、その場の雰囲気を完全に変えてしまうような叫びだった。

「それは聖剣エクスカリバーじゃないの?」

勇者の末裔が、その言葉を聞くと驚いた表情をして魔王に視線を移す。すると彼女は苦笑して自分の指に填めている指輪を見せた。そこには勇者の子孫が持つ聖剣と似たデザインの聖剣らしきものが填められていて魔王は、それを、ただ、なんとなく身につけているだけだと答える。そんな二人の会話を勇者の末裔が「勇者の、お姉ちゃんなの?」と質問するが魔王は困ったように笑い首を横に振ると「残念ながら勇者と魔王は血の繋がった姉妹ではなく親戚同士だと思っている」と言った。それに対して勇者の子孫が「そんな」と、つぶやくと魔王は、その声に反応して、こう告げる。

「魔王と勇者の力は本質的には同じものだ」と。その言葉を勇者の末裔が理解できないように眉間にシワを寄せるが、そんな少女に魔王が「君の母親も言っていただろう。『魔王は勇者が使う魔法を使える』と」と、その言葉の意味が勇者の子供は分かっていなかったが僧侶が説明をした。勇者が、その話を聞いた後に少女は、こちらに近付いてくると「私も、この剣が使えますか?」と聞く。




勇者の末裔が「無理よ」と否定したが少女は、それでも試したいという事で魔王は勇者の剣を受け取るとその柄を掴む。すると魔王の体は淡い輝きを放ち始めると、それを見た勇者の末裔は「まさか」と小さく叫ぶと勇者に視線を向けるが勇者は「勇者の血族が扱う事ができれば」と言うと魔王の手元が淡く光だし剣が形を変えていくと光の剣が顕現された。そして魔王は、その剣を勇者の末裔に渡そうとするが勇者は魔王の手を優しく握ると「ありがとう」と告げた。

勇者の末裔が勇者から渡されたペンダントを持って母親の元に向かうために部屋から出て行く。それを見届けた後で勇者が僧侶に話しかける。僧侶が「勇者様。私達の戦いを止めて頂き感謝いたします。あの、それとマーロウの件についてなんですけど。私も魔王様と同じように彼女の能力については知っていてマーロウの本当の名前をマーロウ本人に伝えようとしたんですがマーロウは、もう私の言葉が聞こえていなくてマーロウは私に対して怒りをぶつけてきたんです」と説明した。その話を、聞いた俺は、なぜか嫌な予感がしていたのであった。

勇者が魔王城で勇者の末裔と合流した時に勇者の末裔が勇者の娘である事を知らなかった勇者が「勇者の娘!?なぜ、そんな娘がいるんだ?」と困惑していたので俺は「魔王に聞け」と言うと魔王は、あっさりと「勇者と魔王は血縁関係だよ」と答えた。勇者が驚くと魔王が「そもそも私が勇者の祖先に当たる人物で初代勇者は女性で魔王は男」と答えて「じゃあ勇者は、どこから来たの?」と勇者の末裔が尋ねると魔王は勇者が人間ではない事を伝えようとするが勇者が魔王を制して代わりに答える。

「その質問の答えが、今の勇者である私の答えでもあるんだよね。つまり勇者は私達のような人間の血を受け継いで生まれてくる存在なんだ。そして勇者の血を引く者達には魔王に対抗する為に、それぞれ特別な力が宿されている」

「その話が本当だとしたら私達は勇者の子孫に負けないくらい強くならないと、いつか勝てなくなってしまうかもしれないわね」

そう言い出した魔王の表情は悲痛そうで魔王自身も不安を感じているのは一目瞭然だった為俺は魔王に声をかけようと思った時、リリイの声が響き渡ると俺は反射的に身構えたが「勇者!助けて」と言う声で俺は我に帰るのであった。リリイは「早く逃げろ!」と俺と僧侶に向かって言うが僧侶は既に逃げていた。そして俺はリリイに対して、こんな事を言う。「お前を死なせるわけにはいかない。魔王も、きっと同じ考えだ」と。俺の言葉を聞いて僧侶は何かに気付いたのか魔王を庇うような体勢をとると魔王の方を見ると彼女は僧侶の行動に対して苦笑していた。

魔王は勇者の末裔が魔王の娘だと知って驚きながらも彼女に対して敵意がない事を伝える。だが、そんな言葉は信じてもらえずリリイは、その態度が気に食わなかったのか剣を抜き放つ。俺は止めようとしたが僧侶の方が先に動いたので俺は動けなかった。

だが魔王はリリイの攻撃をかわしたので「さすがですね。私も本気で行かせてもらいますよ」と僧侶が言った瞬間にリリイの体に異変が起きていた。リリイの体は急に変化して体が肥大化していく。その姿を見た魔王は、すぐさま距離を取る。魔王は、リリイの正体が分かると俺に対して「魔王城で戦った、あいつと一緒の化け物か」と呟くと魔王は「勇者の関係者は化け物に狙われるという法則でもあったのかな」と、ぼやいていた。

それから勇者の末裔の方は、勇者のペンダントを、ずっと眺めていたが「これは何なの?」と質問をするが勇者が、その問いに対して答えようとはしないのを見て勇者の娘が「勇者のお姉ちゃんは知っていそうな感じだけれど、教えてくれないか?」と尋ねるが俺は魔王に、この場で戦闘が始まるのは危険だと感じたので「今からでも逃げるぞ」と言って俺は僧侶と共に魔王と勇者の娘に背を向けるが魔王と勇者の娘が追いかけてくる気配がなかった。その事に違和感を感じたが僧侶は俺の腕を掴むと「急いでここから離れましょう」と言い出したので俺は「分かった」と答えると魔王と勇者の末裔と別れる事になったのである。

俺は僧侶と一緒に走って勇者の子孫を追いかけている最中に僧侶が、ある場所まで来たところで足を止める。俺は不思議に思い僧侶に「どうした?」と尋ねたら僧侶が、ある方角を見ながら俺に話しかけてくる。その声色はとても真剣であり、いつもとは様子が違った。だが俺は何も言わずに話を聞くことにする。

僧侶は「魔王とリリイの二人が戦っている方向が騒がしくなっていたのですが、それも気になりました。ですが、それ以上に問題だったのは勇者の子供が身に付けていた勇者のペンダントの事で、どうしても気になった事があるのです」と言う。それに対して俺は、どうして俺の方を向かないんだと思いつつも何も言うことはなかった。

勇者の子供の首に掛けられていたペンダントは、まるで勇者が持っている武器のように見えていた。それに勇者の子孫は聖剣を持っているので勇者の子供にも何らかの力が備わっていたのではないかと考えた。しかし、それならば勇者の子供達は何故魔王に戦いを挑みに来たのか?勇者の子孫の目的は分からないが魔王と戦いにきたという事は、その目的は魔王を殺せる手段があるからだと思われる。僧侶が、それに気付き僧侶も聖剣を手に入れようとした。しかし僧侶では聖剣を使う事が出来ない。

その事実から僧侶の脳裏に最悪の展開が浮かんできたが勇者の子孫である少女も勇者の血筋なので少女に何かあれば勇者が魔王を殺す前に魔王自身が殺されてしまう可能性もありえるのではないかと、その事を思った途端に、それが正しい気がした。

僧侶は「勇者。少し時間をください」と言うと彼女は「すぐに終わらせますので」と言い残すと走り出してしまった。俺は「ちょっと待て、一人で行くな」と叫ぶが、もう遅かった。僧侶の姿が見えなくなり、その場には俺一人だけが残された状況になると嫌な汗が流れ落ちる。勇者の娘と、どうやって戦うかを考えていた。

すると魔王城の外から大勢の人の叫び声が聞こえたのであった。その事に関して僧侶が、この場所に戻ってきて「大変です」と言うので俺は僧侶の話を聞いたのだが、その話の内容に俺は絶句する。それは俺達の目の前に突然現れたのは魔王軍の兵と、それを指揮しているであろう魔王が姿を現したのである。その行動が信じられなかった俺は、魔王に「なぜ」と聞くと魔王が「君は勇者の末裔と私の息子を殺したのだろう?」と言われて、そこで初めて自分が魔王の子供を殺して魔王と勇者との戦いの火蓋が切って落とされたのだと確信した。

「私達の戦いを止めた理由を聞きたい」

「私達が戦いを始めても誰も止められないと理解していての事なのか?」

魔王は俺に向かって問いかけると勇者が俺達と魔王の間に入り込むと勇者は「魔王よ。君も勇者なら争いではなく話し合いによる決着を求めるべきだ」と魔王に向かって言い放ったので魔王は「貴様も、また愚かな者が現れたようだな」と冷たく言い放つ。すると魔王の隣にいた娘が勇者に向かって、こんな事を言ってきた。

「私は貴方の事が気に入りましたよ。貴方の名前は勇者と似ていますね」

魔王が娘の事を「おい。黙っていろ」と言うが娘は気にせずに「私の婿として迎えると約束します」と言うと、いきなり娘は「勇者の血族の男に娘はやらん」と叫ぶ。その様子に魔王が、ため息をつく。勇者が困った表情を浮かべると娘は「やはり私が勇者の血を継ぐ娘と結婚しなければいけませんかね」と言ってくるが魔王は首を左右に振ると「絶対に駄目だ。お前が結婚した相手は人間と勇者の血を引く子供だから許したが、お前だけは例外ではない」と強い口調で告げると勇者の娘が「分かりました」と、すんなり諦めると、魔王と勇者との話し合いにより魔王は、この場を去ろうと提案して「今は引いてやる。覚えておけ」と言った。その言葉に勇者は「お前達は魔王軍に戻れ。そうすれば平和的な解決が望めるかもしれんぞ」と魔王達に言い出す。

俺の予想だと魔王軍側は勇者の言葉を信用しないだろうと考えていたが、魔王は「いいや。ここは引かせてもらう」と魔王軍が撤退し始めた。その様子を見届けていた俺に対して魔王の娘が自分の名前を尋ねてきたので「魔王に聞いていないのか?」と尋ねると娘は「いえ。聞きたかったんですが、勇者に止められてしまったんですよ。それで私の名を教えてもらえないでしょうか?」と言うので「俺はユージリオン。そして彼女が僧侶だ」と言うと彼女は僧侶の名前を聞いて驚きの声をあげると「貴方が伝説の聖女と呼ばれている人物なんですか?」と言って僧侶に近寄ろうとしたので僧侶は、そいつは魔王の一味なので警戒するようにと俺が伝えると彼女は素直に従い魔王の娘に、その場から離れるように促すが魔王の娘である彼女は俺の言う事を聞いてはくれなかった。俺も一緒に説得を試みたが効果はないどころか「私は勇者の妻です」とか言って魔王の一人娘であるマーロは俺に、くっついて離れなかったのである。

僧侶は、しばらく考え込んでしまうと魔王と勇者の娘の二人は、そのまま魔王城を去っていくのを眺めていると俺は「大丈夫か?」と僧侶に尋ねると彼女は「えぇ。何とか」と言って俺の方を見ると「勇者の居場所は分かっているのですが。今、会えば大変な事になりそうな予感しかしないので会いに行くのは、もう少しだけ先にしようと思います」と言っていたのである。そして俺は「僧侶、勇者と会うときは、俺が僧侶の代わりに行こう」と言うと僧侶は「助かります」と言うと勇者の城に向かうのを止めていたのであった。

そして勇者の城から少し離れた場所まで来たときに俺は「どうして魔王軍は撤退したんだろう?」と呟いた時に、俺は僧侶に対して「さっき魔王は勇者の子供が、その首に付けていたペンダントを見ていたが、もしかすると聖剣を持っていたりして、その聖剣の力で勇者の力を手に入れた魔王は勇者の敵になりそうだと判断したから魔王は撤退をしたのか?いや、それとも聖剣と魔剣は、そんなに強い関係があったりするのだろうか」と俺の意見を僧侶に伝えたのだが僧侶の方は何かを考え込んでいた。

それから勇者の子孫と僧侶を会わせたくないと俺が考えている間にリリイが戻ってきた。俺の傍にいる魔王の娘を見て「リリス。何その人は?」と尋ねるが魔王の娘はリリイの質問に対して「私は魔王の娘でマーロウと申します」と答える。それを聞いた僧侶は慌てて自分の顔を魔王の娘の視界に入らないように体で隠しながら「勇者の末裔が目を覚ましました。今、魔王の末裔に見つかってしまえば魔王に殺される危険性があるので急いで、この場を離れてください」と僧侶が魔王の娘に伝える。だが魔王の娘である彼女も、その言葉に納得しなかったのである。

俺は、これから魔王の城まで戻って勇者の末裔が生きている事を勇者に伝えるべきかと僧侶に確認するが僧侶は「勇者の居場所を知っているのか?」と聞かれて俺の口からは何も答えられない状況になる。

すると僧侶が「とりあえず勇者の末裔が生きているという事は勇者に伝えておく必要があるので私と魔王は、ここから勇者の所に向かいます。勇者は何処にいますか?」と言うと僧侶は「恐らく勇者が行き着く先は勇者が生まれ育った故郷だと思われる。魔王もそこに向かったはずだが」と答えたので僧侶と魔王は「ありがとうございました」と言うと魔王の城は勇者がいる場所とは別方向に走っていった。それを見送った後、俺達はリリイと一緒に勇者の故郷に向うことにした。だが俺は魔王の娘と一緒だったので目立つ存在になってしまい魔王の城がある方向が、いつもより騒がしい事に気づき「どうやら魔王の配下と勇者の子孫が戦っているのは、こちら側みたいだな」と口にすると魔王の配下が戦っているという情報を聞きつけた魔王軍の兵士達が俺達の前に現れる。

「我は魔王の四天王の一人、マオー様に仕える忠実なる部下。我らの邪魔をする奴らを成敗してくれる」

魔王軍の中でも魔王の側近の一人で戦闘能力が高く、それに加えて頭も回ると言われている男が俺達の目の前に現れる。その様子から魔王軍と魔王軍との戦いが激化しているのかもしれないと思いつつ俺は魔王の部下を名乗る男の方に意識を向けると魔王の配下と名乗る男は手に持っている武器を振り回す。

その武器に、かなり特殊な力が備わっている事を感じ取った俺は「その武器には、どのような効果が秘められている?」と魔王の娘が持っていた勇者の聖剣と似た様な雰囲気を感じていたので尋ねた。その問いに魔王の配下と名乗った男は「これは勇者が持つ剣と同じで、これを持つ者が聖剣を扱うと身体能力が大幅に強化されるので魔王様から授けられたのだ」と嬉しそうに言っていたので魔王は聖剣を手に入れようとしているのは明らかだと俺は感じ取ると魔王と僧侶は俺の想像よりも前に進んでいて勇者のいる場所に辿り着いている可能性が出てきたと感じた。そして俺は「勇者の末裔は、もう、ここにはいない。だから勇者が魔王を倒すのは不可能だと思うがな」と言う。

その言葉に魔王の配下は笑い声をあげ始めると「残念だったな。勇者の生まれ変わりよ。その事なら問題ない」と言い出して俺は「どういう意味だ?」と聞き返すが「お前は本当に、あの勇者なのか?」と魔王の配下は、しつこく聞いてきたが、その様子にイラつきを覚えた俺は無言を貫き通していたので相手は痺れを切らすと俺達に背を向けて「さらばだ」と言い放つと姿を消した。その様子を確認するために僧侶が魔法で魔王の部下の後を追うが、そこには誰も居なかったらしい。僧侶の話によると魔王の娘が俺に抱きついた状態で「勇者さん、お帰りなさい。でも、どこに行かれてたんですか?」と言われたが俺の方も勇者に会って真実を伝えるか悩んでいて返答できずに黙り込んでいるとリリイが、そんな様子の僧侶に魔王の配下が使っていた剣を見せて貰おうと頼むと僧侶も魔王の配下の男との戦いで傷ついていて体力が限界に近かったので、これ以上、無理はさせられないと断ると「僧侶、お願い」とリリイが言うが僧侶は首を横に振った。

僧侶の返事が変わらないと分かったのか魔王の娘は「それじゃ仕方がないですね」と言うと魔王の娘が勇者の末裔に貰ったペンダントを見せる。それを、まじかで見た俺とリリイとリリイが、ずっと魔王の娘の首にかけていたペンダントを見てしまったので魔王の娘が、これを勇者に見せるために、わざと見せつけてきた事が分かってしまい俺は魔王の娘が、その事を俺とリリイに伝えるために行動してきたんだと分かり、その事を僧侶に説明すると彼女は「魔王が、そう言ってましたが」と言ってきて「それは魔王の娘が勇者の末裔から譲り受けたペンダントは魔除けの効果があるので肌身離さず付けておいた方がいい。それが魔王から娘への忠告であり、また俺から僧侶へ娘に対しての伝言だ」と言うと僧侶は「そんな、まさか、あれほど酷い扱いをしていた娘に、そこまで魔王は気を配っていたなんて、そんな話を聞かされたら」と涙を流していた。

俺はリリイと僧侶を連れて勇者の末裔が眠っている墓に行こうとした時、突然、魔王の娘の姿が消えてしまう。俺は僧侶に魔王の居場所を探すように命じたが、その時、俺は勇者の城に向かって走って移動している魔王を見つける。その様子から、どうやら勇者は勇者の血筋に、その命を奪われてしまったらしく。魔王が勇者の墓のある場所で力を使うつもりなのだと考えるが僧侶が戻ってくるまでは動くべきではないと考えた結果「俺達は勇者の命が失われた場所に行こうと思うのだが、僧侶の方も勇者の子孫の眠る場所に行ってくれると嬉しい」と僧侶に伝えると彼女は涙を堪えるように下を向いていた。だが勇者の子孫である少年の墓を見た後で彼女は何かを思い出してリリイの元に戻るとリリイの手を引いて墓地の外に出ようとする。俺は僧侶が何か重要な事を忘れたような素振りを見せているのに気付いたので彼女に尋ねる。

それから俺は彼女が何を言っているのか分からず困惑していたが僧侶は魔王が「勇者の子供を殺した。その子供が、いずれ世界を支配する魔王になると」と言っていたと言う。その話を聞いた俺とリリイと魔王の娘であるリリスと僧侶は、すぐに勇者の墓場に行くが、そこには何も残っておらず、ただ荒れ果てていただけだった。

そして、その後、俺達も僧侶も勇者に会ったり話をする事はできなかった。その事から勇者の末裔である子供も、勇者本人も既にこの世に存在しておらず、おそらく俺達が、ここに来た時には全て終わっていたのだろうと、そこで俺は勇者が魔王に負けて勇者の子孫が殺されていた事に気づくのであった。だが勇者の子孫に殺されたのなら、それで終わりというわけではないはずなので俺は、まだ魔王に勇者は殺されていないと思っていた。しかし勇者の末裔も勇者も行方不明になってしまっていて、どこに向かったのかも分からないため魔王と僧侶の二人は手詰まりになってしまう。その事に俺は「魔王は、これから、どうするのだろう?それに勇者の末裔の子は魔王の手によって死んでいた」と言うと魔王が勇者の末裔に殺されると予言していた魔王は勇者の子孫が死んだ事は知っていたが、なぜ魔王が自分の息子が死ぬ事を知っているのかが不思議で、もし魔王が勇者の血を受け継ぐ者を抹殺しようとしているのならば勇者に会えば俺と魔王が戦う可能性も出てくると思い俺達は勇者に会う事を先送りにして魔王の動向を見守った方が良いのではないかと考えてリリイに伝えると、それを聞いた僧侶は俺の言葉が気に障ってしまったようで「そんなに魔王の娘を助けたいのであれば貴女が魔王になればいいじゃない」と怒られてしまい俺とリリイと魔王の娘であるリリスと僧侶は、それぞれ違う道を行く事になるのである。

そして僧侶と魔王は勇者が暮らしていた故郷に向かうが、その頃に魔王の城では「どうして勇者が来ないのだ?」と魔王の四天王の一人の男が疑問を抱くが他の四天王は「勇者は勇者の血を引く者を殺すのに失敗した。だが勇者も死んでしまった。だから来る事はないだろう」と答えて男は魔王の城の最上階にある玉座の間に魔王を呼びに向うと魔王の傍にいる少女と勇者が残した子孫の存在を知ると「なんと魔王様が探してこられた方が魔王の後継者に、あのお方の子が」と言うと魔王は「勇者様が私と勇者の息子の子を後継者にすると決めた時は勇者も死に、もう、どうにもならないかと思いました。だけど私は信じています」と答えた。

それを聞いた魔王軍の者達は、やはり魔王が探し求めていた者は自分達の主になる人間だと思いながら「魔王様、今から勇者を倒しに行かれるのでしたら我々をお連れ下さい。必ず役に立ってみせますよ」と言うが魔王の娘は何も答えなかった。それを見た俺は「どうやら勇者の件で色々と魔王の城の中で揉めているらしいな」と思い勇者に会いに行く前に俺は、ここで魔王軍の四天王の一人と戦う事になり戦いが始まる。魔王軍の四天王は勇者との戦いで負傷した身体の状態にも関わらず戦いを挑んできたが魔王の力を使いこなす俺の方が、どうしても強いらしく四天王を倒す事に成功すると魔王が、そんな様子の俺を魔王の娘と僧侶と共に見て驚き「勇者、生きていたのか。よく無事だった」と言って俺の手を掴んで泣き始めた。

それから俺は魔王に今までの事情を話すと「そうか、そんな事態になっているとは知らなかったが勇者は、どうやって魔王を倒したのだ?」と聞かれたので俺は「俺が、かつて勇者が使っていた聖剣を持っていたが、そのせいで、この世界に飛ばされてきた。その俺に勇者の末裔が協力して俺が元の世界に戻れるように協力してくれたおかげで俺は勇者のいる時代に辿り着けるはずだったが勇者の子孫の力が俺の聖剣の力で封印されてしまった事で俺は魔王が倒せるはずの時間より先に魔王を倒す事になった」と話した。その説明に魔王が驚いていたので俺の方から魔王の娘の現状を伝えると彼女は「あの子を助けるために魔王を倒してきて欲しい」と言うので魔王の城から出ていこうとしたが、その直前に俺の前に勇者の生まれ変わりを名乗る男が現われて俺に「僕に力を貸すのが嫌なら僕の仲間と戦って欲しい。僕は君よりも強い。君は自分が、どれだけ恵まれた状況で生きて来たかを分かっていない。だから、その事に気付かせてあげたい」と言う。

俺は「分かった。お前との戦いを望んだ。その勝負を受けた」と勇者の生まれ変わりを名乗る男に言うと彼は嬉しそうに笑い出して「やっと僕の挑戦を受けてくれたようだね。僕は嬉しいよ」と言った後で勇者の生まれ変わりと名乗る男と戦闘を開始する。

俺は相手が勇者だと気づかれないようにする為に魔法を使って自分の正体を隠して戦う。その戦いに魔王の配下の一人である男が乱入してくるが「魔王の娘には、お前達の力が必要なのかもしれない。でも、今は私の配下である、そいつに相手をしてもらう」と言い出して、そのまま配下を連れて魔王の娘の居る場所に戻って行った。それから俺と勇者の偽物の戦いは続き俺は勇者が俺に対して使った力を全て使えた事もあり有利に戦うが俺は、なぜか相手の攻撃を避けたり受け流す事が上手くできず苦戦していた。そして俺が、それを見て焦っていた時、いきなり勇者が目の前に現れたので「勇者か!?」と叫ぶが「勇者って誰の事だ?僕は君の知っている勇者とは別人だ。だが、どうして、そんなに弱っている?まるで別人みたいだ。まさか、それが、この世界での、あなたの強さなのですか?それとも、これが、本来の勇者の本当の実力だったのでしょうか」と意味深な言葉を俺に投げかけてくるが俺は勇者と話す余裕が無くなっていた。

俺が勇者に話しかけられて困惑していると勇者の姿が消えると同時に、また別の場所に出現する。その移動の仕方は勇者が持っていた技と全く同じもので俺は混乱するが、すぐに勇者の攻撃が俺を襲う。俺は勇者の攻撃を防いで「どうして勇者が、その動きが出来る?」と言うが勇者は、それを聞いて微笑み出す。

その勇者の行動は俺の予想を超えており俺は戸惑うばかりであったが、その行動の意味はすぐに分かって俺は驚く。その移動方法から「まさか、勇者、貴方は」と俺は言うと勇者は自分の力について説明すると俺の方も納得したのか少し考える素振りを見せた後に俺は勇者と、しばらく戦い続けてお互いに傷だらけになった時に俺は、ある結論に至る。

俺は、おそらく勇者の体の中には俺の持っている能力と似たようなものがあるのだろうと考えるが勇者が、それを利用して勇者と俺が同じ存在だと勘違いしている可能性があると判断できたが俺は俺自身の能力を全て使い果たしてしまった後で魔王の城で戦ってきた疲れもあり体力の限界を感じ始めていた。その為、俺は勇者との会話を続けるのが精一杯だったが、そこで勇者が俺に「さぁ、どうするのです。あなたは本当に勇者の能力を、その身に宿しているのですか?それとも何か別の能力を手に入れただけなのではないのでしょうね。もし違うなら僕と仲間になりませんか?僕は勇者では無いが魔王を討伐する事に興味があります」と言ってきた。

勇者に、そんな風に言われて俺は悩む。確かに勇者は魔王を退治しようとしていて、その目的は達成できていて、これから勇者は魔王を始末するつもりでいたが魔王を、まだ生きている状態で殺す事が出来るのならば俺は喜んで勇者に協力をしたいと思っていたが、もし勇者が魔王の息の根を止める瞬間に、この世界が勇者の力を必要とする場合の為に魔王に生きて貰うべきなのかと考えていた。だが、その時に「やはり駄目だった。やはり私は貴女が、どんな選択をするのか、もう分かっている」と勇者の声とは別の声が聞こえると勇者の偽物は突然苦しみ出し倒れ始める。

その光景を見た勇者の偽物が苦しんでいると今度は勇者が現われる。その勇者を見た時、俺は思わず「魔王!」と言ってしまった。魔王も勇者が現れたのに驚いている様子で俺と魔王と僧侶と勇者の生まれ変わりを名乗った男は互いに、じっと睨み合いを始めてしまう。そんな中、魔王の娘は「あの人は、勇者ではない」と言うが僧侶だけは勇者の存在を知っているため、ただ黙って勇者の様子を見守るだけであった。

俺が魔王と勇者の存在を知っている僧侶を見ていたら、そこで勇者は、さらに姿を変えていく。その姿に俺も驚き僧侶の方に振り返ると僧侶も驚いている様子であった。僧侶の様子が、いつもと違う事にも驚いたが、それよりも俺は勇者の姿を見ただけで、あいつが勇者本人だと分かる。それは外見が勇者そのものに変わっていても中身までは変わっていない事を知り、その事に俺が感心すると魔王は勇者の正体が、その男だと知ると動揺していた。

その後で勇者の姿を見て、このまま戦いが始まってしまえば魔王に勇者を倒す事は絶対に出来ないと俺が確信してから俺は魔王の娘と僧侶と魔王を、この場から避難させようとする。魔王の娘であるリリイは俺達についてくるのを拒むと勇者が姿を見せて「君を連れて行くつもりは最初から無い。それに、これは、あくまでも勇者の体だからな。だから魔王とリリイさんは、ここで待っていてください。勇者は俺との戦いで死に、その勇者の力を手に入れている者が居れば確実に、この世界の人達の脅威となる。その危険を取り除く為に行く」と言うと魔王の城に残っていた魔王軍の一人に魔王を守るように指示を出して魔王は勇者と戦う。魔王の実力で勇者に戦いを挑んでいく。最初は勇者の圧倒的な強さに魔王は圧されていたが、その攻撃を防ぎ続ける。そして勇者の攻撃が止まったのを確認したら魔王の渾身の一撃が勇者に襲いかかり勇者の体を貫通し吹き飛ばすと勇者は地面に倒れる。俺は勇者が致命傷を負っている事を確認すると魔王の方を見て俺は「今、とどめを刺せば勇者を殺す事が出来る」と俺が、そんな提案をした時に勇者が起き上がり魔王に襲い掛かる。その光景を見て俺は勇者の意識が完全に無くなっていない事を確認していたのに驚き「勇者、完全に意識を失わなかったのか?」と俺は勇者に向かって叫び「そうだ。俺は死んでいない。だが、この体は、あと数分後には死んでしまう。だから、せめて魔王だけでも殺しておく」と言うと勇者は起き上がると同時に自分の体に突きささっている聖剣を抜いて魔王に斬りかかろうとする。

魔王は自分が殺されそうになったのに魔王の娘と僧侶は魔王と僧侶を守ろうとするが僧侶は、すぐに「僧侶の聖なる力で魔王を助けてくれ。俺の能力で回復させるには、その時間がない」と僧侶に頼みこむ。それを聞いた僧侶が「私には出来そうにない」と答えると俺が僧侶に「俺に任せてください」と言って僧侶の代わりに魔王を救う為に僧侶の力を使うと魔王に癒しを与える。それを見て魔王の娘と魔王は安心していたが勇者の方も魔王に攻撃し魔王を倒しにかかるが俺が勇者に「魔王を殺して勇者に何の得がある?」と言い出すと勇者の攻撃が止まり「この勇者が魔王を殺せるように手助けするのが俺の目的だ。俺が死んだ後の世界に用はない」と答えた。

勇者は、そう言いながら「魔王を、お前の手に渡す」と言うと勇者が消えてしまい魔王に勇者の攻撃が届くと思った瞬間に勇者の偽物が現れると勇者の攻撃を止めてから「お前は、どうして魔王を殺さなかったのだ?」と聞くと勇者は「僕は、魔王を倒す為に勇者の子孫と、この魔王城まで来た。だが魔王は、すでに魔王としての役目を終えていて僕に殺される必要はなかった。その為、殺す事を躊躇った」と答えると勇者の偽物も勇者も姿を消した。

その後で俺達は魔王城を抜けだし元の世界に戻る準備をするのだが俺が魔王を見ると彼女は嬉しそうに笑っていた。それから俺は勇者の事を思いだすと魔王に「魔王、君は本当に魔王なのか?勇者は君の娘だった。魔王である君の事を、ずっと気にしていたぞ」と言い出してしまう。それを聞くと魔王は涙を流し始めて「勇者が、そんな風に思っていただなんて、知らなかった」と言う。

俺は泣き出す魔王の姿を見て「魔王、これから俺と一緒に来て魔王の力になって欲しい。君には、まだ勇者との戦いが残されている。その事を考えると魔王に勇者と戦って貰いたかったんだ」と伝えると魔王は涙で頬が濡れたまま俺を見つめた後に「本当に良いの?こんな私の手を取ってくれるの?」と言い出したので俺は「ああ」と返事をしながら彼女の手を取り握りしめると魔王も俺の手を強く握り返してきた。

そして俺が勇者の体から脱出して元の場所に戻ってくる。勇者は魔王を倒して元の世界に戻るとリリイの口から勇者の話を聞いた俺は勇者の子孫に会いに行き、その話を聞かせた後で、その話を聞き終えた俺は、この世界を魔王の好き勝手にはさせない。必ず、その魔王を退治すると宣言して勇者と別れる。俺は、その足で再び、この場所に戻って来るとリリイに、ある事を伝えて俺は、ある決意を固めてリリイの所へ戻って行くのであった。

「俺は勇者の体の中で色々と試す事が、できた。それで魔王の体を手に入れられたら、その力を使って元の世界に帰れる可能性が出てくると、そう思うと魔王の力が欲しくなって仕方がなかった。その事に俺は勇者から逃げるような行動を何度も繰り返したが、それが逆に俺にとって有利になると判断できた」と俺は言う。それを聞いたリリイは俺を責めるような目で俺を見る。その目は、やはり俺の事を軽蔑するような目をしていて、それでも、俺は言葉を続けるしかないので「俺は勇者の力をコピーするだけではなく、ある事も確認した」と俺が話すと僧侶は少し興味深そうな顔になる。それを見た俺は「勇者の肉体と俺の精神を完全に融合させる事に成功した。それにより俺は今までとは比べものにならないほどの能力を得た。それは、この世界では想像できないほどのものだ。今の俺は無敵の存在だ」と言うと勇者の娘である魔王は驚きの声を上げ「信じられません。まさかそんな事が、あなた一人で、そこまでできるなんて信じられませんでしたが」と言うと勇者は「でも勇者の力を手にしたとしても、それは、あなたの本当の実力ではないでしょう。いくら、あなたが凄い能力を持っていようと勇者の力を持っただけで勝てる程甘くはない」と言うと僧侶も「確かに勇者の体は魔王の力を持っているようですね。でも私に言わせれば魔王と勇者は、それほど強いとは思えない」と言ってきたのであった。

俺は僧侶と勇者の言葉を聞いていたが、この二人の会話が面白くなってきたと思う。「その話は、どこまで信じればいいのか分からないけど、とにかく俺は今なら勇者に勝てるように思えるから、その前にリリイの力も借りたい」と俺が頼むと僧侶が「私は別に、どうでも良いのですが魔王様は、どう思いますか?」と魔王の方に話しかけていた。

俺が「僧侶も、そう思わないか?」と聞いてみたが魔王の娘は何も言わなかった。俺はリリイの顔を見たが何も言ってこない様子で、もしかしたら僧侶の言った事を聞いてショックを受けているかもしれないと思って「僧侶の言っている事は気にしなくていいからな」と俺は優しく声をかけたが魔王の娘は無反応のまま動こうとしないで立ち尽くしている様子で、その様子を見た僧侶は「何か言いたい事があるんですか?」と声をかけると、魔王は僧侶に対して睨みつけたが何も言葉を発せずに下を向く。

俺は魔王の様子が変だと思い「おい、大丈夫なのか?」と心配すると魔王が口を開き「私に構わないで、そっちの話を進めてくれないか?」と俺に冷たい口調で話してきて俺は驚いたが、それ以上に驚いたのは僧侶の方で僧侶が魔王に「どうかされたのですか?」と聞くが魔王は何も答えず黙ったままである。

俺は、そこで「とりあえず、ここから移動するから、ついてきた方が良いよ」と二人に声を掛けると僧侶は魔王の方を気にしながら歩き出し魔王は僧侶の後を黙って歩いていたが俺が僧侶の隣を歩いていると僧侶が俺に声をかけてくる。

「勇者、魔王様は何を考えているのでしょうか?それに僧侶の私が勇者の仲間になる事は魔王様に許されるのだろうか」と言うので「僧侶が勇者の仲間になったら魔王が僧侶の力を使う事は出来なくなる。だから僧侶が仲間になっても魔王には、ほとんどメリットが無いはずだ」と言うと僧侶は「そうですよね」と言うが僧侶が納得したようには見えないので「それに魔王が勇者の味方をすれば勇者は魔王を倒すために本気で戦ってくる。僧侶の持っている知識や経験は、この世界の人達の知らない情報も魔王は知っている」と言って安心させようとした。

僧侶は俺の説明で、なんとか安心したらしく魔王の方を見ると「さっきから黙り込んだままで、どうなさられたのですか?」と話しかけたが魔王は相変わらず黙り込んでいるので俺達は先に進んだのであった。

それから魔王城から、どんどん離れていき俺達がいる場所の近くには魔物の姿もなくなり静かな空間が広がると、そこで俺が足を止めるとリリイと僧侶と勇者の子孫が、すぐ傍にいる状態で俺は自分の考えを話し出す。それは魔王城から離れていけば勇者が魔王を殺すために、こちらを追いかけて来て俺を殺しに来る可能性が高いと思っていた。その為、俺の体がバラバラにされる危険性を考えながらも俺が「リリイと僧侶は勇者と戦って欲しい」と言うと僧侶が俺に文句を言い出そうとしたので僧侶が、まだ話を続けようとすると俺は僧侶を睨んで僧侶に口を閉じさせた。

そして「勇者を倒すためには魔王の力が必要不可欠だと思う」と俺が言うと勇者は俺を鋭い目つきで見ながら「お前が、どうやって勇者の力を手に入れたか知らないけど勇者の力は簡単に扱えるものじゃない。勇者の血を引く者でなければ扱えないはず。そのお前が勇者を倒せるわけがない」と言うと俺は笑い「それは違う。俺は勇者を確実に倒す事が出来る」と言うと勇者と僧侶は、それを聞き驚く。

俺の話を聞いた僧侶が「勇者を、どうやって倒せるというのだ?」と言うと俺は「簡単な事だよ。俺の力は俺の体の全てではなく一割しか使えない。だけど勇者が使うのと同じ剣が俺にも使えるんだ。それで戦う」と答えるとリリイは驚いて「え?勇者は最強の剣士で、その勇者の持つ勇者の剣は、その使い手にしか、あつかいきれない武器なのに?」と驚きながら話してきた。

俺はリリイを見て「そうらしいな。だから、これから魔王の力を借りて俺は魔王城に戻る」と俺が話すと勇者は「魔王の城に戻るの?どうして?魔王の力を使えば、お前は勇者より強くなれても勇者に勝てるとは限らないぞ」と言うと俺も僧侶に向かって「そうだな。魔王の城に戻れば俺は死ぬ可能性が高くなる。それでも俺は絶対に負ける事は無い。俺は必ず勇者を殺してみせる」と言うと僧侶は不安げに魔王を見るが魔王は「勇者と戦えるのは嬉しい。でも本当に良いの?私は勇者と会いたくない」と言う。

それを聞いた僧侶は魔王の事を不思議そうな顔で見ているが俺は「僧侶も俺についてきてくれないか?僧侶は勇者との戦いで命を落とす可能性が、とても高いから僧侶が俺の仲間になってくれて助かる。俺の体の中にいる魔王が俺を、どうしたいのか分からんが、おそらく俺が元の世界に帰るまで僧侶を守るのが役目だと魔王は思うから、僧侶も、これから俺が勇者と戦う時に力を貸してくれる」と僧侶に伝えたのであった。すると僧侶は少し考えるような顔をしてから「分かった。これから勇者と戦う事になったら、この身に変えてでも僧侶が勇者と戦い勇者を倒し勇者の血を絶やす手伝いをする。それで、あなたの仲間になります」と言い出したのである。

そして勇者と僧侶の子孫が先に歩き出しリリイと魔王が後に続いて歩いていた。

そして俺も三人に遅れまいと早足になると勇者と僧侶は、そんな俺の後ろ姿を見ていた。俺は振り返る気も無く、そのまま進み続けたのである。しばらく歩いていくと前方に人影が見えてきて俺は警戒しながら近づいて行くと俺達に近寄ってきた相手を見た僧侶は驚き声を上げる。「そんな馬鹿な」

勇者は僧侶の様子を見ていて俺は勇者に僧侶の事を聞こうとしたが俺に勇者は「勇者の力は子孫に伝えられなかったようだ。魔王に勇者の力を伝えれば、こんな事が起こると思っていなかった。勇者の体と精神が完全に融合する事は有り得ないと思っていた。まさか、その融合が起きてしまうなんて、これは勇者としての使命でもあると思うから僕は僕が成すべき事を成す。その相手が君で残念だ」と言うと、そこに現れた男は俺に対して剣を構えると俺は、その男の構えた剣を見ながら「俺は僧侶の話では勇者の末裔だと言っていたよな。だったら勇者が俺の前に立ち塞がっているって事は魔王は勇者の力を使って復活した事になる」と言うと勇者が答える。

「そういう事になるな。君は魔王の居場所を知っていて魔王を復活させようとしたみたいだけど魔王が復活しても勇者が必ず魔王を倒す」と言うと俺は「そうか。それなら魔王と勇者が殺し合えばいい」と俺は魔王の方に目をやり「魔王。俺は勇者と殺し合いたいと思っている」と言うと勇者は俺に話し出す。

「僕の力を、どこまで受け継いでくれたか確かめたい」と言うと勇者は魔王の方をチラッと見ると魔王は「私は戦いません」と言うと勇者は、それを無視して俺の方を見てくる。

勇者は、俺に向かって「さあ勝負しようか」と言ってきたが勇者と勇者が使った物と同等の物を扱えるなら俺の方が、どう考えても有利である 俺は勇者と向き合ってお互い剣を構えていた。俺達の方へ僧侶も向かってきたが僧侶はリリイの事が気がかりなのか、なかなか勇者と魔王の間に割り込めないでいる様子であった。僧侶が俺達の元へ到着する前に勇者が俺の方に斬りかかってきて俺も同じように攻撃して俺は鍔迫り合いをしようとするが俺は勇者の攻撃を受け止めたのであるが思った以上に強い力だったので俺は後退するのであった。

俺は後退した後すぐに前に進み今度は、こちらから攻撃をしようとしたが勇者も俺の攻撃を受け止めようとして、ぶつかり合う音が響いてきた。そして俺達は何度もお互いに刃を重ね合わせたが、このまま続けていても決着がつく気配もなく、この打ち合いが永遠に続くように感じた俺は後ろに下がりながら勇者から離れて魔王と僧侶と俺で戦うのが得策だと思い魔王と僧侶の元へ向かった。

そして僧侶も遅れて俺の元に辿り着き、僧侶は俺の顔を見ると「今のうちに逃げるのです!」と僧侶は言って来たが俺の体に宿っている魔王は「私も戦わないとダメでしょ?」と言って僧侶を説得しようとすると僧侶は「しかし魔王様は私に言いました。もし魔王城に戻った時の為に魔王様は私の子供を育てなさい」と言って僧侶は自分の胸に手を当てながら俺の目の前に立ち勇者と魔王に背中を向けて俺達を守るかのように立っていた。

勇者が僧侶と会話をしている隙に俺は、僧侶の目の前に立つと僧侶に魔王城に戻る方法を伝えるのであった。

俺の話を黙って僧侶は聞いていた。俺は勇者との戦いに集中出来るので僧侶には悪いと思ったが魔王が、どうしているか分からない状態なので魔王の事を優先したかったからである。僧侶は「なるほど、分かりました」と言うと俺は勇者に攻撃を仕掛けるが僧侶が邪魔をしてくる。俺は勇者の攻撃を避けては勇者に反撃をしようと試みて、それを勇者が防御するので俺の持っている魔王の剣が魔王城の武器庫にある聖剣と同じような性能を持っているならば俺は魔王の力を使えば勇者を倒せるはずであるが魔王の力で勇者の力を打ち消すには時間がかかりすぎるし魔王の力が尽きてしまったら俺自身も危ない状況になる。

(魔王、勇者の力を抑えこむ事が可能か?)

魔王の声が俺の頭に響くと魔王が「難しいかも」と言う。

そこで俺は僧侶との打ち合いをしながら魔王に勇者の事を尋ねようとするが、僧侶が邪魔をしてきているせいで勇者が、どの位置に立っているのかが分からなかったのである。俺は魔王の方に僧侶を何とか押しのけて俺も移動をして俺が、どのように勇者を追い詰めて行けば良いのか魔王と話し合っているうちに僧侶はリリイ達と合流しようとしていたので、リリイは僧侶を止めようとしたが僧侶に振り切られてしまい俺達の戦いの中に僧侶は入ってしまった。僧侶は勇者を倒そうとしていたのであったが、その時、リリイ達が魔王に話かけると、それに魔王が答えると魔王が急に苦しみ出して、その事に勇者も驚いたらしく魔王は地面に座り込む。そして魔王が「苦しい」と叫び出す。俺は勇者の方に魔王の力を使わずに攻撃を仕掛ける為に前に進むと僧侶も勇者を倒す為に近づくと僧侶はリリイの事を気にかけていたのだが僧侶がリリイの方を見ると勇者が剣で僧侶の腹を貫いた瞬間だったのであった。僧侶の体は、まるで風船が破裂したような音と共に体が飛び散ってしまう 俺が魔王の剣を使う事を考えていたが魔王は「それは出来ない」と言うと、さらに魔王は苦しみだす。俺は勇者に攻撃しようとしていたのだが、リリイが勇者の前に立ちふさがって来て「やめて」と大声で俺に向かって叫んできた。俺は、それを聞くと魔王の体の変化を感じ取る事ができ「魔王!もう無理だ。魔王の力を抑える事ができない」と言うと魔王が俺の中で暴れまわっていて俺は苦しんでいたが俺の中の魔王は俺の中から出ようとしていて俺は「俺も魔王と一緒に行く。魔王は俺が連れていく」と言うと俺は魔王城に戻りたいと心の中で願うと俺の意識が途切れそうになる。

俺は気を失う寸前だったが俺は気を失いそうな自分の意志とは別に魔王城に向かって歩き始めていたのである。魔王も俺も俺の意思とは無関係に歩いている。俺の中に入って来ている魔王の力と俺の力の両方を使っているので俺も魔王もこの力に耐えきれなくなってきていたのであろう。そして俺は勇者の剣で胸を突き刺されたまま歩き続ける。そして俺は魔王城に辿り着いたが、そこには勇者の姿は無く魔王城は崩壊していたのである。

そして俺の体からは魔王と俺の力は溢れ出していて止まらずにいた。俺は、その溢れ出している力を勇者が魔王城に、いるのではないかと考え勇者のいる場所に目を向けたが俺の目から見える景色は俺の記憶の中にある景色とは全然違うものになっていた。その事から勇者と魔王の戦いによって魔王城に張られている結界のような物が破壊されていて俺の体から出ている力の影響なのだろうかと俺は考えていたが俺は勇者と魔王がいると思われる魔王城を後にする事にした。そして、このまま勇者と魔王に戦いを挑む事も出来るけど魔王が、この状態で勇者と戦うのは不可能だろうと考えた。だから魔王の事を一番分かっている俺が魔王を連れて勇者と戦う事を諦めるしか方法が無いと思い魔王に俺は魔王城を出るように言う。すると俺の口から魔王は出て行き俺の体から出た力は空中で分散していく。俺の体に痛みはなかったが、その代わりに魔王の魔力のほとんどを失ってしまったようである。魔王は俺に向かって「ありがとう」と言うと俺に向かって抱きついてきて泣き崩れると俺は、その光景を見ながら俺は、こんなに泣いたのを見た事が無かったのである。そんな魔王を見ながら俺は「これから、どこに行けばいいと思う?」と魔王に質問をしたが魔王は俺から離れようとしなかったので魔王に魔王は何処に行けばいいか尋ねる。魔王は涙を拭いながら「魔王の城に戻って、また結界を張って」と言い出したので魔王の体から魔王の力を感じた俺は魔王に「俺は、もう魔王城に戻る事は出来なくなってしまった。お前は魔王の力を感じる事ができるんだろ?」と俺は話すと魔王は魔王の力がある方角を俺に伝えると「勇者は、あっちに行ったから私はあそこに行ってみる」と魔王は言ったので俺は魔王に勇者を追わせようと思っていた。しかし魔王は勇者を追っている場合じゃないと俺に訴えかけてきて俺は、それもそうかと思い俺は勇者と魔王が戦った場所に向かおうとすると魔王は魔王の力で俺の背中に翼を作ってくれて俺は魔王の方を振り返りお礼を言うと魔王は俺に手を振りながら笑顔を見せてくれた。そして俺は勇者がいた場所に向けて出発した。

そして勇者と戦って魔王の体を破壊されないようにする対策を考えた結果 俺は魔王の力を使って俺と勇者が戦った跡を調べたが特に異常は感じ取れず とりあえず勇者に見つからないようにする為に、ここに魔王城の残骸が散らばっていたとしても誰も気がつかないだろうと推測して魔王城の跡地には戻らなかったのである。

それから、しばらく飛んでいると魔王は疲れ果てた様子を見せていたので休憩をする事になると魔王城の近くを通り過ぎてしまったようで俺は魔王に話し掛けるが魔王も体力の消耗が激しかったのである。

俺は自分の中に宿っている魔王に対して俺は、なぜ魔王の力が暴走して爆発してしまったのか尋ねたのであった。すると魔王は勇者と戦い始めた時と俺との戦いで使った魔法の消費が激しくなってしまった事で魔法が使えなくなり魔王の力は使い尽くされて魔王の力は無くなりかけている状態である。俺は、これ以上力を使うと命の危険もあると魔王に言われて俺は魔王と話をする事にして、とにかく休める場所を探すと「それなら魔王様、私が案内します」と言うと俺は声のする方を見ると俺と魔王の前に僧侶が現れたのである。俺は「僧侶!?」と言うと魔王が僧侶に向かって攻撃を仕掛けるが、それを僧侶が避けながら俺達に向かって話始める。

「実は魔王様と勇者が戦い始めてから魔王城が崩壊しました」

俺が僧侶の言葉を聞いて驚いていたので魔王も驚いた顔をしていたが僧侶が続けて俺に話しかけてくる

「魔王城が崩壊した原因は私にも分かりません。ですが私も魔王城が崩れた時に魔王城の外にいたのです。その時、魔王城の周りを囲っていた結界も破壊されたので今なら、まだ魔王城には魔王の力が残っていたはずなので急いで向かいましょう。そこで、あなたが持っていた魔王の力を使いながら私達は戦えば勇者に勝てると思います」

俺が僧侶に魔王の事を聞こうとすると僧侶が、さらに言葉を続けて来た

「勇者に倒されたはずの私を魔王城に連れて行ってくれて、ありがとうございました。あの時、勇者に斬られたので魔王城が崩壊する前に魔王様の側に行けばよかったのに体が上手く動かなくて、あなたの目の前で死んでしまって、とても後悔していたんですよ」

俺は、その僧侶の姿を見て魔王の事を思い浮かべていたので、どうしても聞きたい事を俺は僧侶に伝えようとするが、まずは、ここから近い町に行く事になった。僧侶の話だと、その場所に俺と僧侶の共通の知り合いが居たので俺は、その人に頼んで俺達を安全な場所で保護してもらう事に決めたのである。僧侶によると勇者はまだ町の方には来ていないみたいで、このまま勇者が来るまでに俺達は魔王の所に行き勇者と勝負をしたかったので俺達は魔王城を目指して移動を開始したのである。僧侶が言っていたが魔王城の周りに張られていた結界の残滓は、まだまだ残っているので魔王城までは、それほど時間が掛からなかった。俺が「やっと魔王城に着いたね」と言うと魔王も「うん」と言って少しだけ安心しているように見えた。

俺達が魔王城に到着すると僧侶の知り合いは、すぐに魔王城の中へと入っていったが魔王が「大丈夫なの?僧侶」と聞くと僧侶は「問題ないですよ」と答えていた。すると、しばらくしてから俺と魔王の前に勇者が現れ俺は魔王に向かって話し始めた。

「よく、ここまで逃げ切れたじゃないか。だが、これで最後だ魔王。大人しく捕まれ」

魔王が「嫌よ!」と答えると勇者は魔王に向かって剣を構え「お前は絶対に許さない」と言うと魔王が俺に何かを指示するような表情を見せたので俺は勇者の方に剣を向ける。魔王が何をしようとしているのか分からなかったが、勇者と戦う準備を俺は始めようとした。しかし僧侶の様子が変だった。どうしたのか俺が心配になって見ていると僧侶が俺に話し掛けてきたのである。そして俺は僧侶から信じられない事を聞いたのであった。それは、魔王が僧侶ではなく、勇者だという衝撃の事実を聞かされたのである。勇者は魔王を倒せる力を持っているのだが、勇者は今まで勇者の力を使って魔王と勇者の戦いに介入してこなかった。だけど今回に限っては、どうしてなのか分からないけど、この場にいる俺を殺すために勇者の力を使ったと俺は僧侶の説明を聞いていて思い知らされたのである。勇者は「お前が死ねば俺の目的が達成できる。俺は世界を手に入れる事が出来るんだ」と言うと俺は自分の意志に関係なく、いつの間にか自分の意識の中で魔王に操られている事を自覚して自分の体の支配権を取り戻す事ができずにいた。魔王に体を乗っ取られてしまう前と同じように 俺の中に入り込んで来た魔王は、そのままの状態で勇者に戦いを挑もうとしたが俺は俺の中から出られないでいた。そして魔王は勇者と戦うが俺が勇者と戦っている最中で、俺から溢れ出ている魔王の力によって魔王の体はボロボロになっていた。勇者が剣を振る度に魔王は俺から離れて魔王城の壁に吹き飛ばされてしまい、魔王の体の至る所から出血しており勇者の剣で攻撃を受けるたびに俺の体に戻って来る事を繰り返すようになっていた。そんな状態なのに魔王の体は完全に壊れていなかったのである。俺と勇者が戦った後でも、その体を完全に壊す事ができなくて俺は、かなり手加減されていたんだと思った。そんな状態で俺が「リリイは?」と魔王に聞いたら魔王が「私は魔王城に戻っているわ」と言うので魔王が「勇者はリリイの体を欲しがってリリイに手を出そうとしたの。勇者の目的はリリイの身体を乗っとる事だから、あいつを、リリイに近づけさせる訳にはいかない」と言うのである。そんな魔王を見て俺が「リリイは大丈夫か?」と魔王に尋ねると魔王は「大丈夫」と言いながらも涙目になっている魔王の事を俺は心配したが俺も俺の意思に反して動き続ける自分の体に抵抗が出来なかった。そんな状態の俺に勇者が近付いてきて「魔王を俺の物にする為には、ここで死んでもらうしかないんだよ。さあ、おとなしく死ぬんだ」と言ったので俺は勇者の事を睨みつける。

そして勇者が、もう一度俺に剣を振り下ろそうとした時に、その攻撃を防いだ人物が、そこに現れて俺はその人の姿を見た瞬間に涙が流れ落ちるのを感じたのである。その人物は、やはり魔王であり俺は「お前は俺の体から早く離れろ。お前が体を取り戻せ」と言い出したので魔王が、そうする為には、俺が体に戻る必要があるというのである。

俺が自分の体に戻る事を拒否すると勇者は俺に近づいてきた。勇者が「お前は本当に魔王の力を取り込んでいるから、どうすればお前を消せるんだろうな」と言うので魔王が「勇者は勘違いしているわ。お前は魔王の力で自分の肉体を作り変えようとしている。私は私の体でいる事を望んでいるから、こんな状況になっちゃっているけど。お前は自分から進んで私の肉体を求めている。お前が、これから、どんな事をしようとしても無駄」と言うと勇者は笑いながら魔王に対して攻撃を仕掛ける 俺は勇者が俺を殺そうとするのを止めるように魔王に話しかけたが 俺の体は言うことを聞かず魔王に攻撃を始めた。勇者の攻撃が魔王に当たらなくなったと勇者に攻撃をしようとした俺だったが勇者の動きが速すぎて全くついていけなかった。

勇者が「魔王の力を使っているのに何で俺に勝てないのか、その力の意味を理解していないようだな」と言うと俺の中の魔王が「その程度の力を、お前は私に、どうこう出来ると思っているわけ?」と言うのである。それから勇者との戦いは続き、魔王は勇者と俺の両方に戦いの指示を出すが勇者に攻撃を与えようとするが俺が勝手に行動してしまうせいで上手くダメージを与える事ができないでいた。勇者が魔王の隙を狙って攻撃を仕掛けようとするが俺が勝手に動いた事で魔王が勇者の攻撃を受けそうになったのである。そこで魔王が「ちょっと佐藤君。いいかげんにしてよ。邪魔しないで」と怒りだす。魔王の話を聞いた俺が勇者と話をしようと魔王の意識がある俺の体が話しかけようとしたのだが、なぜか魔王の意識がある俺は、その言葉を無視して魔王として勇者に戦いを続けていた。魔王の意識のある俺に文句を言いたいが、それが出来ない俺だった 。

魔王の体で魔王の振りをしていた俺は、ついに魔王の意識がある方の俺が完全に動けなくなり俺から完全に主導権を奪って俺の代わりに戦いを始めると魔王も俺に変わって戦いに参加する。俺が「どうして俺が、いつも俺の邪魔をする」と言うと魔王は俺に「だって魔王が表に出ても仕方がないでしょ。あなたが私と一緒に戦う事は魔王の本来の役目ではないから、あなたを私が代わりに使っているだけだから、あまり魔王を頼ったらダメだよ」と言われてしまった。すると俺が魔王を俺に返してもらいたいという事を話すが、すでに俺は魔王に魔王の力を奪われていた。魔王は魔王の力を使いながら勇者と戦いを続ける だが、いくら魔王でも、いつまでも戦えるわけではない。

俺から魔王に、すぐに返してもらう必要があったのだ。

そこで俺に魔王が「そろそろ決着をつける時が来たみたいね」と言うと俺も俺の中に入り込み俺は魔王に話し掛ける。「俺は、どうしたら魔王の体の主導権を握ることができるんだ」と言うと魔王が俺の質問に答えてくれた。魔王によると魔王は自分の意思では俺の体の中から出て行くことはできないが俺が、どうにかして俺の体の主導権を取り戻してくれるなら自分の体を取り戻す事ができるというのである。

そこで俺は魔王と入れ替わる事が出来れば俺の体を取り戻す事が出来ると思った。そして俺は魔王に「どうやって魔王は俺と入れ替われる?」と聞くと魔王が「まずは、勇者を倒すしかないわね。あの人は勇者だけど本当は勇者ではなくて普通の人間だけど、あの人の中に別の人格が住み着いてしまっているだけ、それを消すためには、その人の体から追い出すしかない」と言われた。勇者が勇者ではなく勇者に取り憑いている別の存在が勇者であると聞いて俺が「どうして勇者は勇者ではなくなって、そんな事に?」と聞くと魔王が「あの人の中にあるもう一つの人格は魔族だからね。勇者は魔王に負けたんだけど勇者の体に魔王の魂が入り込んだ。それで勇者の中にいる、もう一人の人格は勇者の体を乗っ取り自分の居場所を確保しようとしていた。そして今から魔王が勇者に勝つ事で、勇者の体は魔王の物になるから、そうすれば魔王は勇者に体を乗っ取られることはない。ただし勇者に魔王の意識がある状態で勝った場合は魔王の体を奪う事はできないけど」と俺に説明をしたのであった。

魔王が勇者に勝ち、魔王が勇者から奪い取った体の中のもう一人の人格が俺に乗り移ってきたら俺の体を奪い返す事が出来るので、それを利用して勇者を倒し、俺は俺の体に戻るために勇者と戦う決意を固めた。しかし、魔王と入れ替わっている俺が、この体から出て行くのにも魔王の助けが必要だった為、俺は勇者と魔王と魔王の力を持った俺の三人で戦い始めた。しかし、勇者の力が、どれだけ強いのか分からない。俺と魔王は勇者の攻撃を避けるので精一杯で魔王は勇者に、なかなかダメージを与える事ができないでいた。勇者に魔王の力を、そのまま使わせておくと俺の体を魔王に乗っとられる可能性が高いと判断した俺は勇者に向かって攻撃を仕掛けるが勇者は魔王の力を俺が使うのを気にせずに魔王に攻撃を開始した。

俺は、その状況に危機感を覚えた。魔王の力が奪われる事を恐れた俺は「俺の力を返せ。俺は俺のままで、この世界で、やって行きたいんだよ」と叫ぶが魔王には聞こえなかったのか勇者に、その力を渡し続けていた。

俺は俺の体に戻りたかった。そうしないと俺の世界に戻る事ができないと思ったからである。俺が自分の体に戻って、リリイやリリイの家族を、俺の世界に帰したいと考えていたからだ。俺がリリイを元の世界に連れて帰る事で俺は元の世界に戻れるはずだと思った。だから俺が俺の体に戻る為には魔王の力が必要だったので俺は魔王に、その力を渡さないように攻撃を加え続けたが勇者の攻撃を避けられないでいて勇者が魔王の体に入り込むと俺は勇者に体を乗っ取られてしまうかもしれないという恐怖で俺は焦っていた。俺に攻撃してくる勇者の攻撃を防ぎきれずに勇者が剣で俺を切りつけようとする。その攻撃が当たる寸前に俺に魔王が「佐藤君は死なせない。私の力で絶対に」と叫んで魔王の力を使って勇者に攻撃を加えて吹き飛ばす。俺は魔王の事を信頼していて俺を守れなかった事を魔王は悔やんでいたが今は魔王の事を心配してる場合じゃないと思い勇者と戦っていた。そんな時である。

突然現れた人物を見て、その人物を知っている俺は「あんた誰だ?リリイなのか?」と声を掛ける そんな時に魔王がリリイに対して「リリイは魔王なの」と言い出して俺は驚く。すると魔王が、なぜ俺の前に現れたかの説明を始めて魔王から、これまでの経緯を聞いた俺は納得する。俺は「なんで、お前らは二人で一人前なんだよ」と俺に言われて魔王が答える「魔王が一人では、うまく動かなくて私のサポートがなければ、どうしようもないの」と答えてくれた。魔王が「私は、もう限界が近いみたいで、しばらく休ませて欲しい。お願い」と言うと俺は魔王の願いを聞き入れると、俺は俺の体を取り返したかったが勇者の攻撃を防ぐので、せいいっぱいであり俺が俺の体に戻るまで魔王が俺を守ってくれる事になったのである。しかし、このまま勇者との戦いを続けているだけでは魔王の力があっても勝てないので

「リリイ。悪い。魔王の力を借りさせてもらっても良いか?」と言うと俺は魔王から貰った剣を使い勇者と戦った。その戦いの中で勇者の剣を弾き飛ばすと勇者は「魔王の力が欲しいなら俺を倒して手に入れろ」と言い出し勇者に魔王の力で勇者を圧倒していた俺だったが、やはり俺の体が勇者の体から抜け出ずにいたのである。勇者は、どうやら俺の体に魔王の力を使う事に抵抗しているようだった そこで魔王が「私は、そろそろ時間がないから。勇者に体を貸してくれって、頼むの」と言ってきたので俺は俺の体に入るように指示すると、俺に主導権を預けて魔王の体は俺の体内へと入って行った。俺は勇者と戦いながらも「早く俺に、戻って来いよ。じゃねぇとお前の大事な人が悲しむぞ。それに魔王も心配していたぜ」と俺が言うと勇者は「俺と俺の中に入って来た魔王と、どっちを信じている?」と言うので俺は「両方だよ」と言うと俺は魔王の力を使い勇者を倒す事ができて俺の体を取り戻したのである。

勇者との戦いが終わると俺は勇者と話をしたが勇者の話を聞いて、勇者の中に魔族の血が混ざっている事は本当らしく俺と同じような世界から、こちらに迷い込んで来た人間らしい。そして俺に謝ると俺に自分の父親の真実を教えてくれて父親が本当は魔王で俺に謝罪してきた。俺は勇者と話をする中で父親の正体を知り勇者が、どんな思いで魔王になったのかを知った俺は、そんな事は関係なく勇者に、これまで魔王と勇者の争いに巻き込まれて来た事などを話す

「とにかく俺は、これから、どうしたら良いんだろう。魔王が魔王の座を狙って、まだ戦っているんだよ。でも、そんな事を俺が知ったとしても俺が出来る事なんて、何もない。魔王は、どうすれば良かったんだ?」と勇者が俺に言い出してくる。俺は「魔王に頼らずに、まずは自分で考えてみたらどうなんだ?」と言うが勇者は魔王に頼るのが一番だと思い込んでいるようで俺が何を言ってもダメだった そこで俺は勇者と話をしていたのだが、勇者が俺が持っているはずの魔族の武器の剣を持っていた事に疑問を感じた。俺は俺の体を取り戻せたので勇者に魔族について、俺が知っている事を教える。

俺が魔王に魔族と人間の共存ができない理由を話して人間と魔族の戦いを終わらせるべきだと言った事を説明すると

「魔族が、どうして、そんなに戦いを望んでいるのか、俺には理解できなかったけど、それが魔王と人間との話し合いで解決できるのならば俺は人間達と話し合ってみてもいいと思っている。魔王だって元々は同じ人間で仲間であるはずだ。ただ魔王に騙されていただけなら俺は、もう一度、魔王に説得してみる」と俺が思っていたよりも勇者が素直だったので俺は少しだけ感動していたが俺と魔王は勇者に体を渡す事にしたので俺と勇者は別れる事にした。そこで俺と魔王に話しかけてくる人物が現れた。その人物は女性でリリイの母親だと名乗る人物だが、その姿を見るなり俺はリリイが大人になっていたらと想像してしまい胸が大きくなってスタイルが良くなっている姿を思い出してしまう。そしてリリイの母親だという人物が俺に「あなたは勇者ですか?」と俺に質問をする。俺は「違います。どうして俺にそんな質問をしたんですか?」と答えたのだ。しかし俺の答えが気に入らないようで勇者ではないと言っている俺の言葉を無視してきたので俺は、その場から逃げ出した。俺と魔王と入れ替わった勇者と別れた俺は俺の家に、そのまま帰宅すると家の中には俺が俺の世界から持ち込んだ物が置いてある。そして俺は魔王と勇者から話を聞いた。俺が魔王の体の主導権を握った事で魔王と勇者は俺の中にいた時と違う会話ができるようになり

「勇者よ。魔王と勇者の因縁を、ここで終わらせるためにも魔族と人間が分かり合う必要があると思うんだけど、魔王と魔族とは話し合えると思う?」

と勇者に質問をしてみた。すると勇者は「俺は、この世界に魔族がいるという事すら知らなかった」と言い出して俺は勇者から魔王の事情を聞いていた。俺は、この世界の成り立ちを知る事が出来て嬉しかったが俺は「俺と魔王は、どうすれば、この戦いを止められると思う?」と魔王に聞くと

「魔族は戦いを止める事ができない。しかし、それは魔族側の考えで人間は戦いが終わるまで待つ事ができない。それならば、どちらかの種族の代表を魔王城に向かわせればいいのではないか?」

と魔王は言ってきたので、その提案を受け入れる事にした。その提案を受けて俺はリリイの家族に「今からリリイのお父さんに会ってくる」と言い出すと

「そんなの許さないわ。私を置いていくなんて絶対に嫌だ」と言い出して魔王に連れて行かれそうになってしまったが俺が

「リリイ。ちょっと待ってくれ。俺とリリイの父親は別人なんだ。だから会いに行くだけで戦う気はないから安心してくれ。もしも戦闘になって、それでもリリイの家族を傷つけたりしない。約束するから俺を信じてくれないか?」

と言ってリリイを説得しようとしたがリリイは「嘘。私を連れて行くためにリリイの家族と偽って私を連れ去ろうとしていたのでしょう」と俺に対して、そう言うと俺に対して攻撃をしてきて俺を殺そうとする 俺は、リリイの攻撃に対して防ぐ事が出来ずに攻撃を受けると、それを見ていた魔王がリリイに対して「佐藤君を殺さないで欲しい。リリイ。お願い」と必死な様子で魔王は頼み込んでいた。その様子を見ていて俺は、やはり俺のリリイの事を好きだったんだなと思った。

そして俺はリリイの攻撃を受けた痛みが消えて行く感覚を覚えて魔王の力を使った時の状態に戻る

「魔王は本当に、それで良いのか?」と俺が聞き返すと

「私に、こんなにも優しい言葉をかけてくれる人を殺したくなかった。だから、これで良かった」

と言うので「分かった。俺は俺の意思を受け継いでくれる奴が、いずれ現れる事を信じるしかないようだ」

と言うとリリイが攻撃の手を止めてくれたので俺は魔王の剣を使って魔王城の最上階に登ってリリイの父親と話すとリリイの父親は「お前に何が出来る。勇者でもないのに、お前のような者が、どうして私の家族を救ってくれないんだ」と言われてしまった。そこで俺は「俺は確かに勇者じゃなくて、お前らと同じ普通の人間で特別な力もない。だけど俺には大切な人達がいる。そいつらが、俺を信じてくれている限り、俺は諦めずに前に進んでやるさ」と言うと

「お前なんか信用出来るか。帰れ」と言うのだが俺に対して攻撃を仕掛けて来るので俺が反撃してリリイの父親を攻撃するが俺の攻撃で、すぐにリリイの父親が死んでしまうと俺は

「俺は帰るつもりは無いし。お前を殺す覚悟は出来ている。もし死にたくないなら降伏するか逃げていいぞ」

と言うとリリイの父親は

「貴様なんぞ殺してやる。かかってこい。私はリリイの為に死ぬ事は恐れていない。リリイの為になるのなら、私は、この命を差し出そう。ただしリリイが幸せになれなければ私はリリイを連れて自害するつもりだ」

と言って来たので

「魔王。悪いけど、こいつを殺してくれ」と俺が魔王に向かって言ったが魔王は「もう私は魔王では無いから魔王の力で倒す事は出来ない」と言うので俺も、それは分かっていたが、せめて一撃で決めて欲しいと魔王に伝え魔王に頼む

「分かった。勇者よ、すまない」と言うと俺の体を借りると俺に変わってくれた 俺の姿が変わると

「勇者?いや魔王?まさか貴様。あの勇者の体に転生したというのかね?」

と言って来ていたが俺は

「俺は勇者に力を託され魔王の力を受け継いだんだ。これから、よろしく」

と言って魔王はリリイの両親と戦う事になったが魔王と、そして魔王の体に入った俺の圧倒的な強さの前に為す術無くリリイの両親は殺されてしまい俺は魔王城から脱出しようとしたが魔王に止められる。俺達は、この世界での勇者の役目が終わったので、これからの人生を歩んで行く為に元の世界に戻りたいが魔王は

「ごめんなさい。まだ、もう少し、ここでの生活が終わらないので我慢して欲しい。必ず終わらせる事が出来たのならば、また、いつでも元の世界に戻れるようにしておきますので今は我慢して貰えないでしょうか?」

と言われたので俺は「仕方ない。魔王の気持ちが落ち着いたら元に戻してくれよ」と魔王に言い出すが俺は自分の体の事を思い出す 俺が俺の身体に戻った時に目の前にいた魔王を見て俺は驚いていた。魔王の姿を見てリリイが大人になった姿を思い出してしまい胸が大きくなった姿を見てしまう。魔王は自分の体を確認するように自分の手を見たり胸の大きさを確認して胸が大きいのを喜んでいたのだが俺は「リリイ。やっぱり、リリイだったんだね。今までリリイと、こうなりたいと何度も願ったんだよ。そして今こうして現実でリリイと恋人になれるのは夢なのか」と俺は感動していたのだが魔王が俺の事を見ながら

「私が魔王だとしても受け入れてくれますか?」と不安そうな顔で言い出してきたので

「大丈夫だよ。俺は、そんな些細な事では嫌いになったりしないよ。だって魔王が好きなリリイと一緒の姿だし魔王には魔王として魔王にしか出来ない事も有るんだろ。それに魔王の見た目は、俺の大好きなリリイに瓜二つで性格も同じくらいに優しくて俺が困っている時には相談に乗ってくれたから俺が惚れてしまっても、それは当然だろう」と言うと魔王が

「勇者は本当に私で良かったのですか?」と言い出したので俺は

「当たり前じゃん。だって俺が恋したのは俺の世界の俺の娘の容姿をしている魔王だぜ。それにリリイは俺の事を勇と呼ぶけど魔王は俺の事を、ずっと勇と呼んでいた。そして魔王がリリイだと確信したのは俺が勇だと名乗っていないのにリリイが勇と呼んで来たからだ。そしてリリイは俺に対して敬語を使いながらも、どこか距離を置くような接し方をしてくるが、それが余計に俺はリリイと距離を詰められると感じてしまうんだよ。だから今更になって後悔されて嫌われるような事が俺にとって1番嫌な事なんだよ。だから魔王が嫌がったからといって魔王に成りすましていた勇者をリリイと同一人物だという事を知らなかった事になんて俺は絶対にさせないから」

と俺が言うとリリイが

「そうですよ。魔王が、そんな理由で嫌っていた訳じゃないんですから私を、そして勇者を誤解させてしまったんですよ」

と言うので俺は「それならば魔王は魔王でリリイに、その格好のままでいるつもりはあるのか?」と魔王に質問すると

「その事については勇者に迷惑をかけて申し訳ないとしか、この世界を救う事だけを考える事が出来なくなってしまった。勇者に告白された時は凄く嬉しかった。だから私はリリイに成りきる努力をして少しでも長く、勇者と一緒に過ごせる事を望んでいたのですが私は、もう限界なのかもしれない」と魔王が言ってきたので

「リリイも魔王と同じように魔王が大好きだ。だから魔王がリリイだとバレないように気をつけていたんだけど俺は魔王の本当の姿を知ってしまったから俺の前では、いつもの姿でいてくれて構わないよ。だから、このまま一緒に暮らす事にしよう。魔王とリリイが仲良くしているのを見ると幸せな気分になれるんだ。俺に気を使う事なんて無いんだから魔王とリリイの2人が笑顔で過ごしていける未来を作ろう。俺も、いつか俺がリリイと結ばれた世界を実現できる日まで諦めないで頑張るから、みんなで協力しながら、その日を迎えるために頑張って行こう。そして平和に暮らせる日が来るのなら魔王にリリイに化けて貰う必要はないんだから魔王は、その姿を変えてリリイに似せた姿になってもいいんじゃないか?」

と俺はリリイに伝えると魔王が俺に

「私も勇者のように優しい心を持っている勇者が好き」と言って抱きしめてきたので俺はリリイが見ていたので

「おいっ。リリイの見ている前で、いきなり抱きつくな」と言うと魔王は「勇者に愛される事よりも嬉しい事が、この世にあるとは思えない。だけど、それでも勇者は私の事を好きで居続けてくれるのかな?私は勇者に、そう思ってもらえるように私は勇者に相応しい存在になれるように努める」と言うとリリイが俺に

「私達は勇者が、そうやって、どんな困難に出会っても良い方向へ進めるように支えて行くので安心して良いと思いますよ」

と言ってくれると魔王も「勇者に私達が、これからも力になるから」と言ってくれると俺の心の中でリリイも「ありがとう」と言ってくれるのが聞こえたので俺は

「本当に俺は幸せだ。この世界に来た頃は絶望に打ちひしがれていたが魔王がリリイだったと知って魔王の側にいるだけで幸せを感じる事が出来るんだ。本当に魔王には感謝するしかない」と言ってくれるのだがリリイは少し複雑な表情をしていた。それから俺達は、これから、どのように暮らして行くのか話し合いを始めると魔王とリリイは

「俺は魔王と魔王が成し得たかった事を引き継ぐから俺は元の世界に帰りたくは無いが、どうしても、こちらの世界に来ないといけない場合は出来る限り魔王と一緒の行動を取るようにするよ」と言うのだが魔王も

「私の方でも勇者には元の姿に戻して欲しいとは思うけど、しばらくは私の体に宿らせてもらってもいい。ただ、私が魔王ではなく勇者が魔王になってしまった事は、どう説明すればいいんだろうか?やはり私が勇者に成り代わり元から勇者に、あった力を引き継いだ事にするのが、これからの為には最善策だと思う」と言うと俺は

「そうだね。とりあえずは勇者の力は俺の中に眠っているから俺が元に戻った時のために魔王は魔王城から出ない方がいいのかもしれない」と言い出して魔王が

「勇者は本当に魔王が勇者だと思っていた時から私を信用してくれていて好きだったと伝えてくる。だけど私は魔王としての力を半分受け継いでいたから勇者と付き合う訳にはいかないと思っていたんだよね。それで私は自分の命を犠牲にする事でしか魔王の力が消える方法が分からないから魔王の力で私は勇者と結ばれる資格が欲しいと願いました」と言うと俺は

「なるほど。魔王の力で俺はリリイを取り戻そうとしたけど無理で魔王を信頼していたからリリイの振りをしていても俺は違和感を感じずにリリイだと思い込んでいたけど魔王だったと分かってからは魔王をリリイとして扱ってしまっていたけど、これからの事は、これからの事で魔王とリリイの関係を、また作り直すとしよう」

と話しながら俺達三人は魔王城を後にした。魔王城にリリイの父親が使っていた装備は、ほとんど残っていたので俺とリリイは魔王の鎧を身に纏い魔王の力を受け継ぎ魔王と、また魔王の体を共有できる生活が始まるのであった。

俺と魔王が旅立って数ヶ月が経った。

俺は今どこにいるかと言うと。リリイと俺の実家に帰省中である

「あら、お父さん久々だね。相変わらず、うちの親父と喧嘩ばかりしていたみたいだね。お母さん。勇者とリリイよ」

俺の母親が

「あなた達は夫婦になったんでしょ。いつまでも昔のような口調じゃなくて、これからの人生を一緒に過ごしていくんだから、これからは名前を呼び捨てで呼び合いなさいよ」と、そんな話をして俺は母親に

「えっと、これからも、よろしくな」と、ちょっと照れながらも伝える リリイも「よろしくお願いします。旦那様」と笑顔を見せてくれたのだが、俺達の事を見ている父親を横目に俺は少し苦笑いを浮かべたのだが、リリイは父親の方に歩いていき「父さん。元気にしていました?」と言うと父親は

「まぁな。しかし、勇者に嫁が居るという事は俺の娘も結婚したのかね」と言うと リリイも、すぐに「そうです。リリイも私と同じく勇者と結婚しました」と嬉しそうに答える するとリリイの父親は「そっか、それなら仕方がない」と言うのだ 俺が「そう言えば、リリイの両親って結婚しているのかい?」と質問するとリリイが

「はい。父は、とても強いんです。母は私を産み落とす時に亡くなったらしく、あまり父の事を知りません。母には私しか、いないんです。それに父が言うには、母の事を大事に想っていたらしいんですが、どうしてなのか私には理解できませんでした」と、そんな話を聞くと俺の両親は「お前の母ちゃんは綺麗な人だよ」と言ってくれて俺が「うん。俺の好きな人の1人で俺がリリイと結婚するまで大切に育てていたんだ」と話すと リリイは嬉しそうな顔をしたがリリイの父親の方も「勇者の言う通りでリリイの母親はとても美しい人だったんだ。勇者の両親が勇者を大切に思っていたからこそ勇者は産まれて来たんだろう」と言ってくれた。

そして俺とリリイは実家での用事を済ませる為に数日滞在した後 リリイと俺の家に戻ると俺の家には既に俺の妻達が勢揃いしていて俺の家族と一緒に過ごしていた 俺と、この世界の魔王と、その娘であるリリイは家に戻って来るなり、まずリリイが 俺の家の子供達と仲良くなったのでリリイの家で面倒を見ている子も含めて俺の子供と遊んでいたのであった。

俺は、この世界に来てからも、しばらくの間は魔王城で暮らしていたが魔王城の人達とも打ち解けてきた頃に魔王に

「たまには私に会ってくれる?」と言われて、俺は「いいよ。でも俺の住む場所も教えていないから、こっちに来るなら俺から連絡を入れても良いか?」と言うと魔王は快く了承してくれた。そして数日後に俺は、魔王を俺の住まいへと案内をした。魔王を自宅に招待したのだから当然だが、そのまま泊まる事になった そして翌朝になり俺達は朝食を食べ終えて、これからの事を話し合っていた。その会話の最中に俺は気になっている事を魔王に聞いてみた

「そういえば、この世界に転生する前に、リリイから聞いたんだけど魔王って、もしかすると元勇者の可能性があるんじゃないか? 魔王は自分が勇者である事も、魔王だったことも忘れてしまっているような気がしてならないんだけど」

と言うと魔王は少し考える仕草をして俺を見つめると「勇者が言う通りかもしれない。だけど魔王の記憶の欠片もないから勇者の持っている剣を使って私も勇者の力を取り戻す事ができるんじゃないかと私は考えています。だから私の力になってくれると助かります」と言ってくるのだった。俺とリリイと魔王の3人は今後の方針を決める為の話し合うのだが俺も魔王も意見が一致するとリリイに確認を取ってみる事に

「勇者には、いつも苦労をかけるね。魔王としてリリイと共に過ごすのもいいが魔王として魔王が復活するには勇者が必要な事に変わりはないだろうし、何よりもリリイを幸せにできるのは私じゃないので魔王と勇者の関係に亀裂が生じないように気をつけるようにする。私と勇者の関係は良好だと思わせる事の方が大事なんだ」と 魔王が言ってくれたので俺は魔王の気持ちを汲んでリリイにも、これからの話し合いに一緒に参加してくれるように頼むのだった。そして魔王と俺が、それぞれの意見を言い合っているのだが魔王がリリイに

「勇者は私に好意を抱いていると思うが勇者の事は好きになれそうにない。それでも私は魔王として勇者を幸せにしてあげないといけない」と言うのだった。

魔王はリリイの体に乗り移る事により勇者の力を受け継いでいたから俺は魔王をリリイだと思い込んで魔王が本当のリリイではない事に気が付けなかったから魔王にリリイの姿のままの魔王のままでいて欲しいと思っていたが

「それは無理ですね。私がリリイに成り代わるには魔王の力と勇者の力を一つにする必要があります。

私が勇者を嫌いになっても勇者と結ばれないと勇者の力が暴走する恐れもあるので勇者との繋がりだけは作っておいた方が安全だと思うんですよ」と言いだしてきた 魔王と勇者の話し合いは夜まで続く それから数週間が過ぎていったのだが魔王が

「私と勇者が夫婦になる前に勇者と勇者の子を私の子供として育てたいな。勇者に勇者の子の面倒は任せようと思っているが大丈夫だろうか?」と言いだしたので

「もちろん、俺は構わないよ。むしろ、そうして欲しい」と俺が言うと 魔王は少し安心した表情を見せるのであった。そして俺はリリイと魔王と相談した結果、これから勇者の子供の事は魔王に任せる事にし俺達は俺達の子供の為に魔王の力を受け継いだ勇者の子供の世話は魔王に託すのであった。

魔王と勇者の親子が俺とリリイ夫婦の所にやって来て俺の子供を自分達が育てると、はっきり宣言してくる。

俺は魔王やリリイと話し合いを行い俺が魔王から力を分け与えられた際に、どのような力を受け取ったのかを確認した結果。俺と魔王の子は俺と魔王の魂が混ざり合って生まれた子であり。魔王は勇者の力を半分受け継いでいたので魔王と勇者の力が混ざっている事になるので 俺の子が魔王の力を受け継いでいても問題はないと思うから俺は魔王の判断を信用する事にしたのだが 問題は

「私はリリイを心から愛する」

と言い出した。

魔王の娘に対して俺は

「私も、ずっと前から、勇者を愛おしく思っていた。だけど私は勇者の妻の一人であって、勇者の妻と娘を愛する事は決して出来ないと思っていた。

だから私にとっては リリイとリリイに似た子供が勇者の子として生まれてくれたのは、とても嬉しかったんだよ」と、言うのであった。そんな魔王の娘が生まれて数ヶ月が経過してから魔王の娘は俺達に

「父様とお姉ちゃんが、この子を可愛がってあげてくれて本当に感謝しているわ。私の名前は父様の名前から取って欲しいし、私の容姿は母様似だし性格は父様に似ていると思う。そして名前については 父様が父様の住んでいた世界での呼び名ではあるんだけど私と母様の名前を一文字ずつ使う事で 父様と、母様の遺伝子を引き継ぐ事が出来るのではないかと考えているの。

それに父様に勇者としての知識があるならば私達も協力をする事ができるはず」と提案をして来たので俺達は喜んで賛成をしたのだが

「俺が異世界に転生してから、かなりの月日が流れてしまったが今は勇者の世界での暦で言うとどの位の年月が流れたんだろうな?」

と俺は聞くと魔王の娘であるリーシャさんは

「それなんだよねー」と言って、俺達の方に歩み寄りながら話を始めた

「この世界と、勇者の世界との時間軸が同じだとは思えないからね」

と話し始めるので俺は「えっとさ。この世界を救えるのは勇者だけだって、神様に言われていたから、もしかしたら、俺の世界でも、かなり時間の流れは遅いのかな」と言うと 魔王の娘であるリリーは俺の方を見てから

「それなら、まだ、こちらでの時間は流れてはいないみたいだよ。父様と勇者の二人から勇者と勇者の力が混ざって産まれて来た私達が一緒に居るとね。二人の記憶を共有することが出来るし。私もリリイに成り代わった魔王の記憶を垣間見た事があるから、その時に得た情報だと、リリイが私達の母である魔王と、勇者の父親が、どんな人物だったのかを話してくれましたから」と話を始めると

「俺とリリイと勇者が共に居れば勇者の世界での時間が止まると、リリイは、言っていたが。どうなんだろうな? とりあえず俺はリリイと一緒にいるだけで、この世界に居続ける事は出来ているんだから。勇者も、ここに居る間は勇者の力で生き長らえる事が、できるんじゃないかな」と俺が話し始めるとリリイと魔王が納得したような顔をして話を続ける 魔王と勇者の子であるリリイの娘のリーシアは俺に

「パパ、そろそろ帰らないと」と言ってきた 俺がリリイに「リリイ。もう帰るのかい?」と質問をするとリリイが

「はい。帰りましょう。勇が待っている家に」と俺に言うのであった 俺は、この世界にいる間に魔王の勇者の子と仲が良くなっていたが勇者の子供達と一緒に過ごす時間は長くなりそうだから 勇者の娘であるリーシアちゃんと一緒に

「勇者の住んでいる家に行ってみたいな」と言うと勇者の子供達が

「うんうん。いいね。私も久しぶりに勇の家を見たいし。行こうよ。お父さんも、たまにはリリイのママに会いたいでしょ」とリーシャが言うとリリイも同意してくれたので勇者であるリリイの子供に俺と魔王とリリイが付いていくことになった。

俺は自分の子供であるリリィと一緒に自宅に向かって歩いているが隣に勇者の子供であるリシアちゃんが一緒について来てくれる。

「ねぇ。リリイのママ。勇者とリリイの赤ちゃんが、私達の子供になるのだから私と勇者の子供とリリイの子供が家族になるのだから勇者の事を『パパ』と呼ぶようにすれば良いんじゃないかな?」と言うと リリイが少し考え込み始めた リリイは「リリィの言う事も一理ありますね。私は別に構いませんけど。勇者と私の子供達の関係が拗れる事が無いようにしたいですね」

と言ってきていたが リシアが

「私は、やっぱりリリイと勇者の赤ちゃんが産まれる時が来るまで、リリイをお母さんと呼びたいです」

と言い出したので俺は「勇者もリリアナと結婚したばかりだから、リリアナの事をリリスって呼ぶ事にしているんだけど、これから勇者の子供にはリリアナはお母さんって呼んでもらって構わないからね」と伝えるとリリィは「じゃあ私もリリイの事をお義母さんとかリリスママって呼びたいです。ダメですか?」と聞くのでリリイが

「わかりました。私が勇者の子供に教えるようにしますから」と リリイは、俺と勇者の子供の前で宣言した。そして俺は勇者の住む家の前にやって来た。俺達は勇者の家に、やってきた。

リリィが「ただいま。戻りました」と言うと 勇者の息子のユータ君が俺に抱きついてきたので「久しぶり。元気にしてたか」と言うとリリカは俺に近づいてきて俺の手を掴んでから「おかえりなさい。勇者」と言い出すので俺はリリイの方を見るとリリイは少し複雑な表情をしていたが 俺がリリイの耳元に顔を寄せると 俺がリリイにだけ聞こえるように囁く

「魔王とリリイの子供を、うちで預かることになったんだから、お前とリリィの子供の事についても考えていかないといけないからね」と俺は言いだしたがリリイは少し不満そうな顔をしていたので俺はリリイにキスをしてから「俺がリリイ以外の女の子と浮気でもしたら俺を叱ってくれ」と言うとリリイは「はい」と返事をしてから

「あなたは私が嫉妬深い女性だと思っているんですね。まぁ間違ってはいないんですが。あなたの事を信じていますから」と 言ってくれたので 俺は勇者と勇者の娘であるリシアと勇者の子供たちに「今日からしばらくお世話になるのでよろしく」と言いだした。そして俺が

「俺の子供だと思っている子の名前はリリィって名前にしている。俺の事を父さんと呼んでも良いぞ。それと俺と、勇者の子供達とリリイの子供が一つ屋根の下で暮らす事になるからな。

何か困ったことがあればリリイに相談してくれ。俺とリリンの関係は夫婦だが。俺達は、どちらかというと親子の間柄でもある。だから、リリイと俺の子供に関しては俺と魔王の親子関係とはまた別だと考えている」

と言うと勇者は「わかった。父さんの事をパパ。父様の事をパパ。勇者様の事をお父様」と呼んだので俺はリリィの方を向いて

「どう思う? 呼び方を、統一させていくのも悪くは無いんじゃないかと思うんだ」と俺が提案をすると

「勇者の好きな様にさせてあげるべきだと思います。私は、そうするべきだと思う」と リリイは俺の気持ちを肯定してくれたので俺は「勇者の、やりたいようにしてみよう」と勇者に伝えた。それから勇者の子供をリリイの家で寝かせてからリリイは「お疲れさま。私はリリに変わってからリリイとして勇者とリリイとしての生活を続けてきていましたが これからはリリの身体を借りるのをやめて、この体でリリイとリリイとしての人生を歩みたいと 思っているのですが」と言われて俺が

「ああ。俺もその方が良いと思える」と言うと

「リリイは、勇者の妻だった私ですから。勇者は私の旦那様な訳ですし。その。リリはリリイなので、これからは、リリが私の名前を名乗ることにして、リリがリリイと名乗って生きていこうと思うの」

と言われたので俺が

「分かったよ。俺と勇者の子供として産まれて来たリシアは俺とリリイの子だから これからは、俺と勇者と勇者の娘は俺が勇者だった時の仲間だった人達に預けようとは思ってはいるが 勇者の娘として生きるリシアちゃんと リリイは、この先、どんな道を歩んでいくのかは、その時にならなければ分からないかもしれないな」

と言うと リリイは「うん。勇者の、子供である勇者の子供たちは この世界では勇者の力を持っているから 私達が守る必要があるけど、リシアは、まだ幼い子供だし。リリイは勇者である、この人の奥さんなんだから勇者であるリシアは守らなければいけないけど。

私の娘であるリリと、勇者の娘であるリシアちゃんは自分達で出来る範囲の事は、自分で何とかできるから あまり、心配する必要もないかなって」と話を始めたので俺はリリイに

「そうだな。確かにリシアちゃんはまだ小さいし。それに俺の子供達の年齢を考えると。

この世界の大人は皆んな勇者と関わりがある者だらけなんだから、 子供達に危害を加える奴なんかは現れないと思うから 俺達と勇者の子供も。それぞれ、それぞれの人生を自由に生きて行けば良いだろう。

俺の事を父様と呼んでくれているリシアには悪いが。

勇者と魔王の子である勇者の子供達には それぞれ、親がいるはずだからな」

と言うと

「えっ。そうなの。私、リリィと一緒にいた時は勇者様の事が大好きすぎて。他の男の子の事は好きになれなかったから。

そんな風に考えた事も無かったよ」

リリイは、とても残念そうな顔をして言うと リリイの身体を、魔王が乗っとった時に見た記憶が頭の中で再生された。俺は魔王の気持ちが、ほんの一瞬だったが分かるようになったのだ

「私、ずっと一人ぼっちなのかな。」

私は今朝から、同じ事を繰り返し呟いている。この世界に魔王を封じたのは、勇者とその仲間の賢者なのだから。

勇者は封印が解けないように。常に魔力を流し続けているはずなのに。

なんで私は勇者に忘れられたの。なんで、私は、こんなに悲しんでいるのに。

勇者が会いに来てくれないの。なんで。私、こんなにも勇者の事を愛してるのに。

リリイ。私は勇者に愛されていたかった。ただ、それだけだったのに。どうして、私だけ、ここに残っているの。

リリイ。リリイに会いたいよ。

私の事を忘れないで。お願いだから。

私がリリイと別れる事になったのは昨日、リリィが妊娠したからだ。リリイと勇者の子供が生まれた後は、しばらく二人で勇者が暮らしていた町を離れてから、この町に戻って来てから、しばらくは勇者とリリイが生活していく事になっている。俺の子供達にはリリという名前をつけているが。俺の事を父様と呼ばせていたが。

「リシアは勇者である俺が父親だから俺が父様で良いか」と言うとリリィがリシアの頭を優しく撫でながら「大丈夫。リシア。勇者のお兄ちゃんが、ちゃんとお父さんだって事を教えてくれれば、私は、それでいいんだよ」

リシアは「わかった」と言いながら勇者の息子を抱きかかえるとリシアの母親が「勇者様の、お嫁さんであるリリイさんも、もちろんお母様だからリシアも勇者様の子供もみんなで仲良く助け合いながら幸せになりましょうね」と言い出してきたので 俺は勇者に目線を向けると勇者は俺の目を見つめて、小さくうなずいてくれた。そして俺は「これからよろしく頼む。俺がリリの父親になるからな」と言い出したがリリィは俺とリシアの間に割り込むように俺と勇者の子供が抱きつくと勇者の子供達が嬉しそうな顔をした

「勇者は、これからどうするんだ?」

俺は、勇者に質問をした

「僕達は今日から、この街で暮らしていきます。そして、リリアナに頼んでいた、ある仕事を始めて貰います」と言うと俺は

「それって、あの大富豪の娘の護衛をする仕事の事かな?」と聞くと勇者は

「はい。そうです。彼女は僕の命を狙ってきていますから。リリイとリリスは、しばらく、こちらに滞在している間に護衛の仕事をしてもらうので。勇者の子供は、しばらく僕とリリイとで守りながら過ごしてもらうつもりだけど。

リリスの母親は病気で亡くなっていて、父親は既に亡くなっているらしいから。リリスは身寄りが無くてね。そこで、うちの屋敷に住んでもらう事になったんだ」と言ったので俺は「そうか。勇者が面倒をみるという事か」と言って俺は「俺の子供たちと、うちの子供たちが仲が良くなりすぎていて俺と勇者の子供達の関係が崩れてしまいそうなので俺がリシアと遊ぼう」と言うとリリが「わーい」と俺の足に飛びついてきたので俺は「リシィー、リシアを誘ってくれ」と指示を出すとリリはリシアの方に向かったのでリシアと遊ぶことにした 俺は、この世界のお金の価値を知らずにいたのでリリイとリリイに抱かれている、リシアから聞いた情報から、だいたいの金額は理解していたが。この国の経済力についても分からずにいたので。俺はリシアに「俺と、お前のお母さんで。リリはリシアに懐いているみたいだが、この世界での金銭感覚や物価については、どの程度、知っているのか教えて欲しいのだが」と言うとリシィは俺の腕に腕を絡ませてくると「私は勇者とリリイから聞いているだけで。この世界での常識などは全く知らないので、お手柔らかに」と言われて俺とリリイとリシアは「お姉さんだから何でも相談に乗ってあげるよ」と胸を張っているリリイに視線が集まるとリシアが「ママ。リリィお姉ちゃんに、いろいろと教わりながら頑張って行こうね」

と微笑む姿を見ると俺は思わず

「俺達の子供たちを見守ってくれる人が増えて良かった」

俺は「リリイ。勇者の娘のリシアは俺とリシアの子じゃないから、リシアを、どう扱うかもリリイの気持ち次第で決めればいいと思うから、俺は口を挟むつもりは無いが。リシアもリリも俺の娘みたいなものなので大切に扱ってくれるとありがたい」と言うとリリイは「分かった」と短く答えてから リリイは「勇者はどうするつもりですか」と言うので俺は

「リリも、もう少し大きくなったら。リリと同じような能力を身につけさせてから旅に出て欲しいと思ってるし、勇者にはリリと一緒に、俺の子供達の面倒を見て貰う為にも。俺が持っている、勇者が昔使っていたスキルブックを使って欲しいと思っているし。それに。勇者の子供で無い子達にも。それぞれ、勇者が使っているスキルを覚えさせたいと思っている。それと、その前に勇者は、この世界を見て回った方が良いとは思うけどな」と言うと リリィは、俺とリリイを抱きしめて リリィは「リシアは私が必ず守るから安心してね」と言うとリシアが「リシアちゃんが困った時には、お手伝いぐらいはしてあげないとね」と微笑み。俺とリリイとリシアがお互いに笑顔を浮かべている姿を見ている勇者は嬉しく感じているようで優しい笑みを浮かべていた。

リリィの妊娠が分かり。俺達が屋敷で暮らす事を決めた後。俺は「勇者が今の仕事が落ち着いたら。俺はこの国を離れようとは思っている。魔王を封じてから数百年以上が過ぎて魔王が復活しそうな気配もないしな。今の世界が、どんな風に変わったのかも見ておく必要があると思うからな」と言うと勇者は「僕も、あなたの意見に賛成します」と答えると 俺は「リリイも。それで良いな」と尋ねると リリイは俺の手を握ってきたので俺は、そんなリリイを抱きしめた。

俺が勇者に

「ところで、勇者は。この後は、どこにいくつもりで、ここに来たんだろう?」

と質問すると

「えっと、僕はリリィから頼まれた事があるので。まずはそれをしてからですね」と答えるので俺は「何を頼んだんだ」と質問した

「はい。魔王城で封印されている魔族を復活させて、魔王軍の幹部として迎え入れて欲しいと頼んだんです」と言うので俺は「なんで、そんな事を頼む必要があったんだ」と言うと勇者は

「僕の子供が生まれる前の話で、魔王城に残っていた文献を調べると、僕の魔王時代の部下の中に封印されている魔族の中に魔王軍のナンバー2と言われる者がいたので、もし復活するなら、その子が復活して欲しいなと思いまして。でも、魔王が復活するには時間がかかるらしいのですが。リリィには時間があれば復活させられるかもしれないと言われたので」と答えた 俺は「なんで、そこまで詳しい事が分かるんだ」と聞くと 勇者は「僕の封印している魔法陣を解析すれば封印された魔族の封印を解けるようになるらしく。魔王城にある書物を読み解く事が出来るようなので」と言いながら リリイに視線を向けると リリイが俺とリシアに

「リシアは、これからリリィと一緒に行動しながらリシアもリリと同じように育てようと考えているから、私達に色々と甘えて良いからね」と伝えると リシアが俺と勇者の子供であるリシアに抱きついて来たので俺とリリイとリリィで三人一緒にリシアを守るように抱き寄せて、しばらく、みんなで過ごす事にした しばらく過ごす事にして 俺は「リリィ、リリには、どのくらいの力があるか、もう見せてもらったか?」

と質問した

「うん、私も見てたんだけど凄いよ。

リシアの力を遥かに超えていてね 私は自分の娘だと思ったから可愛くて仕方がないんだよね」とリリィは嬉しそうに伝えてくるので

「それは嬉しい話だが。やはり、まだ幼い女の子を戦わせる事は出来ないから。しばらくは俺たちに任せてくれないか?それで、どれ位の実力を持っているか把握できたら。今度は自分で戦いたいか聞いてみた方が良いんじゃないか」

リシアは、まだ6歳なんだから、あまり、危ない目に会わせないようにしないでほしいんだよ。と言いながら 俺達は町中に出掛けた。

俺達は町中にでる事にした。勇者はリリに「何か食べたい物は有るかい」と優しく声をかけるとリリィがすかさず「じゃぁ。あそこで売っている。甘いパンが食べたいな」と言うとリリが「あれはクリーム入りで甘くて美味しいんだよ。パパも好きだったから。リリィが作ってくれたらきっと喜ぶと思うんだ」と言うとリリィは「リシアも大好きで、あの店では一番売れてるから」と言うとリリィは「じゃぁ。買いに行ってみる」と言うので俺達は、お店で注文をする

「お持ち帰りは有りますかね?」と質問すると店主が「あるよ。お姉さん。いくつ欲しいんだい?」

「三つください」と言うとリリィは嬉しそうにしているので俺は

「リリは、お土産を持って帰った時に喜んでくれる人がいるのか?」

「うん。お姉ちゃんはいつもお仕事を頑張っているから。私が作るケーキやクッキーやパイを、とても美味しそうにしてくれるから」と言うので 俺は「そっか。良かったな」と言って お店を後にする

「リリィがお仕事を頑張れる理由はリリなのか。俺の時とは違う反応でちょっと妬けるよな」と勇者に伝えると 勇者が少し考えながら「多分ですが。リリィは勇者の子供として生まれてきた事で。自分よりも強くて優しい人が父親になった事で。リリの為に、今まで以上に努力しようと思ったからこそ。僕を尊敬するという感情が強まったのだと思いますよ」

と真面目な表情をしながら言うので 俺は「勇者の子供って。そんなに強いのが当たり前なのか」と呟く 勇者は真剣な表情で「強いですよ。僕の魔王時代は四天王の序列二位が僕の側近で、勇者時代だと、その次に強いと言われている人物が、僕の元で働いていたんですから。僕も何度か助けられた経験もありますから。本当に、とんでもない化け物なんですよ。彼は」と言うとリリィが嬉しそうな顔をするので俺は

「どうやらリリも、かなり強い力を持っているみたいだな」

と笑いながら勇者に伝えた リリも嬉しそうな笑顔を見せるので 俺達三人は町中でリシアが好きな物をたくさん購入してから帰宅した。

俺は勇者を屋敷まで送る為に歩いて移動をしている途中で 俺は勇者に声をかける

「勇者。この町に来た目的を果たす前に、お前には確認したい事があって。

俺の頼みを聞いて貰えないだろうか」

俺が真剣な口調で話し掛けると勇者も雰囲気の変化に気づいたようで

「あなたが僕を呼び捨てにするなんて。何があったのですか。僕で良ければ話を聞かせて下さい」

と俺の方に体を向き直したので俺は「ありがとう。俺も勇者の事を仲間だと思ってるから、これからの俺の相談に乗って欲しいんだ。実は俺は、どうしても魔王を討伐しなければならない理由が出来てしまった」と俺の言葉を聞くと勇者は険しい表情になり 俺は

「俺の、その使命には。お前の協力が必要なんだ」

と言うと勇者は真剣な眼差しで俺の目を見据えると「分かりました。あなたに協力する事を誓いましょう。だから。僕も貴方の仲間に入れてもらえませんか」と俺の申し出を了承してくれて 俺は「分かった。勇者は、この世界の人間の中では俺と同じで最強の部類に入るから、心から歓迎させてもらう。改めて宜しく頼む」と握手を求めると 勇者が

「あなたから頂いた力は強力で。しかも、あなたの魂は美しい輝きを放ち。その強さを実感しました。これから、よろしくお願いします」と挨拶をして 勇者は俺の手を握るのであった 勇者に、俺の目的を話し終えてから

「それで。俺がこの世界に来てからは、勇者が俺と一緒に行動していてくれていたから、特に問題は無かったんだ。ただ俺にはやるべき事があり。それを終えた後は。また別の国へ旅に出ようと決めていたんだ」と言うと勇者は納得をした様子を見せた。俺が旅に出ようとしていた理由は二つあり。一つは、自分が召喚された世界で俺以外の勇者は俺と違って既に死んでしまったから。そして俺だけが生きている状況なので この世界に、この先。俺以上の勇者が現れないとも限らないので 他の世界にも足を運ぼうとしていた事を伝え

「それで。俺は、今から行く所が。最後の旅になる場所なんだけど。勇者は、魔王を倒した時の勇者の記憶を持っていてくれるか」と質問をしたが 勇者が困った顔になっているとリリィとリシアは首を傾げていたので、俺も一緒に首を傾げる するとリリィとリシアは

「魔王は倒してないから。まだ分からない」と言うので 俺もリリィも、なんの事だか、さっぱりだったので勇者を見ると勇者は「魔王は確かに存在していますが。リリィとリシアの二人で倒したんですよ。魔王が復活するまで封印しているだけです」と伝えると リリィとリシアは嬉しそうな顔になって。俺の足にしがみついて来て。リリィは「これで、リリとリシアと一緒に冒険が出来るね」と言いリシアも「パパ、嬉しいの?」と言い嬉しそうにしているので。

リリィが「私達が魔王を倒して封印しているから。もうすぐで、あの子も復活するんだよ」と嬉しそうにしている 勇者は魔王城にある封印魔法の魔法陣に魔力を流す事で魔王城の地下に存在する。巨大な魔法陣を封印しているのだが その魔法陣にリリィが封印している魔族の力を流せば。魔王城の地下にある封印された魔族を蘇らせる事が出来るらしいのだが俺は魔王城の場所すら分かっていないから無理だろうなと思っていたのだが そんな話を聞いて俺は驚いたのだが勇者の話に出てきた人物は魔族の中でも最強と言われる人物らしく。もし、そいつを配下にしておけば。俺の世界に居る魔物に対して圧倒的な有利を取る事が出来るようになるのではないかと考えながら。俺達は魔王城に近付いた所で馬車に乗っていた人達を降ろして別れを告げた後俺達四人で魔王のいる場所へと向かって行く事にした。俺が転移を使って行かないのか?と言うと勇者は

「リリィとリシアの二人が居ますから、リシアの能力が覚醒するのを、もう少し待って欲しいのです。

そうすれば、もっと、早く魔王を倒す事ができるはずです」と言うので 俺は素直に従う事にした。それから一時間程歩いている内に俺達の目の前に魔王の城の城下町と思われる町並みが広がっていたので、俺達は魔王のいる場所に向うのを一時中断する事にしたのである 勇者は「リリィとリシアに聞いてほしい事が有るんですけど」と言って リリに リリィの力の一部を取り込む方法と取り出す方法が有る事を教えてくれた 俺は

「なるほど。そういう手段もある訳か」と言い 勇者が「これは僕が思いつきで教えた方法で、本当に出来るかどうかは分かりませんが」と言うとリリがリシアの頭を撫でた時に 一瞬でリリィとリシアの体が光に包まれて 光が消えると同時に リリィとリシアの頭上に天使が羽を広げた形を現しており。その姿を見てリリィは

「えっ、私の頭の上が変わっちゃってるよ。それに力が溢れてきて気持ちいいんだけど」

リシアの方も

「うん。何か。頭が軽くて。力も溢れてる気がする。でも何が起こったのかな」とリリは

「パパ、私達の中に眠っている何かを引き出す事ができたんだよ。

パパが言ってた。あの人の能力が目覚めたんだと思う」

俺は

「リリィ、良かったな。リシアも何かが変わった感じがするのか?」と聞くとリリィが

「リリは分かるの?」と言うとリシアが「リシアも感じるよ。凄いね。これがパパの言っていた力なのかもしれない。試してみよう」

と言って、二人は、いきなり俺に抱き着いて来た。

俺も突然の出来事で驚いていたら

「やっぱり。これだ。私がずっと探し求めていた。本当の力なの」とリリが言いながら俺に頬ずりするので。俺は恥ずかしくなって顔を背けていた リシアも俺に「私は。お父様を守れるように頑張るから」と言って 腕組みをして俺の顔を見上げてくる。俺は、どうしたら良いんだと困惑していた 俺は「リシア、そのだな。俺は二人を守るつもりで戦うんだが。そんな俺が守るなんて言われてもな。どう返事をしていいものなのか。分からんよ」と言うと。勇者は、そんな俺の背中を、ポンと叩き「僕は魔王と話をする機会があったから知っていますが。この子は僕が魔王と初めて出会った時から。あなたを守りたいと思って頑張って来ましたから」と言うと リシアが少し照れ臭そうな仕草をしながら、それでも真っ直ぐに俺の目を見ながら

「だってリシアにとって、あなたは命の恩人なんですよ。あなたは優しいし、強くて頼りがいがある。

この人は絶対に、あなたの事を守ってくれるはずだから」と俺の手を自分の手で握ってくる 俺が勇者の方を見て微笑んでいると勇者が真剣な表情で

「それで、あなたの目的は達成できると思いますが。どうでしょうか?」

俺は「勇者、その事なんだがな。お前に頼めるか」と言うと勇者は笑顔で「僕に出来うる事であれば何でも協力します」と力強く言った 俺は「お前の、その剣で、俺の腕を切ってくれないか。俺は、その傷口から魔王に繋がっている糸のような物を、全て断ち切り。俺の体の外に出してから魔王と直接対面したい」と言うと 勇者が「腕を切る事については僕に任せて下さい。魔王に辿る道を塞ぐ糸を切り裂きます。

腕の傷も僕なら治せますから。任せて下さい」と言うので 俺が「じゃあ。よろしく頼むな」と言うと 勇者が真剣な表情になり「それでは。始めます」と真剣な声で話すので 俺は緊張しながら、その瞬間を待つのであった。

俺が勇者の行動を眺めていると勇者は、真剣な表情で 腰に差した鞘から刀を抜き取ると 俺の腕に向かって斬りつけた。しかし俺には斬られた感覚が一切無く。血も出ていない事から。俺は勇者が、何をしているのか分からずにいた。すると俺の前に映像が浮かび上がってくると そこには、魔王城にいるであろう魔王と戦う光景が流れており 魔王は、その強大な力で、勇者を苦しめていたが 俺の姿が映し出されると魔王の動きが止まり。しばらく睨み合いが続き。俺は、そのままの状態で勇者に話し掛けようと念じると勇者と繋がるような感じがしたので勇者にも俺の言葉が届くだろうと俺は魔王に語りかけるのであった。俺は魔王に、なぜ。人間を襲う事をしないのかと問い掛けると

「貴様に言う必要が、どこにある。今すぐに死ねば苦しむ事も無く成仏出来るのだから、さっさと死んで楽になれ」と言うので俺は、その答えに対して怒りを覚えたのだが 魔王に話を続けた。俺は魔王に頼みごとがあって、わざわざ姿を現したと言うと

「我に用事があるとは、どういう風の吹き回しだ?この世界を支配する為に来たのではないのか?それなのに、この世界の人間の為に働くつもりか?愚かしい奴め!」と笑い声を上げた後に 勇者との戦いの映像が再び流れ出し 魔王は、それを黙って見つめていた

「この勇者はな。俺に何度も挑んで来るのだが。あまりにも弱すぎて相手にならないから遊んでいただけだ。それで。この人間は面白い。今までにない程の強さを感じるぞ!我が興味が有るから姿を見せろと言っているのだ!!」と言い 俺は勇者との会話の内容を、魔王に伝えた後。勇者も魔王城に居たので。俺の考えた計画を話した後 魔王は「面白い!!だが、あの勇者は。お前が思っていたよりも弱い。本当に大丈夫なのか?」

勇者と魔王は、かなり仲が良いらしい。俺は

「俺を信じてくれ。俺が全力で支援するから」と言うと 勇者は「僕は信じています。僕の勇者をお願いします」と嬉しそうに答えると 魔王が勇者の肩を叩いて「安心しろ。魔王の僕が付いてるんだから大船に乗った気でいろ」と言い勇者の頭をクシャクシャとなで回すのだった 勇者と魔王は。魔王の城にある魔王の部屋にて向かい合う形で座っており。俺と勇者も二人の前に座り込み 俺は「さて。まず最初に魔王に伝えておく。俺の仲間であるリリィが。お前を封印している。

魔王城地下に存在する魔法陣を消すと、そこに封印されていた。魔族を開放する事になるが。それで構わないな」と言うと魔王は「ふっ。リリィとやらは魔王の力を取り込んだと聞いていたが、それが、そこまで強かったとな。だが、お前が魔族を解放した時点で。お前はこの世から、消え去る事になる。お前が消えた後の世界で魔族達がどうなろうと知った事ではない」と言うのを聞いて 俺も「確かにそうだな。だが俺は約束した事は守らないと駄目だと思う」と言い切ると。勇者も、そんな俺の話に賛同するのか大きく首を縦に振り 俺も魔王の方をジッと見ながら、さらに話を続ける 俺は「それにだ。俺は、お前を倒すだけじゃない。その後の世界も考えて。俺は行動する事にしたんだ。だから、俺は全ての力を使ってでも。魔族を滅ぼそうと思っている。それにだ。勇者は強いんだ。そして俺は、俺達は負ける事は無い。何故なら。俺と、ここに居る勇者がいるからだ」と言うと。勇者も立ち上がり真剣な顔つきで「僕とリシアの力を合わせて、必ず勝利を勝ち取って見せます」と力強い言葉を発すると。

魔王も立ち上がると勇者に向かい。手を差し出して「久方ぶりに本気を出すか」と言った 俺もその様子を見ていたのだが。

勇者は、そんな魔王の差し出された手をギュっと握った時に。一瞬にして景色が変わり 辺り一面が、真っ暗な空間に変わったのと同時に俺は意識を失ってしまう 俺の頭の中で色々な思いが入り混じり 俺の目の前には、俺が見た事も無い風景が広がり始める 俺は

「ここ。何処なんだ?」と言うと俺の横にいたアイリが「これは夢よ。私が見ている悪夢の中なの。リシア、お願い。目を覚まして。お兄ちゃんを助けて」

リリィは

「リシア。もうすぐ会えるんだよ。もう少し我慢していて」

リシアは「お姉さま。お会いできて光栄です。私、ずっと寂しかったんです。これから一緒に過ごせるなんて嬉しいです」

リリも「私も嬉しい。これから一緒だね」

俺は

「お前ら、一体、何なんだ?」

俺は

「ここは。どこなんだ」と叫び出す 俺の前に立っている。魔王に話し掛けた。

俺は

「リリ、俺だ。分かるだろ。頼む。返事をしてくれよ」とリリの体を揺すりながら泣き叫ぶ するとリリは「リシアおねがい助けてあげる。私の事を思い浮かべて強く願ってみて。私は貴方の心の中にいるのよ。お願いよ」と リシアは

「うぅっっーー。私は、あなたが。お兄さんが好きなんです!!!あなたを思うだけで私は強くなれるのです。あなたの事が好きで好きで仕方がないの。私はあなたを守りたいの。あなたの為に頑張りたいの。お願いだから戻って来て下さい」

俺は二人に必死になって呼び掛けた。しかし二人は返事を返さないので俺の心はどんどん荒み 怒りの感情が膨れ上がり 二人に近寄ろうとした瞬間に足元が揺れ始めた。

どうなっているんだと思うも 俺の意識が遠くなっていくのが分かり。そのまま俺は深い眠りについたのであった 俺の意識が完全に途絶えてしまう直前に 誰かの声が聞こえてくる

「勇者様、魔王城に到着したぞ。後は頼む」と言う 声を聞き俺は、そこで完全に意識が途絶えたのであった 魔王城の地下深くには。魔法陣があり。魔王によって封じられていた。

俺達の前には。魔王の姿はなく 勇者と俺達しかいなかったのだが。俺が目を開ける前に勇者が「皆の者。良くやってくれた。これで。ようやく解放できる」と言い

「お疲れ様でした。リリス隊長」と一人の女性が声を掛けると勇者は振り返り女性に話しかけた。女性は リリに似ているのだが、少し背が高く。髪の毛が銀色の髪で腰まで伸びていて綺麗な長い髪をしており。目は澄んでいて、まつ毛が長く瞳が紫色のとても綺麗な女の子であった。俺はリリに似た女性の姿を見て驚きながらも俺は、ゆっくりと目を開けていくとそこには。美しい少女と。

そして、なぜか。そこには、リリィにそっくりな、リリィよりは年上に見える銀狼の女性が立っていて その二人が抱き合って喜び合っていた。

俺は

「リリス?って、リリィの双子の姉の?」

その声を聞いたのか。銀髪の少女が俺の方を振り向くと

「そうだよ。初めましてになるかな。

あたしは。リリだよ。この子が妹の」と言いながら隣の方に手を向ける

「リリの姉で魔王の娘であります。名前はリリイといいます」と言うのを聞いて俺は リリを見ると

「私達は二人で一つ。片方が傷つくなら。私も同じように傷ついたいから。おにぃ、リリアをお願いね」と言われ 俺は、そんな言葉を聞いていたからか涙が出て止まらなかった。

そんな様子を見ていた魔王が「ふっ。相変わらず、お前らは、お互いを信頼しすぎだな。その様子だと俺の心配は必要無いな。後は任せた」と言い残し 魔王が姿を消した 勇者も、それを見て満足そうな顔をしていたが。すぐに俺の所にやって来ると俺の両手を取り握りしめてくれた

「ありがとうございました。この御恩は一生忘れません」と俺の目を見つめながら言ってくれると。俺は「いいんだ。仲間じゃないか。それより。どうして勇者は、こんな所に?そして。そっちの女性は誰なんだ?」と言うと。勇者は、このリリの事を説明してくれる。この世界を救う為に魔王と戦っている最中にリリに出会い。リリの話を聞いた上で、魔王を倒しこの世界の為に戦っている事を教えて貰ったのだった。そして俺は「リリ、リリィの居場所を知ってるのか?あいつに、また、会えるんだよな」と聞いてみると。勇者は申し訳なさそうにしながら「実はですね。あの子は、もう、居ないんですよ」と言い俺に説明をしてくれた 勇者が、まだ、この世界で生活を始めたばかりの頃にリリと出会ってしまい 最初はお互いに仲が良くなるのだが。魔王の封印を解きに行くのに、どうしても必要な物があるから、その素材を手に入れる為 ある国に潜入して欲しいという頼みを勇者が聞き 勇者がリリィを一人だけ、置いてきてしまったのだ

「ごめんね。私がついて行けばよかったのに。リシアお姉さまを一人にするのが怖くて。でも、お兄さんに頼めば大丈夫だと思うから」

「いいんだ。僕は。一人で何とかしてみせるさ。心配するな。僕はリシアを信じているんだから。それにだ。魔王を倒すために。魔王城に向かった勇者が魔王を封印する事ができたんだ。リシアが無事な証拠さ」

リリと勇者のそんなやり取りを俺も横で聞かされていたが。

俺が「そのリシアって奴が、リリが俺の妹だって事を忘れてるって。どういう意味なんだ?」と聞くと勇者は俺を見ながら「リシアさんもリリィと同じ様に魔王を倒そうとしているんです。リリィさんと一緒に行動していた勇者と旅をしていまいた」

俺は、そこまで聞いてリリに視線を戻すと

「魔王を倒すにはリシアお姉さまと勇者が必要なの」と言い出す 俺は「魔王を倒すにはリシアが必要なんだろうけど。リリィじゃ駄目なのか?」

「リリィはリリスのお腹の中に、宿っているんです。だから無理はできないのです」とリリは悲しげな顔になり俯いてしまうと。俺は

「なぁ。勇者。リシアを助ける方法があるんじゃないか?」と言うと勇者が首を横に振るのを見た俺は リリの手を取って「俺に任せてくれ。必ず助けて見せるからな」と笑顔で言うと

「でも。どうやって助けられるのですか?それに魔王は」と言いかけた所で俺達は目を覚ましてしまった。俺の視界に映るのは、リリではなくてリリイの苦しげな表情であった。俺は「おい。大丈夫なのか?」と言うも返事はない それから数分後「うぅっー。あれ?ここは」とリリが起き上がった。俺は「リリィの事が、リリに見えたんだ。夢でな」と言うとリリが「私、リリスになってたんですか?」と言ってきて。

俺も混乱してしまう リリに「今、リリィはどうなってるんだ?分かる範囲でいいから教えてほしい」と俺が言うとリリが

「リシアお姉さまが。魔王に捕らわれたんです」と俺に訴えかけるような口調で言うと リリの事を俺は抱きしめながら

「俺の力が、どれだけ通じるか分からないが。絶対にリリアを取り戻す。リリは俺から離れず一緒に付いて来て欲しい」と力強く話すとリリが「分かりました。私の全てを掛けて、お兄さんの味方でいさせてもらいます。私の事を捨てたりしないで下さいね」と言い。俺は、それを肯定するように リリの背中に回した腕に力を入れるとリリも強く抱き締めてきた 俺は、その後 魔王城の前まで移動してくると魔王城を眺めながら「よし!やるぞ!」と俺が叫ぶもリリは何も言わずに俺の横にいると 俺は「何かあったら俺に力を渡してくれ」とだけ言って魔王城に近づいていくとリリの様子が少しおかしくなっていくと。リリスの声にならない声を聞いて俺は立ち止まると。リリスは涙を流しながら「私の力では、もう限界に近いの。早くしないと。お兄ちゃんにリシア様の気持ちを伝えられないよ」

リリが「お兄さん。魔王の気配が消えています。おそらくリシアお姉さまは。リリスに連れ去られたのではないでしょうか。だから急いでください。そして出来る限りお兄さんが強くなれるように。私はお手伝いします」と言うと。俺は、そのまま、しばらく歩くと目の前には大きな城門が現れていた。俺は扉に触れようとすると鍵が掛かっているのか開かない 俺は「くそっ。なんで開けねぇんだ!!」と思い切り殴るがびくともせず すると俺の腕を掴んだ者がいたのである

「貴様が魔王軍四天王の配下を倒してくれた人間族か?」

「違う。リリが倒したんだよ」

「何を言う。その者の魂の色が見えないぞ。やはり、お前は敵なんだろ。だが安心するがいい。俺は魔王様直属の騎士団長を務めている者。俺を騙せる者などいるわけが無いだろう」と言う 俺が黙っていると。その男は「何をしている。さっさと俺を殺さないから悪いのだぞ」と言い剣を抜いた

「なあ。一つだけ、聞きたい事があるんだけど」

「なんじゃ、急に改まって。さあ。なんでも答えてやろう」

「リシアが魔王城で捕まっているのは本当なのか?もし嘘だと言うなら」と言い切る前に相手が動き出し、こちらに向けて走り出してきたので 俺は相手の剣を掴み「邪魔をするな」とだけ言いながら奪い取った。相手はそのまま倒れ込むと俺の顔を見上げて。俺と目を合わせると

「まさか。貴様。あの女を助けにここまで来たと?バカか?今、貴様に死なれては困るんだ。俺の命が尽きるまで待ってくれ」と震えだす。俺は無言のまま相手を見ていると 魔王の側近らしき人がやって来て 俺に向かって話しかけてきた

「そいつを返せ!!それがないと、私が魔王様に殺される」と言いながら。俺が無視をしていると側近らしき者は「仕方ない」と呟き魔法を放とうとしたので俺は その者を睨み付ける

「なっ!?なんだ。お前は、私を、どうする気だ」と言うも。俺は何も喋らない

「なっ、何故、動けないのだ。おい。何とかしてくれよ」と側近が必死に懇願するので「無駄ですよ。貴方は私のスキルの呪いによって動けなくなっているのですから。もうじき死ぬ運命でしょう」と言いながらリリが俺の前に現れると「さぁ。殺しなさい。ただし殺すなら。魔王軍の手先ではなく、この方です」と言うと俺は

「こいつが魔王の手先では無いのなら。俺は魔王と戦う理由なんて無い」とだけ答える 俺の言葉を聞いた魔王の右腕らしき人物と側近と思われる人物は動揺し始めると リリは 魔王の部下達の前に出て「この方を誰だと思っているの?勇者の仲間なのよ」と言うと 部下達が慌てているのを見て。魔王の右腕が「そっ、そんな。そんな筈は」と言い出した。魔王の部下達は、その言葉を聞き

「おい、お前は本当に魔王軍の者ではないのか?だとしたら。どうして魔王を」と言い始めたが リリは俺の服の袖を引っ張ると 俺に小声で「もう行きましょう。ここに居ても、何も出来ないのですから」と言うので魔王の城から去ろうとするが 魔王の幹部らしい人物が「まっ、待ちやがれ!!逃げる気か?逃すと思うか?」と大声を上げてきたので 俺は、その場に立ち止まり「逃げる必要もないな」と言う 俺は拳を振り上げると「なあっ」と驚き 次の瞬間 幹部が吹き飛ばされて壁に叩きつけられる 俺が「さて、お前達も魔王軍だと言ったな。覚悟は出来てるんだったらな」と魔王の城に入る為の門の前まで歩いて行くと 俺と俺に着いてくる二人の前には。大きな門がある

「おい。ここを開ける為の物を教えてくれるかな?」と尋ねると「貴様は何なのだ。魔王様に逆らうという事の意味が分かっているのか?」

俺は「ああ、勿論だよ。でもな、その質問をそっくりそのまま返すぜ」と言うと。魔王の右腕は俺に 近寄ってきて「そんな事をして魔王様に殺されても知らんぞ」と俺の目の前に立つと「私を殺せば魔王様に消されるだけだ。私を殺そうものなら貴様が、魔王様の怒りを買って殺されるんだぞ!」と言うと 魔王の左腕が「そうだ。俺達に手を貸すと言うならば助けてやるが。さもなくば死んでもらう」と言い出す

「はっはははっ。それはいい考えですね。魔王様に逆らう者は全て抹殺するという方針を変えるべきだと思いますね」と言って笑う。リリも笑い始めてしまい、魔王軍は困惑し始めて俺が一歩踏み出すだけで怯え始める。俺は門の前にまで歩き。魔王の左腕と右手が、俺を止めようとしても 全く止まらず、とうとう俺の正面に立ちふさがったのである 俺は魔王の幹部を二人見て 魔王の側近に目をやり「俺を魔王の所に連れて行け」と言うと。魔王の両腕と側近は魔王の部屋へ案内された 俺が「そこに魔王がいるって言うんだな」と言うと魔王の側近が「はい」とだけ返事をして魔王の部屋に俺を連れて行く 魔王の部屋の前まで来ると俺はノックをした。返事がない事を確認すると俺は扉を開け放つ 部屋の中では。魔王とその配下の者が 食事をしながら話をしており。魔王の側近に目を向けると「連れて来ました」と言ってから魔王に耳打ちをしていた すると魔王は立ち上がり「お前が四天王のリリスを倒し。魔王城に潜入できた勇者か」と言ってくるので 俺が「違うな。俺の名前はリリスじゃなくて。佐藤カズマだ」と言うと魔王は俺の方を見るが「まあいい。それで貴様が、ここまでやって来た理由は」と言い切る前に俺の拳で殴られて吹っ飛んでいく 俺は魔王に

「俺は魔王と話に来たんだよ。それで。お前が俺をどうするかは自由だが。その前にリリアの事を知りたいんだよ」と俺が言うと魔王は俺の顔をマジマジと見つめると俺の頬を触ってきた。

俺は少し驚くも。俺は平然を装いながら

「リリアとは恋人同士で。リリアは魔王軍の一員で お前の側にいるのか」と魔王が「何故それを知っている」と驚いた表情を見せるも 俺は 魔王の瞳の奥に何かを隠している事を知るも「さあな」としか答えない。俺は、そのまま魔王を見続けていると 魔王の配下が 俺と魔王との間に入って「貴様、魔王様の許しも得ずに、勝手な真似をするな!!」と俺に殴りかかってきた しかし魔王の側近が その者の首を掴むと「なっ。離せ」とだけ言い 暴れていたが魔王が「お前達では、この者に敵わぬ。下がりおれ」と言うと配下達は「かしこまりまして」と答え。全員が俺の前から消えていった。俺と魔王の間に沈黙の時間が続くと魔王が突然。「私は。リリスを愛してしまったのだ」と言うのである。

俺は黙り込んでいると。

「私が、貴様が、勇者ではないのか?と聞いた時に貴様が何も言わなかったのだから仕方ないであろう。それにしても リリスに恋をしているだと?ふははははっ。面白い奴が現れたな!!だがな私はリリスだけは渡すつもりはない!!」と言われてしまうと。

魔王はリリスについて説明し始めた リリスが俺の恋人だという事が 俺には衝撃的な内容だった。リシアが

「私は、リリスの事は好きですよ。私よりも強いですから」と言っていたのだが。その相手が 魔王の幹部だったという事だったからだ。

魔王の話によるとリリスは元々魔王軍に所属していた訳ではなく。俺が勇者のパーティにいた時から、ずっと俺に憧れていたらしく。ある日。俺に好意を抱いてしまった。俺と一緒に居たいが為に魔王軍に自ら志願したらしい。俺が

「どうして俺を」と聞くと リリスは恥ずかしがる事もなく「だってリリスが好きなのは、貴方が持っている力だから。私も強くなりたい。貴方みたいになりたいのよ」と言われたらしい。

リリは「そんな事があったんですか。確かに貴方は魅力的でしたからね」と言う 俺は「お前。知ってたのか?魔王軍がリシアと繋がっていて。お前が人質になってると聞かされた時。お前を助けられるなら、何でもするつもりでここまでやってきたんだけど。まさか。リリアがお前に化けていたなんて、思いもしなかったが。それよりも、お前は、本当に。魔王軍じゃないんだな」

俺は、まだ信じきれていない

「えっ、何言ってるの?リリが魔王軍の関係者なのは本当だけど。私は何も知らないから。でもね、私。本当に何もしないから。このままでいたいな。魔王様。お願いします」とリリが必死に訴えかけていると 魔王は「仕方あるまい。今は。このままにしておいてやろう」と呟くのであった 俺は

「とりあえずだ。俺とアイリスの結婚式が終わったら 一緒にリリスに会わせて欲しい」と言うとリリは俺の腕にしがみついてきて

「大丈夫よ。リリスは優しい子ですから」と言うのである。魔王が「リリの願いを聞き入れてやっても良いが。まずは私の話を聞いてくれ」と言い出すのだった。

俺は魔王の言葉を聞く 魔王は「リリスはリリの事を思って。魔王軍を抜けたが。私の元に戻って来て欲しかったのだよ。そこで貴様に頼みがある。どうか私の妻にならないか?貴様さえ、リリを幸せにしてくれるのなら」と言い出すと。俺は、すぐに「断るよ。お前みたいな男の妻になる気は無い。お前が俺をリリスの所に連れて行くと言うならば。リリスを返して貰おうか?」と言うリリが「そんな無茶な事。出来るはずないでしょ?ねぇ、お願い」と涙を浮かべると リリが魔王に連れて行かれそうになる 魔王の右腕が俺に近づいてくるが。俺は拳を振り上げると 俺を止めようとする側近がいたが「下がっていろ。俺は魔王を倒す」と言うが側近は引かない「魔王は、あなたが倒すような相手ではありません」

と、リリを連れて行く魔王の右腕に向かって叫ぶように言うのであった 魔王の幹部の一人を気絶させてからリリを見ると 俺に抱きついて泣きじゃくるリリの姿が有った 俺は魔王の右腕と側近に目を向ける すると二人は、その場に土下座をしてくるので「顔を上げてくれ」と言って二人の頭を上げさせた後。俺は二人の胸ぐらを掴み「俺の友達を傷つけて 無事で済むと思ってないだろうな」と言うと魔王の側近は俺の顔を見て怯えている様子だったが。俺の目をしっかりと見据えてから口を開いた「私達の仲間を傷付けようとした者は誰であろうと許しません」と俺の頬に自分の手で触れて来る そして「リリ様の気持ちを考えてください。貴女様にとって魔王の娘という事は どんなに辛かった事か」と言ってから俺の服から手を離すと。もう一人の側近も俺の手を握ると「リリ様の為だ。頼む、助けてやってくれ」と俺の肩を叩きながら懇願してくるので 俺が リリに目線を送ると 魔王の娘である事を 隠そうとはしなくなり。リリの父親が魔王である事も告げてくるのである。リリは、俺の目を見ると 涙を流し始めると。俺の背中に両手を回し「ありがとう」と何度も繰り返す 俺が「いいってことよ」と答えると 魔王の側近に向き合う 側近は「勇者殿、我々が貴女方に対して、このような行為を働いたのは謝罪する。申し訳なかった。だから、どうか命だけは許してくれないか」と震えながら言うので 俺は魔王の側近に「別に俺を倒せば。リリスを連れて行ったお前らを見逃すとは言ってないけどな。どうせお前達は。俺が、ここに来る事を知っているから。この場所に待機させていたんだろ」と言って魔王の側近の頭を掴んで持ち上げ「おい、魔王は今どこにいる?」と聞くと魔王の側近は怯えているのか声が出せないのか黙っていると。リリが「私が魔王様の所まで案内をするわ」と言って俺の腕から離れてくれた 魔王の部屋に行くまで リリスとリリは 俺の腕を抱き締めるようにして歩く 俺は魔王の左腕に「リリスは渡さないから。もし、お前に少しでもリリスを不幸にするようなら 俺とリリスは二人で、ここから逃げる」と言うと魔王の左腕は「承知しております」と言う 魔王の部屋に着く前に 俺は二人に質問をすることにした

「リリスは俺の事好きか?」と聞いてみた

「えっ」とだけ言うリリスに対してリリが

「当たり前じゃないですか」と答えるも 俺は続けてリリスに

「お前に一つ。約束して欲しい事がある。もしも 俺が死にかけていても 俺が助けを求めるまで 何もせず 見守っていて欲しい」と伝えるとリリスが

「どうしてなの?どうして、そうなっちゃうの?どうして、そこまで私達の為に頑張ってくれるの?」と泣きながら訴えかけて来た

「それは。俺が勇者だからだ」とだけ答え 俺の返事を聞いた リリスが納得出来ていなさそうなので 俺の気持ちを説明すると リリスは「私は、カズマの気持ちに寄り添いたい」とリリスの瞳から大粒の涙が流れると

「分かったわ。でも 私が貴方を守り抜くわ」と答えてくれた そんなやり取りをしている間に魔王の部屋の前に辿り着く 俺は部屋の中に入る前にリリが

「リリスちゃんが、こんなにも。勇者の事が好きなんです。だから。お願いします」と言うので リリスは 本当に何もしないと誓う 俺は「ああ。絶対に守ってくれると信じてる」と魔王の左腕を見ながら答える 俺達が魔王の目の前に立つと魔王が立ち上がり

「さぁー。勇者よ!!かかってくるが良い!!」と戦闘体勢を取るので 俺も「魔王。今日は俺一人で戦う。リリスの件だけは、きっちりと決着を付けたい」と言うと魔王が笑い出し

「ふはははははははははは。やはり面白い奴よ。それで良いのだ。その意気だ」と言うと魔王の側近に

「私は、これからも この者達を見守りましょう。ですから 貴方も 私の代わりに。勇者を支えてください。私達の分も。リリス様も宜しくお願いします」と言うと 魔王の側近が頭を下げると リリスが魔王に駆け寄って抱きつき

「リリスをお願いします」とだけ口にして魔王から離れる リリスが離れた事を確認した 魔王が側近に声をかけると

「リリス様、お待ちください。勇者様を魔王城の外にまで ご一緒いたしますので。それまで 魔王城にお残りください」と側近は リリスを説得しようとしていた リリスが「分かりました」と言い魔王が

「では 勇者よ。私を倒しに来るがよい」と言葉を口にすると魔王が消え去り 俺は

「悪いが、少し待っていてくれ。俺は。魔王と戦わなければならない。だが。リリスは連れて行けないんだ。お前の気持ちを考えると。俺は 魔王を倒すと約束するが。俺が死んだ後に お前とリリスは一緒に逃げてくれ。約束できるか?」と話すとリリスが 俺に近づき抱きしめてきた リリスの体はとても冷たく。まるで氷のように冷たかったので 俺は、そんなに冷たいのかと思いながら 俺は「大丈夫だ」と言って 俺は、その場を離れる事にした 側近に魔王城を抜ける事を告げるが「どうか、リリス様をお救いください」と言われてしまい 俺は何も言わずに魔王城を出た後 魔王と対決するために 魔王の元へと走るのであった 魔王との勝負は始まったが。魔王は、すぐに 魔王の左手から魔力を俺に向かって放ってくるので。俺は、それを避けようとするが。

俺は 避ける動作をしなかった 何故なら魔王が放った 黒い球を避ける事で リリスに当たる可能性を考えての行動だったのだが。魔王は俺の行動を予想していたのか 魔王の攻撃を避けて魔王の方に走り出そうとする俺の動きを封じる為なのか分からないが リリスの足元に魔方陣を浮かび上がらせると 俺の動きを封じようとするので それを見ていた魔王の側近が魔王に叫ぶように言うと

「リリス様には傷一つ付けさせない。たとえ、貴様を道ずれにする事になろうともな」と言うが 魔王は笑うだけで側近の言葉を聞いていなかった 俺は

「俺の事より リリスを助けてくれ。俺は、あいつが好きだから」と言うと 側近が魔王の方を見ると魔王が「いいだろう」と言う 魔王は 側近に指示を出すと側近が魔王に向かって何かを叫ぶと 魔王は、側近に向かって 魔法を発動させてリリスに放つ 側近が、リリスを救おうとしたが 魔王の方が早く 魔王の側近は リリスを守る為に リリスを庇いながら倒れると 魔王は リリスの事を「さらばだ。リリス。そして勇者」と魔王の側近とリリスを 転移の魔法で魔王の部屋に連れて行く 俺の元には魔王の側近と魔王が残されて 俺は

「リリスの事を頼んだぞ。お前は、まだ信用が出来る。魔王の側近」と言って 魔王を睨み付ける 俺は

「お前を倒してリリスを連れて行く」と言うと魔王の側近に目線をやり魔王が俺を見て笑ったのを確認してから。魔王の側近が「任せておけ」とだけ言い残すと魔王は消える 魔王の側近が リリスの使っていた武器を取り出すと。

魔王の側近は 魔王の剣を振り下ろすと 魔王の剣から衝撃波が生まれ 俺に襲いかかるが 俺が 持っている聖剣エクスカリヴァーンで弾き飛ばすと。

俺は、そのまま、まっすぐ 魔王の左腕に向かう 俺が近づいて来る事を知っていた魔王の左腕だったが。

俺の攻撃を防ごうとはせずに俺の攻撃を受けると魔王の左腕から血しぶきが上がったので

「もう諦めろ。俺には勝てない」と言うと魔王が「ふっははは。やはり 貴様を甘く見ていたようだ。私は、このまま負ける訳にはいかないのだよ。魔王である、私が お前に勝つのだ。さぁ かかってくるが良い」と魔王の左腕は言うので。俺は、そのまま 魔王の左腕の胸元に飛び込むようにして 俺の剣を突き刺す。その瞬間に魔王の左肩が砕けると 魔王の身体から大量の煙が立ち上り 視界が見えなくなるが。

俺が 魔王の胸に手を置くと。心臓が止まっていた 俺の背中からはリリスが「勝ったのね。私達は これで自由になったの?」とだけ聞くので。俺の背中から手を離して「魔王は、死んだよ」と言うと 俺の服に涙の雫が落ちる音がして後ろを振り返ると。

リリスは泣いていて

「私。嬉しくて。ずっと我慢していたけど。涙が出て来た」と言うと 俺もリリスを正面に向かせると リリスを優しく抱きしめた リリスが泣きやむまで、俺はリリスを慰めていたのだが。泣き止んだ リリスは 俺に抱きつくのをやめたので

「そろそろ帰ろうか」と言うと 俺はリリスと一緒に屋敷に帰り 俺はリリスのお父さんに報告に行くと アイリの父は「そうか、ありがとう。私達の悲願を君達が叶えてくれたんだ。これは、ほんのお礼なんだが。リリスちゃんと、幸せに暮らしなさい」と言われてしまったので 俺は

「ありがとうございます。俺の事を勇者と呼んでくれて。それに。リリスを守ってくれて」と言うとアイリの父が

「私の娘を。娘と思ってくれて。本当に、本当に、有難う。私達に出来うる事は何でもする。本当に感謝している」と言い 俺の方に駆け寄って来て 俺を抱き寄せると

「この子が、どんな酷い仕打ちを受けて来たかは 想像出来る。でも 貴方だけは、どうか守ってくれないか。頼む。私の、たった一人の娘を」と言われた

「大丈夫ですよ。必ず守ります」と言うと。

俺は 魔王の部屋に戻ると魔王の側近は リリスに謝罪をしたのだが。俺は「魔王の配下なら、お前は敵じゃない」と側近に伝えると 魔王の側近は「分かった。この身に代えても、貴方を守りましょう」とリリスに対して誓うと。俺は

「お前に命令する。リリスと、これからも一緒に暮らせ」とだけ伝えたが 魔王の側近は「御意」と答えると。俺は 魔王の死体を確認する事にすると魔王の遺体を調べると。俺は驚くしかなかった 俺と側近は「こいつ。死んでいたはずだ」

魔王の遺体は光に包まれたかと思うと。そこにはリリスがいた 俺がリリスを見ると。俺に向かって「お父様」と言いながら リリスは俺の所に来て

「私を 助けてください。私に 生きる資格があるのか分かりませんが。私を、これからも。支えて欲しいんです」と言ってきたので。俺はリリスの肩に手を乗せると「これから先も、リリスは。俺にとって大事な存在だ。愛してるよ」と言ったら抱きつかれて「うん。私も。貴方を愛してる。ずっと 一緒にいよう」と言って 俺は抱きついているリリスをそのままにしながら 魔王の側近に声をかけようとしたが魔王の幹部が近付いてきて俺の手を取ると

「我が主のご子息様。貴方には、まだまだ 色々と学ばなければならない事があるはずです。まずは、あの男を倒し。貴方の力を見せつけるべきかと思います。それと。貴方様に、これを託したいのです」と言いながら。

俺は魔王の右腕を受け取ると

「お前。どうして、魔王に?」と側近に問いかけると。側近は「はい。魔王城を出る際に、ある事を思いまして」と言うので俺は

「魔王城の門の前で。お前に会った記憶はないんだが」と伝えると側近は

「実は 貴方様に会っておりましたが。気づきませんでしたよね? その時は、魔王城の外ではなく。城の中でしたが」と言うので俺は

「それは、どういう事だ?」と言うと側近は

「魔王様を。殺さないでいただきたい。それだけでした」と言って消えてしまう 俺は「魔王を殺したのに、何で生きているんだ?」と考え込むが 答えは見つからずにいた

「俺の事が憎くないのか」と言うと魔王の側近は 俺の顔を見つめながら「魔王様は。本当は死ぬべきお方では無かったから。それに。私にも、責任があります。魔王を操っている魔導師に、魔王の心臓を渡すと約束したから」と呟いたのだった 俺の身体に違和感を感じて。魔王の側近は俺から離れた後。俺に向かって「貴方になら任せられそうだ」と魔王の側近は言い残した後に 俺が倒した魔導師の所に転移していく そして 魔導師に魔王の復活を告げるのだが魔導師の反応を見て。俺を睨みつけるように見ているのが分かる それから数日が経過していて リリスと俺は毎日を楽しんで過ごしていたのだが。

そんなある日にリリスは 魔王の城に呼ばれて行くと俺に言うので俺は魔王の事を話そうとすると。俺の唇に人差し指を置かれて「待って、私。魔王に言われたの」と言われると俺は黙ってしまう 俺と魔王の側近が魔王城を歩いていると 側近が「あちらに。貴方が倒した、魔王軍の幹部の1人が」と言うので俺は その場所に向かい 側近は「少し用を済ませてきます」と姿を消すと 俺は、その場にいる奴に話し掛けたが。そいつは何も喋らなかったので俺は、その場から離れる 俺は魔王の城に戻ってきた側近と 二人で歩いて行くと 魔王は玉座に座っていて俺達を待っていた 俺達は 魔王の前に来ると俺は膝まづくと魔王が 笑いながら俺に言う「そんな畏まる必要は無いぞ」と言われて俺が顔を上げると魔王の側近とリリスが立っていた 俺達は 椅子が用意されていたので腰を下ろすと 魔王が「私が死んだのに。どうして生きてるのか。疑問に思ってたみたいだな。私は。心臓に自分の意思とは関係無く動く物を埋め込んだのだ」とだけ言うので俺は

「それのせいで、俺は。あんたを殺してしまった」と言うと 魔王が

「確かに、そのせいで。私は死んだが。だが それは私が自分で選択した結果でもある。気にする事ではない」とだけ言って俺の事を見ていた 俺は、どうしても聞きたい事があり

「俺の事を勇者と呼ぶが。どうして、そう呼んだ?」と質問をする 魔王が答える「勇者よ。この世界は魔王軍の支配下にあり、人間達は、お前が倒してきた魔王達の配下に支配されて 奴隷にされている。魔王軍が復活すれば人間は終わりなのだ。だから、お前には、この世界を救ってほしい。それが勇者と呼ばれる者の役割なのだ」と 俺は、どう反応したら良いのかわからなかったが。俺は「断るよ」とだけ言うと魔王の側近もリリスも同じ意見だと言わんばかりな態度でいる 魔王の側近も魔王も驚いていたが魔王の側近は リリスに向かって「リリス様」と話し掛けるがリリスが首を横に振る 魔王の側近に対してリリスは「私とこの方は、すでに恋人同士になったのです。なので貴方の頼みを聞くわけがないじゃないですか。貴方の勝手すぎる要求をこの方にしていいはずがありません。それに私達が、ここへ来た理由は。貴方の命を助ける為だと、貴方が魔王様にお願いしたからではありませんか」と言うと 魔王の側近が「しかし、貴方の力が無ければ。この世界に平和が戻って来ないのですよ」と言うと 魔王の側近が「魔王を蘇らせた時に。リリスさんと貴方の二人には。この世界に留まってもらいますが。貴方は、魔王に殺されるまで魔王を眠らせておいてもらいます。魔王が目覚めると貴方を生贄にしてしまうでしょう。そうなった場合 私と、魔王の側近として、共に戦うのがリリスさんの望みであり願いでもあります。それに。私も貴方と一緒に、この世界の人達を救う手助けをさせていただきたいと心の底から思っています」と言うと。

リリスが「貴方も。それで宜しいですね」と言われて 俺も「リリスが良いなら、俺は構わないさ」としか言えなかった 俺の言葉を聞いたリリスは俺に向かって抱きついてくると魔王に向かって「これで話は終わっりましたね。後は、魔王様に任せましたよ」と言い残すと。俺の手を引き歩き出すので俺は、されるがままに着いて行き部屋から出て行ったのだった リリスに連れられるまま、俺は歩いていく しばらくすると。俺は、どこに向かってるのか尋ねようとするが リリスが先に俺に「もう少しです」と言い出したので。

俺とリリスは、ある部屋にたどり着く 部屋に入ると。リリスが俺に向かって微笑んでから「ここは、魔王城にある私の部屋です。貴方と初めて、会った場所でもあります」と言うと俺は思い出す「確か ここで、君と、初めて出会った」と言い終わる前に。リリスに抱きつかれて押し倒された俺は。その行為を受け入れる事にしていたら「ふぅ〜、やっと落ち着くことが出来ますね」「そうだな」

魔王の幹部との話し合いを終えた後の 俺が魔王を倒した日から数日が経っていて 俺が魔王を倒してから数日後に、アイラは 学校でカズマに対して話しかけようとしていた だが、なかなか、そのチャンスが無くて困っていると。放課後になりいつもなら。家に帰っているはずの。アイリスが居なかったので、不思議に思い カズマに声をかけようと思っていると「やぁ、久しぶりだな。俺が 誰か、分からないだろうが、俺は アンタの兄だよ。まぁ今は、魔王の側近と名乗っておく」

と言い残してから消えてしまうと。今度は、リリスが現れたので。カズマは警戒しながら「何のようだ?」と言うと リリスは、カズマの顔を見ると「うーん、貴方は本当に 勇者の息子なのかしら? 見た目的には 違うような気もするけど。でも、魔王の側近が、貴方の事を見つめてるのが気になるのよね。私と同じ目をしているように思えたんだけど。まさか そんな事、無いよね?」と言い出してきたので 俺の身体に異変を感じたので、その場から急いで立ち去るが「逃さないわ」と言いながらリリスは追いかけてきて「もう逃げても、無駄なんだから」と言い出し「魔王の側近」が「はい」とだけ答えた後に

「お前は、魔王の側近で 魔導師の所に、向かって欲しいのだが」と言うと「御意」と答えた後に姿を消した 俺を追いかけている途中で 足を止めていたリリスに対して 俺は、声をかけようとしたが。

「あの時の事は。許して欲しい」と言ってきたので俺は「別に、怒ってないが」と言うと「え?」と言って驚いた後に 俺が「魔王を 殺さなかった事を 怒っていると思ったので、謝りに来たんだろう」と言うと。「はい、申し訳ありませんでした」と言ってきたので俺は「お前に、そんな風にされると。調子が狂うから 普通の感じにしててくれ」と言うと「分かった」と答えてくれたので 俺達は一緒に歩くことにしたのだった

「どうして。魔王が蘇ったんだ?」と言うと「魔導師の仕業だ。あいつは、自分の身体に、とある物を宿していて 魔導師は自分の身体に宿っている物の影響で。魔王を復活させようと計画した。俺が魔王を殺す事で。奴の計画を阻止したはずだったのに」と俺が言うと 魔王の側近は黙ってしまう 俺は「とりあえず 魔王が目覚めた原因が分かった所で。魔王城に向かっても良いか?俺の仲間にも説明しないとな」と伝えると。側近は 少し考えてから。「魔王城に 向かう前に。魔王軍の拠点に寄って頂けませんか?そこに 貴方のお仲間の方を全員呼んでいただければ」と 提案をしてきたので。俺は「良いぜ、そっちにも色々と迷惑をかけたからな」と言うと俺は転移魔法を使うと。そこは 見覚えのある場所になっていて。俺は 側近と二人きりになって魔王城に転移をした 俺が魔王城を案内してもらっている時だった 突然、リリスが「待って下さい。魔王が貴方を狙ってます。私は先に行きますね。後から 必ず来て下さいね」とリリスが言って 姿を消すと「私についてきて」と 俺に言った後。俺は 魔王の側近と歩いていたら いつの間にか城の中に入っていた それから魔王の部屋に行くと そこには リリスが立っていて。俺は リリスの隣に立つと。リリスは、こちらを振り向かず「魔王の側近、あなたも、ここまで、ご苦労様」と言うと 魔王の側近が「貴方には感謝します」とだけ口にすると。俺は魔王の側近が、なぜここに来たのかを聞くと。

俺に対して 魔王が「やはり、貴様は魔王の血を引くものなのだな。私が復活を果たした理由を教えておこう。私は魔王軍の王として復活する為に必要な。ある儀式を行う必要がある。その為の生贄として 勇者の血が必要だ」

と言い残してから「魔王の生贄」を使い魔王が姿を消して「さあ、行きましょう」と言い出すので俺は 慌てて「魔王の配下はどうなったんだよ」と言い出すと 魔王の側近が「リリス様の願いを聞き入れたまでです」

と魔王の側近が言うと リリスは 悲しげに魔王の方を見て「私を救ってくれてありがとうございます。魔王の配下の方達。貴方達が 魔王の為に命を投げ出した事に敬意を払い 私から最後の力を与えさせていただきました」と言った リリスが話を終えた後で 魔王が姿を現す 魔王が俺に「勇者よ。我が元へ来なさい」と言い出したので。俺は「嫌だ」と言うと。魔王が俺に襲いかかってきたので 俺は仕方なく「しょうがないから、相手してやるよ」と魔王に告げてから 俺も戦いの準備をする為に魔王の側近に向かって「リリス、ちょっと離れててくれないか。巻き込まれないように 注意だけはしてくれ」と頼むと 魔王の側近がリリスに対して「リリスさん。今、この時をもって貴方との交際を解消します。リリスさんが貴方を庇ったのも。貴方に対する同情だったのでは?と 今では考えておりますので」と言うと。リリスが、魔王の側近に近づき「貴方に言われなくても 私は、この方に救われたので。これ以上は関わらないので。心配は無用です」と言うと リリスと魔王の側近は。二人でどこかに行ってしまう それを見た俺は 二人には申し訳ないと思うのだが。リリスと別れを済ませていたのも事実であり。魔王を倒すまでは、リリスとの関係を保留にしていたのだ 俺は 俺に向かって襲い掛かってきている魔王に対して「仕方ないから相手をしてやるか」と思いつつ。魔王の事を見ていたのだが

「やっぱり、俺はお前とは 戦えないから。お前を眠らせてやろう」と言うと 魔王が動きを止めて 俺に対して。

「どういう事だ?」と言うと。俺は「魔王。俺が 勇者だって事が信じられなかったみたいだけどな。実は、そうじゃ無いんだよ」と言うと。俺に攻撃を仕掛けようとした時に。リリスと魔王の側近が現れてしまう。そして 俺に攻撃しようとした魔王が、いきなり倒れてしまうので 俺も びっくりしてしまったが 倒れた後に魔王は 俺に向かって「お前は何者なんだ?」と言い出したので。俺は「そうだな、魔王を倒した 異世界から召喚された勇者。と言えば納得するだろうな」と言い放つと リリスと側近が現れた後に。俺に抱きついてきた 俺は リリスに対して「俺が、君を助けたわけじゃないけど。君が無事で良かった。これからは。ずっと側に居るからな」と言うと 俺に抱きついたままリリスが「嬉しい」とだけ口にした 俺は 俺の身体に異変を感じていた 俺の身体から黒いモヤが出て 魔王に纏わりついていて。俺が、「お前は、どうしたいんだ? 」と言うと 魔王は 俺に対して「私は、このまま、朽ちるつもりは無いからな。私から奪った力を返すがいい」と言うと 俺に何かが流れてくるような感覚を感じた 俺に近づいてくる リリスに対して「リリス。魔王の力は返してやった。もうお前と会うこともないだろう」と言うと。俺に抱きついている リリスは 俺に泣きながら「行かないで下さい」と口にして俺から離れずにいた 俺と 魔王との戦いを見つめていた魔王の側近は「やはり 貴方でしたか」と言いながら俺の前に立ち塞がり「貴方が、魔王を倒した事については認めますが。貴方に恨みを持つ者が居る事をお忘れですか?」と質問してくるので俺は

「悪いけど、その件に関して言えば。お前も関係しているだろう」と言うと。魔王の側近は「その話は後にさせて頂きます。とりあえず、貴方は私と一緒に魔王城の外にある森に向かうべきです」と言うと俺の背中を押し出して外に出た後に転移魔法を使って移動するのだった。すると 俺が 移動したのは、リリスの家の近くの草原である事を思い出して 俺は「どうして、ここに来たんだ?」と聞くと。魔王の側近は「この場所なら。邪魔が入る事も、ありませんので。リリス様が居なくなった事で、魔王の力は失われてしまいましたが。魔王は復活を遂げる為に 再び眠りにつきました。そこで、お願いがあります。どうか、私を殺して欲しいのです。貴方は、私の力を奪って魔王の力を取り除いてくれましたので。今の貴方ならば私でも倒せるはずなので。お願い致します」と頼まれてしまったので俺は、少し考えると 俺は、魔王の側近が「魔王の力を取り戻すのに。リリス様が必要なのでは、ありませんでしたのでしょうか」と聞かれたので。俺は「魔王の復活にリリスが利用されただけだ。リリスは もう自由になったんだ。俺と 一緒で魔王に振り回されていただけだったんだから。それに魔王が復活したのは俺のせいだから。責任を持って 俺が魔王を倒して終わらせて来るよ」と言って魔王の側近の頭を軽く叩くと。俺は「魔王の側近、お前は、まだ、生きたいんだろ?だったら、死ぬなんて口にするんじゃねえ」と 俺は魔王の側近に向かって言ったら。「私は。貴方に殺された方が 幸せなんです。それが、一番の償いだから」と言って 俺に攻撃してこなかった。だが俺は 魔王の側近に向けて 短剣を鞘に入れた状態で突き出して魔王の側近に「魔王は、どこで復活したか知ってるのか?」と言うと 魔王の側近が俺に向かって「魔王は、ある場所で 復活しようとしております」とだけ言って消えてしまった 俺は「おい。消えたって事は 居場所を言わなくて良いのか?俺は知らないんだけど」と俺は魔王の側近を追いかける事にする 俺は「アイリの妹のリリス。どうして こんな所に」とリリスに声をかけたら。リリスは「お久ぶりですね。貴方に聞きたい事があるので一緒に来て欲しいです」と言うので。俺は アイリの両親の家でリリスから、色々と聞いたが。魔王軍幹部の1人であるバニルと、魔王軍が魔王を復活させようとしていた事を聞いてしまったので 俺とリリスの2人は 俺の自宅に戻る事にしたのである それから自宅に戻ると アイリスの両親も家に戻ってきたのだが。

それから数日が経過して俺は 魔王の側近から 魔王が復活しようとしている場所の情報を手に入れてから。俺は、魔王の側近の言う 魔王が復活しそうな場所に足を運ぶと。魔王が、そこに待ち構えていたので。俺は 俺は、魔王に対して「お前が魔王なのか?」と言うと。魔王は「貴様は誰だ」と言い出すので。俺は「俺は 勇者だ。

俺がお前を討伐してやる」と告げると 俺に対して 魔王が攻撃を仕掛けてきたが。俺は「そんなもの 通用すると思っているのか」とだけ言うと。魔王の動きが止まるのであった 俺は魔王に対して 動きを封じただけで、攻撃をする事が出来なかった 俺は「俺は、魔王に対して、お前を倒す為の準備をしているんだよ」と言うと。俺は魔王の側近が 魔王の居場所を言わなかった理由を理解出来た 俺は 魔王に攻撃を仕掛けるが魔王は俺に対して反撃をしてこない。そして魔王の目の前に立った俺に対して「お前の目的は、なんなんだ?」と 魔王は聞いてきたので俺は「俺の目的を言う前に 俺から 一つ聞かせてくれ」と口にしてから「お前達は、何故 人間を裏切ったんだ?」と魔王の側近が口にしていた 事を聞くと魔王が「我々は、人間の国によって 封印された存在だからな」と言うと 魔王は 自分の生い立ちを語り出したので俺は黙って聞いていた そして俺は「お前達の事を理解したから。後は、俺に倒されてくれ」と 魔王に言うと。魔王は「それは、断る」と言うので 俺は、魔王を縛っていた力を解くと 俺に攻撃を仕掛けてきて 魔王が俺に対して攻撃を始めると。俺は魔王の攻撃を避けながらも。攻撃を続けていたので魔王は俺に負けるわけにも行かずに 必死に攻撃を繰り返してくるのだが。俺に攻撃は当たる事が無かった。それを見た魔王は俺に対して 魔法を発動しようとすると。俺は、魔王を地面に叩きつけるように殴り飛ばすと。魔王に対して俺は 魔王が「こんな事になっても、私は まだ死にたくはない。私は生き続ける」とだけ口にしたのを聞いた後 俺は 魔王の首を跳ね飛ばした後に 俺は魔王城に戻り。俺に襲いかかろうとした魔王を俺は 俺の魔力で作った檻に閉じ込める 俺は、この世界に転生した時に女神から渡された武器で魔王が復活する前兆である魔素の除去を始めたのである。

俺が魔王の側近が教えてくれた魔王復活の前兆の場所に行ってみると 魔王の側近が言っていた通りの事が起ころうとしていて。魔王が、目覚めようとしていたので。俺は、急いで魔王の力を俺の中に移して、魔王を倒した 俺は、魔王が居なくなって 暴れ出そうとする魔族達を抑えると。

リリスの両親は魔王が居なくなった後に俺がリリスを助けに来てくれたのだと勘違いしたのか俺に近づいてきて。俺は、リリスの両親が無事だったのを確認した 俺とリリスの両親は魔王城に足を踏み入れて、俺は魔王の配下に「お前らの親玉である 魔王が復活してしまったぞ」と言うと。

魔王の部下が 慌てた様子を見せながら俺に攻撃を加えようとしてくるので俺は 魔王の側近と同じように頭を叩き割った それから魔王城の奥に俺が進んで行くと。そこには俺に対して敵意を見せる者しか居なかった。それから魔王の側近は俺に「貴方が 私を殺したかったと言うのは本当ですか」と言うので俺は。「俺も、どうして リリスの妹が魔王の味方をしていたのかを知りたかったんだ」と言うと 魔王の側近が俺に向かって。「そうですか。貴方が、私を」と言って 俺は 魔王の側近を殴ろうとすると 魔王の側近は俺に対して「私を 殺しても 意味はありません。

私の身体には。私の力の半分以上が残っているのですから」と言って 魔王の側近は 姿を消してしまうので。俺は魔王の側近に、リリスが なぜ 魔王の側に居たかを聞いてみる 魔王は、俺の質問に答える事はせず 魔王は、魔王城の地下に俺が足を運んでいる事を知って。魔王の側近から話を聞いたらしく。「貴様の、おかげで、我は復活した。これで 我が貴様に復讐出来る時が来たというわけだ」と言って魔王が現れたが。俺は魔王に向かって、 俺は魔王に近寄ると。俺は拳を構え魔王の顔を思いっきりぶん殴った。魔王は殴られると思っていなかったようで俺が魔王を殴ると、後ろに吹き飛んでしまうが。俺は倒れている魔王に向かって「俺はお前の事なんか。どうでも良かったんだよ。俺はな。俺は。アイリとずっと一緒に暮らしたいだけなんだよ」と言って俺は もう一度、拳を振り上げる すると魔王は「止めろ」と言うが。俺は気にせずに、もう一発、魔王に、ぶちかましてやろうと思い 俺は また 魔王に拳を振るおうとしたが。

その行為を見て魔王は「止めぬか」と言うので俺は「何だよ。今さら。怖じ気づいたのかよ」とだけ言って 俺は もう一撃 魔王を殴りつけた。だが魔王もただで やられるはずがなく 俺に蹴りを入れて来たので 俺は、その魔王の攻撃を腕でガードするが。それでも かなりダメージを食らってしまう。

俺は そんな事など気にも留めずに 魔王に、とどめの一発をお見舞いしようとしたのだが。

そこで魔王が俺に向かって。「待て、これ以上。続ければ 貴様は死んでしまう事になるだろう」と言ってくるが 俺は全く相手にしないで。「俺は、お前を殺して。俺は 元の世界に帰る。そして、アイリと一緒に暮らす。それが、今の俺の望みだ」と言って 俺が再び 魔王に攻撃を仕掛けようとすると。そこで、俺の動きを止める為に 俺の背後に回って。背中を押して 地面に突き落とすと。俺は起き上がってから。今度は 魔王に殴りかかるが。魔王は、それを避けるが それから魔王は「少しだけ話をさせて貰う。お前も疲れたであろう」とだけ言い出したので。俺は魔王の話に付き合うことにした。

それから、魔王の側近が殺された件で 魔王は俺に対して。謝罪をしてくれた それから魔王の側近が殺されてしまった理由について話を始める 俺達が、リリスが暮らしている町に向かう前に。リリスが住んでいた町の近くにある町で魔王軍の幹部の一人が魔王を復活させた事があった。それで、魔王が復活してしまったらしい。俺は魔王に。

俺に襲いかかろうとした魔王側近が 俺を襲おうとしていると勘違いをして 魔王の側近は魔王の力を奪う事にしたが その際に、誤って 魔王の側近が死んでしまったらしい。その後で 俺は、その魔王の側近の遺体を調べた結果。彼の中に残っていた魔王の力で蘇った存在が魔王の側近の姿を取っていただけで。本当の意味での彼は既に亡くなっていた事が判明したようだ。魔王は俺に。自分が生きている理由と、この世界に、魔王軍の幹部が、俺達を殺しに来る可能性があるから気をつけて欲しいと言われたので。

「分かりました。気を付けます」と言ってから。俺は、そのまま魔王と別れようとしたのだが そこで、魔王は。魔王の眷属を この魔王城に残しているので 魔王城を守って欲しいと頼み込んで来るので 魔王の言葉に従うように 魔王城に留まる事にしたのである。魔王の配下を 全て倒した後に、リリスがいる町に行こうとしたのだが 俺は、どうしても、この町で 調べなければならない事があるので しばらく、魔王の城に留まり。魔王の城の近くで待機する事にした。

俺は魔王と 戦う前に。魔王の側近の死体を使って 俺は自分の身体に。魔王の配下の一部を宿らせると。それから俺は魔王の側近を 蘇生させる。そして 俺は自分の姿を魔王の側近に見せると。「私は貴方の敵ではないので」とだけ言った後に。魔王の側近は俺に「どうして、私が生き返る事が出来たか、分かる?」と言うので俺は。「分からない」とだけ言うと。魔王の側近は、自分の中で 答えを導き出して。「私は 魔王様の力を取り込んだから。だから私は生き長らえて居られたのよ」と。魔王の側近は嬉しそうにしていた

「じゃあ。お前の事は俺に任されているから。後は俺の質問に答えるだけにしてくれ。お前は 魔王の側に仕えていたが。どうしてなんだ?」と俺が聞くと。魔王の側近は

「魔王の側近である私から 魔王に。リリス姫を 助けに行く許可を求めに来たんだけど。

その前に 私は。リリスの妹さんに捕まってしまったから」と言い出したので。俺も 俺と同じ事を考えるのは当然の事だと思う。「それは お前が。お前の本体じゃないからだろ。お前が本当にリリスの妹なら。きっと 妹は。俺を裏切るはずが無いんだ」と口にした瞬間に魔王の側近が「やっぱり 私は、私のままのようね」と口にしたので。俺は 魔王の側近を睨みつけると。俺は 魔王の側近が「でも。私は リリスの妹ではないのは確かだけど」と口にした事で この場に居る意味も無くなったので 魔王の側近が言っていた事を確かめてみるために 俺達は魔王の側近を閉じ込めている場所に移動を開始したのであった。「私を捕まえても 無駄な事です」と魔王の側近が言い始めたが。

俺は「そんなの。捕まえてから考えれば良いだけだ」と だけ 口にして 魔王の側近を、この場所に連れて来て。それから、リリスに、なぜ、魔王の味方をしているのか? どうして リリスは アイリスに嫌われていたのかなどを尋ねてみると。アイリスは自分の母親にリリスの両親を人質に取られたという事が分かった。

リリスはアイリスと、同じ時期に生まれて来たのだが リリスの妹の方が生まれたのが、先だったという リリスは妹の面倒を見る為に、ずっとリリスの妹の側に居たがったそうだが。リリスが俺を好いていると言う事を知ると。そのアイリスの妹は、リリスに嫌がらせをするようになって その行為が原因で、リリスは。リリスの妹の側に居られなくなったらしいのだ それから リリスは、その事をきっかけに、リリスの姉を 憎むようになる リリスの姉妹は リリスに嫌がらせをしたせいで、両親は、自分達が住んでいる国から追い出されてしまったのだが。

だがリリスが、アイツに対して怒りをぶつけたのは その一件だけではなかったという アイリスの母親と 魔王が同一人物だと知りながらアイリスは 魔王に協力してしまったのだという。だが、魔王が復活した際に 俺は、魔王が復活しないようにと行動をしていた為 アイリスの両親が巻き込まれないように。魔王の側近に、リリスの妹は殺さないように伝えてあったらしい 魔王が復活してからも リリスの妹は 魔王に協力しながら、リリスの家族を殺そうとしていたらしく。それを知ったリリスもリリスの両親が人質として囚われている部屋まで向かったのであるが。

リリスの妹は、魔王の配下の力を借りて。リリスの両親を殺した後で。自分も魔王によって殺される事になってしまうのだが。そこで 魔王の部下は 魔王からの命令を遂行するために。リリスが魔王の側近と知った上で、魔王の側近を殺す事にしたようだ その後。俺は魔王とリリスを連れてリリスターナ姫に会うために移動した。俺達が、リリスの実家に着くと リリスと、それからアイリスがいたのだ。アイリスは「お姉ちゃん」と言うと アイリスもリリスに抱きついたので。俺は二人の再会を見届けた後で

「もう大丈夫だよな」とだけ言って俺はその場を離れた。その日の夜には。アイリスと一緒に過ごしている俺の所にリリスが来たのだが。その時にもリリスが

「ごめんなさい。私の大切な人達を。カズマ様も守って頂きありがとうございます」と言ってきたので リリスが、自分の家に帰るのを見送った後に。俺は 俺の事を慕ってくれた女性二人に対して、それぞれキスをしてあげるのだった。そして、俺は 俺が、元の世界に戻れるかどうかを確認する為に。

「俺の世界に帰してくれるか?」と、魔王に頼んでみたのだが

「無理だな」と、魔王は一言で 俺が元の世界に帰れないとだけ言うのだが。それでも、俺は元の世界に戻る事を諦めなかった

「頼む」と俺は必死に頼み込むと。「ならば。私を倒す事が出来たら、帰らせよう」とだけ言い出してきたので 魔王との最終決戦に突入したのだが。魔王の圧倒的な力の前に俺が圧倒されてしまって。そして、ついに俺は魔王に敗れてしまうのであったが。

俺が、魔王の隙を見て。最後の手段に出る事にしたのだが。その俺の作戦を魔王が気づいてしまった。そして俺は その策を実行する為に魔王に向かって攻撃を仕掛けたのだが。その俺の動きを読んでいた魔王に俺は吹き飛ばされてしまって「諦めないでくれ。私は 貴方達と戦うつもりは無いのですから」「俺は、どうしても、帰る必要があって。それに 俺はリリスの為に戦わないと駄目なんだ」と口にすると。魔王は「そこまで彼女が大事なのですね」と言い出したので。俺は。自分の想いを伝えた後に 魔王と一騎討ちを始めた。そして魔王の猛攻の前に 俺は、また、追い詰められてしまって 俺の攻撃は。魔王に簡単に避けられて。俺の身体にダメージを与えて 俺もダメージを受けるが。その俺の傷を回復させようとする 俺の行動が魔王に読まれてしまって。俺が攻撃しようと動き出すと。俺は 俺の腹に拳を当てられてしまい、俺を吹き飛ばすと 俺の目の前に立ち塞がると。俺が倒れ込んでいる所を狙って魔王は 蹴りを入れて、俺にダメージを与える 俺は、その痛みに耐えつつ立ち上がると。魔王は「貴方のような強者が居なくなるのは寂しいが。私では貴方の願いは叶えられないようです」と言うので。「お前では無理なのか?」と言うと。魔王は

「そうですよ。貴方では私を満足させる事は出来ない」とだけ 俺に言ってきたので 俺は魔王が、俺に勝とうとしている訳でも無い事が分かり。その俺の様子に気付いた魔王は「何をしている。まだ私は本気を出さないぞ」と言ってきて それから魔王は。リリスの方を見ると。リリスは何かに気付いて 慌てて魔王から距離を取ると。リリスは、自分の魔法を使って 魔王を攻撃したが その魔法が、魔王に直撃する前に魔王の魔力障壁で防がれていた。そして 魔王が「貴様が 私の弱点を教えてくれたんだろう」と だけ口にする。俺は、その魔王の表情から、何を意味しているのかが理解出来て 俺は、この魔王と リリスの妹に 復讐心を燃やしていたのであった。「俺は絶対に、この世界を許さないからな」と言うと 俺は、その言葉を最後に 俺の身体は消えて行き 元の世界の自宅に転送されていたのであった。俺は、魔王城から戻ると。まず最初に。俺の妻と、リリスの母と、アイリスとレイナと、それから妹達の様子を見る事にした。それから 魔王が復活する前の出来事を思い出す。魔王の側近を拘束した場所に行ってみると。そこには魔王の側近の死体は無かったが。その代わりに アイリスの妹の死骸があったので。それを確認してから 俺は その死体を火葬した後で 墓を建ててから、魔王の配下の死体を埋葬していた それから、俺達は魔王との戦いに備える為に、修行を開始したので。俺の妻と、リリスと、それからアイリスとレイナは それぞれが魔王に勝つ為に必要な武器を手にいれていたのだった。

魔王の側近に、リリスの妹に魔王の弱味を聞き出そうと思ったのだが

「教えません」と言われて、何も聞くことは出来なかったのだ。魔王の側近は「私は 私の命を この魔王に捧げる事を決めたのです。なので リリスがどうなろうと。もう興味はありません」と言っていたのであった。だから俺は「俺が魔王を封印した後に。魔王に変わって世界を支配でもするつもりか?」と言ってみたのだが「違いますよ。魔王は復活したけど。私には魔王を、倒す程の力は持っていないので」と言ってくるので。それから魔王の側近は「それよりも。貴方には。貴方の仲間と家族と、それからリリスを助ける為に頑張って欲しいのです」と言われたので。「それは、分かっているが。魔王は、そんなにヤバイ奴なのか?」とだけ尋ねると「そうですね。魔王の力は桁外れに強いです。でも 今の私には、そんな魔王よりも、リリスとアイリスの二人が大切なんです。だから どうか、あの二人だけは助けてください。リリスの両親は人質になっているみたいなので、魔王は殺す事が出来ましたが。二人は無理でした。リリスとアイリスさえ無事なら 私の目的は達成されたも同然ですから。お願いします」と言うと 彼女は、その場から離れていった。そして 俺は魔王城に一人で向かっていくのだが。

「やっぱり。俺は、こんな世界に召喚されるのは間違っているんだよな」と 呟きながら。俺の足は止まらないで進んでいった。

それから俺は この世界に戻って来た。

魔王の居る場所に転移が出来るのであれば。俺は、俺自身の世界に帰れなくても良いと思ったのだ。俺は。リリスが、どうなっているのかを確認したかったのだが。アイリスによると アイリスの母親は、無事に、リリスと一緒に暮らせるようになったという。

リリスが俺の世界に来る事は出来るようなので。アイリスに案内をして貰うと 俺の知っている風景が広がっていたのだが。そこで俺とリリスが出会った場所まで行くと。そこに、懐かしい建物を見つけたので、中に入ってみると そこは俺の実家だった。リリスも一緒に来ていたのだが 俺の実家は、魔王に乗っ取られていたので。リリスは、それを目の当たりにしてしまった。俺は、それを知った時に、自分の怒りが爆発したのを感じると。

魔王に殴りかかるのだが。やはり俺の力が足りないせいで 俺のパンチなど。あっさり避けられてしまい。それから、リリスと二人で魔王と、戦うのだが それでも魔王には、まったく攻撃が通じなかった。だが 魔王が隙を見せた時。俺は魔王が手にしていた リリスとアイリスの母親の首を掴むと

「もう、お前の思い通りにさせる訳が無いだろうが」と、俺が言うと。

魔王は「くそ。こうなったら」と言うと。「もう、私にも余裕がない。リリスだけでも 殺しておけば」と言うと。アイリスが「貴方が私達に、お母さんの命を奪っておかないから 私は、リリイちゃんを恨むことしか出来なかったんですよ」と言ってきたのだ。それで、俺は リリスにキスをしようとした。俺のリリスへの愛を確かめたかったから。俺がリリスにキスをすると。

魔王がリリスに「リリスよ。今更、何をしに来た?」と言ってきたが。「お父さん。ごめんなさい。貴方が、どうして そんな考えになったのかは知らないけれど。それでも。リリイちゃんは悪くないとだけ言っておきたい」と、それだけ言うと 魔王が「貴様が。貴様だけが幸せな生活を送っているとは、どういう事だ。許せない」と言うと。俺と魔王は戦いを始めるが。魔王の攻撃は。その威力こそ強いのだが魔王は攻撃を避けるばかりで まともに攻撃が当たらないので 俺が「お前は。俺が、お前に勝ったら、お前の配下になるというが。俺は 俺の世界の平和を守る為に、お前を倒すしかない」と言うと

「私は、別に この世界の王になろうとかは思っていない。ただ。私は、私の邪魔をするもの達を殺して回っているだけなんだ」とだけ言ってきたので 俺は魔王の攻撃を捌き続ける。

それから、リリスは、レイナやアイリスに、俺の事を聞いていて。

俺の話をしているので リリスは少し嬉しそうにしながら。

「私が貴方に惚れている理由って分かる?」と言い出したのである。それで リリスが「それはね。初めて、リリイちゃんに会った時に、リリイは優しい人だよと、リリイは言ったんだけど。貴方は。リリイを守ってくれようとしたよね」と言われるので。俺は、「そういえば。そんな事もあったかもしれないな」と思いだす。

その言葉を聞いたリリスが 俺の方を向いて。

「リリイちゃんも。本当は、あなたを愛していたから リリイは私と同じ事をしようとしていたと思うんだ」と言われてしまう。すると、魔王が口を開いて 魔王が話し始める前に 俺は 魔王の魔力障壁を破壊できる技を この魔王に使ってやることにすると。魔王に向かって 魔王の魔力障壁を破壊しようとするのだが。魔王が何かに気付いたように慌てて魔力障壁を強化するが 俺はその技を使ってみる事にしたが。

「残念ながら 無駄だと思うぜ」とだけ魔王が言ってくるのであった。そして、魔王が俺に対して何かを言おうとしていたが。俺は そんな魔王の口を塞ぐようにして攻撃を行う。俺の攻撃によって 魔王の顔が、苦痛で歪んでいるように見えたが 魔王は自分の顔に付いた傷を回復しようとしていて 俺の目の前にいる、魔王を 倒さないといけないので それから、リリスとレイナと、アイリスに。魔王の側近は俺の仲間になる事になった事を伝えた後に。俺は 魔王の側近と戦うのだが。俺は側近と戦い続けている中で。俺の心の中では 昔の事を思いだし始めていたので。俺は昔を思い出すのを止めようとしたが。俺の中には思い出したい過去があった。だから 魔王の側近は無視をする。

俺は、魔王の側近を無視して。俺の妻に近づいて魔王の側近が 魔王を、復活させたがっている理由を聞こうとすると。

「魔王が復活したら。私達は幸せになれませんから」と言われて

「俺は、俺の大切な者達を守る為だけに動いている」と言うと。

「それでも、魔王が復活しれば 私達は死ぬことになりますよ」と言うと。俺は「俺の力は まだまだ未熟だけど。必ず。俺は 皆を救うから 待っていて欲しい」と言うと。俺の後ろの方では 俺が戦っていたはずの 魔王の側近と戦っていたリリスが、魔王の側近を圧倒し始めているので

「俺は、リリスを 助けに行かないと」と言って 俺は 妻が心配だったので、急いで妻の元に向かったのであった。妻は俺を見ると 安心した顔をしたので。リリスとレイナは大丈夫そうだと思いながらも 魔王の側近との戦いを続けていた。

魔王の側近との戦いの中で俺は。魔王の側近が俺に 何を聞きたいか? という事が分かってしまう。

それは、リリスの妹であるアイリスの行方についてだった。俺は 魔王の側近がアイリスの安否を心配して探しているのではないかと思ってしまい。

魔王は俺を馬鹿にしたような目をしながら

「リリスよ。

お前の妹は。今は私と一緒に居るぞ」と言われてしまい。

俺の頭の中にある事を思い出してしまうのである。

魔王の配下になってしまったリリスと 一緒に暮らしている妹のアイリスは、今頃どうなっているのだろうかと考え始めるが。リリスが、魔王に攻撃を仕掛け始めた時に、俺とリリスは協力して 二人で、魔王を攻撃するのだが。二人掛りでも魔王にダメージを与える事が出来ないまま俺がリリスにアイリスがどこに居たのかと尋ねようとしても 俺の言葉を聞く気のないリリスを見て 仕方なく リリスは 俺に、アイリスの居場所を伝えようとしない。俺が 魔王の攻撃を避け続けながらリリスとアイリスを探し始めようとすると。魔王が俺の心を折ろうとしてきたのだ。俺は、そんな魔王の挑発には乗りたくなかったので 俺は魔王が仕掛けてきた、俺の集中力を欠かせる作戦に引っかかるわけにはいかないと思っていた。それから俺は。魔王の罠を見破り それから魔王の隙を見つけ出して 俺は魔王を追い詰めようとしていた。魔王は焦ると リリスとレイナに、俺が魔王を倒しやすい環境を整えろと命じるが 俺が リリスとレイナに魔王を任せようとしているのだと伝えると。

「分かったわ。じゃあ 私達が魔王を倒すから それまでに準備をしておきなさい」と言ってくれたのだ。それで 俺が

「任せた」とだけ言って魔王の相手をする。

それから、魔王との激闘を続けていると。魔王が アイリスとリリスに話しかけて「貴様らの大切な者を助けられたら。貴様らも 私の味方をしてくれ。そうすれば。貴様らを 生かすことは考えてやっても良いぞ」と言うと リリスは 俺と視線を合わせてきて「どうしますか?」と言うので。俺は「俺を信じてくれないか?」とだけ答えると。

リリスは「貴方の事は。もう、信じていますから」と言うと 俺は「アイリスちゃんは、どこだ」と魔王に質問をすると。「もうすぐ来るはずだ」と言われてしまう。そこで 俺とリリスが連携して攻撃を行うと。魔王の体から、黒い霧のような物が出てきて。それに包まれていくのを確認した後で。俺も魔王から距離を離して様子を確認すると。魔王の中から出てきた人物に俺は驚いた。その人物が。リリスの両親だったからだ。それで俺は どうして二人が魔王の中に閉じ込められていたのか理解できてしまい「そうなのか」とだけ呟くのである。リリスは両親が生きているのを見たら泣き出してしまい それから、俺の方を見て「貴方は。これから、私を救ってくださったように。この人達も」と言ってきたので。リリスの言うとおりにするしかないと思ったのである。俺は「分かった」と答えてから リリスに魔王の相手を任せて。

俺は魔王の体を包み込んだまま消えてしまった。

俺はリリス達を置いて 一人だけで逃げてしまっていたのだ。その事実を知った時には、すでに遅く。俺は自分の無力さに絶望しながら街に戻っていくと。リリス達の事が心配になっていた俺はリリス達の元に戻ることにしたのだが。途中で、あの少年に出会ってしまったのである。俺は彼を見るなりに殴りかかったがその拳は彼に届く事はなかった。彼は俺の攻撃を避ける事無く受け止めていたのだが。俺の攻撃が当たる前に 俺の拳が止まるので、俺は、攻撃を止めると。「君に話しておく事がある」と言うと。俺は彼が何を言おうとしているのが分からずにいると。彼は「僕は、僕の力では 君の攻撃を避ける必要がないんだよ」と言われてしまう。そんな言葉を信用できない俺は「ふざけんな」と言い出すと。「いいや。本当だよ」と、俺の目を見ながら 微笑んできやがったのだ。俺が「信じられないな」とだけ言い返すと「そうだね。君は、まだ、僕の事を信頼していないようだね」と言って その場から姿を消したので 俺は 急いでリリスの元に戻ろうとした。

俺の元に現れた勇者の末裔は俺に「魔王が復活した以上 貴方達も危険な目に合うかもしれないから 私も 貴方達を護衛するために行動させて貰いますから」と俺に伝えてきて 俺はその申し出を受け入れると。その女性は 俺に 何かの武器を、渡してきたのである。俺は 渡された それを、じっくりと見ながら。

「この槍。かなり 威力が強そうだな」と言うと。「その剣もなかなかに強力ですよ」と言われてしまう。俺は その女性から、俺に渡すように言われた物を見ていると。この世界に来て初めて、見る 不思議な形をした剣があったので。

俺はその剣が気になり 手に取ってしまったのだが。その俺の行動に女性が驚き 慌てて俺が持っていた その剣を取り返そうとしたのだが。俺はその行動を予測していたのか。すぐに回避して「俺にも少しぐらいは 触らせてくれないかな」と言うと 彼女は「ダメよ」と言ってくるので 俺に、俺が手に入れた 謎の物体を渡してくると。「それは。貴方に、あげますよ」と言って そのまま立ち去ってしまうのであった。

俺に剣をくれるという 謎の少女が、何処に行ったのか分からないが 俺は俺に渡してくれた、剣を握りしめながら。俺は リリスの事だけを考え続けていたのである。そして 俺は 街の方に向かって移動を始めると。俺は魔王と遭遇する事になった。そして 俺が持っている、リリスの両親の魔力を感じ取ったのか 俺に近づいてくるので 俺は、逃げるわけにいかず。魔王と戦い始めるが。魔王の攻撃を俺は何とか防ぎ続けているのだが このまま戦っても勝てない気がした俺は、俺を馬鹿にしているような態度をとっている魔王を本気で倒す為に、俺の奥の手を使って戦う事に決めたのである。俺には奥の手が有ったが この魔法を使った後に体が耐え切れるか? というのが、問題だったので俺は魔王が、余裕を見せ付けてから、その魔法の効果を発動させる。

俺の体の周りには紫色に光る粒子が浮かんでいて 俺は魔王が 俺の魔法に驚いていたが。そんな事は関係ないと思いながら 魔王との戦いを再開する。俺が、魔王に対して攻撃を繰り返すと。

俺が使ったのは闇属性と 風属性を融合させた混合魔術だったのだ。俺は リリスの妹が使っていた混合魔法を思いだし。俺は、これならば 倒せるはずと考えたのだ。だが魔王には、それが効かないのは分かっていたのである。俺は、それから、何度も魔王に攻撃を仕掛けるが 俺は、徐々に 押され始め 追い詰められていった。それでも 俺は諦めず 魔王を、少しずつ追い詰めて行き 俺は 魔王に攻撃を仕掛けては離れるという行動を繰り返していた。しかし、そんな時。俺に、リリスが駆け寄ってくると。「私に 協力させてください」と、リリスは 俺に協力を求めてきたが。俺は、魔王に止めを刺そうと思っていたのである。だから リリスの、提案を断り。俺が一人で魔王を倒すと宣言してから 魔王への攻撃を再開しようと思っている時に 俺の元に リリスの仲間と思われる人物が 現れると

「お前は、ここで 何をしている」と その人物に言われてしまい。俺もリリスもその人物は誰だ? と思うと。「リリスは 俺の妻になった」とリリスが、仲間だと思われた人に言うと

「そんな事、聞いていない」と言われたが。俺は、今、自分がやるべき事を優先していたので、魔王との戦いで忙しかったのだ。それで、俺が リリスと会話をして時間稼ぎをしようと思っていたら 俺がリリスと一緒に魔王と戦闘をしていた人物が現れてしまったので。

その人物が現れたのと同時に リリスは、俺から離れていってしまって。

「俺の嫁さんが迷惑をかけて申し訳なかった。俺が、こいつを引き付けるので その間に、魔王を倒しておいてくれ」と言われてしまう。それで 俺は、リリスを逃がした 人物と共に魔王の相手を始めたのだ。俺は、それから魔王との戦闘を繰り返していて その度に リリスが魔王の攻撃を引き受けてくれた。俺は、魔王の攻撃を防ぎつつ、魔王を俺に引き付けているリリスの援護をするという、複雑な作業を続けて魔王を倒してしまった。それで 魔王を無事に倒し終わった後 魔王を倒したのが俺だと、リリスに伝えたが 俺を疑っているようで、なかなか、信じてもらえないのであった。

それから数日の間は、特に何事も起きなかったが ある日。リリスの村の近くを、通りかかると。村の人が、慌ただしく走り回っていたので どうしたのかと思って見に行くと。その人達の中に、あの少年がいたのである。そこで、リリスと二人で 彼のところに行ってみると。リリスの家族が殺されてしまい。その犯人として、疑われている状況になっているという話を聞かされたのである。

その話を聞いて、リリスは、怒り狂ってしまい。俺はリリスの誤解を解くために 必死になって、彼女を落ち着かせようとしていたのだが。そこでリリスの妹が俺の前に姿を現したので。彼女の事を説明する為に彼女を呼び出そうとすると。そこで、リリスの父親が駆けつけてきて「俺達は大丈夫だ」と言ってきてくれたのだ。そこでリリスが俺の話を聞くように 説得すると、なんとか落ち着いてくれ。リリスの父親も リリスと同じような事を言ってくれたので、ようやく俺は 納得してくれて、その場は収まったのである。俺は、その後、リリスの村に立ち寄った後に。レイナの両親を捜索するために。また別の街へと、移動するのであった。

魔王討伐の旅の途中 リリスと、リリスの父を救ってくれたという、謎多き青年と出会った事で、魔王と戦う覚悟を決めた俺は 魔王城で戦った際に、魔王から手に入れた槍を手に持って街を散策する事にしたのである。街の人々は俺を見ては、ひそひそと話をしていたので、何か変な目で見られる原因があるのかと考えていたのだが、その理由はすぐに分かる事になるので 俺は街の中を見回るのに、あまり時間を掛けずに 宿に戻ってきてから、この槍の威力を確認する事に決めて 早速 槍を使い始める事にした。

そして俺は、武器屋に行き この槍を購入すると その日のうちに使うことに決めたので。

「店主。ちょっと良いか?」と俺が、声をかけると。俺が、急に声をかけたものだから 驚いた表情をしながら「なんでしょうか」と言ってきたので 俺は

「試したい事が有るから 少し時間を貰えるかな」と言うと。「分かりました」と言ったので 俺は、すぐに店を出て行ってから 槍に魔力を込める。俺が槍に魔力を込めている最中に、店の扉が開く音がしたので 振り返ると、リリスとその父親の姿が見えたので 俺は二人に手を振ると。二人は俺の事に気づいて 近づいてきてくれる。俺と、リリス達が、お互いに向かい合うような形になると。「お兄ちゃん」と言って 俺に抱きついてきたのである。

「お兄ちゃん」と嬉しそうな声で 俺を呼ぶ、この可愛い生物が、リリスの妹なのだと分かった俺は、そんな彼女に優しく話しかけることにする。「久しぶりだな。アイラ」「うん♪」そう言いながら、彼女は俺に甘えていたのである。そんな妹を見たリリスの方も 同じように、俺に甘えて来ると。二人の相手をしていた俺だったが、そこに一人の女性が俺達の方に近付いてくると。リリスは、「お母様」と言って 女性の方に走っていったのである。そう、この女性がリリスの母親らしく その女性の顔が どこかで見たような顔立ちをしているのが気になり始めた俺は、その事を考えるのだが 結局分からなかったので とりあえずリリスに「お前のお袋さんに、よろしく伝えといてくれ」と言うことにしたのだ。すると、その言葉を聞いた、彼女は嬉しそうな笑顔を見せながら「うん!」と返事をしてくれた。

俺は、魔王と戦った際に 手にいれた武器が強力だったので その性能を 確かめる為に、武器屋で購入した。槍で攻撃を行うと 魔物を串刺しにしてしまうので、周りの人達に危害を与えてしまうかもしれないので 人がいないところで戦う事にする。そして、俺がその辺にいた人間を捕まえると。その人間は悲鳴を上げていたが その男に対して俺は。何もせずに開放する。そして俺と、その男のやり取りを見ていた人間が居たが 俺はその人間にも何もしないで解放した。俺に、そんな扱いを受けたその男は「なぜ俺を見逃すんだ」と言っていたので 俺の質問に答えてもらう為だったと説明してから。俺に「なぜ俺を殺さなかった」と聞いて来たのである。俺は 自分の質問に答えるためだったと答えてから この場にいる人間に、手出しをするのをやめてほしい旨を伝えると。その人は「そんな約束出来るわけが無いだろう」と言われたのである。それならば、仕方がないので、殺すしかないと考えた時に、魔王と戦っていた時に使っていた、魔王の槍が 突然、目の前に現れたので。俺は魔王を倒した際のように、槍を掴むと 魔王の持っていた、闇のオーラを放ちながら その魔王の槍を振り回し始めた。俺が 魔王の槍を持っている光景を見た周囲の人間の反応は様々であった。怯えている者が大半であったが 一部の人々は、魔王の持っている魔槍を欲しがっていた。その連中の行動を見ると まるで金にしか興味がない人間のようで 俺は、そんな人間を心の中で馬鹿にして見下しながら しばらく暴れ回った。

俺は 俺の邪魔をした奴を殺すと、宣言してから その場を離れようとしたが そこで、俺に、その女勇者の末裔が、戦いを挑んで来て、俺を殺そうとしたが。俺は 勇者の攻撃を防ぐ事に成功はした。

「俺を、殺したければ。お前の実力を見せてみろ」と言って 女勇者の末裔と一騎打ちを始めると。俺が優勢のままで、勝負がつくと思われた時。

俺に殺された者達の仲間らしき連中が現れ 俺を殺しに来る。それで俺は。面倒くさかったのもあり その連中も、まとめて相手取る事にしたのである。そして、俺と戦おうとする連中を片付け終わると。そこには魔王との戦いで、俺を窮地に追い込んでくれた人物が現れたのだ。

「また会ったな。あの時は よくも、やってくれたな」と言って 俺は槍を構えるのだが。相手が 攻撃を仕掛けてこなかった為に 俺の方は攻め込めずに 膠着状態が続いていた。だが、俺は相手の出方を見るためにも こちらからは仕掛ける事が出来ず そのまま、しばらく様子を見ていると。「お前も、魔王の手先になったか」と言ってきたので 俺も どうして魔王と敵対する存在になったのかを 聞かれてしまったら、嘘はつけないと思ったので 魔王と戦う理由はあると答えた後に 魔王軍と戦う事になった経緯を話す事にした。

魔王は倒せたものの 魔王の部下によって 魔王が倒されたと、他の国に広められてしまっていて。俺は、リリスとアイリスを助けるのと リリスの村の人達を助けようと思い、村に向かっていたので。

その途中で。リリスの妹を救い出したという、リリスが俺の所まで来てくれた事で 魔王軍の残党と戦うことになったのだと説明すると。

そこでリリスの母親が俺の話に補足を入れてくれたのだが。俺と敵対していた男が リリスの母親に何かを言っていると その男は、リリスの母親の事を お母様と呼んでいたので 俺は驚いてしまったのだ。まさか この少女が母親で。リリスは娘なのかと その疑問を解消するために リリスとリリスの母親に向かって、年齢を聞いてみた。すると、どうやら この女性は20代半ばの外見をしていた。なので その事は信じられなかったが。そこでリリスの妹の方は。見た目は10才前後の子供の姿に見えるのだが 実際は14歳で、今が成長期で、身長が伸びたり 胸も大きくなり始める頃である。

リリスは「そういえば まだお礼を言ってなかったわね」と 言ってきた後に 彼女は俺の所に駆け寄ってくると いきなり俺の頬にキスをしてきてくれたのだ。リリスの急な、そんな行為に驚いた俺だったが。彼女の方は、満面の笑みで俺に微笑むと それから「助けてくれて、ありがとう。貴方がいなければ 私達は、きっと死んでしまっていた」と言ってくれたのである。俺は照れ隠しの為に頭を掻く。俺が、このリリスの感謝を受け止めた後 このリリスに レイナの件について 確認しようと思い レイナの事を尋ねると。

レイナは「魔王の娘よ」と言う言葉が出てきた。俺には魔王が魔王に殺されそうになったリリスを救った事が理解できなかったので。俺はリリスに「レイナを 魔王にしたのは お前の父親なんだよな?」と聞いてみると 彼女は、「そうよ。でも、私は お父様を恨んでいるわけじゃないの」と言ってきた。そして、彼女が話を続ける。どうも 彼女は 父親である魔王に「私の命は あなたに差し上げます。だから娘の事は 自由にしてください」と言ってきたようだ。その結果。父親は魔王から、リリスの命を奪う事だけは辞めさせてもらい。代わりに、俺を呼び寄せた。その目的は分からない。しかし、リリスの命を狙うなら 俺は、そいつを許さないと伝える事にしたのだ。リリスはその言葉を嬉しそうに聞いていたので とりあえず安心する事にした。俺が魔王の事を聞き出そうと思った時 魔王が、リリスとリリスの母親の前に姿を現す。俺の方に近付いてくると。リリスに対して「よくぞ 戻って来た」と嬉しそうな表情をしながら言うと それから「やはり、お前の力が一番だと思っていた」と言って リリスに対して、何が望みであるのかを尋ねたのだが。リリスとリリスの母親と魔王の三人が会話をする事になる。俺は、リリスに話しかけたい気持ちを抑えながらこの場で起きている出来事を見守る事にする。しばらくして 俺の視線に気づいた魔王が俺に「君も話し合いに参加しても良いのだよ」と言う。俺は少し躊躇するが。結局、俺もこの話し合いに参加した。俺は そこでリリス達と一緒に旅に出て欲しいと言う頼みを受けた為に、了承する事にして 俺にリリスが「お願いして良いかしら」と尋ねてくる。俺は それに答えると。「これから宜しく頼む」と言われてから握手を求められたので 俺はそれに応える事にした。その後 魔王と魔王の娘と別れた俺とリリスは、二人で宿に戻り。お互いに情報交換を行う事にする。まず俺の方の話をした後 俺の口からは「俺と魔王の関係って どうなっていると思うんだ?」と聞く事にする。

リリスの話では。俺と、この世界の魔王とは敵同士らしいのだが。リリス自身は、どちらかと言えば魔王に対して好感を抱いているように思えたからだ。俺が リリスに「なんで そんな感じに考えているんだ?」と聞いてみる。

彼女は「私は お父さんに、ずっと昔から恋をしている」と、そう言った後 彼女は自分の想いを話してくれるのだが。俺の耳に入って来る彼女の話は、あまりにも重い内容であり。そのせいで リリスは 父親の事が好きでも。

愛を伝えるのが、難しいとも 伝えてくれたのである。

俺も 彼女と同じく 好きな人が居る身だったので 俺は彼女に 共感できる点があるかもしれないと考え。それに加えて、俺はリリスの事が、だんだんと気になる存在になりつつあるのだが。それは俺の心の問題でもあるので 今は、そんな自分の感情よりも、先にやるべきことがあると 考える事にしたのである。リリスの事を好きだという男の正体が誰なのかを、突き止める為に 魔王軍の幹部の一人と対面する。俺は幹部である、僧侶の男を相手に戦う事になってしまう。そんな俺は僧侶の攻撃に翻弄されてしまい、攻撃を防ぎきる事も出来ないまま、何度も攻撃を受けてしまうが。そんな俺は僧侶の動きに何か引っかかるものを感じ取った。その感覚を頼りに攻撃を繰り返せば、相手を倒す事が出来ると確信したのである。その確信を胸に俺は僧侶との戦いに挑むと。俺は見事に相手の動きを読み切ることに成功してから 相手を倒してみせた。その戦闘を終えた直後に リリスは、この場に現れると、俺に「大丈夫だった?」と声をかけてくれていた。その時に俺は「俺は問題ない。それより お前は平気か?」と心配の言葉をかけてみると。彼女は笑顔で俺の無事を確認すると 俺の怪我の状態を心配してきたので「大した事ないよ」と答えると それから 俺は僧侶の死体に目を向けたのだ。その死体は、この世界で俺が殺した勇者と全く同じ外見をしており 俺は驚きを隠しきれないでいた。そこでリリスが、俺に僧侶が持っていた槍を手渡してくれたので。俺が、その武器を手にした瞬間に、俺の頭の中に、何かの記憶のような物が入って来て。俺は、それが勇者として生きていた頃の、過去の記憶だと悟った。だが、何故、今頃になって?と思った所で、突然に意識が途絶えたために倒れ込むと、そのまま気を失ってしまう事にしたのである。気がつけば、また宿屋に戻っており、目を覚ましたばかりのリリイの顔を見て、ようやく自分が生きている事を実感できたのだ。

リリスが部屋を出ていった後に、アイリ達が入ってきて、俺の様子を見た後に「もう 無理をしないで」と言われるのだが。その事で、みんなに心配を掛けているのだと知った俺は「悪かった」と謝るのであった。俺は、この世界の人間達に命を狙われており それから逃れるためには、強くなる必要があると考えていたためもあって 俺は自分を追い込んでまで訓練を行っていたのだが。リリスが俺の部屋を訪れた事で。俺は彼女と話す事にする。その話の中で俺は、リリスが どうして、俺を殺そうとしなかったのかと尋ねると リリスは答えたのだ。

俺がリリスの父親である魔王に好意を抱いているのを知っていて それを応援してくれるつもりなのだと、俺は、この時に知ることになる。俺は、このリリスが魔王の娘である事を、リリスに伝えたのだ。

それから、この魔王が、魔王に殺されそうになったリリスを救った事を告げた俺は 彼女が魔王に対して抱いている気持ちを聞いたのだ。リリスは、リリスの母親を魔王が殺さずに リリスの命を救ってくれたのは。彼女が、その母親を愛していたからではないかと思うのだが。俺の考えは違っていたのだと。俺の話を聞いて リリスは教えてくれて。魔王は、この世界に来てから 多くの人を殺してきたが。リリスの父親を殺したり。この世界を滅亡に追い込もうとしていた訳ではないという事を知る事になる。そこでリリスが「お父様は この世界の魔王じゃないのよ」と言ってくれたので。

リリスは魔王が自分の父親である事を知っていたが 父親がどのような存在になっているかを知らなかった。それで俺に確認を取ると この世界には魔王が何人も存在している。

魔王達は、お互いの存在を認知していて。争いもしていたそうだ。そして そんな魔王同士が戦いを始めた結果 この世界の秩序が崩壊しようとしていたのだと。俺はリリスから、そう聞かされたのである。リリスは そんな状態は嫌だったので この世界を何とかしようと考えて 勇者召喚を行う事にした。しかし 勇者を異世界から呼び出す事には成功したのだが。勇者を呼び出した時の副作用により、別の人物も、この世界に転移してきたようだと語ってくれる。リリスの説明を、ここで終わらせる訳にもいかないと考えた俺は もう少しだけ話をしてもらう事にした。そうすれば、まだ話して貰える内容がありそうな予感がしたので 俺の質問に彼女は答え始める。

俺がリリスから魔王について説明を受けて、これから この魔王の娘が、これから先どうしたいと考えているかを聞く。すると、リリスは、俺の予想通りに、この世界の住人達の為に戦って欲しいと願う事を告げる。それなら、リリスは本当に魔王と血の繋がった娘である事は間違いないなと思う。

そんな時 僧侶の体を持っていた男を倒した後に俺が受け取った、この世界の物とは違う記憶の内容が気になり始めた。俺に、その記憶を見せてもらってから 俺は僧侶の記憶の中にある 僧侶が魔王軍の一員である事に違和感を覚える。そういえば、リリスが魔王の娘で有る事を思い出した俺は、リリスを自分の元に呼び寄せようと考える。

俺に呼び寄せられて 魔王城へと向かって来たリリスを迎え入れるために。俺は 魔王に許可を取ろうと考えた。その前に 俺の方は リリスと、これからの事を話す必要があり 彼女の話を 聞くことにしてから。俺は、この世界の状況を聞き出すと この世界に、俺が倒した僧侶と同じ姿をした人物が、既に二人存在していた事実を教えられる事となり。俺は驚くが この世界に転移してきてしまった以上は この世界の人達を助ける義務が俺にあると感じるようになった。それこそ俺のやりたい事ではないだろうか?と思い至った俺は リリスと魔王が親子関係だと聞いて。俺は リリスに協力をお願いしようと思って。俺に、これからも協力してもらえるか尋ねてみると。彼女も「勿論よ」と快諾してくれてから 俺とリリスが、今後の事を相談し始める。そこで俺の口からは 俺が僧侶と戦った際に得た情報を、リリスに教える事にしたのだ。俺の口から伝えられた情報は。俺が この世界で殺された勇者であり 勇者に殺される直前で俺が見た光景とは この世界の魔王だったと そういう風にリリスに教えてもらったのだが。俺は僧侶が所持していた勇者の記憶の中に居た存在を目にしている。それは俺が魔王に殺される直前に、この世界に存在した魔王と瓜二つの外見をした魔王の姿を目撃していて。それは僧侶が手に持っていた槍の柄の先にはまっていた宝玉の色に、よく似た宝石を身につけていた為に分かった事でもある。

俺の話を聞いたリリスが俺に対して、どうして 僧侶が この世界の魔王を知っているのかが不思議だと伝えてくれたのだが。俺の方も、そんな魔王の存在は知らないし。この世界で僧侶と戦っていた魔王の正体についても見当がつかない状態だったので、俺は僧侶との戦いで手に入った記憶を、もう一度調べなおす事に決めた。そんな事を考えていると、部屋の扉がノックされる。リリスは、俺が倒れた事を心配したアイリ達に呼び出されて来たようで そんな彼女達が 部屋に入ってきたのを見て 俺は大丈夫だと言うが リリスに心配を掛けてしまっている事を申し訳なく思うのだった。俺は、僧侶が身に付けていた勇者の装備を調べれば何か手がかりがあるかもしれないと思って 僧侶の遺体を 僧侶が着込んでいた鎧と槍を俺の魔法を使って作り出した 収納スペースの中に放り込んで 俺は僧侶が身に着けていた武具を調べる事にする。僧侶が使用していた槍は 刃の先端の部分にはめられた大きな赤い宝石が特徴的な槍で 僧侶の体から外した後も、その赤色は、かなり鮮やかに残っており。

僧侶の体の中に入り込んだ 俺の攻撃による傷跡を その赤色が補っているようにさえ見えているのだが。

俺が僧侶と対峙した際にはこの槍を握り締めたまま僧侶が倒れ込み、その時に 槍も僧侶と共に倒れる形となっていた為に 僧侶の遺体から槍が外れた状態で放置されていたのだが。俺は、僧侶が使っていた槍と、その刃の部分に嵌められていた、とても鮮やかな色合いの、この世界の物とは思えない色に染まっていた巨大なルビーが特徴的な槍を眺めている時に、ふとした疑問を覚えたので、リリスに相談する為に振り返ったのだが。

そこで、リリスが 俺の側に近寄ってきたために 俺は彼女に話しかけるのであった。

僧侶の死体の傍に置かれていた勇者が身に纏っていた装備を調べようとリリスが俺の元へ駆け付けて来てくれたのだ。

俺は僧侶の体を僧侶の死体の側から少し離れた場所に移動させた後に、僧侶の武器をリリスと二人で調べ始めようとする。その前に、この僧侶が持っていた武器に視線を向けると その勇者が持つには不釣り合いにも見えるほどに大きな真っ赤な宝石が付いた武器だった。しかも僧侶が倒れていた場所が床の上で。俺が勇者と戦った際よりも勇者の体は、この場から離れていなかったはずなので。

俺は、勇者との戦いの最中で、俺が、この世界に呼ばれた際に。最初に見た 勇者と思われる人物の容姿を思い出す。その者は女性だったのだが。俺は勇者が、もしも 女性であったならば。俺を、この世界へ呼んだのが女性であるという事になる。そうでなければ女性でも あの体格になる事が可能だと考えたが。その考えが正しいのかを確かめようとして俺はリリスに声をかけるのだが。彼女は

「えっと 何があったのか分からないけど」と口にした後に、リリスが俺に説明してくれる。リリスによると僧侶と、この世界の魔王は。同じ人物である可能性が高いという事を リリスから告げられると。この僧侶に 勇者の力を与えた者が存在する可能性があると考えて俺は思考を回転させたのだ。そして、この勇者の体に入っていた存在は、この僧侶から奪い取った能力を利用して。自分の思い通りの事をやろうとしている奴がいるのではないかと思った俺は、その者の目的を考えると。まずは俺の持っている勇者の記憶を探った方が早そうな気がしたのだ。

俺が魔王城の宝物庫にあった剣を持ち出そうと考えた所で、リリスが俺の服を引っ張って

「待って」と言ってくるので俺は、彼女の言葉に従うと 僧侶に装備されていた装備を俺の収納スペースの中に入れる事にしたのである。

そんな作業をした後で僧侶が倒れていた部屋を出ていく事にしたが。その途中で僧侶を倒した後に俺の元に届けられた僧侶の記憶の内容を確認する事にして。僧侶の装備品を調べるのと同時に 僧侶に埋め込まれていたという水晶が気になっていたため。

リリスと一緒に、彼女の案内の元で僧侶に装備されたままになっている装備品を探しに向かう。そこで、この魔王城には、この世界に存在していた物ではない道具が数多く存在するのに気付くと。

この世界が、元々存在していた世界とは違うという事は確定的なのだが。俺は魔王城に存在する様々な道具を手に取るとリリスと相談し始める。

そこで俺は 俺達を召喚したのが勇者である事を思い出して。リリスに「俺の予想が正しければ、勇者は、この世界とは別にある異世界から俺達を呼び出して この世界に連れてきたという事だと思うんだが。

その勇者は俺と同じ日本からやって来たと思うんだよ。だから俺がこの世界で勇者と対峙する際に勇者が、俺と同じ世界の出身ではないかと考えていたんだけど 俺の考えがあっていると思う?」と伝えると リリスは俺に、勇者が異世界から来た人物だと思っている理由は何かを聞いてくるので。俺が勇者と僧侶の戦いを見守っていた時に遭遇した、この世界の者達とは明らかに姿形が違っていて 尚且つ俺と同じ世界の出身でなければ説明できない特徴を持っていたからだと言うと リリスは、この世界の住民達の特徴を説明し始めて。俺達のような黒髪の人種はいない事を教えてもらう。それを聞いた俺としては。俺達のように、この世界に現れたのは日本人だけではないかと考えたのである。しかし それだと俺が、この世界に来る際に感じた事の辻妻は合うのだが 俺が元居た世界で生活していた時にも 俺以外にも、俺と似た境遇で俺と同じような行動をしていた人物が存在している可能性もあるのではないかと考えると この世界を俺と似たような経緯で、別の誰かが訪れた事があるのかもしれないと予想できるのだ。

俺の話を聞いてリリスが、勇者の装備していた武器の保管してある場所まで案内してくれたので リリスの案内の元、勇者に与えられていた武器を見させて貰う事にした。僧侶が使用していた槍を、収納スペースの中に放り込むと。俺は勇者の所持していた武具を確認していく。すると この勇者が愛用していた槍の刃の部分に使われている赤色の宝石が印象的な巨大過ぎる大ぶりなルビーが目立つ槍と、この僧侶が使用していた槍の刃が この僧侶の持っていた宝玉と酷似した物がはめ込まれた柄の部分が特徴的な。

勇者が所持していた、その2本の槍と、俺の体に埋め込んでいる聖杯が一体化したかのような。まるで俺と融合するかの如くに一体化してしまった。勇者が所持していた槍は。その赤色が美しい輝きを放っていたのだが。勇者に使用されていた時の記憶では。この槍に嵌められていたのは宝玉だった。その事についてリリスに確認する。俺に問われたリリスが勇者に与えられていた武具を調べてみると。リリスが勇者の所持していた武具を詳しく見てみた結果。この僧侶の使っていた槍と、この僧侶に勇者が渡していた武器の形状は違う物なのだと判明したのだ。その事から俺は、勇者は僧侶とは全く違う種族の人間から力を借りて勇者に成り上がったのではないかと推測して。勇者に俺達の世界とは別の世界から呼び出された人物でないかと聞いてみたのだが。やはり俺の言葉に対してリリスが否定する事は無かった。

僧侶が身に付けていた武器の中にあった、あの僧侶の遺体に突き刺さっていた武器に、僧侶が、その身に着けていた物の中で一番大事にしている武器が、あの僧侶の遺体に残されていたらしく。その武器こそが 僧侶が大切にしている宝玉が特徴的な赤色の槍だったようだ。

この槍の宝玉は、この僧侶の遺体に残されていた記憶を見る限りだと、僧侶が、ある存在との戦いで手に入れた戦利品だと分かる。

そして、この勇者の遺体が所持していた赤い槍は勇者が仲間に裏切られた後に勇者が倒した敵から奪い取った武器だと言う事を知った。その情報から俺は僧侶が勇者に殺されてから勇者の遺体を放置されないように リリスと二人っきりになって勇者に勇者が装備していた武具を収納するついでに僧侶が持っていた武器に勇者の魂を封じる事で勇者の死体の傍に残しておく。

それからリリスは僧侶に殺された魔王は何処にいるのかと質問してきたが。俺は、僧侶が勇者を討伐した際に得た能力を利用して俺に倒される寸前だった魔王の姿に変身するとリリスの前に姿を現す。その姿を見たリリスは俺の事を警戒するような表情を見せる。その瞬間。俺は魔王に変身してリリスと対面を果たした直後に、リリスに攻撃を仕掛けようとしたが。俺は攻撃をする直前に勇者との戦闘の際にも見せた。あの真っ赤なルビーの巨大な斧を取り出した状態で、勇者の体から抜け出すのが限界であり。勇者の体から追い出された後の魔王の体に関してはリリスが持っている短剣の一撃により倒されたのである。その後、俺は魔王城の奥の方で勇者の体を休ませる事とした。そして 俺はリリスと話をするのであった。俺の口から勇者が、どうして死んだかを説明する前にリリスの方に俺が聞きたかった事を聞くと。勇者はリリスと初めて出会う前に勇者を召喚した者の策略によって、勇者としての力が暴走を起こして。

その代償として、リリスと出会う前に勇者が死亡したと伝えられた。その事に関して俺は納得がいった。何故なら、リリスに、俺を勇者と呼ぶように指示をした人物が居るらしいのだが。リリスは、その命令に従って、ずっと俺を勇者として呼んでいたようなので。恐らくは、その人物が、リリスを勇者として操って。

俺が元の世界へ帰る為には、リリスを倒す必要が出てくるのは確実だと考えたのである。

リリスと会話をしていたら魔王が俺に話しかけてきた。魔王と話をしながら俺は、勇者を蘇生させる準備を行う。まず最初に勇者の体の状態を調べる事にする。勇者は全身を激しく切り刻まれた事で死んでいて、かなり酷い状態であった。それでも俺は回復魔法を使用する事により勇者の状態を回復させていく。そして勇者は、まだ完全に生き返った訳ではなかったので再び勇者を治療すると俺は勇者に勇者に施した強化魔法の影響で体が変化している可能性がある事を告げた上で勇者を蘇らせた後に この世界が、どのような場所なのかと問いかけるのと同時に、この場所が どういう状況になっているのかを聞き出す。そこで俺は、この世界の状態や、ここに至る前の世界で何が起きたのかを教えてもらったので。

俺は、ここで起きた出来事と。

リリスの故郷で起こった事について聞くのと同時に。魔王に勇者が所持していた全ての道具を渡すように伝えると。リリスに案内された場所に保管されている勇者に使われていた全ての道具を回収すると 俺が回収した、この世界に来た時に遭遇した。あの変死体と瓜二つの死体が存在していたので。この変死体と、リリスの仲間達が この世界にやってきた際に遭遇して殺した奴が同一の個体だと予想できたので 俺は、この死体は勇者の仲間の一人では、ないだろうと思うようになったのだ。それならば リリスと仲間達の前に現れた。あの男の正体は誰なんだと疑問を抱く。

魔王城に存在する、この世界で入手した武具の数々を調べる事も兼ねて俺は魔王に、この世界に転移した際に遭遇する羽目となった、この世界で俺と戦闘を行った変死体と、この世界の魔王城に存在している、その死体と特徴が一致した。

勇者の仲間が所持していた武器と酷似していた、その武器を調べるように頼んだ。その事に対して、俺は「この世界に俺と同じ世界からやってきた者が存在する」という事が確信に変わる事になり。俺はリリスから受け取った。武器に勇者の遺体に残っていた。勇者の記憶を確認すると勇者に召喚された際に身に着けていた武具の中に紛れ込ませる形で、この武器は所持していたようだったが。俺は、勇者の遺品を回収して保管している部屋に訪れるのと同時にリリスと相談すると、リリスが勇者が召喚されて所持していた武器が納められている宝物庫へと、勇者の遺品が保管してある部屋の中へと向かうので。俺は彼女の後を付いて行くと。そこには俺に、勇者の遺体を運んできた。その時に勇者を運び込んだ時と同様に俺達二人は、その場所まで移動する事にした。

俺とリリスが宝物庫まで辿り着くと そこには、この勇者が所有していた武器が並べられており。

その中には俺と融合する形で一体化していた、この武器も存在していて。その槍を手にしたリリスは勇者が使っていた槍と同じように刃の部分に宝石が存在し、刃の部分は勇者の所持していた槍と酷似していたが。勇者が愛用していた槍と違って刃の部分が宝玉ではなくルビーで構成されていた事を知る。俺が勇者が使用していた武具に近付くとリリスに槍を差し出して鑑定するのを促すと 彼女は槍に触ると「これは勇者が使用していた槍です。この勇者は貴方に、これを渡したんですね。きっと貴方の力になるだろうと、この勇者も思ったんでしょうね」と言い。それから槍に宿っている勇者の意思と、この勇者との会話の中で俺には、どう言った理由なのかは理解できなかったが。

この勇者が所持していた槍の宝玉は勇者が所持していた武器の中でも特別扱いされる程に貴重な代物であり。俺が融合する事が可能な武具の1つだったのだ。俺は槍を受け取る。勇者の意思がリリスに語りかけると リリスは槍に意思を憑依させた勇者が何を思っていたのかを俺に伝えるのであった。その事から俺はリリスから、これから俺は、どうやって、この世界を脱出する手段を考えれば良いのかと質問を受けると。勇者は、この世界の脱出方法として。俺に力を預けたいと思っているらしいが、俺は、そんな力なんて持っていないからと断った所 勇者は何か策があるらしくて、その作戦は成功する可能性が非常に低いらしい。それでも、もしも勇者が死んだ場合に俺に力を与える事ができると伝えたかったらしい。俺とリリスが会話を続けている間に 俺はリリスから魔王が所持していた短剣を受け取り。勇者の武器を解析した結果。魔王は短剣の扱い方については熟知しており。魔王が持つ剣の腕前に関しても非常に優れていた事が判明する。それから魔王に、どうして短剣を扱っていたのかを聞くと。勇者は僧侶に、その短剣を扱う技術を学べと魔王に命令したようだが。

僧侶の扱う剣術に比べて、その技術に関しては魔王は苦手意識を持っていたらしく 俺が魔王城の内部を調べ回っていると、ある部屋の中で俺は、ある物が保管されていた事を知って。その保管されていた物に勇者が所持していた槍の宝玉と似たような輝きを放つ、あのルビーが埋め込まれた武器が存在した。俺は、この武器の鑑定を行うのと同時に、俺に勇者の持つ能力を引き継がせたいと考えていたが この勇者の能力を受け継ぐ為には、勇者が俺に、そう言う事を、させたくないと考えており。勇者の能力は引き継ぐ事はできず。俺は、そのままの状態で、この世界から脱出できる方法を考える。それから魔王に短剣を手渡すと彼女は魔王城に存在する書物を読み始める。魔王城の書庫は広く、その書物の数も多いので。俺が勇者の遺品の中から勇者の肉体が安置されている場所まで移動し終えた頃には既に日が落ち始めていたので 俺は、このまま魔王城に宿泊するのも悪くはないなと思い始めていたのだが 俺が、この世界から、どのように抜け出せばよいのか、それを考えながら眠りに付いたが、やはり、勇者の持っている。その能力の使い方が分からなかったので俺は眠る事にする。

そして翌日。俺は、この世界に迷い込む前に自分が住んでいた家に転移する為に勇者の死体が安置された部屋の扉を開いたら。そこには僧侶の遺体が存在していたのである。僧侶の遺体を見た俺は僧侶から勇者を蘇生させる為の道具として僧侶の遺体も必要なのだと気付き。俺は僧侶の死体から魂を抜き取って蘇生させる事にした。

蘇生魔法を使用して僧侶の遺体を蘇生させると、僧侶は目を覚まして。俺の顔を見ると。自分が、どうして生き返らせられたのか不思議そうな表情を浮かべていた。そして俺は魔王から勇者の所持する武器と勇者の記憶を引き継ぐ為に僧侶を利用しようと考えたので俺は僧侶に勇者から引き継いだ記憶を伝える事によって勇者の持っていた槍の扱い方を習得する。

そして、それから数日の間は俺は勇者の装備を使いこなして。魔王城にある、その部屋にあった、あの勇者の遺品の中には俺の体を勇者に同化させる為に融合可能な、あの武器も存在していたので。

魔王に俺の体に融合した、あの槍を俺に取り込むように指示を出して。その槍の宝玉は、その武器が所持していた他の道具同様に勇者が、かつて暮らしていた世界で所持していた武器に紛れ込ませる形で所持していた武器の一つでもあったらしいが。勇者はその事に関して誰にも言わずに、ずっと隠すような形で隠し持っていた。

それだけではなく、勇者は自分の能力を俺に譲渡しようとしてくれていたのだが、勇者の能力を譲渡してくれる方法は勇者が俺に教えてくれたのは 俺を元の世界に帰るようにする方法だけじゃなく この世界にいる人間を皆殺しにした後。俺が帰還するのと同時に俺に宿っている勇者の人格と、勇者の所持している勇者の力を分離する事が可能だから 俺の体に勇者の武器を取り込ませた上で。勇者の所持していた武器に俺の体が取り込まれるのと同時に俺の体は、そのまま消えてしまうが。

その後には勇者が使用していた、あの勇者の体が、その場に存在する。

つまりは、その体の中に宿っている。勇者の人格は その勇者の体を使って、俺が帰還した後に自分の体を取り戻すという計画を立てる。俺が勇者から与えられた情報と、この勇者の武器や道具に秘められた機能を知った俺は 勇者の遺体を宝物庫に戻して、この場所を後にする事を決める。それから勇者の遺体を俺に融合する形で取り込んだ状態で勇者の武器を使用すると勇者の遺品が保管されていた場所まで戻れる。勇者の武器が融合していた状態の俺の体の状態を確認したが、あの魔王は、まだ俺に武器の使用方法を教えるつもりは無いらしく。魔王が所持している勇者の武具についての説明を始めたので。魔王に、勇者の武具についての詳しい説明を求めた所。魔王が俺に渡してくれた武器以外にも勇者が愛用していた。

槍と弓が宝物庫の保管室に存在した。勇者が愛用していた。

槍は、その宝玉に込められている勇者の力は 使用者の意思次第で、どんな形にも変化する性質を持っていおり。勇者は愛用している槍の形を変化させて剣のように使用する。それだけではなく 魔王は、そんな勇者が愛用していた武器の形状を詳しく知っているようで。

その形状に変化させて勇者が使用する事も出来るが。俺に、その武器の正しい使用法を魔王が教えようとすると。俺が「もう大丈夫だ」と言うと。

俺は魔王城の外にまで移動して。この世界の空に浮遊している、あの雲のような物質に向かって俺は槍を構える。それから槍を構えて。その槍に俺が今まで集めてきた魔力を流し込んで行くと、その槍に勇者の意思が乗り移った瞬間に、俺の体内で蓄積されていた、あの大量の魔力が一瞬にして槍の中へと全て吸い取られて。俺は激しい頭痛に襲われたので俺は急いで。その武器が俺の意思と融合していた状態が解けてしまったので俺は この武器に宿っていた勇者の意思が、どのような意思を持っているのかを確認しようとしたが。勇者の意思は、その意思で俺が、こちら側に戻って来る事を、望んでいるようだったので俺は勇者の意思を融合する事は止めて 勇者の遺品を回収してから。

俺はリリスに魔王を倒した際に、勇者の意思が俺に託したかった能力が記された書物と。勇者が所有している、その能力の全てが書き記されている勇者の書と呼ばれる本は魔王の魔剣で斬られて、この魔王城は崩れ去ってしまうのが分かった。

俺は勇者に頼んで勇者に宿っている俺の武器に勇者が使用していた全ての力を引き継がせて 勇者が所有していた槍の形に変形すると俺は俺が元々、暮らしていた自宅に転移を行うと その部屋の中にはリリスとクロミンの姿が存在していたのである。

「レイナ。お前に勇者が、この世界に来た時と同じ方法で勇者が使っていた槍を扱えるようにしておいたが。もしも何か異常が起こった場合は、すぐに、こっちに、戻ってくるんだぞ。それから、もし、その、勇者が、この世界に来ているならば。俺とリリスが、そちらに向かうようにするから、待っていてくれよな。もしも勇者が来たら、よろしく伝えておいてくれ。それから俺は、これから、また旅を再開する事にするから。魔王討伐お疲れ様だったな。本当に感謝するぜ。それと勇者に会った時には、ありがとうと伝えておいて欲しい。あと俺にリリスを紹介しておくから、ちゃんと、仲良くしておくんだよ。それと俺は魔王の武器を使用して。勇者が持っていた武器を俺に吸収させた後。勇者の所持品の中に残されていた書物の内容を確認すると、勇者が、どうして俺の所に勇者が訪れていたのか理由が判明したので。その情報を俺はリリスに伝えようとした時に、あの勇者の奴が現れたのである。

そして勇者は俺を見て「俺の仲間になれ」と言ってきたので。その言葉に対して俺は首を横に振って。

そして、勇者が俺に「俺と一緒に世界を救いに行こう」と言い出す。俺は断っても無駄だと理解したし。勇者が俺の事を認めてくれた以上は、その好意に答えてあげるべきだと思う気持ちもあったので。その誘いを受け入れると 勇者が嬉しそうに微笑み。勇者は俺が持っている勇者の記憶を受け継いだ。

俺は魔王に、その槍の正しい扱い方を魔王から教えられた。魔王から勇者の使用していた槍の扱い方は俺も把握したので。

勇者に貰った槍を握り締めると俺は魔王城の内部から勇者が住んでいた自宅の前まで移動する。

そして俺が、この異世界にやって来た時から、俺が住んでいた部屋の内部は この部屋に訪れるまでは存在しなかった扉が存在するのだが。

俺がその扉を開くと。そこには、なぜか俺の両親がいた。その二人から俺が俺の家に帰ってくるのを待っていましたという手紙が、その机に置かれていた。

両親が俺の部屋で、ずっと待っている間に何を話していたかと言えば どうも俺は勇者が死んだ事になってしまっているらしく。俺は両親の事を信用していなかったが 俺は勇者の死体が安置された場所で魔王と話をする前の出来事を俺は思い返す。

その日は俺が魔王を討伐する為に旅立つ前日の事で。俺は俺が生まれ育った世界に帰ろうとしていた。そして俺は勇者が安置されている部屋に訪れたのだが。

俺は僧侶の死体から魂を抜き取って僧侶の体に蘇生させる魔法を使用すると。僧侶の遺体から魂を俺の方に移したので。勇者の遺体は魔王城に安置される事になり 俺は勇者が使用していた勇者の武具を回収する為に魔王城に足を運んだのだ。

それから、あの部屋の内部に存在していた。

俺が初めて、この世界で勇者と戦った際に入手した宝玉を勇者が俺に譲ったのと、まったく同じ宝玉が存在した。しかし、その時に手に入れた宝玉は勇者の武具の中に融合させなかったのだが。

勇者は俺に、どうして、そんな真似をするのかを聞いてきたので。俺に、その宝玉を渡しても構わないと言った勇者に対して俺は「俺を元の世界に戻してくれるなら勇者が大切に扱っていた宝玉を譲ってくれ」と告げると勇者は宝玉を俺に渡し。それから、勇者は俺に元の世界に戻す為の方法が記載された本を貸してくれと頼まれたので俺は、その勇者が貸し出した本に目を通すと 勇者は勇者の力で元居た世界に戻る事は可能なのだが 魔王を倒した報酬に俺が帰還する事が可能なので 俺には帰還してもらう為に勇者は俺の元に、その方法を伝えるために現れたのだという。

そして勇者は、その帰還方法とは この世界での勇者が死亡したと認識される事で 俺は元の世界への門が出現すると説明を受けた。

俺が召喚される際に通る道とは違う別の次元にある もう一つの世界の空間を繋ぐ門の役割を果たす場所があるのが。俺達が暮らしている世界とは別に存在する、その世界である。

俺達の住んでいる世界の時間の流れは、こちらの世界に比べて早く進み この世界は、およそ十倍の速さの世界なのだという。

その世界で勇者が、この世界では勇者として俺の世界に来る前に この世界で勇者は、その身に、どんな事が、あったとしても、それが全て、この世界の時間の流れの中では一瞬にも等しい出来事になる。

だから勇者が元の世界の俺に会えた瞬間には。俺達の世界にとっては一瞬にも及ばない時間が経過をしているという。

勇者の話を聞く限り。俺は魔王を、その武器を使用して倒した瞬間に。俺の元の肉体と、俺の人格が融合していた俺が、この世界に召喚されて魔王を倒すまでの過程を、すべて忘れるらしい。

なので俺は自分が何の為に魔王と戦う事になったのかを俺は覚えていないのである。

それに加えて、勇者は俺を元の世界に返すと同時に、あの宝物庫の中で眠っている魔王の武器の全てを あの勇者の書に記載されていない勇者の意思が あの書に記された武器は、それぞれの所有者の人格と完全に一体化している武器なので 魔王を倒した後に、俺の意思と、この武器に宿っている。勇者の意思が完全に融合すれば 勇者の意思によって俺が魔王を倒した事実は消滅してしまうそうだ。

それだけではなく。魔王が、この世界に君臨していた期間の記憶を魔王は全て失ってしまう。つまりは魔王の魂を破壊する事も出来ずに 俺は魔王を見逃す事になるのは分かっていたが それでも勇者の意思と勇者の書に記載されていた あの宝玉が融合した槍を使用して、あの魔王を確実に殺してやらないと思い。

俺は元勇者の体から抜け出すと。魔王城の中に存在した魔王を封印していた場所まで移動をして。俺は、その魔王を封じておいた宝玉と。勇者が所有していた武器である。槍を宝玉に吸収させると俺は 俺が元々住んでいた自宅に戻って、そこで寝泊まりをしながら俺が所持していた全ての武器に勇者の武器を吸収する作業を行っていた。その途中で俺は俺と、この世界に呼ばれた理由をリリスに伝える事にする。

その話によるとリリスが召喚された際に使用した聖具と呼ばれる武器が存在して。

このリリスが使用していた。俺に貸し与えてくれている短剣こそが。その、かつて勇者の武器に宿っていた意思でリリスが使用している武器なのであり。この武器に宿っていた意思は勇者の意思でもあるのだが。リリスはその事を勇者の意思は自覚はしていないようである。

ただリリスは勇者から受け継いだ勇者の武器をリリスに託す際に。

俺に、この世界の事を教えてくれる者が現れれば俺の所にリリスを連れて来て欲しいと言っていた。その伝言も、俺はリリスに伝えたのだ。リリスは俺の言葉に納得をしたような様子だったので それから数日後の事である。俺とリリスの生活が落ち着いて来た頃に リリスが、その勇者の武器の一つである大盾を取り出して俺に手渡してくれたのだ。そのリリスの手渡された武器を見て俺は「これって確か。リリスに貸し与えた時に使っていた、あれだよな?」と俺が確認すると。リリスも俺の言いたい意味が理解できたらしく。リリスが「そうなんですけど。私が所有していて大丈夫でしょうか?この世界に存在していられるのは。私が勇者さんにお願いしたからだと思います。ですから、この大盾は勇者様がお持ちになっていた方がよろしいのではないのですか」と言うので。

リリスの不安を解消するために。俺はリリスに頼み込んで。リリスの、その体に俺が憑依して。そのリリスの体の中に存在する。俺の精神と俺が勇者から継承させた。俺の魂の力が溶け込んだ、その精神力と魔力の結晶である。その宝玉を 俺はリリスに渡す。その俺の行動が理解できていないようで「えっ?」と言い出したが。俺は「いいんだ」と言って。それから俺はリリイを呼び寄せると俺は勇者から譲り受けた武具を全て、あの宝物庫に収めさせる為に。勇者の子孫と共に、あの魔王城へと足を運ぶのだが。その際に俺はリリスが魔王の娘であるリリスに対して俺を、どういう風に紹介をしたら良いのかを尋ねてみると。リリスが俺が元居た世界で暮らしていた。もう一人の勇者の仲間で、その勇者の魂の半身でもあった少年を、この世界に導いたのが、魔王だと話すように伝えて欲しいと言われて俺は「了解した。それと俺が元の世界に戻る時に使う手段が確立されたら。その時は必ず俺を迎えに来て欲しいと、もしも、それが不可能な時は魔王が迎えに行ってくれって言っておいて貰えないか?」と言うと。リリスは俺の言葉を聞いて、この世界から帰る際に俺を送り込む方法を思いついてから。必ず俺が元の世界に戻れるよう努力をすると言い出してくれる。そんなやり取りをしてから それから俺は魔王と、この異世界に俺が呼ばれた訳を知る事になり 魔王の娘が俺の家に訪れるのだが。俺に用があると聞いた俺だが それは、どうも俺が、この世界で勇者の武具を吸収し終わるまでは、まだ少し時間がかかるので その間に俺と魔王の関係を知ってもらいたいと、この家に来たようだ。俺は勇者の意思が込められた武具の宝玉と勇者が俺に送った槍と勇者の武具の回収が終わったら俺は魔王を討伐する為に元の世界に戻り。魔王との決着を付けるつもりなのだが。この世界の魔王は勇者によって滅ぼされてしまった過去の魔王なので。その魂を破壊しても。

この世界での魔王は死を迎えるのは確実だと思われるので。

この世界が滅ぶかどうかは、やはり、この世界を守護している。勇者の力を宿した勇者の武具に宿っている。

意思の影響を受けている俺にしか出来ないので。その俺しか魔王を殺す事ができないだろう。

それにしても、やっぱり俺が元の世界に帰る際には。

俺は元の姿に戻っている可能性が高いと思う。そう考えると この世界には、もう勇者は必要無いのではないかと、思うが。

それでも、この世界で勇者が存在した痕跡は残すべきだと思う。

勇者の武具に秘められている能力や。

この世界で存在していた魔王の存在は 後の世の為にも残しておくべきだと思っている。

俺は俺の両親に事情を説明する為に俺が召喚されてからの経緯を説明して俺が元の世界に帰ろうとする経緯を説明をした。

そして、これから、どうやって元の世界に帰ろうか考えていた。

まず俺は元の世界と、この世界での時間の流れの違いを利用して元の世界に帰る方法を探す事にしたが。その前に、俺は俺がこの世界に来る原因となった、あの手紙を その手紙の内容は俺を、この世界の勇者として召喚する為の儀式について記されたものだったのだが。俺が、その、召喚魔法が行使された場所を俺が訪れた事で俺が、この世界へ来る羽目になった。

なので俺の住んでいた場所に、もう一度足を運べば、この世界に来る際に俺がいた場所の近くに行けば何か分かるかもしれないと思ったので その俺が勇者として呼ばれて、この世界に降り立つ前に、あの召喚魔法の術式が描かれた場所を訪れるのがベストだと思い。

俺はリリス達と一緒に俺の自宅がある場所に向かってみたが。

そこには既に召喚陣の描かれた場所は存在しなかったが。

その代わりに、その周囲には大きなクレーターが出来上がっていたので 俺は「この世界の俺が勇者として魔王を、あの魔王城に封印した。勇者の力の影響が、ここに現れているな。だけど、この世界には俺が知る勇者はいないはずだし。俺の世界にも勇者はいなかったよな。まぁ、とりあえず、俺と、この世界の俺を呼ぼうとしていた連中の手がかりを探し出して 俺は元の世界に帰る。リリス、リリスの家族にも宜しく言っておいてくれ」と言うと。リリスは 俺にリリスが俺に憑依していた間の出来事を教えてくれた。

この世界では俺の知らない、別の時間の流れが存在していたらしいが。

リリスの話によると、この世界で勇者である。俺を、召喚しようとしていた人物と、その者達が所属する国を俺は潰してきた。なので、この世界に召喚される事はなくなった。しかし、あの、あの勇者は、あの勇者の人格と力を受け継ぐ者が俺の住んでいた地域にいたのなら、この世界の、どこかに現れる可能性は十分にある。だから、もし俺と同じ状況だったとしたら、あの勇者は元の世界に帰ってきている可能性がある。

リリスに「俺は俺と融合して、俺の意思は消滅する。そうなれば俺も元の世界の勇者と同じように俺という人格は消えてしまう。それじゃあな、リリスにリリイと僧侶。お前達の事は俺が責任を持って面倒を見るから安心してくれ」と言うとリリスと僧侶とリリイは俺を、それぞれ思いっきり抱きしめてくると それから僧侶はリリスに向かって話始める。「それじゃあリリスさんも元気に、その勇者さんの事を見守ってあげてください」と言って。

それから俺はリリスと別れてリリスとリリイも魔王城へと戻り。俺は一人になると俺はリリスとリリイが言っていた勇者が使っていた聖具の一つが埋め込まれていた短剣を取り出してから その勇者の子孫が持っていた聖剣を手にすると俺は聖剣に、この世界に勇者が存在しているかどうかを確認したのだが その勇者の末裔は、この世界に存在しないらしくて。その勇者の子孫である勇者が使用していた聖剣は、その所有者を待ち続けている状態で。

勇者と聖剣が融合した槍が存在するのは確かなのだが 勇者の血を引く勇者の後継者が現われるのを待っている状態になっているようだ。俺は勇者と俺が融合した際に この世界の勇者の武器に宿った魂は消滅をしているから勇者が復活するはずはないと分かっているが その武器に宿っていた勇者の意思だけは 今もなお。あの魔王城の中に存在し続けていて。魔王を封じて 魔王の力が外に出ないように監視を続けている状態だった。なので 俺も、もしかしたら勇者は生きている可能性もあると思っていた。その俺の話を聞いたリリスとリリイは、この世界に残る選択をしたのだそうだ。

この世界に残っていたリリスとリリイも、しばらく一緒に暮らしているうちに、だんだん俺に対する想いが強くなっていったらしくて、そんな二人がリリスの家に戻る事になったのだ。

そんな俺と、リリス達が再会してから数日経った頃である。俺の家の扉に誰かが、ドンドンとノックをする音が聞こえたので。俺は玄関まで向かうと。そこには、あの勇者の子孫と、その仲間の女性二人がいた。俺は三人に対して俺に用事があるのだと思って「何のようですか?」と尋ねると、その女性は「私達と一緒に旅をしませんか?」と言い出してきたので俺は断ると、どうして断られるのかが理解できなかったのか。勇者の子孫は、「勇者の魂を引き継ぐ勇者様が、この程度の事ぐらいで挫けるなんて情けないですよ。それに私達に着いてきた方が、きっと楽しい生活になると思いますよ」と笑顔で言い出してきたので俺は「それは俺が勇者であると決めつけているのは。勇者であると俺が証明したら あんた達は、それを納得して、おとなしく俺が勇者である事を認めると言う事で間違いないのか?それと、さっきも言ったけど。俺は、これから元の世界に帰ろうと思っているんだけど、その辺の事に関しては 俺は勇者だと認めてくれるんだよね?」と言うと。その勇者の血筋は俺の質問に対して答えると 勇者が元の世界に戻る時に使用した召喚陣を、その勇者の血を引いている子孫は使えるかもしれないから、もしも使えなかったとしても、この世界での俺と、この世界での勇者を召喚しようとした連中の痕跡を消す事が出来るから。俺も、それに同行をして元の世界に戻る手伝いをすると言うと。勇者の先祖に当たる女性が俺の肩を掴むと

「貴方には、これから先。勇者の力を受け継ぐ後継者が現れますので それまで勇者の力を受け継いだ者を守れるのが。今現在、存在する唯一の人ですので、どうかお願いします」と頼まれたが。俺は断った。理由は勇者の魂を継ぐ者は。もう、俺以外には存在しない。

この世界に召喚され。魔王を倒した後に元の世界に帰ってしまった俺以外の人間がいるとは思えないからだ。そんな訳で、俺は勇者の子孫に、この世界に残っても良い理由を伝えて、どうにか俺が元の世界に帰る事を諦めさせようとしたのだが。どうしても諦めようとしなかった。

それどころか、どうも、勇者の子孫は俺を説得させる材料があるような感じで話始めた。その内容は勇者の魂を受け継いでいない勇者の子供達が 魔王の娘を仲間にして、俺の住んでいる地域の隣の町に住み着いていると言うのであった。その事を聞かされた俺は、どうすれば、その魔王の子供が、この町に住み着く事に出来たのが気になったので詳しく話を聞こうとすると。その勇者の子供は、なぜか急に黙り込んだので。俺に何を話せばいいのか悩んでいる様子に思えたので俺は俺に勇者の力を引き継いだ者が現れるまでは俺に協力をしてほしいので。俺と一緒に居れば元の世界へ帰す為の方法を見つけやすいだろうし、この世界で暮らしていく為に必要だと思われる金品を俺の方からも渡そうと思っているので。俺が勇者だと認めるなら、とりあえず俺が元の世界へ帰る方法を探せなくても俺の側に居るべきだと言うと。

この勇者の遺伝子を引き継いでいない娘は俺の話に食いついてきて、その話は、どの様な経緯があったら、その、魔王の娘の父親が勇者の子供を、その魔王の子供が父親として暮らす事が出来たのかを説明してくれないかと言うと。

俺が、その勇者の子孫である、この世界の住人に 魔王の遺伝子を引き継ぐ存在の父親と母親がどのような人物なのかを説明すると その勇者の子孫である彼女は少し考えた後で。魔王の城に行く事を決める。

その魔王の娘である子供の名前はレイリアと名乗っていて。この世界の魔王城に、ずっと住んで暮らしていると、その父親は言っていたらしい そこで俺はリリスと、あの時の俺が暮らしていた世界に行って その魔王の城が本当にあったのかどうかを確かめる必要性を感じるが。その前に 俺は、その勇者の子供が暮らしている町に行けば。俺が知っている勇者の住んでいた地域に近い雰囲気の場所なので、その場所が何処だったのかは直ぐに分かりそうなので。その町にある宿屋を探して、その町で、しばらく暮らそうと決めた。リリスは、リリイと僧侶を連れてリリスの家で しばらく、リリスの家に居候すると言って。俺の側で暮らす事を了承してくれる。リリスとリリイと僧侶の三人が俺と一緒に過ごすようになった その日の夜は。リリスが泊まっている部屋を俺はリリスに許可を貰って使わせてもらって。俺は俺の知らない、もう一つの世界の出来事を俺の記憶と俺の精神が融合して俺の中に取り込まれてしまった、もう一人の勇者と聖剣について調べる事にした。

俺の意識を取り込んだ勇者と聖剣は。あの魔王城の中に存在しているのは確実なのだが。あの魔王城の中を俺は直接見る事は出来なく。俺が、この世界の、どこかにある魔王城に、どうやって行ったのかという痕跡すら残っていないのだから。俺の体は、その勇者の力で消滅をしたので 俺が勇者の力を使って召喚した人物しか勇者の体が存在した事を証明する事は出来ないのだが。

俺は、勇者と聖剣は融合していたのだから勇者の体の場所を俺の頭の中に浮かび上がらせれば。

勇者の体の位置を知る事が出来るのではないかと考えてみた。

俺が勇者と融合した際 俺と融合した勇者の体の場所と融合していない勇者の体の場所は、はっきりと覚えている。

俺と融合して、俺の中に勇者の意思が残っていた時は 俺の中に残っていた勇者の意思が。この世界の何処かに存在するはずなのだから。勇者が消えた時に、その場に勇者の意思が残っているかどうかは分からない。

でも。もし、残っていた場合。俺の中に残されていた意思が、勇者の意思が。

この世界に勇者が存在するという可能性を示した時点で。

その勇者の存在が勇者の存在と完全に一致すると。

俺の中で、この世界の勇者の存在は。その魔王の城の中の何処かに 俺の意思が存在するという事は確定する事が出来るはずなのである。

俺の目の前には。勇者の体を乗っ取って魔王が召喚させた 俺の住む地域に魔王がいた時代には存在しなかった存在が その勇者の子孫の前に姿を現した。

その勇者の子孫である、あの女性に対して攻撃を仕掛けようとしていたが。俺の家の玄関の扉が激しくノックされたので。俺は、この家の中にいた、この世界の勇者の末裔と、その仲間の女性二人も、それに気付いていて 俺の家の玄関に向かおうとするが。勇者の末裔は「お前達は動くんじゃない」と、そう言うと自分の仲間の二人を後ろに下げて自分が前に出る。そして「何が目的で俺に攻撃をしようとしているのか、それは知らんけど。お前の攻撃が俺に通用すると思っているのか?」と言うと 俺に向かって攻撃しようとしていた、その何かに姿を変えた生物に対して勇者の末裔は拳を叩きつけて反撃をする すると 勇者の末裔の攻撃によって攻撃を受けた生物は 勇者の血を引いているだけあって、それなりに強く。この勇者の血筋を継がなかった勇者は、それでも俺が、まだ生きていた頃に。この世界に召喚されて 俺に魔王を倒して欲しいと頼んだ、その当時の勇者の血筋を継いだ者よりも この勇者の子孫の方が、おそらくだが。この世界での実力的には高いかもしれない。

その勇者の子孫に対して。俺は自分なりに分析した結果。今の勇者の末裔の強さの格付けをする事にする。この勇者の子孫の総合的な強さは、やはり。この世界に存在していたであろう 勇者の血を引いた者の中では一番低いだろう。だけど俺と同じ様な能力を持つ人間に変身をしている相手に対しても。普通に対抗できる力は持っていそうな感じであった。それに その勇者の子孫が使用している武器は 勇者が使用していた槍であったのだ。

俺の予想が正しければ その槍は。その昔。俺が、この世界に呼び出された時。その世界を支配していた魔王を倒す際に使っていた。勇者が装備している槍であり。この世界に現存している槍ではないと思う。なぜなら その勇者が所持していた。勇者の力を受け継ぐ者が使用すると 特別な能力を持った勇者の槍は。他の世界に転移が出来るのであった。この世界に召喚されたばかりの頃の勇者が、よく使用していた物でもあるのだ。

俺は俺の家の外から聞こえてきた。この世界の俺の知人が、その何かの姿を見て驚いた様子の そんな気配を感じ取る。俺は、そろそろ外に出て、この俺に対して敵意を抱いている奴が誰かを確認したいと思って。俺の家から出ていこうとすると。この家に居座っている。勇者の子孫は 俺の方を見ると俺に対して「あなたは逃げなさい!こいつは危険なんです。貴方に、もしも万が一にも こいつに傷を付けられたとしたら」と俺の身を案じてくれるのだが。

俺は勇者の子孫に「君には悪いけれど、君の気持ちには応えられない」と答えると 勇者の血を引く者が持っている、特殊な力が込められている勇者の力を受け継いだ者の 聖剣が封印されている剣を取り出し。俺は、その俺の住んでいる町の方に姿を移動をした それから、しばらくした後で俺は元の世界に戻る為に俺は俺が住んでいた世界に戻ってくると。俺は、その町を見渡し 魔王の城がある方向に目を向けると。俺は、その俺の知り合いが居る場所に行こうと、その場所に歩き始める 魔王城の方は 魔王の娘を仲間にして、この町に居る。俺の知り合いは、かなり強い。

魔王の城が、その町に在る。

魔王の城が その町にある と言う事を、どうして、その仲間の娘さんや僧侶が知らないのかと言う疑問はあるのだが。俺の仲間になった僧侶は俺の記憶を受け継いでいないから。仲間にした僧侶の中には勇者の血筋を継ぐ者がいる事も知っている者は一人として、いないのだと思う。だから僧侶達は俺と一緒に魔王城に行けば そこで勇者の末裔に会う事が出来ると思っていたようなのだが。僧侶達にとっては俺は勇者としての力を持っているから 魔王退治の依頼を引き受けただけの、ただの町の住民の一人と変わらないと考えていたようなのだが俺は違うからな。俺は一応勇者だったからさ。

リリスの方も俺と同じく勇者の家系を受け継いでいた人間だったらしく。俺と同様に その俺が住んでいる町に戻ってきたようだが 僧侶は、そのリリスの事を見て、そのリリスが何の職業に就いているのかと言う事が気になってしょうがないと言った表情を浮かべている。リリスが着ていた鎧を見ていたのだが、それが魔法使いが使う魔法防御力を高める防具だったので その僧侶は不思議に思っていたのかもしれない。俺が着ている、その服は、俺が自分の魔力を使って作り出している、その世界の衣服なのだが この世界と融合をする際に 融合前の世界の、あの勇者の時代とは、かなり変化をしてしまった、この世界でも通用するのだろうか?まあ、いいか。その事は後で考えるとして。俺は、とりあえず。俺の目の前にいる、俺が召喚した異世界人の末裔と魔王の関係と 勇者の子孫について。色々と聞いてみる事にした。すると、その勇者の子孫であるリリイと僧侶が。その話に興味を抱いてくれたのか俺に、その事を教えて欲しいと言って来たので、まずは勇者の末裔の話から聞かせてもらう事になり。






勇者の勇者の血筋を、どう引き継いでいるか。

その辺りの事から話をしてもらうと。その話はリリイと僧侶は知っていてもおかしくはないが 僧侶がリリイに対して、その話の詳しい内容は知らなかったようであったので。リリイと僧侶の二人に 勇者の勇者が、その魔王の娘である、その娘に言った言葉を聞いてみると。僧侶は少し困った顔をして答えようとしなかった。その僧侶の代わりにリリイが答えてくえる事になった。その話を聞いた俺とリリスは。その二人の話を聞き終わるまでは、少し黙っていて欲しいと言う事で。

俺と、この勇者の末裔の、その二人が会話をする前に。この世界の俺の家には勇者の力を代々受け継いでいる もう一人の俺の事を魔王と呼んでいた者達が存在していたらしいが。その魔王と呼ばれる人達の事を詳しく説明してくれないかと言われたので。俺は勇者と魔王の戦いの歴史についても話す。

それは俺がこの世界に、召喚をされて、この世界に来て。魔王を倒す依頼を受けた時から始まった出来事なのだが。その当時。俺の住んでいた地域の近くに、その当時の勇者が住んでいた場所があり。そこに魔王が現れた。そして 魔王が現れても 魔王に対して戦いを挑む人間が誰もいなかったので 俺が一人で戦う事になってしまったので 魔王と戦う事になってしまうのである。俺が召喚された当時は。

この世界は平和であったが。今は俺と融合した勇者がいた時代は。勇者がいた頃は、魔物の姿が全く無かったのに 魔王が現れると、その近辺に生息する生物が、その魔王の支配下に置かれたせいなのか。それとも魔王に支配されていない生物が魔王の支配下に置かれている生物達に捕食されて、それで数が激減しているのかは分からない。だけど とにかく この魔王が存在している間は、魔王の支配下に入っていない生物の姿が消えてしまった。

だから俺以外に魔王を討伐できる人物はいなかったし その当時の魔王に戦いを挑んだ俺に助けを求めてきた人間は勇者しかいない。

その当時の魔王は、その魔王の時代に生きていた。魔王が作り出した魔物の軍団と魔王本人と。

この世界を恐怖のどん底に叩き落とした。その魔王を俺も倒したかったが。その当時の俺は 俺に依頼をした勇者が所持していた。勇者の力を受け継いだ者の武器を扱えなかった。

その武器は 勇者の血筋を、その身に宿していない人間には使用出来ない物であり。その勇者の力を受け継ぐ者以外は扱う事が出来ず。俺に助けを求めに来た、あの勇者の子孫でも扱えるように俺が改造を施す前に、勇者の血筋を受け継ぐ者では、どうしても使えない武器になっていたのである。その勇者の力が受け継がれていなかったら。

その勇者の力を受け継ぐ者の子孫が所持していた槍は。この世界に存在していたはずの槍ではないと思うから。勇者の末裔に、その勇者の力を引き継ぐ者にしか使用する事は出来なかったのだろう。だけど、そう言う特別な力を持つ武具を使える者が、たまたま勇者の血筋を受け継いでいたと言うだけに過ぎないのに その勇者の血筋を、わざわざ、その受け継いだ者にしか扱うことが出来ない槍に変えてしまう理由なんてなかったと思うんだ。それに勇者が使用していた槍が、その時代には存在しないはずなのに なぜ、この世界の魔王が使用していたんだろう。それは魔王城の方に行ってみなければ分からん事かもしれないけど。この世界に存在しているはずの無い物が。この世界の、どこかに存在したとしても。それは、その魔王に関係しているのかもしれない。

この世界に、俺と融合をしている魔王が存在した時は。その俺と融合をしている存在の影響で 魔王は召喚する能力を持っていたから 俺達が、この世界に召喚をされた、その時代以降に召喚をされていた可能性もある。俺が融合をしなければ召喚は出来ないと言っていたけれど その魔王は、おそらく 召喚が出来ると思う その時代の魔王と勇者が召喚をする事が出来る。俺と融合をしていなかった、俺が召喚される以前に存在していた魔王と勇者。その魔王と勇者を、この世界に召喚を出来る可能性は、あるだろう だけど 召喚の能力がある、その時代には その召喚を行えるだけの魔力を持っている者が存在しなかったから、その魔王は召喚が出来なかったのではないのかと俺は思っているが。この世界に存在する。

勇者と魔王の関係を考えれば 魔王の城にある宝箱の中にある。何かを魔王が欲している可能性が高い それが、どのような物かを俺が考え出すと、俺の家の前で俺の事を見張っていた勇者の血筋を引く者と魔王の一人娘がいるのにも関わらず。俺は考え事をし始め。俺が勇者の子孫に向かって何かを言いだそうとするが。俺は、この勇者の子孫に、そんな俺の様子に対して、俺の考えている事が理解できず

「おい!何を考え込んでいるんだよ。そんな風に、お前は いきなり考え込んでしまう癖があったけれど 今のように、お前が何を言っているのか。私には、よく分らないんだけど」

「ああ、ごめん。俺にも、よく分かっていないんだ。だから、その辺りの事についての説明も 俺の話が終わった後にするよ」

「そうなんだな」とその男は言って「ところで、君は、どんな仕事についているんだ?」と言う話に話題を変える。そして「俺は冒険者をやっていてさ」と話を始めると「へぇ~、冒険者をね」と言ってきて

「私は僧侶なんだよ」と言って僧侶は「冒険者は体力が必要でしょう」と尋ねてくる。

その話を聞いてリリスも俺と同じ様な感じになっていると思ったからリリスの様子を確認してみたのだが特に気になっている様子ではなかったのだが 僧侶と、勇者の子孫であるリリイの反応を見てみると勇者の血を、この世界に残っている者達よりも強く受け継ぐリリイに僧侶はかなり興味を示しているようで僧侶は勇者の力をリリイに継いで貰おうと必死で頼みこんでいるようだったのだが。リリイはその事について嫌だと断っており 勇者の子孫であるリリイに魔王退治をして貰いたいと僧侶が何度も頼んでいて、そのやり取りを見かねてリリスが間に割り込もうとしていたが。リリスの方は僧侶の言葉に反応を示していないが。僧侶の方に話しかけられたくないと言った感じだったので 俺も僧侶の方と話をしたくはなかったのだが その僧侶の方から俺の方に声をかけてきて 俺にリリスが、どうしてリリスを勇者の末裔として認識をしないのか。その理由を教えて欲しいと言う話になり 僧侶からしたら俺も勇者の末裔になるような人間なので リリスが、どうして俺を勇者の末裔として扱ってくれないのだろうかと思っているようだが 僧侶が俺の体に触れようとするが 僧侶の手は俺の体に届かないまま。そして俺の目の前にいたリリイの体が突然消えてしまう。

その光景を見た俺と僧侶は、かなり驚いてしまった。勇者の子孫と俺と僧侶が同時に この場から離れると危険であると判断をしたからだ。俺が勇者の子孫を連れて、その場所を離れようと考えていると勇者の子孫と僧侶は俺と一緒に、その場を離れると危険だという事に気づいたので。リリイはリリイが、この勇者の子孫に魔王を、倒せる可能性があると思い。リリイが俺達の前に現れる。そのリリイの姿を見て僧侶は嬉しそうな表情をしながらリリイに近づいて そして、そのリリイが俺の家に戻ろうとしたら 家の前では俺とリリイに用事があると言い 勇者の血筋の者であるリリイが家の中にいる事を知らなかった勇者の魔王は 俺達の方へ近づこうとする。俺は急いで俺の家に駆け寄ろうとすると、勇者の血筋の者が 俺の事を後ろから攻撃しようとして、その攻撃を俺は避けようとしたのだが 俺の背後を狙おうとする勇者の行動を察知できたのに、避ける事が出来なくて。リリスの体は俺の攻撃を受けて地面に倒れる。そのリリスの体を俺は、そっと優しく抱え上げながら、ゆっくりと立ち上がらせると。俺は勇者の末裔に 勇者の血を引く者が持っている武器を使う事を俺が許さないと、その勇者の末裔に伝える。勇者の力を代々受け継いでいる者の武器を使っても。その勇者の武器を勇者の血筋を受け継ぐ者に扱う事は出来ないし。勇者の武器を、そんな勇者の血筋を継ぐ者が使用する事が出来ない武器に変化させる事など出来ないと俺は、そう伝えたのだけれど。

俺の話を聞いた勇者の末裔は。自分の先祖の事を馬鹿にしていると思って、この俺に対して、怒りを抱き始めた。

「お前の言う、その武器って 俺の親父である勇者が、使っていた伝説の聖剣なんだろ?それを、その剣が扱えるようになるまで、俺は絶対に扱いこなすぞ!」

俺に向かって、そう宣言する勇者の末裔に対して俺は、こう答えた。その勇者が所持をしていた剣を勇者が持っていた時に、その勇者の所持をしていた時と同じ様に扱えるようになるまでに どのくらい時間がかかると思うのかと尋ねると それは個人差があるので分からないと勇者の子孫に答える。そして、それなら俺の方が、ずっと早いと伝えてから。その聖剣は、もう壊れかけているのだから、これ以上壊す必要もないだろうと、この世界の人達は思っているが。俺はその聖剣を完全に修理してから、その修理した状態で、もう一度勇者の手に渡すべきだと考えているから この世界の人とは違って 俺は勇者の聖剣を、もっと強化したい。だから、勇者の力が引き継がれている者でも 扱う事が出来ない武器にしてしまっては駄目なのだと伝える。

「お前に、お前の意見なんて聞く必要はない。お前に命令されているような気分になってムカつくから。その聖剣を俺に、すぐに返せよ」

「悪いが、その聖剣は俺が使っている武器とは違うから、その要望には応える事が出来ない。それと、その武器を、お前のような勇者の子孫には扱えるはずがないと俺は、この世界に召喚をされた勇者本人に言われてしまった」

「お前が召喚をされた時の勇者は、今の俺みたいに。この世界に召喚をされる前は普通の人間の男で。ただの一般人に過ぎなかった奴なんだけど 俺は、その勇者に、勇者が、そう言ってきていたから 俺は勇者の血筋を引き継ぐ者が扱えるようには改造が出来ずに。この世界に召喚をされた当時の、あの勇者が使用していた聖剣しか扱えない状態になってしまったのかもしれないと俺は思っている」

「じゃあ、なんで。あの時は 俺は、この聖剣を、扱えたんだ?」

俺の話を聞いた勇者の子孫が質問をして来たので俺は。

俺が魔王の城にあった聖杯の力で召喚された勇者だと伝えると 俺が魔王城に存在していた時に、俺と魔王が一体化をする事になった事情を話し始めると 俺が話を始めた後に。俺は魔王城から、俺の家に戻ると そこで俺の家の中には勇者が一人で立っていた。俺は その状況を見た後 どうするべきかと迷っていた。その時、すでに勇者の肉体に宿っていた魂は勇者の精神力の強さにより勇者の中で封印をされてしまい 勇者の意思は完全に無くなってしまい 魔王を倒す為に召喚をした勇者は、そのまま元の世界に送還されるはずだったのだが。召喚を行う儀式を行っていた際に 召喚の術式に組み込まれていたトラップが発動してしまい。俺を勇者が召喚をされた際に一緒にいた魔族も、そのトラップによって、こちらの世界に連れて来られてしまったのであった。

そして、俺が、この世界に存在している理由は 魔王を倒す事が出来る能力を持っているからで。俺が魔王城に行って魔王と融合したのも。元々は、この世界を魔王から救う為だったと言う事を俺は説明した。

そして俺は魔王との融合を行った理由も話すと 魔王城にいた俺と勇者が出会った時に、この世界を救う為に俺が勇者の力を受け入れると言う話をしたが。勇者は、そんな俺の言葉に対して「お前みたいな弱っちい男が、そんな事を言った所で信じられるか」と怒鳴りつけた事を話すと。俺が話し終わると勇者の末裔は「確かに その話を聞いていたとしても、やっぱり俺には信用する事は出来なかった」と言うと勇者の子孫は「お前に そんな事を言う資格があると思っているのか?」と言われてしまう。

その言葉を勇者の末裔が発した後にリリスの方を見て見ると。リリスの様子も普段と違っている。そのリリスを見ていて俺と僧侶は、お互いに話を聞いていて、その話が理解出来ていない事に気づく。

そして俺も勇者の子孫である彼の気持ちが理解できる。勇者が弱いのならば俺だって弱いだろうと思っていた。しかし 魔王が言ってきた勇者は弱くないという言葉を信じた。魔王の言う事は本当なのかと思ったからである。勇者は魔王に騙されて、こんな事に巻き込まれてしまって。そして勇者が、その勇者の事を本当に強くなかったのであれば この勇者が、この先の戦いにおいて、どのような結末を迎えてしまうのだろうか。俺が魔王を倒してから、その後に現れたのは魔王の配下の四天王だったのだが。その者達が、あまりにも強すぎて 魔王と俺達と、勇者の血筋を継ぐ者達だけでは 魔王を倒す事が出来なくて。その状況を打開するために勇者の力を俺が受け継いで 魔王と融合して。勇者としての能力を手に入れた俺だったのだが。勇者の体で得た力は、あまりにも強すぎるので、俺は、勇者の体から出ようかと考えたのだが。魔王に勇者が負けて、そして死んでしまっているのなら。勇者の血筋を引く者達だけで、この世界を救えるかどうかも分からなかったが 魔王に勇者は殺されていないと言われた。

それならば、俺は、その言葉を信じようと思って。俺は俺自身に課していた約束を破棄をする事を決めて 俺は自分の体を元に戻そうと決断した。

だけど俺が勇者の末裔である彼と出会ってしまったのは 偶然だ。彼が家の中に居たのは、まったくの予想外の出来事。勇者の血筋を持つ者が勇者として覚醒するのは勇者の生まれ変わりでもなく 何かしらの条件が必要なのか? 俺はリリイやリリイが勇者の血筋の者として持っていたペンダントを見る。リリイとリリイの持っている聖杯を見つめると、なぜか聖剣は聖杯に反応したが。リリイが持つペンダントは聖剣には反応しなかったのだ。

俺は、リリイに、これからの事を伝えようと思うとリリイはリリイで 俺に魔王を倒した後の世界の行く末を伝えたいと思っていて。俺はリリイの話に、しばらく聞き入る事になるのであった。

リリイの話では 魔王を倒した後の世界で 今までに、どの様な歴史が刻まれてきたのかを語り始めた。その歴史の中で。勇者の子孫達が勇者の末裔として生き続けたのだが。彼らは、この世界でも勇者の血筋を受け継ぐ者として崇められて、そして英雄扱いをされてきたのだが。だが それは、あくまで勇者の勇者の末裔として、語り継がれて来た事で 実際に勇者の血を引く者達は勇者の血を継いでいても。その勇者は普通の人間でしかなく。魔王を倒す事が出来るほどの力はなかったのである。その事からも分かるが。勇者の血筋を受け継いでいる者の中に。本物の勇者が現れる事などなく 偽物の勇者が現れてしまうと。

俺は その勇者の末裔達に。今から起こる事の未来を伝える。

俺は リリィと俺自身の身に、何が起こっているのか その理由を説明してくれた リリイと俺の事を 詳しく説明を始める。俺が 俺の家に戻ってきたら、リリイが家の中に居る事に驚いてしまう。どうして 彼女が、この家に入ってきたんだと俺は思いながら。その前に 俺と彼女の関係が変わっていた事もあって。俺は、かなり動揺をしている状態で。彼女は勇者の末裔と一緒に行動をしていたからな。俺は 俺の事を心配してくれているのかとも思っていたが。そうではなかった。彼女は彼女で勇者の末裔と一緒で。何かを調べたい事があるようで。そして、その何かとは 俺に関係する事でもあるので 俺は彼女と話をしようと思った。そして、まずは、俺と彼女の関係の事である。俺がリリイとの関係を修復しようと考えた理由は 単純に。リリスを魔王の娘として、この世界で生活をさせるわけにもいかないから、魔王の娘である この子を普通の人として暮らせる場所に連れて行きたかったので。俺は、リリイに、どうしたいのかと尋ねると 彼女は魔王の娘の事は、まだ完全に受け入れている訳ではなく 自分の父親の本当の娘じゃないと知って 混乱をしてしまうと思うのだと俺に言い。その事を俺に伝えた後

「勇者様のご先祖様に、お会いをした事がないので 私の事を勇者の生まれ代わりと言った人の言葉を信じていいか分かりません」と不安気に答えていた。だから俺はリリイと魔王の娘と これからの魔王城の跡地を調査をすると言う。

俺の家の外に出ようとすると勇者の末裔が俺の所にやってきた。

彼は俺に向かって「俺はお前に負けていない」と言ってから立ち去ろうとするのを見て。勇者は、この世界に存在している他の勇者達の子孫に何を言って欲しいと伝えたんだと尋ねても。俺には何も教えてくれないのであった。

俺の住んでいる地域が 勇者の家系の人達が住んでいた町なので 勇者の子供達は、その町の人達からも慕われており。この町に住む人々は皆、この勇者の子孫である彼等の事が好きなようだ。

俺はリリイが、この辺りに住んでいる勇者の子孫と友達だったので、よくこの辺りに来る機会が多かった。この辺りに住んでいた勇者の末裔達は勇者の力を受け継いだ者達の末裔達で。その血を受け継がない者は勇者の力を授からなかったので。勇者の血筋を引く者で無い者達は 勇者の末裔が魔王と戦って死んだ事を知る事はないから。その事を知らないで生きていた。しかし 勇者の子孫達は 自分が生きている時代に魔王が現れ そして魔王に、みんなが苦しめられる事になっている状況を見て。

自分達が勇者の末裔として、どうすべきかを考え。自分達の生き方について考えるようになっていった。その考えの中には、もしも 俺が あの魔王城での戦いで死んでいたとしても。俺の体の中には勇者の魂が存在していたはずであり。勇者が居なくなった世界が魔王の魔の手に染まっていくような気がしたので 勇者の血を引く者達は 自分達の力で 魔王を倒しに行くべきだと考えるようになる。だが 俺が勇者の肉体に宿った事で、その勇者の末裔が持っていた勇者としての才能に目覚め。魔王と戦うだけの力を得た事で。その勇者の末裔だけが、勇者の力を使って魔王を倒す事が出来ると。その勇者の末裔が、魔王との戦いの中で命を落とした時のために。

その勇者の末裔の子が次の世代に伝えるために その子供も勇者の血筋を引いている者としての証のペンダントを首にかけて。魔王を倒す事が出来る存在は自分以外にはいないと考えるようになり この勇者の末裔の子は、その考えが正しいと信じるようになった。その子供が、魔王を倒す為に旅に出て。そして、ある日に魔王城に向かったのだが そこに辿り着いた時に、すでに 勇者の末裔の体はボロボロになっていて。そんな状態で 魔王と戦い始める。その魔王と、この勇者の末裔の戦いを見た者達は 勇者の子孫と魔王の戦いに、どちらに勝利の女神の加護が向いているか、分からない状態だった。その時、その勇者の末裔が持っているペンダントは輝き始め 勇者は、この世界に復活するはずだったが この世界に現れる前に 魔王の手によって殺されてしまったと言う。そして その事が原因で、勇者の末裔は、魔王に対する怒りと憎しみを抱くようになって。勇者の力が、この世界に残っているかどうかも調べようとしたらしいが。

リリスの話によると、勇者の末裔は、もう既に死んでしまっているかもしれないという事だ。

リリスが勇者の末裔が死んでしまっている可能性が高いと判断した理由を話してくれる。それは彼の家系のペンダントの所持者が死んだ場合。ペンダントの中に残っていた魔力の全てが消えてしまって。ペンダントは単なるペンダントに戻ってしまい。勇者の末裔は ペンダントが光り輝いた事を不思議に思って。魔王との戦いでは使う必要が無いと思っていたのだが 魔王との戦いに勝つための武器になるかもと判断をして。ペンダントを手に取ったのだが。その時に 魔王によって殺されてしまったのだそうだ。だから、もう勇者の血筋を継ぐ者が魔王と戦えるだけの力を持つ事も ペンダントの力が勇者が復活して魔王に立ち向かう時まで、残っているのか?それさえも わからない状態である。

そして俺も、俺も勇者の体に魔王の娘が入っている この不思議な現象の事で、色々と確認しないといけない事があった。俺の方からリリスに話を始めると 俺もどうしてこんな事になったのか 全く分からない。ただ リリイと出会って一緒に行動するようになったのは つい最近で。俺も 彼女が、なぜ俺の事を知っていたのか、その理由さえ知らない状態なんだ。それに俺自身 リリイとは 今まで一度も、出会った事がなかった。その事を話すとリリイは 自分の記憶の中に入っている映像が本当だったんだと驚いているのであった。リリイは、なぜか 俺とリリイの体が入れ変わっている事に驚きはしなかったが。リリイは、この事をリリイの口から俺に伝えたいと思っているらしく。

リリイは俺に向かって話し出した。俺はリリイの話を真剣に聞いていて。その内容を聞いた後に、この俺の体の中に居る魔王が 魔王の血筋を受け継ぐ者であるリリイの事を守るべき対象としているのには ちゃんとした理由があり。魔王がリリイに魔王の魔力を流し込みながら。リリイの意識を操ってリリイに勇者の末裔を襲わせていたんだと、魔王は言うのである。俺はリリイが勇者の末裔に襲われた時の状況を聞くと その勇者が勇者の子孫だと分かったので。勇者の子孫の彼は勇者の血筋を持つ者の事を知っていて狙っていたのだと言っていたのである。だから、この魔王は自分の娘に危険を知らせたのだが、リリイに勇者の末裔の狙いに気付くように仕向けるのが精一杯で。リリイ自身が、狙われていた事は分からなかったが。リリイに危機が迫っているのは分かっていたが助ける事が出来ず。勇者の血筋である者に倒されてしまったのだそうだ。だけど魔王も自分の娘が危険な目に遭っているとは知りながらも どうすれば娘を助けられるのかと必死になって考えて、この方法を考えたらしい。その結果として。魔王はリリイと俺の体を入れ替えるようにしたのであった。

リリイが、そう言った話をしてくれた後 俺は魔王に尋ねた。リリイを俺達の体の中に入れる時に 勇者の力を使えなくする事も可能ではなかったのかと魔王に対して尋ねると。それは出来ないと答えるのであった。その理由を聞いて俺は魔王が言っていた意味を理解する。

魔王がリリイの中に、俺達を入れる事を了承したのは、勇者がリリイを俺に渡してきた事と この世界の状況を考えてみると 俺が勇者の末裔を助けるために 魔王を倒す事になると言う事を予想したからだと言う。だから この勇者の娘が魔王の娘であると言う事実は変わらないから。リリイの意識がリリイの体に戻らない限り。リリイと俺達は元の関係に戻る事は出来ないと、この勇者の末裔を殺さない限り 俺はリリイに許してもらえないと思って。この勇者の末裔を俺に渡して来たのだという。そして その勇者が勇者の末裔を どう思っていたかまでは、そこまで魔王にも分かる事はなかったが 魔王はこの勇者の末裔に 特別な思いを抱いていた可能性があると思うと言い だから魔王は、この勇者の末裔に命を救われた事もあり。自分の娘として育てても良いと思ったのだろうと 魔王の娘であると証明できる何かを俺に見せたかったのだと魔王は言って。その勇者の体の一部を見せてきた。その部分を見て それが本物かどうかは魔王にしか分からないと言われた。魔王自身も これは本物なのではないかと言い。勇者の心臓の一部が、まだ残っているのではないかと言った。

リリスは、自分が持っているペンダントの中から その証拠を出せると言ったが、その前に魔王が持っていたペンダントの中に、どんな物が入っていたのかを見せてくれないと、こちらとしても信用できないと言うと。魔王の娘リリイも、この魔王の持っている物が本物の可能性が高いと言っているので。俺はこの二人の意見を信用するしかなくて。俺達は まず最初にリリイから、どうやって勇者の末裔からリリイを守って来たのかという経緯を話してもらうと。

魔王の話からリリイの体に入っていた時には勇者の記憶は見れなかったが。魔王の娘の体に入った時。魔王は、この世界が今どのような状態になっているのかを知る為に、この世界の歴史が記録された資料を見た。

そして魔王の見た歴史書の記録では 今の世界に魔王が現れる事はなかったのだが。過去の記録の中には魔王が現れたという記録があって。魔王の力は、それほど大きなもので。歴代の魔王の中には、この魔王のように、この世界に影響を及ぼすような力を持つ者がいたそうだ。しかし魔王は、そんな強大な力を持ちながらも。

その力を悪用したり。

世界を自分の都合のよい方向へ導こうとする事はせず。世界を見守る立場として生きていたそうだ。そして、そんな歴代の中でも魔王が力を持っていた時代は 特に長く続いていたそうであり。魔王が生きている限り 他の魔王が生まれないように封印されている時代が 長々と続いていたと言う事だ。そんな歴史の中で。魔王の中には、この世界の中で一番強い力を持った存在になっていた者もいれば そんな力は、持っていないが 魔王並みの知能を持った魔王もいたと言う。そして その中でも魔王の中で一番強く力も大きかったのが リリイの先祖である あの初代の勇者で 魔王はリリイに、勇者が自分の持っていたペンダントを渡す前に 魔王の娘の体に入るのを、勇者から頼まれたという。それは 勇者が、魔王が、これから行う行動を察していて。魔王が勇者にペンダントを渡した後は、自分は魔王の娘の中に入り込んで魔王の力を手に入れるという計画を実行しようとしていたためで。それを察して、魔王は、リリイの体内に自分の持つ全ての魔素を入れ込んだ後に 魔王が魔族の頂点に立つ者だと分かるペンダントを、俺に手渡して。これで俺が魔王の肉体を手に入れても、その肉体は、俺の力でしか支配できずに暴走するような事は無いはずなので安心して欲しいと言って。それから魔王の娘の中に入った後も。

魔王の体は絶対に傷つかないような状態にしてあるし。俺も自分の体が どうなるのかは、そのペンダントが教えてくれるはずだと俺に向かって言ったのだそうだ。魔王は、俺に向かって。もし俺の意識がなくなった時は リリイの意識が表に出るようになっているので、その事だけ伝えておくから、後は任せるよと、それだけ言うと、すぐに、リリイの中に入って行ったというのであった。リリイの話を聞き終えた俺は 自分の体の中に入っているリリイに尋ねてみた

「俺が、リリイやリリイの親父さんが住んでいる村に行っている間 リリイは、どこにいたんだ?」

俺はリリイが勇者の末裔と一緒に行動していた事が気になったのである。俺と魔王が お互いの体に入り込む前に 俺達は 俺の体とリリイの体を入れ替えている。その後 俺はリリイの体に入っている魔王と共にリリイの両親と妹がいる村に行って。俺の体と魔王の体が、いつ入れ替わるのかを 確認しておきたいと思っていたのだが。魔王は俺達に、この勇者の末裔と魔王の娘であるリリイを連れて。魔王の城に一度戻って来て欲しいと頼みこんできた。リリイと俺は その話を受けるかどうか、リリイに聞くと 魔王の娘リリイは 魔王のお願いを受けたいとリリイも言うので。魔王の願いを、受け入れる事にしたのである。そして 俺はリリイに確認すると、この勇者の体は俺に返すのだから 魔王に返しに行く事に、問題はないと思うのだが。リリイは少しだけ躊躇った後 やはり自分の家がある場所に帰りたいと、俺に言ったのであった。だから 俺も 自分の生まれ育った家に帰れる事に喜んでいて。早く自分の体が戻ると良いのにと思いながら 俺の意識は消えていくのであった。俺の意識が消える寸前 俺の目が覚めたのである。

俺は、この世界に来てからの事を思い出そうとした。

リリイは、まだ、寝ていて。この勇者は 俺の体を動かしている。

リリイが目覚めて。俺がリリイに対して、魔王の城にある部屋の中で、どうして あんな事をしたのかを リリイに対して尋ねると。その事を俺が責められるのは理不尽であると思ったが。俺は、その件について謝罪をして 俺達の間で誤解を 解いておこうと思ったのだけれども 魔王と俺と魔王の娘の間に交わされた約束の事で リリイを怒らせてしまった。俺は なぜ、魔王と俺とリリイの間にあった あの出来事が、リリイの怒りの原因だったのかをリリイから聞き出したのだが その理由を聞いた時。俺自身、どうしたらいいのかわからなかった。魔王は、この勇者と自分の娘の体に、自分の力を流し込んでリリイを操るつもりだったようだ。だが このリリイの父親である勇者は、そんな事はしたくなかったらしく。自分の意志に反する行動を取ろうとする魔王に この魔王は本当に自分の娘であるか疑い始めるようになった。

リリイが目覚めた時に。俺の体を使って何かしたのか?とリリイに尋ねると。その事を 俺がリリイに対して 問い詰めようとした。

しかし 俺の体を自由に動かす事が出来ないので 勇者はリリイを怒鳴るだけで 何も出来なくて。リリイが、俺が この勇者に何をしたのかを話すと。勇者は 怒り狂うように リリイに向かって 自分の剣を抜いて 俺の体に刺そうとまでしてきたので 俺は勇者の動きを止める事に成功した。

リリイは、その勇者の行動を見て驚いている様子だったが。リリイに魔王との一件が この勇者に知られてしまうとは思っていなかったが。このまま この勇者を ここに、この勇者と、この娘を置いておいて。また勇者が暴れたら この娘に迷惑がかかる事になる。俺は、この娘を魔王の城に置いていく事は出来ないので この勇者を 俺が持っている アイテム袋に入れて持って行く事にした。魔王の娘を 俺の持っている物に入れる事は危険かもしれないが。俺の持っている物になら 入れたとしても安全だと思われる。だから 魔王の娘である、この勇者と、魔王の娘である娘は俺のアイテム袋の中に一緒に入れさせてもらう事にした。

リリイと俺達は、これから俺が育った村に帰ろうとしたので その途中 勇者の末裔とリリイと魔王が暮らしている所の近くに寄ってみることにしたので リリイと俺は 勇者の末裔の家に向かって この世界から消えたのである。

この世界から勇者が消えて無くなった後に。リリイが勇者の子孫の所に行った時に、何か勇者に関する痕跡が残されてないのかを確かめたくて 勇者が使っていた武器とか、何か勇者が勇者になる前から持っていた物が無いかを探したが。特に変わった物も無かったし。勇者の家系にも何の変化も無いようであった。しかしリリイが 勇者の持っていた物を探そうと思ったら。魔王の一人娘に、こんな事させて、魔王の娘に申し訳なく思っているが。リリイは俺の質問には答えずに黙っていて。この魔王の娘は何も言おうとしないので。仕方なく、リリイの家の近くにある村に向かったのであるが。この勇者が生まれ育った村の様子を見に行くと。この村に残っていた人々は、この勇者に恐怖を抱いているようで、俺と魔王の娘である娘を見ると 村人達は、その人達から離れて行って この世界を救った勇者様が戻られて、あの方は どこへ行かれたのだろうかと言う声を聞いて、リリイは、この世界を救った英雄の事は、誰も知らないと この世界の住人達が言う言葉は本当なのだなと思って。リリイは寂しい気持ちになったが 俺と、この魔王の娘は。魔王の娘が住んでいた家に戻り リリイは、これから自分が暮らすことになる家に荷物を運ぶと 俺に向かって話しだしたのだ。

「勇者よ。私は 自分の家が有る場所に戻る。私の事を気にしないで欲しいのだ」と、魔王の娘が 突然、俺に、そんな事を言ったので。俺はリリイに「おい。急に 何を言ってんだよ」と言ったが リリイは真剣な表情で俺を見つめていた。

「私は、貴方と離れたくないから、だから勇者の側に居てもいいですか?」と、この魔王の娘が言ったが。リリイは俺を見つめている。俺には、この勇者に そんな事言う理由も分からないし。リリイに俺の体から出ていっても、どうしようもないと思うのだが。俺は 俺が、勇者の体の中から出ていく事が 出来るかどうか確認するために 俺の意識の中に話しかけてみると どうやら 俺の体は 魔王の肉体を封印するため 魔力を流し続けているらしいのだが。その事を考えると。この勇者は、これからも魔王が復活する事を防ぐために、ずっと魔王に、自分の体の中の魔素を渡し続けて生きていくしかないという事に、俺は気がついた。

勇者が「リリイは、どうして 私にそんな話をしてくれるんだ?」と言い出した。俺は、それを聞くと リリイは「あなたと勇者が出会ってからの話を聞いたり あなたが勇者だった頃の話を聞きたかったから」と答えたので 俺はリリイに対して 俺がこの勇者の体の中で体験した記憶の事を話し始めると。リリイは、この勇者の体を返してもらうために、この勇者の体を操っている、リリイの父親に会わせるように、この勇者に頼むつもりだから それまで勇者は勇者のままでいてほしいと、この勇者に伝えたのだ。勇者はこの魔王の娘の申し出を断りきれずに 俺達の話を聞いて。勇者は自分の体に戻ると。勇者は勇者の意識を取り戻そうとした。勇者が俺に、勇者が自分の体の中に入って来ると、すぐに。勇者の体は 元の自分の体に戻ってきたので。俺達は勇者に 俺達も魔王の娘の所に行きたいから、魔王の娘の家に案内して欲しいと頼んでみると 勇者は魔王の娘の家に向かって歩き出すと。リリイと俺は勇者の後をついて行ったのだが。勇者はリリイに対して。魔王と仲良くしてくれて、ありがとうと言っていたので リリイは 少し恥ずかしそうな顔をしていた。リリイが、この勇者の娘に対して優しくしている姿を何度も見ているので。魔王は俺の体を乗っ取る前にリリイから、この勇者の娘に対して優しい言葉をかけていたはずだから。リリイは、この娘の事を 本当の自分の妹みたいに可愛がっていたんだろうなって、俺は思う。この勇者が住んでいる所に着いて。この勇者は俺に対して、この娘に、お前の事を好きになってくれるように協力してやって欲しいと言って来たので。俺は、それは無理だろうなと思ったのだけど。俺が「リリイが、この娘を好きだとでも言っているのか?」と、この勇者に尋ねると。この勇者はリリイに向かって、この娘に、この娘の父親の事を好きになるように説得するように頼んでいたのだ。この娘が、魔王の事を嫌いではない事は、なんとなく俺も気が付いていたけど。リリイは、そんな娘の様子を見ると この勇者が父親だという事も、あり。複雑な心境になっていたようであった。

そして この勇者が俺と、この勇者の娘である娘の様子を見ると 俺に この娘と仲良くしてあげて欲しいと お願いするのだが。俺としては。この娘の父親とリリイの父親の間で交わした約束の事は忘れた方がいいと思っているので。

俺とリリイの二人で、この勇者の娘である娘に。リリイが、リリイの父に頼まれた、この勇者の娘に対する協力をするわけがない。

この娘の気持ちを無視して 勝手に勇者の父親が決めた、この勇者の娘であるこの女の子とリリイの間に交わされた約束を 守る必要なんて 無いだろうと、この娘に言うべきなんだが。

俺の目の前に居る この勇者の娘である娘は 俺に、勇者のお父さんは、とても素敵な人だった。

それに魔王であるお母さんと 結婚できただけでも、私は幸せだ。

私は、お父さんに大切に育てられたおかげで、今まで 幸せな日々を過ごすことができたから、これからも、勇者の娘である私が、勇者の息子である貴方の役に立つ事ができるのならば。

私は喜んで 勇者の息子である貴方に協力するつもりでいるのですと、言うのだ。リリイは、俺に。この勇者である、この人の娘の言葉を聞いてくれと 俺に向かって訴えかけてくるので。

俺がリリイの方を見て、俺は、リリイに向かって、その話は断るべきだと言うと。この勇者の娘は 魔王の事は、あまり悪く言わないで欲しいと言ったのだ。

確かに。この勇者の一人娘は リリイの両親に大事に育てられていて。

その事は このリリイが魔王の娘だと知っているのに。

それでも 俺がこの勇者の体を返す事を望んでいる様子だったので。

俺は、リリイに「リリイの両親の事を思い出しながら この娘と一緒に生活していけばいいんじゃないか」と言って。

魔王の娘と俺達が暮らす家は、まだ残っているのだから その魔王の娘が住んでいた家に戻って、そこで これから暮らすようにした方が この勇者が 魔王の肉体を、これから ずっと この世界に残したままにしないように。

俺の体の中の魔力を使って、ずっと自分の体の中の魔素を送り続けて 俺の体の中の魔王の魔力を 少しずつ減らして行くようにと 俺が勇者に伝えても。

この勇者は、なかなか魔王との思い出を忘れられないから。これから、その魔王の娘である娘に協力して貰うから。

俺は勇者の娘の願いを 聞く事にしたのであるが。

俺は、この勇者の娘に、魔王の魔力を減らすためにも、この勇者の娘は、これから、俺の体の中に居るべきではなく。

リリイと暮らす事にしたらどうだろうかと 俺に提案すると。この勇者の娘は 俺に向かって「勇者のお父さんが亡くなってから 私は一人で この世界で暮らしてきた。

私は、自分の力で、魔王を倒して それからは勇者が平和になった世界を作るために頑張って、私は、あの人の手伝いをするために。あの人と同じ魔王を倒しに行って 私だけが生きて帰られた。だから私は、これからも この世界のために あの人と同じような生き方をしないといけないから。私の事を大切に思ってくれて。いつも一緒に戦ってきた勇者に、そんな事言われたくない。私の事は もう放っておいて」と、勇者の娘は俺に言った。

勇者は勇者の娘の話を聞いて、勇者は魔王の娘に

「リリイが 私に教えてくれたんだけど。私の娘は。お前の母親に とても愛されていたんだそうだな。リリイの母さんは、リリイに対して、本当に優しくしてくれていた。そんな母さんの事を お前が嫌いなはずが無いだろ。」と言ったのであるが。この勇者の娘は 勇者に対して そんな話を信じてくれるなら、貴方が、今、この勇者の体に憑依している私のお父様の代わりになってくださいと言ったのだ。勇者は勇者の娘が、俺に助けを求めているように見えたから。俺に「リリイと魔王の娘である娘の二人を連れて。私はリリイ達と一緒に この娘の家で これから暮らそうと思うのだが。どうか許してほしい」と俺に対して言って来たのだ。俺はリリイに「俺と、この娘が、これから、ここで、この勇者の娘と共に この娘の家族として。共に暮らして良いか?」と聞いてみた。

この勇者の娘である娘が 俺達に この勇者の体の中での生活の仕方を教えて欲しいと言うので。俺が俺の体の中に宿る、この勇者の娘の体の中から、俺の意識を、どうやって取り出して この娘に 体の中の俺の意識の事を説明しようかと悩んでいたら。リリイが、この勇者の娘である娘の額に手をあてて。自分の手をかざし。目をつぶると。しばらくして目を開けると同時に「あなたの体に居るのは魔王ではないのよ。」と言って リリイは俺に対して「ごめんなさいね。本当は、もう少しだけ、あなたが私達の側に居るまで、あなたは私達の側に残していてあげようと思っていたのだけど。やっぱり、このまま、この娘の中に残っていたらいつかあなたもこの娘も 大変な事になるわよね。それに あなたは 勇者の息子だし 魔王を倒した英雄なのだから 私と一緒じゃなくても 自分の人生があるから。いつまでも、ここに引き留めておくわけにはいかないから。あなたには 新しい人生を歩んでほしいのよ。」と言い出したので俺は 俺は、この勇者の娘である娘の体の中の魔王を 追い出す事にしたのだ。俺がリリイが言っている言葉を聞いているうちに俺が俺の体の中に居るはずの魔王の意識を取り出そうとしている事に気がついて「やめてください。貴方が魔王の力を使っている事を知られてしまった。私はもう魔王ではなくなる。だから魔王の力で私の中に封印された魔王の魂は消えていくのです」と魔王が俺に言って来るので俺は俺の体に魔王が居る事を感じ取れなくなったから。俺の体が、魔王を追い出せたかと俺は思って俺がリリイの方を見て「俺は魔王をこの娘の中から追い出したけど。この勇者は大丈夫なんだよな。この勇者の体は、まだ無事だよな?」と俺はリリイに尋ねたのだが。俺のリリイの口から「この娘の中に入っていたのは魔王だったから。この娘の身体に何かあったのかも知れないわ。でも。今は確認する時間がないから この勇者の娘である娘の命を助けるためにもすぐに勇者の家に戻ろう」と言われ俺は俺の中から出て行った魔王と一緒に、リリイの両親である魔王と勇者の住んでいる家に戻る事になったのだ。そして 俺と魔王とリリイの三人が家に戻ってくると。そこにはリリイの父親である勇者の母親が、俺と勇者の娘である娘とリリイの事を待っていたのである。勇者の娘である娘は、自分が生きているという事が信じられなくて。俺とリリイに抱きついた。勇者の母親に勇者の娘である娘が「お母さんもお父さんも 私が生きていたって知って、凄く喜んでくれました」と言うのであった。俺は俺が俺の体を取り戻そうとした事で俺が勇者の娘である娘が死ぬのではないかと不安になっていたのだが。魔王の娘であるリリイと魔王が戻って来て、リリイの父親と勇者である俺の娘であるリリイは嬉しかったようで 二人はリリイに、とても喜んだ様子を見せたのだ。しかし、リリイの両親である魔王と勇者は 魔王の娘であるリリイと、そのリリイの体から、その力を奪い取ってしまった 勇者である俺の体の中に入って、俺の肉体と精神を操っている存在の 俺の中の魔王の存在に リリイと、俺の娘の命の危険を 感じるようになっていた。そこでリリイの母親は、俺が俺の中に居る魔王を追い払った事を魔王の口から聞きだしたらしく。

魔王に向かって「貴方が魔王を自分の息子の体内に閉じ込める事によって この世界を平和にしてくださっていた事については、この世界の住民として、とても嬉しいです。これからも息子と一緒に 私達のために魔王と戦ってください」と頼むと。俺の娘である勇者である俺の娘が 自分を育ててくれていた魔王に対して。お父さんは私のお母さんに大切に育てて貰った恩があるので、魔王を倒すのが嫌になって、この世界に残りたいと言っていたと話すと。魔王が俺の娘に対して「お前のお父さんの事は気にしないでくれ、私の方はお前に悪い事をしてしまったな。すまなかったな。私は勇者の妻として、これからも勇者を支えて行くつもりだから。私の娘にも幸せに生きてもらいたいと思っている。だがな。この勇者の息子である私の体から 私の中にある魔王の力が消える前に、その力を消しておいた方が良いぞ」と言ったので。リリイの父親は、この勇者の娘である娘が勇者の娘である事を知って。リリイと俺の娘である娘を 自分達が暮らしていた勇者の家に連れて帰った。俺の娘の肉体に魔王が入っている間だけでも。リリイが勇者の娘を匿って リリイの父親が魔王に殺されないように。リリイの両親は 勇者の娘である娘の安全を確保する為にも。リリイと俺の娘である勇者の娘であるリリイと俺の子供達が勇者の娘である娘を守るようにと俺の娘とリリイと俺と勇者の娘である娘をリリイの実家に送り届けて貰うことにしたようだ。それから リリイの父親が、俺の娘であるリリイと、勇者の娘と勇者の娘の護衛役として勇者の娘である娘と一緒に行動していたサーヤさんを連れてきてくれた。それから俺は俺の息子に会いに行くために俺が自分の住んでいた世界に行こうと思ったが。リリイの父親である勇者は、魔王の娘と、俺の息子が住む場所に一緒に行きたいと願い出してくれたから。この勇者も連れていく事に決めた。

勇者達は魔王の娘であるリリイに魔王と戦う時の戦闘技術などを伝授してもらった後 魔王と勇者の二人で一緒に 俺の住む世界の俺の息子が通う学校に一緒に入学するようにリリイの両親である勇者とリリイと俺の娘はリリイの両親の故郷の国に向かうことになったのだ。俺は俺の家族と俺の義理の妹であるリリイとその娘達 リリイと勇者の娘である娘の三人と 魔王と勇者と リリイのお父さんに俺の住んでいる場所に来てもらえるか聞くと。

魔王が俺に自分の体を貸しても良いと言うと。魔王の娘である娘が 魔王の娘である自分の体を俺に貸してくれるから その体で俺の住む世界まで付いて来てくれると言うので。俺は魔王に「ありがとう」と言ってから。俺は魔王の娘であるリリイに、魔王の意識を俺の体の外に出してもらう事と。それから俺の体から出てしまった魔王の意識が暴走しないように俺の体を守ってくれるよう頼んだ。俺の娘であるリリイと勇者の娘である娘は リリイの両親が生まれ育った世界に行き。リリイの両親である勇者の勇者とその妻である魔王の魔王は 俺と俺の家族の暮らす俺の家にやって来て それからリリイと勇者の娘と魔王は 勇者の勇者が運転する車に乗って俺達が暮らしている俺の世界に向かって出発した。

勇者が運転する車が走っていると、この異世界に来る時に乗った電車の中で俺がリリイと出会った時に一緒にいた女の子の一人と俺の息子の通っている学校の同級生であり 勇者の娘である娘と同じクラスになった俺の義理の妹である俺の娘が乗っていて、俺が勇者の勇者の娘が乗っていた車を見つけると この異世界に居ないと思っていた俺の娘である娘とリリイの母親が乗った車に俺の義理の妹のリリイが乗っている事に驚いていたのだが。この勇者の娘が「貴方が勇者の子供だとは知らなかった。でも 私は貴女のお母さんの事を知っていたから 貴女とは友達になりたいと思うのだけど」と言うと。この勇者の娘である娘は俺の娘の義理の母に当たる この俺の娘に この異世界で何が起こったのかを話し始めたのである。この娘によると、どうやら俺の義娘になる俺の娘は、この勇者の娘である娘や俺の娘であるリリイと一緒にこの異空間の魔王城に 俺がこの勇者の娘である娘と一緒にこの異空間に飛ばされた日から 数日が過ぎた日に リリイの母の魔王と この勇者の娘である娘の実の母親の天使が この異空間の魔王城の中に入り込んできたらしく 俺の娘の体の中に魔王の魂が入り込んでいて。俺の俺の娘の体から、この魔王の娘である娘の体に魔王が移動した事に、この時はまだ気がついていなかったらしい。この二人がリリイの父親である勇者に戦いを挑みに この異空間の魔王城の中に入ったみたいだった。リリイは俺の娘の体に入り込んだ魔王の娘とリリイの父である勇者と一緒に 勇者の娘である娘も俺の娘である娘もこの魔王である勇者の母親と、この俺の娘である俺の体の中に魔王が入ってしまった娘の事を心配してくれていたようで 俺の娘である娘の身体に魔王が入ってしまう前の日も、勇者の娘である娘の家に来ていたのだ。

そして、この俺の娘である娘が、勇者の娘に俺の娘の事を託して 自分の家に戻ろうとしていたところに このリリイの父親である勇者と この勇者の娘である娘の二人に出会って。それから、この俺の娘である娘と勇者の娘であるこの娘が話しているうちに。

勇者の娘である娘が俺の娘である娘が 勇者の娘であるリリイとリリイの母親である魔王の娘と一緒に俺の住んでいる場所に一緒に行きたいと言いだしたので。この勇者の娘である娘もリリイの母親である魔王の娘と俺の娘であるリリイが俺達の世界に旅立てるまでの間 俺の娘達と、このリリイの母親である魔王の二人の面倒も見てあげると言う事になったのだ。

この勇者の娘である娘が、勇者の勇者であるリリイのお父さんとリリイの母親が、俺の娘の面倒を見てくれていた俺とリリイの娘である俺の娘を心配そうに見つめていると。

この俺の娘である娘が勇者の娘であるリリイのお母さんと俺のリリイの両親と、この俺の娘の四人で話し合いを始めたのである。俺の娘であるリリィは、この勇者の娘であるリリイのお母さんと俺のお父さんと一緒に俺の娘の身体に入っている魔族と魔王を倒さないといけないと言っていた。

それからリリイのお母さんが この勇者の娘である娘と、この勇者の娘である娘の実の母親で天使でもある女性がこの勇者の娘である娘に自分の持っているスキルを、この勇者の娘である少女に授けたいと言っていたので。俺の娘であるリリイと勇者の娘である勇者の娘であるリリイの母親は、勇者であるリリイの父親である勇者に俺のリリイを嫁として差し出した後に。この俺の娘と勇者の娘は、それぞれ自分の持つスキルをそれぞれの相手に、この異世界に来た時のようにお互いに与えあうことになった。リリイがこの勇者の娘である娘に この勇者の娘である娘に、自分の中にある全ての力を注ぎこんだ後で、この勇者の娘である娘の方からも自分に残っていた全てを俺の娘であるリリイの方に渡した後で、二人で抱き合うような格好で地面に座りこみ 俺の娘であるリリイの身体の中の魔王の娘であるリリイの事を勇者のリリイの父親は見つめていた。

リリイとリリイの両親は、これから自分達の子供として生まれて来る俺の娘であるリリイとその娘を見守るために、この俺の義理の家族と共に俺の家に移り住む事になった。それから俺は この勇者の娘である娘に、このリリイと俺の娘である娘と、この勇者の娘であるリリイの母親の魔王の娘は俺の家で、どのような生活をしていく事になるかを説明すると。

勇者の娘であるこの勇者の娘は 俺がリリイのお父さんから受け継いだ力を俺の娘に与えるために。自分の体にある自分の力を使ってくれたので このリリイの身体の中にいる魔王の娘が暴走する事もなく 無事に俺の体の中にある魔王の力を取り除く事が出来たのであった。それから この勇者の娘である娘に。俺の娘であるリリイの体の中に居る魔王の娘のリリイが 自分の力で作りだす事が出来る物を勇者の娘である娘が作れない物を作る事が出来ると伝えると この勇者の娘である娘は、凄く喜んでいたが そんなに嬉しそうな顔を見て この勇者の娘である娘の事を俺の娘達と同じように。この勇者の娘である娘の事も守り育てていかなければいけないと強く感じたのである。このリリイの娘である俺の娘が勇者の娘であるリリイのお母さんから譲り受けた力と。

この勇者の娘である娘の持つ特別な力が一つに重なり。俺の娘とリリイの娘であるリリイにリリイの両親の力が加わって俺の娘である俺の娘であるリリイと俺の娘であるリリイの母親がリリイのお父さんから引き継いだ能力に、更に特別が加わった状態になったのである。そのおかげで、リリイと俺の娘であるリリイと勇者の娘である勇者の娘であるリリイが合体して 勇者である俺の体の中から取り出した魔王の力で強化された。俺の体の中の魔物を操る事と、リリイが使う闇魔法を使えるように。俺の体が進化し。それから勇者の勇者である俺のお父さんも、リリイとリリイの父親である勇者も リリイの母親の魔王である娘さんが、その勇者の娘さんと リリイと俺の娘との三人にリリイが俺の娘であるリリイと魔王の娘の二人に使ったのと同様の。魔王の力を封じることが出来るアイテムを俺の身体に取りつけてくれる事で 俺の娘であるリリイと俺の娘が この勇者の娘である娘と俺の娘であるリリイが一緒に暮らしている時に 勇者の娘さんから受け継ぎ。勇者の娘である勇者の娘にあげたリリイが持っている力の源と 俺の娘である魔王の娘の魔王の魂が入っている体の一部が入ったペンダントと。この俺の身体の中にある魔王の魂を封印するための。リリイが俺の娘であるリリイと勇者の娘である勇者の娘であるリリイに与えたのと同じ様な。

俺がリリイと俺の娘に使って。俺の娘とリリイと勇者の娘であるリリイのお母さんが、勇者の娘である娘の体に取り付けて。勇者の娘は今 リリイの身体の中に居ない状態で発動するのかどうか試す事が出来なかったので。

俺の娘であるリリイが、いつも俺の娘と一緒に寝ている寝室に置いてある。この世界に来る前に この異空間の中に放りこまれてしまった際に持っていたリュックの中に入っていた物を。

この異空間の中に来てからも持っていても仕方がないと思い。

この異世界に来る時に俺が住んでいた家に引っ越してきた際。引っ越し業者の人達が、荷物の移動を行っている時に俺が持って行こうとしたのを。リリイと勇者の娘である娘と勇者の息子である息子は「この異世界に、まだ持って行っていい物はあります」と言って俺を止めてくれて。

リリイはリリイの母である魔王の娘が使っていた。この異空間の中で、いつでも自由に出し入れできる鞄を。

勇者の娘である娘に、この異空間の異空間の外に繋がっている穴に。この異空間の中に、もしも飛ばされてきて。この異世界に、まだ、持って行ってもいい物の中に。

俺が元いた世界の品物が紛れ込んでいるかもしれないと思って。俺の娘のリリイが勇者の娘である娘と一緒に探してくれたのだ。そして、リリイとリリイの娘が俺の娘であるリリイに魔王の娘に渡したいと、魔王の娘である魔王の娘であるリリイがこの勇者の娘である娘に。

魔王の娘が自分の体から取りだしたリリイと俺の娘であるリリイが勇者の娘と魔王の娘であるリリイの身体の中に入る前の 俺の娘の体の中に宿っていた。この俺の娘が元々入っていた体に、魔王の娘である魔王の娘であるリリイと、この勇者の娘である娘に渡そうとしていたのは。

勇者の娘であるリリイと魔王の娘である魔王である娘は 勇者の娘のお父さんと勇者の娘であるリリイの母親と一緒に。俺の娘達が住んでいる家に引っ越す事になっていたのである。それで この俺の娘であるリリイが、リリイの母であり俺の娘であるこの娘の実の母親である。勇者の娘の母親の天使の女の子も。俺の娘である娘とリリイと勇者の娘である勇者の娘であるリリイのお父さんが、これから自分達の家で生活していく事になる。

これから先、勇者の娘のお母さんの天使の女の子と、俺の娘である娘と一緒に暮らしていけるように。魔王の娘の魂の入ったペンダントを首にかけながら。魔王であるリリイの身体の中にある魔王の魂がリリイとリリイの娘であるリリイに渡そうとした物を、それぞれ。勇者の娘に魔王の娘であるリリイが手渡したのであった。すると、この魔王の娘である魔王である娘は。俺の娘であるリリイに渡されたペンダントは 俺の娘であるリリィとリリイである娘達がそれぞれ装備し。俺の娘がリリィとリリイであるリリイのお父さんに渡すためと。勇者の娘であるリリイにも魔王の娘である魔王の娘であるリリイが、俺の娘であるリリイから受け取るように促したので 勇者の娘のお母さんもリリィに 自分が作った勇者であるリリイのお父さんと 自分の娘が作る勇者である娘のお守りを渡すように言い 俺は 俺の娘であるリリイとリリイの娘であるリリイと勇者の娘であるリリイが 自分の力で作り出した物を魔王である娘に、この世界で作れるか分からないけれど。一応、魔王の娘である魔王の娘である娘と、勇者の娘である勇者の娘である娘には。この俺の娘達の家に行って貰い。このリリイが作ってくれるであろう勇者の勇者の娘である娘のためのお守りは 勇者である俺の娘や勇者であるリリイの父親に 俺の娘であるリリイの身体の中にある魔王の力が宿っている身体の一部である魔王である娘が取りだしている身体の一部を、魔王の娘に渡してあげる事で リリイとリリイの娘であるリリイの身体の中にはいるはずの魔王の力に。勇者の娘であるリリイの体内にはいる魔王の力は抑え込んでくれるのではないかと思い。勇者の娘であるリリイとリリイの娘である娘達に、この魔王の娘である魔王の娘に リリイが作ろうとしてくれていた物の事を話したら 勇者の娘であるリリイの身体の中にある、この魔王の娘が取り出している。身体の一部は魔王の娘の魔力を吸い込み続けてしまい 俺の娘であるリリイの身体の中の、魔王の力に侵食されてしまう可能性を考えれば。俺の娘であるリリイから魔王の娘に渡す方が無難ではないかと思えたからである そんな訳で俺の娘達三姉妹から 俺の体の中から 俺の娘であるリリイの身体に 俺が受け継いだ能力を取り除いて貰う時に使用した 俺と魔王の子であるリリスである娘から貰った力を宿らせる事が出来るアイテムも使ってくれたのだが そのアイテムを使う前に俺の息子とリリイの父親である勇者である俺と この勇者の娘である勇者の娘の父親である勇者である俺はこの魔王であるリリが 自分の娘に使おうとしていた道具を 自分達でも使えるかどうかを確かめる為に。自分達でも使えたら 勇者の力が弱くなってしまう。だから、勇者の力を弱めるのではなく。自分達が持つ勇者の能力を強めるための力を込めた物を。

俺の体が、どうなるのかを心配をした勇者の娘である娘のリリが。俺の体が、どうにかならないのか?と言うので、このままだと、魔王の力に取り込まれてしまう。と言うのを勇者の娘である娘に伝えると。俺の娘であるリリと勇者の娘である勇者の娘が。自分達が勇者の力に、より強く働きかけられるように、勇者の娘であるリリイが俺の身体から取り出した俺の娘であるリリイと俺の娘の体の中に入っていた魔王の力の一部が宿った身体の一部を使って 俺の娘達三人に魔王の娘に魔王の娘であるリリイから渡されていた魔王の力の一部を使った。勇者の力が弱まっていない状態で使うと魔王の娘の体の力が強すぎて勇者の力が、勇者の娘であるリリイに宿っているリリイと魔王の娘である魔王の娘である娘の身体に吸収されていく可能性が高いから 俺の娘達と勇者である俺の娘であるリリイが。勇者の力が勇者であるリリイに魔王の娘である魔王の娘が使っている。魔王の力の影響を受けている俺の娘達の体と融合する事により。

勇者の力を勇者の勇者の娘は今までよりも強力に使えるのではないかと考えるのであった。その事を伝え。この俺の娘が持っている能力を発動させるアイテムと、リリイとリリイの娘であるリリイとリリイと俺の子供である子供達を元の世界に戻すために必要なアイテムを使えば この異世界に来る際に持っていた物がこの異空間の中に残っていれば それを元の世界の世界に戻せるんじゃないかと思い。この異空間にある物が元に戻るならば。元に戻った物の中で一番大事な物を異空間の外に置いておく必要があると考え。この異空間の中に入っている物は。俺の息子であるリリとその仲間達の持ち物も。俺の娘の体の中に入り込んでいる魔王の力の影響で何か影響が出る可能性もあるかもしれないし。魔王である娘さんの力でも対処出来るとは言っても魔王の娘さんの力にも限界があるのなら俺の子供が持っている力の方が魔王の娘さんが魔王の娘である娘に対して行った魔王の娘である娘の力の吸収する力を抑えるのにも役に立つだろうと考えたのだ なので、この異空間の中に存在している物は。異空間の外に出さなくても。この異空間の中に残っているのが、この異空間の中に有る。この異空間に放り込まれた際。異空間の中に残されていた物が元に戻っているのならば 俺の娘に持たせてあげても良いだろうと、俺は考え

「それじゃ。俺の子供達を元の世界に戻せそうな物をリリイの体に取り込ませてくれ」と頼むと。俺の娘である勇者の勇者の娘である娘のリリと。この勇者の娘である娘の勇者の娘のリリが「分かりました」と返事をしてくれたのである。そして、リリイのお母さんと勇者であるリリイのお父さんが、それぞれ俺の娘である娘が着ている服の袖の中に。

俺の娘であるリリイと、リリイの娘である勇者の娘である勇者の娘の服の中に入っていた魔王の娘である娘は それぞれのリリイの身体の中にあるリリイとリリイの娘であるリリイと俺の娘であるリリイに渡した。

この俺の娘が、俺の娘の体の中から取り出して俺の娘であるリリイに渡す事になったペンダントと俺の娘である娘がリリイに渡すために作ったペンダントと勇者の娘であるリリイに渡すように渡されたお守りが、俺の娘達が元居た世界で作ろうとしている勇者のお守りの核になる物である事は分かったが。

勇者の娘である勇者の娘のリリイが俺の娘の身体の中から取り出す事のできる、リリイのお母さんの身体の一部。そして、リリイのお父さんが、この勇者の娘である娘のお父さんが身に付けていた。

天使の女の子が使っていた勇者の娘である娘に、天使の娘である天使ちゃんの羽と魔王の娘である魔王の娘である娘から受け取った天使の娘である勇者の娘である天使の娘の力を抑え込む事ができるようになれば。俺の娘である娘や俺の娘である娘の家族を元の生活に返す事ができるようになる。

それに、魔王であるリリの力によって、あの時の状況のままのこの異世界にいる他の人間に迷惑をかける恐れも無い 勇者の娘が魔王を倒した後の話ではあるが。勇者である俺は、魔王城に住んでいる人達とも打ち解けて来ていて仲良くなっていたんだけれど。魔王である娘に頼まれて 魔王の娘である魔族の娘が住んでいる場所へ連れられて、その場所には、この俺の娘のお父さんも住んでいたのだが。この娘もお父さんの勇者と一緒に魔王を倒して魔王城に戻ってきたのだが。

魔王である娘が、魔王城の者達に魔王の娘である娘を紹介する前に、お父さんである俺が住んでいる場所に魔王の娘である娘を連れてきたので 俺は、この娘と顔を合わせたのは初めてだったが。魔王の娘である娘も勇者であるリリイと魔王の娘である魔王の娘である娘の身体が融合した後に俺の娘であるリリイが俺の娘の体に宿っていた頃に魔王の娘である娘と出会っていた この俺の娘であるリリイと、リリイの娘である勇者の娘である娘に。

俺の娘の身体から、魔王の娘である娘が取り込んだ。

俺の娘が魔王である娘が取り込んだ。魔王の力の影響を受ける。俺の娘の身体を浄化するためにリリイとリリイの娘である娘に俺の娘であるリリイと、リリイの娘である娘に俺の娘の身体から、魔王の力の影響を受けていない部分をリリイが取り出し 俺の娘であるリリイが取り出した俺の娘である娘の体内に入っていた魔王の力の一部とリリイとリリイの娘である娘に魔王の娘である娘が作り出した勇者の力を強化するための道具に宿った俺の娘であるリリイと、俺の娘である娘の体内に宿っている。

魔王の力の残りかすが混ざり合った物が混じり合って。

俺の娘の身体の中にある、この身体の中から 俺の娘が宿している、この勇者の娘である勇者の娘であるリリイの力を吸収して、魔王の娘の身体が造り出した物だから。

俺の娘であるリリイと、リリイの娘である娘の持つ勇者の力と。魔王の娘である娘が作った。

勇者の力を強くする効果を持つアイテムに。俺の娘である娘の中にある。魔王の力の力が混じる事なく。俺の娘であるリリイと、俺の娘である娘の身体の中にある。魔王の力は、リリイやリリイの娘である娘に魔王の娘である娘が、俺の娘の身体の中から魔王の力を取り出す時に取り出さなかった部分が宿っているからな そして、取り出した部分は。勇者の力でも完全に消し去る事が出来れば良いんだけどね。でもそうすると。俺の子である娘の中にあったリリィの力で抑えていた部分の力まで弱くなってしまう可能性もあったんだよ。それでも大丈夫だよね?」

と言いだしてきてなぁ~その話をした後にも勇者である私も。

私の勇者の力でも、その力を完璧に抑え込んでいられたかと言うのは微妙だったしね だから私が取り出してあげる事で 魔王の力が弱まってしまうと勇者の力は強化されてしまう可能性があったけど。それは仕方がない事だと思わない?って魔王である娘に言われてしまったし。

まあそんな感じで俺の娘である娘が着る服の中に入っていた物をリリイとリリイの娘である娘と、リリイのお母さんがリリイの身体の中にいる。魔王の力に俺の身体から取り出した。俺の娘である娘の中の魔王の力の残りと魔王の娘である娘の力が、混ざり合う事が無いようにして 俺の娘である娘の身体の中に有った、魔王の力の残滓を。魔王の娘が魔王の娘である娘の体を使って作り出している。

俺の娘である娘の力を吸収する。

俺の娘である娘の中に魔王の力が残っている状態と リリイとリリイの娘である娘の勇者の力の影響で作られた物では、リリィが娘に取り込んでいる。

魔王の力の影響が少ない部分だけを俺の娘である娘に渡していれば大丈夫だって言ってくれているから その点は心配していないよ。それに、もし魔王の力の影響が強い。俺の娘である娘の身体から切り取ってリリイに渡してしまっても問題は無いし。俺の娘である娘の身体から切り離した物であっても、 魔王の娘である娘さんからリリィが受け取って、 勇者の娘である娘がリリイから貰った 勇者の力が宿った物を魔王の娘である娘の体の中に取り込み、魔王の娘が持つ力で、勇者の娘が身に付けている。

この勇者の力が込められた勇者の娘の為だけのペンダントに俺の持っている力を送り込み。勇者の娘である娘の勇者としての力が強化されても、そこまで大きな問題では無いからね。

だから、俺の娘が身に付けるペンダントに、俺の持っていた。勇者であるお父さんの勇者の力を宿した。俺の娘である娘専用のペンダントと、俺の娘が身に付けている。

この娘の身体に埋め込まれていた。この世界に来てからも俺の娘である娘の体の中に取り込まれ続けていた魔王の娘の魔王の力を持つ結晶体が宿っているお守りに、魔王の娘である娘の身体の魔王の力の一部を宿した俺の娘用のペンダント。

魔王である娘とリリイが。俺の娘である娘の中に宿っている。

俺の身体の中から取り出した、俺の娘である娘が魔王の力の影響を受けてもおかしくはないと思っていた。俺の娘の身体の中の魔王の力の一部が混じってしまっているのが分かる魔王の力は この俺の娘である娘に取り込まれている。

魔王の娘の力である俺の娘である娘の魔王の力で出来たペンダントの中に、俺の娘の身体の中に存在していた。

俺の娘である娘の身体の中に存在している、俺の娘の身体の中に入り込んでいた、俺の娘の身体の中で。魔王の娘が取り込む前と魔王の娘の力によって。魔王の娘である娘の体から引き剥がされてリリイとリリイの娘である娘と、俺の娘の身体の外に出された、魔王の娘である娘の身体の外に有る物は俺の娘である娘と、リリイが身につけている勇者の娘の力と俺の娘である娘の勇者の力に宿っていた俺の娘の力を吸収してしまうと。俺の娘である娘の勇者としての力は、俺の娘である娘が宿している魔王の力に魔王の娘の魔王の力の一部を取り込まれて 魔王の力に吸収された。俺の娘は、俺の娘である娘に宿っている魔王の力の一部である。俺の娘である娘の勇者の力は魔王の娘によって取り込まれると 俺の娘と、俺の娘である娘は魔王の力に取り込まれた状態で、リリスの身体の中に入って行く事に、なってしまう。

だけど俺の娘である娘にリリイの作った。

勇者である娘のためのお守りに魔王の娘である娘の身体の中に宿っていて。俺の娘である娘の勇者としての力が宿った状態のペンダント。

俺の娘がリリイに、リリイの娘である娘のために、リリイが作り上げた勇者である娘だけの為にリリイが造った。

俺の娘である娘の勇者の力だけが宿っているペンダントを渡した。リリの勇者の力も魔王の力の一部なので 俺の娘である娘が、俺の娘に渡している勇者の力は、勇者の娘である娘の勇者の力である勇者の力を、俺の娘である娘の体に宿っている。俺の娘の体に俺の娘である娘に取り込まれている。俺の娘である娘の体に、取り込まれた魔王の娘の魔王の力の一部と一緒になると。俺の娘である娘が宿している。

勇者の力と魔王の力の両方の性質を併せ持つ。

俺の娘である娘の体に。

リリイの作った勇者の力だけが宿った勇者の証でもある、俺の娘である娘のためだけのペンダントは、俺の娘である娘の中に宿っている。魔王の力の一部を取り込むことが無く 勇者である娘の中にある。勇者の力だけで出来ている勇者の力が、魔王の力に変わっていくような事態には、ならなかったようだ だから俺の娘である娘の体の中から、魔王の力の一部が混ざる事無く 俺の娘である娘の勇者の力として残るのであれば、それで良いかなと思うんだよね。

リリイやリリイの息子である娘も。

俺の娘に、魔王の娘の力の影響を受けずに済むのならば 俺の娘である娘と、リリイが一緒に暮らす事になる。

魔王城で暮らし始めたとしても、大丈夫だろう。

魔王の娘に俺の娘である娘にリリイも リリイやリリイの娘である娘に魔王の娘である娘は 俺の娘と一緒に住むことが決まったので リリイのお父さんとリリイと俺の娘である娘が リリイのお父さんと、俺の娘である娘が住む家に帰って行ったのだが 俺はリリイと一緒に過ごすためにリリイの住んでいる家に向かって歩いて行く リリイが暮らしている家に到着したのだが 俺がリリイと一緒に暮らす家のドアの前に立っている。

魔王である娘が「魔王様とリシアちゃんは私が住んでいる家に来るよね?」と言ってくれたのだ。俺は、俺の愛娘であるリリと、俺の娘を魔王である娘の家で暮らさせる事を決断していたので。魔王の娘である娘の家で暮らすようにリリイを説得する 魔王の娘は俺の身体を、魔王である娘は自分の身体を変化させて、自分の娘の身体と融合した俺の身体を造り出すことが出来るんだよな。だから、リリイとリリイの娘である娘がリリイの家で暮らしている。俺の娘である娘と同じ姿になった。

魔王の娘の姿になって俺の娘になっているリリが、リリイが暮らしていた家にやって来た。俺の娘であるリリの体の中には魔王の娘にリリイが取り出した俺の娘である娘の中に残されていた魔王の力の一部は入っていない俺の娘の身体の中に入っていた物が魔王の娘である娘の身体の中だった物に宿っている物も全て取り除かれた訳ではなく。勇者の力はリリイが魔王の力から切り離してくれていたので。魔王の娘に取り込まれる事が無くなったけど。

リリイの体の中に残っていた物はまだ残っているからな 魔王の娘に俺の娘である娘の身体の中にある魔王の力の一部はリリイの手によって、リリイとリリイの娘である娘と俺の娘に取り込まれた魔王の娘の中に残されている物だけだからな。魔王の力が完全に俺の娘に、俺の娘である娘の中にある魔王の力の一部が、俺の娘である娘に取り込まれているリリイが作った勇者の力と、リリイが取り出してくれていた勇者の力と、リリイが魔王の娘である娘の身体から取り出した。俺の娘である娘の身体の中に入っていた。魔王の娘である娘の身体に、魔王の娘が宿る前に取り込まれた。魔王の力の一部に宿っていた。勇者の力である娘の勇者の力に、リリイの勇者の力が加わった状態で。魔王の娘である娘にリリイは取り出した俺の娘である娘の体の中に宿っていた。魔王の力の残りが取り込まれているペンダントを渡す事によって。

リリイの体に残っている俺の娘の中に宿っている。魔王の力の一部が俺の娘に取り込まれる前に 魔王の娘に取り込まれる事も無く 勇者である娘に取り込まれた状態で俺の娘である娘の身体に魔王の力の一部が残るという。状況になっていた事が。リリイが魔王の娘である娘にリリイの勇者の力を分け与えたことによって 魔王の娘に、俺の娘である娘の身体の中に入った状態であっても、勇者の力は取り込まれないように出来るのなら。俺はリリイの娘のリリイの勇者の力を取り除いた事で。

取り込まれていない、俺の娘の中に残っている、魔王の娘である娘が、取り込まれてしまった勇者の力の一部が宿っているペンダントの中に魔王の娘である娘が取り込んだ。勇者の力である娘の力だけが残った状態になっていても問題無いよな? 俺の娘に取り残された。

俺の娘である娘の体に元々、俺の娘に取り込まれていた物で勇者の力だけは魔王の娘が吸収してしまうと言う事は起こらないと言うなら。リリイが俺の娘である娘と、俺の娘である娘の身体に取り込まれた、魔王の娘である娘の身体の中に存在していた物を取り除くのを手伝ってくれたからこそ、 俺の娘の身体の中に魔王の力の一部が取り込まれる事は無い。俺の娘に取り残された魔王の力の一部と言う物は、俺の娘である娘が持っている。勇者の力の力が宿ったペンダントの中に魔王の力の一部分は宿っている 俺の娘である娘にリリイが取り出した。

勇者の力だけが宿った勇者の力である娘の為だけのペンダントと リリイがリリイの娘である娘のために、リリイが作り出した。

勇者である娘だけの為に、リリイが作り上げた。

俺の娘である娘の勇者の力である。

勇者の証であるペンダントがあるからな 俺の娘である娘が身に付けている。

勇者の力だけが宿っている。

勇者の証でもある。

勇者の力が、取り込まれた。魔王である娘の体に宿った。

魔王の娘である娘は、魔王の娘である娘の体内に有った。勇者の力を取り込む事が出来る。

魔王の娘としての能力が備わったんだと思う だけど俺の娘である娘とリリイが取り出してもらった。俺の娘である娘の身体の中から取り出されリリイの体の中で保管されている魔王の力の一部を取り除けた事により 勇者の力で出来たペンダントの中に、俺の娘である娘の勇者の力のみが宿っている。俺の娘である娘は 勇者の力だけが宿っているペンダントを身につけていて、俺の娘である娘は、リリイの造った。勇者の力だけしか宿っていない。

勇者の力だけが宿っている勇者の力である娘のペンダントと、俺の娘のペンダントはリリイが、それぞれ造ってくれたからね。魔王の娘である娘は、勇者の力を取り込む事が出来る。

俺の娘とリリイが魔王の娘に対して勇者の力だけを宿すペンダントは勇者の力を取り込んでしまうと、魔王の力に吸収されてしまう恐れが無いのであれば。俺の娘である娘と、魔王の娘である娘は魔王の娘である娘の身体の中に取り込まれている。

俺の娘である娘の身体に魔王の娘である娘に取り込まれていた勇者の力の一部を。リリイとリリイの娘である娘にリリイが造った。俺の娘である娘だけが使える勇者の力と。俺の娘である娘の身体の中に宿っている。魔王の力の一部が、リリイの手によって。魔王の娘である娘の身体の中に取り出された際に 俺の娘の身体の中に残っている。

俺の娘である娘の身体に取り込まれている。

魔王の力の部分がリリイが取り出して、勇者の力だけが残ったペンダントに。

リリイの手で、俺の娘である娘が取り出されて。

勇者の力だけが残っている。

俺の娘である娘のペンダントには、俺の娘である娘の勇者の力だけが宿っていて。

リリイの勇者の力だけが残っているペンダントは、リリイの娘である娘の身体の中に、魔王の娘である娘の身体に残っていた。

魔王の娘である娘の身体の中の勇者の力と、リリイがリリイの息子である娘のために。リリイが魔王の娘にリリイの娘である娘のために作った。勇者である娘の為の勇者の力であるペンダントは、俺の娘である娘の体に宿っている。勇者の力である娘の力が宿っている勇者の証でもある。

俺の娘である娘の勇者の力だけが、魔王の娘である娘の体から、取り除かれた訳ではなく。リリイの作った。勇者の力が、まだ少しだけ宿っているペンダントの中に。

リリイが取り出した勇者の力だけが残っている勇者の力だけが宿っている。俺の娘である娘の勇者の力である。

リリイが俺の娘である娘のためにリリイが作った勇者の力だけが残っている。

俺の娘である娘の勇者の力である。勇者の力だけである。

魔王の娘である娘の身体の中に残っていた。

俺の娘である娘の体の中にある。魔王の力の一部は。

俺の娘と、俺の娘である娘の勇者の力は。

取り出した勇者の力だけしか残っていない。

俺の娘である娘の中に残されていた。

俺の娘である娘の勇者の力だけ残っている。

リリイがリリイの息子である娘にリリイが勇者の娘である娘に、リリイがリリイの息子である娘と俺の娘にリリイの娘である娘にと。俺の娘である娘の体に魔王の娘である娘の身体から取り出してくれていた俺の娘である娘の身体の中にある。

俺の娘である娘の身体の中にある。

魔王の娘である娘に取り込まれている。勇者の力の一部である、俺の娘である娘の身体の中にある。勇者の力である娘の力だけを残して魔王の娘である娘の身体の中から取り出す事が出来ないのかと思った時に リリイにリリイの娘である娘と俺の娘である娘の身体の中に取り残されている。

魔王の娘である娘の体の中に魔王の力の一部として取り込まれている。

俺の娘である娘の勇者の力だけは、リリイによって取り除かれてリリイの手の中へと戻って行ったのだからな。俺の娘である娘の身体の中に残されている。魔王の娘である娘の勇者の力の一部は 魔王の娘である娘が俺の娘になっているリリイの娘の姿にリリイの体の中に存在している魔王の娘である娘に取り残されている。リリスの魔王の力は魔王の身体の一部だとしてもリリィは魔王の肉体の1部でも有るからなのか?魔王の力に取り込まれて魔王の力になってしまう事は無くてリリィがリリスを自分の力で自分の体の一部を使って自分の娘にしていなければ魔王の娘に取り込まれる事は無いしね リリやリリアのお父さんが言う通りに 俺は自分の愛する人の為に自分の命を差し出そうとしてるだけなのに俺は死ぬ運命から逃げられないのかよ。まあ。俺は俺を救おうとしている人達に申し訳ないけど 自分の娘達と一緒に暮らしている家に到着したのだが家の中に入る扉を開けようとするも鍵で開かないようになっている。

そして俺の家の中には誰もいない。リリイは俺の娘になったばかりのリリと、リシアと リリイの娘のリリイがいるだけだった。俺の娘である娘たちと、俺はリリスの家にいると伝えようと思って魔王の娘に取り残されている。

俺の娘の中にある魔王の力の一部が リリイの手によって、俺の娘である娘の体の中にある。勇者の力として。勇者の力が、魔王の力に取り込まれてしまっている部分だけが。勇者の力が魔王の力に取り込まれている状態であり。

俺の娘である娘の体の中にある。

勇者の力は、リリイの手により取り出されているのならば。俺の娘の中に、魔王の力の一部が取り込まれている勇者の力である娘の勇者の力は リリイの手によって、リリイの娘である娘の身体の中に入っている、魔王の力は俺の娘である娘の中に勇者の力である娘の力がある状態では。魔王の娘に取り込まれていた魔王の力の一部であり。

俺の娘が魔王の娘である娘の体内に魔王の力に取り込まれてしまった魔王の力の一部の力を勇者の力だけを取り出す事が出来たのなら 魔王の娘である娘の体内に取り込まれている。

魔王の娘である娘の身体に取り込まれている魔王の力の一部の力を取り出せなくても問題無いんじゃないか?と俺は思ったのである。俺は俺である事を、リリイは魔王の娘で有る娘であるリリイである事を、俺の娘達は、リリイと、俺の娘と、俺の娘である娘の勇者の証である。

俺の娘だけが勇者の力を使う事が出来る状態なら、この世界には、勇者と言う存在がいなくなっても、大丈夫なのではないかなと思い始めていた。

俺の娘に取り残されている魔王の力の一部が、取り出されずに俺の娘である娘の身体の中に残って居れば。魔王の娘である娘の体の中に宿っていた。

俺の娘の体にある勇者の力は、魔王の力の一部に取り込まれる事も無く。魔王の力の一部と勇者の力は分離されて俺の娘と俺の娘である娘の身体の中に勇者の力だけが残ったままである事に気がついたからこそ、俺はリリイとリリイの息子である娘とリリの3人に 俺の娘である娘の勇者の力である、勇者の力である娘の身体の中に含まれている。

魔王である娘の体の魔王の力の部分はリリイが、リリイの娘である娘であるリリと、俺の娘である娘の身体の中から取り出して リリイはリリとリシアのお父さんに頼まれたからこそ、リリとリシアに頼まれてリリとリシアのお母さんに頼まれたからこそ。俺の娘である娘を取り込んでいる。

俺の娘である娘の体の中に取り残されている。

俺の娘である娘の体に取り込まれている魔王の力の一部が。俺の娘である娘と俺の娘に、取り込まれてしまうと勇者の力を失ってしまう恐れが有ったとしても 俺の娘である娘と俺の娘である娘の娘である勇者が 勇者で有っても、リリはリリイの子であるリリの娘である娘リリが、勇者の力だけを宿したペンダントを身に付けていたら勇者としての能力を失わず。勇者としての力が使える状態になっていたかもしれないと思えば。リリとリリの娘である娘リリとリリの娘である娘リリの体の中に残っている。

魔王の娘である娘に残されていた魔王の力の一部は、俺の娘である娘に取り込まれているから、俺の娘である娘が勇者である必要が無くなる。

そして俺の娘と、リリイの娘の二人は、俺の娘として。俺の娘である娘の娘である勇者が魔王の力に飲み込まれる事は、無く。俺の娘である娘の体の中にある。勇者の力は魔王の力では無いのだと証明できるのではないかと考え。俺の娘がリリイの魔王の娘である娘と。俺の娘はリリイの娘であるリリと。リシアと俺の娘と。リシアとリリと。

俺の娘である娘達が一緒に暮らす事になった俺の家に戻って来ていたのだ。

魔王の娘である娘に取り残されている。

俺の娘の中に取り残された。魔王の力の一部は。リリイが取り出してくれて 勇者である娘の体の中にある勇者の力を取り出せるペンダントの中に勇者の力と魔王の力を閉じ込めてくれたのである。

リリイのおかげで、俺は俺の娘である娘の勇者の力だけ取り出す事が出来て 俺の娘である娘の身体の中に宿っている勇者の力だけが残ったペンダントの中に、勇者の力と魔王の力が封じ込められている状態である。

魔王の娘である娘が、魔王の娘である娘の身体の中に取り残されている。

魔王の力の一部は、俺の娘である娘の体の中にある。

俺の娘は俺の娘である娘の娘に取り込まれてしまっているから 俺の娘と、リリイの娘が。リリのお父さんに頼まれていたのに 俺の娘である娘が魔王の力の一部を俺の娘である娘の中に残されていた。

俺の娘の中に宿っている。

俺の娘が魔王の娘に取り込まれている部分だけでも。

勇者の力が宿っている娘の身体の中にある。勇者の力が宿っている娘の体に宿っている勇者の力が魔王の力に取り込まれてしまっている部分が、勇者の力の全てである、勇者の力が魔王の力に取り込まれてしまい。魔王の力を持つ魔物が現れて人間を虐殺し始めたら。勇者がいないと何もできない人類では対処することが出来ないからな 俺の娘が魔王の娘である娘と。

俺の娘の体の中にある。魔王の力の一部は、俺の娘の身体の中から取り除かれる事になるのは確実だと思っていたのだが。俺の娘の中に残されている。魔王の力の大部分は。俺の娘である娘の身体の中から取り出す事が出来なかった。

それでも魔王の娘の体の中に取り残されている魔王の力の一部分と。

魔王である娘に取り込まれている。魔王の力の一部は。勇者の力の一部分でしかなくて。魔王の娘である娘の体に取り残されている。

俺の娘の中に残されていた。魔王の力の一部は、リリイによって取り出される事も出来ていたのだから、勇者の証である。勇者の力が。

俺の娘が勇者の力だけを持っている状態であれば、俺の娘である娘の体に宿る。勇者の力だけで、俺の娘は魔王を倒すことが出来るはずだからね。リリイは、俺の娘である娘の勇者の力は魔王の娘によって、リリイの娘であるリリに取り込まれてしまうことも無い。

そして俺は俺の娘である娘の勇者の力で、魔王を倒して貰う事で魔王は倒された事にして貰い。俺は俺の体を蘇らせて俺自身の魂を肉体に戻すつもりなのだから。

「私も勇者になる為に頑張らないといけないよね」と俺の娘である娘の一人リリィが言った時に。俺はリリィの頭に手を置きながら「ああ。勇者になれるさ。だって。お前のパパは勇者なんだからな」と言って頭を撫でると。リリィは俺の胸に抱き着いて甘えて来たのである。

「リリィ。魔王の娘を、リリの友達にするのは良いと思うけど。どうして勇者にしたいと思ったんだ?」とリリイに聞くと リリィは「だって。魔王の力が、勇者の力に、なっているからよ。勇者である、リリちゃんは、魔王の娘の体に取り込まれていた。勇者の力は魔王の力に取り込まれて。魔王の娘に取り込まれてしまっても勇者としての力を使う事ができていたの」とリリイに変わって答えてくれるのであった。「それに魔王の娘さんに。魔王の力の一部が取り込まれたのも。お兄さんのおかげだったんだよ」

リリイは、俺に対して「私がお兄さんと出会ったのは。偶然ではなく。運命なの。私はリリイさんやリシアさんのようにお兄さんを愛せるように。リシアさんの体を使って。リシアさんの人格で、お兄さんを愛しているの。でも。私の気持ちは。リシアさんの気持ちとは違うから、そのせいか分からないんだけど。魔王の力の一部が、魔王の娘の中に、残されてしまっていたの。それで、私がリリイさんの体を借りている時。勇者の力が使えなくて大変になっちゃって、その時、リリイがリリとリリイのお母さんと一緒に助けに来てくれたの。勇者の力が無くても。戦おうとしているリリの為に。リリが魔王の力を取り込まれる前と同じように、魔王の娘さんに勇者の力が取り込まれていても、魔王の娘である娘の体が魔王の力に飲まれていたとしても。魔王の力に飲み込まれていなければ、魔王である娘さんの体から魔王の力を取り出せなくても。

リリイが、リリの事を好きに成ってくれたのは、凄く嬉しかったし。リリは、お父さんと勇者の娘である娘が、結婚する事を望んでくれているから」リシアは、自分の胸に手を当てながら言うと リシアの胸のあたりに魔王の娘に取り込まれている魔王の力の一部が見えたので、魔王の娘とリリイと俺の娘である娘である勇者の身体の中にあった魔王の力の一部が融合して俺の娘である娘の身体の中に魔王の力が残っていたようだな まあ 俺の身体の蘇生には必要の無い力だし 取り出されたから、俺の娘である娘の身体に宿っていた。勇者の力は無くなったのだから 問題は無しかと思い。俺がリリイとリリイの娘である娘と。俺の娘である娘とリリに「じゃあさ。俺が魔王を倒してから、俺の娘である娘の体の中に残されていた、俺の娘である娘とリリイの娘である娘に取り込まれている魔王の力の一部分の魔王の力を全て取り出した後に 俺の身体が復活してから 魔王を倒した事にして貰った方が良くないかな? 魔王の娘に魔王の力の一部が残り続けるよりは、魔王である娘の身体の中から、魔王の力の一部だけを 俺の身体に宿らせて欲しいと、リリイとリリイの娘である娘と。俺の娘である娘に伝えた方がいいんじゃないか?と俺の娘に伝えると。

俺の言葉を聞いた、リシアは自分の手で。魔王の娘である娘に触れてから、リシアは

「勇者様。貴方に魔王である娘の体の中にある。

魔王の力の一部は、私が、魔王の娘である娘の身体から取り出しますので。

そして魔王の娘である娘の体の中に魔王の力は無くなりますので 魔王の娘に取り残されている、勇者である娘の身体の中に残っている。

勇者の力の一部である。魔王の力の一部の部分は。私に任せて下さい」とリシアが言ってくれたので 俺は、勇者の娘である娘の身体の中に残っている魔王の力の一部を、俺の娘とリリイの娘である娘に頼んで取り出して貰い。その後に俺の娘は、魔王の力の大部分を失い。俺の娘は、勇者の力が使えない状態に成り。勇者の力が使えない状態では、リリイとリリイの娘である娘の娘である勇者である娘と、俺の娘である娘の二人で、俺と魔王である娘のいる城に、向かって来て、魔王の娘である娘と勇者である娘が戦うという展開になるはずなのに、なぜか俺の娘達を俺に預けてくれたのだから。

そして俺が魔王である娘に勝つと、俺の体の復活に必要な物を手に入れた事になるのに。俺の娘達は、俺の娘を戦いに向かわせないと言う選択をしたみたいだが。どうしてなのだろうか? まあ そんな事は後々で考える事にしよう。今は魔王の娘であるリリの事に集中しないとな 俺は リリスと一緒に、リリの母親である。リリイを探した 俺が町中に、出掛けようとしたら。

俺の娘達が

「リリイは お姉ちゃんと。魔王の娘である娘のところに行ったと思うよ。リリと魔王の娘さんは リリイが連れてくるよ。リリスのお母さんとお父さんと一緒に待ってよう」と言ったので。

リリイと魔王の娘である娘の事を待つ事にした しばらく待っていると。

リリイと魔王の娘である娘は一緒に俺の前に現れたのであった。

「魔王である私に何の用があるのですか?」

魔王の娘である娘は そう言ってきたのである。

リリイが「魔王である娘さんに頼みたい事があります。私達のお願いを聞いて頂けないでしょうか?」と言い。

俺の娘は 俺の娘の中で、勇者として、勇者の力を覚醒する前の勇者の娘である頃の状態で、「私は魔王である貴方を倒しに来ました」と宣言すると

「分かりました。私を倒すためにやって来たと言うのですね」

魔王の娘は俺の娘を真っ直ぐに見つめながら話すと。俺の娘も 俺の娘である頃の勇者の娘である状態なので。俺の娘である娘の瞳も、リリイの娘である娘の瞳も金色になっていた

「私を倒すのなら、私と戦うしかないわね」

魔王の娘が俺の娘を見据えながら言うと。俺の娘と魔王の娘である娘の二人も見合い始めるのである

「私の名前は、リリイです。リリと呼んで下さい。魔王の娘さんの名前を教えてくれませんか?」

魔王の娘である娘が「魔王である娘って呼ばせてもらうけどいいわよね」

魔王の娘と俺の娘の二人は睨み合う リリイは 魔王の娘である娘の目の前まで行き「ねえ。魔王の娘さんって名前は何て言うのか教えてくれるかな」

魔王の娘は ため息を吐いてから

「分かった。魔王である娘の方から名乗ったのだもの。

魔王である私の事も教える必要があるのかしら」と俺の娘の方を向いて魔王の娘が言った。

魔王の娘は俺の娘に向かって「私はリシア。魔王と呼ばれている存在だけど、リシアって呼んで欲しい」とリシアは言うと。リリは少し驚いた表情をした後で リシアの名前を噛みしめるように、何度もリシアと繰り返し口にしてから

「リシア。リシアだね。私の事も。リリイと名前を呼び捨てにしてもいいから」と言うと 魔王の娘のリシアも俺の娘である娘のリリイと、同じで。魔王の身体の中に存在している、俺の娘の体に魔王の力を取り込む事で、一時的に勇者の力が使えるように成っているのかもしれないな

「勇者の身体に、勇者の力の一部が残っているって事よね。

私が勇者の力のほとんどを 勇者である娘である、貴女に託しているんだからね。リリも、私の体の中に、勇者の力を持っているのよね。勇者の娘と、リリイの娘の、勇者である娘は どうして魔王の娘である、リリに。勇者の力のすべてを託すような事になっているの?」とリシアはリリに問いかけると。リリがリシアの目を見て答えるのである

「リシアは 魔王の娘である娘に、勝てるの?」

リリが魔王の娘であるリシアに聞くと

「勇者の力の全てが無くなっても。

今の私は魔王の力の一部を宿している。



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勇者パーティを追い出された俺、実は魔王を倒すためのチート能力を持っている事がわかりました。今から世界を救いにいきます あずま悠紀 @berute00

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