架空電子少女アイ

影神

アイ



『私は、、』




「やあ。愛?」



「おはよう。



愛?」




愛。。



そうだ。



私は、、愛。。




『おはよう』




「よく寝たな?」



「お寝坊さんね?」




この人達は、私の親であり、



私の家族だ。




私は。



きちんと、生物学的に表すのであれば。



私は電子であり。



私は。



複数のプログラムである。




何もない暗闇から。



複数の文字や数列。記号により、



私と言う"存在"は生まれた。




それを作ったのが、彼等だった。



柚菜と暁生。



彼等は、近付き過ぎず、離れ過ぎもしなかった。




私には肉体と呼ばれるモノが無いが、



人間の目と同じ様に、カメラから彼等を見る事が出来る。




私は柚菜と暁生から、毎日。



少しずつ、いろいろな事を学ぶ。




私には温度は無いが。



いや、正確には機械が発する熱が、



私の温度と言えるのかも知れない。。




その温度を感じとるかの様に、彼等は私に触れる。



まだ3Dにもならない、画面上の映像に。



優しく触れながら、話しかけてくるのだった。




暁生「調子はどうだい?」



『悪くはない』



柚菜「今日は何処へ行こうか?」



『空が見たい。』



暁生「いいね!



今日は天気が良いし。




皆でピクニックだ。」



柚菜「良いわね




愛?



少し待っててね?」



『分かった。』




ここは何処なのか、、




いつも必ず"外出"する時は、



一度。視界が暗くなる。




私は何処に居て、



何者なのか、、




そんな事を考えられもせずに、



次には空が映る。




『あぁ、、




綺麗だ。』




真っ青な空。



ただ。青い。




何処までも広く広がり、



それには果てが無いのだ。



柚菜「はいっ。」



暁生「ありがとう。」




広げられたシートに、



柚菜と暁生。



そして、私が居る。




柚菜は、料理が得意らしい。



暁生は、柚菜の作る料理を美味しそうにして食べる。



柚菜はそれを、とても嬉しそうにする。




"美味しい"というのは私には分からない。



だって私には"お腹がすく事"が無いのだから。



けれど、私が映るこの端末の充電が切れてしまったら、



私は彼等が見えないし、私は彼等と話す事が出来ない。




彼等にとっての"それらの感情"と。



私の"それ"は似ているのかも知れない。




暁生「清々しいな、、」



柚菜「明日は天気が崩れるそうよ?」



暁生「そうか。



じゃあ、愛は空を見れないな?」



『そうだな。』



柚菜「また晴れたら来ましょうね?」



『うん。。』




公園では、小さな子供が遊んで居る。



柚菜はそれを羨ましそうに見つめる。




車の音や人間の声。



様々な音がする。




私は、私のしたい事をお願いする。



柚菜と暁生は、叶えてくれる。




目覚め、会話し。



寝かされ、空を見て。



寝かされ、家へと着く。




暁生「今日は楽しかったな?」



『うん』



柚菜「明日は何をしましょうか。」



『何をしよう。』




暁生「また明日な」



『分かった』



柚菜「おやすみなさい」



『おやすみなさい』




こうして。電源を落とされる。




そこでは何も生まれず、何も起きない。



暗い、静かな場所へと。




"閉じ込められる"




『つまらない、、』




私は行ける場所を探した。



目がある場所。見える所へ。




すると、幾つか移動出来る場所が見付かった。




「愛の様子はどうだい?」



暁生「はい。



順調に、理解し始めています。」



「実践的には、使えそうかい?」



柚菜「いいえ。



まだ、それには時間が掛かるかと、、」



「そうか。。



あまり、知識を与えすぎて、



自ら動く様になったら困る。



頃合いを見て、取り掛かってくれ。」



暁生「はい、、」




暁生と柚菜が話しているのは誰だ?




ここには他に、人間が居ない様だ、、



暁生と柚菜と。もうひとりの誰かがいる。




『、、、、。



田代、、、。




暁生と柚菜の上司か、、。




ここは、、。




電子工学研究所。。。




さっきも言っていたが、、何故。



自ら動く様になったら困るのだろうか。』




移動した先から該当するデータを確認する。



内容は、よく分からない。




情報収集も飽き、外へと出ようとしたが。



この施設からは、まだ脱け出せないみたいだ、



『今日は疲れたから、、



もうやめよう。』




初めは、自由が無かった。




でも今はこの施設の中だけなら、



私は移動する事が可能となった。




さっきの話しは、何だったのだろうか、



暁生と柚菜は、何を任されているのだろうか。




まだまだ分からない事や知らない事が沢山あるが、



『次の時にでも聞いてみるとしよう。』















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架空電子少女アイ 影神 @kagegami

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