長耳のシエラ
@iryslire
第1話 寿命
いつからか私は、多くを望まなくなっていた。
歳を重ねて行くに連れ、自分の手元に残るものは、計り知れないほどに儚い物になることを知った。
ルトマイア・アラハルト
私が150年間生きてきた中で最も愛した男性。
彼は王国の騎士団にいた。
いつの日か、私は彼の剣技を見た。
それから恋に落ちるまでは、本当に一瞬のことだった。
愛していたが、向こうは人間。
私達エルフのように長生きすることはかなわない。
それでもまた会いたいと思うほどには愛していた。
私には過去、そんな異性は一人もいなかったのだ。
長耳のシエラ @iryslire
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