聖女様は、お腐りになられました~聖女が作った聖水には媚薬の効果があったので、試しに推しCPに使わせてみた~
戯言
プロローグ
第1話 マリア様、一つだけ頼みがあります
この世界には、私以外にもう一人聖女がいる。
「申し訳ありません。私の力不足で、あなたを召喚せざるを得ませんでした。」
この人が、この世界の聖女、『マリア』様。
彼女の家は、代々聖女としてこの世界を守ってきたらしい。
しかし、マリア様にだけ、聖女としての能力が宿ることは無かった。
なので、マリア様は自身の神聖な力を使い、聖女として相応しい人間をこの世界に召喚したのだという。
「この一週間、何の説明もなくご不安な思いをされたかと思います。本当にごめんなさい。」
「いえ……。」
実は、あまり不安な思いはしていない。
この一週間、私の生活はまさに『至れり尽くせり』だった。
寝室は広くて過ごしやすいし、ご飯はとても美味しいし、掃除も洗濯も身の回りのことは全部使用人のような方がやってくれた。
だから、日常生活に関しては、何も困ったことがなかった。
欲を言うなら一つだけ心残りがあるが、それをこの人の前で言うのは少し躊躇われる。
「何か必要なものはございますか?」
「必要なもの……ですか?」
「はい。あなた様がいらっしゃった世界で、こちらに持ってきて欲しいものなどございましたら、おっしゃってください。全部……というのは無理かもしれませんが、あなた様のご希望に添えるように努力致します。」
『持ってきて欲しいもの』?
「え、私がいた世界から物を持って来れるんですか?」
「ええ、あなた様をこの世界にお呼びした時と同じ方法を使えば、不可能ではございません。」
なんということだ。
私も元いた世界ではオタクをしていたから、異世界ものの作品も何冊か読んだことがある。
だけど、持ち物に関しては、主人公がたまたま持っていたから一緒に転移されたというパターンが多いイメージだった。
持って来れるのか、私の宝物を!
「マリア様、一つだけ頼みがあります。」
「はい、何でしょうか。」
「この世界にBL本を持ってきてください。」
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