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「ぐはっ……! が……ふ……」
痛みと衝撃で一瞬、意識が飛んだ。
上半身にモンスターからのパンチを食らい、僕は後ろの木まで数メートルほど吹っ飛ばされたらしい。そしてその木に背中をもたれかけさせたまま、地面へずり落ちてへたり込んでしまう。
腹側の全体と背中の両方が燃えるような熱さと激しい鈍痛を放ち、視界が霞んでくる。冷や汗も滝のように吹き出して止まらない。骨が何本か折れたのかも。
口の中には胃液の苦味と酸味、さらにどこかが切れたのか血の味を感じる。
ただ……まだ……なんとか生きてる……。辛うじて立てる……。
てはは……僕って意外にしぶとかったんだね……初めて知ったよ……。
――だったら想いがモンスターに通じるまで、命が尽き果てる最期の瞬間まで諦めるもんか。
僕は気力を振り絞り、背をもたれかけている木に掴まりながら再び立ち上がった。
小刻みに震える足に最後の力を込め、全身から発せられている痛覚の悲鳴に耐えながら今一度モンスターの前へ足を一歩だけ踏み出す。
『はぁ……はぁ……。ほら、僕は無抵抗だっ♪ 敵じゃない。分かっただろ?』
僕は警戒されないように満面に笑みを浮かべたつもりだったけど、きっと引きつった笑いなんだろうな。でもこれが精一杯なんだ……。
「うがぁっ!」
直後、今度は蹴られて後ろへ倒れ込んだ。身体は仰向けになり、木々の葉の隙間から見える空の青が鮮やかに感じられる。
……あぁ……もう身体に力が……入らない……。
しかも最悪なことに、僕はモンスターに踏みつけられてしまった。このまま全体重をかけられたら、僕は……。
→48へ
https://kakuyomu.jp/works/16816927862192814506/episodes/16816927862194873418
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